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特別寄稿 61 石油・天然ガスレビュー 齊藤 隆 GG&G 研究所(Studio Glabal Geology & Geography) この伝説化した話において、エビと は何を指しているのだろう。エビの仲 間はとても広く、エビもエビならカニ もエビ、オキアミもエビならシャコも エビ、フジツボだってエビの親戚だと いうではないか。陸の昆虫に対して海 のエビ、それらはそれぞれに見事なほ どに多様化した動物たちである。 エビが節足動物であり、その中の甲 殻類であるという知識は、人々が共有 するものである。生物分類学上の「門」、 「綱」、「目」、「科」、「属」、「種」とい うヒエラルキーに沿って言えば、それ は節足動物門甲殻亜門となる。「亜門」 は「門」と「綱」の間の分類水準を示 す言葉である。エビにかかわる分類体 系を見てみよう。 すなわち、甲殻亜門のうち「エビ 綱」、「エビ亜綱」、「エビ上目」、「エビ 目」の「長尾亜目」に属するものが正 統派のエビである。ミジンコやフジツ ボとは亜門の段階の親戚であり、シャ コとは亜綱の段階、オキアミとは目の 段階での親戚ということになる。長尾 亜目(いわゆるエビ)は、さらにクル マエビ類、コエビ類、ザリガニ類、イ セエビ類に分けられる。「類」は分類 学上の正式の用語ではないが、類似の ものをグルーピングする便利な言葉と して使用される。 1. 節足動物門甲殻亜門 ――エビとは何か? 「油田やガス田の近くの海にはエビが多い」また逆に「エビのいるところには石油や天然ガスの鉱床が ある」などという話は、いったい誰が言い出したのだろう。「科学的根拠のないデマカセ」と一蹴される こともなく、数十年にわたって多くの人々を惑わせ、いまや「伝説」の域にまで達したこの話に、私も少 しばかり絡んでみようと思う。「エビを探せば石油はたやすく見つかる」とか「近年石油がなかなか見つ からないのは、エビが獲れなくなったせい」などと、まことしやかな尾ヒレがつくに到っては、やはり黙っ てはいられない。 石油のエビ伝説を考える 節足動物門 甲殻亜門 ミジンコ綱 ムカデエビ綱 カシラエビ綱 アゴアシ綱(フジツボの仲間はこれに含まれる) 貝形虫綱 軟甲綱(エビ綱) コノハエビ亜綱 トゲエビ亜綱(シャコ亜綱) エビ亜綱 ムカシエビ上目 フクロエビ上目 エビ上目 オキアミ目(86種あり) 十脚目(エビ目) 長尾亜目 短尾亜目(カニの仲間がこれに含まれる) 異尾亜目 (ヤドカリの仲間がこれに含まれる) 長尾亜目の分類(主なもののみ) クルマエビ類 クルマエビ科 サクラエビ科 チヒロエビ科 クダヒゲエビ科 イシエビ科 コエビ類 オキエビ科 テナガエビ科 タラバエビ科 ザリガニ類(大きなハサミが特徴) ザリガニ科(淡水棲、水産物としての重要性低い) アカザエビ科(ロブスターはこれに含まれる) イセエビ類(立派なヒゲが特徴) イセエビ科 セミエビ科 甲殻類の分類体系 表1 「エビ」の分類体系 表2

石油のエビ伝説を考える...Homarus gammarus (ウミザリガニ) European lobster 表3 クルマエビ科に属する食用エビ 表4 アカザエビ科に属する食用エビ

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特別寄稿

61 石油・天然ガスレビュー

齊藤 隆GG&G 研究所(Studio Glabal Geology & Geography)

 この伝説化した話において、エビとは何を指しているのだろう。エビの仲間はとても広く、エビもエビならカニもエビ、オキアミもエビならシャコもエビ、フジツボだってエビの親戚だというではないか。陸の昆虫に対して海のエビ、それらはそれぞれに見事なほどに多様化した動物たちである。 エビが節足動物であり、その中の甲殻類であるという知識は、人々が共有するものである。生物分類学上の「門」、「綱」、「目」、「科」、「属」、「種」というヒエラルキーに沿って言えば、それは節足動物門甲殻亜門となる。「亜門」は「門」と「綱」の間の分類水準を示す言葉である。エビにかかわる分類体系を見てみよう。 すなわち、甲殻亜門のうち「エビ綱」、「エビ亜綱」、「エビ上目」、「エビ目」の「長尾亜目」に属するものが正統派のエビである。ミジンコやフジツボとは亜門の段階の親戚であり、シャコとは亜綱の段階、オキアミとは目の段階での親戚ということになる。長尾亜目(いわゆるエビ)は、さらにクルマエビ類、コエビ類、ザリガニ類、イセエビ類に分けられる。「類」は分類学上の正式の用語ではないが、類似のものをグルーピングする便利な言葉として使用される。

1. 節足動物門甲殻亜門――エビとは何か?

