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はじめに:外国人労働者受入れ第1章 少子高齢化に直面する日本  1.人口の推移   ⑴ 人口減少

  ⑵ 労働力減少  ⑶ 高齢化の急上昇 2.人口減少が経済・社会に及ぼす影響

   ⑴ 経済成長への影響   ⑵ 財政・年金制度の危機   ⑶ 経済社会システムの脆弱化第2章 日本における外国人受入れ政策の現状  1.日本での外国人労働者の受入、政策の推移   ⑴ 1950 〜1990 年の外国人労働者の受入れ   ⑵ 外国人労働者に対する近年の議論  2.日本で就労する外国人の現状   ⑴ 日本で就労する外国人の国籍及び在留資格の割合   ⑵ 外国人労働者数についての把握第3章 外国人労働者政策の今後  1.高度人材受入れの経済影響   ⑴ 経済波及効果(生産影響・付加価値影響)   ⑵ 雇用効果  2.高度人材受入れの財政影響   ⑴ 財政収入   ⑵ 財政支出   ⑶ 財政収入と財政支出の比較第4章 議論:外国人労働者を受入れるべきか  1.外国人労働者問題への対応  2.外国人労働者を受入れる際の留意点第5章 諸外国における外国人労働者の受入れ  1.欧州   ⑴ ドイツ   ⑵ イギリス  2.アジア   ⑴ 台湾   ⑵ 韓国   ⑶ シンガポール第6章 政策提言  1.外国人労働者の社会的便益・費用  2.国内の外国人労働者を育てる

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はじめに: 日本をとりまく国内外の環境は大きく変化し、そのなかで、日本の活力ある経済を維持・形成するには解決すべき課題は多い。経済のグローバル化が進み、国境を越えた商品や資本などの「モノの移動」にとどまらず、「人の移動」も劇的に進行している。この動向は今後一層盛んになることは明らかであり、日本にもこの流れは確実に押し寄せている。国際的な競争が激化する市場環境のなかで、日本経済の高度化をはかり、競争力を強化することが求められている。  しかし、国内に目を向けると、人口減少と少子高齢化を背景にして、労働力人口が本格的に減少する時代に突入し、財政や年金制度の維持可能性の喪失、経済社会システムの脆弱化などの経済的、社会的問題へと発展する事態が推測できる。 このような変化の中で、日本が活力ある経済を維持・形成していくためには、あらゆる方策を検討する必要がある。経済を荷うのは人であるため、今後日本の企業にとって、必要な人材をいかに確保するかが、最大のキーポイントとなることは間違いない。そこで、本稿では、人口減少の緩和政策の一つとして、考えられる外国人労働者の受け入れを検討する。

序章では、なぜ今「外国人労働者政策の受入れ」に着目し、その必要性について記述していく。第1章「少子高齢化に直面する日本」では、人口の推移、人口の減少が観点から、経済と社会にどんな影響があるのかを記述する。第2章「日本における外国人受入れ政策の現状」では、外国人労働者の受入れ政策の推移や日本で就労する外国人労働者の割合や産業について述べる。や現状について細かく分析し、それに伴って発生している問題についてとりあげる。第3章「外国人労働者政策の今後」では、近い未来、日本が行おうとしている政策について調べ、外国人労働者がもたらす経済、財政影響を提示する。第4章「諸外国における外国人労働者の受入れ」では、アジアと欧州の数カ国を事例にし、それらの国の過去と現在の政策を考察し、参考にするべき点と課題をみつけていく。第5章「日本が実施すべき外国人労働者政策」では、上記の点から学んだ様々な要素を配慮しなが、日本が実施するべき政策を提案していく。

第1章 少子高齢化に直面する日本 この章では小子高齢化及び、人口減少がもたらす、経済的・社会的問題等を分析し記述する。1.人口の推移⑴ 人口の減少 日本では、人口減少がついに現実のものとなる。総人口は、2005 年に戦後初めて前年を下回った。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来人口推計」(2006年12 月中位推計) では、今後50 年間に総人口は、現在よりも30% 近く減少し、8,993 万人(2055年) になると見込まれている。1

1 「人口減少に対応した経済社会のあり方」2008年 10 月 14日(社)日本経済団体連合会

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図 1  総人口の推移

⑵ 労働力減少 総人口の減少以上に、日本の経済社会に深刻な影響を与えると考えられるのは、生産年齢人口(15 〜64歳人口) の縮小である。生産年齢人口はすでに1995 年にピークをつけている。今後50 年間に年平均で1.2% 程度のペースで減少し続け、2055 年には4,595 万人と、現在の半分の水準になると見込まれている。2

図 2 労働力人口の推移

⑶ 高齢化の急上昇 日本での高齢化の状況をみると、2005 年時点で平均年齢は43.3 歳、65 歳以上の高齢者人口2 は2,576 万人であり、総人口に占める高齢者人口の割合は20.2% となっている。これは、高齢者 1 人を現役世代3.3 人で支えるという状況である。今後、人口に占める高齢者の割合は上昇を続ける一方で、少子化により生産年齢人口の割合は大きく低下していく。2055 年には、日本の平均年齢は55.0 歳と現在よりも10 歳以上高まる。また高齢者人口は1.4 倍の3,646 万人となり、総人口に占める割合は40.5% という、超高齢社会を迎えることとなる。その結果、高齢者1 人に対して、支え手である労働年齢人口はわずか1.3人という極めて厳しい状況となる。3

2 「人口減少に対応した経済社会のあり方」2008年 10 月 14日(社)日本経済団体連合会3 「人口減少に対応した経済社会のあり方」2008年 10 月 14日(社)日本経済団体連合会

