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1 株式会社とうわ地域資源開発公社経営健全化方針 1 作成年月日及び作成担当部署 作成年月日 平成31年3月19日 作成担当部署 花巻市 東和総合支所地域振興課 2 第三セクター等の概要 法人名 株式会社とうわ地域資源開発公社 代表者名 代表取締役 小原 隆 所在地 花巻市東和町安俵 6 区 135 番地 設立年月日 平成8年2月27日 資本金 270,000 千円【花巻市の出資額(出資割合)252,000 千円(93.3%)】 業務内容 温泉浴場施設の経営、レストラン経営、物産販売等 3 経営状況、財政的なリスクの現状及びこれまでの地方公共団体の関与 同社は、北上山系初の温泉や西洋風モデルガーデンを活用した園芸療法による地域住民の健康増進、都市と農村との交流人口の拡大、地域の観光振興 推進を目的に平成8年2月に設立され、平成8年10月には「レストラン日高見」を始め、多目的ホール、休憩室などを備えた本格的な日帰り温泉浴場施設 をオープンし、平成30年9月までの入湯者は延べ337万人を超え、地域内外から多くの方々に利用され、東和地域の交流、観光の拠点となっている。 また、平成11年から地元食材を活用した食堂「味処とうわ」の営業を開始するとともに、「おためし工房」の管理運営に取り組み、平成19年から東北横断 自動車道釜石道東和ICに近接する「道の駅とうわ」の管理運営に取り組んでおり、会社設立以来第三セクターとして旧東和町そして合併後の花巻市のまち づくりの一翼を担ってきた。 しかしながら、社会情勢の変化や景気の低迷、観光形態の変化から、近年の入湯者数は年間約14万5千人規模で横ばいに推移し、「レストラン日高見」 や「道の駅とうわ」などの売上についても横ばいに推移しており、さらには開業時の多大な投資やヒートポンプ設備導入等の投資により、安定的な黒字経営への転 換が図れず平成28年度決算及び平成29年度決算において、2期連続して当期純利益が赤字となり、現状として経営状況は低迷している。 このような状況を踏まえ、市では売上増加に資する様々なアイデア等を法人と一緒に模索するとともに、従業員の接客マナーなど仕事に対する意識改革を図る ため、定期的な訪問を行ってきた。また、平成 28 年から取締役として取締役会に職員を派遣するとともに、会社内における非公式な検討会議である経営検討 会議にも職員を派遣するなど、経営状況の把握とアドバイス等を行ってきたが、経営成績や従業員の十分な意識改革の向上・改善には至っていない。 4 抜本的改革を含む経営健全化の取組に係る検討 同社が管理運営する東和温泉を核とした施設は、開業以来、計画的な修繕等が行われていないことから、施設の老朽化や設備の劣化が著しく、誘客にも影 響が及んでおり売上が伸びず経営状況は低迷している。このことから、同社では、施設の計画的な改修のための市への財政支援要請や売上の増加を図るための 具体的な取り組みを主な内容とする「経営健全化計画」を平成 30 年 11 月に策定した。 東和温泉は、市民の健康増進を図る施設であり、また、娯楽施設を備えた重要な観光資源であることから、市民にとって将来的にも必要な施設であるとの判 断のもと、同社が策定した「経営健全化計画」により、将来にわたって安定的な経営を行うことが期待できるかを検討した。 同計画において、道の駅とうわの物産販売に係る品揃えの充実や味処とうわのメニューの工夫などにより、単年度において前年度比較で毎期2%から3%程 度の伸率を確保することで、平成 31 年度から平成 35 年度における収益予算(案)は毎期の売上が順調に推移し、経営状況が少しずつ改善することが期待 できること、また、老朽化が進んだ施設設備等の修繕を行うことで安全性の向上や清潔感が保たれ、利用者の増加につながり、売上の増加が期待できることなど から、同計画を着実に実行するため市の支援が必要であると判断した。

