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げる次第である.4-5-2サ イクロイド歯形 65 4-5-3ラ ッ ク 66 4-5-4内 歯 車 67 4-5-5ピ ン 歯 車 68 4-6イ ンボリュート歯形 68 4-7イ ンボリュート関数

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は じ め に

機構学は機械工学の基礎となる重要科 目の一つ である.工作機械 ・自動

車 ・印刷機械などの動力を伝える機械や,時計 ・カメラ ・計測器などの器機

には一見非常に複雑な動きをしているものがある.しかし, これらの動きを

詳細に調べてみると,簡単な動きを数種組み合わせたものであることがわか

る.機械の動きの原理を考究するのが機構学の目的であ り,これに習熟する

ことに より見掛け上の機械の複雑さに惑わされることなく,その仕組みを明

確に把握することができる.

本書においては基本的な機構のみを取 り扱い,その配列の順序は,まず直

接接触による伝動として摩擦車 ・歯車・カムを扱い,つ ぎに中間媒介節によ

る伝動 として リンク・巻掛け伝動を扱った.機構学の中心をなすのは歯車で

あって,歯車はほとんどあらゆる機械に用いられているうえ,他の機構に比

べて理論的であ り,これを除外することはできない.教科書として本書を用

いる場合,授業時間数の関係で全部を終了することはできないにしても,こ

の順で講義を行えば歯車を省く心配はないと考えられる.

機構学は大学における授業科 目としては低学年におかれることが多 く,と

きには第一年度の科 目としておかれてあるところもある. このような場合に

は,高等学校から入学してす ぐの学生にとっては,製図の知識がないため投

影図を見て直ちにその形状を頭に浮かべるのが困難なことが多い.そのため

見取図的な図面をできるだけ多 く取 り入れることにした.ただし投影図で表

さなければ寸法的関係が明示できないものはこの限 りではない.また特殊な

やや煩雑な計算を必要とするような数式の誘導は省略し,その結果だけを下

欄の注に示すにとどめた.各章には基本的な例題を入れ実際の数値計算に習

熟できるようにし, さらに各章の終 りには代表的な演習問題を並べておい

た.学習者は各自これを解き,巻末の解答と比較されることを希望する.

最近,量記号や単位記号の規格が変わ りつつあ り,また学術用語も一部改

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訂される様子である.本書では現在用いられている記号や用語を用いたが,

将来これらが正式に決定されたときには改訂するつもりである.なおここに

いろいろ参考にさせていただいた多くの書物の著者の方々に厚 くお礼申し上

げる次第である.

昭和49年6月

著 者

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目 次

1序 論

1-1機 械 と 機 構  1

1-2機 素 ・対偶 ・連鎖  2

1-3運 動の伝達方法  5

1-4瞬 間 中 心  6

1-53瞬 間中心の定理  10

1-6瞬 間中心の求め方  11

2機 構 にお け る速 度 ・加速 度

2-1剛 体上の速度 ・角速度  16

2-1-1速 度 と瞬 間中心 との関係  16

2-1-2分 速 度 の関 係  17

2-1-3相 対速度の関係  18

2-1-4角 速 度 の関 係  19

2-2機 構における速度  21

2-2-1移 送 法  22

2-2-2連 節 法  23

2-2-3分 解 法  23

2-2-4写 像 法  24

2-2-5直 接接触におけ る速度 ・角速度  26

2-3剛 体における加速度  27

2-4機 構におけ る加速度  29

2-5変 位 ・速度 ・加速度線図  32

3摩 擦 伝 動 装 置

3-1こ ろが り接触の条件  38

3-2こ ろが り接触 をす る輪郭の描き方  39

3-3だ 円 車  40

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3-4角 速 度 比 一定 の ころが り接 触  43