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図 3  高齢者人口の推移と生産年齢人口との比較

2.人口減少が経済・社会に及ぼす影響 急速な人口減少、高齢化は、マクロ的な視点からは、労働力の減少を通じた経済成長への影響に加え、国・地方の財政や年金制度、あるいは、国民生活を支える経済社会システム全体に対し、広範かつ深刻な影響を及ぼすと考えられる。具体的には以下の3 つがあげられる。

⑴ 経済成長への影響 一国の中長期的なマクロ経済の水準は、主として、その経済がする労働力、資本ストック、技術革新等の全要素生産性によって左右されると言われます。日本は、今後、生産年齢人口の急速な減少が見込まれる中、労働力の減少は不可避と考えられる。しかし、若年者、女性、高齢者等国民各層の労働市場参加率によっては、その影響は大きく異なってくる。例えば、厚生労働省の試算では、今後、国民各層において労働市場への参加が進まず、2006 年実績と同水準で労働力率4 が推移した場合には、今後25 年程度で、労働力人口は約1,073 万人減少することとなる。一方、仕事と生活の調和を進め、若年者、女性、高齢者の雇用機会が高まれば、その減少幅は約480 万人に半減すると見込まれている。しかし、2055 年時点で、2030 年と同水準の労働市場への参加率を維持できたとしても、労働力人口はさらに約1,820 万人減少し、その規模は現在の3 分の2 程度まで縮小してしまう。このような労働力人口の縮小は、経済成長に影響し続けると考えられる5 。

図 4 労働力人口の将来推計

⑵ 財政・年金制度の危機

4労働力率=労働力人口/生産年齢人口5「平成 20年度経済財政白書」(内閣府)では、人口減少の効果だけを取り出した場合、2030年頃には、日本の潜在GDP成長率を 0.5%程度押し下げる可能性があると試算

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 国・地方を合わせた長期債務残高(24 年度の国債発行計画によると、国と地方の長期債務残高は約960兆円6 )、公的年金給付は、高齢化が進むにつれ、支え手である人々の数は急速に減少(2050 年には、国民の4 割が高齢者、高齢1 人を1.2 人で支える7 )、その持続可能性が問われる状況となっている。高齢化が本格化し、支え手が大幅に減少していく中において、債務は名目額で固定されていることから、国民一人当たり、また就業者一人当たりの債務負担額はますます重くなっていく。

⑶ 経済者社会システムの脆弱化 医療・介護、教育、治安・防災、エネルギー・水道、清掃、道路・交通等といった日々の国民生活を支える経済社会システムを維持するためには、相応の人手や労力が不可欠である。人口減少は、このような経済社会システムにも多大な影響を及ぼす。国民生活の安心を直接支える医療や介護サービスへの需要は、高齢化の進展に伴い、大幅に増加することが予想される。

第2章 日本における外国人受入れ政策の過去と現状 現状分析では、日本の人口減少と世界で類を見ない高齢化の急速な進展という、これまでに経験したことのない事態が到来することが分かった。また、経済社会の活力低下や社会保障制度の持続可能性への危機も確認することができた。今後、持続的な経済成長を実現し、また、安心・安全で活力ある経済社会システムを維持していくためには、女性、若年者、高齢者を含む国民各層の労働力率のさらなる引上げ等の対策がまずもって求められる。しかし、冒頭で述べた様に、人口減少に対する日本の取り組みを「外国人労働者の受入」という視点から、分析を行い、取り組むべきことを提案していきたい。 この章では、日本がこれまでに(今後)外国人を受入れてきた沿革や政策について記述する。また、国内に就労する外国人の現状についても分析する。

1.日本での外国人労働者の受入、政策の推移⑴ 1950 〜1990 年の外国人労働者の受入れ 日本での外国人労働者受入の歴史は、今から約60 年前までさかのぼることができる。1950 年、外務省に入国管理庁が設置され、1951 年、「出入国管理令8 」の公布、1952 年には外国人登録法が公布・施行された。当時の外国人労働者受入政策は、在日韓国人・朝鮮人、在日中国人への対応が中心だった。1960年代半ばになると、人手不足を背景に産業界から「単純労働者9 」の受け入れが要請された。これに対して、「第一次雇用対策基本計画10 」(1967年) では外国人労働者を受け入れないことが口頭了解された。この方針が「第二次雇用対策基本計画」(1973年) 、「第三次雇用対策基本計画」(1976年) においても実行された。下の図は各産業の就業者数の推移をしめしていて、戦後には製造業やサービス業の労働市場が高く、言語を必要としない単純労働のため、多くの外国人労働者が流入した。

6 財務所「我が国の財政事情」2012年 5 月 10日7「社会保障・税一体改革大綱について」2012年 2 月 17日

8日本に出入国するすべての人の公正な管理を行うことを目的とした政令。1951年公布。1982年日本が「難民の地位に関する条約」「難民の地位に関する議定書」を締結したのに伴い、「出入国管理及び難民認定法(通称、入国管理法)」に改正・改称。9

特別な技能や経験を必要としない、だれでもできる簡単な作業をする労働者。10目的は、国が、雇用に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進すること。ま

た、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、国民経済の均衡ある発展・完全雇用の達成に資すること。

