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産学連携によるイノベーション人材育成への期待 2018年1月27日 経済産業省産業技術環境局 大学連携推進室長 飯村亜紀子 日本工学会 科学技術人材育成コンソーシアム 9科学技術人材育成シンポジウム (於:東京理科大学 森戸記念館第1フォーラム)

産学連携によるイノベーション人材育成への期待...産学連携によるイノベーション人材育成への期待 2018年1月27日 経済産業省産業技術環境局

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  • 産学連携によるイノベーション人材育成への期待

    2018年1月27日

    経済産業省産業技術環境局

    大学連携推進室長 飯村亜紀子

    日本工学会 科学技術人材育成コンソーシアム第9回 科学技術人材育成シンポジウム(於:東京理科大学 森戸記念館第1フォーラム)

  • 1.Society5.0/Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」(平成29.5.29 産業構造審議会新産業構造部会とりまとめ)

    2. 産業界のニーズの実態に係る調査

    (平成29.5.22 第10回理工系人材育成産学官円卓会議)

    1

  • 今、何が起こっているのか? ~技術のブレークスルー~

    実社会のあらゆる事業・情報が、データ化・ネットワークを通じて自由にやりとり可能に(IoT)

    集まった大量のデータを分析し、新たな価値を生む形で利用可能に(ビッグデータ)

    機械が自ら学習し、人間を超える高度な判断が可能に(人工知能(AI))

    多様かつ複雑な作業についても自動化が可能に(ロボット)

    → これまで実現不可能と思われていた社会の実現が可能に。

    これに伴い、産業構造や就業構造が劇的に変わる可能性。

    データ量の増加 処理性能の向上 AIの非連続的進化

    世界のデータ量は2年ごとに倍増。

    ハードウェアの性能は、

    指数関数的に進化。

    ディープラーニング等によりAI技術が

    非連続的に発展。

    2

  • Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

    個人の課題解決 新たな経済社会システム

    産業:Connected Industries

    技術:第4次産業革命

    目指すべき将来像:Society5.0 ⇒グローバル展開

    その壁を打ち破った先に、どのような社会を目指すのか

    個々人の、日本の、世界の抱える課題にタブーなく、いち早く挑戦し、解決を目指す、それぞれの真のニーズに対応する社会。

    変革期に必要な若者の情熱と才能を存分に解き放ち、それゆえ、人材が育ち、世界からも才能が集まる社会。

    新技術等をいち早く取込み、スピーディかつグローバルに展開・刷新することで、未来を変える期待感にあふれる社会。

    AI等の技術革新・データ利活用により、今までは対応しきれなかった、個人の真のニーズ(移動困難者や交通事故を減らす、病気になる人・要介護者を減らす等)に対応。

    人生100年時代、1人1人が能力を高め続けることで、何度も輝ける社会にすることができる。国内で人材が育てば、世界からも才能が集まってくる。

    日本の強みの1つは、先進技術をいち早く取り込み、モノをグローバルに展開・刷新していく力。これまでも新たな技術を現実の世界に応用し、グローバルな課題を解決。

    不確実性の時代だからこそ、多様性とチャレンジを一層許容し、アントレプレーナーシップ(起業家精神)に富む社会。

    仕事によって、能力が最大限発揮できる「ピーク年齢」は異なる。データ×AIの分野は、「ピーク年齢」が低く、若者の能力が突き抜けている。若者の力を解き放つことが必要。

    絶え間ないイノベーションにより、成長と格差是正の両立を実現する世界に類を見ない社会。 第4次産業革命技術を、都市、大企業だけでなく、地域、中小企業、高齢者にも拡げることで、生産性向上、賃金上昇の好循環を日本に生み出す世界初の最適化モデルを目指す。

    指数関数的な時代、もはや個人、企業、社会全体がマインドセットを変えて、従来の規制の枠組み等にとらわれないアントレプレーナーシップ(起業家精神)に富む必要。

    年齢、性別、国籍、人種といった全ての面で多様であることが、「データ×AI」の均質化圧力の下で、より一層新たな価値を生む。進展する市場のグローバル化への対応としても多様性は必要。

    これからは、世界の課題を解決する等、未来を変える期待感こそが富を生み出す時代。後手後手に回らないよう、常に変化を生み出す側にいる必要。

    社会全体として、働き方も変わる中、生涯にわたって有意義で価値ある仕事と充実した暮らしを送れる社会にしていく必要。これに応じるセーフティネットを再構築していく。

    Society5.0(超スマート社会):「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会。」(第5期科学技術基本計画)

    Connected Industries:技術革新をきっかけとする第四次産業革命を踏まえ、目指すべき未来社会像であるSociety 5.0を実現するための産業の在り方。多様な人、組織、機械、技術、国家がつながり、新たな付加価値を創出し、社会課題を解決していくもの。

    日本の目指すべき将来像、Society5.0を実現し、社会的、構造的課題を解決しつつ、それを経済成長に繋げていく。

    ①不確実性の時代に合わない硬直的な規制

    新たな技術やビジネスモデルの試行錯誤を許容しない規制

    業規制による新規参入抑制等

    ②若者の活躍・世界の才能を阻む雇用・人材システム

    座学中心、文理の壁、専門領域縦割り教育等

    終身雇用・年功序列、職務内容無限定 等

    ③世界から取り残される科学技術・イノベーション力

    経営層のリーダーシップを阻む大学システム(学内統治、国の資金に依存した財政基盤)

    外部からの健全なプレッシャーによる価値創造に向けた競争の欠如等

    ④不足する未来に対する投資低調な科学技術予算年配教授偏重による、若手研究

    者へのしわ寄せ(任期付研究員の増加)

