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花王サステナビリティ データブック 2020 69 花王サステナビリティ データブック 2020 2019年の活動報告 社会貢献活動 102-12,102-15,103-1 花王は、豊かな生活文化の実現とよりよい持続可能な社会に向けて社会貢献活動を推進しています。 事業で直接アプローチできない課題については、地域社会やNGO/NPOと連携しながら、長期視点で取り組んでいます。また、社会との接点をつくり、社員の学びの場をつく るため社員参加型の活動や、モノづくりの基盤を支える文化の発展のためのメセナ支援、(財)花王芸術・科学財団による活動も行なっています。 社会的課題と花王が提供する価値 認識している社会的課題 清潔・衛生や健康は、人の暮らしの基盤ですが、経済格差、 ジェンダーなどさまざまな格差がもたらす不平等から、現 代の進歩に見合ったサービスが享受できていない人たちが 数多く存在します。また、先進国、新興国、開発途上国、そ れぞれの社会で抱える課題は違っても、毎日が充実し、心 身が満たされこころ豊かに暮らせる社会がより一層求めら れています。さらには、気候変動やごみ問題など、私たちの 暮らしを支える環境に対する問題も、国際社会全体で取り 組むべき喫緊の課題となっています。 これら社会的課題の解決に向けて、企業はその事業活動 を通じて貢献するとともに、企業の強みを活かした技術支援、 啓発活動や寄付などを通じた包括的な視点での取り組みを 行なうことがますます重要になってきています。 花王が提供する価値 花王は事業活動を通じて社会のサステナビリティに貢献 するとともに、事業(製品)では直接アプローチできない場 合も、生活者の誰もがこころ豊かで快適な生活を実現でき るよう、広く社会に貢献していきます。 自社の持つリソースや強みを活かした、清潔・美・健康の 事業領域において、また、地球環境に関わる課題において、 世界中の誰もがこころ豊かで快適な生活が実現できるよう、 啓発活動や技術支援、寄付などの、さまざまな支援を行なっ ていきます。 また、多様なコミュニティが抱える社会的課題の解決や 地域活性化への貢献、メセナなど、豊かな生活文化の発展 に関わる支援を行なっていきます。 「2030年のありたい姿」の実現に関わるリスク ステークホルダーに対する適切な配慮の欠如やエンゲー ジメントの不在は、顧客や社員をはじめとするすべてのス テークホルダーからの信頼を失うだけではなく、花王の将 来的なブランド価値の毀損も招くおそれがあります。 「2030年のありたい姿」の実現に関わる機会 花王は、消費財メーカーとして常に生活者に寄り添う事 業活動を行なってきました。それは個々の生活者が、利便 性や満足度の向上だけでなく、よりよい社会に向けて正し い選択をし、とりまく社会も同様であってほしい、という 思いに応える活動でもあります。 花王は、衛生や水、健康、生活の質の向上、ごみ問題など、 暮らしに身近な社会課題に取り組み、常に生活者や社会の 立場からそれらの活動の意義を考えています。その結果世 界 中 の 人 々 の こ こ ろ 豊 か で 持 続 可 能 な 生 活(Kirei Lifestyle)の実現に向けて、毎日の生活になくてはならな い存在になりたいと考えています。 貢献するSDGs

社会貢献活動 - Kao...花王サステナビリティ データブック 2020 70 社会貢献活動 102-43,103-2,404-2方針 教育と浸透 ステークホルダーとの協働/

