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霞ヶ浦の底泥で 発電は可能か 茗溪学校高等学校 科学部生物班 山口幸大 小澤一毅 山田亘騎 平塚葵 三木麻衣 環境学習フェスタ2019

環境学習フェスタ2019 霞ヶ浦の底泥で 発電は可能か...10 15 20 25 30 35 40 45 50 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0 20 40 60 80 100 120 140 ラクスマリーナ港の底泥の分極曲線・出力曲線

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霞ヶ浦の底泥で発電は可能か

茗溪学校高等学校 科学部生物班

山口幸大 小澤一毅 山田亘騎 平塚葵 三木麻衣

環境学習フェスタ2019

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●微生物燃料電池で発電する仕組み

微生物を用いて、有機物の保有する

化学エネルギーを電気エネルギーに変換

発電方法:微生物燃料電池の作成

泥電極(-)

電極(+)

外部抵抗●底泥の採取地点

ラクスマリーナ港

ヨシ群生地

人工砂防

●霞ヶ浦環境科学センター

微生物燃料電池

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新たな資源利用の可能性

目的:霞ヶ浦の底泥の微生物燃料電池としての可能性を探る

微生物燃料電池有機物を分解して発電

霞ヶ浦富栄養湖で有機物が豊富

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〇採泥

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1:電池としての性能評価

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 50 100 150 200 250 300 350

0

10

20

30

40

50ヨシ群生地の底泥の分極曲線・出力曲線

電流(μA)

電圧(V

電力(W

ヨシ群生地

起電力(V) 0.23

内部抵抗(Ω) 369

最大出力(μW) 35

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1:電池としての性能評価

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 10 20 30 40 50 60 70

人工砂防の底泥の分極曲線・出力曲線

電圧(V

電力(W

電流(μA)

人工砂防

起電力(V) 0.12

内部抵抗(Ω) 1135

最大出力(μW) 3.6

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1:電池としての性能評価

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 20 40 60 80 100 120 140

ラクスマリーナ港の底泥の分極曲線・出力曲線

電流(μA)

電圧(V

電力(W

ラクスマリーナ港

起電力(V) 0.15

内部抵抗(Ω) 812

最大出力(μW) 8

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1:電池としての性能評価

ヨシ群生地

人工砂防

ラクスマリーナ港

3地点の出力曲線電力(μA

電流(μA)

園芸培土[対照]

ラクスマリーナ港

人工砂防

ヨシ群生地

起電力(V) 0 0.15 0.12 0.23

内部抵抗(Ω)

測定不可 812 1135 369

最大出力(μW)

0 8 3.6 35

ヨシ群生地の泥が最も電池としての性能が高かった

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2:ヨシ群生地の泥での発電量の変化

-100

0

100

200

300

400

500

600

700

800

0 10 20 30 40 50 60 70

電圧(m

v

日数 (日)

F205(20℃)F105(20℃)F105(25℃)

25℃へ [黒鉛系]

[炭素系]

導電率の高い黒鉛系の電極の方が炭素系の電極よりも高い発電量

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3:電解質の添加による電池としての性能評価

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0 50 100 150 200 250

電圧[V

]

電流[μA]

乳酸30mM(F-105)

NaCl 1.2%(F-105)

乳酸15mM(F-105)

NaCl 0.6%(F-105)

電解質を添加したときの分極曲線

DW(F-205)

DW(F-105)

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3:電解質の添加による電池としての性能評価

乳酸15mM

(F105)

乳酸30mM

(F105)NaCl 0.6%

(F105)NaCl 1.2%

(F105)DW

(F105)DW

(F205)

電気伝導度[mS/cm]

1.18 1.52 15.9 22 0.135 0.006

pH 6.7 6.3 4.7 4.8 7.0 6.9

硝 酸 濃 度[ppm]

未測定 未測定 490 810 23 36

起電力[v] 0.043 0.0419 0.0253 0.1095 0.2002 0.252

内部抵抗[Ω] 30 600 1200 400 1400 400

最 大 出 力[μW]

≧3.4 0.72 0.14 6.8 7.4 ≧34

各添加区の電池としての評価

電解質を添加すると内部抵抗が下がったが、起電力と最大出力が低下した

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4:コンデンサーでの蓄電は可能か

y = 16.15e-9E-04xR² = 0.9999

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0 500 1000 1500 2000 2500

電流(μA

)

時間(秒)

ヨシ群生地の底泥での放電曲線

量は少ないが蓄電することが可能

電気容量 1C

起電力 16.15mV

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5:底泥中に存在する細菌の実態

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000その他灰丸オレンジ丸薄い緑ふさふさ黄薄平版黄丸白ふさふさ白薄平版白丸

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

好気条件 嫌気条件

コロニー数(プレート3まいの合計)

発電細菌が存在

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6:細菌の違いによる発電量の比較

0

20

40

60

80

100

120

0 50 100 150 200 250 300 350

電圧[mV]

経過時間[h]

外見

●a 白丸中心すこし白

●b 白丸小さい

●c 白薄平板

●d 黄丸

●e 白丸

突出して発電量が多い細菌はなかったが、5種すべての菌が発電した

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http://www.ft-patho.net/index.php?plugin=attach&refer=%A5%EA%A5%DC%A5%BD%A1%BC%A5%E0%20ribosome&openfile=16S-rRNA-sequence.jpg

6:細菌の同定 :16SrRNA遺伝子の塩基配列

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外見 属●a 白丸中心すこし白Bacillus

●b 白丸小さい Bacillus

●c 白薄平板 Lysinibacillus

●d 黄丸 Bacillus

●e 白丸 Bacillus

6:細菌の同定 :16SrRNA遺伝子の塩基配列

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結論

•霞ヶ浦の底泥で発電をすることは可能

•発電能力を有する細菌が普遍的に存在

今後の課題

•電池としての性能を向上させ電気産生量を高める

•連続運転時間が長くなる条件を探る

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•高妻篤史ほか,「微生物燃料電池での電流生産を可能にするShewanella oneidensisの細胞外電子伝達機構」『環境バイオテクノロジー』Vol.9,No.2,105-108,2009 他

東京薬科大学 渡邉一哉先生

茨城県霞ヶ浦環境科学センター 沼澤篤先生

細田直人先生

一般社団法人霞ヶ浦市民協会様

ラクスマリーナ 秋元昭臣様

研究にあたり、ご指導とご協力をいただきました。感謝申し上げます。

謝辞

参考文献