5
.⊥己 ■l U・D・C・る21.313.333:る21.31る.718.5:る2l.314.る3_5 サイリスタを用いた誘導電動機の速度制御方式 SpeedControlofInductionMotorUsingThyristor 正* TakamasaIiori 明** ToshiakiMaekawa 誘導電動株の速度制御方式・粗・こサイリスタを用いた1次制御,2次制御,可変周波制御などの研究成果を とりまとめ,その概要を説明する。 1.緒 ー妄動力応用の分野でほ,誘導†E動枚は保守の容易さ,経剤勺瓢由 により最も多く使用されているが,速度調懲上の艶たカ、ら,精密な 速度制御を必要とするところでほ,従来から直流程動機がおもに使 用されている。本論文でほ,誘導電動機の各種速度制御方式につい て特性を中心に最近の研究成果を紹介する.。従来の「誘導電動榛の 速度制御の限界__+の観念を-▲掃し,負荷の対象によってほ,誘導電 動機も十分使用できることをカミし,進んで,堅ろう安価な誘導電動 機の特長が,より多くの範囲に活用される可能性が十分にあること を述べんとするものである。 2.1 誘噂電動機の1次側にサイリスタ(以下,サイリスタおよびサイ リスタ回路を記号SCRで示す)を直列にそう人し,サイリスタに流 れる電流の通流角を制御すれば,誘導電動機に印加する電圧も変わ り,速度が制御できる。従来,このような制御は可飽和リアクトル を用いて行なわれていたが,装置の大きさ,制御および容量の問題 からあまり一般的には実用されていない。最近になって, 大電流の制御が可能なサイリスタが量産されるようになF),かつサ イリスタが小形で高信煩性のため,可飽和リアクトルに代わってサ イリスタ1次制御(以下,1次サイリスタ制御と呼ぶ)が実用化さ れるようになってきた。この章では,1次サイリスタ制御の各方式, およぴサイリスタの点弧方式について説明し,速度帰還制御の一例 を示す(1)。 2・11次サイリスク制御 1次サイリスタ制御の各方式を図1に示す。図で(a)~(c)ほ誘 導電動機1次側の1札 2相,3相に逆並列接続されたサイリスク をそう入する方式で,(d),(e)は各相分離された1次巻線の中性 点側に整流回路を用いる方式である(2〕。(a)の方式ほ,サイリスタ の点弧角を調饗することによって,単相トルクと3相トルクの問の トルクを制御するもので,他の方式は同じく,零トルクから3相ト ルクを制御するものである。(a)~(c)の方式でほ,誘導電動枚の 電源側にサイリスタがそう入されているために,誘導電動機には高 調波分の多いひずみ波形電流が流れる。これに対し,電流波形をで きるだけ正弦波に近づけようとする方式が(d),(e)に示す方式で ある0各相分離した誘導電動機の1次巻線は,整流回路を通して, 電気系(セルビウス形),あるいほ機械系(クレーマ形)に接続されて いるので,1次電流は高調波分の少ない台形波となる。なお,(e) の方式は,誘導電動機でほ,起動時に過大な電流が流れる割にトル クが出ないので,これを機械的に直結された複巻電動機で補うもの で,速度制御は界磁制御による電圧調整によって行なわれる。 各方式中(a)はトルク制御範囲が比較的せまく,(c)の方式では, * 日立製作所日立研究所 ** 日立製作所日立研究所工学博士 〔〕 Ⅰ.九・】 REC. (b):川=酎=即 INV. Ⅰ.ユl (亡)3抑制御 R上二C. Ⅰ.ル・1 l.入Ⅰ SCR. 〔〕 I.M (d) セルビワス形 ‖し1;誘i.郎E動機 D.C.M;直流屯動機 図1 「l REC.;軒別丁牌 INV.;逆変旅剛路 D.(1.九1 F/恥0 (e)クレー・マけ三 SCR;サイリスタ F;ヲ=遥巻線 1次サイリスタ制御方式 Sし「Il 「= 図2 サイリスタをもつR-L両列回路 入口と出口のサイリスタを同時に点弧しなければならず,サイリス タ点弧法がやや複雑となる。)また,(d),(e)の方式では,1次巻 線を各相分離しなければならないので,誘導電動枚は特殊なものを 必要とするが,電源に与える波形ひずみが問題となる場合にほ,最 も実用性ある方式である。 2・21次サイリスクの点弧方法,ならびに点弧角とトルクの関係 図1で,(d),(e)の方式ほ制御上の困難さはなく,また(c)の 方式ほ実用性に乏しいので,本節では,(a),(b)の方式について, 1次サイリスタの点弧方法,ならびにトルクの関係を説明する。 誘導電動枚ほ回転数によって力率が変わるので,図1(a),(b) のサイリスタには特殊な点孤信号が必要である。最も簡単な例とし て,図2の回路でサイリスタの点弧方法を考察する。図で,回路を 流れる電流よ(山f)は電源電圧β(才)=且桝Sin山方をサイリスタの点弧 準電圧として,点弧角を仙g=αとすれば, 才(仙g)=E桝(sin(巾ノト甲)-Sin(α"P)£】β( ノ評子て狩 ー1- ‖(1)

