24
国民経済計算の見方、使い方 経済教育参考資料

経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

国民経済計算の見方、使い方

経済教育参考資料

Page 2: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

1 A System of National Accounts

■ はじめに…………………………………2

1. 国民経済計算(SNA)とは ……………3

2. 経済の循環………………………………5

3. 国内総生産(GDP)をとらえる ………7

4. モノの流れから「支出」をとらえる…9

5. 「所得」の総額をとらえる……………11

6. 経済成長率と日本経済 ………………13

7. 「資産」の総額をとらえる……………15

8. 部門ごとに経済状況をとらえる ……17

9. 国内総生産(GDP)の国際比較………19

10. 四半期別GDP速報(QE)について …21

■ 目 次 ■

Page 3: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 2

はじめにSNA(A System of National Accounts)

は、国民経済計算または国民経済計算体系

と日本語に訳されています。一言で説明す

れば、一国の経済を共通の国際基準(モノ

サシ)により、様々な側面から系統的・組

織的に把握し、それを記録することで、そ

の国の経済の全体像を明らかにしようとい

うマクロ統計です。

この統計は各国が独自の方法で作成すれ

ば、基準がまちまちとなるため、国際比較

をすることができません。このため国際連

合が、国民経済計算(SNA)のフレームワ

ークとして、共通の基準を提示して、加盟

国にこの基準を採用するように働きかけて

きました。

日本は、2000年(平成12年)10月27日以

来、「1993年国民経済計算体系(A System

of National Accounts 1993)」(93SNA)を

採用して、国民経済計算を推計しています。

それ以前は1968年第15回国際連合統計委員

会で採択された「国民経済計算の体系

(68SNA)」を1978年(昭和53年)9月に採用、

それ以降、22年余りにわたり同体系に基づ

いて国民経済計算を推計してきました。

しかし、1980年代に入り、経済社会のグ

ローバリゼーションや情報化の進展、さら

には金融機関や金融市場の多様化、制度の

複雑化など、国連が1968年に採択した

68SNAの勧告当時には想定していなかった、

大きな環境の変化がみられるようになりま

した。こうしたことから世界中で、68SNA

の見直しの機運が高まってきました。

こうした動きを受けて、1983年3月に国連

統計部をはじめとする各国際機関の統計部

局からなるワーキンググループが設置され、

本格的な改定作業が進められました。その

結果、1993年の第27回国連統計委員会で、

新たな国民経済計算の基準として「1993年

国民経済計算体系(93SNA)」が採択され、

同年7月の国連経済社会理事会において、

93SNAを採用するよう勧告が出されました。

日本では、この勧告を受け、1994年以降、

「国民経済計算調査会議」(学識経験者によ

り構成)を中心に、日本が導入するに相応

しい93SNAの内容の検討が進められました。

この検討結果を踏まえ、経済企画庁(現内

閣府)は、2000年10月に、従来から5年ごと

に行われている国民経済計算の基準改定と

併せて、93SNAへと移行したわけです。

この冊子は、93SNAにポイントを合わせ、

国民経済計算とは何かについて、できるだ

けやさしく紹介しました。これにより、各

国との共通基準により、日本経済の循環と

構造を理解し、その全体像をつかんで、国

際比較するための助けになれば、幸いです。

Page 4: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

3 A System of National Accounts

国民経済計算(SNA)とは「はじめに」で述べたように、SNAは一

国の経済活動を包括的に記録する統計で、

各国で基準が異なっていると国際比較がで

きないため、国連が共通で使えるよう定め

た国際基準(モノサシ)です。SNAは1953

年に国連が旧SNA(A System of National

Supporting Tables)を作成したのが始まり

です。その後2回の改定を経て、1968年に新

SNA(68SNA:A System of National

Accounts)が作成され、その後1993年に

93SNAが作成されました。SNAは、「国民

所得勘定」「産業連関表」「資金循環表」「国

民貸借対照表」「国際収支表」の5つの勘定

体系を整合的、体系的に整理し、様々な面

から記録し、結びつけることによって経済

の全体像を把握できるようにしたシステム

です。

具体的には国民所得勘定は、経済全体に

1

日本�

1997年10月�

161.6

1998年9月�

1,422.6

1998年12月�

358.4

1998年12月�

705.4

1999年3月�

422.4

1999年4月�

1,089.6

1999年4月�

1,854.9

1999年6月�

227.7

1999年7月�

1,311.0

1999年7月�

103.4

1999年10月�

384.4

1999年12月�

10,082.2

2000年10月�

4,175.7

デンマーク� イギリス�オーストラリア� カナダ� 韓国� イタリア� ドイツ� ベルギー�フランス�アイルランド�オランダ� アメリカ�※� ※� ※� ※� ※� ※�※� ※�

※印はESA95採用国です。�

1960年� 1964年� 1968年� 1978年� 1993年� 1995年� 2000年�

国連、旧SNA(A System of National �Supporting Tables)作成、提示�

1953年�

国連、旧SNA�第1次改定�

国連、旧SNA�第2次改定�

国連、新SNA=68SNA�(A System of National Accounts)�作成、提示��

日本、新SNAに�移行�

国連、93SNA�作成、提示�

EU、ESA95 (the European �System of Accounts1995)�作成、提示�

日本、93SNAに�移行�

(国旗の上の数字は2001年の名目GDPで、単位は10億ドル)�

Page 5: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

モノの流れを�とらえる�

産業間の�モノの�取引きを�とらえる�

カネの動きを�とらえる�

モノやカネの�資産の状態を�とらえる�

外国との�モノやカネの�取引きを�とらえる�

A System of National Accounts 4

ついて生産、分配、支出(消費、投資等)