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図 5

 1970 年代後半には、インドシナ難民、東南アジアからの女性外国人労働者、中国帰国の二世・三世、欧米から商用目的で来日する外国人が増加した。さらに、1985 年のプラザ合意11 以降、円高が進行し、東南アジアを中心に日本企業の海外進出が相次いだ。その反動で日本国内では「産業の空洞化」が話題となった。ちょうどそのころ、就労目的で南米から日系人やアジア諸国から外国人労働者が増加した。このような外国人労働者の増加を受けて、「第六次雇用対策基本計画」(1988年) では外国人労働者が「専門的・技術的労働者」と「単純労働者」とに分けられた。このうち、専門的・技術的労働者は可能な限り受け入れるが、単純労働者については、慎重に対応する方針が示された。この方針に沿って1989 年に「出入国管理及び難民認定法」が改正され、1990 年に施行された。 1993 年4 月1 日から、先進国としての日本が発展途上国展途上国へ技能または知識の移転を図り、経済発展を担う人づくりに協力する研修制度が実施された。発展途上国などから来日する外国人が、技術・技能などの実践的錬成に相当の期間を要する職種について、一定期間の研修を受ける。その後、技能について所定の評価を得た者は、研修を受けた機関( 企業など) と同一の機関で雇用関係の下での実習( 在留資格「特定活動」) を認められ、日本人と同等の待遇を受けつつ、帰国後は本人の就業及び母国の経済社会の発展に役立つ技能を修得することを目指す。滞在期間は研修期間を合わせて3 年以内に限定。12 (桑原靖夫 獨協大学教授) 外国人を受け入れて技術研修を行うというニーズが発生したのは、日本の経済が国際化し、多くの企業が海外に進出するようになった昭和40 年代頃からである。海外進出した日系企業が、現地法人や取引関係にある企業の社員を日本に呼び、関連する技術・技能・知識を我が国の会社の中で修得させた後、その社員が現地の会社に戻り、修得した技術等を活かして活躍することを期待して行ったものが始まりであるとされている。13

 このような形態により、外国人研修生の受入れの実績を積み重ねる中、産業界における受入れ要請に応え、また適正な外国人研修生の受入れを図るため、1990 年には「研修」の在留資格制度が認められた。第三次臨時行政改革推進審議会第二次答申を受け、1993 年には「外国人技能実習制度」が設けられ、日本の外国人の在留資格制度が整備された。 近年、この制度を悪用して外国人を不正に働かせるケースが増えている。国際協力や国際貢献という美名で、実際には単純反復作業が中心で、単純労働者、安価な労働力の受入手段となり、人権問題に発展する問題が多数あった。研修生は、労働者に該当しないため、労働法の適用外となり、研修生に過酷な長時間労働を強制させたり、法定の最低賃金以下で技能実習生を働かせるケースが散見され、制度の改革が迫られた。このような状況をふまえ、連合として入管法の快晴を求める取り組みを展開し、連合の要求がほぼ実現する

11 ドル高の是正を目的としてG5で会議が開催された名称。12 kotobank.jp/word 外国人研修・技能実習制度13衆議院調査局法務調査室「外国人研修・技能実習制度の現状と課題」平成 20年 1 月 p.33

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内容で、2010 年7月に出入国管理及び難民認定法(入管法)が快晴され、外国人研修・技能実習制度について改正が加われた。しかし、法改正後もいぜんとして違反事例が多く、状況はほとんど変化がない。労働新聞によると、監督実施54 事業場の内78 %にあたる42 件の労働時間違反、賃金支払違反、割増賃金違反などがあった。

表 1  「外国人研修・技能実習制度」を巡る各案の立場14

⑵ 外国人労働者に対 する近年の議論

 バブル崩壊と「失われた10 年」という日本経済の低迷により、外国人問題も当面の政策課題から後退したが、平成11 年2 月、経済戦略会議の答申「日本経済再生への戦略」15 で、装いを改めて再登場した。それには「少子化への対応」として、「女性や高齢者の雇用を促進する他、外国人労働者の受け入れを拡充するために、技能実習制度の在留期間の延長等、必要な法制度を見直す」一方、「外国人移民の受け入れ拡充と国籍法のあり方について検討する」とされた。 平成11 年の7 月、経済審議会は第9 次雇用対策基本計画が策定され、翌年には第2 次出入国管理基本計画が策定された。同基本計画では、「これからの出入国管理行政は、社会の安全と秩序を維持しながら、人権尊重の理念の下で、社会のニーズに応える外国人の受け入れを推進することにより、社会のあるべき姿の実現に貢献し、また日本人と外国人が心地よく共生する社会の実現を目指して行くものである」と述べられていた。なお、平成17 年に策定された第三次出入国管理基本計画の中では、「現在では、専門的、技術的分野に該当するとは評価されていない分野における外国人労働者の受け入れについて着実に検討していく」と述べられている。一方で、厚生労働省は外国人雇用問題研究会を設置し、平成14 年7 月にその報告書16

を公表した。同報告書では、外国人を受け入れる目的として、経済社会の活性化を目指した高度人材の獲得と労働力不足への対応という整理の仕方がなされ、国内労働市場への影響等への対処を前提とした上で、①労働市場テスト、②受入れ上限の設定、③金銭的負担等を課す受入れ、④協定方式等による受入れ、が提唱される一方、人口減少対策として、いわゆる「移民」の受入れについても併せて検討するとされた。さらに、平成16 年7 月には、外国人労働者の雇用管理のあり方に関する研究会が、日本の外国人労働者の雇用管理の現状と課題についての報告書を取りまとめて公表した17 。同報告では、平成元年の出入国管理及び法難民認定法改正以降、日系人、留学生アルバイト、技能実習生等の就労外国人の数が増えた現実を踏まえ、外国人労働者の雇用管理に係る課題を、労働関係法令に関する事業主の認識不足、主に日系人を対象とする業務請負や労働者派遣において、外国人労働者を適正に雇用管理すること、短期間で入離職を繰返す外国人側の様々な問題点、一部外国人の社会保険未加入問題に整理した。また外国人労働者の適正な管理のための支援策としては、①入管法上の在留資格、外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針、請負・労働者派遣における企業責任、制度の本旨に沿った技能実習制度の運営、行政の外国人雇用サービスのなどの周知徹底、②外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針の改正、③外国人雇用管理アドバイザー制度の活用など事業主への雇用管理手法の提供、④情報提供等外国人労働者への支援を挙げた。平成17 年になると、外国人問題

