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光暗号を用いたディスプレイのセキュリティー技術
徳島大学 大学院
ソシオテクノサイエンス研究部
助教 山 本 裕 紹
2
研究背景
従来の暗号:
表示された情報を保護できない。
覗き見
映像信号の解読
データの窃盗
TU
TEMPEST
情報表示のセキュリティが課題映像信号の解読防止
覗き込みの防止両方が必要
3
• ルーバーなどの視野角を制限するフィルムを用いる方式*
• 液晶の透過率の視野角依存性を利用して,
電気信号により見える範囲を切り替える方式**
*岩間進,月刊ディスプレイ 12, 62(2006).
市松模様に配行が分割された液晶によるフィルタ
右からは黒に見える
左からは黒に見える
電圧印可時
ラビング方向
**高頭孝毅,月刊ディスプレイ 12, 57(2006).
偏光板の透過軸
従来技術とその問題点
×映像信号の解読を防止できない.
×ユーザーによる不注意や
無防備な閲覧を防止できない.
4
黒画素の暗号化
白画素の暗号化
表示画像
復号用マスク
復号結果四
画素を用いた光暗号
表示画像
復号用マスク
復号結果
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観察位置の限定
画像表示面 復号マスク
観察位置ピッチと設置距離により,観察位置を限定できる.
画像情報を2枚の画像に分散して暗号化.2枚のうち一方を復号マスク,他方を表示画像とする.
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光暗号
暗号化された表示画像
復号用マスク
限定された観察位置 復号用マスクを通して表示画像を観察
観察される画像
知覚される画像
視覚的なコントラスト強調
光暗号によるセキュアディスプレイ
解読防止
(光暗号を解く鍵)
覗き込み防止
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想定される用途
• 本技術の特徴は単に覗き込みを防止するだけでなく、情報の閲覧者のモラルにかかわらずセキュリティの確保が保障されるメリットが大きいと考えられる。
• 上記以外に、セキュリティ対策を明示的に示す効果が得られることも期待される。
• また、達成された観察位置の設定技術に着目すると、博物館展示や初等教育といった分野や用途に展開することも可能と思われる。
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想定される業界
• 想定されるユーザー
金融機関やコンビニエンスストアのATM関係
原子力関係などのオペレーション関係
医療分野における電子カルテ入力・閲覧端末関係
• 想定される市場規模
BRICsを中心に金融ATM端末の市場規模が拡大
中国市場だけでも2010年までに十万台と言われる
@百万円と想定→世界で数千億円の市場規模
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セキュアディスプレイ技術の特徴
観察領域の限定観察領域の限定
• 覗き見防止– 観察空間を3次元的に
限定する技術• 観察距離の限定• 上下方向の限定
• 観察領域の設計– 限定された2つの観察
領域– 見る方向に応じて異な
るコンテンツを表示
表示画像の暗号化表示画像の暗号化
• 画像信号の盗聴防止– 表示画像の暗号化– 復号用マスクの所有者
だけが復号可能
• 情報アクセスの制御– 複数枚の復号用マスク
を用いる暗号化– 復号用マスクによる利
用者の認証
セキュリティ上重要な2つの機能を同時に実現.
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観察領域の境界 観察領域内
観察領域外
H. Yamamoto et al., Optics Express 12, 1258 (2004).
開発したプロトタイプとその問題点
画質向上が必要
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新技術:偏光演算型セキュアディスプレイ
○偏光面の回転による暗号構成アルゴリズムの構築
○液晶パネルの偏光回転特性の測定
○積層された液晶パネルによる偏光演算の実証
光の偏光に基づく光演算により,視覚復号型暗号を構築,観察領域を限定.
実施項目
暗号構築
液晶応用
偏光実験
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偏光演算による多色・多階調表示
• 背景の液晶パネルにおける偏光回転角度0°
• 背景の液晶パネルにおける偏光回転角度90°
背景の液晶パネルにおける偏光回転角 0°
背景の液晶パネルにおける偏光回転角90°
前景の色 観察される色 前景の色 観察される色
白 白 白 黒
黄 黄 黄 青
赤 赤 赤 シアン
マゼンタ マゼンタ マゼンタ 緑
青 青 青 黄
シアン シアン シアン 赤
緑 緑 緑 マゼンタ
黒 黒 黒 白
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従来技術による復号結果
• 新技術による復号結果
新技術の特徴・従来技術との比較
• 暗号化された画像と復号用マスク
○コントラスト向上
○解像度向上△波長分散の補正
△画素単位のアライメント
(○:利点.△:課題.)
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新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった、コントラスト低下を改良することに成功した。
• 従来は画質低下の点でセキュアディスプレイの原理の実証段階であったが、白色表示ができるまで性能が向上できたため、文字データの鮮明な表示が可能となった。
• 本技術の適用により、画素単位での復号演算ができるため、コントラストが2倍、解像度が4倍程度まで向上することが期待される。
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実用化に向けた課題
• 現在、偏光利用による暗証番号表示が可能なところまで開発済み。しかし、映像表示の点が未解決である。
• 今後、高性能偏光変調素子について実験データを取得し、映像情報表示に適用していく場合の条件設定を行っていく。
• 実用化に向けて、偏光変調素子積層による画素形成の精度を数画素以内まで向上できるよう技術を確立する必要もあり。
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企業への期待
• 未解決の高精細化については、三次元液晶ディスプレイの技術により克服できると考えている。
• 液晶ディスプレイパネル組み立ての技術を持つ、企業との共同研究を希望。
• また、情報キオスクを開発中の企業、情報セキュリティー分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :液晶式画像表示装置及び
液晶式画像表示方法
• 出願番号 :特願2006-71836• 国際出願番号 :PCT/JP2007/55110• 国際公開番号 :WO2007/105760• 出願人 :国立大学法人徳島大学
• 発明者 :山本 裕紹
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お問い合わせ先
株式会社テクノネットワーク四国
(通称:四国TLO)
技術移転部
主任 辻本 和敬
Tel 087-811-5039
Fax 087-811-5040
e-mail [email protected]