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系外惑星観測 ~視線速度法による成果 佐藤文衛(東工大)

系外惑星観測 ~視線速度法による成果 · 視線速度法による観測 • 第二の地球探し • 太陽型星周りの惑星 • 惑星系の中心星依存性 •

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Page 1: 系外惑星観測 ~視線速度法による成果 · 視線速度法による観測 • 第二の地球探し • 太陽型星周りの惑星 • 惑星系の中心星依存性 •

系外惑星観測 ~視線速度法による成果

佐藤文衛(東工大)

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年別系外惑星発見数 http://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/

※この他、Kepler衛星による   惑星候補が約2000個

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系外惑星の周期ー質量分布

http://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/

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視線速度法による惑星検出

n  惑星をもつ恒星の視線速度変化

太陽ー木星(5.2AU)  K =12 m/s 太陽ー地球(1AU)   K =10 cm/s 太陽ー地球(0.05AU) K =45 cm/s

h"p://www.rikanenpyo.jp/kaisetsu/tenmon/tenmon_024.html �

51 Peg

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視線速度測定精度 http://exoplanet.eu/

1MJUP

1MEarth

~100 m/s

~3 m/s

<1 m/s

岡山/HIDES, すばる/HDSは 最高約2m/sの精度

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視線速度法による観測

• 第二の地球探し •  太陽型星周りの惑星

• 惑星系の中心星依存性 •  中心星の質量、金属量、進化段階、年齢、、、

• トランジット惑星のフォローアップ •  惑星質量の決定 •  Rossiter-McLaughlin効果(主星自転軸と惑星公転軸のずれ)

• 惑星探索+星震学 •  惑星をもつ恒星の物理パラメータを脈動情報を利用し精度よく決定 •  Kepler星震学により物理パラメータが精度よく決まっている恒星での惑星探索

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p  CORALIE

p  HARPS

ü  1.2m tel. @La Silla ü  Since 1998 ü  1650 late-F -- early-M ü  RV precision ~5m/s

ü  3.6m tel. @La Silla ü  Since 2003 ü  376 late-F -- late-K (non-active stars selected from CORALIE’s sample) ü  RV precision ~1m/s

このうち、合わせて822星に ついて統計的議論

Mayor et al. 2011

HARPS

太陽型星周りの惑星

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惑星頻度

n  約75%の恒星は周期10年以内に少なくとも一つ惑星をもっている

p  周期10年以内に巨大惑星をもつ恒星は約14%

p  短周期(<100日)の低質量惑星(3-30ME)をもつ恒星は約55%

n  約30ME以下の惑星は巨大惑星と性質(軌道分布等)が異なる p  複数惑星系が多い(70%以上;巨大惑星をもつ系は目下26%)

Mayor et al. 2011

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惑星質量分布

Bimodal?

~30ME

Detection bias補正後

観測結果そのまま(全周期) Detection bias補正後(全周期)

Mayor et al. 2011

15-30MEで急激に 数が増える

~1MJ

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周期分布

Cumulative rate

Completeness を考慮

長周期ほど多い

n  質量30ME以下

長周期が少ない 周期約40日に 集まっている

Detection bias補正後

n  質量50ME以上(巨大惑星)

Mayor et al. 2011

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離心率

Gas-giants e~0-0.9

Super-Earths Neptunes e~0-0.45

Mayor et al. 2011

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中心星金属量

Gas-giants

Msini<30ME

All sample Metal-rich星 に多い

ほぼ全て [Fe/H]<0.2

Mayor et al. 2011

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地球型惑星

n  α Cen B

Dumusque et al. 2012

ü  中心星 K1V, 0.9M¤

ü  惑星  P=3.2d, Msini=1.13ME K=0.51m/s

p  Rotational activity (P~38d)

[email protected]

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惑星系の中心星依存性

太陽型星(FGK型矮星)と M型矮星、GK型巨星が中心

視線速度法によって 惑星が発見された恒星

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巨大惑星頻度 vs. 中心星質量

3.0 4.0

Johnson et al. 2010 �

Dwarfs, subgiants 3/30

6/30 20/178

12/178

4/37

2/37

Candidates

Planets GK giants

OAO sample (<3AU, >~1MJUP)

Preliminary

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中心星質量 vs. 軌道長半径

R=10R¤ Small sample Poor detection limit

● Planets ● Candidates from OAO survey

惑星欠乏

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中質量星周りの短周期惑星欠乏

Mp=1MJ

Mp=20MJ

Engulfed by host star

Survive

Kunitomo et al. 2011�1.5 � 2.0 � 2.5 � 3.0 M¤ �

0.3 �

1.0 �

2.0 �

(大質量星ほど円盤が早く散逸すると仮定)

n 内側領域の惑星の分布は、円盤散逸と惑星  形成・移動の時間尺度の兼ね合いによる n コア集積では>10AUに巨大惑星できにくい

惑星移動前に円盤 散逸è移動阻害

★見つかっている惑星

1 10 AU 0.1

0.5

1

1.5

2

2.5

3

巨大惑星できない

Currie 2009

p 先天説(もともと惑星がない) 円盤散逸前に惑星形成、移動?