14日本経済新聞 2007年 6 月 30日朝刊「岐路に立つ外国人研修制度」

15「外国人政策の変遷と各種提言」清水隆雄、2005年

16「外国人政策の変遷と各種提言」清水隆雄、2005年

17 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/07/h0720-1.html

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は規制改革・民間開放推進会議でも取り上げられようになる。 これを踏まえて、平成18 年、同年9 月に開催された厚生労働省の第23 回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会には、「雇用対策法等の見直しに係る検討課題について」18 という資料が示された。その中では、単純労働者は受け入れないという基本方針を堅持しつつも、技能実習生や日系人等が我が国労働市場で無視できなくなりつつある現状から、外国人労働者の雇用管理のあり方を定めるとともに、上記の閣議決定を踏まえ、外国人雇用状況報告の内容の拡充と義務化を考える、とされた。さらに、同年12 月の同部会では「人口減少下における雇用対策について」19 が示され、外国人労働者の適正な雇用管理の推進等が挙げられ、外国人雇用状況報告が義務化された。

 2.日本で就労する外国人の現状⑴ 国内で就労する外国人の国籍及び在留資格の割合 日本で就労している外国人の総数とカテゴリーをみると、2011 年現在で約68.6 万人が働いている。それらは4つのグループに分けることができる。1つ目は就労目的の滞在が認められている人が約12.1 万人(基本的に専門的・技術的分野で働く人々)。2 つ目が、身分に基づいて在留している人が約32 万人(就労に関する制限が無く、定住者、永住者、日系人、日本人と結婚されている人々)。3 つ目が、特定活動等という、特に認められて就労している人々で約13.6 万人(技能実習、二国間の協定で受入れている看護師や介護福祉士候補者)。4 つ目の資格外活動が約11 万人(留学生の資格で在留し、例外的に1 週間28 時間の限度でアルバイトをする人々)。

図 6 国籍別外国人労働者の割合2011 年20   図7 在留資格別外国人労働者の割合2011 年21

 国籍別・在留資格別にみると、中国については、「技能実習」が33.8% 、「資格外活動( 留学) 」が 23.8% 、「身分に基づく在留資格」が19.6% となっている。ブラジル及びペルーについては「身分に基づく在留資格」がそれぞれ99.4% 、99.2% を占めている。なお、「永住者」については、ブラジル国籍者の40.1% 、ペルー国籍者の55.0% を占めている。中国と比べてブラジルやペルーは1990 年の難民法改正により、身分に基づく在留資格者が多く流入した。

⑵ 外国人労働者数についての把握 外国人労働者は年々増加傾向にある。厚生労働省職業安定局の推計(2008.5 )によれば、2006 年の外国人労働者数は合法的就労者数が約75.5 万人、多数が不法就労を行っていると考えられる不法残留者数約

18 「人口減少下における雇用対策について」http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1208-15a.pdf 19 「人口減少下における雇用対策について」http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1208-15a.pdf 20 厚生労働省「外国人雇用状況報告」2011年 6 月21 厚生労働省「外国人雇用状況報告」2011年 6 月

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17 万人を加えると92.5 万人である。この推計では10 年前の1996 年には合法的就労者数が約37 万人、不法残留者数が約28 万人と合わせて外国人労働者数は約65 万人だったとされている。22 厚生労働省の外国人雇用状況によると2011 年10 月末の外国人労働者数は68.6 万人と前年同期比(平成22 年10 月末)5.6 %増となっている。2011 年は東日本大震災後、減少したが、その後、自動車産業の増産などで労働者数が回復したと見られる。

図 8  外国人労働者数の推移

 産業別に、労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者の傾向をみると、「製造業」では、同産業の外国人労働者全体の24.9% にあたる66,143 人、労働者派遣業を含む「サービス業」では、同73.8% にあたる66,025 人。「製造業」の中でも、「電気機械器具製造業」と「輸送用機械器具製造業」において労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者の割合が高く、それぞれ 44.7%  (9,972 人) 、39.5%(22,225人) となっている。

22 厚生労働省「外国人雇用状況報告」2011年 6 月に基づいて作成。

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図 9  産業別外国人労働者数23      図 10 労働者派遣・請負事業所を行う                     事業所に就労の外国人労働者の産業別状況

  

     図11 産業別外国人労働者数(1996 年)在留資格別・産業別にみると、「専門的・技術的分野の在留資格」については、「情報通信業」が17.3% 、「教育、学習支援業」が16.1% 「製造業」が15.8% 。「技能実習」については、「製造業」が73.8% 。「身分に基づく在留資格」については、「製造業」が 43.9% 、「サービス業( 他に分類されないもの) 」が21.7% となっている。 国籍別・産業別にみると、ブラジル、ペルー、フィリピン、中国については「製造業」がそれぞれ56.7% 、52.6% 、47.5% 、36.8% と最も高い割合を占める。G8 等4 については、「教育、学習支援業」が5.4% と最も高い割合を占めている。国籍別に派遣・請負の構成比をみると、ブラジルとペルーで 派遣・請負の構成比が高く、それぞれ58.9% 、49.6% と労働者の多数を占めている。24

 下の図は1994 〜2006 年まで、生産工程作業員の雇用者が増加したことを現している。これは、日系人の増加と派遣労働者の増加と比例している。つまり、多くの外国人労働者(主に日系人)は長年、単純労働(生産工程作業)で就労していることを示している。

23 厚生労働省「外国人雇用状況報告」2011年 6 月24 厚生労働省「」2011年 6 月

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図 11  外国人雇用者数の推移(職業別)