といったフロー の面を記録し、産業連関表

は財貨・サービスごとの産業間の投入、産

出構造を記録します。また、資金循環表は

部門間の資金(カネ)の流れを把握し、金

融活動を記録、国民貸借対照表は実物資産

(モノ)と金融資産・負債(カネ)、正味資

産(国富)といったストック を記録します。

また、国際収支表は海外との財貨や資金の

取引を記録します。

この結果、国内総生産や国民所得、国民

資産などのマクロの経済指標だけではなく、

産業構造や資金循環など詳細な情報を得る

ことができます。このため経済分析や経済

政策立案のための重要な基礎資料となって

います。

用語解説

ESA95 1995年にEUROSTAT(欧州共同体統計局)が、93SNAをさらに詳細化、具体化して、EU(欧州連合)諸国の経済状況に適したようにするために定めた「欧州版国民経済計算体系(the European System of Accounts 1995:ESA95)」のことです。EUでは加盟国に欧州共同体規制として採用するよう義務を課しています。

用語解説

フロー ある一定期間内における経済活動の結果生み出された価値を指します。SNAでは、1年間または1四半期に生産され、供給されたものや所得、消費されたり投資されたものがフローです。ストック ストックとはある一時点で蓄えられている量、すなわち経済主体が持っている財貨全体の量を指します。SNAでは1年の期末の資産や国富などは、それまでに蓄積されたものということでストックになります。

Page 6: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

5 A System of National Accounts

経済の循環私たちの経済活動は、1年の周期で見てみ

ると、前年の期末ストック(国民資産)で

ある機械設備や土地などの実物資産や現金

などの金融資産からなる資本に労働といっ

た生産要素を組み合わせ、原材料を投入し

て財貨やサービスを生産することによって

営まれています。この財貨やサービスの産

出額から原材料などの中間投入を差し引い

たものが付加価値となります。

この付加価値分は賃金や企業の利潤など

2

(平成12暦年末ストック)�

国民資産 8,473 兆円�(生産)国内総生産�

507 兆円�(統計上の不突合6兆円を含む)�

(分配) 

371

実物資産�

在 庫 92�純固定資産 1,192�土地・その他 1,545

2,829

金融資産�

現・預金 1,629�株式・出資金 501�貸出金 1,624�その他 1,890

5,643

正味資産(国富)�

2,963

金 融 取 引 �

産 出 額 �

金融資産の純増�

金融負債の純増�

資 金 過 不 足 �

中 間 投 入 �

付 加 価 値 �(国内総生産)�

430

501

-15�

-25�

10

931

第3次産業�379

第2次産業�141

企業所得�84

第1次産業 7 財産所得 10

その他 △27

(注)�(注)�付加価値(国内総生産)501兆円�=各産業の付加価値合計 527兆円�+輸入品に課される税・関税 3兆円�-資本形成に係る消費税 4兆円�-帰属利子 26兆円�

Page 7: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 6

として分配され、消費されたり新たに投資

されたりします。この新たな投資は資産に

付け加えられ、その年の期末ストックとな

ります。すなわち、翌年の期首ストックで

す。こうした経済活動の流れが経済循環で、

SNAは、これを先に触れた5つの経済勘定を

完全に接合した体系として捉えているので

す。

  国民所得� (支出)国内総支出�

507 兆円�(平成13暦年末ストック)�

国民資産 8,276 兆円�

実物資産�

(うち13年増加額-102)�

2,727在 庫 88�純固定資産 1,183�土地・その他 1,457

金融資産�

5,548現・預金 1,597�株式・出資金 414�貸出金 1,578�その他 1,959

正味資産(国富)�

2,907

経 常 取 引 �

受 取 �

支 払 �

貯 蓄 �

791�

756�

35

総貯蓄�130 総投資�130固定資本減耗�

貯 蓄 �

そ の 他 �

99�

35�

-4

民間投資�

公的投資�

97�

33

純投資

31

評価損益�

-133 (うち13年増加額-15)�

兆円�

雇用者報酬�277

消 費�374

投 資�130

財貨サービスの純輸出 3

Page 8: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

7 A System of National Accounts

国内総生産(GDP)をとらえる一定期間(通常1年)内に生産活動をした

結果、新たに産み出された価値を付加価値

といいます。付加価値は生産額から原材料

などの中間投入額を差し引いたものです。

そして一国において生産されたこの付加価

値の合計額を国内総生産(GDP)と呼んで

います。

SNAでは、GDPに加えて、産業別の付加

価値を推計しています。つまり、各産業が

どれだけ商品を産出したか(国内産出額)を

まず把握し、次に生産に際してどれだけの

商品を原材料として使用したか(中間投入)