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花王サステナビリティ データブック 2020 69

花王サステナビリティ データブック 20202019年の活動報告社会貢献活動 102-12,102-15,103-1

花王は、豊かな生活文化の実現とよりよい持続可能な社会に向けて社会貢献活動を推進しています。

事業で直接アプローチできない課題については、地域社会やNGO/NPOと連携しながら、長期視点で取り組んでいます。また、社会との接点をつくり、社員の学びの場をつく

るため社員参加型の活動や、モノづくりの基盤を支える文化の発展のためのメセナ支援、(財)花王芸術・科学財団による活動も行なっています。

社会的課題と花王が提供する価値

認識している社会的課題

清潔・衛生や健康は、人の暮らしの基盤ですが、経済格差、

ジェンダーなどさまざまな格差がもたらす不平等から、現

代の進歩に見合ったサービスが享受できていない人たちが

数多く存在します。また、先進国、新興国、開発途上国、そ

れぞれの社会で抱える課題は違っても、毎日が充実し、心

身が満たされこころ豊かに暮らせる社会がより一層求めら

れています。さらには、気候変動やごみ問題など、私たちの

暮らしを支える環境に対する問題も、国際社会全体で取り

組むべき喫緊の課題となっています。

これら社会的課題の解決に向けて、企業はその事業活動

を通じて貢献するとともに、企業の強みを活かした技術支援、

啓発活動や寄付などを通じた包括的な視点での取り組みを

行なうことがますます重要になってきています。

花王が提供する価値

花王は事業活動を通じて社会のサステナビリティに貢献

するとともに、事業(製品)では直接アプローチできない場

合も、生活者の誰もがこころ豊かで快適な生活を実現でき

るよう、広く社会に貢献していきます。

自社の持つリソースや強みを活かした、清潔・美・健康の

事業領域において、また、地球環境に関わる課題において、

世界中の誰もがこころ豊かで快適な生活が実現できるよう、

啓発活動や技術支援、寄付などの、さまざまな支援を行なっ

ていきます。

また、多様なコミュニティが抱える社会的課題の解決や

地域活性化への貢献、メセナなど、豊かな生活文化の発展

に関わる支援を行なっていきます。

「2030年のありたい姿」の実現に関わるリスク

ステークホルダーに対する適切な配慮の欠如やエンゲー

ジメントの不在は、顧客や社員をはじめとするすべてのス

テークホルダーからの信頼を失うだけではなく、花王の将

来的なブランド価値の毀損も招くおそれがあります。

「2030年のありたい姿」の実現に関わる機会

花王は、消費財メーカーとして常に生活者に寄り添う事

業活動を行なってきました。それは個々の生活者が、利便

性や満足度の向上だけでなく、よりよい社会に向けて正し

い選択をし、とりまく社会も同様であってほしい、という

思いに応える活動でもあります。

花王は、衛生や水、健康、生活の質の向上、ごみ問題など、

暮らしに身近な社会課題に取り組み、常に生活者や社会の

立場からそれらの活動の意義を考えています。その結果世

界中の人々のこころ豊かで持続可能な生活(Kirei

Lifestyle)の実現に向けて、毎日の生活になくてはならな

い存在になりたいと考えています。

貢献するSDGs

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花王サステナビリティ データブック 2020 70

社会貢献活動 102-43,103-2,404-2方針

教育と浸透

ステークホルダーとの協働/エンゲージメント

体制

花王は、清潔・美・健康の事業領域や、地球環境、多様なコ

ミュニティに関わる社会課題に対し、自社の持つリソース

や強みを活かした取り組みを通じて、世界中の生活者の誰

もがこころ豊かで持続可能な生活(KireiLifestyle)を実現

できる社会をめざして、社会貢献活動を行ないます。

花王は、世界中の人々がKireiLifestyleを実現するため

には、生活者の共感を得て、行動変容を促すことが大切だ

と考えています。

その実現をめざして、モノづくりや啓発活動などを行な

う花王社員は、広く社会や多様な生活者を知り、視野や創

造力を広げ、また自ら実践することが大切だと考えています。

花王はさまざまな場面で、社会貢献活動の情報共有やボラン

ティア活動などへの参加の機会を提供しています。

複雑化する社会からの要請をより深く理解し、世界中の

人々がKireiLifestyleを実現するには、さまざまなステー

クホルダーとの対話と協働が不可欠であり、連携により社

会課題に対してより大きなインパクトがもたらせると考え

ています。花王の社会貢献活動は、NGO/NPO、国連機関、

イニシアティブなど、多くのステークホルダーと協働で実

施しています。

また、生活者にできるだけ広く効果的にKireiLifestyle

を普及させるために、行政・自治体、学校などと連携した取

り組みも行なっています。

花王のESGビジョンであるKireiLifestyleの実現のため、

ESG部門が中心となり、コーポレートコミュニケーション

部門、コンシューマープロダクツ事業部門、その他の関連部

門や日本・グローバルの各社と連携して、取り組みを進めて

います。活動概要や活動費などは、年に1回、コーポレート

コミュニケーション部門統括が取締役会で報告しています。

社会貢献活動方針●次世代の育成に役立つ活動を行ないます。● 地域の社会・文化の発展に貢献することを目指した活動を行ないます。

● 持続可能な社会に向けて、環境を守り育てる活動を行ないます。

● 社会的支援として、バリアフリー社会を推進する活動を行ないます。

● 花王の持つ資源を有効に活かせる活動を行ないます。● 一人ひとりの社員が良き市民として、社会的活動に参加できるような風土をつくります。

公益財団法人 花王芸術・科学財団

各国・各部門グループ会社

コーポレートコミュニケーション部門 ESG部門 KLP推進コンシューマープロダクツ

事業部門

取締役会

経営会議

ESG委員会内部統制委員会

社会貢献活動推進体制

※2019年12月現在

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花王サステナビリティ データブック 2020 71

社会貢献活動 103-2,103-3,203-1中長期目標と実績

中長期目標

社会貢献活動では、清潔・美・健康の事業領域と環境に関わる分野を中心に、事業では直接アプローチできない場合でも、生

活者の誰もがこころ豊かで快適な生活を実現できるよう、広く社会に貢献していきます。

また、社員が社会貢献活動に参加し、社会との接点をつくり視野を広げることで、“よきモノづくり”に活かすことをめざし

ます。

清潔・衛生習慣の定着

①ベトナム学校衛生プロジェクト:

2016-2020年の5年間で60校35,000人への支援を目標

②ベトナムにおける病院内の感染管理・衛生環境の向上:

ハノイ医科大学病院での感染管理・衛生環境の向上をめざし

た取り組みを実施。2018年からの5年間で他病院へも展開

③衛生奨学金制度:

大学院修士課程で食品衛生・衛生管理を学ぶベトナムからの

留学生1名に奨学金支援。2018年からの6年間で3名を支援

④インドネシア月経衛生啓発:

2018年から2020年までの3年間で12,000人への啓発と

2,500人の行動変容

QOLの向上

ピンクリボンキャンペーンを通じたがん予防啓発

・中高生に向けたがん教育プロジェクトの支援

中長期目標を達成することにより期待できること

事業インパクト

エシカルな消費行動が拡大する中、目標とする活動の確

実な推進と社外への継続的なコミュニケーションにより、

顧客からの信頼を獲得することで、結果として長期的なロ

イヤル顧客の獲得につながることを期待しています。

社会的インパクト

衛生・清潔の正しい生活習慣の定着により、支援するコ

ミュニティの衛生状況の改善や中長期的な生活の質の向上

を期待しています。また、将来の科学技術を担う人財やコ

ミュニティを活性化させる若手社会起業家の育成の支援、

生活者への環境コミュニケーションの実施は、誰もがここ

ろ豊かで快適なサステナブルなライフスタイルを実現でき

る社会に向けた原動力になっていくと考えています。

また、社会的活動への社員参加を促すことで、社員の創

造性を活性化し、より革新的で価値の高い“よきモノづくり”

へ活かされることを期待しています。

・商品や社内プログラムを通じたがん教育プロジェクトへ

の寄付の実施

生活者のサステナブルなライフスタイル推進に向けた環境

コミュニケーションの実施

科学技術を担う人財の育成

高校生科学技術チャレンジ(JSEC):毎年3校最大9名の高校

生を支援

コミュニティへの参画と課題解決に向けた支援

①若手社会起業家育成支援:毎年3団体を支援

②共生社会に向けた理解促進:ボッチャ競技の普及拡大の

推進

社会的活動への社員参加の推進

①グループ社員による社会的支援を目的としたクラブ組織

「ハートポケット倶楽部」の運営

②イントラネット等による社員参加型活動の情報発信強化

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花王サステナビリティ データブック 2020 72

社会貢献活動 103-2,103-3,203-1

2019年の実績1. 清潔・衛生習慣の定着①ベトナム学校衛生プロジェクト・アンザン省の22校の衛生設備の改善・ディエンビエン省の1校の衛生設備を新設・ディエンビエン省の4校と1コミューンの水供給設備2基設置・コミュニティリーダーによる啓発セッションを38村で実施・ディエンビエン省の22校に370個のセラミックフィルター付浄水器を支援

②ベトナムにおける病院内の感染管理・衛生環境の向上・ハノイ医科大学からの視察を受け入れ日本の感染管理の取り組みを紹介・ハノイ医科大学病院でのスタッフの手指衛生の実態モニタリングと研修を実施

③衛生奨学金制度・2018年10月より留学生を日本の大学院修士課程で受け入れ

④インドネシア月経衛生啓発・中学生向けの月経衛生教育冊子を発行・タンゲラン県40校の校長および学校保健の教員80名、県行政職員計17名に、学校での月経衛生教育の必要性や冊子活用の研修を実施(3回)

・メンターによる研修を2回実施(7、8年生を教える教員と保健教員、学校カウンセラー計200名対象)

・5月28日の世界月経衛生の日の啓発促進イベントに参加・小学生向けの月経衛生教育冊子をイスラム校向けに改訂

⑤手洗い啓発●日本・手洗い講座:全国33校、約2,244人の児童・生徒を対象に啓発実施(出張授業全体では54校、3,702人が受講)

・社員のべ189人が講師として参加(出張授業全体では338人)・教材提供156件(全体で465件)

●台湾、インドネシア・111千人の児童に手洗い啓発実施

⑥初経教育●日本・約745千人の女子小学生に初経セット配布

●インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、台湾、香港、中国・約388千人の女子小中学生に初経セット配布

2. QOLの向上ピンクリボンキャンペーン(グローバル)・中高生に向けたがん教育プロジェクトの支援・10月~11月に、計9カ国・地域で化粧品カウンセリングコーナーの美容部員や社員が啓発活動を実施

・特設ウェブサイト開設による情報提供・製品購入数に応じた寄付・啓発イベントへの協賛:ピンクリボンウオーク(東京)・社員のピンクリボンバッジ着用、イントラネットでの社員啓発・社員参加型の寄付プログラム:フォト募金

3. 生活者のサステナブルなライフスタイル推進に向けた環境コミュニケーションの実施

・第10回花王国際こども環境絵画コンテストの実施(16,552点)、入賞作品の展示活動(50カ所超)、ワークショップの新規開発

・体験型環境教育プログラムの実施と拡大をめざした活動(講演やESDネットワークへの参画など)

・未来洗浄研究会でのセミナー開催(12月)

4.科学技術を担う人財の育成高校生科学技術チャレンジ(JSEC)への協賛・JSEC2018受賞校を招きスタディツアーを開催(3月)・JSEC2019に特別協賛し、花王賞と花王特別奨励賞を3校8人の高校生に贈呈(12月)

5.コミュニティへの参画と課題解決に向けた支援①若手社会起業家育成支援(日本)・3団体への支援を決定。事業成長のための機会を提供・支援する社会起業家と花王社員との意見交換会を実施(11月)

②共生社会に向けた理解促進(日本)・ボッチャ競技の普及拡大の推進:社内でのボッチャ体験会の実施(2回、のべ82人の社員が参加)

・ボッチャ競技の理解に向けた展示を茅場町、すみだの2事業場で実施

6. 社会的活動への社員参加の推進①花王ハートポケット倶楽部(日本)・会員数3,463名(2019年12月20日現在)・寄付件数47件/寄付金額7,248,400円 ※緊急災害支援として実施した令和元年東日本台風被害に対する寄付

50万円を含む・活動レポート4,000部発行(社内向け活動報告書、年1回発行)

② イントラネットなどで活動や社員参加型イベントの情報提供

・2019年度90件・社員参加型のイベント企画:東日本大震災の被災地ボランティア、花王社員の寄付組織「花王ハートポケット倶楽部」を通じたボランティア活動、事業場地域での地域貢献活動など