第3章 外国人労働者政策の今後 日本経済団体連合会は「少子高齢化、人口減少、持続的な経済成長を確保していくために、移民先進国である米国を強く意識しながら、移民政策ならびに関連する制度の改善・見直しに努めている」 としている。また、欧州先進諸国の例も参考にしつつ、高度人材に加え一定の資格や技能を有する人材を中心とする幅広い層の労働者を受入れ、さらにはその定住化を図っていくという観点から、関係省庁が一体となって施策に取り組む体制を整えるとともに、関連分野の法制面の整備などを含めた、総合的な「日本型移民政策」を本格的に検討していく必要があるとしている25 。 2010 年6 月に閣議決定された新成長戦略や規制・制度改革に係る対処方針の中では、高度人材26 の受入れの促進が重要施策として位置づけられている。また、産業構造審議会産業競争力部会報告書「産業構造ビジョン2010 」においても、高度人材の必要性を述べ、さらに高度人材受入れ促進のための一方策として、高度人材の在留の安定化を図るための優遇措置や入国の円滑化のための措置を速やかに組み立てることが重要であると指摘している。27

表2  2020 年における高度人材の産業別、年齢別分布の想定

 

日本は2020 年までに、高度人材に関しては2 倍、質の高い外国人学生は1.5 倍の学生を受入れることを目指している(2009 年実績)。これらから、政府、政党、経済界、労働界が外国人の受入に対して、肯定的立場を示していること読み取ってとれる。 しかし、それらの労働者を受入れることで、日本の経済や財政にどのような効果を及ぼすのか、ないし外

25 日本経済団体連合会「人口減少に対応した経済社会のあり方」2008年 10 月 14日(社) 26「経済財政改革の基本方針 2008」では、「高度人材」に関して、専門的、技術的分野の在留資格(就労が可能な在留資格のうち、教授、芸術、宗教、報道、投資・

経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、投資・経営、企業内転勤、技能) を例示している。27 株式会社日本総合研究所「高度人材受入れの経済的効果及び外国人の社会生活環境に関する調査」2011年2月

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国人にとって魅力的な社会生活環境はどういったものかを理解する必要がある。その疑問を解くべく、経済産業省は日本総合研究所に、高度人材受入れの経済的効果及び外国人の社会生活環境に関する調査を委託した。その報告書によると高度人材が与える影響について以下のことが分かった。1.高度人材受入れの経済影響28

⑴ 経済波及効果( 生産影響・付加価値影響)・ 現状の「高度人材」の生産活動による経済効果は、生産額で「7.2 兆円から9.5 兆円」、付加価値

額では「3.7 兆円から4.9 兆円」と推計された。・ これは日本全国の生産額及び付加価値額の「約0.7% 〜1.0% 」となり、「高度人材」の人数( 全

従業者の「0.3% 」) からすれば、高い経済効果となっている。・ 将来「高度人材」の受入れを拡大した場合には、全国の付加価値額の「約1.5% 〜1.9% 」程度の

経済効果が想定される。表3 「高度人材」による生産影響額・付加価値影響額(2020 年)

⑵ 雇用効果・ 現状の「高度人材」の生産活動による雇用影響人数は、「約20 万人から27 万人」と推計された。

今後10 年間に「高度人材の受入れを現状の2 倍」とした場合、現状から「約20 万人から最大約27 万人」の雇用創出効果があるものと想定される。

2.高度人材受入れの財政影響29

 ⑴ 財政収入・ 現状の「高度人材」の受入れによる財政収入の増加効果は、税収額が「1,297億円から 1,992億円」、社会保険料収入額が「2,687億円から3,457億円」と推計された。

・ 将来「高度人材」の受入れを拡大した場合には、「高度人材」の人口増加率と同様に財政収入の増加効果も倍増することになると想定される。

 ⑵ 財政支出・ 現状の「高度人材」の受入れによる行政コストは、「1,536億円」と推計された。・ 将来「高度人材」の受入れを拡大した場合には、「高度人材」の人口増加率と同様に、行政コスト

も倍増することになると想定される。 ⑶ 財政収入と財政支出の比較

・ 現状の「高度人材」の受入れによる財政収入の増分は「2,724億円」、財政支出の増分は「1,536億円」となり、「1,188億円」のプラスと推計された。

・ また、将来「高度人材」の受入れを拡大した場合には、「高度人材」の人口増加率と同様に、財政収支のプラス効果も倍増することになると想定される。

28 株式会社日本総合研究所「高度人材受入れの経済的効果及び外国人の社会生活環境に関する調査」2011年2月29 株式会社日本総合研究所「高度人材受入れの経済的効果及び外国人の社会生活環境に関する調査」2011年2月

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図12 「高度人材」の受入れにともなう財政収支(2009 年)

 上記の分析結果から外国人労働者の受入は日本にとってメリットをもたらす見解が得られた。同時に、各団体の取り組と提言から、日本は長期に渡って、外国人労働者を受入れることを目標としていることが分かる。日本の現状から、今後、外国人を受入れるメリットはおおいにあると考えることができる。

 ちなみに、外国人労働者及び、移民の受入れが経済成長にプラスの影響を与えることは、各国のほぼ共通の見解である。中でも欧州委員会の調査・分析結果によると、2000 年から2005 年までのEU15ヵ国の実質GDP 成長率2% のうち、0.4% ポイントが移民(外国人労働者)の純流入による成長であるとされている。つまり、GDP 成長率の約20% が移民の寄与分となる計算である(下図)。

図 13  EU15ヵ国における経済成長の寄与度分解(2000 〜200530 年)

第4章 議論:外国人労働者を受入れるべきか 前章で記述した欧州諸国の政策を事例に考えると、以前に行った政策がもたらした課題とプロフィットを理解することができた。しかし、日本の目指す受入れは計画通りに進むのだろうか。外国人を迎え入れる準備ができているか不透明である。  日本に住む外国人労働者を取り巻く環境は厳しく、不安定雇用、終身派遣・請負、社会保障の未加入、不十分な日本語教育、差別などの壁が立ちはだかる。現状として、日本が受入れたい高度人材の労働者は現時点(2011 年度末)で、約18 %人しかいない。それに対し、単純労働(技能実習生を含む)は約65 %に及ぶ。 日本は外国人労働者のなかで、専門的・技術的労働者は積極的に受け入れるが単純労働者の受け入れは阻止する政策を行うとしている。しかし、先進国の日本は開発途上国より、単純労働者の賃金率は開発途上国の専門・技術的労働者の賃金率よりも相対的に高いと考えられるため、単純労働者の方が開発途上国から先進諸国へ移動する可能性は大きい。そのため、専門的・技術的労働者と単純労働者の賃金格差の日本と開発途上国との差から単純労働者の方が、国際移動が大きい。従って、専門的・技術的労働者は積極的に受け入