3-4-12軸 が 平 行 な場 合  43

3-4-22軸 が交 わ る場 合  44

3-4-32軸 が平 行で もな く交 わ りもしな い場 合  46

3-5摩 擦 車  48

3-6み ぞ 付 き摩 擦 車  49

3-7変 速 摩擦 伝 動 装 置  50

4歯 車 歯 形

4-1歯 車 の歯 形 とし ての 条 件  56

4-2す べ り 速 度  58

4-3歯 形 の 求 め 方  60

4-3-1歯 形 上 の 点 を求 め る方 法  60

4-3-2包 絡 線 に よる方 法  61

4-4歯 形 に 関す る用 語 と記 号  61

4-5サ イ ク ロ イ ド歯 形  64

4-5-1サ イ ク ロイ ドの 性 質  64

4-5-2サ イ ク ロ イ ド歯 形  65

4-5-3ラ ッ ク  66

4-5-4内 歯 車  67

4-5-5ピ ン 歯 車  68

4-6イ ンボ リュ ー ト歯 形  68

4-7イ ン ボ リュ ー ト関 数  70

4-8イ ン ボ リュ ー ト歯 形 の接 触  74

4-9中 心距 離 の 変 化の 影 響  75

4-10ラ ッ ク ・内 歯 車  77

4-11か み 合 い 率  79

4-12す べ り 率  82

4-13干 渉 ・切 下 げ  87

4-14転 位 歯 車  89

IMASATO
テキストボックス
以下目次省略
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1

序 論

1-1機 械 と 機 構

現在 まで に 機械 (machine) に対 す る定 義は い ろ い ろ述 べ られ て い るが , 最

も一 般 的 と考 え られ る もの は次 の定 義 で あ る.

機 械 とは 抵抗 力の あ る物 体 の 組合 せ で あ って , そ の各 部 は 限定 され た相 対

運 動を 行 い , エ ネル ギ を有 効 な 仕 事 に変 ず る もので あ る.

上 の定 義 の 中 の各 部 の限 定 され た相 対 運動 につ い て学 ぶ の が機 構 学 の 目的

で あっ て, そ の 内 容 として は機 械 を 構成 す る各部 分 の 間 の運 動 の法 則 や ,機

械 部 品 (歯 車 ・カム な ど) の形 が運 動 に及 ぼ す影 響 を 調 べ る もの で あ る.

各 部 の限 定 され た運 動 を 調べ る場 合 は, そ の運 動 を 伝 え る各 部 の組 合 せ を

機構 (mechanism) とい う. この機 構 の運 動 の法 則 を調 べ る のに は ,実 際 の 形

に こだ わ らず , た とえ ば ,長 さだ けを 考 え れば よい こ ともあ る. 図1-1の

図 (a)は, シ リン ダdの 中 を ピス トンcが 左右 に往 復 し, 連 接棒bを 通 して

クランクaに 回転を与える装置で,実際には内燃機関などに用いられている

機構であるが,この運動の性質を決定するものはクランクと連接棒の長さで

図1-1機 構 の 表 し 方

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あ る. した が って , この運 動 を 調べ るた め には 図 (b)の よ うに 簡略 化 して 考

え る. この場 合 ,dは シ リン ダば か りでな く,基 礎 ・軸受 な ど動 か ない 部 分

全 部 を表 して い る. ま た実 際 に は,ピス トンcが シ リンダdの 中 をす べ って

い るの で あ るが,cの 穴 がdの 棒 を包 ん です べ って も運 動 の性 質 は 同 じで あ

る.

1-2機 素 ・対 偶 ・連 鎖

機 械 を 構成 して い る部 分 品 を 機素 (machine element) と名 付 け る. また ,

隣 り合 った機 素が 互 い に接 して運 動 す る場 合 , そ の接 触 部 分 の組 合 せ を 対偶

(pair)とい う. 二 つ の機 素 が線 や 点 で接 触 す る場 合は 線点対偶 (higher pair)

とい い ,面 で 接触 す る場 合 は 面対偶 (lower pair) とい う. 前 者 は球 や 円 筒が

他の面 と接触する場合である.面対偶はさらに三つに分類され,結局下のよ

うになる.

A線 点 対 偶

図1-2面 対 偶

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B面 対 偶

B-1す べ り対偶 (sliding pair) ま たは すすみ対偶 (prismatic pair):直

線運 動 だ けを 行 う.