7. 社会貢献活動費実績花王の社会貢献活動を把握するため、国内外の関係会社、

事業場、関連部門に、活動調査を実施。2019年の社会貢献活

動費は、花王全体で、10億5,600万円(寄付金2億5,500万円、

活動費8億100万円)となりました。

➡�サステナビリティサイト>Corporate�Citizenship�Activities

www.kao.com/jp/corporate/sustainability/society/

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花王サステナビリティ データブック 2020 73

社会貢献活動 102-43,203-1

具体的な取り組み

ピンクリボンキャンペーンを通じてがん教育を支援  QOLの向上

2007年から、毎年10月、11月の2カ月間、「花王グループ

ピンクリボンキャンペーン」を実施しています。期間中は「あ

なたと、あなたの大切な人のために」をスローガンに、乳がん

の早期発見の啓発のため、さまざまな取り組みを展開して

います。

主な取り組みの一つとして、2019年は認定NPO法人乳

房健康研究会主催の「ピンクリボンアドバイザーによるがん

教育プロジェクト」を2018年に引き続き支援。中学校・高

校でのがん教育を実施するもので、日本人の2人に1人が

がんにかかるとされる中、生徒たちの健康意識の向上や、

その保護者世代への影響も期待されています。

2019年はこのほかに、化粧品ブランド「KANEBO」にて

寄付付き商品を発売。2013年から継続している取り組みで、

キャンペーン期間中、対象商品1個購入につき100円をブ

ランドから上記がん教育プロジェクトへ寄付しました。また、

生理用品ブランド「ロリエ」からはピンクリボンをあしらっ

た限定パッケージの商品の発売や、クリック募金などを通

じた寄付を実施。こちらもがん教育プロジェクトへ寄付し

ました。

ほかにも、一部化粧品店頭での啓発活動や、ピンクリボン

のウォーキングイベントへの協賛など、少しでも多くの方

にメッセージを届けるために積極的に活動しています。

快適な暮らしを自分らしく送るために

➡�快適な暮らしを自分らしく送るために>QOLの向上:ピンクリボン活動を通じて女性の活躍を支援

www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/klp-pr-2020-all.pdf#page=45

ピンクリボンアドバイザーによる講話

ロリエピンクリボン限定デザインのミニパック

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花王サステナビリティ データブック 2020 74

社会貢献活動 203-1花王・ベトナム衛生プログラム  QOLの向上 清潔で美しくすこやかな習慣

衛生管理リーダー育成プログラム

病院内の感染管理・衛生環境の向上に向けた取り組みで

す。2019年は、ベトナムでのパートナーであるハノイ医科

大学から関係者を日本に招き、日本の感染管理について紹

介しました。その後、ハノイ医科大学病院では、スタッフの

手指衛生の実態を確認するモニタリングや、スタッフへの

研修実施を通じて、医療スタッフの手指衛生の徹底が図ら

れており、病院内の感染管理で成果をあげています。

2020年には、これらの成果を発表して他の病院とも共有

し、さらなる感染管理の取り組みを進めていく予定です。

衛生奨学金制度

ベトナムの保健衛生分野で活躍する食品衛生管理の専門

家を育てることで、人々の健康な暮らしを実現していくこ

とをめざしています。神奈川県立保健福祉大学と協力し、

大学内に「花王衛生奨学基金」を設け、留学生に奨学金を提

供しています。

初年度の留学生は、2018年10月に来日して神奈川県立

保健福祉大学大学院修士課程で学んでおり、2019年10月

には、病院や企業の食堂で調理現場の見学を行なうなど、

順調に学びを深め、2020年3月に卒業を迎えました。

花王は、ベトナムにおける清潔・衛生習慣の定着に貢献するため、「ベトナム衛生プログラム」を実施しています。このプログラムは、「衛生管理リーダー育成プログラム」「衛生奨学金制度」「楽

