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先端課題に対応したベンチャー 事業化支援等事業 データ利活用促進支援事業:データ駆動型イノベーションを 実行するプラットフォーム・プロセス支援 【報告書概要版】 2016年3月

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先端課題に対応したベンチャー事業化支援等事業

データ利活用促進支援事業:データ駆動型イノベーションを

実行するプラットフォーム・プロセス支援

【報告書概要版】

2016年3月

1

Copyright© 2016 KOZO KEIKAKU ENGINEERING, Inc. All Rights Reserved.

概要DDI促進の実証型事業として、ベンチャー等企業のデータを利活用した新事業を促進・支援する。支援は、IMDJプロセスを用いて行い、異なるタイプの9件の企業・グループの新事業検討を対象とし、うち4件は事業化に向けた自律的活動へと進展した。

※3:Data Jacketsを略記。データの概要情報をまとめたメタデータ。データ利活用企業(とデータホルダー)は、DJを介して実データを用いずにデータ利活用方法の検討をする事ができる。

※4:東京大学大澤教授が提唱するDJを用いた複数関係者による知識デザイン手法 Innovators Marketplace® on Data Jacketsの一連のプロセスを指す。DJ、KeyGraph®、イノベーションゲーム®等の要素技術から構成される。

背景平成26年度調査事業※1では、データ駆動型イノベーション(DDI※2)創出に向けてDJ※3からデータの利活用アイデアを生むIMDJプロセス※4の有用性が示された。他方、参加企業がアイデアを実現に向けて駆動する動きは弱かった。

※1:「我が国経済社会の情報化・サーヒス化に係る基盤整備 (データ駆動型イノベーション創出に関する調査事業) 」経済産業省の委託に基づき株式会社構造計画研究所が実施。

※2:Data Driven Innovation を略記。

注釈

事業の概要(1)

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マッチング支援

データ利活用方法の検討支援

<付録> 支援内容とプロセス

複数関係者による知識デザインのメソドロジー

車両情報

閲覧履歴

企業情報

企業情報

地価調査

SNS

設置場所

設置場所

広告配信

広告配信

アンケート危険度マップ

危険度マップ

設置場所

気象情報

使用ログ

プロープデータ

販売情報車両情報

検討開始ゴールの

共有・ 明確化

シナリオの

明確化検証・ 実証

•強力なデータ利活用推進者

•ビジネスリーダー•参加メ ンバー間の調整役

•コアとなるデータの理解者

•市場の理解者

•ビジネス推進者•想定サービスに必要なデータ保有者、 技術者

• ( 手法の啓蒙)• ( I MDJ体験会)• メ ンバー招集、紹介

•スケジュール/役割分担の設定

•データ分析による検証•協力者の招集、 紹介

必要な役割

PFの支援

データ利活用推進者によってビジネスアイデアの検討が開始された状態

「 ビジネス実行・ 成功上のゴール」 と 「 データ利活用上のゴール」 を明確にする状態

ゴールに向けた戦略シナリオと分析シナリオ( 実現可能なデータの組合せと処理) を明確にする状態

実データの入手や組合せ処理等を行い、 課題がないか確認する状態

P0 P1 P2 P3

DDIはやりたいが、具体的イメ ージ弱い( 入口Ⅲ)

やりたいことがある程度明確( 入口Ⅰ)

使いたいDJは明確( 入口Ⅱ)

着目するDJとそこに繋がるDJを用いた、 ゲーム型IMの実施

関係しそう なDJを用いた、 ゲーム型IMの実施

ゴールを明確化するための要求分析( AP)の実施

上記を実現するための要素表出化・ データ概要情報記載の詳細化

分析シナリオの構築/ 関係性マッ プを用いたシナリオの創出( 論理的IM)

検証・ 実証

戦略シナリオの構築

シナリオの明確化

ゴールの共有・ 明確化

検討開始

コア企業 (群) データ・技術

ヒジネスニーズ

データ・技術

ヒジネスニーズ

データホルダー・

サポート企業

マッチング支援

■ゴールの共有■DJ・要求に基づくアイデア■データの分析シナリオ構築・検証

DJ DJ

DJを用いた検討・検証

要求

実行意欲の高いコア企業の選出

ヒジネス実行の促進

データ利活用支援

ヒジネス実行の意欲の高いコア企業に対し、支援事項として以下2点を実施した。

<支援の流れと支援事項>

IMDJプロセス

DJを用いた支援手法により、データ・変数に着目させ、ヒジネス上の要求を満たすデータ利活用上のゴールとその実現に必要な分析シナリオの構築を支援する。

支援対象企業とプラットフォーマの人脈等からサポート企業を集め、検討体制を構築する。参加企業間の目的をすり合わせ共通の目標の設定を支援する。

DJの例

DJのタイトル インフラ画像のモニタリング

データの概要首都圏の主要道路の劣化診断のための撮影画像

データに含まれる変数

画像、撮影日時、緯度、経度、標高、、

データの種類 数値データ、自然言語データ

データの収集方法専用車に内蔵したGPS及び車下に装着したカメラで収集している

DJの記述例

実現体制の構築

論理的思考による、データ利活用シナリオ

事業の概要(2)

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課題の要因と対策

「組織・分野を超えたデータ利活用のアイデアが実現に至らない」課題について以下の方針で対策を行った。

課題の要因 対策と想定する効果

○ビジネス上のゴールばかり議論してしまう。

○ジャストアイデアを沢山出すことを重視してしまう。

○データ利活用アイデアについて可能性を十分に検証せず放置してしまう。

○データ利活用上のゴールを明確にする。⇒データ分析シナリオの構築が進

めやすくなる。○ゴールを実現するための、データ分析シナリオを明確にする。⇒データを用いて実現可能性を確認

し、仮説検証が進めやすくなる。○シナリオを構築して検証し、更に修正ができるダイナミックなプロセスを提供する。⇒様々な可能性の検証がなされ、

成功に結びつく可能性が高まる。

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ゴールイメージ(ヒジネス・データ等

複合的な意味合い)

