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繰返し載荷を受ける土の 力学特性及び地盤の液状 化のメカニズム 防災地質学第7回

繰返し載荷を受ける土の 力学特性及び地盤の液状 …3. 地震の振幅が大きく、継続時間が長い ことなども液状化が起こりやすい条件です。

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Page 1: 繰返し載荷を受ける土の 力学特性及び地盤の液状 …3. 地震の振幅が大きく、継続時間が長い ことなども液状化が起こりやすい条件です。

繰返し載荷を受ける土の力学特性及び地盤の液状

化のメカニズム

防災地質学第7回

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液状化時の砂粒の挙動

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液状化前の地盤 液状化後の地盤

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1964年新潟地震によるNビルの杭基礎の被害 (写真:河村壮一氏提供、図面=西沢ほか2名新潟地震時に破損した既製RC杭の調査と耐震解析、日本建築学会大会学術講演梗概集、1982年10月、より引用)

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液状化が起こりやすい地域

河川によって運ばれた細かい砂でできた低地、かって川の流れていた場所、あるいは埋立地などです。このほかに、

1. 地表面から浅い場所に地下水がある。

2. 砂粒が直径0.1~1.0 mm程度の大きさで揃っている。

3. 地震の振幅が大きく、継続時間が長い

ことなども液状化が起こりやすい条件です。

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せん断波の下方直下入射による水平地盤内の応力変化

破壊線

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過剰間隙水圧の上昇による地盤の破壊

破破壊壊線線

q

p’

過剰間隙水圧の上昇に

よる有効拘束圧の減少

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圧縮・中空ねじり試験機

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三軸室

軸変位ゲージ

(C ) EPバブルヘッド①

(D) EPバブルヘッド②

(B) トルク載荷用エアーアクチュエーター

(A) 垂直載荷用エアーアクチュエーター

トルク載荷機構

*ねじり載荷→三軸圧縮載荷試験のとき(A)と (D ) (B )と (C )  をつなぐ

*三軸圧縮載荷→ねじり載荷試験のとき(A)と (C)   (B )と (D )  をつなぐ

三軸室

軸変位ゲージ

(C ) EPバブルヘッド①

(D) EPバブルヘッド②

(B) トルク載荷用エアーアクチュエーター

(A) 垂直載荷用エアーアクチュエーター

トルク載荷機構

*ねじり載荷→三軸圧縮載荷試験のとき(A)と (D ) (B )と (C )  をつなぐ

*三軸圧縮載荷→ねじり載荷試験のとき(A)と (C)   (B )と (D )  をつなぐ

圧縮・中空ねじり試験機の載荷装置

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繰返し非排水三軸試験機の模式図

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○ Triaxial apparatus

Personal computer

Electrical measurement

device and air device

De-aerated

water

Triaxial loading test

machine

2

9

1

5

10

8

11

6

3

7

12

① Sample

② Pedestal

③ Axial loading cap

④ Membrane

⑤ Vertical load cell

⑥ Piezometer

⑦ Vertical displacement transducer

⑧ Dual-tube bullet

⑨ Cell pressure transducer

⑩ Upper cylinder of axial actuator

⑪ Lower cylinder of axial actuator

⑫ Counter weight

⑬ Cell pressure-back pressure indicator

⑭ Cell pressure regulator

⑮ Back pressure regulator

4

4

13

15

14

100 N 500 N2000 N 5000 N

Testing device

Undrained and drained cyclic loading tests

(maximum frequency: 0.50Hz)

Strain-controlled monotonic loading tests.

Electropneumatic regulators with an accuracy

of 0.10 kPa (low pressure up to 50kPa) to

control lateral and back pressure.

There are four types of vertical load cells, their

accuracy is 0.2% of the maximum ranges.