しい手洗い教室」「学校衛生プロジェクト」の4つの取り組みで構成されています。

楽しい手洗い教室

2019年9月27日に、ハノイ市タインスアン区のニャンチン

小学校で手洗いの大切さを伝える啓発イベントを実施しま

した。小学校1年生と2年生が参加し、手洗いの大切さや正

しい手洗いについての話を聞いたあと、手洗いのダンスを

踊り、意識を高めました。2020年からはハノイ医科大学と

の協働で、小学校での啓発活動をより広く展開し、将来を

担う子どもたちのさらなる衛生意識の向上をめざします。

ユニセフ「学校衛生プロジェクト」を支援

経済格差の大きいベトナムでは、特に山間部や農村部、

少数民族が多い地域の衛生環境が整っておらず、慢性の下

痢疾患などで子どもたちの健康な発育が阻害されています。

花王は、2016年から、国連児童基金(ユニセフ)による学

校衛生プロジェクトの活動を支援しています。

ベトナム南部・メコン川流域のアンザン省での成果を受け、

2018年から少数民族が多い北部山岳地域、ディエンビエン

省に支援を拡大しました。

2019年は、アンザン省で22校の衛生設備の改善、ディエン

ビエン省で1校に衛生設備を新設、4校と1コミューンへ2

基の水供給設備の設置を行なったほか、コミュニティリー

ダーによる啓発セッションを38村で実施しました。

また、遠隔地や緊急時にも安全な飲み水が手に入れられ

るよう、セラミックフィルター付き浄水器の設置支援を行

なっています。この支援は、日本の小学4年生に向けたプロ

グラム「いっしょにエコ日記」と連動しており、日本の子ど

もたちの節水努力に応じてベトナムの小学校の教室に浄水

器を届ける取り組みも組み込まれています。2019年までに

370個の浄水器が届けられました。この取り組みは、地域行

政の働きかけにより、好事例として支援対象校以外が独自

に浄水器を購入して活用するといった形でも広がりを見せ

ています。

2020年も、両省において、学校やコミュニティ主導の衛

生環境改善や衛生習慣の促進を進めていきます。

浄水器の水を飲むディエンビエンの子どもたち ©UNICEFVietNam

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花王サステナビリティ データブック 2020 75

社会貢献活動 203-1月経教育・月経衛生環境向上への貢献  QOLの向上 清潔で美しくすこやかな習慣

日本の女子小中学生に向けた初経教育

花王は、1978年の生理用品の発売以来、40年以上にわ

たって、初経を迎える女の子たちとその家族や小学校に向

けた初経教育の支援活動を行なっています。

日本では、月経やからだの変化についてまとめた啓発用

小冊子と生理用品のサンプルをポーチに入れた初経教育セッ

トを小学校に無償で提供しており、2017年からは公益財団

法人日本学校保健会と連携し全国2万校への配布をめざし

て活動を拡大しました。

2019年は、11,766校へ配布しました。また、2018年に改

訂した啓発用小冊子「からだのノートおとなになるという

こと」の音訳CDを日本の視覚支援学校67校と点字図書館

92館に配布しました。

インドネシアの中学生に向けた月経衛生教育

2018年よりインドネシアにおいて、国連児童基金(ユニ

セフ)による「月経衛生管理プロジェクト」の支援を行なっ

ています。

インドネシアでは、月経の正しい知識が十分に普及して

おらず、4人に1人が初経までに月経の知識がなく、さまざ

まな迷信や偏見も依然として存在しています。また、学校

における教育や衛生環境が十分に整っていないため、6人

に1人が月経時に少なくとも1日は学校を休むという現実

があり、女子生徒の出席率低下の一因になっています。

2年目となる2019年には、中学生向けの教育冊子を新た

に制作するため、バンテン州タンゲラン県をはじめとした

複数地域の一般校とイスラム校で調査やテスト使用が行な

われました。月経にまつわる内容は地域や宗教、世代、教育

水準によって感じ方や考え方の違いが大きいため、教材に

は一層の配慮が必要で、細かな修正を繰り返しながら作業

を進めました。11月28日には、「先生の日」(11月25日)に紐

付けて、完成した教育冊子のお披露目とタンゲラン県の知事、

教育機関への贈呈式が実施され、12月初旬からは、学校長

や保健教員を対象に、冊子を活用した研修を開始しました。

このほか、5月28日の世界月経衛生の日にあわせて南ジャ

カルタ市で実施された啓発促進のためのイベントには、花

王インドネシアの社員も出席するなど、社内でも課題への

認識を一層深めながら活動に取り組んでいます。

2020年までに公立中学校40校にて男子生徒を含む

12,000人以上の生徒へ授業を行ない、2,500人以上の行動

変容をめざしています。

ウガンダ月経衛生環境向上プロジェクト

花王は、2019年2月より、国連人口基金(UNFPA)とパー

トナーシップを組み、ウガンダで低価格な国産生理用ナプ

キンの製造・販売をめざす若手社会起業家が立ち上げた企

業「エコスマート」を支援しています。

アフリカには、貧困により生理用ナプキンを購入できず、

使い古した布の切れ端や植物の葉などを代用している女性

が多くいます。その結果、深刻な感染症にかかるケースが

見られます。また、生理用ナプキンを使用できないために

生じる衣類の汚れを気にして学校を休み、授業についてい

けなくなって退学することも少なくありません。

花王は、支援によりウガンダの女性が継続的に生理用ナ

プキンを使用できるようになり、月経期間をより衛生的で

快適に過ごせるようになることを期待しています。月経期

間中も休まず学校に通い、男女ともに等しく学べる環境は、

社会全体のさらなる発展に寄与すると考えています。

2019年は8月にTICAD7に参加するために来日したCEO

を、生理用品を製造する栃木工場に招くなど、モノづくり

についての情報交換を行ないました。

初経教育を行なう保健教員に向けたセミナー(左)ウガンダの女性への生理用ナプキンの普及活動(右)生理用品を製造する栃木工場での情報交換

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花王サステナビリティ データブック 2020 76

社会貢献活動 417-1情報のバリアフリー  ユニバーサル プロダクト デザイン

花王は、日常生活に欠かせない製品を提供する企業とし

て、社会に暮らすすべての人々が、分け隔てなく快適で豊

かな日常生活を営んでいくことができるようにバリアフリー

を推進し、その理解をめざす活動を行なっています。

特に情報化が進む中で取り残されがちな、視覚障がい者

や高齢者に向けた情報のバリアフリーに取り組み、製品の

点字シールの無償提供や生活情報を音声化して提供する取

り組みを行なっています。

また、さまざまな障がいのある方々の生活の不便さを伝え、

理解を図る内容のバリアフリービデオを学校等へ寄贈し、

総合学習の教材として活用されています。

福祉施設への寄贈では、社会福祉協議会と連携し、選定

した団体や社会福祉施設と民間が運営する滞在型施設に花

王製品を寄贈し、お役立ていただいています。

2019年は、初経を迎える女の子たちとその家族や小学校

に向けた初経教育の支援活動の一環として、情報が不足し

がちな視覚に不自由のある子どもたちやそのご家族、教育

関係者の方々に向けて、啓発用小冊子「からだのノートお

となになるということ」の音訳CDを作成し、日本全国の視

覚支援学校67校と点字図書館92館、その他6件に配布しま

した。

また、点字シール(家庭品用/化粧品用)の無償提供121

件、バリアフリービデオの寄贈3件、福祉施設への製品寄贈

を2回実施しました。さらに、日本点字図書館が発行する点

字・録音による生活情報誌「ホームライフ」12月号に対し、

生活情報の提供とともに、社員ボランティア2名が音声情

報の収録に協力しました。

2020年以降も活動を継続していく予定です。

点字シール(家庭品用)

「からだのノートおとなになるということ」音訳CD

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花王サステナビリティ データブック 2020 77

社会貢献活動 413-1

出張授業、教材提供による次世代育成  清潔で美しくすこやかな習慣 サステナブルなライフスタイルの推進

子どもたちが将来にわたって快適な暮らしを自分らしく

送り、サステナブルな社会をともに実現できるように、「自

分のことを自分でできるようになる」「広く社会のことに関

心を持ち、自分たちにできることにチャレンジする」の2つ

の視点でプログラムを用意し、さまざまな次世代育成活動

に取り組んでいます。具体的には、社員が講師となって学

校を訪問し、「手洗い講座」「おそうじ講座」を行なっています。

また、子どもたちの理解を深めるために、「清潔」「健康」「環

境」分野での教材を提供し、先生方に活用いただく活動も

行なっています。

2019年度は、出張授業2講座を計54校で実施。3,702人

の児童が受講し、338人の社員が講師およびサポート担当

として参加しました。

また、2020年度から順次変更される「学習指導要領」に

対応し、既存のコンテンツにアクティブラーニングの要素

を加えるなどの改訂を行ないつつ、ESG視点を加味した新

たな「ごみゼロチャレンジプログラム」を開発し検証授業

を行ないました。

一方、2018年に引き続き、ろう学校でも「手洗い講座」を実

施し、2校で児童69人が受講、社員15人が参加しました。

2019年度は新たに特別支援学校(知的障がいの児童対象)で

も特例子会社ピオニー(株)の社員とともに「手洗い講座」を実

施し、2校で児童生徒26人が受講、社員17人が参加しました。

また幼稚園や保育園でも、継続的に「手洗い講座」を行

なっており、2019年度は東阪名を中心に164園、12,368人

の園児たちが「あわあわてあらいのうた」とともに正しい

手の洗い方を楽しく学びました。

2019年実績

思いやりのある選択を社会のために

出張授業種類 対象 実績

手洗い講座 小学校低学年 33校/2,244人(参加社員189人)おそうじ講座 小学校低学年 21校/1,458人(参加社員149人)計 54校/3,702人(参加社員数338人)

※環境講座は、プログラム改訂のため2019年度非実施

教材提供種類 対象 実績

手洗い講座「手洗いの時間」 小学校低学年 156校おそうじ講座「お家のおしごと」 小学校低学年 23校いっしょにエコ日記 小学校4年生 204校環境のことを考えた快適なくらし 中学校技術・家庭科 39校よりよい衣生活と環境の創造をめざして 高等学校家庭科 43校計 465校

