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環境からの地域づくり 宗像地域循環共生圏 環境省 大臣官房 環境計画課 岡野 隆宏

環境からの地域づくり 宗像地域循環共生圏 · 資源が循環する自立した分散型社会を形成し、地域固有の特性に応じた共生や近 隣地域と交流する地域を構築。

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Page 1: 環境からの地域づくり 宗像地域循環共生圏 · 資源が循環する自立した分散型社会を形成し、地域固有の特性に応じた共生や近 隣地域と交流する地域を構築。

環境からの地域づくり宗像地域循環共生圏

環境省 大臣官房 環境計画課

岡野 隆宏

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それぞれの地域がその特性を活かして強みを発揮することで、地域ごとに異なる資源が循環する自立した分散型社会を形成し、地域固有の特性に応じた共生や近隣地域と交流する地域を構築。

⇒持続可能な循環共生型の社会(「環境・生命文明社会」)の実現。

○各地域がその特性を活かした強みを発揮→地域資源を活かし、自立・分散型の社会を形成→地域の特性に応じて補完し、支え合う

地域循環共生圏のイメージ

地域循環共生圏

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「Society 5.0」と人の生産性向上が創る「地域循環共生圏」

人々が健康で活き活きと暮らし幸せを実感することで、地域が自立し誇りを持ちながらも、他の地域とも有機的につながることにより、国土の隅々まで豊かさが行きわたる。

新たな価値とビジネスで成長を牽引する地域の存立基盤

クラスターEV充放電管理ビジネス

再エネビジネス(風力)

配電・小売りビジネス

地域間エネルギー流通ビジネス

観光ビジネス(エコツーリズム、祭り、文化・歴史)

高齢者向け配車サービス

地域交通ビジネス(グリーンスローモビリティ)

衣・食・住にわたるオーガニック・ビジネス(体に優しくおしゃれなオーガニック素材衣服)(自分と地球に優しいオーガニック・コスメ)(オーガニック農産物・水産物等の地産地消・産地直送)(地元材で人に優しくロングライフな住宅)(地元オーガニック産品で地域商店街の活性化)

再エネビジネス(バイオマス)

地域循環共生圏

地域循環共生圏地域循環共生圏

地域循環共生圏

地域循環共生圏

地域循環共生圏(日本発の脱炭素化・SDGs構想)- サイバー空間とフィジカル空間の融合により、地域から人と自然のポテンシャルを引き出す生命系システム -

再エネ熱ビジネス

電力アグリゲートビジネス

再エネビジネス(太陽光)

エネルギーの地産地消と地域間融通

地域再エネビジネスを支えるシステム

災害時でも安心感のあるエネルギーシステム・ライフライン

地域の魅力を引き出す交通システム

地域金融・ESG金融・地域ファンドによるビジネス支援防災・景観・再エネの

ための配電網地中化

「オーナーシップ」 「ネットワーク」 「サステナブル」= 活力あふれる「地域循環共生圏」 ⇒ 「脱炭素化・SDGsの実現、そして世界へ」

資源循環ビジネス(廃棄物、食料、プラ等の先進的リサイクル)

地域循環共生圏

健康・未病ビジネス(地域包括ケアシステム、農福連携)

デジタル技術による次世代・高品質 基幹送電網

イノベーティブなものづくり

廃棄物発電&熱利用

CO2フリーガス(水素メタネーション技術)

蓄電池・水素貯蔵

シェアリングビジネス

地域グリッドと基幹グリッド双方が支えるハイブリッド電力システム IoT活用による

低炭素物流

IoT等による経営資源・製品等の次世代流通網

水の循環と調和する地域コミュニティ

地域経営型のエネルギービジネス地域資源活用型観光ビジネス

地域課題解決型のビジネス(既存施設や耕作放棄地等の活用によるビジネス拠点化・観光資源化、地域教育・人材育成)

廃プラスチックからの再生CO2の原料化

日本の基幹ものづくり産業

ZEH・ZEB

ソーラーシェアリング

自律分散型の「エネルギー」システム

人に優しく魅力ある「交通・移動」システム

健康で自然とのつながりを感じる「ライフスタイル」

「災害」に強いまち

「人間の安全保障、次世代・女性のエンパワーメントを基盤に」

新たなバリューチェーンの創造

多様なビジネスの創出

防災インフラと自然の防災力の相乗効果

気候変動影響による被害の回避・軽減(適応)

安心と利便性で高齢者や子育て世代に優しい移動手段

「オーナーシップ」と「ネットワーク」からなる生命系システム社会

「自立分散」 × 「相互連携」 × 「循環・共生」

地域循環共生圏

ストックとしての豊かな自然とその恵みでグッドライフ

グリーンインフラEco-DRR

再エネ活用による防災・減災拠点整備

適応ビジネス

子育て世代支援サービス

CO2フリーガスコジェネ

熱融通ビジネス

野遊び(地域の豊かな自然・景色・文化を味う)