 「油田やガス田の近くの海にはエビが多い」また逆に「エビのいるところには石油や天然ガスの鉱床がある」などという話は、いったい誰が言い出したのだろう。「科学的根拠のないデマカセ」と一蹴されることもなく、数十年にわたって多くの人々を惑わせ、いまや「伝説」の域にまで達したこの話に、私も少しばかり絡んでみようと思う。「エビを探せば石油はたやすく見つかる」とか「近年石油がなかなか見つからないのは、エビが獲れなくなったせい」などと、まことしやかな尾ヒレがつくに到っては、やはり黙ってはいられない。

石油のエビ伝説を考える

節足動物門 甲殻亜門 ミジンコ綱 ムカデエビ綱 カシラエビ綱 アゴアシ綱(フジツボの仲間はこれに含まれる) 貝形虫綱 軟甲綱(エビ綱) コノハエビ亜綱 トゲエビ亜綱(シャコ亜綱) エビ亜綱 ムカシエビ上目 フクロエビ上目 エビ上目 オキアミ目(86種あり) 十脚目(エビ目) 長尾亜目 短尾亜目(カニの仲間がこれに含まれる) 異尾亜目(ヤドカリの仲間がこれに含まれる)

長尾亜目の分類(主なもののみ) クルマエビ類 クルマエビ科 サクラエビ科 チヒロエビ科 クダヒゲエビ科 イシエビ科 コエビ類 オキエビ科 テナガエビ科 タラバエビ科 ザリガニ類(大きなハサミが特徴) ザリガニ科(淡水棲、水産物としての重要性低い) アカザエビ科(ロブスターはこれに含まれる) イセエビ類(立派なヒゲが特徴) イセエビ科 セミエビ科

甲殻類の分類体系表1

「エビ」の分類体系表2

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特別寄稿

62石油・天然ガスレビュー

 「石油のエビ伝説」に登場するエビは、食料として多量に消費される、すなわち大量に漁獲されて市場に送りこまれる類のものに違いあるまい。上記の「長尾亜目」に含まれるエビについて、細かく見ていこう。 クルマエビ類のクルマエビ科のエビは、もっとも代表的かつ典型的なエビとされ、「エビの中のエビ」と言われるものである。クルマエビ科には14属、120種が知られているが、食用となっているのは表3の7属(110種)である。 クルマエビ科に属するエビは、分布が広いものが多いこと、エビらしい(エビのイメージに合致する)形態であること、手頃なサイズであること、漁獲量が多く生(未加工)のまま消費者の目にふれる機会が多いことなどの理由で、これこそが「石油・天然ガスとの関係」を論ずべきエビと判断される。なかでもクルマエビ科クルマエビ属のエビは、他属に比べて漁獲量(生息数)が圧倒的に大きいことから、養殖輸入エビとして知られるブラックタイガーを含めて、クルマエビ属のエビについては第3項(クルマエビ属のエビ――エビの本命)でもう一度述べる。 クルマエビ類のサクラエビ科には、サクラエビ(属名 Sergia)とアキアミ*1 (属名 Acetes)とがある。サクラエビは世界で約35種知られているが、食用となっているのは日本の駿河湾、相模湾および東京湾でとれるSergia lucensのみである。漁獲量は年間7千トンと単独の種としてはかなり多い。体長は4センチ前後と小型で、かつては天日干しにして加工品として食されることが多かったが、最近では「海のルビー」の宣伝効果のせいか、高価な食品のイメージが定着している。アキアミは日本、東南アジア、インド洋に分布するが、体長3センチ以

2. 漁業の対象となるエビ

学 名 和 名 特 徴

Penaeus クルマエビ属 体長20cm前後、代表属、分布範囲広い、漁獲量最大

Metapenaeus ヨシエビ属 体長12cm、クルマエビに次ぐ代表属

Parapenaeus サケエビ属 体長15cm、大西洋

Trachypenaeus サルエビ属 体長8cm前後、太平洋・大西洋・インド洋

Penaeopsis ベニガラエビ属 体長12cm前後、日本・東南アジア・インド洋・大西洋

Metapenaeopsis アカエビ属 体長10cm、日本近海

Artemesia - 体長15cm、ブラジル・アルゼンチン

下と小型であり、インドネシアやインドですり潰してペーストとして食される程度である。小型であり、分布の地域性が大きいことから、サクラエビ科のエビは「伝説」とは関係ないと判断される。 クルマエビ類のチヒロエビ科のエビは、深海棲で操業(漁獲)コストが高い割には身が少なくて味も良くないため、ほとんど漁業の対象になっていない。 クルマエビ類のクダヒゲエビ科では、HaliporoidesとPleoticusの2属が比較的多く食用に供される。前者は体長15 ~ 20センチで、太平洋(日本、東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド、パナマ、チリ)、インド洋(マダガスカル)などに分布し、ナイフ・シュリンプの俗称をもつ。後者は体長10センチ前後で、西大西洋(アルゼンチン、米国東部)に分布し、レッド・