「手洗い講座」で社員の講師から楽しく手洗いの方法を学ぶ子どもたち

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花王サステナビリティ データブック 2020 78

社会貢献活動 413-1工場・ミュージアム見学を通じた学校教育支援 

清潔で美しくすこやかな習慣

サステナブルなライフスタイルの推進

花王国際こども環境絵画コンテストサステナブルなライフスタイルの推進

生活に身近な商品を生産、提供する企業として、モノづ

くりの工夫や品質、安全・安心のための努力、環境への配慮

を学んでもらうため、ミュージアムや工場見学を通じた学

校教育の支援を行なっています。

特に、小学校の社会科単元(3年:働く人と私たちの暮らし、

5年:私たちの生活と工業生産)に連動したプログラムを開

発し、事前・事後の学習も含めた教材の提供、工場見学を含

む、学習型の社会科見学プログラムを実施しています。プ

ログラムを通して、子どもたちが社会との結びつきに気づき、

自ら考える力を育むことをめざしています。

2019年は、国内9工場で6.1万人の工場見学を受け入れ

た中、286校1.9万人の小学生が社会科見学プログラムを受

講しました。

工場の特徴に合わせてプログラムの内容は異なりますが、

環境やモノづくりの工夫について学習するとともに、内容

に合わせて、泡立ち実験、汚れ落ちメカニズム実験やスキン

ケアクリームづくり体験などを行なっています。和歌山では、

社員に小学生がインタビューする時間も設定しています。

参加した小学生からは「機械を間近で見られて驚いた」「多

くの努力と工夫で地球にやさしい工場になるんだと感じた」

「理科をもっと勉強して研究する人になりたい」「また来たい」

などの感想がありました。

花王では、世界の子どもたちに、身近な生活のエコと地

球の環境・未来について真剣に考え、絵画として表現しても

らい、それを多くの人たちに伝えることで、暮らしの中で

環境を考えて行動する“いっしょにeco”が、世界中の人たちに広がることを願い、2010年から「花王国際こども環境

絵画コンテスト」を行なっています。

第10回コンテストの実施

2019年は、世界中の子どもたちから、16,552点(日本

446点、アジア・太平洋15,005点、米州114点、欧州428点、

中東548点、アフリカ11点)の応募があり、これまでで最多

の応募数となりました。花王のデザイナーによる予備審査

を経て、社内外審査員による最終審査が行なわれ、“いっしょ

にeco”地球大賞1点、“いっしょにeco”花王賞8点、優秀

NPO・行政・ビジネスパートナーと協働した絵画展示活動

世界の子どもたちの絵とそこに込められた思いやメッセー

ジを多くの人に伝えるために、これまでの入賞作品の展示

活動を積極的に進めています。

社内では、茅場町、すみだ、大阪事業場にて、入賞作品の

期間展示を実施しました。品川・有田両研修所では、常設展

示を開始しました。また中国、インドネシア、タイ、ベトナ

ムのオフィスでも展示を行ない、多くの社員が鑑賞しました。

さらに、日本の全10工場、花王(インドネシア)のカラワン

工場、上海花王の工場では、来場者・見学者に見ていただけ

賞<審査員推薦作品>7点、優秀賞16点が決まりました。入

賞作品32点は、12月に開催された「エコプロ2019」の花王

ブースにて展示され、多くの来場者が鑑賞しました。最終

日には上位入賞者9名を招待して表彰式を行ない、その後

のトークセッションでは、各国の受賞者から、自分の暮ら

す地域の環境や、絵に込めた思いが語られました。

親子見学会での実験の様子

表彰式での記念写真

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花王サステナビリティ データブック 2020 79

社会貢献活動 413-1るように、常設展示を行ない、約5万人が鑑賞しました。

社外では、NPO法人ビーグッドカフェを事務局として、

日本全国の行政が運営する環境関連施設やNGO/NPO、

教育施設などに絵画を無料で貸し出す活動が3年目を迎え、

2019年の貸出先は、のべ18施設・団体に拡大し、来場者数

の合計は、4万人を超えました。

さらに、花王グループカスタマーマーケティング(株)では、

ビジネスパートナーや行政と共同で開催する環境イベント

のうち、14カ所で絵画展示を行ないました。花王(中国)投

資、花王(台湾)でも、各地域での環境啓発キャンペーン活

動に、絵画展示を盛り込んでいます。

絵画を活用したワークショップの開発

世界の子どもたちの絵とそこに込められた思いを、さら

に深く伝えて、より効果的な環境啓発に活かすために、絵

画を利用したワークショップコンテンツを開発しています。

毎日新聞社主催「学びのフェス」や自治体の環境講座などで、

絵画カードを制作して、環境意識啓発につなげたり、絵を

描いてみたりするワークショップに取り組み、改良を重ね

ています。

ダイレクトコミュニケーションによる 環境教育・啓発活動

サステナブルなライフスタイルの推進

次代を担う生活者の環境意識を高めることは、地球環境

のためにも、社会のためにも、また花王にとっても、非常に

重要です。そのため、年代や地域に合わせた効果的なアプ

ローチを考えながら体験型啓発活動を進めています。

多者協働による体験型環境教育プログラムのさらなる展開

花王と味の素(株)、(株)イースクエアが設立した「食と

くらしのサステナブル・ライフスタイル研究会」は、川崎市

と共同で、川崎市の小学5年生とその保護者22組を対象に、

3日間の体験型環境教育プログラム「食とくらしがつくる

地球の未来 みんなでいっしょに考えよう~夏休みチャレン

ジ~」を開催しました。2016年から開始して2019年は4年

目になりました。川崎市の環境施設や花王と味の素の工場

での、見学・体験やワークショップ、約4週間の環境日記等

を通じて、くらしと環境課題とのつながりを考え、ライフ

スタイルを見直していく内容で、子どもとともに保護者の

意識変化もねらいとしています。2019年は、大学生の参画

を強化して、参加小学生、保護者に加えて、大学生の意識向

上も図りました。

また、2018年のプログラム参加者の有志4名が、2019年

2月、川崎市教職員主催の「子どもエネルギー・環境ワーク

ショップin川崎」(2018年度地球温暖化防止活動環境大臣

賞受賞)に特別参加して、本プログラムでの成果を発表し、

先生方からは高い評価をいただきました。

2019年は、プログラムの効果測定にも取り組み、プログ

ラムの拡散を図るため、企業のCSR/CSV担当者向けセミ

ナーや、CC川崎エコ会議、ESD推進ネットワーク全国フォー

ラム等で、積極的に成果の発信も行ないました。

エコプロ2019での啓発活動

花王は、12月5日~7日の3日間、東京ビッグサイトで開

催された「エコプロ2019」に出展しました。2019年は、生

活者に、花王のkireiLifestylePlanを知っていただくため

に、「アタックZEROの開発」と「プラスチック削減の取り

組み」の2つの事例に焦点をしぼり、これらの活動が、地球

のどのような環境課題につながっているのか、花王がどの

花王(台湾)の環境啓発イベント(4月・台北EsliteUndergroundBookStreet)

参加者の記念写真(プログラム2日目・花王川崎工場)

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花王サステナビリティ データブック 2020 80

ように解決しようとしているのかを具体的に、小学生にも

理解できるストーリーにして伝えました。来場者は、テー

マパークのアトラクションのようなブースを楽しく回りな

がら、現在の環境課題を学び、花王の取り組みを知り、さら

に自分にできることを考えて自分ごと化するとともに、花

王のESG戦略であるKireiLifestylePlanへの理解を深め

ました。花王ブースへの来場者は1,500人を超え、来場アン

ケートでは、90% 以上が「楽しかった」「花王のKirei

LifestylePlanを理解できた」と回答しました。

花王エコラボミュージアムでのコミュニケーション活動

花王エコラボミュージアムでは、体験型コンテンツを活

用しながら、生活者をはじめとするあらゆるステークホル

ダーとの直接対話を年間を通じて行なっています。

2019年には、文部科学省・環境省が、持続可能な開発のた

めの教育(ESD)推進のために構築を進めている「ESD推進ネッ

トワーク」の「地域ESD活動推進拠点」として登録されました。

2018年に、花王とフューチャーアース、東京大学国際高

等研究所サステイナビリティ学連携研究機構(現:東京大学

未来ビジョン研究センター)が設立した「未来洗浄研究会」

は、「世界中の人々がサステナブルに清潔に快適に暮らせる

社会」をめざし、事業領域や学問領域の枠を越え、産学公民

社会貢献活動 203-1,413-1当活動は、令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰

を「対策活動実践・普及部門」で受賞しており、和歌山県が

主催する「第18回わかやま環境賞」においても「わかやま環

境大賞」に選定されています。

2019年の年間来場者数は約11,200人でした。

流通や行政との共同イベントを通した環境コミュニケー

ション

花王グループカスタマーマーケティング(株)は、花王製

品の環境価値を消費者に伝え、“いっしょにeco”を推進していくために、「節水・節電・ごみ削減」をテーマに、流通や

行政とともに、さまざまな環境イベントを実施しています。

「花王国際こども環境絵画コンテスト」の入賞作品の展示や、

多彩で楽しい体験型イベントで、消費者の関心を高めてい

ます。2019年は、日本全国約70カ所の会場でイベントを開

催し、来場者は4万人を超えました。また、流通との共同で、

SNSを通じた「きれいをつくるecoスタイル」の情報発信も積極的に行ないました。

未来洗浄研究会 サステナブルなライフスタイルの推進

等のさまざまな知恵を集めて、未来の洗浄について議論や

提案をしています。

2019年12月には、未来洗浄研究会セミナー「サステナブ

ルな洗濯を考える(1)~ライフサイクルアセスメント(LCA)

