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Company Profile 企業名 所在地 電話番号 http://www.kitakami-s.co.jp 北上産業株式会社 埼玉県さいたま市岩槻区 古ヶ場2丁目2-8 048-795-0333 北上産業株式会社では、ドライラミネート工程での廃熱を有効利用する ため、CO2熱風ヒートポンプを導入。ドライラミネーター(熱風乾燥炉) の稼働時間が長く、安定して廃熱を回収できることから、大幅な省エネ 化、CO2排出量の削減を実現した。 廃熱の有効活用による大幅なコスト削減 ドライラミネート工程における廃熱の回収・再利用によって一次エネルギー使用量を 削減し、大幅な省エネ効果が期待できることが評価された。 北上産業株式会社は1996年に設立 され、主に食品パッケージ用プラス チックフィルムの包装資材加工を行 なっている。業界屈指のラミネート (圧着)技術を有し、カード用スリー ブケースなどの製造も手がけ、その 高い技術力が評価されている。 2006年に現在の場所に移転した後 は、いち早くVOC回収精製装置を導 入するなど、省エネルギーや環境問 題対策にも積極的に取り組んでいる。 導入の決め手 北上産業株式会社さま 軟包装資材製造加工 エネルギー使用量削減 ドライラミネート工程にCO2熱風ヒートポンプを導入す ることにより、同工程での一次エネルギー使用量を45% 削減することができた。 ●一次エネルギー使用量 算出条件 ◎電力・・・・・・9.97MJ/kWh(*1) ◎都市ガス・・45.0MJ/Nm 3 (*1) *1:エネルギーの使用の合理化に関する法律 CO2削減 従来システムと比較して同工程でCO2排出量を42%削 減することができ、環境負荷の低減に大きく貢献した。 ●CO2排出量 算出条件 ◎電力・・・・・・0.550kg-CO2/kWh(*2) ◎都市ガス・・2.230kg-CO2/Nm 3 (*2) *2:地球温暖化対策の推進に関する法律 ランニングコスト削減 従来システムと比較して、同工程でランニングコストを 56%削減することができた。 システムの安定性向上 長時間稼働するドライラミネーターの安定した運転を実 現することができた。 また、立ち上げに時間を要さず、停止から再始動まで全 自動運転であるため、従業員への作業負担も軽減できた。 メリット CO2熱風ヒートポンプ ※グラフ数値は北上産業㈱提供資料より 「CO2熱風ヒートポンプ」の導入により 廃熱を乾燥工程へ有効活用 大幅な省エネ化を実現 北上産業で製造されている包装用フィルム 従来システム 導入システム ■一次エネルギー使用量 45%削減 100% 100% 55% 44% ■ランニングコスト 従来システム 導入システム 56%削減 42%削減 ■CO2排出量 従来システム 導入システム 100% 58% これからの時代 ものづくりに電気 抵抗加熱 アーク・プラズマ加熱 誘導加熱 遠赤外加熱 ヒートポンプ 電化厨房 電磁波加熱

熱風ヒートポンプ」の導入により 廃熱を乾燥工程へ …...北上産業 製造部 課長 田村 昌律氏 外気 北上産業株式会社さま 省エネ化による経費削減を

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Company Profile

企 業 名

所 在 地

電話番号

http://www.kitakami-s.co.jp

北上産業株式会社

埼玉県さいたま市岩槻区

古ヶ場2丁目2-8

048-795-0333

北上産業株式会社では、ドライラミネート工程での廃熱を有効利用するため、CO2熱風ヒートポンプを導入。ドライラミネーター(熱風乾燥炉)の稼働時間が長く、安定して廃熱を回収できることから、大幅な省エネ化、CO2排出量の削減を実現した。

廃熱の有効活用による大幅なコスト削減ドライラミネート工程における廃熱の回収・再利用によって一次エネルギー使用量を削減し、大幅な省エネ効果が期待できることが評価された。 北上産業株式会社は1996年に設立

され、主に食品パッケージ用プラスチックフィルムの包装資材加工を行なっている。業界屈指のラミネート(圧着)技術を有し、カード用スリーブケースなどの製造も手がけ、その高い技術力が評価されている。2006年に現在の場所に移転した後は、いち早くVOC回収精製装置を導入するなど、省エネルギーや環境問題対策にも積極的に取り組んでいる。

導入の決め手

北上産業株式会社さま軟包装資材製造加工

エネルギー使用量削減ドライラミネート工程にCO2熱風ヒートポンプを導入することにより、同工程での一次エネルギー使用量を45%削減することができた。●一次エネルギー使用量 算出条件◎電力・・・・・・9.97MJ/kWh(*1)◎都市ガス・・45.0MJ/Nm3(*1)

*1:エネルギーの使用の合理化に関する法律

CO2削減従来システムと比較して同工程でCO2排出量を42%削減することができ、環境負荷の低減に大きく貢献した。●CO2排出量 算出条件◎電力・・・・・・0.550kg-CO2/kWh(*2)◎都市ガス・・2.230kg-CO2/Nm3(*2)

*2:地球温暖化対策の推進に関する法律

ランニングコスト削減従来システムと比較して、同工程でランニングコストを56%削減することができた。

システムの安定性向上長時間稼働するドライラミネーターの安定した運転を実現することができた。また、立ち上げに時間を要さず、停止から再始動まで全自動運転であるため、従業員への作業負担も軽減できた。