日立評論1967年5月号:サイリスタを用いた誘導電動 …の正負に応じて,SCR.1,あるいはSCR.2の点弧信号を抑制しSCR を通して電源が短絡されるのを防止する回路である。CLは電流制

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Page 1: 日立評論1967年5月号:サイリスタを用いた誘導電動 …の正負に応じて,SCR.1,あるいはSCR.2の点弧信号を抑制しSCR を通して電源が短絡されるのを防止する回路である。CLは電流制

.⊥己

■l

U・D・C・る21.313.333:る21.31る.718.5:る2l.314.る3_52:54る.28

サイリスタを用いた誘導電動機の速度制御方式SpeedControlofInductionMotorUsingThyristor

肘 孝 正*TakamasaIiori

前 川 敏 明**ToshiakiMaekawa

要 旨

誘導電動株の速度制御方式・粗・こサイリスタを用いた1次制御,2次制御,可変周波制御などの研究成果を

とりまとめ,その概要を説明する。

1.緒 ロ

ー妄動力応用の分野でほ,誘導†E動枚は保守の容易さ,経剤勺瓢由

により最も多く使用されているが,速度調懲上の艶たカ、ら,精密な

速度制御を必要とするところでほ,従来から直流程動機がおもに使

用されている。本論文でほ,誘導電動機の各種速度制御方式につい

て特性を中心に最近の研究成果を紹介する.。従来の「誘導電動榛の

速度制御の限界__+の観念を-▲掃し,負荷の対象によってほ,誘導電

動機も十分使用できることをカミし,進んで,堅ろう安価な誘導電動

機の特長が,より多くの範囲に活用される可能性が十分にあること

を述べんとするものである。

2.1 次 制 御

誘噂電動機の1次側にサイリスタ(以下,サイリスタおよびサイ

リスタ回路を記号SCRで示す)を直列にそう人し,サイリスタに流

れる電流の通流角を制御すれば,誘導電動機に印加する電圧も変わ

り,速度が制御できる。従来,このような制御は可飽和リアクトル

を用いて行なわれていたが,装置の大きさ,制御および容量の問題

からあまり一般的には実用されていない。最近になって,

大電流の制御が可能なサイリスタが量産されるようになF),かつサ

イリスタが小形で高信煩性のため,可飽和リアクトルに代わってサ

イリスタ1次制御(以下,1次サイリスタ制御と呼ぶ)が実用化さ

れるようになってきた。この章では,1次サイリスタ制御の各方式,

およぴサイリスタの点弧方式について説明し,速度帰還制御の一例

を示す(1)。

2・11次サイリスク制御

1次サイリスタ制御の各方式を図1に示す。図で(a)~(c)ほ誘

導電動機1次側の1札 2相,3相に逆並列接続されたサイリスク

をそう入する方式で,(d),(e)は各相分離された1次巻線の中性

点側に整流回路を用いる方式である(2〕。(a)の方式ほ,サイリスタ

の点弧角を調饗することによって,単相トルクと3相トルクの問の

トルクを制御するもので,他の方式は同じく,零トルクから3相ト

ルクを制御するものである。(a)~(c)の方式でほ,誘導電動枚の

電源側にサイリスタがそう入されているために,誘導電動機には高

調波分の多いひずみ波形電流が流れる。これに対し,電流波形をで

きるだけ正弦波に近づけようとする方式が(d),(e)に示す方式で

ある0各相分離した誘導電動機の1次巻線は,整流回路を通して,

電気系(セルビウス形),あるいほ機械系(クレーマ形)に接続されて

いるので,1次電流は高調波分の少ない台形波となる。なお,(e)