    人生100年時代、高齢者が何度も輝けるようになっていない等

    ⑤データ×AIを使いにくい土壌/ガラパゴス化

    過度な「自前主義」 データサイエンスプログラムの不足高いデータ処理コスト データ利活用に関する理解度の

    欠如 等

    ・・・

    打ち破るべき壁

    3

  • 中長期的に求められる5つの課題:①不確実な時代に合ったフレキシブルなルール

    <新技術の普及率は加速度的に上昇> <日本のビジネス環境ランキングも低下傾向>

    <成長領域への多様な挑戦を促す制度が必要> <海外におけるレギュラトリーサンドボックス>

    資料: 産業構造審議会 新産業構造部会(FU会議) MIT CSAIL Prof. Daniela Rus “Toward the Fourth Industrial Revolution” (2016.7.14) *「 起業家精神に関する調査」において「起業者・起業予定者である」との回答を得た割合 資料:日本再興戦略(2013、2014、2015 、2016)

    出所:各種報道発表

    新技術の普及率が90%になるまでに要する期間(米国)

    例1.シンガポール:小切手の電子化

    ○2016年8月、日立と三菱東京UFJがシンガポールにおいて小切手の電子化を対象とした技術活用の実証実験を開始。

    ○小切手の電子化を対象としたブロックチェーン技術活用の実証実験。小切手業務における偽装や紛失の恐れを解消し、決済期間の短縮化を目指す。

    例2.英国:電子的に株式を管理、取引

    ○Otonomosは、ブロックチェーン技術を活用し、民間企業の株式を電子的に表示するプラットフォームを提供し、保有株式の管理、オンライン取引、株式名義変更等を可能することを実証する。

    従来の政策手法では国際的にも大きく立ち遅れガラパゴス化してしまう懸念がある。今こそ「実証による政策形成」に舵を切らなければならない。

    参加者や期間を限定することにより、「まずやってみる」ことを許容する枠組みを、既存の枠組みに囚われることのない白地の形で創設すべき。

    規制があるため、試行錯誤を通じたデータ等の蓄積が出来ず、具体的なニーズを証明できない。

    具体的なニーズが証明されなければ、規制改革に踏み切ることができない。

    規制当局イノベーションの社会実装を目指す企業

    悪循環

    イノベーションの成果を新たな付加価値の創出に繋げるためには、試行錯誤のための社会実証を積み重ねることが不可欠。

    出所:未来投資会議(第8回) 竹中議員提出資料4

  • 中長期的に求められる5つの課題:②変革を起こす若者の育成と多様な活躍の後押し

    <先進的なシリコンバレーの若き創業者> <日本でも、若者が多くの革新を行ってきた>

    井深大 38歳盛田昭夫 25歳

    東通工創業 1946吉田松陰1859

    明治維新の思想的指導者29歳没

    松下電器創業 1917

    松下幸之助 24歳井植歳男 16歳

    出所:産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)安宅委員 発表資料 を一部改変(2017.2.13)

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    29

    Ranking Market cap(Re:)

    Net profit

    ICT companies

    資料: 産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)安宅委員 発表資料を一部改変 (2017.2.13)

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    <未来を変える期待感が富につながる時代に> <日本に、より多くのグローバルベンチャーが必要>

    出所:産業構造審議会 新産業構造部会(第14回)伊佐山委員 発表資料 (2017.3.14)

    出所: World Stock Market Cap by Think 180 around (Dec 2016)

    時価総額ランキング(単位:10億ドル)

    Jeffrey Bezos(53歳)Amazon

    アメリカ生まれ

    ※創業時:31歳出所:産業構造審議会 新産業構造部会(第14回)伊佐山委員 発表資料を一部改変 (2017.3.14)/malme-pro.s3.amazonaws.com

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  • 中長期的に求められる5つの課題:③科学技術に対する社会的再評価

    <「科学技術立国」としての地位の揺らぎ>

    出所:産業構造審議会 新産業構造部会(第14回)伊佐山委員 発表資料 (2017.3.14)

    <理工系の学生の数自体が足りない>

    資料: 構造改革徹底推進会合 文科省提出資料(2017.2.23)

    <修士課程修了者の進学率も低下傾向> <要因の一端は、雇用に対する不安>

    出所:構造改革徹底推進会合 文科省提出資料(2017.2.23)

    Number of science and technology graduates(10k/year)

    Ratio of science and tech major student

    (% 2012)Population(millions)

    ※理工系:工学、科学、数学、物理など(医学、薬学は含まず)

    資料: 産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)安宅委員 発表資料 (2017.2.13)

    出所: OECD Graduated by field of education (http://stats.oecd.org/Index.aspx?DatasetCode=RGRADSTY#)

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  • 中長期的に求められる5つの課題:④未来に対する潤沢かつ果敢な投資

    <科学技術予算が低調>

    出所:OECD Dataset: Main Science and Technology Indicators/Government-financed GERD as a percentage of GDP (May 2016)

    <大学の資金力、資金調達の多様性に大きな差>

    <一方で、足下、約100兆円の社会保障費> <2030年代、3人に1人は65歳以上>

    出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」、総務省「人口推計」より経済産業省が作成

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    0.2

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    0.6

    0.8

    1

    1.2

    フラン

    スドイツ

    日本

    韓国

    英国

    (注1)2016年4月現在、2014年度のフランス、ドイツ、米国、OECEDのデータは未登録。また、中国は2001年、2002年のデータが未登録。(注2)上記出典(government-financed GERD)の研究開発費は、研究開発を行う機関から報告されるデータに基づくものであり、国内で行われた研究開発のみを対象としている。また、地方政府が資金提供する研究開発費を含んでいる。(注3)1.1.5.6 主要国の科学技術関係予算対GDP比の推移の計算に用いた研究開発費(出典OECD Science, Technology and R&D Statistics/ Main Science and Technology Indicators/ Total Government Budget Appropriations or Outlays for R&D – GBAORD (million current PPP$)(Feb 2015)は、資金提供する機関のデータに基づくものであり、国内で行われた研究開発費だけでなく、海外の研究開発に対する支払い、国際機関への支払いを含んでいる。なお、地方政府が資金提供する研究開発は含んでいない。

