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愛知感染予防ネットワーク
嘔吐・下痢 おむつ交換と吐物処理 (汚染拡大防止)
2011/1/15 愛知医科大学看護学部 看護実践研究センター
諏訪 美栄子
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医療関連感染とは
• 病院(院内)感染
医療施設内において、患者や医療従事者の生
体内に侵入した微生物により発生する感染症
• 医療関連感染
近年、さまざまな医療施設や在宅ケアなどでの
感染も多くなっているため、病院(院内)感染と
いう呼び方ではなく医療関連感染と呼ぶように
なってきている
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医療関連感染
在宅ケア
デイケア 介護施設
病院
・入浴サービス
・訪問看護 など
・通所リハビリ ・ショートステイ
など
・診療所 ・医院(開業医)
・歯科医院 など
・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設
など
感染性胃腸炎とは…?
多種多様の原因による
• 原因となる病原体
細菌、ウイルス、寄生虫など多種多様
• 臨床症状は
発熱、腹痛,下痢、悪心、嘔吐など
• 病原体
細菌性…腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、
など
ウイルス性・・・ノロウイルス、ロタウイルス、腸管アデノウイルス、など、
寄生虫・・・クリプトスポリジウム、アメーバなど
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医療関連感染対策の目的
• 感染を減らすことである
• 感染を広げない、移さない、
もらわない
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感染経路
• 感染経路は、基本的にノロウイルスが口から入り、消化器に達して主に腸管で増殖して感染する。ノロウイルスが口に達する経路は様々
• 感染性胃腸炎の原因となる病原体の中でも、ノロウイルスは他の病原体と異なり、経口感染や接触感染のみならず、飛沫感染や空気(粉塵)感染を起こすことが最近になってわかってきた
• これらの感染経路を理解することが、予防する上で大切である
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1 経口感染
• ウイルスに汚染された食品(二枚貝)を、生または十分に加熱しないで食べた場合
• 感染した人が調理して食品や水が汚染され、それを食べたり飲んだりした場合
2 接触感染(糞口感染)
• 感染した人の便や吐物にふれ、手指をとおして口から入った場合
• 感染した人の手指や感染した人が触れた衣服、器具等に接触し、手指をとおして口から入った場合
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3 飛沫感染 • 患者の便や吐物が飛び散り、その飛沫(ノロウイルスを含んだ小さな水滴、1~2m飛散)を吸い込んだ場合
• 便や吐物を丌用意に始末したときに発生した飛沫を吸い込んだ場合
4 空気(粉塵)感染 • 患者の便や吐物の処理が丌十分なため、それらが乾燥して飛沫よりもさらに細かい粒子となって空気中を漂い、それを吸い込んだ場合。この場合感染源からかなり離れた場所でも、感染する可能性がある(絨毯、シーツ、寝衣などの汚染は速やかに片付ける)
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予防方法
1 手洗い・うがいの励行
最も基本的なことは、手洗い、うがいの励行(特にトイレの後、便や吐物を処理した後、調理の前、食事の前など) 手洗いは石けん(液体石鹸が望ましい)を使用し、しっかりと流水で洗い流す
2 食品の十分な加熱
ウイルスは熱を加えると死滅するため、ウイルスが含まれている可能性のある食品は、中心部までよく加熱する
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消毒
• ノロウイルスに対しては、熱湯(85℃
1分)または、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効
• 調理器具の消毒が大切。まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯による消毒が有効です
• ウイルスが付着した衣服や器具、施設なども消毒する必要がある
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患者の便、吐物の処理
患者の便、吐物には多量の病原微生物が含ま
れているため、取扱いには十分注意が必要
• バケツに1リットルの水と16.6mlのピューラックス
(6%次亜塩素酸ナトリウム)を入れ0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを作る
• 新聞紙やペーパータオル、ビニール袋を準備
• 床などにある便や吐物を処理する時は手袋を使用
し、マスクやエプロンを着用してください。ま
た、処理する時は、換気を十分に行ってください
何%の濃度? どうやって計算するの?
• 6%の次亜塩素酸ナトリウムで
0.1%の次亜塩素酸を作る
• (0.1÷6)×1000=16.6
• 1000mlの水に16.6mlの6%次亜塩素酸を入れると0.1%の濃度の薬液ができる
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ppmとは?
• ppm( parts per million)
100万分のいくらであるかという割合を示す単位。主に濃度を表すために用いられる
100万分の1の意味。百万分率ともいう
• 1ppm = 0.0001%
• 10ppm = 0.001%
• 100ppm = 0.01%
• 1,000ppm = 0.1%
• 10,000ppm = 1% 19
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吐物・便の処理方法
標準予防策 • マスク
• プラスティックエプロン
(ゴーグル)
• 手袋
便・吐物処理の方法
便には多くの病原微生物が混入しているため、
介護職員、看護職員が病原菌の媒介者となるの
を避けるため、取り扱いには注意が必要である
☆排泄介助をする場合は、必ず使い捨て手袋を使用し、1ケアごとに手袋を取り替える?
