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第二次世界大戦終結,そしてシベリア抑留から 70 年余。旧ソ連が保持 していた資料も開示された今,ようやく問題の全貌が明らかになってき た。関係者 研究者待望の,シベリア抑留に関するわが国最初の資料集。 シベリア抑留関係資料集成 富田 武・長勢了治 編

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第二次世界大戦終結,そしてシベリア抑留から 70 年余。旧ソ連が保持

していた資料も開示された今,ようやく問題の全貌が明らかになってき

た。関係者・研究者待望の,シベリア抑留に関するわが国最初の資料集。

シベリア抑留関係資料集成富田武・長勢了治編

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刊行にあたって

シベリア抑留問題については、今日まで、私家版を含め、ゆうに二千冊を超える回想記類が刊行

されてきた。だが、客観的な資料にもとづいた資料集はこれまで存在しなかった。シベリア抑留

から七〇年余が経過し、旧ソ連が保持していた資料も開示された今、本書に収録された一九三編

の資料および付録類によって、シベリア抑留に至る経緯から、各地域での抑留の実態、帰還およ

び帰還後の問題、冷戦下のかけひきなど、その全貌がはじめて明らかにされる。巻末には、これ

まで刊行された「シベリア抑留体験記」のほぼ全てを収めた膨大な書誌を付す。戦後七〇年余を

へてようやく実現できたこの画期的な資料集は、現代史研究等に、新たなる道を拓くであろう。

 

第一部 

日ソ戦争と捕虜の抑留及び移送

 

第一節 ヤルタ密約から日本の降伏調印まで

日ソ中立条約/モロトフより日ソ中立条約廃棄の通告につ

いて/ソ連政府の対日開戦宣言/一般命令第一号に関する

米ソ秘密外交書簡/日本軍捕虜に関する「ベリヤの指令」 

23編

 

第二節 ソ連の捕虜規定及び収容所システム

捕虜収容所の設置に関する内務人民委員部命令/抑留ドイ

ツ人の労働使役に関する国家防衛委員会決定 

9編

 

第三節 日本軍将兵のソ連移送と初期収容

日本軍捕虜の受入れ、配置、労働使役に関する国家防衛委

員会決定の実施に関するソ連内務人民委員部の命令/日本

人捕虜の遺体の埋葬方法に関する内務人民委員指令 

18編

 

第二部 

虜囚生活と「民主運動」

 

第一節 虜囚生活――住居、衣服、食事、衛生、労働

日本人捕虜用食糧供給基準の変更と物品供給基準の導入に

 

第三節 「戦犯」摘発と裁判

銃殺された田中義久中佐に関する証言/反ソ犯罪行為を暴

かれた日本人捕虜を逮捕し、裁判にかけることに関するソ

連内務省、法務省、ソ連軍検事総長の指示 

9編

第四節 諸地域――極東、シベリア、中央アジア、モンゴル、

北朝鮮、南樺太

ハバロフスク地方における捕虜・抑留者業務管理局の活動 

一九四五―五〇年/モンゴルの収容所における捕虜処遇方

法に関する訓令/ナホトカの赤い太陽――吉村隊と人民裁

判/北朝鮮からの脱出、残留技術者の回想/樺太残留民の

現況/南樺太地区未帰還者の全般資料 

12編

 

第三部 

抑留者たちの帰還と冷戦下日本

 

第一節 米ソ協定と送還収容所

ソ連地区引揚げに関する米ソ協定/第四七回連合国対日理

事会における米ソ代表の日本人捕虜送還をめぐる論争/

一九四八年に送還される日本人の人数削減を求めるモロト

フのスターリンあて要請/日本軍に属した朝鮮人捕虜の送

還に関する内相命令/日ソ共同宣言調印前夜の日本人捕

引揚関連年表

四五・八・二三 

国家防衛委員会決定。日

本軍将兵五〇万人ソ連移送

四五・九・一二

『プラウダ』、日本軍捕虜

五九万四〇〇〇人と発表

四五・九・一五

『日本新聞』創刊号発刊

四五・一一・一七 

在外父兄救出学生同盟

結成大会

四六・四・一五 

極東ソ連軍、満洲撤退完

了四六・五・二六 

ソ連地区邦人引揚、米ソ

の外交交渉に

四六・一二・五 

ソ連引揚船、函館入港(九

日に舞鶴入港)

四六・一二・一九 

ソ連地区米ソ引揚協定

成立。毎年五万人

三部構成

全193編・目次抄

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関する内相命令/病気の日本人捕虜二万人を朝鮮に搬送

し、健康な日本人捕虜二万二〇〇〇人を朝鮮から搬出する

件に関する内相命令/日本人捕虜と家族との文通を許可す

べきだとするクルグロフ内相の報告 

19編

 

第二節 政治教育と「民主運動」

捕虜の反ファシスト要員の養成に関する内務人民委員部命

令/『日本新聞』第一〇八号「日本新聞友の会」結成呼び

かけ/『日本新聞』第四二八号「帰国する兄弟たちへ」/

スターリン大元帥へおくる感謝文 

19編

四七・三下旬 

ハバロフスクで民主グ

ループ代表者会議

四七・七・一〇 

在外同胞帰還促進全国協

議会結成

四七・一〇・二九 

第四四回対日理事会で

米ソ代表が激論

四七・一二・二 

ソ連側、冬期引揚停止通

告四八・四・二〇 

ソ連帰還者生活擁護同盟

結成大会

四八・五・五 

ソ連引揚再開第一船、函館

入港(翌日、舞鶴入港)