B-2回 り対偶 (turning pair):軸 線 の まわ りに 回転 運 動 をす る.

B-3ね じ対偶 (screw pair):軸 線 の ま わ りに 回転 す る と同時 に軸 方

向に一 定 の割 合 で移 動 す る.

実 際 の機 械 では , 面対 偶 が 最 も多 く用 い られ て い る.

い くつ か の機 素 が 互 いに 対 偶 を な し て 次 々 とつ な が り, 最 後 の機 素が 再

び最 初 の 機 素 と対 偶 を なす よ うに環 状 に つ な が っ て い る場 合 , これを 連鎖

(chain)とい う. そ してそ れ ぞ れ の機 素 を 節 (link)とい う.

図1-3の 図 (a)は 四 つ の棒 を ピ ンでつ な いだ 装 置 で あ る, これ は 各節 が 回

り対 偶 で結 ば れ た 連 鎖 で 四節 回転連鎖 (quadric crank chain) と呼ば れ て い る

が , た とえば , 節dを 固 定 して節aに 回転 運 動 を与 えれ ば , 節cは 往 復 角

運 動 (揺 動運 動) を し, そ の運 動 の間 の関 係 は 一定 であ る. この よ うに 各 節

の互 い の相 対 運 動 が一 定 で あ る連 鎖 を 限定連鎖 (constrained chain) とい う.

また 図 (b)の よ うに , 三 つ の節 が 回 り対 偶 で結 ば れ て い て も互 い の節 の 間 に

相 対 運 動 は起 こ らな い. この よ うな連 鎖 を 固定連鎖 (locked chain) とい う.

図1-3連 鎖

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さ らに , 図 (c)の よ うに ,5個 の 節 が 回 り対偶 で結 ばれ た 場 合 はaを 回 転 さ

せ て もdの 動 きは定 ま らない . この よ うに節 の 間 の相 対 運動 が 一 定 でな い 連

鎖 を不限定連鎖 (unconstrained chain) とい う. しか し図 (d)の よ うに,節aと

dを 結 ぶ新 しい節fを 入れ る と限定 連 鎖 とな る. 図 (a)の節 は い ず れ も二 つ

の 対偶 を持 って い る. これ らを単節 (simple link) とい う. また 図 (d)の節a,

dの よ うに , 三 つ以 上 の対 偶 を持 つ 節 を 複節 (compound link) とい う.

機構に用いられる連鎖は限定連鎖でなければならない.上の例のように面

対偶でつながれた限定連鎖は最小4個 の節から成る. これに対して線点対偶

図1-4連 鎖 の 置 換 え

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を 含 む連 鎖 で は3個 の節 で 限定 連 鎖 が成 り立 つ. 摩 擦 車 ・歯 車 な どがそ の 例

で あ る.

図1-4(a) は 図1-3(a) の四節 回転 連鎖 であ るが , 節dを 固 定 し節aを 回

転 させ る と節cは 往 復 角運 動 をす る こ とを示 して い る. 図 (b)は節cを 固定

した場 合 で節bもdも 往復 角運 動 を す る. 図 (c)は節aを 固定 した場 合 で節

bもdも 回転 運 動 を す る. この よ うに 同 じ連 鎖 で あ って も固定 す る節 を 変 え

る と別 種 の機 構 を生 じる. こ の こ とを連鎖の置換え (inversion of chain) とい

う.

1-3運 動 の 伝 達 方 法

機 構 にお い て最 初 に エ ネ ル ギ を 取 り入 れ て 動 く節 を原動節 (driver)とい

い ,原 動 節 に よって 動か され る節 を従動節 (follower)とい う. 原 動 節 か ら従

動 節 に運 動 を伝 え るの に ,両 者 が直 接 に接 触 す る場 合 と,両 者 の 間に 媒 介節

を 入れ , それ を 通 して運 動 を伝 え る場 合 とが あ る. これを さ らに分 類 す る と

次 の よ うに な る.