・汚れたオムツを外すとき
・新しいオムツを着けるとき
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便・吐物処理の方法
オムツ交換の方法は実にさまざま 1.使用する「オムツ」の違い ・紙オムツ使用の施設
・フラットタイプ・テープタイプ・パンツタイプ
2.清拭方法 ・微温湯を使いながら洗い流す
・蒸しタオル等で拭きとる ・その他の方法で清拭
3.職員対患者 ・職員が、一人で一人の患者のおむつを交換する
・2人の職員がペアになって一人の患者のおむつを交換する
☆どのような方法が病原微生物の
汚染拡大を最小限にできるか?
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便・吐物処理の方法
• 丌潔な手袋でカーテンや布団、ドアノブなどに触れない
• 排泄物はビニール袋等で密封し、ふた付容器に入れゴミ処理場へ移動、廃棄する
• 床、ベット等に落ちた排泄物はすばやく拭き取り0.1%次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
• 汚染された衣類等はビニール袋等で密封し処理する
• 排泄介助、排泄物の処理後は十分な手洗い、手指消毒行う
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便・吐物処理の方法
• オムツ交換・・・丌潔な手袋でカーテンや布団
に触れない
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ここまで処理したら汚染を広げないように手袋を交換しましょう
便・吐物処理の方法
• 清潔な手袋で新しいオムツに交換する
手袋を交換しないと・・・
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便・吐物処理の方法
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便・吐物処理の方法
• 必要物品
• バケツ
• 新聞紙
• 次亜塩素酸
ナトリウム
• ビニル袋2枚
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吐物・便の処理方法
• 十分に換気できるように窓を開ける
• 0.1%の次亜塩素酸ナトリウム液を作る
キッチンハイターの場合
0.1%1ℓの次亜塩素酸ナトリウム
(水1ℓに対しキッチンハイター20ml)
ピューラックスの場合
0.1%1ℓの次亜塩素酸ナトリウム
(水1ℓに対しキッチンハイター16.6ml)
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吐物・便の処理方法
• 0.1% 次亜塩素酸ナトリウム液の中に新聞紙を十分に浸し軽く絞る
• 軽く絞った新聞紙で吐物を覆う
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吐物・便の処理方法
• 吐物を包み込むようにして、ビニール袋に入れる(同一面でこすると汚染を広げてしまうので注意しましょう)
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吐物・便の処理方法
• 吐物を入れたビニール袋に0.1% 次亜
塩素酸ナトリウム液を浸るくらいに入れる
• ビニール袋に入れ、口をしっかりと縛り密封しておく
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吐物・便の処理方法
• 吐物を拭き取った後、 0.1% 次亜塩素酸ナトリウム液に漬け軽く絞った新聞紙で覆っておく。その新聞紙で床を拭き。水で濡らした新聞紙で水拭き、乾燥させる
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吐物・便の処理方法
• 水拭きした後の新聞紙も、ビニール袋等に入れて、口をしっかりと縛って密封し廃棄する
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吐物・便の処理方法
• 吐物の入ったビニール袋は、必ず口をしっかりと縛り密封して処理をする(流せるものはそのまま流してかまいません)
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吐物・便の処理方法
• 排便後、必ず蓋をして汚物処理室で処理する
• オムツは袋に入れてしっかりと縛り処理をする
吐物・便の処理方法
• 食器に吐物が付いたときは、必ず洗浄し0.02%の次亜塩素酸ナトリウム液に30分以上漬けてから返すようにする
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吐物・便の処理方法
• ポータブルトイレは処理をした後、内側全体を0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで拭き蓋をして、15分以上おいて洗い流す
• ポータブルトイレの便座の表と裏、手すりなどは、1回/日、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで拭き、15分以上おいて十分に水拭きする
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吐物・便の処理方法
• 排泄物の処理後、個人防護具を脱ぐ順番や方法には十分注意を払う
• 流水下で石鹸を使った手洗いを確実に行う
• 使用したマスクは必ず交換し、うがいをする
http://www.mask.co.jp/shokuhin/epuron/epuron01.htm
手洗い・手指衛生と手袋の着用 ・病原体の伝播リスクを減少させる最も重要 な方法 ・伝播ルートの遮断 患者・医療従事者 別の患者・医療従事者 一人の患者のある部位 別の部位 ・環境への病原体の拡大防止
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手袋をしていれば感染が減る?
手袋を過信しないで・・・
• 手袋を着用するときにも手指衛生が必要
• 手袋にはピンホールの穴があいているかも???
• 手袋を脱ぐときに汚染される可能性がある
• 脱いだ後も手指衛生が大切!!
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★食品を介しての場合
付けない ★吐物・便を介しての場合 ・廃棄物の処理 ・汚染区域と清潔区域 など
広げない
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まとめ
• 医療従事者として、病原微生物(細菌やウイルス)を広げない、 患者に移さない、自分がもらわないようにする • 人はいろんなところを触ってる (病原微生物はいたるところについている) • 手袋を過信しない・・・手指衛生が大切
汚染されやすい場所を理解し、どのようにしたら 病原微生物を広げないよう感染対策 をとることができるのかが重要
病原微生物は目で見ることができないことを忘れないで
感染予防をしましょう
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