の方式は,誘導電動機でほ,起動時に過大な電流が流れる割にトル

クが出ないので,これを機械的に直結された複巻電動機で補うもの

で,速度制御は界磁制御による電圧調整によって行なわれる。

各方式中(a)はトルク制御範囲が比較的せまく,(c)の方式では,

*日立製作所日立研究所

**日立製作所日立研究所工学博士

〔〕Ⅰ.九・】

REC.

(b):川=酎=即

INV.

○Ⅰ.ユl

(亡)3抑制御

R上二C.

Ⅰ.ル・1

○l.入Ⅰ

SCR.

〔〕I.M

(d) セルビワス形

‖し1;誘i.郎E動機

D.C.M;直流屯動機

図1

「l

REC.;軒別丁牌

INV.;逆変旅剛路

D.(1.九1

F/恥0

(e)クレー・マけ三

SCR;サイリスタ

F;ヲ=遥巻線

1次サイリスタ制御方式

Sし「Il

「=

図2 サイリスタをもつR-L両列回路

入口と出口のサイリスタを同時に点弧しなければならず,サイリス

タ点弧法がやや複雑となる。)また,(d),(e)の方式では,1次巻

線を各相分離しなければならないので,誘導電動枚は特殊なものを

必要とするが,電源に与える波形ひずみが問題となる場合にほ,最

も実用性ある方式である。

2・21次サイリスクの点弧方法,ならびに点弧角とトルクの関係

図1で,(d),(e)の方式ほ制御上の困難さはなく,また(c)の

方式ほ実用性に乏しいので,本節では,(a),(b)の方式について,

1次サイリスタの点弧方法,ならびにトルクの関係を説明する。

誘導電動枚ほ回転数によって力率が変わるので,図1(a),(b)

のサイリスタには特殊な点孤信号が必要である。最も簡単な例とし

て,図2の回路でサイリスタの点弧方法を考察する。図で,回路を

流れる電流よ(山f)は電源電圧β(才)=且桝Sin山方をサイリスタの点弧基

準電圧として,点弧角を仙g=αとすれば,

才(仙g)=E桝(sin(巾ノト甲)-Sin(α"P)£】β(山frα)んエ)/

ノ評子て狩

ー1-

‖(1)

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518 昭和42年5月 日 止 評 論 第49巻 第5号

ただし,tanP=山エ/β

また,山一g=βでg((りg)=0になったとすれば,SCRの通流角は(β-1・0

α)で,SCRで電流を制御しうるのは,通流角が180度以下のときで

ある。したがって,通流角が180歴となるのほ,(1)式に才(ノう)=0, 2

β-α=打を代入して解けば,α=?のときである。すなわち,αの範 ミ0・5囲ほ,

q

や≦α≦方‥‥(2)