メリット

CO2熱風ヒートポンプCO2熱風ヒートポンプ

※グラフ数値は北上産業㈱提供資料より

「CO2熱風ヒートポンプ」の導入により廃熱を乾燥工程へ有効活用大幅な省エネ化を実現

北上産業で製造されている包装用フィルム

従来システム 導入システム

■一次エネルギー使用量

45%削減100%

100%

55%

44%

■ランニングコスト

従来システム 導入システム

56%削減

42%削減

■CO2排出量

従来システム 導入システム

100%

58%

これからの時代 ものづくりに電気

抵 抗 加 熱 アーク・プラズマ加熱 誘 導 加 熱 遠赤外加熱 ヒートポンプ 電 化 厨 房電磁波加熱

北上産業㈱ 製造部 課長田村 昌律氏

外気

北上産業株式会社さま省エネ化による経費削減を目指してプラスチックフィルム加工はいくつかの段階に分かれるが、ドライラミネート工程では、接着剤を乾燥させるため、多大なエネルギーを消費する。北上産業株式会社では、ドライラミネート工程の乾燥熱源に蒸気ヒーターによる熱風乾燥炉を使用してきた。しかし、ガス価格の高騰などによって燃料費が増大したため、経費の削減を目指し、全社一丸となって省エネ対策の検討を開始した。「より良品質の製品を提供していくためにも燃料費の上昇による影響を抑えなければならない。そのため省エネを図り、経費を削減していくことは喫緊の課題でした」

コスト削減の鍵となった廃熱の有効活用工場全体の省エネ化を検討する中で着目されたのが、ドライラミネーターからの廃熱の有効活用だった。ドライラミネーターに使用する熱風の温度は60~90℃であり、従来は蒸気ヒーターを用いて直接外気を昇温する必要があったが、60℃ある廃熱を回収器を用いて熱源水とし、

高効率な「CO2熱風ヒートポンプ」で昇温すれば大幅なエネルギー消費量の削減が図れる。導入にあたっては、日本電技株式会社からドライラミネート工程をカバーするヒートポンプ乾燥システムの構築について提案を受け、すぐにシステムの導入に踏み切った。「ドライラミネーターへのCO2熱風ヒートポンプ導入に係わるシステム構築の提案も十分に理解できる内容にまとめていただき、とにかく、すべてのスケジュールが早く進みました。さらに補助金制度が活用できたことも後押しとなりました」製造部 課長 田村氏CO2熱風ヒートポンプの導入を決めてからわずか10ヵ月後の2015年1月に運用が開始された。ドライラミネーターは同社が有する設備のなかでも極めて稼働率が高く、年間約8,000時間にもおよぶ。ドライラミネート工程の稼働を止めることは、同社としても重要な問題であることから、従来式の都市ガスボイラをバックアップに備え、乾燥システムの継続性を重視したシステムとした。CO2熱風ヒートポンプの導入により、一次エネルギー使用量は45%削減、ランニングコ

CO2熱風ヒートポンプ

敷設されたダクト系統

蒸気

都市ガスボイラ

■ 生産工程■ 設備概要

※ドライラミネートの場合

※上記工程の一部は協力会社において実施

企画・設計

ラミネート

スリット

出 荷

検 品

エイジング

デザイン

製 版

印 刷

品質検査

包 装

製 袋

乾 燥

圧着ラミネート

接着剤塗工

ヒートポンプ乾燥システム「WECON」〔日本電技㈱〕CO2熱風ヒートポンプ〔㈱前川製作所〕・加熱能力:108.1kW ・熱風風量:92.0m3/min

■ システムフロー図

ドライラミネータードライラミネーター

ドライラミネーター

80℃

蒸気ヒーター廃熱

回収器

乾燥排気

乾燥排気

CO2熱風ヒートポンプ

熱風

熱源水

排気

【取材:2016年2月】

ストは56%削減でき、その効果は額にして700万円にもなるという。また、CO2熱風ヒートポンプは1日のうち30~45分程度の待機時間があるものの、停止から再始動まで全て自動運転であるため、従来のシステムと比較して従業員の作業負担は限りなく軽減され、作業効率の向上にもつながっている。

業界を牽引する環境への取り組み同社は、VOC(揮発性有機化合物)排出規制が義務化されると、いち早く吸着式VOC処理装置・回収精製装置を導入し、環境省 VOC対策功労賞や日本印刷産業連合会 奨励賞を受賞した。さらに、環境に配慮した工場として日本印刷産業連合会によるGP(グリーンプリンティング)の認定や「さいたま市CSRチャレンジ企業」の認証を受けており、環境問題にも積極的に取り組んでいる。今回のCO2熱風ヒートポンプ導入は、従来は屋外へ棄てられていた廃熱を回収し有効利用することでCO2を42%削減し、環境への負荷を低減できる点でも大きな成果をあげている。将来的には、ヒートポンプ乾燥システムを増設することも視野に入れており、さらなる環境に配慮した工場づくりを目指している。「ヒートポンプ乾燥システムを導入して以降、同業他社からの問い合わせが非常に多く、関心度は高いと思います。今後も環境配慮への取り組みについては積極的に進めていき、業界をリードしていきたいと考えています」製造部 課長 田村氏

これからの時代 ものづくりに電気

〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13-7 日本橋大富ビル6F TEL.03-5642-1733 FAX.03-5642-1734一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター

出典:これからの時代 ものづくりに電気 Vol.5/2016年3月発行