共感・感動創造(文化・芸術・歴史・スポーツ)

暗黙知・技や地域価値の再発見(次世代育成・教育、世代間交流)

「知の源泉」となる地域の大学・高専・研究機関

「モノ消費」から「コト消費」へのシフトで健康と豊かさと楽しさを

Ver. 24

中小企業の環境経営

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100年の森構想と化石燃料に頼らない地域づくり(岡山県西粟倉村)

1966年に建設小水力発電所を改修→FIT収入1400万円

西粟倉森の学校

出典:西粟倉村役場HP

出典:https://morinogakko.jp/

・木材加工製品開発・販売・熱供給

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匝瑳メガソーラーシェアリング農地創出プロジェクト(千葉県匝瑳市)

設備容量:1MW、土地面積:約32000㎡導入年月日:2017年3月、導入費用:約3億円年間の予想売電収入:約4700万円作物:有機大豆、有機麦

パネル1枚25000円で購入すれば、売電収益から毎年利益が還元される

匝瑳第一市民発電所匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所

http://solar-sharing.net/archives/327出典:ソーラーシェアリングWeb

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「すべてが良くなって、幸せになった。」

• 東日本大震災前は、養殖いかだが過密で成長が悪く、3年養殖してもふっくらとしたカキが育たなかった

• 震災ですべてのいかだが流された時、海とちゃんと向き合った養殖に変えたいと立ち上がった漁師

• 3年にわたる話し合いの結果、いかだの数は1/3、配分は将来性を考慮

• 国際環境認証ASCを取得

カキの成長が3倍、1年で出荷、 しかもふっくら 労働時間が10時間から6時間に 経費が4割減で、所得が1.5倍 後継者が続々、 平均年齢が60代から40代に 誇りが生まれた 大手企業の社食に採用

養殖方法の変革と国際認証(宮城県南三陸町)

出典:https://umisagozain.com/

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• 日本有数の酪農地域で大量に発生する糞尿の処理が課題(悪臭による生活および観光への影響、水質への懸念、酪農家の手間)

• 糞尿を発酵させたメタンで、発電を行うバイオガスプラントを設置• 施設は町が整備し、11軒の酪農家が参加した組合で運営

FITの開始により売電収入が7000万円

酪農家は処理の手間が省けたため牛を増頭

液肥は15軒の畑作農家が利用

悪臭がなくなり生活環境が改善

完熟させた消化液は硝酸態窒素がなく土壌や水への影響が減少

メタンを水素化する実証試験開始

バイオガスプラントによるエネルギーの活用と環境改善(北海道鹿追町)

出典:https://www.town.shikaoi.lg.jp/work/biogasplant/

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地域の所得循環構造②

注)消費=民間消費+一般政府消費、投資=総固定資本形成(公的・民間)+在庫純増(公的・民間) 7

注)石炭・原油・天然ガスは、本データベースでは鉱業部門に含まれる。

注) エネルギー代金は、プラスは流出、マイナスは流入を意味する。

産業別付加価値額

生 産 支 出

地域外

消費

投資

域際収支

億円

億円

億円

付加価値額(十億円)

域際収支(十億円)

フローの経済循環

分 配

注) その他所得とは雇用者所得以外の所得であり、財産所得、企業所得、税金等が含まれる。

(投資の約2.2%)

約10億円

民間投資の流出:

食料品、住宅賃貸業、対個人サービス、対事業所サービス、その他の不動産業、公務、建設業、廃棄物処理業

所得の獲得:

(消費の約14.0%)

約322億円

民間消費の流出:

452

-624

2,302

その他所得(959億円)

雇用者所得(1,170億円)

宗像市総生産(/総所得/総支出)2,130億円【2013年】

1,242

移輸出

移輸入

1,866

夜間人口1人あたり所得CO2排出量

再投資拡大

0 10 20 30 40 50

農業

林業

水産業

鉱業

食料品

繊維

パルプ・紙

化学

石油・石炭製品

窯業・土石製品

鉄鋼

非鉄金属

金属製品

一般機械

電気機械

輸送用機械

精密機械

衣服・身回品

製材・木製品

家具

印刷

皮革・皮革製品

ゴム製品

その他の製造業

建設業

電気業

ガス・熱供給業

水道業

廃棄物処理業

卸売業

小売業

金融・保険業

住宅賃貸業

その他の不動産業

運輸業

情報通信業

公務

公共サービス

対事業所サービス

対個人サービス

0

20

40

60

80

100

第1次産業 第2次産業 第3次産業

雇用者所得(十億円)