*1: アキアミと第1項のオキアミとは別物。オキアミは「オキアミ目」Euphausiaceaに属する浮遊性甲殻類の総称で、その大部分は海洋に棲むプランクトン。体長は1~ 3センチ。

シュリンプの俗称をもつ。いずれも漁獲高はさほど多くない。 クルマエビ類のイシエビ科は、ロック・シュリンプの俗称のとおり、非常に硬い殻をもつ。太平洋各地、大西洋各地に分布し、体長は10センチ未満が多い。米国東岸以外ではほとんど漁業対象となっていない。 コエビ類のエビは、一般にクルマエビよりも小型で、形態的分化が進んでおり、21科に分類され、属数、種数ともにあまりに多いので、記述は省略するが、第5項で少しふれる。 ザリガニ類とその次に述べるイセエビ類は浮遊性ではなく歩行性である。ザリガニ類は一番頭部に近い脚がハサミになっている類で、6科に分類され、多くが淡水棲で漁業的価値は低いが、海棲のアカザエビ科(表4)には食用となる重要なものが含まれる。 アカザエビは、日本固有の種で銚

学名(属名と種名) 和 名 英 名

Metanephrops japonicus アカザエビ Japanese lobster

Metanephrops thomsoni ミナミアカザエビ Red banded lobster

Metanephrops binghami - Caribbean lobster

Nephrops norvegicus ヨーロッパアカザエビ Norway lobster

Homarus americanus (ウミザリガニ) American lobster

Homarus gammarus (ウミザリガニ) European lobster

クルマエビ科に属する食用エビ表3

アカザエビ科に属する食用エビ表4

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石油のエビ伝説を考える

63 石油・天然ガスレビュー

子沖から日向灘にかけての水深200 ~400メートルの砂泥底に棲み、体長は25センチに達する。ミナミアカザエビは、山陰沖、東シナ海、南シナ海、インドネシアなどで漁獲され、体長は12センチ前後である。ヨーロッパアカザエビは、ノルウェーから地中海沿岸の水深50 ~ 100メートルの泥底に棲み、アドリア海でとくに多産する(年産量約2千トン)。アメリカン・ロブスターは、大西洋北西岸の岩礁に棲み、3~4年の成熟個体で体長は30センチ前後、体重10キロ前後だが、体長1.2メートル、体重16キロの記録があるという(年産量約3万トン)。ヨーロピアン・ロブスターは、ノルウェーから地中海沿岸に棲み、体重は4~ 5キロどまりである(年産量約2千トン)。 イセエビ類は5科に分類されるが、漁業資源として重要なのはイセエビ科のみである(表5)。ザリガニ類が大きな一対のハサミが特徴であるのに対し、イセエビ類の特徴は長く立派な一対の触角(ヒゲ)である。

学 名(属名と種名) 和 名 特 徴イセエビ属(日本産)Panulirus japonicus イセエビ ほぼ日本固有種、日本で特に珍重されるPanulirus longipes カノコイセエビ 太平洋西部・インド洋にも分布Panulirus homarus ケブカイセエビ 同上Panulirus penicillatus シマイセエビ 同上Panulirus ornatus ニシキエビ 同上Panulirus versicolor ゴシキエビ 同上Panulirus polyphagus インドイセエビ 同上Panulirus stimpsoni サガミイセエビ 同上イセエビ属(外国産)Panulirus cygnus 西オーストラリア、漁獲量多いPanulirus gracilis カリフォルニア~ペルー、漁獲量多いPanulirus argus メキシコ湾・カリブ海、漁獲量多いPanulirus laevicauda 大西洋南部ヨーロッパイセエビ属Palinurus elephas ヨーロッパイセエビ (spiny lobsterと呼ばれる)ミナミイセエビ属Jasus - (rock lobsterと呼ばれる)

 イセエビ(Panulirus japonicus)は、主として日本の房総半島から九州にかけての水深10 ~ 15メートルの岩礁に棲む。体長15 ~ 20センチのものが市場に多く出回るが、成体は36センチに

達する。イセエビ属の日本での漁獲量は1千トン前後である(総務省統計局水産統計ではイセエビの英訳をspiny lobsterとしている)。

3. クルマエビ属のエビ――エビの本命

 エビの本命、エビの中のエビ、そして油田の分布との関係を研究すべきエビ、すなわち「クルマエビ属のエビ」には28種が知られている。クルマエビ属のエビは、市場においては体色から「ブラウン系」、「ホワイト系」、「ピンク系」に分けられ、次のようにまとめられる。なお、ブラウン系の一部で体に虎のような縞模様のあるもの(ブラックタイガーなど)は「タイガー系」と呼ばれる。 表6は、『改訂増補 日本のエビ・世界のエビ』(1995)および渡辺辰夫氏のホームページをもとにまとめたものである。種ごとに漁獲高の統計が発表されているわけではなく、また誤った

