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病院事業地域説明会 平成28年7月 中津川市 病院事業部

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病院事業地域説明会

平成28年7月

中津川市 病院事業部

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中津川市病院事業部 平成28年7月

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はじめに

●医療を取り巻く環境の変化

① 社会保障費の急増・少子高齢化に伴う人口減少(中津川市人口ビジョンより)

中津川市の人口 平成22年:80,910人⇒平成37年:72,748人・老齢人口増加(65歳以上、特に75歳以上増加)

② 国の医療制度改革・医療費適正化計画(医療費抑制)・地域医療構想(病床規模の適正化)への取組み・新公立病院改革プラン(経営基盤の強化)の策定

③ 医師不足・「新臨床研修制度」の影響で都市部に集中・今後、実施予定の「新専門医制度」で更に都市部に集中することが予測さ

れます。

なぜ今、病院改革が必要ですか?

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1.国の課題

▼社会保障費の急増

●団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年

(H37)には現在の医療・介護サービスが維持できない

状態となるため、その対策が進められています。

●後期高齢者の1人当たり年間医療費は約92万円で

国民平均の約3倍といわれており、医療費増加の

主な要因となっています。

●医療費の公的負担は約40%を占め国の大きな負担と

なっています。

●社会保障費の収支バランスが崩壊

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表1)

医 療 情 勢 に つ い て

厚生労働省資料より

社会保障に係る費用の推計

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2.国の対策

▼「医療費適正化計画」

目的:増え続ける社会保障費を抑制、医療の無駄を是正(医療費の抑制)

①診療報酬の引き下げ

●診療報酬とは、国が定める医療保険から医療機関に支払われる対価のこと

●H14年頃より引き下げが顕著となり、多くの病院で経営が悪化

表2)診療報酬改定率の推移

●H14~H20年の累積引き下げは▲7.68%で、平成19年度頃より全国の公立病院の

経営状況が悪化、7割の病院が赤字

●医師不足の影響もあり、病院閉鎖や病院規模の縮小が進んでいます。

3

年 H14 H16 H18 H20 H22 H24 H26 H28

改定率(%) ▲2.7 ▲1.0 ▲3.16 ▲0.82 0.19 0.004 0.1 ▲0.84

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②病床の削減

●「医療介護総合確保推進法」により、県は「岐阜県地域医療構想」を策定しました。

●「地域医療構想」とは

⇒地域の医療需要の将来推計を行い、その地域にふさわしい医療機能を構築

●岐阜県の動き

⇒岐阜県全体で約3,000床、東濃地区で約700床の削減を目標に取り組む

③機能分化(医療機能の集約化)

●機能分化を推進するため、総務省は各公立病院に「新公立病院改革プラン」の策定を指示

●「新公立病院改革プラン」とは

⇒地域医療構想を踏まえた病院ごとの役割の明確化

⇒経営の効率化⇒黒字化を目指す

⇒再編・ネットワーク化⇒病院間で機能の重複・競合が見られる場合は、機能を集約化

⇒経営形態の見直し

策定期限:平成28年度末

策定期間:平成28年度~平成32年度(5年間)

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1.医師数の現状

▼医師数の推移

表3)中津川市民病院 人

●上記表は、正規職員医師数であり、嘱託医師、派遣医師は含んでいません。●H22年以降、呼吸器内科、内分泌代謝内科の常勤医師が不在となっています。

表4)坂下病院 人

●上記表は、正規職員医師数であり、嘱託医師、派遣医師は含んでいません。●平成28年8月に坂下病院の外科医1名、内科医1名退職予定、常勤医師7名となります。●現状の医療機能を維持できない状況です。

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中津川市公立2病院の現状と課題

年度 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

医師数(正規) 38 39 44 44 47 40 42 44 42 46 39 39

内科(再掲) 9 10 12 12 13 9 10 10 9 10 9 9

年度 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

医師数(正規) 14 15 16 14 15 14 13 12 10 8 9 7

内科(再掲) 6 6 7 6 6 5 5 4 4 3 3 2

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2.医師不足の原因

●平成16年に導入された「新臨床研修制度」の影響が大きい

導入目的:研修医の労働環境の改善

専門性に加えて基本的な診療能力の取得

●導入前:大学医局の主導で地方の自治体病院に医師を派遣

●導入後:研修医が研修指定病院を自由に選択できる仕組み

:大学医局の権限が弱まり、研修後も勤務先を自由に選択

:都市部の病院に医師が集中

:地方の自治体病院に勤務希望する医師が減少し地域医療の崩壊に繋がった

※労働環境が良く、総合的な診療能力が取得できる病院に集中

※勤務医の場合も同様

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3.医師確保の対策

●最も有力な手段は研修医の確保

⇒ 研修後、その病院の勤務医となるケースが多い

●研修医が臨床研修病院を選択する主な理由(厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室調査)