を把握して産出額から差し引いて推計して

います。この産業別付加価値は、平成2年以

3

Page 9: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 8

降、一貫して第1次、2次産業がシェアを低

下させているのに対し、第3次産業はシェア

を拡大させています。

付加価値=GDPは、家計(労働者)には

賃金、資本提供者には配当、企業には利潤

として分配されます。家計や企業などそれ

ぞれの経済主体は分配された付加価値で、

必要な買い物(消費)をしたり、機械を購入

(設備投資)するといった支出を行います。

このように経済活動は生産→分配→支出と

いう流れで捉えることができ、これは同一

の価値を異なる側面から捉えたものなので

生産=分配=支出という関係が成り立ちま

す。これを三面等価といっています。

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

550

平成2年�3年� 4年� 5年� 6年� 7年� 8年� 9年� 10年� 11年� 12年� 13年�

(単位:兆円)�

282

162

全産業�455

303

171

11485

320

169

11499

331

163

10504

341

158

10509

352

156

9518

362

159

9530

374

162

8

543

375

154

8538

372

150

8

530

374

151

7

532

379

140

7

527

11

産業別付加価値額(名目)の推移�

第1次産業� 第2次産業� 第3次産業�

第3次産業�

第2次産業�

第1次産業�

Page 10: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

生産�107,532

輸出�35,397

国内総供給�81,904

輸入�9,380

運賃 673

関税等 281

仕掛品在庫増�

△107

●コモ法による推計例(自動車 平成7年)�単位:10億円�

9 A System of National Accounts

モノの流れから「支出」をとらえるSNAでは、各産業で産出された財貨・サー

ビスを約2,200品目に分類し、それぞれの生

産額あるいは出荷額をもとに、輸出入、在

庫の増減等を把握して総供給額を求めます。

次に、卸売業者、小売店などの各流通段階

を通じて家計や企業などにどれだけ販売さ

れたかを推計します。これに流通段階ごと

の運賃及び商業マージンを加えて、最終的

に家計や企業に売られた消費額や投資額を

推計しています。このようにモノの流れか

ら消費額や投資額を推計し、国内総支出を

とらえる方法をコモディティ・フロー法

4

Page 11: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

卸 売�

小 売�

(流通部門)�

(生産者直売)�

家計消費�95,241

流通在庫増�1,120

固定資本形成�45,023

輸出�39,099

マージン 3,030

マージン�57,218

運賃 2,262

A System of National Accounts 10

(コモ法)といっています。これにより国内

総支出の内容がきめ細かくなり、精度が大

きく向上しました。

Page 12: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

11 A System of National Accounts

「所得」の総額をとらえる国民所得とは、生産活動に参加した経済

主体(家計と企業)に分配される付加価値

の総額です。国民所得を推計するには、生

産活動の結果である国内総生産から生産に

使う機械や設備などの固定資本減耗分を差

し引き、純間接税(生産・輸入品に課される

税-補助金)も差し引きます。さらに、日

本の居住者が海外で生産活動に参加するこ

とにより海外から受け取る分配所得を加え、

反対に日本での生産活動に対して外国の居

住者に支払った分配所得を除きます。

国民所得は、経済主体の一つである家計

には労働力を提供して生産活動に参加した

対価として雇用者報酬が分配されます。こ

5

■国民所得の諸概念(平成13年、名目)�

国内総生産�507兆円�

固定資本減耗�99兆円�

生産・輸入品に�課される税(控除)�補助金 39兆円�

海外からの純所得�8兆円�

中間投入額�424兆円�

国 民 所 得 �

371兆円�

要素費用表示�の国民純生産�(   )�

総産出額 931兆円�

国民純生産(市場価格表示)418兆円�

Page 13: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 12

の中には、通勤定期代などの現物支給や雇

用者のために企業が負担する年金などの社

会負担も含まれます。これに対し企業に分

配される利潤の合計が営業余剰・混合所得

です。個人企業では事業主の報酬も含まれ

るために混合所得 として区別されていま

す。また、政府や非営利団体もサービスに

貢献していますが、利益の追求をしないの

で、営業余剰は発生しません。

平成13年度の国民所得は雇用者報酬が

1.1%減、営業余剰・混合所得が9.5%減と前

年度より減少したため、2.7%の減少となり

ました。

用語解説

混合所得 個人企業(家計の非法人企業)の場合、生産された付加価値から雇用者報酬や税金を支払った残余には、生産による余剰と個人企業事業主および家計従業員の労働報酬が含まれています。この部分を法人企業の営業余剰と区別するため採用された概念です。

