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特集:カラー実体配線図付き,予算5万円台で楽しむ真空管オーディオアンプ
- ∵∴∴ ∴
綱 撥 説 話 醗 i繍
∴.∴
∴ ∴‘、-∴ ∴ ∴∴∴一∴一∴∴
∴ ∴ ∴∴∴∴\
はじめに
これまでにも5万円以下あるい
は3万円以下の初心者向けのアン
プをという特集が組まれてきまし
た 今回の企画は予算5万円台と
のこと,これまでもう一歩のとこ
ろで我慢してきた真空管アンプが
実現できるのではないかと.パワ
ーアンプをまとめることにしまし
た それば 家庭での使用には十
分な10Wの出力を出せる.EL34
を使ったプッシュプルアンプです.
これまでは いくら電卓をはじい
ても5万円以下ではどうしても予
算オーバーとなっていました
5極出力管の中でも,EL3∠=ま
人気があるだけでなく小柄なわり
に出力が取れ 音質にも定評があ
る優れた真空管です.製作側の多
くは 最大出力と物理特性の観点
からウルトラリニア(UL)接続と
しています.
58
5万円台の予算で実用的なアンプを製作したのが
本戦.出力管にはEL34を採用し,3結プッシュプ
ル動作で出力10.5Wを得た.初段の12AY7で増
晒したあと,12AU7で位相反転してEL34をドラ
イブ 出力トランスは染谷電子のA76-8K48Pを
使用し,SiCショットキーバリアダイオードとチ
ョークコイルを使用して低ノイズの直流を供給.
製作を容易にするため,CR類は平ラグ板に取り
付け.シャシーはプライマーを薄くスプレーした
あと,シルバーハンマートーン塗料で仕上げた.
ここでは,コストの制限から大
型の電源トランスのみならず 大
出カの出力トランスも使えないの
で 出力はさておき3極管接続
のプッシュプルアンプとして昔
質重視で進めることにしましだ
EL34のデータシートには3極管
接続(3結)のプレート特性と動
作例も掲載されていて.3極管接
続のプッシュプル動作は,控えめ
の最大出力(19W)ながら音質の
観点からも優れた選択肢の1つ
です.最大出力は10Wに抑えて
いますがそれでも10Wならば
3008シングルアンプの出力以上
で 不足はないと判断しました
EL34は,ヨーロッパで長期に
わたって改良されてきた5極出力
管の最終形と考えられ 高い電
圧感度に加えてプッシュプルで
は40Wもの出力が取り出せるこ
とから,オーディオ用のみならず
業務用でも広く使われてきましだ
現在でも.楽器用アンプに多く使
われているので ロシアやスロバ
キアで生産されています.そのた
め,現行品を安価で手に入れるこ
とができるだけでなく,ヴィンテ
ージ管でさえ比較的容易に入手可
能です.
出力トランスは価格を考慮する
とそれほど選択肢があるわけでは
なく.本機では筆者の評価してい
る染谷電子の出力トランスA76・
8K48Pとノダチトランス販売の
出力トランスPMF-18P-8kを測
定結果と試聴で比較検討しました
本機は 初中級者にも作りやす
いように内部酉轍の多くを平ラグ
板上に載せ,さらに無調整で完成
させられるように配慮しました
回 路
EL34の3結プッシュプルとい
う基本構成にとって,まず問題に
なるのは負荷インピーダンスをい
MJ
100
〃▲llltMt▲○●i輸1輸311暮
管です.図2を見ると12AX7と
比較してカープが平行に並び 直
線性が良さそうな特性をしていま
す.
アルテック型は直結なので回路
定数の選択は微妙なのですか こ
こでは初段の動作点をプレート
電圧83V,電流0.86mAとして,
P-K分割段での出力を最大とする
条件となりました.
前述のアルテック型ドライブ回
EL34
注l)12AY7.1カッコ内のビン番
00
[図割12AY7のプレート特性(低電流領域)
路が出力段を十分にドライブでき
るのかを確認するために,入出力
特性を測定しました(図3).最
大出力は36VmS,増幅度は30
倍なので EL34のバイアス電圧
26.5Vで決まる出力段の最大入力
電圧18.0VmSと比べても十分余
裕があります.なお.このときの
入力電圧は0.6Vrmsです.
電源回路は前述のようにB電
源の電圧は356.5V,全電流は
EL34(T)
i
IO
l
Oil0.01 0.1 1
[図割ドライブ段の入出力特性
170mAが必要です,これは電源
トランスの290Vタップを使って,
半導体ダイオードで両波整流すれ
!漸うことができます.