○病院の実績(症例数の多さ)、研修の指導体制(研修プログラムなど)が良い

○優れた指導者がいる

○施設・設備(医療機器など)が充実している

○救急件数が多い

○急性期患者(平均在院日数が短い)が多い

○分娩件数が多い

○待遇や環境が良い

※待遇や環境以上に病院の実績、研修内容が充実していることが重要な選択理由

※勤務医師も同様に、病院の実績や設備の充実が重要な選択理由

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4.医師、研修医確保の取り組み状況(主に中津川市民病院)

●継続的な大学医局訪問

(名古屋大学をはじめ、各大学医局へ積極的に訪問)

⇒平成27年度 訪問回数100回(ヵ所)以上主要診療科の医局には、中津川市長も訪問しています。

●研修医確保のための取り組み

⇒医学生を対象としたセミナーを開催(スキルアップセミナー)

・中津川市民病院が主催するセミナーを開催(毎年約20名が参加)

⇒臨床研修病院合同説明会への参加

⇒病院見学の受入れ

⇒中津川市独自の取り組み

・名古屋大学総合診療科(寄附講座)より医師派遣(H24.3~H29.3)

・ドクターカーの導入及び麻酔科医の確保(平成26.1~)

・医療法人葵鐘会より産婦人科医の派遣(平成26.3~)

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5.医師確保のまとめ

●病院運営には、医師をはじめとする医療スタッフの確保が不可欠

●坂下病院の今後の医師数を考えると厳しい状況

坂下病院 内科

・医師数:4名(正規職員3名、嘱託職員1名)

・平成28年9月以降:3名(正規職員2名、嘱託職員1名)

3名の年齢構成⇒(60歳代、40歳代、70歳代 各1名)

・3名体制で現状の外来、入院機能を維持することは困難です。

・無理に維持しようとすれば、労働環境の悪化、連鎖的な退職に繋がります。

・医師の身体・精神的負担の犠牲の基に成り立つ体制は、突然の医療崩壊に繋がり

ます。

・退職に応じて医師を確保できなければ、数年後には、内科医師1名となります。

・9月1日(木)から、午後診療の担当医が変更になります。

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坂下病院 外科

・医師数:1名(正規職員1名)

・平成28年9月以降:0名⇒ 8月15日以降「一般外科」が終了となります。

・血管外科は、これまでどおり診療します。

毎週火曜日、第2・第4金曜日

坂下病院 救急診療

・平成28年8月末に医師2名(内科、外科)の退職に伴い、時間外救急診療の受入体制

を変更させていただきます。(平成28年9月1日(木)から)

※毎月の受入日は、「広報なかつがわ」などでお知らせしていきます。

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中津川市民病院 内科

・呼吸器内科、内分泌代謝内科の常勤医師不在

・業務量に応じた必要医師数が確保できていません。

・各診療科、最低2名~3名以上の体制が理想(労働環境、医療安全面)

・その他の医療スタッフ

⇒看護師、助産師、保健師、薬剤師、臨床工学技師など欠員状態

⇒募集しても応募がない状況

●2病院を現状の機能のまま維持し続けることは、必要な医療スタッフを確保し続けることであり、現実的に非常に厳しい状況です。

●2病院間で医療スタッフの分散は、医療機能の低下を引き起こし中津川市に必要

な医療機能を維持できなくなるばかりか、共倒れの危険性も危惧されます。

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6.経営状況

①損益状況と中津川市からの繰入金

●H18 年以降、診療報酬の引き下げの影響で厳しい経営状況

●それに伴い中津川市からの繰入金(財政支援)も増額し平成26年度には

両病院への繰入金は15億円以上、これ以上の財政支援は厳しい状況

・H19年と比べH26年は2.5倍の繰入金

表5)

・H19年と比べH26年は2.0倍の繰入金

表6)

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●両病院が現状の医療機能を維持した場合に財政上どのような状況になるか試算

●経営状況の評価項目

① 病院運営に関わる損益(経常損益)

② 設備投資等に関わる費用

③ 日々の病院運営を行う上で必要な現金等の資金残高

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中津川市公立2病院の今後の経営状況の予測

①病院運営に関わる損益

・市民病院は、ほぼ収支均衡で横ばい

・坂下病院は、徐々に赤字額が増大

⇒退職予定の医師2名を考慮すれば更に赤字額が増大

・坂下病院の赤字を補填するだけの余力は市民病院にはなく、2病院合計でも赤字が増大

・市民病院の赤字額69億円(H26末)・坂下病院の赤字額33億円(H26末)・2病院合計の赤字額101億円(H26末)