株式会社とうわ地域資源開発公社経営健全化方針...1 株式会社とうわ地域資源開発公社経営健全化方針 1 作成年月日及び作成担当部署

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    株式会社とうわ地域資源開発公社経営健全化方針

    1 作成年月日及び作成担当部署

    作成年月日 平成31年3月19日

    作成担当部署 花巻市 東和総合支所地域振興課

    2 第三セクター等の概要

    法人名 株式会社とうわ地域資源開発公社

    代表者名 代表取締役 小原 隆

    所在地 花巻市東和町安俵 6 区 135 番地

    設立年月日 平成8年2月27日

    資本金 270,000 千円【花巻市の出資額(出資割合)252,000 千円(93.3%)】

    業務内容 温泉浴場施設の経営、レストラン経営、物産販売等

    3 経営状況、財政的なリスクの現状及びこれまでの地方公共団体の関与

    同社は、北上山系初の温泉や西洋風モデルガーデンを活用した園芸療法による地域住民の健康増進、都市と農村との交流人口の拡大、地域の観光振興

    推進を目的に平成8年2月に設立され、平成8年10月には「レストラン日高見」を始め、多目的ホール、休憩室などを備えた本格的な日帰り温泉浴場施設

    をオープンし、平成30年9月までの入湯者は延べ337万人を超え、地域内外から多くの方々に利用され、東和地域の交流、観光の拠点となっている。

    また、平成11年から地元食材を活用した食堂「味処とうわ」の営業を開始するとともに、「おためし工房」の管理運営に取り組み、平成19年から東北横断

    自動車道釜石道東和ICに近接する「道の駅とうわ」の管理運営に取り組んでおり、会社設立以来第三セクターとして旧東和町そして合併後の花巻市のまち

    づくりの一翼を担ってきた。

    しかしながら、社会情勢の変化や景気の低迷、観光形態の変化から、近年の入湯者数は年間約14万5千人規模で横ばいに推移し、「レストラン日高見」

    や「道の駅とうわ」などの売上についても横ばいに推移しており、さらには開業時の多大な投資やヒートポンプ設備導入等の投資により、安定的な黒字経営への転

    換が図れず平成28年度決算及び平成29年度決算において、2期連続して当期純利益が赤字となり、現状として経営状況は低迷している。

    このような状況を踏まえ、市では売上増加に資する様々なアイデア等を法人と一緒に模索するとともに、従業員の接客マナーなど仕事に対する意識改革を図る

    ため、定期的な訪問を行ってきた。また、平成 28 年から取締役として取締役会に職員を派遣するとともに、会社内における非公式な検討会議である経営検討

    会議にも職員を派遣するなど、経営状況の把握とアドバイス等を行ってきたが、経営成績や従業員の十分な意識改革の向上・改善には至っていない。

    4 抜本的改革を含む経営健全化の取組に係る検討

    同社が管理運営する東和温泉を核とした施設は、開業以来、計画的な修繕等が行われていないことから、施設の老朽化や設備の劣化が著しく、誘客にも影

    響が及んでおり売上が伸びず経営状況は低迷している。このことから、同社では、施設の計画的な改修のための市への財政支援要請や売上の増加を図るための

    具体的な取り組みを主な内容とする「経営健全化計画」を平成 30 年 11 月に策定した。

    東和温泉は、市民の健康増進を図る施設であり、また、娯楽施設を備えた重要な観光資源であることから、市民にとって将来的にも必要な施設であるとの判

    断のもと、同社が策定した「経営健全化計画」により、将来にわたって安定的な経営を行うことが期待できるかを検討した。

    同計画において、道の駅とうわの物産販売に係る品揃えの充実や味処とうわのメニューの工夫などにより、単年度において前年度比較で毎期2%から3%程

    度の伸率を確保することで、平成 31 年度から平成 35 年度における収益予算(案)は毎期の売上が順調に推移し、経営状況が少しずつ改善することが期待

    できること、また、老朽化が進んだ施設設備等の修繕を行うことで安全性の向上や清潔感が保たれ、利用者の増加につながり、売上の増加が期待できることなど

    から、同計画を着実に実行するため市の支援が必要であると判断した。

  • 2

    5 抜本的改革を含む経営健全化のための具体的な対応

    市は、同社から「経営健全化計画」に基づく施設設備の更新に係る費用の財政支援の要請を受けたことにともない、老朽化が進んだ施設設備等の更新の必

    要性や各部門における販売方法の工夫、営業力の強化、新たなプラン企画など着実な売上の増加が見込め、財政的なリスクの解消や経営健全化に向けた取

    り組み、老朽化した施設の更新など一過性のものとならないような経営計画が明確に示されていることから、要望に沿った財政支援を行う。

    また、法人との連携を強化するため、引き続き定期的に訪問し、市と法人が緊密な情報交換等を行うとともに、新たに法人が行う具体的な対応の成果につい

    て、定期的に報告会等を実施して助言・指導等を行う。

    (1)経営健全化計画における法人の具体的な対応について

    ①「道の駅とうわ」の販売力強化

    利用者が動きやすく、買いやすい導線にするため、道の駅構内の売り場面積を拡大し、地元で生産される味噌、醤油、日本酒、ワインなどの売り場スペースを

    確保するとともに、他の道の駅と連携し、利用者から要望の多い、地元農家が生産した野菜、果物などを販売するコーナーを設置するなど、魅力ある物産を販売

    することで、売上の増加を図る。