平滑回路はチョークコイル
を使ったコンデンサーインプ
ット形とし,チョークコイルは
5H/180mAのもの,コンデンサ
ーは1001ぼ+100〟F/450Vを使
っています.コスト云々といって
も,必要な部品はケチらないのが
ポリシーです.平滑用のコンテン
12A Y7 12A U 7 355V
。h 。。V 2-(蕃 V O畢 ∨ 整 理
8∴三∴∴「∴「.‾ くつ †重 羅 0品 0V 一章 4 害
10 6mA
360V
D
: ∴三三 ∴∴「∴∴∴rA,N。 i 謹 。 LE鞘 pM0-17謝 375V 糊
D H 諾 ’ 切 6・飢 OV
K∴ 維 A 〝 ぁ 6釧 29。∨
320V
鵜 乱か Am V 3A l同 時 ScSlOSKGc
注2)指定なき抵抗はl/2W型、 ‥‾“、.“一’ sw スパークキラー
[国側EL343結ブッシュプルアンプの回路図
MJ
染谷電子の出力トランスA76・8K48P朗,出力10W鯛週アンプ菓88
〔M〕 R封
● “ “≡
0、01 0、T l
入力電圧〔∨〕
ます.なお.特に指定のないもの
はA76-8K48Pを使った測定です.
入出力特性を図10に示します.
歪率の測定結果から最大出力(盃
率4%の出力を最大出力とした)
は10.5Wとなりました このと
きの入力電圧は0.75Vです.な
お.PMF-18P-8kを使ったとき
も特性は同一でした 残留ノイズ
は ボリュームを絞りきった状態
で右チャンネルが0.42mV.電源
側の左チャンネルが0.61mVで
す.
周波数特性(80出力端子,出
力0.5W)を図11に示します.こ
れから帯域幅は20Hz-40kHz
(-ldB)で 無帰還にもかかわ
らず 必要十分な帯域を確保し
ています.出力トランスをPMF・
18P-8kとすると.20Hzで0.5dB
ほど下がりますが 高域は同等で
iOhhnへヽ∪ヽ恥
[図10]入出力特性(80出力.1kHz) 0
24-
68
一-一
〔曽〕K六普請へ
i i i i i
i i●
劃 .● ●● ●● ● 劃 ●● ●
●●
A
P
B P
郎
i川 ii
10 100 1k 10k 100k
周波数〔Z〕
[図11]周波数特性.実線:A76・8K48P,破線:PMF・18P・8k(OdB=0.5W)
特性上での差はほとんどみられま
せん.
DFはオンオフ法で測定し
ました 本機のDFは,A76-
8K48Pを使ったときは,低域か
ら10kHzまで225と一定で若
干小さめですが,試聴する限りで
は問題ありません(図12).いっ
ほう.pMF-18P-8kを使ったと
きは.巻線抵抗が若干大きいので
DFはもう少し小さく2.05とな
りました.
歪率の測定結果を図13に示し
ます.lkHzと10kHzの測定で
は 残留ハムをカットするため
400Hzのローカットフィルター
を使っています.最大出力を歪率
4%のときとすると,前述のよう
に10.5Wとなります.
i i i 川 i l
O A 7 6-8 K 4 8 P
● P M F 18 P・8 k
魅 .
●購 ”●
10 100 1k 10k 100k
周波数〔Hz〕
[図12]ダンピングファクター特性.実線:A76-8K48P,破線PMF-18P-8k
2014/9 65
通常の聴取レベルと考えられる
出力0.1Wでの歪率は0.1-0.2
%で 無糖アンプとしては比較
的低歪率で その出力による変化
は10Wまでほぼ直線的です.当
然のことながら,無帰還3極管ア
ンプに酷似した特性となっていま
す.PMF-18P-8kを使ったとき
も,ほぼ同じカープで重なってし
まうので省略しました
方形波応答波形
純抵抗を負荷としたときの
100Hz,lkHz,10kHzの方形
波応答波形を図14に示します.
100Hzでは若干のサクが見られ
ます.また,10kHzで見られる
小さな波形の揺らぎば 周波数特
性(図11)の50kHz付近の小さ
i
ロ 10 0Hz
0 1 川Z
● 10 kHz
i
,i
S S
“
●- 0 1
0。01 0.1 1 10
出力〔W〕
[図13]歪車特性(A76-8K48P).1kHzと10kHzでは,400Hzローかソトフィルターを使用
】
(a〉100Hz
漢mS 88漢音 88
(c)10kHz
t図14]80純抵抗負荷での方形波応答波形(1V/djv.)