の視点から~」を開催しました。参加者は、企業、大学・研究

関係者、環境団体や主婦など、約40名でした。洗濯に関す

るLCAについての講演と、所属が偏らないよう配慮したグ

ループでのディスカッションにより、LCAの考え方を取り

込みながら、洗濯の環境課題を自分ごととして捉える議論

が進み、参加者からも好評を得ました。

花王(中国)投資は、中国環境保護部宣伝教育センターと

共催で2012年から「中国清潔・節水全国運動」を実施してい

ます。

中国節水キャンペーン サステナブルなライフスタイルの推進

多くの来場者でにぎわう花王ブース

グループディスカッションの様子

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花王サステナビリティ データブック 2020 81

この活動は、中国国内において「1世帯1年間1万リットル

の節水(中国語表記:一家一年一万升)」をスローガンに節水

を呼びかけるものです。中国では水資源の不足が大きな社

会問題となっており、節水の大切さを喚起したい中国政府

と、節水型衣料用洗剤を販売するなど、中国においても消

費者といっしょにできるエコ活動を推進している花王の思

いが一致し、8年連続の共催となりました。

毎年3月からはじまるキャンペーンでは、各都市で節水

や水資源の大切さを紹介しています。2015年からは活動を

拡大し、中国国内の大学での啓発も推進しています。2019

年は北京、広州、西安、安徽省、浙江省、山東省など24の省・

市の98の大学で啓発活動を実施しました。

また、2015年から中国国内の大学生向けに環境保護コン

テストを実施しています。2019年は、節水・環境保護をテー

マにしたコンテストに全国から145件の提案をいただき、

この中から花王は65件を選択して実施につなげました。大

学生が自ら積極的に提案、実行しており、コンテストを通

して環境意識の向上が見られました。10月には、江西省南

昌市の大学で閉幕式を行ない、入選者を表彰しました。

社会貢献活動 203-1花王社会起業塾

花王は、持続可能なよりよい社会を次世代に引き継ぎた

いと考え、2010年より、社会課題をビジネスの手法で解決

しようとする若手社会起業家の育成を支援する「花王社会

起業塾」を実施しています。

「これからの新しい生活文化をつくる」をテーマに、生活

者に寄り添い、よりよい暮らしに向けた基盤づくりに取り

組む社会起業家を支援しており、約8カ月にわたり、専門家

からのアドバイスを受ける機会や合同研修、人的交流・ネッ

トワークの場を提供し、事業の軸をつくり、成長を加速させ

る支援を行なっています。なお、運営は社会起業塾イニシ

アティブ(認定特定非営利活動法人ETIC.≲エティック≳と複数企業※が連携して社会起業家を育成・支援するプラッ

トフォーム)が行なっています。(これまでに29組を支援)

2019年度は以下の3名を支援しました。

・荒井佑介さん(特定非営利活動法人サンカクシャ代表理

事)

 「孤立する子ども・若者と社会資源のマッチングシステム」

・荏原優子さん

 「地方での機会創出する場としての多世代交流複合拠点

づくり」

・角田真住さん(AlopeciaStyleProjectJapan共同代表)

 「違いを受け止めあえる関係を、髪を失った女性が自ら作

り上げる」

よりよい社会をつくる担い手を育てることに加え、近年

は社会起業家たちと社員の交流活動に注力しています。社

会課題解決に向けた熱い思いや事業戦略の立て方など、さ

まざまな気づきや学びを得る場を開いてきました。

2019年度は、8月28日に初めてNECとの2社合同開催で

「社会起業塾キックオフ研修講演会」を茅場町本社で開催し、

109名が参加しました。11月8日には、「2018年度成果報告

と2019年度塾生の活動紹介&アイデア交換会」を実施し、

遠隔地視聴2名含む45名が参加し、社員と社会起業家が交

流を図りました。

これからも社会や社員にインパクトを与える活動を進め

ていきます。

※2019年度のオフィシャルパートナーはNEC、花王。オフィシャルプログラムパートナーは電通

社員と若手社会起業家とのアイデア交換会

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花王サステナビリティ データブック 2020 82

花王は、“よきモノづくり”の基盤は科学技術から生まれ

る革新的なイノベーションであると考え、よりよい未来に

貢献するために、若い研究者の育成を応援しています。そ

の一環として、全国の高校生・高等専門学校生を対象として

開催される科学技術に関する自由研究コンテスト「高校生

科学技術チャレンジ(JSEC)」(主催:朝日新聞社、テレビ朝日)

に特別協賛しています。毎年優れた作品に、花王賞および

花王特別奨励賞を贈呈しており、賞の選定にあたっては、

花王の研究員が論文の審査から、最終審査会では実際に高

校生のプレゼンテーションを聞いて審査を行ないます。

「JSEC2019」の最終審査会は、2019年12月14日、15日に

日本科学未来館で行なわれ、花王賞として、福島県立福島

高等学校、花王特別奨励賞として熊本県立宇土高等学校、

鳥取県立鳥取西高等学校が受賞しました。JSECの上位入賞

者は、2020年に米国で行なわれる国際学生科学技術フェア

(ISEF)への出場資格が与えられ、花王賞の福島県立福島高

等学校の石川悠さん、横山佳観さんが出場する予定です。

その他、受賞校を花王に招き、施設見学や研究員との交流

を図るスタディツアーを開催して、高校生のキャリア教育

支援にもつなげています。

2019年6月、新たな取り組みとして、(一社)日本ボッチャ

協会のゴールドパートナー契約を締結しました。ボッチャは、

重度脳性麻痺者、もしくは同程度の四肢重度機能障がい者

のために考案されたスポーツで、性別や年齢、障がいの有

無にかかわらず、誰もが楽しむことができます。共生社会

の理解浸透に向け、障がい者スポーツを通じ、社内外に向

けた競技の啓発活動を行ない、競技の普及と振興に努めて

いきます。

2019年は、社内向けの啓発活動として、日本ボッチャ協

会スタッフによる講習会を社内で2回開催し、のべ82名の

社員が参加しました。今後、受講した社員がサポーターと

なり、競技の普及に協力していきます。

社会貢献活動 高校生科学技術チャレンジ(JSEC) 一般社団法人 日本ボッチャ協会に協賛・花王賞:

「プラズマによる気流制御技術を用いた小型風力発電風

車の製作」

 福島県立福島高等学校(石川悠さん、横山佳観さん)

・花王特別奨励賞:

「屈折率の研究3Zゾーンの全容解明と屈折率アプリによ

る糖度の可視化」

 熊本県立宇土高等学校(窪田瑛仁さん、吉野泰生さん、四

海成々実さん)

 「スナヤツメ(Lethnteron.sp)のアンモシーテス幼生に

見られるLipSway行動」

 鳥取県立鳥取西高等学校(松本生成さん、久野伊織さん、

田中宏紀さん)