    科学技術関係予算対GDP比の推移

    (注1) 事業収入構成の比較対象校については、Times Higher Education World University Rankings (2014-2015)における上位5校に加え、州立大学であるカリフォルニア大学バークレー校を東京大学と比較した。 (注2) 大学部門のみの収入で比較しており、病院部門を含まない。 (注3) オックスフォード大学及びケンブリッジ大学の運営費交付金は、高等教育財政審議会(HEFCs)が交付する補助金額を記載している。また、研究審議会から交付される補助金である研究プロジェクト経費は、研究受託収入等に 含まれる。 (注4) ケンブリッジ大学のその他項目には、ケンブリッジ大学英語検定等試験収入(3.2億ポンド)及びケンブリッジ大学出版局による出版収入(2.6億ポンド)が含まれる。 (注5) カリフォルニア大学バークレー校の寄付金の額は、資産運用益に含まれる。また、政府からの研究受託収入の額は、運営費交付金に含まれる。 (注6) 東京大学の研究受託収入等は、科学研究費補助金が含まれる。また、寄附金は、寄附金を含む雑収入の額を記載している。 出所: California Institute of Technology “2013 Annual Report”(2014年5月)、同 “Financial Statemens”(2014年1月) 、Harvard University “Financial Report”(2013年11月) 、University of Oxford “Financial Statemens 2012/13”(2013年12月) 、Stanford University “Annual Financial Report”(2013年8月)、University of Cambridge “Annual Report of the General Board to the Council”(2014年3月)、University of California, Berkeley “Annual Financial Report 2012-13”(2014年2月)、東京大学 平成24年度決算の概要について(2013年10月)、Fraunhofer - Gesellschaft “Annual Report 2012” (2013年3月)

    出所:厚生労働省「平成25年度国民医療費」、厚生労働省「平成26年度介護給付費実態調査」、厚生労働省「平成26年財政検証結果」国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」、上田・米田・太田「日本の財政運営において必要とされる収支調整幅の大きさ」、中澤・酒井・佐藤「介護費用の長期推計」、内閣府「中長期の経済財政に関する試算(平成28年1月21日)」より経済産業省が作成。

    ※医療費は、2014年までは実績値、2015年は予算額ベース、2016年以降は平成28年度診療報酬改訂の影響を織り込んだ上で、一人当たり年齢階級別医療費の伸び率が、一人当たり名目GDP伸び率に等しいと仮定して、推計を行った。※ 年金給付費は、厚生労働省「平成26年財政検証結果」のケースF(変動なし)-所得代替率50%を維持した場合-の結果を基に推計を行った。※ 介護費は、一人当たり年齢階級別要介護度別介護費の伸び率が、一人当たり名目賃金上昇率に等しいと仮定して、推計を行った。※ 名目GDP比は、厚生労働省「平成26年財政検証結果」のケースF(変動なし)の前提を基に推計を行った。

    7

    (%)

  • 中長期的に求められる5つの課題:⑤データ×AIを使いやすい土壌作り/国際貢献

    <データの巨人との戦い> <データサイエンスのプログラムが圧倒的に不足>

    <データ処理コストが高い> <データ利活用に係る各国の国家戦略>

    検索、ポータル

    ヤフー(日本)

    eコマース

    楽天

    チャット

    LINE

    SNS系

    ミクシィ

    日本のみでは

    0.32

    資料: 産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)安宅委員 発表資料 (2017.2.13)

    出所:各種Web記事、ヤフーと楽天はYahoo! JAPAN調べ (2015)

    500+

    120~30

    201720162015

    資料: : 産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)安宅委員 発表資料 (2017.2.13)

    出所: TEDxTokyo 2016 “Shin Nihon” by Kaz Ataka (2016.10.22)

    資料: 産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)安宅委員 発表資料 (2017.2.13)

    出所: IEA Energy Prices and Taxes (OECD為替レート使用)ヤフー実績値

    ×5~10

    TohokuKyushuU.S.

    Japan

    cost of industrial electricity (yen/kwh)

    月間利用者数(単位:億人)

    8

    (学位プログラム数)

  • 第4次産業革命の第1幕(ネット上のデータ競争)では、プラットフォームを海外に握られ、「小作人化」した産業もある 第2幕(これからの主戦場)は、健康・医療・介護、製造現場、自動走行等、現実世界の「リアルデータ」を巡る競争へ 競争領域と協調領域を切り分け、「リアルデータのプラットフォーム」を創出・発展させていくことが必要⇒AI・データ等の利活用により、従来対応できなかった「社会的・構造的課題=個人の真のニーズ」に対応可能に⇒日本の強みを活かし、第2幕で、日本にイノベーションを生み出す「リアルデータプラットフォーム」を創出

    Society5.0・Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

    解決される課題・ニーズ

    ①「移動する」

    ③「健康を維持する・生涯活躍する」

    ②「生み出す・手に入れる」

    ④「暮らす」

    産業構造・就業構造の変革

    (ヒトの移動、モノの移動)

    戦略4分野 横断的課題

    免許非保有者約4000万人、最寄りバス停・鉄道駅から1km圏外に居住236万人→移動困難を限りなく解消 等

    労働生産性の伸び率:製造業2%、サービス業2%を上回る継続的な向上 温室効果ガス排出の削減:2030年度に2013年度比▲26% 等

    健康寿命を5歳延伸、平均寿命と健康寿命の差を短縮 2035年時点での推定要介護者数816万人を半減、介護離職を限りなくゼロ 等

    住民満足度・地域の活力向上(公共データのオープン化等による住民のための利活用) 災害に強く、治安のよい街(災害による想定死傷者数半減*、犯罪率減少)

    ルールの高度化

    人材育成・活用システム

    地域・中小企業システム

    イノベーションエコシステム

    経済の新陳代謝システム

    社会保障システム

    データの利活用を促進するための制度整備

    (健康、医療、介護)

    (「新たな街」づくり、シェアリング、Fintech)

    新たなオープンクローズ戦略を支える知財・標準ルール

    規制改革(日本版レギュラトリーサンドボックス等)