点弧角αを(2)式が満足する範囲で制御すれば,電流を零から最大

まで制御できる。誘導電動機では,電圧と電流の位相差甲が回転数

によって変わるところに点孤方法のむずかしさがある。サイリスタ

ノ、【、ミ弧方法としてほことおり考えられる。一つの方法は,甲がどのよ

うに変わっても,αが(2)式を必ず満足するように点弧する方法

(点弧信号は幅のせまいパルスでよい),他の一つは,αが(2)式を

ほみだしても,点弧信号が(2)式の範幽内にあるようにする方法

(点弧信号の幅は広いことが必要)である。

図3に,図1(a),(b)の回路で幅の広い点弧信号を用いた場合

の点弧角とトルクの関係を示す。図で,縦軸の』丁は,点弧角αに

おけるトルクでから単相トルクを引いた値で,』T〟はα=0における

』T,丁〃は誘導電動機3相運転時におけるトルクである。なお,5は

すべりである。点弧角を調整することによって,トルクは連続的に

御制できる。

2.3 速度帰還制御

図4に速度制御回路を示す。MAPSはSCRの点弧回路で,幅の

広い点弧信号を作るために,半サイクル応答磁気増幅器を主体に構

成されている。GSGは指令信号Esと速度信号E′との差の信号Eo

の正負に応じて,SCR.1,あるいはSCR.2の点弧信号を抑制しSCR

を通して電源が短絡されるのを防止する回路である。CLは電流制

限回路で,過大な電流によって,SCRが破損するのを防ぐ。STCは

2次抵抗を切り換える回路で,2次抵抗はSCRで多段階に制御され

る。

図5にEざ,E。,ならびに回転数〃のオシログラムを示す。指令

に速度が忠実に追従していることがわかる。図4の回路方式によれ

ば,全速度範囲にわたって,加減定速度運転が可能である。もちろ

ん,速度制御範囲がせまくてよいときは2次抵抗制御ほ省略できる。

1次制御方式は,電気炉の電極棒昇降用に多くの使用実績があり

また,クレーン用として数十kWの設備にも使用されている。

3.2 次 制 御

誘導電動模の2次誘起電圧に対して,2次電流を調整すればトル

120 60

α(度)

(a)1和利御

1.O

トJ

\ 0・5

h

S=0.3

S=0.9

120 60

α(度)

(b)2相制御

図3 1次サイリスタ制御におけるトルクと点孤角の関係

SCR.1

Ⅰ.M

ト1AI)Sl

CrJSCR.2

九・1Af)S2

GSG

血En

P.〔;

Er

f二れ

E∫

R2

SCli

Sr「C

SCR.1;刀二転川サイリスタ 1-.G;速度発電依

SCR.2;逆転川サイリスタ 八一APS;サイリスタゲーート肌糾り指

GS(1;偏差一言号板件判別川路

囲4 速 度 制 御 回 路

違:ヶ琶宣ミ蚕て官

■牽嚢薮牽薫き

蚕;‡■し≡■≡だヨだ≡=…_一三、‾妻‾こ

f

蔓 ≡喜妻・妻:‾套

-‾=三■;一室轟・__三

笠‾=

≡ム‾てW叩蚕毒孝苧望、筆斗=‾三Ⅷ幣竺■--

二■‾竜一室≡

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き…乾蜜‾;__ 毒 J-′≡・

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…、≡拉…‾■-う

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りき■遠く-_

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1 宅 ≡毒づ衰鸞:※:-■■-;‾‾・‾こ_;し

重要賢一.三選‾--_.‾≡て三幸-・湘‾畠…ご

=ゴ暮;

写芋ノん1ふ∃

■_.‾-一襲≡三妻r率麺毒■‾_き_・= を義家}・、

、-‾≡一聖⊆≡=≡

囲5 可 逆 定 速 度 運 転

- 2 -

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サイリ ス タ を用いた誘導電動機の速度制御方式 519

Q-Ⅰ箸吉.喜三言霊芝芸漂剛各.+芸も=芸ⅠⅣlーPr 5>O s<0

1.P,.Pz.P。の関係 2.ベクトル同

1

く⊃

P-F.C

P

P。V

sE20くや2<号甲z甲2

l2E2I2

∧芳

p二∽

‾一■

P。 P2

p2Pl†pzpo

(0<sく1) S=l s=0

Il

⊂⊃

∨胃

P-F.C

=●

PP。

p。P,1p2PD

I2VIz

SE2

p二の P。 P2 p2甲2

rO<s<1) S=1 sこ=0 E2 号く中之く汀1】1

PIF.C

P

sE2Voく甲~<号

ダニ甲2

<⊂⊃\ノ

【ゞのPo P2

p】1p。S=O s=-1 IzE2 Ⅰ2

⊂⊃

P】F.C

Pけ P2

P

P2 12SミⅤⅠ2>⊂⊃

>

ロー∽

s=。P・l聖=_1

や2 甲2

E2号<92く汀

し)咄J諾言i三豊芸諾;冨£志力

(芸て芸二芸岩∫三三㌶三雲諾図6 2次励磁方式における入力,出力

間接変換回路

(aI本流制御ノノJ亡

(b)交流制御方式

Ⅰ.M 九C D.C んC

直接変換回路

{

Ⅰ.M A.C A.C

図7 セ ル ビ ウ ス 方式

クを制御できる。本章では,従来2次励磁用に回転機を用いていた

部分をサイリスタ回路におきかえ静止化した場合の動作原理と特性

を説明する。

3.1静止2次励磁方式

図るに2次励磁方式における入力ろ,烏と出力昂の関係を示す。

2次1相当たりの5=1における誘起電圧を且2,2次電流をム,その

位相差を甲2とすれば,同期ワッ=トルク)県ほ,2次が3相の場合

阜=3且2J2COS~ウ2‥….(3)