A直 接接触 (direct contact) に よる伝達

A-1こ ろが り接触 (rolling contact)に よ るも の (例 摩 擦 車)

A-2す べ り接触 (sliding contact)に よる もの (例 カ ム)

A-3こ ろが り接触 とす べ り接 触 が ま ざ った もの (例 歯 車)

B中 間媒介節 (intermediate connector) に よる伝 達

B-1硬 質媒介節 (rigid connector) に よ る もの (例 リン ク)

B-2巻 掛け媒介節 (wrapping connector) に よ る も の (例 ベル ト・

チ ェー ン)

な お , この 分類 は 運 動伝 達 方 法 の全 部 を尽 くした もの で は な く, この ほ か

に流 体 に よる方法 ,電 磁 気に よ る方法 な どが あ る.

図1-5に 各 種 の伝達 方 法 を示 して あ る が , 摩 擦車 は 二 つ の 円板 の周 を直

接 接 触 させ摩 擦 に よって 回転 を伝 え る もの で, そ の 周速 は 等 しい. カム は板

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の 周に 特 殊 の輪 郭 を与 えた もの で, これ を 回 転 させ る とそ の周 に 接 触 した 従

動節 が 往 復運 動 を す る. この とき従 動節 の 先 端 とカ ムの 周 は互 い にす べ って

い る. 歯 車は 摩 擦車 の周 に歯 を 付 け た形 を して お り, そ の歯 の かみ 合 い に よ

り運 動 を 伝達 す る. そ の際 , 歯 と歯 の 間に は あ る量 の すべ りと ころが りが 存

在 す る. リンクは 細長 い棒 を組 み 合 わせ た もの で, た とえば , 原動 節aか ら

媒介 節bを 通 して従 動 節cに 運 動 が伝 達 され る. ベル トは二 つ の ベ ル ト車 の

間に 環 状 のベ ル トを巻 き付け , ベ ル トとベ ル ト車 の 間 の摩 擦 に よって運 動 を

伝 達す る もの であ る.

1-4瞬 間 中 心

機 構 に おけ る運 動 を大 別す る と次 の よ うに な る.

A平 面運動 (plane motion) :機構 上 の す べ て の点 がそ れ ぞれ 一 つ の平 面

上 を動 く場 合

図1-5各 種 の 運 動 伝 達 方 法

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B球 面運動 (spherical motion) :機構 上 の す べ て の 点が そ れ ぞれ あ る1

点 を中 心 とす る球 面上 を 動 く場 合

Cら せん運動 (screw motion) :機 構上 のす べ て の 点 がそ れ ぞ れ一 つ の軸

を 中心 と して 回転す る と同時 にそ の 軸方 向に 移 動す る場 合

一 般 に使 わ れて い る機 械 で は 平面 運 動 をす る機 構 が最 も多 い ので , ここで

は 平面 運 動 に つ い て述 べ る.

図1-6(a) に お いて 物体 をそ の上 に と っ た 直 線PQで 代表 させ る と し,

P1Q1の 位置 に あ る物 体をP2Q2の 位 置 に 移 動 させ るの に ,あ る1点 を 中心 と

して 回 転運 動 だ け で持 って くるた め に は, ど こを 回転 の 中心 とした ら よい か

を考 えて み よ う. これ に はP1P2の 垂 直2等 分線 とQ1Q2の 垂 直2等 分 線 と

の 交点0を 求 めれ ば よい. なぜ な らば ,△P1OQ1と △P2OQ2は3辺 が等 し

い か ら合 同 で あ る. した が って

両 辺 に 共通 な ∠Q1OP2を 加 えれ ば

これ を α とお くと, この 物 体 をP1Q1の 位 置 か らOを 中心 と して αの 角度

を 回転 させ る と,P2Q2の 位 置 に移 動 させ る こ とが で き る. この ときOを 回

転中心 (center of rotation) とい う.