    人材投資・育成の抜本拡充(能力・スキルを自ら継続的にアップデートする人材の育成等)

    日本型雇用システム(メンバーシップ型雇用)見直し/柔軟かつ多様な働き方の実現(兼業副業等)

    世界トップの技術・知見の集約(CoE構築)

    産学連携・大学改革によるオープンイノベーション好循環を生み出すベンチャーエコシステムの構築

    中長期的な企業価値向上や円滑な産業構造・就業構造転換に資する制度整備(データ、ヒト、モノ・技術、カネ等)

    第4次産業革命の地域・中小企業への拡大

    【主な対応の方向性】【主な経済社会システム】

    戦略分野のリアルデータプラットフォームの構築

    個別化された社会保障/公的保障と自助の組合せ/セーフティネットの強化

    (スマートサプライチェーン等)

    事故死亡者:国内3,904人・世界125万人、交通事故:国内49万件・世界数千万件→運転手に起因する事故を半減

    *首都直下型地震による想定死傷者数(2025年時点推定):2万3千人

    将来的には、戦略4分野におけるプラットフォーム同士の連携の可能性(例えば、「食」)

    我が国の強み:①多様で活用性の高い「リアルデータ」の蓄積②「モノ」の強さ=先進技術をいち早く取り込み、モノを刷新し続ける力③グローバルに見た社会課題の先進性・大きさ=「必要は発明の母」

    ⇒Ⅰ:モノの強みを活かしたアプローチ、Ⅱ:課題解決のためのアプローチ

    9

  • 1.Society5.0/Connected Industriesを実現する「新産業構造ビジョン」

    (平成29.5.29 産業構造審議会新産業構造部会とりまとめ)

    2.産業界のニーズの実態に係る調査(平成29.5.22 第10回理工系人材育成産学官円卓会議)

    10

  • 理工系人材育成に関する産学官円卓会議 概要

    ■趣旨産学官の対話の場として「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」を設置。同会議において、産業界で求められている人材の育

    成や育成された人材の産業界における活躍の促進方策等について、産学官それぞれに求められる役割や具体的な対応を検討。

    ■検討事項(1)産業界の将来的な人材ニーズを踏まえた大学等における教育の充実方策(2)企業における博士号取得者の活躍の促進方策(3)初等中等教育等における産業を体感する取組の充実方策など理工系人材育成戦略を踏まえた産学官の行動計画について

    ■開催実績平成27年5月から平成28年7月にかけて9回開催。平成28年8月2日に「理工系人材育成に関する産学官行動計画」

    を取りまとめ。平成29年5月にフォローアップ会合。また、平成28年12月、同会議の下に「人材需給ワーキンググループ」を設置し、産業界のニーズに係る実態調査について議論し、

    理工系人材の質的充実・量的確保に向けた対応策を検討。

    <産業界>内山田 竹志 トヨタ自動車(株)会長

    (日本経済団体連合会)野路 國夫 (株)小松製作所取締役会長

    オープンイノベーション協議会会長(経済同友会)横倉 隆 (株)トプコン特別アドバイザー

    (東京商工会議所(日本商工会議所推薦))須藤 亮 (株)東芝技術シニアフェロー

    (産業競争力懇談会)秋山 咲恵 (株)サキコーポレーション代表取締役社長

    <省庁>常盤 豊 文部科学省高等教育局長末松 広行 経済産業省産業技術環境局長

    <大学等>大西 隆 豊橋技術科学大学学長

    (国立大学協会)上野 淳 首都大学東京学長

    (公立大学協会)藤嶋 昭 東京理科大学学長

    (日本私立大学団体連合会)谷口 功 (独)国立高等専門学校機構理事長神谷 弘一 愛知県立豊田工業高等学校校長

    (全国高等学校長協会)

    【委員】

    11

  • 0.0%

    5.0%

    10.0%

    15.0%

    20.0%

    機械

    輸送機械

    電力・電気機器・回路系

    電子系デバイス

    計測・制御・システム系

    物性、電気・電子材料

    ナノ、マイクロ

    材料化学・工学

    プロセス・化学工学

    化学(理論を含む)

    環境

    エネルギー・資源

    土木

    都市・建築学

    生活・家政

    デザイン

    IT

    ハード・ソフト系

    ITネットワーク・データベー

    IT

    インターフェース系

    IT

    数理系

    IT

    原理系

    情報活用系

    生産・安全・経営・社会

    分子生物学

    生体システム

    先端医療研究

    神経系

    薬学系

    バイオ関連工学

    食品・微生物

    企業における業務で重要な専門分野

    各分野の研究者の研究者数(科研費に採択された研究者の分科別の分布)

    現在の業務で重要な専門分野とその分野に対する大学教育に係る認識

    • 企業における現在の業務で重要な専門分野としては、依然として、機械、電気、土木、ITを選択した者が多く、さらに、いずれの分野についても、企業ニーズが高い。一方、必ずしも企業ニーズが高くない分野でも、研究者が数多く存在している。

    ※産業界の技術者が、企業における現在の業務で重要な専門分野を最大3分野選択。企業の技術系業務に関連が深い専門分野について分析※科研費採択者数:国立情報学研究所 「KAKEN - 科学研究費助成事業データベース」より抽出したデータを基に作成(平成26年1月)

    企業ニーズ>研究者数の割合企業ニーズ<研究者数の割合

    12

  • 0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    機械

    輸送機械

    電力・電気機器・回路系

    電子系デバイス

    計測・制御・システム系

    物性、電気・電子材料

    ナノ、マイクロ

    材料化学・工学

    プロセス・化学工学

    化学(理論を含む)

    環境

    エネルギー・資源

    土木

    都市・建築学

    生活・家政

    デザイン

    IT

    ハード・ソフト系

    ITネットワーク・データベー

    IT

    インターフェース系

    IT

    数理系

    IT

    原理系

    情報活用系

    生産・安全・経営・社会

    分子生物学

    生体システム

    先端医療研究

    神経系

    薬学系

    バイオ関連工学

    食品・微生物

    企業における業務で重要な専門分野

    大学等の研究室の専門分野(男性)