■GDP関連指標の概念の関係(平成13年、名目)�

1. 国内総生産�

2. 国内総支出(GDE)�

3. 国内総生産(GDP)�

4. 国民所得(NI)� (要素費用表示)�

国内産出額 931.1

経済活動別の国内総生産額 507.5 中間投入額 424

(兆円)�

最終消費支出 374.3

国内要素所得 363.1

雇用者報酬 277.1

雇用者報酬 277.1

営業余剰・混合所得 86.0

純輸出 3.2総資本形成�129.9

純間接税�

39 99

84

固定資本�

減耗�

※純間接税=生産・輸入品に課される税―補助金�

企業所得�

財産所得�

(非企業)�10

Page 14: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

13 A System of National Accounts

経済成長率と日本経済高度経済成長 …………………………………

日本経済は1954年を谷として始まった神武

景気以来、3回の好況を経て、65年に一時不

況を経験したものの、その後、いざなぎ景気に

支えられ70年まで成長を続け、特に60年代は

名目、実質とも二桁の経済成長率 を記録しま

した。これには鉄鋼、造船、石油化学などの

重化学工業による民間設備投資の増大と欧米

諸国からの技術革新の導入が大きく貢献しま

した。また、高度成長により第1次産業従事

者の急減、第2次、第3次産業の従事者の急増

という、産業構造の高度化を招きましたが、一

方で農村の過疎化を招き、他方で都市の過密

化、公害・環境汚染といったひずみも生まれま

した。

安定経済成長 …………………………………

1971年には米国の金とドルの交換停止とい

ういわゆるニクソン・ショックに続く、スミソ

ニアン合意で、円は1ドル=308円と約16.9%も

切上げられ、73年には変動為替相場制に移行

しました。同年10月には第4次中東戦争が勃

発、OPEC(石油輸出国機構)の石油価格の値

上げなどで、74年には第1次石油危機が発生、

消費者物価が急騰、「狂乱物価」と言われまし

た。政府は公定歩合の大幅引き上げや公共投

資の削減などの総需要抑制策で対応、75年に

は物価上昇は鎮静化しましたが、74年は戦後

初めてマイナス成長となりました。その後の

70、80年代は安定成長の時代が続きました。

80年代は自動車や半導体の輸出急増で大幅

な貿易黒字を記録、貿易摩擦が起きました。

85年には先進5か国蔵相会議(G5)が開かれ、

プラザ合意でドル高是正が行われ、円は1ドル

240円から200円に上昇、輸出関連産業に打撃

を与え、円高不況に見舞われました。こうし

た産業は低コストを求めて東南アジアなどに

進出、国内の投資や雇用が減少するという

「産業の空洞化」も懸念されました。

「バブル」の発生と崩壊………………………

こうした中、日本銀行は公定歩合を2.5%に

まで引き下げました。この時期の長期にわた

る金融緩和などを背景に、将来の価格上昇期

待が地価、株価の急上昇を生み出すという、

「バブル」が発生しました。この時期は比較的

高い成長率が続きましたが、これには地価、

株価の上昇がもたらす資産効果 も寄与したと

言われています。

地価は90年をピークに、下落に転じました。

いわゆる「バブルの崩壊」です。経済成長率

は急速に低下し、金融機関などが保有する不

良債権が大きな問題になりました。96年には

一時的に景気が回復しましたが、金融情勢に

対する不安やアジア通貨・経済の混乱など

様々な要因が加わり、98年には再びマイナス

成長を記録しました。2000年にはアメリカを

中心とした世界的なIT(情報技術)関係の需

要の増加を背景に、成長率がやや高まりまし

たが、その後は再び低成長となっています。

また、近年は物価が下落を続けるデフレも大

きな問題となっています。

このように、90年以降の日本経済は総じて

低成長が続いていますが、この背景としては

不良債権・過重債務の存在や経済の構造改革

の遅れが指摘されています。

6

Page 15: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 14

用語解説

経済成長率 国内総生産(GDP)の一定期間の増加率をいいます。たとえば前年1年間のGDPに対する今年1年間のGDPの差を100分比で表したものを名目経済成長率と呼んでいます。これに対し実質成長率は価格(物価)の増減の影響を取り除いたもので、物価水準を一定の基準年に合わせて算出します。資産効果 消費者の保有する資産価格の大きさが消費に与える効果を言います。株や土地の価格が上昇すれば、資産価値が上がり、消費が増えます。逆に資産価値が下がれば、消費が減ります。これを逆資産効果と呼んでいます。デフレーター 名目GDPを実質GDPに変換するために用いられる価格(物価)指数で、名目GDPを実質GDPで除して得られます。基準年のデフレーターを100とします。

60年代 名目16.4%�実質10.1%�

70年代 名目12.6%�実質 4.4%�

80年代 名目 6.1%�実質 4.1%�

90年代 名目 1.5%�実質 1.4%�

-5.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0(%)

1960年�

1965年�

1970年�

1975年�

1980年�

1985年�

1990年�

1995年�

2000年�

実 質�

名 目�

デフレーター�

1月

ユーロ通貨発行、7月1日に通貨統合完了�

1月

EU(欧州連合)、ユーロ取引開始�

4月

消費税5%に引き上げ�

1月

湾岸戦争勃発�

バブル経済崩壊始まる�

4月

円、一時1ドル=79円に�

1月

WTO(世界貿易機関)発足�

4月

消費税実施�

1月

イラン革命で第2次石油危機�

狂乱物価で戦後初のマイナス成長�

10月

第4次中東戦争で第1次石油危機�

2月

変動為替相場制に移行�

8月

ニクソン米大統領、金・ドル交換停止発表(ニクソン・ショック)�

12月

スミソニアン合意で1ドル=308円に�

3月

大阪万国博開催�

5月

新全国総合開発計画発表�

7月

第1次資本取引自由化�

1月

戦後初の赤字国債発行�

10月

いざなぎ景気(70年7月まで)�

4月

IMF(国際通貨基金)8条国に移行/OECD(経済協力開発機構)に加盟�

2月

日本、GATT11条国に移行�

10月

同内閣、全国総合開発計画決定/オリンピック景気(64年10月まで)�

12月 所得倍増計画発表�

10月

米株価暴落、ブラックマンデー�

9月

G5プラザ合意でドル安容認�

1958年 6月

岩戸景気(61年12月まで)�

12月

新長期計画決定�

1957年 6月

なべ底不況(58年6月まで)�

1955年

6月 日本、GATT(関税貿易一般協定)に加盟�

1954年

11月 神武景気(57年6月まで)�

経済成長率の推移

Page 16: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

15 A System of National Accounts

「資産」の総額をとらえる資産 ……………………………………………

資産は、非金融資産(実物資産)と金融

資産の合計額です。たとえば1年間の資産

の動きをとらえるには期首の資産残高にそ

の後の1年間の経済活動を通じて資本調達

を行うなど資本取引による資産額の変化

(資本取引額)と株式や土地など価格変動を

伴う資産の変化(キャピタル・ゲイン/ロス )、

災害等による予期できない資産損失、不良

債権の償却等の調整額を加味した期末の残

高です。すなわち期首残高+資本取引額+

調整額=期末残高です。

土地、株式の資産額の推移はグラフに示

すとおりですが、1989年12月29日に日経平

均が38,915.87円の史上最高値を記録した時

の株式の資産額は、約889兆9千億円でした

が、2001年末は株価の下落により332兆円に

まで558兆円(62.7%)も減少しました。土

7

今期における資産額の変化�

資産価格の変動等�

経済活動による蓄積等�

調整額�

資本取引額�

フロー勘定�

期首の資産・�負債残高�

期末の資産・�負債残高�

○期首の資産残高から、経済活動に伴う資産額の変化(資本引き取り額)と価格変動に伴う資産額の変化(調整額)を加味することで、期末の資産残高になる。期首資産残高+資本引取額+調整額=期末資産残高�

資産�8,276兆円�

負債�5,369兆円�

正味資産(国富)�2,907兆円�

対外純資産�

その他�

建物等�

土地�

在庫� 88兆円�

資産と負債の差が正味資産であり、これを日本全体で見ると「国富」になる。�※資産・負債の内訳にはそれぞれ現金や株式などの金融資産・負債も含まれるが、正味資産を求めるため資産-負債を計算すると、国内での貸借などにより発生する資産と負債は相殺され、対外純資産(対外資産-対外負債)だけが残ることになる。よって、国富は実物資産と対外純資産を合計したものになる。�

1,457兆円�

985兆円�

179兆円�

2001年末の国民資産・負債残高

Page 17: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 16

地も1990年末のピーク時は2,455兆3千億円だ

ったのが2001年末には1,455.5兆5千万円と

1,000兆円(40.7%)も減少しました。

国富 ……………………………………………

資産から負債を差し引いた差額が正味資

産で、これを日本全体でみると「国富」と

なります。国富の内訳は図の通りです。資

産・負債の内訳にはそれぞれ現金や株式など

の金融資産・負債も含まれますが、正味資産

を求めるため資産-負債を計算すると、国

内での貸借等により発生する資産と負債は

相殺され、対外純資産(対外資産-対外負

債)だけが残ります。したがって、国富は

実物資産と対外純資産の合計額となります。

用語解説

キャピタル・ゲイン/ロス いずれも資産価格の変化に伴う利益と損失のことで、キャピタル・ゲインは資本利得と訳され、株や土地などの資産価格の上昇により得られる利益を指します。一方、キャピタル・ロスは資本損失と訳され、資産の値下がりにより被る損失を指します。

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

土地、株式資産額の推移�株式(兆円)�土地(兆円)�

1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001

2136.9

2455.3

2275.7

2064.01973.3

1914.71797.11831.5

1757.81685.5

1611.31543.9

1455.5

889.9��

521.5��

508.0��

369.3��

397.2��

473.0��

467.5�� 426.4

366.1��

306.0��

514.6�� 422.6

332.0

土地資産額(左目盛)� 株式資産額(右目盛)�

(注) 1. 1989年末の土地、株式資産額は「長期遡及主要系列 国民経済計算報告―平成2年基準―(昭和30年~平成10年)」より� 2. 1989年末と1990年末以降の計数の間には、土地・株式とも評価方法に違いがあるため、接続していない。 �

年�

Page 18: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

17 A System of National Accounts

部門ごとに経済状況をとらえる5つの部門………………………………………

SNAでは経済を「非金融法人企業 」「金

融機関 」「一般政府 」「家計 」「対家計民

間非営利団体 」の5つの部門に分け、それ

ぞれの経済の状況や部門間の状況を表す数

値も推計しています。

所得の配分 ……………………………………

平成13年度の国民所得408兆円は、各部門

ごとに「図1」のように配分されました。

所得の内訳 ……………………………………

金融機関及び対家計民間非営利団体を除

く非金融法人企業、一般政府、家計の所得

の内訳は、「表1」の通りです。

非金融法人企業はモノ(財)やサービス

を生産、販売するといった営業活動をして

います。したがって、「もうけ」にあたる

「営業余剰」が所得の多くを占め、一般政府

は「税金」が所得のほとんどを占めていま

す。また、家計では賃金などの「雇用者報

酬」が所得の大部分を占めています。次に

多い家計の「営業余剰」は持ち家の場合、

家計自らが自分に家賃を払っているとみな

し、家賃分を収入として「営業余剰」に計

上しています。個人企業の場合は、「もうけ」

(=営業余剰)は家計に含め、「もうけ」に

は、事業主の報酬の要素も含まれるため、

「混合所得」として別立てで計上しています。

8

用語解説

非金融法人企業 金融機関以外の民間企業、公的企業を指します。金融機関 銀行や生命保険、損害保険などの金融機関です。一般政府 中央政府、地方公共団体、社会保障基金(厚生年金、国民年金など)が含まれます。家計 一般家計のほか個人企業も含みます。対家計民間非営利団体 家計にサービスを供給する非営利の団体で、労働組合、宗教団体、私立学校などが含まれます。金融取引 貯蓄が投資を上回り、資金の余剰が生じた部門は預貯金、公社債、株式等の金融資産に余剰分を回し、資金運用し、逆に投資が貯蓄を上回り資金が不足した部門は金融機関から借入れや公社債・株式の発行等によって資金を調達しますが、こうした資金のやり取りを指します。