図1-6回 転中心 と瞬間中心

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このP1Q1か らP2Q2に 移 る時 間 が ご く 短 時 間 だ とし, そ の極 限 を考 えれ

ば,P1Q1,P2Q2の 方 向は それ ぞ れP,Qの 動 く径 路 に接 す る方 向 ,す な わ ち

P,Qの 速 度 の方 向 とな る. した が って , あ る瞬間 に お け るPQの 回転 中心

は 図 (b)に 示す よ うにP,Qに おい て それ ぞ れ の 速 度 ベ ク トルvP,vQに 垂直

に 引 い た線 の 交 点 とな る. この点OをPQの 瞬間中心 (instantaneous center)

とい う. つ ま り, この瞬 間PQはOを 中心 と して 回転 運 動 を して い る こ と

に な る. この と きの 角速 度 を ω とす れ

と な る.

つ ぎ に , 図1-7に お い てP1Q1に お

け る 瞬 間 中 心 をO1と し,P2Q2,P3Q3

に お け る 瞬 間 中 心 をO2,O3と す る .

この ときO1,O2,O3を 結 ぶ 曲 線 は 瞬 間 中心 の 軌跡 であ って , こ れ を セ ント

ロ ード (centrode)とい う. また , これは 空 間に 固定 され た セ ン トロー ドと

考 え ら れ る の で, これ を固定セ ントロード (fixed centrode, space centrode) と

い う. い ま,P2Q2をP1Q1に 重 ね る とO2はO2'の 位置 に くる. つ ま り,

△P1O2'Q1≡ △P2O2Q2と な る よ うにO2'を とる. ま た ,P3Q3をP1Q1に 重 ね

て 同様 にO3'を 求 め る.O1, O2', O3'を 結 ぶ 曲線 はPQに 固定 され てPQと と

もに 動 くセ ン トロー ドで あ っ て , これ を移動セ ン トロー ド (moving centrode,

body centrode) とい う.PQの 運 動 は 固定 セ ン ト ロー ドO1O2O3に 沿 って 移

動 セ ン トロー ドO1O2'O3'が ころが る運動 に等 しい.

以 上 は固 定 された 空 間 (紙 面 ) に 対 して動 く物 体 の瞬 間 中心 を 考 えた の で

あ るが ,互 い に 動 く物 体 同士 の間 の瞬 間 中心 も存 在 す る. これ は 両 者 の間 に

相 対 運 動 の ない 点,い いか え れ ば絶 対 速 度 の等 しい 点 で あ る.した が っ て, 一

つ の機 構 に おい て は二 つ の節 に対 して一 つ ず つ瞬 間中 心 が あ る こ とに な るか

図1-7セ ン ト ロ ー ド

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ら,n個 の節から成る機構においては瞬間中心の数は

とな る. た とえ ば, 図1-4に 示 す機 構 に お い て, そ の数 は

であ る.

[例題1-1]長 さlの 線分 の両端P,Qが 直交す る2直 線OX,OY上 をそれぞれ

動 くとき,そ のセン トロー ドを求め よ.

[解]図1-8に おいてP1Q1の 位置におけ る瞬 間中心を考 えると,PはOX方 向,

QはYO方 向の速度を持つか ら, そ れ ぞれ の点で 速度に直 角方向に引 いた線の交点

O1は 長 方形OP1O1Q1の 一 つ の頂 点 で あ る. 同様 に し てO2,O3を 求め る と

とな り,O1,O2,O3はOを 中 心 とす る半径lの 円 の上 に あ る. この 円 が 固定 セ ン ト

ロ ー ドであ る. またP2Q2, P3Q3をP1Q1に 重 ね る と

とな るから,O1, O2', O3'はP1Q1を 直径とす る円周上 にある. す なわち,P1Q1の 位

置における移動 セン トロー ドはP1Q1を 直径 とす る半 円であ る.

図1-8セ ン ト ロー ドの 求め 方

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1-5  3瞬 間 中 心 の 定 理

機 構 に おい て 互 いに 運 動 して い る3個 の節 が あれ ば ,互 い の瞬 間中 心 の数

は3C2=3で あ る. この3個 の 瞬 間 中心 に 関 し て次 の定 理 が あ る.