種の同定がなされている例も少なくないともいわれるが、本表の極大、大、少の仕分けで市場流通量のおおよその目安となろう。種ごとの分布地図も入手できなかったが、これも上表程度の記述でも分布範囲をイメージする手がかりとなろう。 生息環境と習性についての乏しい情報をつなぎ合わせると、一般的にこんなことが言えそうである。「クルマエビは陸棚に生息する。ホワイト系は陸水の流入する陸棚の濁った水を好み、ブラウン系はホワイト系より沖合いの比較的澄んだ水を好み、またピンク系は塩分濃度の高い澄んだ水を好む。ブラウン系とピンク系は定住性で、昼間は海底の砂泥に身を隠している。ホワイト系は季節によって大群をなして移動し、生活の場を変える。」

 地理的な特徴として、ブラウン系は生息範囲が広域にわたるが、タイガー系の多くは太平洋の西部とインド洋に限定される。ホワイト系は大西洋の西部、地中海には分布しない。ピンク系は太平洋の東部と大西洋に限定される。 ブラックタイガーの輸入について少し触れておく。ブラックタイガーは、上表のとおりブラウン系(でタイガー系)のエビで、学名をP. monodon、和名をウシエビという。この種のエビを外国で養殖して輸入する方式は1980年代に台湾で行なわれたのが始まりである。台湾におけるこの事業は当初大発展したが数年で衰退し、インドネシア、インド、ベトナム、タイが台湾にとって代わった。通関統計によれば、2002年の相手国別のエビ輸入量

イセエビ科に属する食用エビ表5

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特別寄稿

64石油・天然ガスレビュー

学  名 和名、商品名など 分布地域 漁獲量 生息環境ブラウン系(下線はタイガー系)P. japonicus クルマエビ、Kuruma prawn 日本~インド洋、紅海 極大P. latisulcatus フトミゾエビ、Western king prawn 日本~インド洋、アラビア湾 極大P. monodon ウシエビ、Black Tiger、Giant Tiger 日本~インド洋 極大P. aztecus Brown shrimp 西大西洋、メキシコ湾 極大P. marginatus テラオクルマエビ、Aloha prawn 日本~インド洋、ハワイ 大P. semisulcatus クマエビ、Green Tiger prawn 日本~インド洋、紅海、トルコ 大P. plebejus Eastern king prawn 豪州東部 大P. subtilis Brown shrimp カリブ海~ブラジル 大P. californiensis Brown shrimp カリフォルニア~ペルー北部 大P. kerathurus Tiger shrimp 東大西洋、地中海 大P. canaliculatus Striped prawn インド洋、太平洋 少P. esculentus Brown Tiger prawn 豪州、PNG、東南アジア ?P. longistylus King prawn 豪州、タイ、中国 少 岩礁の砂泥底ホワイト系P. chinensis コウライエビ、大正エビ、Oriental shrimp 渤海、黄海、東シナ海 極大P. indicus White shrimp インド洋、東南アジア、豪州 極大P. merguiensis バナナエビ、テンジクエビ、Banana shrimp 東南ア~アラビア湾、豪州 極大P. setiferus White shrimp 米国南東岸~メキシコ湾 極大P. penicillatus Redtail prawn 台湾、東南ア、パキスタン 大 P. occidentalis White shrimp メキシコ~ペルー 大P. schmitti White shrimp カリブ海~ブラジル 大 30m以浅P. stylirostris Blue shrimp カリフォルニア湾~ペルー 大P. silasi White shrimp ボルネオ北部 少P. vannamei White shrimp メキシコ南部~ペルー北部 ?ピンク系P. duorarum Pink shrimp 米国南東岸~メキシコ湾 極大P. brasiliensis Pink shrimp、Pink spotted 米国南東岸~ブラジル、メキシコ湾には不在 大P. notialis Pink shrimp カリブ海、アフリカ西岸 大P. brevirostris Pink shrimp、Crystal shrimp メキシコ~ペルー太平洋岸 少P. paulensis Pink shrimp、Sao Paulo shrimp ブラジル~アルゼンチン ? 35 ~ 55m深

は、インドネシア53,800トン、インド35,248トン、ベトナム41,521トン、中国19,608トン、タイ18,993トン、カナダ10,522トンで、ここまでが1万トン以上の国々である。インドネシア、インド、ベトナム、タイからのものはブラックタイガーであり、中国からのものはコウライエビである。近年のベト