    大学等の研究室の専門分野(女性)

    20.7%

    企業における技術者の出身専門分野の男女比較

    • 大学等における出身専門分野に関して、女性は男性と比べて、機械、電気、土木分野出身の割合が低い、その一方で、化学、生活・家政、デザイン、バイオ系等の割合が高い。

    • 女性の場合、依然として、生活・家政やバイオ系など、産業ニーズが比較的低い分野からの輩出が多い。

    13

  • 工学系学科の学生数、学科別割合

    (資料)「学校基本調査」学科別学生数 文部科学省

    • 工学系学科の学科別の学生数の割合は、約30年間にわたって大きな変化がない。

    平成元年度:37.9万人

    14

  • 大学等への講座、指導方法等に関する要望

    • 技術系職種において、「多様な分野の科目を学べる学科」 に対するニーズが高く、また「企業等との共同研究、より実践的で実社会に貢献できる研究」、「大学に入ってから専門を決められる仕組み」、「自分の専門以外の専門をサブコースとして学べる仕組み」に対するニーズが高い。

    0 50 100 150

    専門科目におけるわかりやすい授業

    大学での科目履修や成績を評価する就職・採用の仕組み

    研究室・ゼミ等の指導教員等によるキャリア形成支援(就職など)

    大学低学年での、仕事で必要な知識(スキル)が何であるかの進路情報の提供

    数学や統計に関する授業

    地域や企業などと共に、何かを作ったり、課題を解決したりする授業・プロジェクト

    低学年からのインターンシップ

    社会や産業界の動向として重要な知識(スキル)を社会人と一緒に学べる特別科目やプログラム

    資格取得支援の授業

    多くの海外留学の機会の提供や、多くの留学生と交流できるキャンパス環境

    大学ならではのアカデミックな研究

    多くの産業界等、社会経験のある教員(研究者)の存在

    低学年から研究ができる仕組み(大学1-3年からの研究室所属)

    ITリテラシー(OfficeソフトやSNS等)の教育

    企業における研究等を体験する中長期インターンシップ

    IT知識・スキル(プログラミング・ネットワーク等)の教育

    社会・産業界の動向として重要な(重要になる)知識を中心に教育・研究が行われる学科やコース

    グループワークやディスカッション(を多く用いた)授業

    大学を卒業してから行う就職・採用の仕組み

    コミュニケーション力、リーダーシップなどを高める授業

    仕事に関わる知識・スキルを学ぶ授業

    自分の専門以外の専門をサブのコースとして学べる仕組み(ダブルメジャー・副専攻の制度など、複数の専門を学べる仕組みなど)

    大学に入ってから専門を決められる仕組み(細分化した学科募集などではなく)

    企業等との共同の研究、より実践的で実社会に貢献できる研究

    多様な分野の科目を学べる学科(学部・学科を横断して学べる仕組み)

    技術系

    15

    (入社1~3年目技術系職種409人による複数回答)

    技術系職種

    ※設問「振り返って、大学・大学院等に、あったら望ましいと思われる指導や仕組み授業等をお選び下さい。」

  • 現在の業務で最も必要な専門知識分野を学んだ場所①(全体、情報系)

    • 全体では、学んだ場所は「大学・大学院」が約50%、「企業内研修」が17%、「働きながら自分で学んだ」が8%となっている。

    • 情報系は「企業内研修」、「働きながら、自分で学んだ」の割合が高く、特に情報ネットワーク、セキュリティ、機械学習等は就職してから学ぶ傾向にある。

    16

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    全体

    機械系

    電気・電子、応用物理、ナノテク系

    化学、化学工学、材料系

    土木、建築・住宅系

    家政・生活、デザイン系

    情報系

    教育・心理系

    社会科学系

    人文科学系

    生物・バイオ系、基礎医学系・先端医…

    医療・健康系

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    計算機システム(アーキテクチャ、LSI設計等)

    基本ソフト(OS、組込みソフト等)

    ミドルウェア(並列分散、仮想化等)

    応用ソフト・アプリケーション(業務ソフト等)

    ソフトウエア基礎(プログラミング、仕様記述等)

    通信工学(通信方式、信号処理等)

    情報ネットワーク(IoT、移動体通信等)

    セキュリティ(暗号、認証、アクセス制御等)

    データベース・検索

    マルチメデイア情報処理・情報生成

    機械学習、ニューラルネット等

    統計学応用・統計科学

    WEB情報学(セマンティックWEB等)

    情報デザイン(コンテンツ、インターフェイス等)

    (単数回答)

  • MOOCなどオンライン講座で学ぶ利点と課題

    • 利点の上位は、「時間の自由が利く」、「費用が安い」、「通勤中スマホ・タブレットでも見られる」等となっている。

    • 課題の上位は、「どこのオンライン講座が良質なのか判断がつかない」、「双方向ではないため学びや知識が深まらない」、「自己管理が必要で確実な履修が難しい」等となっている。

    14%

    12%

    12%

    12%11%

    9%

    9%

    9%

    7%

    5%

    どこのオンライン講座が良質なのか判断がつかない双方向ではないので学びや知識が深まらない自己管理が必要で確実な履修が難しい実践的なスキル習得ができないそもそもどんなオンライン講座があるのか探せない費用が高い学びたい(学ばせたい)講座がない、講座のメニューが豊富ではない学んだことが、仕事で評価されにくい(評価しにくい)会社からの褒賞がない産業界に必要に知識・スキルに関する講座が少ない

    40%

    15%

    15%

    11%

    8%

    6%5%

    時間の自由が利く 費用が安い

    通勤中スマホ・タブレットでも見られる 入学・履修に対しての敷居が低い

    メニューが豊富である 有名講師の良質講座が多い

    修了証書が出る

    利点(技術系職種・複数回答) 課題(技術系職種・複数回答)