で表わされ,出力昂は

fも二(1¶5)凸 ….

となる。いま,電動機内部の損失を無視すれば,

ろ=5凸…

ろ=昂+残=県.

…(4)

…..‥‥‖…‥‥…(5)(6)

となる。(5)式から烏を調整することにより県が制御できること

がわかる。このろを調整するための周波数変換回路として,サイリ

スク回路を用いた方式が静止2次励磁方式である。

静止2次励磁方式にほ,セルビウス方式とクレーマ方式とがある。

セルビウス方式とは哉を電気系へ返還するものであり,クレーマ方

式とは同じく機械系へ返還するものである。

3.2 セルピウス方式

(1)セルビウス方式

セルビウス方式には,図7に示すように直流制御方式と交流制

御方式とがある。前者は哉を電源へ返還するのに間接変換回路

(交流・直流・交流変換回路)を用いる方式で,2次電流の位相

ほ,2次電圧に対してあるきまった関係でしか調整できないの

Ⅰ.入・1

<∧<<ヘヘ

SCIモ.A s〔丁化l弓

SCIi.∧.SC凡B;サイリスタ阿L■指

図8 直流制御方式

L

lX R

l。 〟E

′‾閃‾\ S

W‾

12カ′

Ⅹ0

1.ノ

R。α

L;平滑リアクトル

図9 誘導電動機の等伽回路

で,電動機の力率改善はできない。それに対し,按老は直接変換

回路(交流・交流変換回路)を用いる方式で,2次電流の位相を

2次電圧に対して任意に調盤できるので,電動機の力率改善が可

能である。この方式でほ,2次周波数を一定として,毘忙の大き

さと位相を調整することにより,定速度電動機の特性を出すこと

も可能であるし3)。また,直接変換回路としてサイクロコンノニータ

を用いれば,これは電源周波数を逓減した周波数しか作れないの

で,速度制御範閃は同期速度近傍i・こ限られる。

(2)セルビウス方式の特性(4)

セルビウス方式で,誘導電動枚の特性を図8の直流制御方式に

ついて説明する。図8でSCR.Aが3相ブリッジ回路の場合,電

動機の等価回路ほ図9で示される。図で,各記号ほ次の謂境を示

す。

ここに,ム,ん,ん:1次,2次,励磁電流

ん:直 流 電 流

Ⅴ:1相当たりの電源電圧

E:サイリスタ回路Hl力電圧

月:々1十α2β2/5

∬:ズ1+α2ズ2

苑範軌範

凡凡

1次,2次抵抗

1次,2次リアクタンス

励磁損に見合った等価抵抗

励磁リアクタンス

α:巻 数 比

励磁電流の有効分,無効分をム。,ム。,2次電流の有効分,無効

分をム1,ム1,基本波分をん,高調波分をんとすれば,2次電流

ム,およぴ1次電流ムは

ち=ノ左す手打

(ム0十ん1/〟)2十

入力ろは力率をcos¢1として

ろ=3l′ムcos¢.=3l′(ム。+ム1/α)

ー 3 -

(7)

(8)

(9)

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520 昭和42年5月 止 評 論 第49巻 第5号

表1 電流 の 各 周 波数成分

ん1/ん

ム1/′d

∫2/′d

¢(ぴ,α〕=

J享÷‡cos`t+cos(α十〟一)‡

J享寛忍苦諾諾諾

J耳、/f二言言古芯1

sin〟12十COS「〝+2`り)一α(1+2cosα・COS(α+〟ノ127r (cos(Y-COS(α十〝り2

表2 サイリスタ回路の動作\

\\lIlⅡ r Ⅲ Ⅳ

SCR.A

SCR.B

α:整流器動作,r:インノニータ動作(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳは図6のそれに対応する)