ナムにおける養殖事業の発展が著しく、2002年に前年の3位から2位に躍進した。最近ではパン粉のついたフライ用エビ、天ぷら用の尾つきむきエビ、すしネタ用のすしエビなどが

4. クルマエビ属のエビの分布と油田・ガス田の分布

 世界でもっとも油田・ガス田の開発活動が盛んなメキシコ湾の様子か

ら探ってみよう。たしかにメキシコ湾はクルマエビ属のエビの一大産地である。特にブラウン系のP. aztecusが多く、テキサス州、ルイジアナ州、フロリダ州の西、大西洋側のノースカロラ

イナ州で大量に水揚げされる(年産6万トン)。これと並んでピンク系のP. duorarumも同じ海域で年間2万トンほどの水揚げがある。体長は前者が20センチ前後であるのに対し、後者は28セ

増えている。

クルマエビ属のエビ表6

クルマエビのイメージ画(体長を超す長い触角は省略した)図1

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石油のエビ伝説を考える

65 石油・天然ガスレビュー

ンチに達する。30年も前にヒューストンに駐在していた頃、ケマという町によく魚を買いに行ったものだが、あそこの魚屋の水槽で見たエビは、これら2種のいずれかだったに違いない。ルイジアナ州の名物料理にガンボスープというゴッタ煮のようなスープがあり、料理の本にはその中に入っているエビはクルマエビだと書いてある。また、ルイジアナ州エビ漁業組合はエビ輸入規制を唱える圧力団体だという。こうして見ると、アラスカに次いで米国における石油生産第2位のルイジアナ州、第3位のテキサス州は、石油産業の中心であると同時にエビ産業の中心でもあると言えそうである。テキサスの南にはメキシコのガス田地帯、その南には油田地帯が連なっているにもかかわらず、メキシコ側でのエビ漁はあまり振るわないようで、メキシコは米国にとって最大のエビの輸出先となっている。 次に、ナイジェリア~カメルーン~ガボン~コンゴ~アンゴラ(西アフリカ)の沿岸と沖合いに連なる油田・ガス田地帯はどうであろうか。ここもやはりクルマエビ属のエビの一大産地となっており、ピンク系のPenaeus notialisが支配的である。カメルーンの国名は、ポルトガル語のエビすなわちカマローネスに由来する。日本サッカー協会のホームページwww.fcjapan.

co.jp には、15世紀にこの地を訪れたポルトガル人ウェルナンド・ポーが、入江にエビが群棲しているのを見てそこを「リオ・ダス・カマローネス」(エビの川)と名づけ、またその一帯の海岸地域をカマローネスと称したとある。アンゴラでは分布するエビの種類が異なり、ク

ルマエビ科の別属であるサケエビ属のParapenaeus longirostris( 和名はツノナガサケエビ、英名Deep-water rose shrimp)が主体である。体長は、Penaeus notialisが18センチ前後、Parapenaeus longirostrisが19セ ン チとほとんど同じだし、長い触角を持つ特徴も似ている。簡単には見分けられそうにない。 かつて日中石油開発㈱が奮戦した中国の渤海はどうか。ここはホワイト系のP. chinensisが独占・多産する海域である。この種は和名がコウライエビで、狭義のクルマエビよりやや大きく、わが国では古くから「大正エビ」という商品名で流通してきたものである。この種についてはその生態についての研究が進んでいて、渤海の浅いところで産卵し、韓国済州島沖の深いところで越冬する回遊性のエビであることが知られている。漁獲は渤海、黄海、東シナ海でなされ、分布地域がきわめて限定されているにもかかわらず、単独で世界最大の水揚げ量をもつ種である。 東南アジア最大の産油国インドネシアは、入手しえた情報が少なく不完全なものだが、エビの大産地であるのは確かである。エビはインドネシア語で「ウダン」という。そして、そのものずばり「ウダン油田」と名づけられた油田が南シナ海南部のインドネシア領

海域にある。これはエビの群棲している海で発見されたためにそう名づけられたものというわけではないだろう。欧米の石油会社(ウダン油田の発見は米国のConoco社)には油田・ガス田に魚の名をつけることがあるから、これもその類のことと思うが、あるいは命名者の頭を「エビ伝説」がよぎっていたかもしれない。インドネシアの海面漁業統計では、エビは「遊泳性十脚類」として一括されており、1999年の漁獲量は47,270トンである。この他に養殖の統計では、クルマエビ属のホワイト系種であるP. merguiensis(和名はバナナエビ、表6参照)が同年で65,550トン、後述するコエビ類テナガエビ科のMacrobranchium rosenbergii(和名はオニテナガエビ)が48万トンである。漁獲量に養殖生産量を加えると全体では年産量は実に60万トンに及ぶ。 次はいよいよアラビア湾(ペルシャ湾)。第6表で見るとアラビア湾に分布するクルマエビ属のエビはブラウン系のP. latisulcatus(フトミゾエビ)とホワイト系のP. merguiensis(バナナエビ)のみである。これらの他にクルマエビ科の別属であるヨシエビ属Metapenaeusが生息している可能性も