30 欧州委員会資料「The impact of migration on economic growth」13

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れるが、単純労働者の受け入れを阻止する政策は、経済メカニズムに反して困難な政策であるとことも理解しつつ、受入れを慎重に進めなければならない。 外国人の受入れが良い悪いはともかく、それらを調べた結果、日本は外国人労働者の受入れに関して、大きく2つの課題に取り組む必要があると感じた。1 つは、これまでに受入れた外国人労働者達の問題改善。2 つ目は、これから受入れる外国人労働者の明確なシステム作り。双方は互いに密接した関係であることは間違いない。なぜならば、現在、国内の外国人労働者問題は今後受入れる労働者の問題にあたる可能性がある。この観点から、この章では、①国内で抱える外国人労働者問題への対応、②今後、外国人労働者を受入れる際の留意点、について記述する。

1.外国人労働者問題への対応⑴ 就労問題 外国人の単純労働者は、不安定な雇用状態を余儀なくされている。日系人は、入国や就労に際しブローカーを利用する割合が高く、派遣・請負などの形態による間接雇用が多い。また、外国人単純労働者は、直接雇用される場合でも期間を定めた有期雇用が中心で、いずれにしても常勤の正社員雇用からは排除され、雇用調整が容易で安価な労働力として利用されている。80 年代後半から流入してきた南米系労働者は15 〜20 年近くたった現時点でも派遣・請負労働者として働いている。流入開始時から現在に至まで、終身派遣ともいうべき固定かした状態がつづいている。 不安定な雇用状態は、リーマンショック後の日系人の失業率をみれば理解することができる。日本全体の失業率が5.6% だったのに対して、日系人の失業率は凡そ50% を記録、比較出来ないくらい桁違いの数字である。これは、日系人労働者のみならずその家族にも大きなリスクを抱え込ませてしまっている。長期的な展望の開けない不安定な雇用が、親世代の関心を子供世代の将来の基礎となる教育よりも、今を生きることに向けさせてしまうため、子供世代には親世代以上の矛盾が発生する。このように不安定な雇用関係が様々な問題を生む原因になっている。 この問題を解決するには、南米系労働者が出稼ぎ労働市場だけではなく、そこから脱出する道をつくることである。⑵ 社会保障問題 1990 年6 月に施行された改正入管法による不法就労対策の強化を背景に、不法滞在者や定住外国人に対する社会保障の制限がうち出された。不法滞在者は、社会保障制度のうち、国民年金、国民健康、介護、雇用( 失業) などの保険加入が認められず、生活保護の支給も受けられない。また、健康保険については不法滞在者を含めた外国人労働者の加入が認められているものの、雇用主や外国人自身が保険料負担を嫌って加入を避けるケースも多い。外国人の医療保険への加入率は、日本人従業員に比べて低く、格差が大きい。このため、未払い医療費の発生を恐れて診療拒否を受けるケースなど、深刻な問題が発生している。浜松市内に在住する18 歳以上の南米日系人を対象に健康保険への加入状況を調べた結果、国民健康保険は18.1% 、社会保険被用者保険は16.5% と加入率は低かった。入っていないが50.9% と過半数を占めていた。また、健康保険に加入していない理由としては「会社が加入させてくれない」が47.8% だった。31 ⑶ 教育問題 欧州などの事例をみると、外国人労働者の2 ・3 世は、高い教育を受けて社会的に統合された層と、言語も不十分で職業的にも底辺を構成する層に両極化が進んでいる( 井口,2001) 。日本では、外国籍のこどもを小・中学校に通わせる義務が無い。また、学習言語としての日本語の習得が不十分で授業についていけなかったり、日本の教育制度になじめない、などの理由で不就学の状態に陥るケースも多い32 。97% 近い高校進学率を誇る日本社会において、外国人子女に関する教育格差は看過することのできない問題である。

31 「外国人の生活意識実態調査」静岡県浜松市、2000年32 浜松市では、まったく学校教育を受けていない学齢の外国人子女が、2001年 5 月末で全体の 34.7%にも達していた。

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 2.外国人労働者を受入れる際の留意点 外国人労働者の受入れが将来的に問題を引き起こさない為にも、きっちりと外国人労働者を受入れるには5 つ要素に着目して、システムをつくらなければならない。1つは、日本語で生活ができるように、大人だけでなく、子供を含めて、日本語の習得を進めなければならないこと。2つ目は子供の教育をどうするのかといこと。3つ目は社会で自立するために、単純労働以外の職業、仕事を得るための大事であること。4つ目が社会保障もきちんと提供すること。5つ目は、日本人と外国人がお互いの文化を尊重して共生していくこと。最後に、どの国から外国人労働者を受入れるかということ。 それから、国内の労働力不足を外国人で補う場合、どのくらい数で補うのかということ。生産年齢人口、人口動態によって人口のピラミッドからみると、2050 年までに3200 万人減少する。従って、それを維持しようとすると、単純化して言えば毎年80 万人程度の外国人を受入れる必要がある。現在、働いている外国人労働者と同等以上の数を毎年恒常的に受入れる政策をとることになる。毎年安定的に受入れることが政治的にも可能なのかということもある。加えて、親族の呼び寄せも発生する。これは人権問題でもあるので、避けられないが、人数の厳格なコントロールは難い。それから、受入れた外国人労働者達に対する様々な社会保障負担も当然覚悟する必要がある。