DJ群

・DJとゴールの関係が曖昧、期待が多い結びつき

・検証・実証に繋がりにくい

ジャストアイデア

IMDJで目指す

アイデア

データ利活用上のゴール

・データ分析シナリオを明確化(論理的な関係性を強化)

・検証・実証しやすくなる

DJ群

具体的なデータ利活用の方法を検討するためには、曖昧なゴールではなく、データ利活用上のゴール(データから得るべく知見/仮説)を設定する必要がある。

データ利活用上のゴール

ビジネス上のゴール

ゴールを明確化して共有

データ利活用上のゴールの設定

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データ利活用の検討は、データ利活用上のゴールを 実現するパスを、データの変数レベルに着目してシナリオを構築することが必要である。

分析シナリオの記述

1. 必要な・入手可能性のあるデータを定義する。

2. データ利活用上のゴールとして、データから知りたい知見を定義。

3. その知見が、どのようサブゴールにより成り立つか記述する。

4. 各サブゴールが、どのデータのどの変数を結合・分析することで導出できるか記述する。

5. サブゴールの組み合わせにより、データ利活用上のゴールを満たす分析シナリオを構築する。

ゴールを実現する「分析シナリオ」

仮説検証のための 「分析シナリオ」ー 仮説検証プロセスの擬似コード記述 ー

アイデア:会員アプリを使った猛暑日のセールスプロモーション(クーポン配信)

利用データ売上データ(日時,店舗名,住所,商品,販売数量)過去の気温データ(日時,緯度経度,気温)天気予報(日時,緯度経度,予想気温)会員位置情報(会員ID,現在時刻,緯度経度)

データ利活用上のゴール会員の現在地から、最寄店とその場所の気温に応じた売れ筋商品を提示

サブゴール ( ゴールの実現にあたりデータから導出すべき知見 )1. 気温と過去の販売データから、暑い日の売れ筋商品を発見する2. 会員位置情報から現在地の気温を特定する3. 会員位置情報から最寄り店舗を計算する4. 現在地の気温に合わせて、適切な商品と最寄店舗を算出する

分析シナリオ<サブゴール1>• 気温が高い日は特定の商品の売上が高い

get 販売数量,日時,緯度経度 from 売上データmerge 気温 from 過去の気温データwith [日時,緯度経度] to 売上データanalyze 販売数量 by 気温 , get 商品リスト

> 気温25-30℃の時 : 飲料B,C / 30℃以上飲料F,氷菓子D,G<サブゴール」2>• 会員の位置情報から気温を特定できる

get [現在時刻,緯度経度] from 会員位置情報,return 予想気温 from 天気予報 ,linked by [時刻,緯度経度]

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分析シナリオ構築

データ利活用上のゴール

ビジネス上のゴール

DJ (データ)

アイデア

要求

データから導出すべき仮説・知見 各DJで実行可能な

アクション

要求の仮説化

実施体制の構築実現リソースの検討データ入手交渉

アイデア

検討の過程で、不足しているデータに気づき、新たなデータ入手の交渉を始めるなど、分析シナリオを構築・検証していけるようなダイナミックなプロセスを提供する必要がある。

Action Planning

DJの動詞化

ヒジネスニーズ社会的要請保有データ・技術実現リソース各社の意向・都合

ヒジネスイメージ

Innovation Game

検証・実証

〈IMDJプロセスによるデータへの着目を高めるプロセス設計>検討開始

戦略シナリオ

仮説検証・修正を可能にするダイナミックプロセスの提供

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9件の内、 件の支援案件が事業化に向けた自律的活動へ進展した。

ゴールを設定し、それを実現するシナリオ構築のプロセス

• 新事業のビジネスイメージの構築・合意を優先をしている。

• 親和性の高い複数企業により構成されている。

メンバー構成

事業創生タイプ単独企業

親和性が高い複数企業

オープンな関係の

複数企業

ヒジネスイメージ優先型 ◎ ◯データ・技術優先型

テーマ先行型

データ利活用上のゴールの共有・明確化

ヒジネス上のゴールに加え、データ利活用上のゴールを明確にする。

分析シナリオの構築具体的にデータ・変数を利用をしてどのように実現できるかをシナリオとして検証可能にする。

成果 : 4

検討企業がビジネスイメージを優先

検討開始(あいまいなゴール・ジャストアイデア)

成功条件 :

プラットフォーマによるIMDJプロセス・データに着目した検討の促進

異なるタイプの支援ケース・結果から傾向を抽出。以下の条件がデータ利活用ヒジネスの実行に有利に働くことが確認された。

• データへの着目を高め、論理的な議論を誘発・補助するためのメソドロジー。• 検討企業の状況やタイプに合わせた柔軟なプロセス設計と不足する視点の提供。

成果と成功条件

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単に、データの概要情報を集めカタログ化するだけに留まらず、ダイナミックなデータ利活用の検討プロセスの整備と提供が重要である。

• 本事業を通じ、東京大学及び株式会社構造計画研究所にて長年研究・実践されてきた「IMDJプロセス」及び創造的認知科学に基づく「知識デザイン手法」がDDI創出に対して有効であることが示された。

単に、関係者が集まり議論するだけに留まらず、データへの着目度を高め、データ利活用上のゴールを設定し、その実現シナリオを具体的に検討することが、DDI創出に有効である。

DDI創出を促進させるための知見