四八・五・三一 

引揚援護庁設立

四八・一二・二三 

引揚擁護「愛の運動」

全国展開

四九・四・一二 

吉村隊事件、参議院で証

人喚問

四九・五・五 

徳田書記長、ソ共中央委員

会に引揚促進で書簡

四九・五・二〇 

タス通信、日本人捕虜に

つき発表。今後の送還は戦犯等を除き

九万五〇〇〇人

四九・六・二七 

引揚再開第一船高砂丸、

舞鶴入港

四九・一二・二五 

ハバロフスクで山田大

将ら戦犯裁判

五〇・一・三一 

ソ連側、対日理事会での

抑留問題討議を拒否

五〇・四・二二 

タス通信、日本人捕虜(戦

犯を除く)の送還完了を発表

五一・七・二五 

外務省、引揚白書を発表。

なお三四万が抑留

五三・一一・一九 

日ソ赤十字社が日本人

送還で共同コミュニケ

五六・一〇・一九 

日ソ共同宣言調印

五六・一二・二六 

ソ連から最終梯団帰国

虜・抑留者、ソ連残留者数に関する内務次官の報告/日本

人捕虜埋葬者数と墓地所在地 

38編

 

第二節 舞鶴帰還と米ソの工作

ソ連引揚者感想文集/高砂丸・永徳丸引揚者から観た引揚

者の動向/引揚援護寮落書集/ソ連から帰還した日本人捕

虜の尋問に関する情報/抑留捕虜のスパイ徴募工作 

12編

 

第三節 政府の引揚施策と帰還者たちの運動

在鮮邦人の引揚状況/引揚援護「愛の運動」/入党した帰

還者諸君へ/一九四九年帰還第一船/ルポルタージュ・舞

鶴/衆議院考査特別委員会における菅季治証言 

22編

 

第四節 長期抑留者たちとその引揚

帰国に関する日ソ赤十字社共同コミュニケ/ハバロフスク

事件関係文書/すべての日本人を拘禁場所から釈放し祖国

へ送還することに関するソ連共産党中央委員会への報告/

第十一回(最終)引揚/近衛文隆死亡に関する情報 

12編

付録4編 

資料の典拠 

用語等の解説 

解題 

地図 

表 

シベリア抑留体験記書誌 

口絵写真・絵

シベリア抑留全体地図

抑留日本人の移動

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編者略歴

富田 武(とみた・たけし) 1945 年生まれ。成蹊大

学法学部名誉教授。ロシア・ソ連政治史,日ソ関係史。

著書『スターリニズムの統治構造』(岩波書店 1996)『戦

間期の日ソ関係』(岩波書店 2010)『シベリア抑留者

たちの戦後』(人文書院 2013)『語り継ぐシベリア抑留』

(共著,ユーラシア文庫,群像社 2016)『シベリア抑

留――スターリン独裁下,「収容所群島」の実像』(中

公新書 2016)。シベリア抑留研究会代表世話人。

長勢了治(ながせ・りょうじ) 1949 年生まれ。翻訳

家。著書『シベリア抑留全史』(原書房 2013)『シベ

リア抑留――日本人はどんな目にあったのか』(新潮

選書 2015)。訳書 カルポフ『スターリンの捕虜たち』

(北海道新聞社 2001)ポリャーン『二つの独裁の犠牲

者』(原書房 2008)他。

ハバロフスク地方全体の第 3 回文化コンクール 1949 年 7 月

この資料集の特色

■わが国はじめての客観的なシベリア抑留関係資料集。

■旧ソ連の公文書や米国および米占領軍の公文書も収録する

マルチ・アーカイヴァルな構成によって,これまでの「ソ

連国家の犯罪」という認識枠組の背景にあるソ連の国内事

情や国際世論対策,さらに抑留問題の処理がいかに米ソ冷

戦に規定されていたかなど,客観的・立体的に流れを知る

ことができる。本書では翻訳資料が約半分を占める。

■極東・シベリア・中央アジア・モンゴル・北朝鮮・南樺太

など,ソ連中央の指令どおりには貫徹されなかった各地の

収容所の実情や特徴をはじめて明らかにする。

■「民主運動」や帰国後の運動を知るために『日本新聞』は

じめ一般新聞や政党,帰還者団体の新聞も掲載。

■抑留体験者・関係者は,個人的体験を抑留全体の中に位置

づけて理解することができる。

■膨大な「抑留体験記」書誌・地図・年表他,充実した付録。

■ A5 判上製函入・タテ二段組 総 1000 頁(口絵 8 頁付)

■ 2017 年 1 月下旬刊行・予価 18,000 円(税別)

(きりとり線)

注 文 書みすず書房行き

fax: 03-3818-6435

お問い合わせは,小社営業部まで。お申し込みは,お近くの書店,あるいは FAX で小社へ直接お願いいたします。

お近くに書店のない場合は,直送いたします。(代金引換・送料 230 円)

シベリア抑留関係資料集成 冊 2017 年 1 月下旬刊行 予価 18,000 円(税別)

〒 113-0033 東京都文京区本郷 5-32-21tel: 03-3814-0131 fax: 03-3818-6435 http://www.msz.co.jp

ご住所                         お電話番号

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ISBN 978-4-622-08515-7

お取り扱い書店 みすず書房2016.12 作成