互 い に相 対 運 動 をす る3個 の節 の 間 の三 つ の瞬 間中心 は , 常 に一 直 線上 に

あ る.

これ を3瞬 間中心の定理 また は ケネデ ィー (Kennedy) の定理 とい う.

図1-9に お い てa,b,cの3節 が 互 いに 運 動 を して い る とす る.aとbの

間 の瞬 間 中心 をOab, aとcの 間 の 瞬 間 中心 をOacと す る.bはaに 対 して

は, この瞬 間Oabを 中心 と して 回転 運 動を して い る ので あ るか ら,b上 の す

べ て の点 のaに 対 す る速 度 は , そ の 点 とOabを 結 ぶ線 に 直角 の方 向 を 向 く.

い ま,bとcの 間 の瞬 間 中 心 をObcと し,これ が 図 に示 す 位置 に あ る とす る.

この点 はb上 の 点 で も あ るか ら, そ の速 度v1の 向 きはObcOabに 直 角 で あ

る. また ,c上 の す べ て の点 のaに 対す る速 度 はそ の 点 とOacを 結 ぶ線 に直

角 の方 向 を 向 く.Obcはc上 の点 で あ る と も考 え られ る ので , そ の点 のaに

対 す る速 度v2の 向 きはObcOacに 直 角 で あ る. と こ ろ が ,Obcはbとcと

の 間 の瞬 間 中心 で あ るか ら, そ の間 に相 対 速 度 が あ って は な らな い. い い か

えれ ば ,v1とv2は 一 致 し なけ れ ば な らない . 図 に示 した 位置 で はv1とv2

の速 度 ベ ク トル は重 な ら ない. これが 重 な って 速 度 ベ ク トル が 一致 す るた

図1-93瞬 間中心 の定理 の証明

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め に は ,ObcはOab,Oacを 結 ぶ 線 上 に なけ れ ば な らない. す なわ ち ,互 い に

運 動 す る3個 の節 の 間 の瞬 間 中心 は 一直 線 上 に な けれ ば な らない.

この具 体 的 な 例 として摩 擦 車 を あ げ

て み る. 図1-10に おい て摩 擦 車a,b

は 軸受cに よ って支 え られ て ころ が り

接 触 を して い る. この ときOac, Obcは

そ れ ぞれ 軸 受 の 中 心 で あ り,Oabは

摩 擦 車 の接 点 (実 際 に は接 触 線 ) で あ

る.Oabに お いて は 両摩 擦 車 の 周 速度

は 等 し く, 相対 速 度 の な い 点で あ る. そ してOac, Oab, Obcは 一直 線 上 に あ

る.

1-6瞬 間 中 心 の 求 め 方

(1)2点 の速 度 の 方 向 を利 用す る方 法

図1-11の 四節 回転 連鎖 の瞬 間 中 心 を求 め る. この 瞬 間中 心 の 数 は6個 で

あ る. まず , 四つ の節 は それ ぞ れ 隣 りの節 と回 り対 偶 で結 ば れ て い るか ら,

そ の対偶 を な す 点 がそ れ に よって 結 ば

れ て い る 二 つ の 節 の 瞬 間 中 心 で あ る

(これ を 永 久 中心 と もい う). した が っ

て,Oab, Obc, Ocd, Oadは た だ ちに わ か

る. つ ぎ に,bとdと の間 の瞬 間 中 心

Obdを 求 め るた め にdを 固定 した と考

え , 節aを 矢 印 の方 向に 回転 す る.a

はOadを 中心 として 回転 す るか ら,そ

の上 の 点 で あ るOabはOadOabに 直 角

方 向 の速 度v1を 持 つ. また ,この 運動 に よ って節bの 媒 介に よ り,節cは

Ocdを 中 心 とす る 回転 運 動 を起 こす .そ の た め ,そ の上 の点Obcの 速 度v2は

図1-10摩 擦車の瞬 間中心

図1-11瞬 間中心 の求め方