第5章 諸外国における外国人労働者の受入れ本章では、日本の外国人労働政策を考えるために、各国の外国人労働政策ないし移民政策を考察する。 下の図は欧米と日本を高度人材労働者及び、外国人労働力率で比較したデータである。G5の中で、日本は他国と比べて比較的にならない低いパーセンテージを記録している。もちろん、日本を除く国々は昔から多くの移民を受入れたり、植民地であった国からたくさんの労働者を雇ってきた。そのため、G5内で比較するのは理にかなっていないかもしれない。しかし、ここで重要なのは、日本が他国にどれだけ突き放されているかを理解することである。同時に、それらの国がどういった受入れの政策を実施してきたのかが比較することで、日本独自の政策をつくるための参考材料にすることができる。

図 14  高度人材労働者         図 15  外国人労働力率の国際比較33

                      に占める外国人比率34  (%)

    

1.欧州諸国 ドイツ、フランス、オランダでは、1960 年代の労働力不足対策としての外国人労働者受け入れ政策から、1970 年代の石油危機を境として、就労目的の外国人受け入れを原則停止し、帰国促進政策へ転換した。しかし、帰国政策は成功せず、外国人労働者の国内滞留が長期化した。それに伴い、外国人労働者の家族呼び寄せが進んだ。各国政府が意図した外国人労働者の削減にはならなかった。一方、イタリアでは、労働者を供給する送り出し国から、70 年代後半にはいると、受け入れ国の政策が受け入れ停止に転換したため、送り出し国から受け入れ国に転換。その結果、外国人移民が増加した。現在のEU 主要国の政策は表3にまと

33 独立行政法人労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較 2007より第一生命経済研究所作成34 OECD, Science, Technology and Industry Scoreboard 2005

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めることができる。35

表 4  EU 主要国の労働者移動制限への対応

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 欧州連合、なかでも「旧加盟国」15 カ国は、高度熟練労働者の不足が深刻化している。また,EU 域内での人の移動が少ないことを指摘している。37 EU 加盟国の国民で、自国以外のEU 加盟国で実際に働くEU 市民は全体の2% 以下である。こうした、域内の移動の低い水準の理由として, 他の加盟国で就労する場合、異なる言語や教育、社会保障および年金制度などに適応しなくてはならない苦労があるが、そのコストを上回るほどの賃金格差が存在しないことを挙げている。欧州連合域内の現在の人口に占める移民の割合は6% 前後に達していて、最も多いのはルクセンブルクで、人口の約3 分の1 が外国人で占めている。比較的古い移民受入国であるフランス、ドイツ、英国などの国は、人口に占める移民の割合が10% 前後だが、第2 世代も含めると、多くの国で20% 近くを上回る。南欧では、人口に占める移民の割合は5% を超える国はない( ギリシャを除く) とのことである。 EU25 カ国の労働力人口は、2030 年までに現在の3 億300 万人から2 億8,000 万人にまで減少する一方、65 歳以上の高齢者人口は、2000 年の7,100 万人が、2030 年までには1 億 1,000 万人に急増し、高齢依存率23% から40% へと倍増するとEU は推計している。このため、EU は20 世紀後半までの「ゼロ移民政策」から、「共通のフレームワークによる秩序ある流入管理」へと政策転換を図っている。移民の受け入れ及び統合を、多面的なアプローチ( 入国管理、統合政策、差別の除去、不法移民対策、加盟国民及び第三国民の雇用ギャップの削減) で取り組んでいる。38

⑴ドイツ 1973 年に導入された外国人労働者募集停止規定を維持しているため、外国人労働者の就労目的の入国と滞在は、特定の労働や資格に対してのみ許可されている。就労許可は、連邦雇用エージェンシーが労働市場への影響や、ドイツ国民、欧州連合(EU) 市民への斡旋を優先するなどの要件を考慮して行っている。高度な技能39 を持つ外国人労働者は、連邦雇用エージェンシーの許可なしに、無期限の定住許可が与えられる。また、3 年以上の職業教育を必要とする技能労働への外国人の就労は, 就労法令, 就労手続法令に規定されている場合に認められる。2004 年に EU に新規加盟した中東欧諸国の国民は、ある一定の職に適したドイツ人または同等の資格を持つ候補者がいない場合のみ、その職に就くことが許可される。ただし、EU 新規加盟国の国民は、非EU 加盟国の国民より優先される。40

 就労法令により就労は、次の4 つに区分される。第1 は、「許可を必要としない就労」で、労働市場における優先や労働条件に関するチェックが免除されている。第2 は、「許可を必要とする就労」で、「職業教育を前提としない就労」( 季節労働, 家事手伝いなど) 「3 年以上の職業教育を前提とする就労」( 外国語

35 「欧州における外国人労働者受入れ制度と社会統合を展望する」労働政策研究・研修機構(2006) 36 日本経済新聞、2007年 1 月 6日、朝刊37 Entzinger (2007)“The Social Integration of Immigrants in the European Union”, JILPT International Symposium ‘Migration Policy and Society in Europe’-Social Integration for Migrant Worker-Tokyo,17, January2007.38 労働政策研究・研修機構(2004)「外国人労働者問題の現状把握と今後の対応に関する研究」労働政策研究報告書39 特別な専門知識をもつ学者、卓越した地位にある教授や科学者、公的疾病金庫保険に加入できる上限額の 2 倍以上の所得がある特別な職務経験を有する専門家や幹部職員。40 労働政策研究・研修機構(2004)「外国人労働者問題の現状把握と今後の対応に関する研究」労働政策研究報告書

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教師,IT 技術者, 管理職, 専門職など) に分けられる。第3 は、「その他の就労」で、連邦雇用エージェンシーが労働条件についてはチェックするが、労働市場における優先チェックが免除される。第4 は、「2 国間協定に基づく就労」である。41