Low1

Low

2

Normal

Test procedure under different confining pressures

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繰り返し非排水三軸試験で得られた応力・ひずみ・間隙水圧の経時変化

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豊浦標準砂の圧密非排水中空ねじりせん断試験結果

Dr=70%, s’m=49 kPa,

f=0,01Hz, sd/2s’c=0.150

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霞ヶ浦砂の圧密非排水三軸繰返しせん断試験結果

Dr=70%, s’m=49 kPa,

f=0,01Hz, sd/2s’c=0.150

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(a)砂地盤の液状化による構造物の倒壊

(b)粘土地盤の繰返しせん断破壊による構造物の倒壊

異なる地盤の地震による破壊パターン

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液状化の判定の簡易方法

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液状化の判定を行う必要がある砂質土層

沖積層の砂質土層で以下の3つの条件すべてに該当

する場合には、地震時に橋に影響を与える液状化が生じる可能性があるため、液状化の判定を行わなけ

ればならない。

1) 地下水位が現地盤面から10m以内にあり、かつ、 現地盤面から20m以内の深さに存在する飽和土層

2) 細粒分含有率FCが35%以下の土層、又は、FC

が35%を超えても塑性指数IPが15以下の土層

3) 平均粒径D50が10mm以下で、かつ、10%粒径D10

が1mm以下である土層

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平均粒径の概略値と地盤工学会統一分類法との対応

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土質分類 地下水位面下の単

位重量t2(kN/m3)

地下水位面上の単

位重量t1 (kN/m3)

平均粒径

D50(mm)

細粒分含有率

FC(%)

表土 17.0 15.0 0.02 80

シルト 17.5 15.5 0.025 75

砂質シルト 18.0 16.0 0.04 65

シルト質細砂 18.0 16.0 0.07 50

微細砂 18.5 16.5 0.1 40

細砂 19.5 17.5 0.15 30

中砂 20.0 18.0 0.35 10

粗砂 20.0 18.0 0.6 0

砂礫 21.0 19.0 2.0 0

土質分類と単位体積重量・平均粒径・細粒分含有率の概略値

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0

20

40

60

80

100

0.001 0.01 0.1 1 10 100

2.0 m4.2 m7.0 m

通過質

量百

分率

(%)

粒径(mm)

(b) 不撹乱試料(DMax= 75mm)

粒径加積曲線

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液状化の判定規準

液状化に対する抵抗率FL L/RFL

FLが1.0以下の土層については液状化するとみなす

LW RcR '/ vvhgd krL ss xrd 0015.00.1

)(21 WtWtv hxh s)('

21

'

WtWtv hxh s

(1)

タイプI(海洋型)の地震動 01.cW

)R.(.

).R.(.R.

).R(.

c

L

LL

L

W

4002

401067033

1001

タイプII(直下型)の地震動

RL : 繰返し三軸強度比で、式(2)により求める

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繰返し三軸強度比

)14()14(106.17.1/0882.0

)14(7.1/0882.05.46

aaa

aa

LNNN

NNR

(2)

砂質土の場合: 211 cNcNa

'

1 [170/( 70)]vN N s

)%60(120/

%)60%10(50/)40(

%)10%0(1

1

FCFC

FCFC

FC

c

)%10(18/)10(

%)100(02

FCFC

FCc

礫質土の場合: 15010 )}2/(log36.01{ NDNa

FC: 細粒分含有率(%)(粒径75μm以下の土粒子の通過質量百分率D50: 平均粒径(mm); N: 標準貫入値

N1: 有効上載圧100 kPa相当に換算したN値; Na: 粒度の影響を考慮した補正N値; c1, c2: 細粒分含有率による押値の補正係数

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FL :液状化に対する抵抗率

R : 動的せん断強度比

L : 地震時せん断応力比

cw : 地震動特性による補正係数

RL : 繰返し三軸強度比で、式(2)により求める

rd :地震時せん断応力比の深さ方向の低減係数

khg : レベル2地震動の地盤面における設計水平震度

sv : 全上載圧(kN/m2)

s’v : 有効上載圧(kN/m2)

x : 地表面からの深さ(m)

t1 :地下水位面より浅い位置での土の単位体積重量(kN/m3)

t2 :地下水位面より深い位置での土の単位体積重量(kN/m3)

’t2 :地下水位面より深い位置での土の有効単位体積重量

(kN/m3)

hw :地下水位の深さ(m)

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地震動特性による補正係数cw

(主動部継続時間の長さの差異によるもの)

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ただし、液状化に対する抵抗率FL≧1の場合にはFL =1とする

液状化指数PL:

0(1 )(10.0 0.5 )

H

L LP F x dx (3)

液状化の判定を行う表層地盤の厚さHは20m以内とする

液状化指数PL >5の場合は液状化の判定対象となる