なピークが原因です.試聴した結
果 高域に変な癖を感じなかった
のでそのままにしておきます.
本棟は無帰還なので 安定性
についての問題はほとんど起きな
いのですが 念のため出力端子に
8Qと0.2Iげを並列接続したと
きと,0.2IIFのみを接続したと
きの10kHzの方形波応答波形を
観測しました(図15).負荷8Q
に0.2〟Fを並列接続したときの
波形は8Qのみのときとほとんど
変わりません 負荷に0.2〟Fの
みを接続したときにはリンキング
(振動)が見られますが 素早く
減衰し,安定性に問題が生じるこ
66
漢音漢音
(a)80と0.2uF並列接続
8賀
(b)0.2IIFのみ
[図15]容量性負荷での10kHz方形波応答波形(1V/div.)
とはありません.
試聴とまとめ
アンプの試聴にジェーン・モ
ンハイ下町aking a Chance of
Love』(SK92495)とミケラン
ジェl)(p)/チェl)ビグッケFベ
ートーベンピアノ協奏曲皇帝』
GSSO130-2)を聴きました モ
ンハイトは,オーディオチェック
に使える優秀録音の女性ジャズヴ
ォーカルのCDで しばしばアン
プのチェックに使ってきました
出力トランスがA76-8K48Pの
とま ヴォーカルは艶やかで伸
び伸びと,気がかりだった低域は
ベースの立ち上がりのよい引き締
まった音で一安心です.ピアノ協
奏曲は オーケストラ合奏ではハ
ーモニーの豊かさと.ミケランジ
ェリの弾くピアノが輝かしく透明
[写真7]背面左からRCA入力酷子.80出力端子,右側はACコネクターとヒューズホルダー
で美しいことが印象に残りました.
出力トランスをPMF-18P-8k
としだとざ ジャズヴォーカルで
は声が若く低域がややソフトに聴
こえ,ピアノ協奏曲ではオーケ
ストラの音が軽めに聴こえました
このような傾向なので明るめの音
が好みの人に.また小さい音量で
聴く人向きかなと感じました.
EL343結プッシュプルアン
プは,総合的にはクリアな音と
10Wの最大出力が相まって.十
分満足のいくアンプとなっていま
す.キットの次に製作するアンプ
としてお勧めします.
試聴はCDプレーヤー:マラ
ンツSA-llSⅡ,自作ラインアン
プ(発表予定).スピーカー:ア
ルテック604-8Hのウーファー+
アルテック802D/811Bホーン+
コーラルH-100(ネットワークは
自作).サブスピーカー:アコー
スティックラボ“ボレロ”で行
いました
出力トランスにノダチトランス
販売のPMF-18P-8kに載せ換え
たアンプの外観は写真8です.
なお,使用した出力トランス
A76・8K48Pは以下で購入できま
す.
株式会社染谷電子
〒335-0011埼玉県戸田市下戸田1・18-19
Tm:0484451440,
FAX:048-441-6876
URL:http://www.someyadenshi.co.jp/
:∴
∴ ∴ ∴ . ∴ ∴ ∴
[写真81出力トランスにPMF-18P-8kを使用したときの外観
MJ
< 図 〇 噛 u i Q 宙 持 す ー 」 S 料 合 田 諸 国 >
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舌 モ ー L I T 諮 d 柵 肘 鳴 く ヾ ヾ T e R
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謁 難 事 e 同 語 訓 田 奈 部 下 - ヽ - 舜 柵 ∵ ヾ - し ・ ヾ 7
回 溺 斉 耕 一 甘 く - 要 録 請 . u I 対 語 測 . 小 9 着 涛
血 相 肥 甘 鳴 け ⊂ 小 間 諮 叫 か け 一 ≠ H ヾ ヽ ま 朕 溝
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位相反転段
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◎◎
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位相反転段
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(垂)
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シ_ル峨
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Il〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇10000000〇〇〇’
言∵
-:
十㌧
出力
A7
㊥ ㊥
PMC-170M
〈使用しない範子は省略)
トランス
-8K48P
黒青
㊥黒
◎
薬正確
雫1,-
勘∴ゆ∴
①′㊥
iO景1
nQ漢
音詣
9臆臆漢を案臆臆す
H
IEC電源コネクター
ヒューズ
可I
同町
置i
茜黒