表7)

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②設備投資(医療機器の更新、建物維持など)等に係る費用

・設備投資に関わる費用は、恒常的に必要となり特に平成32年度の電子カルテ更新

に多額の費用が必要となります。

・2病院の機能を今後もそのまま維持すことは財政的にも厳しく、重複した医療機能

を集約し、投資額を抑える必要があります。

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表8) ●設備投資の費用の多くは借金

・市民病院の借金額39億円(H26末)

・坂下病院の借金額49億円(H26末)

・2病院合計の借金額88億円(H26末)

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③資金(日々の病院運営を行う上で必要な現金等の残高)

●大きな赤字や設備投資に多額な費用が発生すると資金(運転資金)が減少し、日々

の支払いに支障をきたします。そうなった場合、早急に銀行から借りるなどして何

らかの手段で現金の補充をしなければなりません。それでも不足する場合は、職員

に給料が支払えなくなったり、必要な支払いができなくなります。

民間企業では「倒産」となります。

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表9) ●坂下病院は平成28年度以降資金不足

●市民病院は僅かながら資金を増やすが

2病院合計では、平成29年度から資金

不足が発生

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① 坂下病院の深刻な医師不足

② 経営状況の悪化と資金不足

●今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくために

は、抜本的な改革の実施が避けて通れない課題と考えます。

●本当の意味での安心・安全な医療は、病院が近くにあることではなく、中津

川市全体に必要な医療機能(急性期~慢性期)を安定的かつ継続的に提供で

きる体制づくりが必要と考えます。

1.中津川市が市民のみなさんに対してどのような医療を提供していくべきか?

2.自治体病院として担っていくべき役割は何か?

3.経営的な側面からどのように事業を実施していくべきか?

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課題のまとめ

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検討委員会設立の経緯

①これまでの取り組み

●両病院のあり方については、既に7年前から取り組んでいます。

・平成20年 8月:「中津川市病院事業経営対策会議」を設置・平成20年11月:「財政改革推進対策室」を設置・平成22年 4月:「地域医療対策担当理事」を配置・平成22年 4月:「公立病院等あり方検討会」を設置

②病院事業のあり方の現状

●両病院のあり方の現状は、合併当時と基本的に変わっていません。

進まなかった主な理由としては

⇒現状の医療機能を存続しなければいけない使命感が強くその先の議論に繋が

らなかった。

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中津川市公立病院機能検討委員会

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③背景

・国の政策

1.超高齢化社会に向けた2025年(平成37年)のあるべき医療提供体制の確立

2.平成28年度上半期をめどに「地域医療構想」の策定

3.平成28年度末をめどに「新公立病院改革プラン」の策定

・中津川市公立病院の現状と課題(再掲)

坂下病院の医師不足が深刻化し、それに伴い経営状況も悪化するなど現在の医療機能

を維持することが困難な状況・中津川市の全体の医療を守るため、経営の健全化、機

能の集約化、役割の明確化に向け踏み込んだ協議が必要となりました。

これらを踏まえ・・・

●「中津川市公立病院機能検討委員会」を平成27年12月に設置しました。

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④委員会構成

●委員長:中津川市副市長

委 員:恵那医師会長、恵那保健所長

中津川市民病院(病院長、副病院長)、坂下病院(病院長、副病院長)

財務部長、健康福祉部長、病院事業部長

⑤委員会開催実績

・第1回:平成27年12月24日開催:中津川市民病院・国保坂下病院の現状について

・第2回:平成28年 2月25日開催:現行経営シミュレーションについて

・第3回:平成28年 4月28日開催:改善経営シミュレーション(シナリオ)について

・第4回:平成28年 5月26日開催:シナリオ案に対する意見交換、方向性の確認

・第5回:平成28年 6月30日開催:市長の見解及びシナリオ案の委員会方針決定

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⑥課題の改善シミュレーション

●シナリオ策定は下記の視点に基づいています

1) 「地域医療構想」⇒ 病床の削減

・「医療介護総合確保推進法」により、県は「岐阜県地域医療構想」を策定しました。

・岐阜県の動き⇒岐阜県全体で約3,000床、東濃地区で約700床の削減を目標に取り組む

2) 「新公立病院改革プラン」⇒ 医療機能の集約化

・総務省は各公立病院に「新公立病院改革プラン」の策定を指示

⇒地域医療構想を踏まえた病院ごとの役割の明確化

⇒経営の効率化⇒黒字化

⇒再編・ネットワーク化⇒病院間で機能の重複・競合が見られる場合は機能を集約

⇒経営形態の見直し

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●中津川市の将来推計

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※平成30年度に2病院の合計1日入院患者数は360人を下回る