非金融法人企業�26.0

(単位:兆円)�

対家計民間非営利団体�0.1 金融機関�

18.7

一般政府�31.5

家計(個人企業を含む)�332.0

図1 国民所得の部門ごとの配分(平成13年度)�

表1 所得の内訳(平成13年度)�非金融法人企業� 一般政府� 家  計�

営業余剰�混合所得�税(除く補助金)�雇用者報酬�財産所得(受取-支払)�

  合  計�

43.2�―�―�―�

-17.2�

  26.0

―�―�38.3�―�

-6.7�

  31.5

30.8�19.3�―�

275.6�6.2�

  332.0

(単位:兆円)�

Page 19: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 18

資産の保有状況 ………………………………

平成13年(暦年末)の国富(実物資産+

対外純資産)2,907兆円は、次の図のように

部門ごとに配分されました。

一方、同年(暦年末)の金融機関と対家

計民間非営利団体を除く部門ごとの資産

(実物資産+金融資産)の内訳は次の表の通

りとなっています。資産には金融資産も含

まれますので、国富とは異なります。非金

融法人企業は、生産・営業活動を行っている

ため、建物や工場などの固定資産や土地な

どを多く持ち、家計は土地を多く持ってい

るほか、1,400兆円にのぼる金融資産も持っ

ています。

貯蓄と投資の差額 ……………………………

「貯蓄」は、所得のうち消費に使われず、

蓄積された金額です。この貯蓄が土地や建

物、公共事業などの「投資」に回されます。

ある部門で貯蓄より投資の金額が大きけれ

ば、資金不足となり、他の部門から資金

(貯蓄)を融通してもらいます。こうした金

融取引 で「投資」が円滑に行われます。

SNAでは、「貯蓄」と「投資」を推計し、そ

の差額を計算することで、金融取引の状況

を把握しています。家計は一貫して、「貯蓄」

が「投資」を上回り、資金供給を担い、非金

融法人企業は平成13年度はそれ以前とは反

対に「貯蓄」が「投資」を上回り、投資が

あまり行われず、借金を返済していること

がわかります。

非金融法人企業�470.1

(単位:兆円)�

対家計民間非営利団体�59.2

金融機関�30.8

一般政府�150.7

家計(個人企業を含む)�2,195.9

図2 国富の部門ごとの配分(平成13暦年末)�

表2  資産の内訳(平成13暦年末)�(単位:兆円)�

�非金融法人企業� 一般政府� 家  計�1. 非金融資産� a. 在庫� b. 固定資産� a. 土地� b. 漁場・地下資源�2. 金融資産� うち株式� 期末資産��

992.8�66.6�572.5�353.2�0.5�

  689.9�91.7�

1,682.8

473.9�3.3�

327.5�143.1�―�

  429.9�11.5�903.8

1184.1�17.8�242.1�923.3�0.9�

  1,397.6�89.7�

2,581.6

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

図3  貯蓄と投資の差額の推移(年度、兆円)�

平成2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

非金融法人企業� 一般政府� 家計�一国経済�

(注)平成10年度に非金融法人企業が大きく貯蓄超過になっているのは、国鉄清算事業団などの債務が政府に引き継がれたためです。

Page 20: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

19 A System of National Accounts

国内総生産(GDP)の国際比較GDP総額の比較 ………………………………

わが国の名目国内総生産(GDP) の規模

は、平成13(2001)暦年には4兆1,757億ド

ルとなり、OECD(経済協力開発機構)加

盟国中で引き続き第2位を保っています。

第1位はアメリカの10兆822億ドルです。3

位はドイツで1兆8,549億ドル、4位にイギリ

スが1兆4,226億ドルで続いています。5位は

フランスで1兆3,110億ドルとなっています。

一人当たりGDPの比較 ………………………

わが国の一人当たり名目国内総生産につ

いてみると、為替換算では平成13(2001)

暦年には、32,851ドルとなり、OECD加盟国

中で平成12年の第2位から第5位になりま

した。これは、日本の為替レートが1ドル

107.8円(平成12年平均)から121.5円(平成

13年平均)へと円安ドル高になったこと等

が影響しています。

9

順位� 国名� 平成10�(1998)�

平成11�(1999)�

平成12�(2000)�

平成13�(2001)�

OECD諸国の国内総生産(為替換算)�

ア メリカ�

日 本 �

ド イ ツ�

イギリス�

フランス�

イタリア�

カ ナ ダ�

メキシコ�

スペイン�

韓 国 �

オランダ�

オーストラリア�

ス イ ス�

ベルギー�

スウェーデン�

オーストリア�

ポーランド�

ノルウェー�

デンマーク�

ト ル コ�

8,781.5�

3,970.3�

2,144.7�

1,423.8�

1,452.0�

1,196.5�

616.8�

420.4�

588.1�

317.3�

393.3�

361.8�

262.1�

250.3�

239.8�

211.1�

158.5�

147.0�

172.5�

200.5�

9,274.3�

4,491.4�

2,108.5�

1,460.1�

1,444.1�

1,181.3�

660.1�

481.5�

602.3�

406.8�

398.7�

391.8�

258.5�

251.1�

242.6�

209.6�

155.2�

152.9�

173.9�

184.8�

9,824.7�

4,762.4�

1,870.8�

1,438.7�

1,305.8�

1,073.4�

717.1�

580.9�

561.5�

461.7�

371.0�

378.3�

240.2�

228.1�

229.4�

188.7�

157.6�

159.4�

160.2�

199.5�

10,082.2�

4,175.7�

1,854.9�

1,422.6�

1,311.0�

1,089.6�

705.4�

617.7�

583.6�

422.4�

384.4�

358.4�

245.9�

227.7�

209.6�

188.3�

176.1�

163.7�

161.6�

147.7�

1�

2�

3�

4�

5�

6�

7�

8�

9�

10�

11�

12�

13�

14�

15�

16�

17�

18�

19�

20�

(単位:10億ドル)�

(出所)�・OECD“Main Economic Indicators”(2002年11月版)。�・一部の国については、IMF“International Financial Statistics”(2002年11月版)。�・日本は、国民経済計算部推計値。(東京市場インターバンク直物中心相場の各月中平均値をもとに作成した四半期別ドル値の積上げ)�※順位は平成13(2001)年�

順位� 国名� 平成10�(1998)�

平成11�(1999)�

平成12�(2000)�

平成13�(2001)�

OECD諸国の一人当たり国内総生産(為替換算)�

ルクセンブルク�

ノルウェー�

ア メリカ�

ス イ ス�

日 本 �

デンマーク�

アイスランド�

アイルランド�

オランダ�

イギリス�

スウェーデン�

フィンランド�

オーストリア�

カ ナ ダ�

ド イ ツ�

ベ ル ギ ー�

フランス�

イタリア�

オーストラリア�

スペイン�

42,649.6�

33,189.4�

32,488.0�

36,865.8�

31,421.0�

32,556.0�

29,930.1�

23,343.7�

25,037.4�

24,033.8�

27,091.2�

25,054.8�

26,131.3�

20,389.0�

26,148.9�

24,513.0�

24,672.4�

20,775.8�

19,316.1�

14,937.9�

45,589.9�

34,292.1�

34,010.4�

36,261.8�

35,478.0�

32,621.0�

30,344.7�

25,327.0�

25,215.5�

24,538.7�

27,385.4�

24,837.5�

25,910.0�

21,641.4�

25,685.0�

24,542.1�

24,434.1�

20,490.3�

20,656.2�

15,279.1�

42,925.1�

35,501.2�

35,692.4�

33,506.7�

37,549.0�

30,000.9�

30,324.4�

25,225.9�

23,320.3�

24,180.1�

25,858.4�

23,324.0�

23,301.0�

23,305.8�

22,764.6�

22,252.6�

22,173.2�

18,584.7�

19,744.2�

14,226.4�

43,115.7�

36,299.6�

35,401.0�

34,015.1�

32,851.0�

30,315.5�

27,506.7�

26,923.3�

23,963.9�

23,893.8�

23,741.1�

23,467.9�

23,309.4�

22,696.4�

22,522.1�

22,197.4�

22,149.6�

18,803.2�

18,387.6�

14,491.1�

1�

2�

3�

4�

5�

6�

7�

8�

9�

10�

11�

12�

13�

14�

15�

16�

17�

18�

19�

20�

(単位:ドル)�

(出所)�・GDP及び為替ルートは、OECD“Main Economic Indicators”(2002年11月版)。�・一部の国については、IMF“International Financial Statistics”(2002年11月版)。�・人口は、IMF“International Financial Statistics”(2002年11月版)。�・日本は、国民経済計算部推計値。(東京市場インターバンク直物中心相場の各月中平均値をもとに作成した四半期別ドル値の積上げ)�※順位は平成13(2001)年�

Page 21: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 20

購買力平価換算によるGDPの比較 …………

購買力平価とは、それぞれの通貨の購買

力(商品を購入する力)が等しくなるよう

に計算した各国通貨の交換比率のことです。

外国為替市場の為替レートは、貿易などの

国際取引の影響や投機による変動が多いの

ですが、購買力平価は、そういった影響・

変動を除いています。購買力平価換算によ

る一人当たり名目国内総生産でみると、日

本は平成13(2001)暦年には26,416ドルとな

り、OECD加盟国中では第14位となってい

ます。

用語解説

名目国内総生産(GDP) 一定期間(通常1年または1四半期)に経済社会全体で生産した総産出額から原材料などの中間投入額を差し引いた額、すなわち、国内の居住者である企業、政府および対家計非営利団体の生産した付加価値の総計をその期の市場価格(時価)で表示したものをいいます。実質国内総生産(GDP) 決められた年次の価格体系を基準(100とする)にして、名目国内総生産の価値額を評価し直したものをいいます。具体的には名目GDPを構成する各需要項目をそれに対応するデフレーター(価格指数)で除して得られたそれぞれの実質需要項目を合計して算出します。

順位� 国名� 平成10�(1998)�

平成11�(1999)�

平成12�(2000)�

平成13�(2001)�

OECD諸国の一人当たり国内総生産(購買力平価換算)�

ルクセンブルク�

ノルウェー�

ア メリカ�

アイルランド�

ス イ ス�

デンマーク�

アイスランド�

オランダ�

カ ナ ダ�

オーストリア�

ベ ル ギ ー�

オーストラリア

フィンランド�

日 本 �

ド イ ツ�

イギリス�

フランス�

イタリア�

スウェーデン�

スペイン�

40,790.0�

28,793.0�

32,230.0�

23,226.0�

27,902.0�

26,691.0�

26,211.0�

25,215.0�

24,919.0�

24,642.0�

23,463.0�

23,998.0�

22,125.0�

24,324.0�

23,704.0�

22,790.0�

22,020.0�

23,128.0�

22,839.0�

18,014.0�

43,706.0�

29,887.0�

33,747.0�

26,027.0�

28,774.0�

27,665.0�

27,266.0�

26,517.0�

26,582.0�

25,761.0�

24,682.0�

25,448.0�

23,412.0�

24,934.0�

24,656.0�

23,701.0�

23,100.0�

23,952.0�

24,343.0�

19,035.0�

48,239.0�

36,242.0�

35,444.0�

28,284.0�

29,617.0�

29,127.0�

28,538.0�

27,316.0�

28,130.0�

28,070.0�

26,392.0�

26,234.0�

25,534.0�

26,011.0�

26,139.0�

25,107.0�

24,835.0�

25,056.0�

26,161.0�

20,195.0�

48,530.0�

36,474.0�

35,045.0�

30,002.0�

29,919.0�

29,679.0�

29,281.0�

29,248.0�

28,923.0�

28,224.0�

27,699.0�

27,417.0�

26,538.0�

26,416.0�

26,321.0�

26,226.0�

26,179.0�

26,165.0�

25,972.0�

21,393.0�

1�

2�

3�

4�

5�

6�

7�

8�

9�

10�

11�

12�

13�

14�

15�

16�

17�

18�

19�

20�

(単位:ドル)�

(出所)�・OECD“National Accounts of OECD Countries MAIN AGGREGATES Volume Ⅰ 1990-2001”。�※順位は平成13(2001)年��

Page 22: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

21 A System of National Accounts

四半期別GDP速報(QE)について四半期別GDP速報(QE)とは………………

国民経済計算は、経済実態を正確に反映

するとともに、景気判断の基礎となるため

「速報性」も重要な要素になっています。こ

のため、早期に利用できる基礎統計を用い

て、最初に推計しているのが「速報(四半

期別GDP速報)」で、QE(Quar t e r l y

Estimates)と呼ばれています。国民経済計

算は、より精度の高い基礎統計の入手に応

じて段階的に推計値を改定し、統計の「正

確性」を一層高めていくことにしています。

公表の時期の早いものから順に、「速報」

「確報 」「基準改定 」と呼ばれています。

「速報」は国内総生産(GDP)と民間最

終消費支出などの支出系列と雇用者報酬に

ついて四半期ごとに作成しています。これ

は、まず「1次速報」として四半期が終了

した約1か月と2週間程度後に公表し、さ

らに1か月後(1次速報と合わせ2か月と

10日程度後)に、新たに利用可能となった

基礎統計資料による改定を行い、「2次速報」

として公表しています。速報推計は、確報

推計と比べ、推計に利用できる基礎情報に

制約があるため、前年の確報推計の結果を

10

GDP成長率に対する内外需別寄与度の推移�

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0(%)

2000/�1-3. 4-6. 7-9. 10-12.

2001/�1-3. 4-6. 7-9. 10-12.

2002/�1-3. 4-6. 7-9.

月�

純輸出�

国内総生産�

国内需要�

Page 23: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

A System of National Accounts 22

活用しながら独自の推計方法で行っていま

す。

最近の経済動向 ………………………………

実質GDP成長率をみますと、2000年10-

12月期をピークに減少し、2001年4-6月期

から10-12月期まではマイナス成長となり

ましたが、2002年の1-3月期は横ばい、4-

6月期以降は再びプラスに転じています。

2001年4-6月期から10-12月期までマイナ

ス成長となった要因は、国内需要のGDPに

対する寄与度 がマイナスだったことがあげ

られます。国内需要の内訳をみますと、民

間企業設備や民間在庫品増加の減少が主な

マイナス要因となっています。

また、2002年の4-6月期以降プラスに転

じた要因は、国内需要のGDPに対する寄与

度がプラスに転じたことがあげられます。

国内需要の内訳をみますと、民間企業設備、

民間在庫品増加、民間最終消費支出の増加

が主にプラスに転じた要因となっています。

用語解説

確報 毎年末に作成されて、公表される前年(度)の統計数値です。基準改定 実質値を何年の価格体系で評価するかという基準年を、より最近のものに変更することで、実質値が変更になります。また、産業関連表や国勢調査など、毎年公表されない新たな基礎統計を利用することに伴い、名目値も改定されます。基準改定は5年ごとに行われます。寄与度 全体の変化に対し、ある内訳がどのくらい寄与したかを示す指標です。ここでは寄与度=(当期の実数-前期の実数)÷前期の国内総支出(または国民所得)×100の計算式で算出しました。

Page 24: 経済教育参考資料 - keikyo-center.or.jp · (生産)国内総生産 507 兆円 (統計上の不突合6兆円を含む) (分配) 371 実物資産 在 庫 92 純固定資産

原田  昭 (社)全国工業高等学校協会理事長�峯岸  誠 全国中学校社会科教育研究会会長�宮地 忠明 全国地理教育研究会会長�村橋 勝子 (社)日本経済団体連合会社会本部情報メディアグループ長�吉越 裕二 内閣府大臣官房参事官�

編集・発行�

http://www.keikyo-center.or.jp/�〒105-0001 東京都港区虎ノ門2丁目6番4号(第11森ビル)電話(03)3503-3757(代)�

監   修�

経済教育参考資料 国民経済計算の見方、使い方  平成15年3月発行�

編集専門委員(50音順)�

池下  誠 東京都練馬区立上石神井中学校教諭�井野 靖久 内閣府大臣官房企画調整課企画官�海野 省治 全国公民科・社会科教育研究会会長�榎本 康司 東京都立科学技術高等学校教諭�金澤 利明 東京都教育庁指導部高等学校教育指導課指導主事�金納 善明 成蹊小学校教諭�

桑原 利夫 全国小学校社会科研究協議会会長�佐藤 俊一 東京都文京区立第九中学校教諭�篠田健一郎 東京都立蒲田高等学校教諭�仲  信之 東京都立富士高等学校教諭�名古屋眞智子 東京都墨田区立第一吾嬬小学校教諭�成田 秀和 東京都台東区立上野小学校長�

財団法人日本経済教育センターホームページ http://www.keikyo-center.or.jp/� 当資料のすべてのページを掲載しています。図表、データなどプリントアウトしてご利用ください。�

内閣府経済社会総合研究所SNA(国民経済計算)ホームページ http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html� SNAのデータ等が掲載されています。�

この資料は、内閣府の委託によって作成配布するものである。�

内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部�

■関係機関等 URLリンク集