高校生の研究発表を審査する花王の研究員たち

花王賞の表彰状授与

社内で行なわれたボッチャの講習会

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花王サステナビリティ データブック 2020 83

社会貢献活動 304-3

タイ北部 “FURUSATO” 環境保全プロジェクト  脱炭素

花王・みんなの森づくり活動  脱炭素

タイ北部における急激な森林減少・破壊と、それが引き起

こす水害・煙害等の環境問題の改善をめざし、花王は公益財

団法人オイスカ、オイスカタイランドとの協働で、2012年

から5年間、タイ北部チェンライ県チェンコン郡で、環境保

全プロジェクトを実施しています。2012年からの5年間で、

目標としていた35haに42,500本の植林を完了しました。

活動を通じて、地域の人々の環境保全に対する意識が高

まり、森を適切に管理し、生活の基盤づくりに活かそうと

いう機運が生まれたことから、2019年4月より、第2期の支

援を開始しました。

第1期に植林した地域で作物の栽培を行ない、地域の人々

に栽培に関する知識や技術の取得の機会を提供して、収穫

した作物の販売による収入向上を支援します。また、新た

な地域での植林も実施します。こうした活動を通して、地

域の人々の生活の中で、形成された森林が持続的に維持、

活用されることをめざします。

第2期では、3年で9haの植林を行ないます。また、第1期

で形成した森林のうち約1.6haの土地で、アグロフォレス

トリーとして、タケノコ、しょうが、バナナなどの作物を栽

培します。

緑豊かな環境づくりと、その環境を次世代に引き継ぐこ

とを目的に、公益財団法人都市緑化機構と連携し、環境を

守り育てる人づくりのための助成プログラムを実施してい

ます。全国から森づくりや環境教育などに取り組むNGO/

NPO・市民団体を公募し、毎年20件程度を選定、3年間の継

続助成を行なっています。また、環境保全活動を通じて、現

代の地域社会が抱えるさまざまな課題解決への貢献や、地

域のよりよいコミュニティ形成にも寄与しています。

2019年は、2018年に応募した団体から、17団体を選定

して助成を行ない、6月6日には花王本社にて、助成目録贈

呈式を実施しました。

2000年から2019年までに支援した団体数は累計で479

件となり、これは都道府県が把握する森づくり団体数約

3,000の15%弱に相当します。

よりすこやかな地球のために

花王は、2004年から認定特定非営利活動法人アース

ウォッチ・ジャパンとともに、「花王・教員フェローシップ」

を実施しています。これは小学校・中学校の教員を対象に

したプログラムで、夏休み期間に1~2週間程度、生物多様

性保全に向けた海外の野外調査研究にボランティアとして

参加する機会を提供するものです。参加した教員の方々に、

自らの体験や感動を学校や地域での環境教育の現場で活か

してもらうことを目的としています。また、参加者同士の

ネットワークづくりや科学的な調査技法の習得、異文化交

流、多様性の理解など、プログラムを通じて得た経験を、児

童や生徒、教員同士、地域社会に広く伝えてもらうことを

期待しています。

これまでに85プロジェクトに168名が参加しました。

2019年の実施をもって当プログラムを終了し、後日、プロ

グラムの成果を取りまとめ、広く発信していく予定です。

花王・教員フェローシップ

第1期で植林した木々が成長した森林

支援団体の活動の様子

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花王サステナビリティ データブック 2020 84

社会貢献活動

花王ファミリーコンサート

花王では、事業場周辺地域の皆さまに質の高い音楽に触

れる機会の提供と音楽や芸術を楽しむ心を育んでいただき

たいとの思いから、2002年より、「花王ファミリーコンサー

ト」を開催しています。

このコンサートは、地域貢献と文化支援、社会支援を融

合した花王ならではのプログラムで、企画から当日の会場

整理、会場アナウンス、切符切り等の運営をすべて社員が

行なっています。

2019年は、4月21日に栃木県益子町、5月19日に和歌山

県和歌山市、9月16日に山形県酒田市、11月17日に愛媛県

西条市にて開催しました。

チケット収入は全額、開催地域の音楽教育へ寄付してい

ます。

2002年からの累計で44公演を開催し、のべ来場者数は、

41,327人となっています。

社員の社会参画による創造性の活性

2019年は、社員の環境やサステナビリティに対する意識

を高めるための気づきやきっかけを与える場として、社員

食堂の有効活用を進めました。

茅場町では4月から、食堂喫茶コーナーで提供するコー

ヒーを、フェアトレード認証コーヒーとレインフォレスト

アライアンス認証コーヒーに切り替えました。また10月か

らは、プラスチック製ストローとカップ蓋も廃止。さらに、

マイボトル・マイカップを持参すると価格を下げる取り組

みも始め、マイボトル・マイカップ推進を進めています。

すみだでは、飲料プラ容器の削減に加えて、ガムシロッ

プやミルク、小袋調味料等を、ポットでの提供に変更しま

した。和歌山でも、プラスチック容器の削減や、認証食材の

導入を積極的に進めています。

社員が毎日のように利用する社員食堂でこういった取り

組みを進めることにより、社員一人ひとりが会社の姿勢を

理解し、身近なところから環境意識を高めて、家庭での行

動変容にもつなげることを狙いとし、さらには、環境意識

の向上が、業務にも活かされることを期待しています。

2004年に開始した花王社員による社会的支援を目的と

したクラブ組織です。趣旨に賛同する社員が会員となり、

毎月の給与から1口50円から100口の範囲で任意の金額を

積み立て、NGO/NPO・市民団体への寄付、社員が参加す

るボランティア活動の実施に関わる支援、広域災害発生時

の緊急支援などに役立てています。寄付先や基金の使途の

決定は、会員の代表である15名の運営委員で構成される運

営委員会で決定する仕組みになっています。よりよい社会

づくりをめざし、社会課題解決に取り組む活動へ支援を行

なうとともに、社員に対しては社会参加の機会を提供し、

社会的感度を高めることに寄与しています。

2019年は、運営委員とともに寄付先団体を訪問し、意見

交換の場を設ける等、社員を巻き込んだ活動を実施し、社内

向け広報誌(イントラネット版)「ハートポケット倶楽部新聞」

(年5回発行)で紹介しました。また、栃木事業場にて認定特

定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンの高橋郁氏に

よる講演会を開催する等、社員への情報発信や参加活動を

強化したことにより、運営委員の立候補者数や会員からの

寄付申請が倍増しました。その他、事業場地域の市民活動を

応援する「地域助成」を栃木県、和歌山県、茨城県で実施し、

計15団体へ助成しました。例年実施している「絵本を届ける

運動」「クリスマスカードプロジェクト」「ホワイトリボンラン」

では、計513名の社員がボランティア活動に参加しました。

社員食堂を活用した環境意識啓発 花王ハートポケット倶楽部

栃木県益子町での花王ファミリーコンサート

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花王サステナビリティ データブック 2020 85

今後も引き続き、会員増大と社員の社会参加のためのきっ

かけづくりを行なっていきます。

・会員数3,463名(2019年12月20日現在)

・寄付件数47件/寄付金額7,248,400円 ※緊急災害支援として実施した令和元年東日本台風被害に対する寄付50

万円を含む

・活動レポート4,000部(社内向け活動報告書、年1回発行)