    17

  • (参考1)産業界の人材の専門知識ニーズに関する調査

    産業界が求める大学・大学院教育と、現在行われている大学・大学院教育の専門分野に係るギャップを明らかにするために、産業界の社会人を対象としてアンケートを実施。並行して、大学(高専・大学院卒を含む)を卒業して3年以内の社会人を対象に就職も含めた大学から就職後の学び等に関してのアンケートも実施した。

    アンケート回答者属性・実施日• 20歳以上~45歳未満で、高等専門学校

    以上を卒業した、産業界で働く社会人を対象に2017年1月20日から1月25日にかけてWEBアンケートを実施。

    アンケート回収数• 分析対象の回答者として、正規雇用である

    全53業種の技術系職種人材10,366人、非技術系職種人材21,888人より、結果を回収。

    アンケート項目・手順等• 回答者は、大学等の研究室における専門分

    野(1分野)、現在の企業における業務で重要な専門分野(最大3分野)等を回答。

    • 専門分野は、科研費の細目に対応した265の細目に分類。

    • 並行して実施した就職アンケートでは2014年~2016年までに大学等を卒業し、現在、産業界で働く社会人を対象に、就職活動、就職後の学び等についてアンケートを実施(正規雇用1,444人から回収)。

    技術系職種 男女計 女性 非技術系職種 男女計 女性

    技術系職種計 10,366 1,684 非技術系職種計 21,888 8,153

    製品系

    基礎・応用研究、先行開発 901 186 事業推進・企画、経営企画 1,994 517

    設計・開発のプロジェクトマネジャー 370 52 コンサルタント(ビジネス系等) 231 68

    設計 936 130 商品企画、マーケティング 515 213

    開発 507 93経理・会計・財務、金融・ファイナンス

    2,153 926

    生産技術(プラント系) 274 21 法務、知的財産・特許 455 159

    生産技術(プラント系以外) 444 46 人事・労務・研修 897 380

    製造・施工 1,079 124 総務 1,814 791

    生産管理・施工管理 709 75 営業、営業企画、事業統括 5,183 1,040

    品質管理・評価 647 156 宣伝、広報、IR 281 139

    運用・保守・メンテナンス・維持管理、サービスエンジニア

    323 26 サービス・販売系業務 1,977 802

    技術営業・セールスエンジニア 112 12 一般・営業事務 4,311 2,802

    技術系企画・調査・コンサルタント 208 26 調達、物流、資材・商品管理 578 153

    システム系

    IT・システム系の基礎・応用研究、先行開発 270 50 輸送・運搬、清掃、包装 434 32

    システム系エンジニア(プロジェクトマネージャー) 565 73 保安(警察・消防・警備等)等 483 50

    システム系エンジニア(設計) 672 109 経営者、会社役員 582 81

    システム系エンジニア(開発) 892 182

    システムの運用・保守、アドミニストレーター(一般企業等のシステム担当も含む)

    720 127

    システムの技術営業・セールスエンジニア・SIer

    216 30

    システムの技術系企画・調査・コンサルタント(一般企業等のIT企画・社内コンサル含む)

    165 37

    コンテンツ系

    コンテンツ制作・編集(Web、アプリ、グラフィック、デザイン、動画、ゲーム、アニメ等)

    356 129

    技術系職種

    女性非技術系

    職種女性

    高専 697 102 661 243

    学士 6,762 1,212 19,581 7,460

    修士 2,627 324 1481 402

    博士 280 46 165 48

    委託調査先:(株)シーズ、学校法人河合塾

    職種

    最終学歴

    18

  • (参考2)入社1~3年目の職種別回答者数

    • 入社1~3年目は1,444人、そのうち、技術系職種は409人、非技術系職種は1,035人から回答を得た。

    技術系職種 男女計 女性 非技術系職種 男女計 女性

    技術系職種計 409 156 非技術系職種計 1,035 702

    製品系

    基礎・応用研究、先行開発 65 23 事業推進・企画、経営企画 61 34

    設計・開発のプロジェクトマネジャー 9 6 コンサルタント(ビジネス系等) 17 13

    設計 36 11 商品企画、マーケティング 32 20

    開発 19 9経理・会計・財務、金融・ファイナンス 86 56

    生産技術(プラント系) 5 1 法務、知的財産・特許 19 7

    生産技術(プラント系以外) 10 3 人事・労務・研修 43 32

    製造・施工 29 10 総務 74 56

    生産管理・施工管理 15 3 営業、営業企画、事業統括 238 134

    品質管理・評価 33 17 宣伝、広報、IR 14 12運用・保守・メンテナンス・維持管理、サービスエンジニア 13 2 サービス・販売系業務 131 92

    技術営業・セールスエンジニア 4 2 一般・営業事務 272 228

    技術系企画・調査・コンサルタント 10 2 調達、物流、資材・商品管理 16 8

    システム系

    IT・システム系の基礎・応用研究、先行開発 20 7 輸送・運搬、清掃、包装 16 5

    システム系エンジニア(プロジェクトマネージャー) 11 4 保安(警察・消防・警備等)等 9 2

    システム系エンジニア(設計) 21 7 経営者、会社役員 7 3

    システム系エンジニア(開発) 58 25システムの運用・保守、アドミニストレーター(一般企業等のシステム担当も含む) 24 8システムの技術営業・セールスエンジニア・SIer 9 6システムの技術系企画・調査・コンサルタント(一般企業等のIT企画・社内コンサル含む) 4 2

    コンテンツ系

    コンテンツ制作・編集(Web、アプリ、グラフィック、デザイン、動画、ゲーム、アニメ等) 14 8

    技術系職種

    女性非技術系

    職種女性

    高専 12 3 5 2

    学士 219 97 932 656

    修士 152 48 83 38

    博士 26 8 15 6

    最終学歴

    職種

    19

  • 専門基礎科目の必要性(数理・データサイエンス・学部共通基礎)

    学部

    企 業

    必要性は低い

    (役立つ業務は少ない)

    必要性は高い

    (多くの業務で役立つ)