0

20

40

60

80

100

第1次産業 第2次産業 第3次産業

その他所得(十億円)

-30 -20 -10 0 10 20 30

食料品

住宅賃貸業

対個人サービス

対事業所サービス

その他の不動産業

公務

建設業

廃棄物処理業

林業

繊維

鉱業

公共サービス

ゴム製品

皮革・皮革製品

非鉄金属

水産業

ガス・熱供給業

製材・木製品

家具

鉄鋼

窯業・土石製品

印刷

パルプ・紙

精密機械

水道業

衣服・身回品

金属製品

運輸業

電気業

農業

小売業

その他の製造業

一般機械

化学

電気機械

石油・石炭製品

情報通信業

輸送用機械

金融・保険業

卸売業

3.20

3.76 3.60 3.77

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

宗像市 全国 福岡県 同規模地域

(5万人以上

~10万人未満)

※地方圏の平均

夜間人口

1人当たり所得(百万円/人)

92

352

153

0

50

100

150

200

250

300

350

400

産業部門 民生部門 運輸部門

部門別

CO

2排出量(千

tCO

2)

エネルギー代金の流出:

約146億円 (GRPの約6.8%)

石炭・原油・天然ガス:約3億円

石油・石炭製品:約87億円

電気:約46億円

ガス・熱供給:約9億円

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地域の所得循環構造③

生産

①宗像市では、住宅賃貸業が最も付加価値を稼いでいる産業である。

②製造業では、食料品が最も付加価値を稼いでおり、次いで金属製品、窯業・土石製品が付加価値を稼いでいる産業である。

③第3次産業では、住宅賃貸業が最も付加価値を稼いでおり、次いで公共サービス、公務が付加価値を稼いでいる産業である。

支出

⑥宗像市では、食料品、住宅賃貸業、対個人サービスが域外から所得を稼いでいる。

⑦消費が域外に流出しており、その規模は地域住民の消費額の1割程度である。

⑧投資は域外に流出しており、その規模は地域住民・事業所の投資額の1割未満である。

エネルギー

・CO

2

⑨宗像市では、エネルギー代金が146億円域外に流出しており、その規模はGRPの約6.8%である。

⑩エネルギー代金の流出では、石油・石炭製品の流出額が最も多く、次いで電気の流出額が多い。

⑪宗像市の再生可能エネルギーのポテンシャルは、地域で使用しているエネルギーの約15.86倍である。

⑫宗像市のCO2排出量は、産業、民生、運輸部門のうち民生部門が最も多く、352千tCO2である。夜間人口1人当たりのCO2排出量は6.21tCO2/人であり、全国平均と比較して低い水準である。

地域の特徴

8

分配

④宗像市では、第3次産業の雇用者所得への分配が最も大きい。

⑤宗像市の夜間人口1人当たりの所得は3.20百万円/人であり、全国平均と比較して低い水準である。

域内の事業所が1年間で域内でどれだけ付加価値を稼いだか

付加価値とは、売上から原材料を除いた売上総利益である

生産面で稼いだ付加価値が賃金・人件費として分配され、地域住民の所得(夜間人口1人当たり所得)に繋がっているか否か

域内の産業で、域外から所得を稼いでいる産業は何か

地域内で稼いだ所得が地域内の消費や投資に回っているか否か

エネルギー代金の支払いによって、住民の所得がどれだけ域外に流出しているか

域内に再生可能エネルギーの導入ポテンシャルがどれぐらい存在するか

CO2がどの部門からどれだけ排出されているか

分析内容

2

注)再生可能エネルギーのポテンシャルには、環境省「平成24年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報整備報告書」における、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルの地域別集計表(都道府県別・市町村別)を用いている。

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「地域循環共生圏」創造の重要なポイント

①地域課題とニーズを適確に捉え、②対応する地域資源を発見・活用し、③縦割りを超えた新たなパートナーシップを形成、地域連携を深化させ、④新たな価値を創造し、地域経済循環を向上させる

更に、「 」で課題を克服しつつ魅力を上げ、異分野との連携により「

(統合的課題解決)」に深化させていく

はじめに

地域循環共生圏は、 や、 にも大きく貢献。

紹介事例は緒に付いたばかりで構想ステージのものも多い。今後、を で進められるよう として最大限活動。

各地域がその特性(課題・ニーズ)に応じ、地域資源を活かし、自立・分散型の社会を形成しつつ、近隣地域と補完し、支え合うことで創造。

環境・社会・経済の統合的課題解決により脱炭素とSDGsが実現した、魅力あふれる地域社会像。

地域課題ニーズ

地域資源固有価値

相互連携パートナーシップ

新たな価値創造地域経済循環

地域ビジネス促進

地域循環共生圏の概念図

地域循環共生圏とは・・・ローカルSDGs

地域循環共生圏のポイント