写真1

テキサス州Port Isabel港の沖を行くエビ漁船

写真2

Port Isabel港におけるエビの荷揚げ

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特別寄稿

66石油・天然ガスレビュー

あるが不詳である。いずれにしてもアラビア湾のエビに関する情報は残念ながら非常に少ない。筆者がインターネットでつかまえた情報は、①湾岸戦争以降クウェートのエビ漁獲量は2,500トン/年に落ち込んだ、②カタールにおいてエビ漁業は重要な産業の一つである、③アラブ首長国連邦はエビをオマーンとイランから輸入している、④日本は2002年にイランから358トン、クウェートから111トン(ずい

ぶん少ない量)輸入した、といったことぐらいである。世界最大の石油埋蔵地をひかえたこの海が、もしエビ資源にはさほど恵まれないのだとしたら、「石油のエビ伝説」に対する反証となる。エビが少ないというのが事実だとしたら、しかし、こんな弁明も成り立つ。①蒸発量の大きい閉鎖性の強い内海で塩分濃度が高いため、ホワイト系やブラウン系のエビにとっては厳しい環境である、②同じ理由でマングロー

ブが繁茂しにくく、エビの餌となる小動物が少ない、③湾岸戦争時の石油による環境汚染が回復せずエビの繁殖・成長を困難にしている、④漁業自体が成熟しておらずエビは輸入するものとして位置づけられている。例外的な事象に例外であるための理屈を与えて、「例外」として片付けるのはフェアーでないかも知れない。

5. 高緯度地域における油田分布とエビ

 前項でとりあげたメキシコ湾、西アフリカ、渤海、インドネシア、アラビア湾(ペルシャ湾)は低緯度ないし中緯度であるが、高緯度地域の海や沿岸にも油田はある。サハリン島の北部、アラスカ南部のクック入江、アラスカ北部の北極海、ノルウェー海、そして「火の島」フエゴ島のある南米大陸最南部の様子はどうだろう。そこにはエビは多いのか、どんなエビなのか、これを追求しないと片手落ちになる。 高緯度の冷たい海に棲むのは、クルマエビ類よりやや小型のコエビ類(表2参照)タラバエビ科Pandalidaeの仲間である。コエビ類の分類は省略するが、タラバエビ科の他に前述のテナガエビ科、ヌマエビ科などがこれに含まれる。なお、タラバは「鱈場」すなわちタラの漁場(冷たい海)を指す言葉だという。 タラバエビ科の中で、比較的大型で、形も味もよく、多産して、消費者の目にふれる機会が多いのは、タラバエビ属のPandalus borealis(和名ホッコクアカエビ、商品名アマエビ、体長約10センチ)とモロトゲアカエビ属のPandalopsis japonica(モロトゲアカエビ)、Pandalopsis disper(和名なし)の3種である。特にPandalus

borealis(ホッコクアカエビ)は分布範囲が広く、北半球の冷たい海(北太平洋、北大西洋のやや深いところ)の各所で大量に漁獲されている。ベーリング海とアラスカ湾では、エビの漁獲量の80 ~ 90%がホッコクアカエビだという。この種は北緯40度以南では水温が高くて生息できないが、なぜか日本海だけは例外で、秋田、新潟の油田地帯の沖合いや大和堆で漁獲されている。オホーツク海で多く獲れるのは類似種のPandalus goniurus(和名なし)だが、当局は密漁に手を焼いているというから、サハリンの沖合いでもエビはかなり豊富なのであろう。モロトゲアカエビ属では、Pandalopsis japonicaが北太平洋の西部、Pandalopsis disperが東部(ベーリング海とアラスカ湾)をテリトリーとしており、漁獲量はホッコクアカエビに比べればかなり小さい。 北極海に棲む哺乳類のアザラシ、セイウチ、イッカクなどにとって、エビは重要な餌となっている。「くろべ自然とのつながり」というホームページを見ると、ホッコクアカエビは北極海を中心に、太平洋にも大西洋にも生息すると書いてあるから、アラスカ北岸のプルドーベイ油田の沖合いにはこの種が分布すると推察される。