 ドイツでは、移民や移民の2 世、3 世の失業率が著しく高く、外国人子弟の教育水準の低下が深刻な問題となっている。こうした問題に対処するために、新移民法には, 合法的移民のドイツ社会への統合化を促進するための統合コースに関する規定が盛り込まれた。統合コースは、原則として、ドイツ語の話せない新規移民に対して義務化されている。また、過去に入国した移民も統合コースを受講する権利を有している。その統合コースの内容は、600時間のドイツ語教育コースと、30 時間のドイツの歴史・文化・法律等を扱うオリエンテーションコースで構成されている。

⑵イギリス イギリス政府は2005 年以降欧州経済地域外からの移民の受け入れに対する規制を強める方向に政策転換した。07 年に新受け入れ制度を開始し、入国を希望する移民を5 段階に構造化し、受け入れの審査には年齢、職歴、学歴などを点数化し、その合計点数に応じて可否を決定するポイント制が導入されている。国際間の流出入は、05 年は入国件数56 万人、出国件数38 万人で約18 万人の入国超過となっている。就労目的の入国許可の発給件数約40 万件のうち, 約7 万件が労働許可に基づくものである。 新制度は移民を5 層に分類している。第1 層は、従来受け入れてきた高度な技能を有する労働者( 医師や金融専門家など) である。この資格で入国した場合、一定の期間イギリス国内に滞在すれば永住権取得の機会が与えられる。第2 層は、従来労働許可の枠組みで受け入れに相当する。この資格で入国した場合、5 年間の就労ののちに語学試験と市民資格試験に合格すれば家族とともに英国に定住することが認められる。第3 層は、低熟練労働者にあたる。国内での人材不足が著しい特定職種に限り、数量を限定かつ短期間受け入れる。この資格で入国した場合、期間終了の段階で出国しなくてはならず、滞在する道はない。第4 層は、学生で、第5 層は、短期非定住者: 商用、文化交流事業などで入国する者( ワーキングホリデー) となっている。不法滞在者対策の強化が強く打ち出されており、第2 層から第5 層の移民を受け入れる企業および教育機関に制度運用の監視者としての責任を求めると同時に、不法入国労働者を雇用した場合は2,000ポンドの罰金を科す規定が盛り込まれている。42

2.アジア⑴台湾 洪(2006) によれば、台湾は国内労働力不足の解消のため、1989 年以降外国人労働者の受け入れを行っている。タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、モンゴルと言った国々と2 国間協定に基づいて、単純労働者を受け入れている。就労期間は最長3 年間である。外国人を受け入れる場合、国内の雇用確保を前提とした労働市場テストが行われる。加えて、各企業に外国人労働者の構成割合に上限を設ける雇用上限率を設定している。 製造業は行政院経済部で雇用申請を行う。看護・介護は、医師による審査に通った案件のみ外国人労働者の雇用申請できる。各種審査後、募集ポストの職が国内労働市場では充足できなかったことを証明( 労働市場テスト) した後、行政労工委員会による外国人労働者雇用許可の発給がなされる。⑵韓国 1991 年11 月に「産業技術訓練生プログラム」を導入した。しかし、日本の「研修制度」と同様に、この職業訓練生プログラムに参加している外国人は、公式には「従業員」ではなく「訓練生」と分類されるため、韓国の労働法に基づく保護を受ける権利を満たしていないとの批判を受けて,2007年1 月に廃止された。 外国人労働者の半分程度が不法就労者である。こうした状況の中、2003 年8 月「移民労働者に対する労

41 労働政策研究・研修機構(2004)「外国人労働者問題の現状把握と今後の対応に関する研究」労働政策研究報告書42「人口減少と外国人労働政策」東海大学政治経済学部紀要第 40号(2008)、小 敏男﨑

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働許可に関する法律」を制定し、その結果、未熟練労働者を「訓練生」としてでなはく、「従業員」として雇用することができるようになった。この制度では、製造業、建設業、農牧業、およびサービス業の6 分野( 飲食業、ビジネス支援業、社会福祉、清掃、介護、家事) に属する従業員300人未満の雇用主は、国内で労働者が見つからない場合、労働部から許可を得た上で外国人労働者を雇用できる。雇用契約期間は原則1年間であるが、3 年間の延長が可能である。受け入れ可能な外国人労働者の人数は、外国人労働者政策委員会によって決定される。また、韓国政府は、先端技術の分野における有資格の高技術労働者の受け入れを積極的に行っている。43

⑶シンガポール 天然資源に乏しいシンガポールは、自国民に対する教育訓練・職業訓練を推進する一方で、外国人就労を受け入れるオープンドア政策を常に採り入れている。特に高度な技能や資格を持つ労働者はシンガポール経済の競争力と活力を維持するうえで、不可欠であるとの認識に立ち、積極的な受け入れが行われて来た。就労を希望する外国人は、雇用許可あるいは労働許可を取得しなければならない。雇用許可は、企業や投資、熟練労働者などの技能を有する労働者を対象としているのに対して、労働許可は、一定職種における単純労働を行う労働者に対して発給される。雇用許可および就労許可を得て入国する外国人労働者には就労パスが発給される。このうち人材省雇用許可局が発行する雇用パスは、業種と月給額によって3 種類に区別されている。 雇用パスは、初回の申請に対して最長2 年間の発行が可能である申請者は合法的に雇用を継続されている場合、各回、3 年間の更新を継続できる。雇用パスの保有者は、雇用期間の上限がないため、退職年齢までシンガポールで働くことが可能である。44

43 ユー(2006)「韓国:雇用許可制度を導入」http://www.jil.go.jp/foreign/labour_sys-tem/2006_3/korea_01.htm.44 「人口減少と外国人労働政策」東海大学政治経済学部紀要第 40号(2008)、小 敏男﨑

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