    必要性は高い(全ての学生に必要)

    必要性は低い(必要とする学生は少ない) 大 学

    平均点(5点満点)の散布図プロット平均点は,「必要性は高い」5点~「低い」1点として算出

    20

    (平成29年3月10日 大学における工学系教育の在り方に関する検討委員会)平成28年度文部科学省「理工系プロフェッショナル教育推進委託事業」 「工学分野における理工系人材育成の在り方に関する調査研究」

  • ② ヒアリング調査結果

    海外大学では,非常に実践的な教育が行われている

    アメリカ:

    ドイツ:

    日本:

    ●「具体的なテーマを解決するために必要な技能を修得する」というアプローチの授業が主(例:ある部品を加工するのに,どんな知識と加工技術が必要か)

    ●1学期間のインターンシップ/プロジェクト学習は必修である

    ●授業の中で,ある技術に関する専門知識だけではなく,その技術の応用性,市場ニーズの対応性などをきちんと教える

    ●試験: 参考書や電卓などの持ち込みは自由

    ・ 実際に働く職場では「電卓などを使ってはいけない」ということは決してない

    ●内容が実践的で,実技の授業数(例:加工機械の操作)も多い

    ・ 企業が実際に抱えている課題等を取り上げるケースが多い

    ・ 一般的な工学教育の中で応用数学を中心とする授業を展開(確率論,ベース統計等)している

    ●実践的な教育事例もあるが,数は少ない

    ・ 実社会に関わる課題解決型の授業は少なく,技術の応用・展開に関わる内容も少ない

    ●インターンシップの実施は多いが,実施期間が1週間以内のケースが多い(欧米では,3~6カ月の実施が主)

    ・ 企業側に長期間のインターンシップを受け入れる体制がない

    平成28年度文部科学省「理工系プロフェッショナル教育推進委託事業」 「工学分野における理工系人材育成の在り方に関する調査研究」c

    21

  • 解決のための方策案:

    1.産学連携PBL授業の実施・企業(「産学連携コンソーシアム」参加企業など)から解決したいと思う課題を募集する。大学教員と企業関係者からなるPBL課題選考委員会で検討し,PBL授業として実施する課題を選考する。提案企業(スポンサー企業)は研究費(奨学寄付金等)を支援。

    ・工学系学科横断的な科目として開講し,複数の学科・分野(たとえば,機械,電気電子,デザイン,情報,建築など)の学生5〜6名からなる複数のチームを編成して各課題を実施する。場合によっては複数の学年にまたがりチームを編成する。

    ・指導体制は,大学教員,提案企業の担当者,上級生TA等からなるアドバイザーグループが指導,進捗管理などを担当。

    ・産学連携PBL授業を行うことによって,産業界の方にも大学教育に関わってもらうことができ,教員負担の増大を抑制し,予算の不足を補うことができる。

    ・限られた教員リソースの活用のためには,既存の演習授業を産学連携PBL授業に振り替える,専門基礎科目の講義部分を電子教材に置き換えるなど,抜本的な授業改革が必要である。

    ・PBLとしては,この他,学生が自ら課題を発見し,その解決策をチームで検討し提案するものなども行うべきである。

    平成28年度文部科学省「理工系プロフェッショナル教育推進委託事業」 「工学分野における理工系人材育成の在り方に関する調査研究」

    22

  • AI先端研究人材の育成の必要性

    23(出典)人工知能技術戦略(人工知能技術戦略会議 とりまとめ) (平成29年3月31日)

    大学院における年間養成規模を暫定的に試算した例(人/年)

    ※1 人工知能技術戦略会議 人材育成TFにおいて調査。筑波大・早大は平成27年度入学者数。その他は平成27年度修了者数を母数。※2 各大学の人工知能技術関係の研究科・専攻等を対象に、「当該研究科・専攻等の入学者又は修了者数」×「当該研究科・専攻等のうち人工知

    能に関する研究を行っている研究室の割合」をもとに、人工知能技術に係る人材を試算(人工知能技術関係の研究室に所属する学生の実数が把握できたものは実数をもとに計算)

    ※3 博士人材数も、修士と同様の方法で算出。

    • AI先端研究人材育成の規模・スピードは、圧倒的に不足。

    54.5 50.9

    118 116

    51

    81.790.6

    56.4

    98.4

    83

    63.3

    9 13.619.3 23

    6

    20.5 19.112.6 16.9 9 6.4

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    北大 東北大 東大 東工大 名大 京大 阪大 九大 筑波大 早大 慶應大

    修士 863.8人

    博士 155.4人

  • IT分野以外の専攻において当該分野の知識を有する学生数(試算)

    他方、産業界から不足が指摘されているIT分野の知識を有する学生は、情報技術分野の学部・学科に留まらない。文系のみでなく、理工系の他学部・学科においても相当程度(※延べ数)の規模で存在。

    24

    受講科目別・所属別の延べ学生数(試算)

    参考:文部科学省『平成28年度学校基本調査』の「関係学科別学生数(1年次~6年次)」

    試算方法:(株)大学成績センターの履修履歴データベースから抽出した受講科目別・所属別の学生数を、文部科学省『平成28年度学校基本調査』の「関係学科別学生数」の学生割合を用いて、受講科目別、所属別の学生数に拡大・試算した。

    全体 文系 理系 その他

    計 2,567,030 1,264,029 865,917 437,084

    ※文系は「人文科学」、「社会科学」等※理系は「理学」、「工学」、「農学」、「保健」等※その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」等 より整理

    ネットワーク基礎 50,496 16,634 33,862 21,407 1,073 537 565 10,280

    プログラミング 425,348 111,837 313,511 188,231 29,456 11,127 32,563 52,134

    確率・統計学 120,055 11,381 108,674 33,438 16,211 4,095 18,159 36,771

    情報理論 62,104 10,930 51,174 40,244 367 141 56 10,365

    信号処理 72,327 169 72,158 51,824 2,852 0 395 17,086

    機械学習(人工知能) 3,502 141 3,361 1,807 113 0 0 1,440

    回路理論 56,201 28 56,173 39,934 1,384 28 56 14,770

    理系機械 その他

    電気・

    情報系

    化学・

    生物系

    建築・

    土木系

    文系

  • enPiTにおける大学と企業との協力の例(enPiT: education network for Practical information Technology)