    ②「味処とうわ」の販売力強化

    東和をイメージしたメニューや地元食材を活用した季節限定メニューなどの開発を行うとともに、仕出し弁当などの外食配達販売などを強化し、売上の増加を図

    る。

    ③「温泉」・「レストラン日高見」の誘客・販売力強化

    既存の「さなぶり」、「ビアガーデン」、「芋煮会」、「忘新年会」、「歓送迎会」プランンに加え、「子供会」、「学年行事」など親子を対象とした食品加工や和紙の

    紙すきなど、体験型学習と温泉、食事プラン等を企画し、「温泉」利用や「レストラン日高見」へ誘客し、売上の増加を図る。

    ④営業力の強化

    同社は、営業力が弱いことから全役職員がシフト制により営業活動を展開するとともに、営業力の強化を推進し、売上の増加を図る。

    ⑤東和温泉整備計画に基づき、老朽化した施設設備等を更新する。主な設備更新内容等は次のとおり。

    ・平成31年度 源泉ポンプ交換、サウナ水風呂設置、男性浴室梁天井張替、男女浴室内壁塗装塗替え、露天風呂塀改修、脱衣場の床内、装クロス

    張替

    ・平成32年度 備品購入、玄関ホール照明の LED 化、下水配管入替等

    ・平成33年度 温泉施設建物外壁全面塗装

    ・平成34年度 温泉施設屋根全面張替

    ・平成35年度 連絡通路屋根張替

    (参考)

    6 法人の財務状況

    貸借対照表から

    項目 金額(千円)

    損益計算書から

    項目 金額(千円)

    H27 年度 H28 年度 H29 年度 H27 年度 H28 年度 H29 年度

    資産総額 298,493 264,286 245,033 経常収益 193,020 183,947 182,772

    (うち現預金) (21,804) (18,735) (18,364) 経常費用 191,562 208,563 201,443

    (うち売上債権) (3,161) (3,036) (2,521) 経常損益 1,458 -24,616 -18,671

    (うち棚卸資産) (2,542) (2,888) (2,467) 経常外損益 -432 21 7

    負債総額 53,138 43,693 43,439

    当期純損益 1,026 -24,762 -18,999

    (うち花巻市からの借入) (0) (0) (0)

    純資産額 245,355 220,593 201,595

  • 税込/単位:千円

    平成29年度 平成30年度 平成31年度 平成32年度 平成33年度 平成34年度 平成35年度

    実績 見込み 見込み 見込み 見込み 見込み 見込み

    温泉売上 87,261 87,844 86,346 89,044 89,645 90,245 90,845

    味処とうわ売上 12,607 13,230 14,584 15,938 17,292 18,646 20,000

    レストラン日高見売上 53,356 57,839 56,976 58,703 59,136 59,568 60,000

    道の駅とうわ売上 16,292 18,427 20,627 23,056 25,371 27,685 30,000

    委託料 11,050 11,071 11,071 11,071 11,071 11,071 11,071

    その他 2,054 2,299 2,306 2,312 2,319 2,326 2,332

    【売上高合計】 182,620 190,710 191,909 200,125 204,833 209,541 214,248

    【売上原価】 61,708 65,051 67,148 71,001 73,976 76,951 79,926

    【売上総利益】 120,912 125,659 124,761 129,124 130,857 132,590 134,322

    【販管費】 139,155 134,503 137,049 136,732 136,672 134,889 129,885

    【営業利益】 ▲ 18,243 ▲ 8,844 ▲ 12,288 ▲ 7,608 ▲ 5,815 ▲ 2,300 4,437

    【営業外収益】 151 150 150 150 150 150 150

    【営業外費用】 579 499 19 19 19 19 19

    【経常利益】 ▲ 18,671 ▲ 9,193 ▲ 12,157 ▲ 7,477 ▲ 5,684 ▲ 2,169 4,568

    【特別利益】 7 0 0 0 0 0 0

    【特別損失】 0 100,123 0 0 0 0 0

    【税引前当期純利益】 ▲ 18,664 ▲ 109,316 ▲ 12,157 ▲ 7,477 ▲ 5,684 ▲ 2,169 4,568

    【法人税等】 335 335 335 335 335 322 322

    【当期純利益】 ▲ 18,999 ▲ 109,651 ▲ 12,492 ▲ 7,812 ▲ 6,019 ▲ 2,491 4,246

    (参考)

    資本金 270,000 270,000 335,016 335,016 335,016 335,016 335,016

    利益剰余金 ▲ 68,405 ▲ 178,056 ▲ 190,548 ▲ 198,360 ▲ 204,379 ▲ 206,869 ▲ 202,624

    純資産 201,595 91,944 144,468 136,656 130,637 128,147 132,392

    損益予算案(平成31年度~平成35年度)