※市民病院と坂下病院の有する559床と1日入院患者数の差異が約200人

※2病院の病床は、過剰な状況

表10) 表11)

表13) 表14)

(H37)(H37)

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3)医療機能の集約による安定的な医療提供の実現を目指す

・現在2つの病院に分散している機能を集約することにより、課題となって

いる医師・看護師等の確保の改善、コスト削減にも繋げ、持続可能な医療

供給体制の確立を目指します。

4)財政的な効果を最優先事項

・市としてはこれ以上の繰入金の増額は困難であるにもかかわらず、現状維

持では早晩、資金不足に陥ることを問題視し、市民に必要な医療を確保し

つつ中津川市の財政負担を軽減します。

5)問題・課題を整理し、4案の「シナリオ」を作成

・シナリオ①:財政負担の軽減を最優先としたシナリオ

・シナリオ②:財政負担の軽減を考慮しつつも中津川市の医療介護状況を

考慮したシナリオ

・シナリオ③④:中津川市民病院、坂下病院の病院長、副病院長に対する

ヒアリング等を実施し作成したシナリオ

・シナリオ③は市民病院案、シナリオ④は坂下病院案ですが、作成時には

平成28年8月末に退職される医師2名は考慮していません。

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⑦改善経営シミュレーション(シナリオ案)

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シナリオ① シナリオ② シナリオ③ シナリオ④

1病院体制 坂下病院の診療所化 救急・急性期の集約 急性期の維持

・財政負担の軽減を最優先

・財政負担の軽減を考慮しつつ

も、中津川市の医療介護状況

を考慮

・医師配置基準を満たす法的

な側面で必要な医師数の確保

が課題

・現状の医師数では医師配置

基準を満たす事が出来るか検

討が必要

入院機能 ・急性期病床の廃止 ・急性期病床を維持

・急性期病床149床 ・回復期病床を設置 (149床⇒50床)

  内)休床39床 (60床) ・回復期病床を設置

・療養病床50床 (50床)

外来機能 ・廃止 ・内科、透析部門のみ ・内科、透析部門のみ ・現状維持

・老人保健施設を移転 ・老人保健施設を移転 ・老人保健施設を移転

(80床) (80床) (80床)

入院機能

・急性期病床320床 ・集約 ・集約 ・急性期病床を集約

  内)休床87床 ・高度急性期病床を新設

・回復期病床40床 ・回復期病床の増床 ・回復期病床の増床 (35床)

外来機能 ・集約・内科、透析部門以外の外来

機能を集約

・内科、透析部門以外の外来

機能を集約・現状維持

中津川市民病院

・現状維持

特 徴

坂下病院

・廃止 ・廃止

その他機能

表15)

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⑧改善シミュレーション結果概要

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項目 現行 シナリオ① シナリオ② シナリオ③ シナリオ④

① 経常損益 ▲ 417 1,211 394 78 ▲ 187

※改善効果:シナリオ①シナリオ②シナリオ③シナリオ④の順。 但し、シナリオ④は赤字のまま

② 繰入金 1,360 893 1,152 1,268 1,374

※改善効果:シナリオ①シナリオ②シナリオ③シナリオ④の順。 但し、シナリオ④は現行と同等で改善なし

③ 繰入金累計H29-32(4年分) 5,456 3,572 4,624 5,088 5,513

※改善効果:シナリオ①シナリオ②シナリオ③シナリオ④の順。但し、シナリオ④は現行よりも増えるため改善なし

④ 資金期末残高 ▲ 975 885 2,049 675 ▲ 274

※改善効果:シナリオ②シナリオ①シナリオ③シナリオ④の順。 但し、シナリオ④は資金ショートする

項目 シナリオ① シナリオ② シナリオ③ シナリオ④

① 医療機能のラインナップ →(維持) →(維持) →(維持) →(維持)

② 入院単価 ↑(向上) ↑(向上) ↑(向上) ↓(低下)

③ 機能集約(安全性向上) ↑(向上) ↑(向上) ↑(向上) →(維持)

④ 患者利便性 ↓(低下) ↓(低下) ↓(低下) →(維持)

⑤ 老健の老朽化対応 →(維持) ↑(対応) ↑(対応) ↑(対応)

●財務の視点(平成32年時点) 2病院合計

●診療の視点

単位:百万円

表16)

表17)

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⑨改善シミュレーションの考察(経営コンサルタントの提言)