    25

    平成29年3月29日 人材需給ワーキンググループ取りまとめ(文部科学省、経済産業省)

    (1) 講義内容の設計や教材作成に協力(実施例)■短期集中合宿のプログラム立案を参加大学・連携企業等を含めたWGで検討し、科目の設定と講義の分担を決定。■共同研究で得られた知見を、最先端のセキュリティ演習教材作成に活用。■産学で用いる参考書の提供。

    (2) 講義を担当(実施例)■実務家の観点から、基礎知識学習指導と応用知識のための実務における最新動向について講義。■短期集中合宿の一部講義を、参加大学教員と連携企業の社員が実施。

    (3) PBLに実務課題を提供、PBLで学生を指導(実施例)■短期集中合宿において、連携企業から講師を招聘し、当該企業で実際に使用している手法を用いて開発を実施。■PBLにて分析対象とするデータの提供、PBL実施中の学生への指導、PBL最終報告会における審査。■各種集中演習において連携企業の実務家から指導。■参加大学と連携企業を含めたWGにより、分散PBLの期間中、学生からの問い合わせや技術指導を担当。

    (4) 成果報告会での助言やコメント(実施例)■連携企業の社員と参加大学の教員が出席し、実社会での有効性や技術の先進性など多面的な指導を実施。■成果発表会に参加して、PBLの成果として学生が発表する内容への助言や指導を実施。

  • 26

    理工系人材の需給マッチングに向けた大学協議体の設立・産業界との連携加速

    • 平成28年8月に取りまとめた「理工系人材育成に関する産学官行動計画」に基づく「人材需給ワーキンググループ」の議論を踏まえ、大学側の産業界に対する要望意見の集約を行うため、国公私大の学部長等により組織される「大学協議体」を設立(平成29年12月)。

    • 大学協議体と産業界が実務レベルにおいて、要望に関する意見交換を実施し、寄附講座等の産学が連携した教育活動の構築・実施や調査等に基づく政策提言の取りまとめ等を実施予定。具体的な事業内容については現在検討中。(情報分野、絶滅危惧分野等、特定分野のマッチングから具体的に動かしていく予定)

    大学協議体と産業界の対話(3月末実施予定)

    対話

    産業界代表

    教育機関

    ○○分野

    経済団体等委員推薦

    大学関係団体等委員推薦

    大学関係団体等 を通じて情報発信

    経済団体等を通じて

    情報発信

    大学協議体

    情報分野(H29年度取組 開始予

    定)

    ・・

    経済団体等

  • 新経連による産学連携での人材育成(大学協議体と連携提案)

    27

  • 28

    博士課程人材を対象とした「中長期研究インターンシップ事業」

    • 若手研究人材の育成にあたっては、産学と共同した人材育成の取組が重要。

    • 博士課程人材の企業内中長期研究インターンシップ(2-3ヶ月)を通じ、優秀な博士人材を産学で育成(現在企業34社、14大学が参画)。

    ■インターンシップマッチングの仕組み■産学協働イノベーション人材育成協議会参加企業・大学一覧

    ○参加大学 14大学東京大・京都大・東北大・筑波大・東京工業大早稲田大・東京理科大・お茶の水女子大・大阪大大阪府立大・神戸大・奈良女子大・九州大・鹿児島大

    ○参加企業(社格略) 34社三菱電機、ダイキン工業、花王、京セラ、JNC,シスメック

    ス、東レ、島津製作所、清水建設、住友化学、住友電気工業、住友電装、住友履行、住友林業、大日本印刷、竹中工務店、DMG森精機、電力中央研究所、巴川製紙所、日本触媒、日本ゼオン、日本総合研究所、日本電信電話、パナソニック、富士フイルム、日立化成、日立金属、堀場製作所、三菱重工業、村田製作所、ヤフー、楽天、リコー、ロート製薬

    (注)産学協働イノベーション人材育成協議会( http://www.c-engine.org/ )は、平成26年に経産省にて行った検討会を前身として設立。

  • 190

    567

    930

    1567

    670

    141 205

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    1400

    1600

    H26 H27 H28 H29

    登録学生数

    マッチング数

    29

    「中長期インターンシップ事業」の登録学生数(累計)とマッチング数(累計)推移

    (H29.11時点)

    • 加盟大学の博士課程在籍者数約12,000名に対し、現在、学生登録数が累計約1,600名、マッチング件数は累計約200件、。

    • 若手を大学の外に出し、産業界とともにイノベーション人材を育成する事に対して、学内の理解・協力を一層得ることが課題。

    (名)

  • • 米国SBIR制度の被採択企業の代表者は、7割以上が博士号取得者。

    • 学問分野では、物理学+化学+生命科学で3割以上。

    30

    イノベーションを創出する科学者

    SBIR:Small Business Innovation Research

    ・米国連邦政府の外部委託研究費の一定割合(2016年度3.0%)を同制度に拠出するよう法律で義務付け

    ・3段階選抜の賞金(グラント、コントラクト)

    ・ 各省庁の科学行政官が、研究テーマを極めて具体的に設定

    山口栄一「科学者とは何か」情報管理 2015年 Vol.58 No.6

  • ポイント

    • Society5.0を担う人材とは

    • 人生100年時代のリカレント教育(学びなおし)のニーズへの対応

    • MOOCsなど、EdTechの活用可能性

    • 産業界の求める人材とのギャップ(質・量・スピード)は依然存在(例)専門性×IT人材

    • 産学連携による先端人材育成(共同研究、インターン)

    - 工業会、学協会の担う役割:人材像の共有

    - 企業、大学の担う役割:具体的な場の提供、活動

    • おわりに:イノベーションと理工系人材

    31