中心星質量(M

¤)

p 後天説(惑星があったが飲み込まれた)

n 2M¤以下ではRGB段階で2AUまで中心星に  飲み込まれる n 2.5-3M¤では飲み込みの影響が小さい

中心星の進化・膨張に伴う潮汐力で惑星が落下

軌道長半径 (

AU)�

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惑星質量 vs. 中心星質量

● Planets ● Candidates from OAO survey

Small sample Poor detection limit

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惑星質量、周期分布

Bowler et al. 2010

1.5-1.9M¤

高質量星では、重い惑星が 多く、かつ遠くを公転している 傾向がある

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M型矮星の惑星探索 with HARPS

Bonfils et al. 2011

100 M dwarfs 0.1-0.6M¤

Survey completeness

90%

1%

ü  周期100日以内, Msini=1-10ME

n 惑星の頻度

30-50% (但しエラーバーが 10-50%)

ü  Msini>10MEは数%以下

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惑星サイズ vs. スペクトル型

Howard et al. 2011

周期

50日以内の惑星の存在確率

ケプラー衛星に よる結果

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若い恒星

Reiners+ 2009

黒点

n  表面に黒点が多数あるような若い活動的な   恒星では視線速度法による惑星検出が困難 ü  吸収線輪郭の変化による見かけの視線速度変化

n  年齢100万年~1億年の恒星:   巨大惑星の形成と進化がまさに進んでいる

n  視線速度法で見つかった惑星は 年齢1億年以上 ü  散開星団(ヒアデス、プレセぺ等)を含む

HR8799 (20-50Myr)

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若い惑星

年齢~8-10 Myr

n  TW Hya (0.7M¤)

Mplanet=9.8±3.3 MJUP

Setiawan et al. 2008

0.7M¤

TW Hyaの星周 円盤(by HST)

Roberge et al. 2005

可視での視線速度変動

ほぼ face-on

i=7±1°

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…ではなかった

可視

近赤外

近赤外RV観測は、可視RV観測で発見が報告されている 惑星候補を確認する手段としても有効

Huelamo et al. 2008

赤外では可視に 比べて黒点と光球の コントラストが小さい

視線速度への 影響が小さい

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惑星探索+星震学

• 惑星系の性質は中心星の性質に依存 •  質量、金属量、進化段階、年齢、、、

• より詳細に中心星のパラメータを決定したい •  特に、巨星の質量・進化段階の決定はHR図上で進化トラックが混んでいるため難しい

• 星震学 •  恒星の脈動から内部構造を調べる手法 •  これまでは、惑星をもつ恒星に対し地上視線速度観測が行われてきた •  しかし、地上では連続観測の困難さからモード同定が難しい

•  Kepler衛星による星震学 •  2009年打ち上げ、~2×10-5の超高精度測光観測 •  系外惑星(トランジット)だけでなく、星震学でも大きな成果 •  Kepler衛星による星震学でパラメータがよく決まっている恒星を対象に惑星探索

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Kepler による巨星の星震学

ΔP

(s)

Δν (µHz) 20 5 10 3

!" ! GM

R3

!P " Nrdr#$%&'()

*1

!"!P

N:浮力(Brunt-Vaisala)   周波数

中心集中度が大きい (Nが大きい)ほどΔPは小さい

ヘリウム核燃焼(Red clump)

水素殻燃焼(RGB) 巨星の進化段階を区別 クランプ巨星の質量を決定

Bedding et al. 2011

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まとめ

• 第二の地球探し •  太陽型星周りの惑星頻度、軌道分布などが分かってきた •  地球質量に迫る惑星が見つかり始めている

• 惑星系の中心星依存性 •  巨大惑星頻度は中心星質量、金属量に依存 •  年齢による違いを調べるのは視線速度法では難しい(若い恒星の惑星探索に不向き)

• 惑星探索+星震学 •  Kepler星震学により質量、進化段階がきちんと決まっている巨星での惑星探索が面白い