 ヨーロッパの北海北部やノルウェー海の油田地帯で大量に水揚げされるのもホッコクアカエビである。この海域産のエビは、シシャモ(シシャモもどき?)など他の水産物とともに日本に輸出されている。本稿の執筆中に目にした近所のスーパーマーケットのチラシには「グリーンランド産アマエビ入荷」とあった。グリーンランドには今のところ油田はないが、1990年代に実施された地震探査プロジェクト(石油公団も参加)の結果、島の周囲に10個ほどの堆積盆地が確認され、現地政府の出版物("This is Greenland")には石油探鉱の促進を期待する熱い思いが記されている。 南米大陸南端部のフエゴ島は、靴のかかとで地面を掘ると天然ガスが出てくるといわれる「火の島」である。ここではホッコクアカエビ、モロトゲアカエビ、それにアルゼンチンアカエビ(学名不詳)が豊富に獲れる。ある船

ホッコクアカエビのイメージ画(体長を超す長い触角は省略した)図2

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石油のエビ伝説を考える

67 石油・天然ガスレビュー

員が公開している航海日誌には、世界最南に位置する港町プンタアレナスで

茹でたエビを一皿500円で食った話がのっている。

6. 「エビ」と石油をつなぐもの

【仮説Ⅰ】 エビの身や殻を構成する物質と石油を構成する物質との間には、何らかの共通点があるのだろうか。エビの身の部分のアミノ酸成分を分析した表を見つけた。エビを食べて美味いと感じるのはグリシンやアルギニンというアミノ酸が多く含まれるためであり、それらは表7のとおりクルマエビに特に多く含まれる。 「石油・天然ガスは炭化水素であり、たんぱく質を含む物質ではない。だからエビのたんぱく質(アミノ酸)を調べてもエビ伝説の解明には役立たない」と考えて科学的想像を断ち切ってしまってはいけない。「石油たんぱく」という言葉をたよりにインターネットで検索してみると、プラントエンジニアリング企業のエンジニアという方のサイトに「長年石油のこぼれたような土壌、それがねらい目で結果的にノルマルパラフィンを餌として成長する7株の石油酵母を分離することに成功した」という記述があるではないか。ノルマルパラフィンを餌とする酵母に石油を食わせ、それによって増殖した酵母(たんぱく質、すなわち「石油たんぱく」)を飼料として商品化しようという話である。 仮に油田地帯に石油を食う酵母が自然増殖していたとして、それを動物性プランクトンが食い、それをまたエビが餌とするならば、油田地帯の海にエビが集まってくるのは不思議ではなく、合理性で裏打ちされた自然の理というものだ。地下の油層から地表または海中に自然にもれ出てくるごく微量の炭化水素を測定する「地化学探鉱」と類似の発想で、「酵母+エビ探鉱法」

イセエビ クルマエビ コウライエビ ホッコクアカエビ

グリシン 1,191 1,220 566 526

アルギニン 515 902 458 181

タウリン 201 150 58 46(単位:mg/g)

という技術が誕生する可能性がある。

【仮説Ⅱ】 石油とエビとの間に、炭化水素 → バクテリア(細菌、単細胞)→ 植物プランクトン →動物プランクトン → エビという連鎖が存在することも推測できる。バクテリアは10の目に分けられており、その中のシュードモナス目Pseudomonadalesの中にはメタンを分解するものがある。シュードモナス目は、ロドバクテリア亜目(光合成能力をもつもの)とシュードモナス亜目(光合成能力をもたないもの)に大別され、後者にはシュードモナス属、アセトバクター属、メタノモナス属が含まれる。このメタノモナス属のバクテリアがメタンを分解して成育する性質をもつのである。 この事実から、仮説Ⅰと同様、地下の油層から地表または海中に自然にもれ出てくるごく微量の炭化水素(メタン)をメタノモナス属のバクテリアが分解し、その分泌物ないし排泄物を植物プランクトンが摂取し、それを動物プランクトンが捕食し、それをまたエビが餌とするという食物連鎖の存在は肯定され、将来「メタノモナス探鉱法」が実用化する可能性がある。

【仮説Ⅲ】 エビを茹でると殻が赤く変色する現象は、石油とは関係がないのだろうか。エビはなぜ赤くなるのか。エビの殻(カ

ニの殻も同じ)にはもともとアスタキサンチンという赤い色素が含まれており、それはたんぱく質と結合して茶、緑、青などの色の物質(カロテノプロテインという)として存在している。加熱するとカロテノプロテインのたんぱく質が変化し、結合が切れてアスタキサンチンの本来の赤色が現われる。アスタキサンチンは、美容サプリメントとして米国で商品化されており、そのものずばりの商品名(Astaxanthin)でネット販売されている。知る人ぞ知る世界である。 石油の起源生物としてもっとも有力なのは「藻類」(Algae)だという説がある。調べてみると、藻類の中にはアスタキサンチンを含んで赤い色をしたものがあり、それはヘマトコッカスと名づけられている。エビの殻に含まれるのと同じ色素をもつヘマトコッカスが、石油の起源生物の一つである可能性は十分にある。石油の中に微小なヘマトコッカスの化石が含まれていることが確認されれば、「石油とエビは同じ起源」であることが判明する。