●最低限でも、救急、急性期医療は集約する

・救急、急性期医療の維持には、高額医療機器、手術室、医療情報システム、救急のための

当直医師、多くのメディカルスタッフ等、多くの医療資源が必要になります。

・病院を複数で運営することは、設備投資の重複、医師スタッフの分散による安全性の問題等、

医療の安定的な供給の側面から課題が残ります。

●医師、職員確保の観点から入院施設2つの維持は現実的に考え難い

・入院機能を将来にわたり継続して提供することは、特に医師確保の観点から厳しい状況です。

・病院として運営を続けるためには、「医療法」の医師配置基準を満たす必要があります。

●これ以上の財政的支援は厳しい

・市がこれまで以上の財政的支援と医師や看護師等の医療スタッフの確保が可能であれば、

計算上、経営は成り立ちます。

・但し、医師確保が困難な事や将来入院外来患者数の減少を考慮すれば、2病院間でのスタッフ

や患者さんの競合が考えられ、共倒れの危険性が高くなります。

●内科外来、透析はすぐには動かせない・外来、透析に関しては、近隣に該当施設がないことから当分は現在の坂下病院に機能を残す

必要があります。

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シナリオ①1病院体制

シナリオ②診療所化

シナリオ③救急・急性期集約

シナリオ④急性期の維持

賛成 1名 7名 1名 2名

反対 6名 1名 4名 7名

どちらとも言えない 2名 1名 4名 0名

●平成28年5月26日 第4回検討委員会の決定事項

①意見書のまとめ

●計画書(新公立病院改革プラン)は、5年後(H32)のあるべき姿を目標とし作成

●各年度のロードマップを作成し、計画的に実行

●坂下老人保健施設を坂下病院に移設

●シナリオ②を賛成とする意見が多いが、反対とする少数意見も合わせて市長に報告

●シナリオ④を反対とする意見が多いが、賛成とする少数意見も合わせて市長に報告

表18)

⑩シナリオ(案)に対する検討委員会の方向性

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●坂下病院をなくすことを前提に取組んではいません。むしろ「坂下病院を守るためにどうすれば良いか検討」しています。

●全国で閉鎖に追い込まれた病院の多くは、医師不足と経営悪化が理由です。突然、医師不足の状況になり何の対応もできず、閉鎖に追い込まれ、多額の借金と有効利用をできない建物が残ってしまいます。

●そうならないために、地域医療の基本である診療所機能を維持することと建物の有効利用を検討しています。

●中津川市民病院の経営状況も決して安定している状況ではなく、今後、益々厳しくなる医療政策によっては、以前のように医師不足や経営状況が悪化し資金不足が発生する危険性もあります。市全体で医療を守らなければなりません。

●今後も必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくためには、抜本的な改革の実施が避けて通れない状況です。

⑪まとめ

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平成28年6月30日 第5回検討委員会にて決定

■方 針⇒平成32年を目指しシナリオ②で進めます。

・一度にシナリオ②するのではなく、シナリオ②にするためにどのような

事を順番にやっていけば良いのか議論します。

・ただし状況の変化により、年度の変更はありえます。

●委員の意見

・医師派遣を担っている大学の考え(集約化)としてもシナリオ②が良い。

・委員会としてシナリオ②を最終方針として良いと思う。

・シナリオ②で進めていくべき、シナリオ②の坂下病院のあり方をより工夫していく事が重要。

・委員会の目的として完成度が高いのはシナリオ②、急性期が一本化された時点で中津川市民病院が受け

入れられるのか。

・シナリオ②が現状(課題)を考える上で良い。

・平成32年を目指しシナリオ②で進めるが、更なる経営状況の悪化や医師数の変更が発生した場合は、

シナリオ②への移行時期の変更もある。

・少数意見であるが、シナリオ④にこだわりたい。

⑫検討委員会の方針

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①平成28年7月25日 第2回病院・医療等対策特別委員会(議会特別委員会)へ中津川市公立病院機能検討委員会の

方針を報告します。※第1回 病院・医療等対策特別委員会は6月14日に開催されました

②市長へ中津川市公立病院機能検討委員会の方針および地域説明会で出されたご意見を報告します。

③市長は、病院・医療等特別対策委員会の提言および中津川市公立病院機能検討委員会の方針さらに地域説明会でのご意見を基に判断を行います。

⑬今後のスケジュール

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本日は、「両病院の現状」と「中津川市公

立病院機能検討委員会」の報告をさせてい

ただきました。

私たちやその家族が安心して暮らせる医

療体制の整備に向けた取り組みに何卒ご理

解とご協力をお願い致します。

中津川市 病院事業部