100△ 80

×

△ ×

△×

60 E=40(l'ノ

● >

1.0●>

>

×

△ ×

α=00

● >ー‾

>

0.5●

● >

×●

× ● >

.△

0

l・6 1・'4△ 1・'2\× 1,0 ・d・8 0・b‡0・4

△× ● >

△×

γ=30Q△も△

E=1£(Ⅴ)皇

● ∨

0,5●>

>●

●>

1.0 ● ∨

0 60 40

△,×,●,∨は実測値 -は計算値

圃10 両流電流とすべりの関係

2次入力(同期ワット)たはろから励磁損と1次抵抗損を引

いて

阜=3(Ⅴん1/α一札(ち/α)2‡..(10)

川力几ほ(10)式を(4)式に代入して求められる。

2次すべり電力5f㌔は

5Pr二3J22〟2+Eん (11)

したがって,すべり5ほ

5=(3J22β2+Eん)/県…‥(12)

図9で,T=ズ/βの比が大きい範閉でほ,J〝1,ん1ほほば表1で

代表できる。なお,表中㍑は重なF)角で,実測される2次電流の

重なり角は,回路のリアクタンス分のみを考慮して求まる重なり

何にほぼ等しい。3相ブリッジ回路の制御角をαとすれば,

cos(〟+α)=COSα一2(ガ1+α2ズ2)んルすⅤα‥..‥(13)

が成立する。(13)式を表1のム1,ム1ノ2に代入し,これを(8)~

(12)式に代入すれば,誘導電動棟の特性が求められる。なお,

SCR.Aがダイオードで構成されているときは,α=0と考えれば

よい。従来静止セ′レビウス方式といわれているものほほとんどこ

の形式である。

(3)SCR.A,Bの動作

簡単のために,電動機内の損失を無視し,〟=0とすれば,(10)

1.M

式から

REC 皇REC.皇

CH().

索 M

CHO.

IJ り

ra)(t-)

CHO.:+ コツパー〔il絡

REC.;仝液守さi式己†【-】岸祐

岡11 チ

LJ;'・事く滑りアクト几

D;土器i允素十

ッパ 回 路

†1d

lαT

図12 チョッパ回路の電流波形

凸=31′ム1/α=3ヽ/すⅤムcos`γ/〟打 (14)