【仮説Ⅳ】 第3項で述べたとおり、ホワイト系のクルマエビは陸水の流入する濁った水を好む。一方、大河河口の三角州(デルタ)付近は「デルタ堆積盆地」として分類され、大油田形成の条件をそなえた地質区とされる。すなわち、大河河口の近くの海にはホワイト系のエビ

エビに含まれるアミノ酸表7

Page 8: 石油のエビ伝説を考える...Homarus gammarus (ウミザリガニ) European lobster 表3 クルマエビ科に属する食用エビ 表4 アカザエビ科に属する食用エビ

特別寄稿

68石油・天然ガスレビュー

が多く生息し、同時にそこにはデルタ堆積物が分布していて石油・天然ガス鉱床形成の可能性がある、という関係が成り立つ。 インドネシアのマハカム川河口付近の町バリクパパンに駐在した30余年前、クブンサユールという名のうらぶれた商店街にあった中華食堂「アトミック」で、私は丸々としたエビを確かに食った。あの河口地域では、その後アタカ、ハンディル、ブカパイなどの油田・ガス田が次々に開発された。あのエビは、クルマエビ属ホワイト系の、バナナエビであったに違いない。

40002000

Km

0

0

15 S

30

45

45

60

75

15 N

30

15 W 15 E0 30 30 45 45 60 60 75 75 90 90 105 105 120 135 150 165 180 120 135 150 180 165

【仮説の終わりに】 映画「フォレスト・ガンプ」(トム・ハンクス主演、1994年)の中で、頭の弱い主人公ガンプは様々な分野で特殊な能力を発揮し、メキシコ湾におけるエビ漁の事業でも大成功する。この映画は、アメリカン・ドリームの裏にあるいくつもの社会問題を浮き彫りにしたことで話題となった。ところが最近出版された「フォレスト・ガンプ2」では、エビ漁は衰退し、ベトナム戦争時代の上官ダン中尉はイラク戦争で味方の誤爆で戦死する。エビ資源の減少(それが事実ならば)をメキシコ湾における石油開発の衰退の前兆と位置づけ、それはまた世界のクルマエビの80パーセントを消費する米国という国の

将来をも示唆する、というのが「続編」のねらいなのではなかろうか。

7. あとがき――エビ伝説の謎

 「石油のエビ伝説」はUFOの存在を

議論するようなものです。肯定も否定もできるのです。本稿のように、石油・天然ガスとエビの間に何か関係はないものかと探っていけば、それらしい

理由は見つかります。一方、エビなんかどこにでもいるのだから、油田・ガス田の近くで探せばエビは必ず見つかる、と言ってしまえば話はそれでお終

クルマエビ、ホッコクアカエビ及び沿海油田・ガス田の分布図3

橙色がエビの多い海域、緑が油田・ガス田の集中する場所を示す。エビの分布において、破線より高緯度ではホッコクアカエビが、破線より低緯度ではクルマエビが特徴的である

写真3

メキシコ湾産のエビ料理

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石油のエビ伝説を考える

69 石油・天然ガスレビュー

いです。想像力をふくらませる訓練にはちっともなりません。 本稿は、私の個人的興味にもとづき「読み物」として書いたものです。学術的意味を持つものではないことは言うまでもありません。手探りで資料を

集め、専門と称する分野からかけ離れた難しい術語をなんとか理解しようと努め、ようやく屁理屈めいたスジ立てをこしらえて、文章としてまとめただけのものです。ですから、読者の方々には、この内容を鵜呑みにすることは

おろか、この内容を他人にまことしやかに伝言することも、ゆめゆめなさらないことをお願いしてエビ伝説の謎解きを終わりにします。

参考文献

<エビ関係>『エビと日本人』、村井吉敬、岩波書店(岩波新書)(1988)『新訂 暮らしとさかな-水産食品読本-』、東京水産大学第9回公開講座編集委員会(編)、成山堂書店 (1994)『改訂増補 日本のエビ・世界のエビ』、東京水産大学第8回公開講座編集委員会(編)、成山堂書店 (1995) 『エビ・カニの繁殖戦略』、武田正倫、平凡社 (1995)『ダイバーのための海中観察図鑑』、吉野雄輔、PHP研究所 (1995)『改訂 海の科学』、柳 哲雄、恒星社厚生閣 (1998)『甲殻類学-エビ・カニとその仲間の世界』、朝倉 彰(編著)、東海大学出版会 (2003)<石油関係>海と石油、「こうもり」(日本石油㈱社内誌)、240号、齊藤 隆 (1975) "Oilfields of the World": E. N. Tiratsoo, Gulf Publishing Company (1976)『世界含油気盆地図集』、甘 克文・李 国玉他(編)、石油工業出版社 (1978)『ガイドブック 世界の大油田』、石油学会(編)、技報堂出版 (1984)