社会貢献活動

芸術文化活動支援

若手芸術家育成支援

優れた芸術文化の発展・継承と人々の豊かな生活文化の

実現に寄与することを目的に芸術文化活動を支援してい

ます。

交響楽団への賛助や音楽・舞台芸術公演、美術展への協賛

を行なうなど、あらゆる世代の人々に芸術に親しんでいた

だき、次世代に優れた芸術文化活動が継承されるよう、積

極的に支援を行なっています。

2019年は、NHK交響楽団、東京交響楽団、東京フィル

ハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団への

賛助を行ない、NHK交響楽団ベートーヴェン「第九」公演

と新国立劇場2018/2019シーズン特別支援企業グループ

協賛を行ないました。また、美術分野においては、読売新聞

社主催の「日本・オーストリア外交樹立150周年記念

ウィーン・モダンクリムト、シーレ世紀末への道」(東京と

大阪で開催)への協賛を行ないました。

豊かな生活文化の実現に貢献するために、次世代を担う

芸術家育成の活動を支援しています。

2003年からは、東京音楽コンクール(共催:東京文化会館・

読売新聞社・東京都)を主催し、日本の音楽界の次世代を担

う人材の発掘・育成の活動を支援しています。本各部門優

メセナ支援 勝者がオーケストラと共演する優勝者コンサートを開催す

るほか、入賞者には、単独公演の開催を含め、公演機会の提

供など、東京文化会館が5年間バックアップを行なってい

ます。

また、2013年からは、熊川哲也氏を総監督とするジュニ

ア・カンパニーK-BALLETYOUTHの公演に特別協賛して

います。K-BALLETYOUTHでは、次世代の才能あるダン

サーの発掘とプロフェッショナル・カンパニーと遜色のな

い環境での実践の場を提供し、次世代の芸術家育成に取り

組む活動をしています。

2019年は、「第17回東京音楽コンクール」を開催し、ピア

ノ・金管・声楽の3部門において、402人の応募者の中から

14人の入賞者が決定しました。

K-BALLETYOUTHでは、8月に第4回記念公演「くるみ

割り人形」が開催され、特別協賛を行ないました。2018年9

月のオーディションで選ばれた80人のダンサーが、約1年

間のリハーサルを経て、公演に出演しました。寄付先団体による講演会にはたくさんの社員が来場

第17回東京音楽コンクールピアノ部門表彰式 写真:堀田力丸/写真提供:東京文化会館花王ハートポケット倶楽部新聞に運営委員のレポートを掲載

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花王サステナビリティ データブック 2020 86

社会貢献活動

公益財団法人 花王芸術・科学財団花王芸術・科学財団は、豊かな生活を営んでいく上で必要

不可欠な芸術文化と科学技術の振興および発展向上とともに、

文理融合領域の研究発展にも寄与することをめざす、芸術と

科学の支援を併せ持つユニークな財団です。

1990年に、花王株式会社の創立100周年を記念した拠出を

受け、花王芸術文化財団として設立され、美術・音楽分野への

助成事業を行なってきました。1997年からは、名称を花王芸

術・科学財団に改称して、科学技術分野の研究や文理融合分

野の研究支援を新たに加え、「助成事業」「顕彰事業」「関連事

業(文理融合の研究支援)」の3つの事業を柱に活動をしてい

ます。

助成事業では、美術展覧会や音楽公演等の活動助成、美術

や音楽の学術的な研究への助成を、科学技術部門では大学院

修士課程の学生に対する奨学金支援や、化学・物理学、医学・

生物学の分野で独創的、先導的な研究を行なう若い研究者に

対し「花王科学奨励賞」という名の助成を行なっています。

顕彰事業では、化学・物理学、医学・生物学の基礎・基盤研究

において独自の成果をあげた研究者に「花王科学賞」を贈り、

称えています。

また、関連事業として、芸術文化と科学技術の融合をめざ

す研究を支援する文理融合シンポジウムを開催しています。

2019年は、助成事業として103件、顕彰事業として2名の

研究者を顕彰し、総額7,920万円の拠出を行ないました。

花王科学賞の表彰状授与 花王科学賞受賞者による記念講演

公益財団法人 花王芸術・科学財団

助成事業 顕彰事業 その他の関連事業

芸術文化部門 科学技術部門

文理融合

シンポジウム等

表面の科学

医学・生物学分野

花王科学賞

化学・物理学分野

花王科学賞

表面の科学

医学・生物学分野

花王科学奨励賞

化学・物理学分野

花王科学奨励賞

特別

奨学支援

花王佑啓奨学金

音楽分野美術分野

音楽の研究

音楽公演

美術の研究

(出版助成)

美術展覧会

事業組織図

※2019年12月現在

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花王サステナビリティ データブック 2020 87

社会貢献活動

東日本大震災への取り組み

みちのく復興事業パートナーズ

既存の社会貢献のプログラムや花王のリソースを活かし

ながら、NGO/NPO、企業、多様な組織と連携し、東北の

生活者に寄り添い、現地のニーズや課題に沿った活動を実

施しています。

現在は「心のケア」と「自立的復興」の2つの柱に取り組ん

でいます。「心のケア」では、スマイルとうほくプロジェク

トに2012年から協賛し、仮設住宅や災害公営住宅訪問を通

じた交流や新しい暮らしを応援する取り組みを実施してい

ます。「自立的復興」では、東北の復興に向け、中心となって

活躍している復興リーダーの支援や社員ボランティアの活

動を通じて、産業の復興やコミュニティづくりを支える活

動を行なっています。

花王社員による2019年の活動は以下の通りです。

・「東北と『食』でつながろう!」をテーマに、3月11日~13

日、全国事業場11カ所の食堂で、東北の食材を使用した

郷土料理を提供。同時期に、復興支援活動のパネルを展示

(全国事業場11カ所およびKCMK東北支社)

・宮城県南三陸町ボランティア&スタディツアーを11月30

日~12月1日に実施、社員18名が参加

・スマイルとうほくプロジェクト(主催:岩手日報、河北新報、

福島民報)に継続して協賛

「自立的復興」の大きな活動の一つとして、2012年6月よ

り、「みちのく復興事業パートナーズ」に参画しています。

被災地で事業に取り組み東北を支えていく次世代の復興

リーダーを支援する企業コンソーシアムとして、認定特定

非営利活動法人ETIC.(エティック)によって設立されたも

ので、現在、企業4社※が参画しています。将来東北の中心と

なることが期待される事業団体を育成支援する研修をはじ

め、自立的復興に向けた共創を行なっています。

2019年は3月5日に7回目となるシンポジウムを開催し、

「東北から、パラダイムシフト」をテーマとして東北の現状

や未来について広く情報発信を行ない、152人が来場しま

した。また、東北の事業団体へ向けた共創の場づくりの一

環として、2020年1月17日~18日、宮城県仙台市において

「みちのく共創キャンプ2020」を実施し、69人が参加しま

した。これからも継続して活動していきます。

※参画企業は株式会社ジェー・シー・ビー、株式会社電通、株式会社ベネッセコーポレーション、花王株式会社(2019年5月現在)

災害支援 ・復興支援、震災の記憶を未来に残していくことを目的と

した自転車イベント「TOURdeTOHOKU2019」に協賛

し、花王社員がボランティア・ライダーとして参加したほ

か、特製フォトブースを設営したり、メッセージ入り商品

をプレゼントし地域を応援。社員のべ22名が参加

・岩手県釜石市が中心となり世界へ復興支援への感謝を伝

える活動「ThankYouFromKAMAISHI」を支援。三陸

鉄道鵜住居駅開業やラグビーワールドカップ2019釜石鵜

住居復興スタジアム開催などのイベントをさまざまな形

でサポート。イベント支援、スタジアム清掃などで社員の

べ49名が参加

・被災地各地でのフラワーアートの制作や農業体験などの

プロジェクトを通じて東北のいまの思いに寄り添う活動

をサポートし、花植え、種まき、収穫祭などに社員のべ47

名が参加

台風で被害を受けた菊畑の復旧作業(南三陸町でのボランティア) 第7回みちのく復興事業シンポジウム

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花王サステナビリティ データブック 2020 88

社会貢献活動 東日本グリーン復興モニタリングプロジェクト

その他の災害支援

東日本大震災で津波の被害を受けた地域の生態系の変化

を調べるため、東北大学の教授を中心として、市民や学生、

複数の企業から集まったボランティアたちがチームとなっ

てモニタリング調査を行なっています。被災前のデータと

比較することで、津波がどれだけの影響を及ぼしたか、ま

たその後の生態系がどのように回復しているかを記録して

います。この調査で得られたデータは、被災地域の生態系

や希少種の保全、環境に配慮した復興計画のために役立て

られます。2013年から社員がボランティアとして参加して

おり、2019年は10人の花王社員が参加。これまでに累計

68人が参加しました。

参加者からは「津波前からの過去データと比較して環境

変化や問題点がわかり、継続した干潟調査の必要性を知る

ことができた」「震災の経験と復興の進捗を見ておられる方

の視点を共有できたことも自分自身の財産となった」など

の感想が寄せられました。

今後、2020年まで、社員を派遣する予定です。

(主催:認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパン)

大規模災害発生時の被災地支援として、義援金と支援金

の拠出を行なうとともに、行政や業界団体と連携して、被

災者への物資支援を速やかに行ないます。

また、近年の災害多発に伴い、最も必要なタイミングで

被災者支援活動に活用できるよう、社会福祉法人中央共同

募金会「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」への支

援金の拠出を決定しました。

2019年の実績

義援金・支援金

・令和元年東日本台風

日本赤十字社を通じて花王より義援金として2,000万円と、

花王社員の寄付組織「花王ハートポケット倶楽部」より、ボ

ランティア活動資金として社会福祉法人中央共同募金会

に50万円の寄付を行ないました。

物資支援

・令和元年房総半島台風

花王より千葉県富津市へ約10万円相当の物資支援を行な

いました。

・令和元年東日本台風

花王より福島県、長野県、岩手県、宮城県、栃木県、千葉県へ

約900万円相当の物資支援を行ないました。

・タイウボンラチャタニ県洪水

花王タイより、約10万円相当の物資支援を行ないました。

・インドネシアパプア州センタニ洪水

花王インドネシアより、約6万円相当の物資支援を行ない

ました。

・インドネシアマルク州アンボン地震

花王インドネシアより、約4万円相当の物資支援を行ない

ました。

・アフリカ南部干ばつ

花王南アフリカより、農民救済のため約2万円相当の物資

支援を行ないました。

基盤整備活動支援金

・災害ボランティア・NPO活動サポート募金への寄付

花王より社会福祉法人中央共同募金会「災害ボランティア・

NPO活動サポート募金」へ500万円の寄付を行ないました。

採取した生物の同定調査