となる。(14)式から,5>0のとき,0<α<打/2で凸>0,打/2<

rr<汀で県<0となるが,5<0では,S>0に対して,んの符号が

反転するので,県の符号も反転する。5<0での特性は表1のん

のかわりに-ん1を(8)~(12)式に代入すれば求められる。した

がって,SCR.A,Bは表2に示すように動作する(5)。

(4)実験結果とその検討

図10にSCR.Aをα=0度,および7二30度で点弧した場合の

虹流電流とすべりの関係を示す。r=30度で運転すれば,トルク

は負となるので,実測値をα=0度のものとは反対側に示した。

縦軸は,定格2次電流とする直流電流を1として規格化した値で

ある。固から,SCR.A,Bの点弧角制御のみによって,電動機の

正道転が可能となることがわかる。正逆転のために,1次例の相

回転を入れかえる必要はない。

3.3 クレーマ方式

クレーマ方式では,2次すべり電力を機械系へ返還するのに直流

枚が使用されるので,直流機の容量から速度制御範囲がきまる。通

常,同期速度の数十%が速度制御範囲の下限である。

クレーマ方式の特性は(11),(12)式で,Eんを直流機の出力とす

れば,さきに求めたセルビウス方式の特性式から計算できる。

3.4 チョッパ方式

セルビウス方式の一変形方式にチョッパ方式がある。この方式は

従来,水抵抗器が用いられていたところをサイリスタチョッパ回路

におきかえ静止化高速応化したものである。図11にチョッパ方式

の基本回路を,図12にその波形を示す。

いま,簡単のために,直流電流が平滑リアクトルのためにはとん

ど一定で,脈動は無視できるものとする。整流回路の出力電圧をg,

チョッパ周期をr,チョッパ動作時間をαTとする。図11(a)の回

路では,整流回路の出力を抵抗損に等しいとおき,

- 4 一

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サイリ ス タ を用い た誘導電動機の速度制御方式

表3 現状におけるサイリスタを用いた

誘導電動機の速度制御方式の比較

方 式

1次制御

2次制御

Rl`変周波

制 御

1相,2相,3相

サイリスタ制御二打‾音「ラ¶斉彬ク レ

ー7 形

セルビウス方式

クレーマ方式

チョッパ方}℃

サイ ク ロ コ ン

ノミー 々

イ ン バ ー タ

おもなる適用分野 具伽鳩用例一字孟となる止,逆転が必要とされる分野

定通運転が軌足される分野

厄,逆加械逆運転が要求される分野

速度制御範囲が狭く

てよい分野

徴低速両要求され 負荷変勅の激しい分野

一定負荷で,比較的高速が要求される分野

クレーン,巻拗機

′起ノ】那岐定屯圧′こに源

圧 延 機(フアン,ボンナ)

ポ ン プ,

フ ァ ン,

圧 縮 機

ローラテ【フル

ポッ トモータ

中,小 形

巾, 小,

(大)形

中,大形

…甜

多騰並列中,

小形IM

Eん=~ニ抑叫r二(1一仰々=‥したがって,

E=(1-α)ん尺‥.

同じく(b)の回路〔6)では,チョッパオフの期間でほ,

ん+ん=ん..

チョッパオンの期間では

ん=-ん...

が成立する。コンデンサの電荷のつりあいから,

(17),(1即式から

-αん+(1-α)(ん-ん)=0‥‥

が成立する。したがって,

7月=(1-α)ん.…

となる。整流回路の出力を抵抗損に等しいとおき

Eん=(1-α)2月ん2‖

.(15)

‖(16)

‥(17)

‥(18)C斤≫71の場合,

(19)

(20)

(21)

したがって,

E=(1-α)2ガム.‥(22)

(16),(22)式から,αの値を変えれば,Eが変わることがわかる。

このEを(8)~(12)式に代入すれば,チョッパ方式の牛.ら二性が求めら

れる。この方式では,α=0でも,月で閉恒一路が構成されるので,ト

ルク制御範開の下限は利こよって決定され,上l矧ま,チョッパ川路

のサイリスタ消弧能力から規制される。

そのほか,チョッパ方式に関してほ,2次電流をオンオフしたF),

521

航杭切り換えにイ如1-=/たりする種々の変形方式が考えられる。

4.可変周波制御

‖†変周波制御にほ,サイグロコンバータ方式(也接変換方式)と

インバータ方式(間接変換方∫〔)とがある。‾l泊老は,交流波形を中

間に直流を介在させることなく,その波形をl如妾組み合わせて,他

の低い周波数に変える方式で,後者はそれに対し,直流電源を通し

て,作意の伺波数に変える方式である。これら各方式についてほ,

数多くの研究実績があるが,釈放の挟i係で稿をあらためて詳述する

ことにする.√J

5.各種制御方式の比較

表3に現状にぉけるサイリスタによる誘導電動枚の各種制御方式

の比較をホす。各方式の特長はそれぞれ異なり,一つの方式が,他

の方式にとって変わるというものでほない。技術的にも,経済的に

も,それぞれの持艮を生かした適用を回ることが重要である。

る.結 ロ

サイリスタを用いた各種制御方式について,特性を説明した。現

在,各方式とも技術的な問題ノ、一己はほとんど解決され,実用されてい

る。各方式には,それぞれの特長があるので,その特質を生かした

適用をほかることがたいせつである。〕これらは,従来も誘導電動機

が使用されていた分野でほその性能向上を,従来,l白二流機の分野で

あったところには,保守,経済性の改善をめざして,今後Jムく普及

していくものと考えられる。

参 茸 文 献

1

2

3

4

軸:第9回自動制御連合講演会論文集306

特許出願中

特許出願中

塀:昭37電気学会東京女部人会論文集68

城:昭38電気四半全速合大会論文集695

堀:第7回日本自動制御脇会学術.誌納会論文脹307

堀:第6回口動制御連合論蛸会論文集320

掘:昭39電気四仁、羊全速合人会論文集734

(5)特許出願巾

(6)特許料膵l巾

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