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あらゆる業種の企業にデータを活用した ビジネス・イノベーションが次々と起きています。 例えば、これまで熟練者の勘と経験が収穫量と収入を決めていた農業。 センサーから取得した畑 の降水量や日照時間などのデータを活用して最適な栽培手法を探り、市況データで見定めながら 最も高く売れるタイミングで出荷するといったことが、当たり前のように行われるようになりました。 農業のビジネス環境も大きく変わり続けているのです。 建設・医療・物流・小売など他の多くの業 種でも同様に、データを活用したビジネス・イノベーションが次々と起きています。 変化に対応する俊敏さは企業競争力そのもの 今や、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる俊敏さこそが、企業競争力そのものにな りました。 もはや同じ業務やビジネスモデルを10年、20年にわたって続けられる時代ではありま せん。 企業内の業務を担う情報システムにも、業務内容の大きな変化に合わせて、迅速かつ柔軟 にシステム構成を最適化できる俊敏さが求められるようになりました。 企業内に置き活用するオンプレミスの情報システムは、俊敏さとはかけ離れた存在です。 その構 築には多額の投資と開発期間を要し、変化に対応して簡単に更新 ・ 増設できるものではありません。 ともすれば、ビジネス・イノベーションを阻む足かせにすらなりかねません。 俊敏な業務システムを構築するため、情報システムをオンプレミスからパブリック ・ クラウドに移 行する企業が増えています。 パブリック・クラウドを活用すれば、開発期間を短縮し、初期コストと運用コストも削減できます。 さらにオンデマンドや従量課金での利用も可能です。 このため、ビジネス環境の変化に合わせて、 必要な処理能力とストレージ容量を柔軟に調整できます。 現在、各企業で扱うデータの量は、指 数関数的に増大しており、オンプレミスでのシステム増強では、とても追いつかない状態です。 パ ブリック・クラウドの利用は、時代の要請であると言えます。 ビジネス環境の 変化に合わせて 大胆に構成を変える、 俊敏な情報システムの 構築が求められています。 ビジネス環境の変化に合わせて大胆に構成を変える、俊敏な情報システムの構築が 厳しいビジネス環境の中で勝ち抜くための条件になってきました。 これは、金融業や製造業といった 動きが激しい業種だけではなく、あらゆる業種の企業に見られる傾向です。 ビジネス概要 ハイブリッド・クラウド 現代の企業が抱える課題を解決する ハイブリッド ・ クラウド ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる 情報システムでビジネス・ イノベーションを起こす

現代の企業が抱える課題を解決する ハイブリッド・クラウド - Intel › content › dam › www › public › ijkk › jp › ... · itベンダーのサービス基盤を利用するプライベート・クラウドを活用す

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あらゆる業種の企業にデータを活用した ビジネス・イノベーションが次々と起きています。例えば、これまで熟練者の勘と経験が収穫量と収入を決めていた農業。 センサーから取得した畑の降水量や日照時間などのデータを活用して最適な栽培手法を探り、市況データで見定めながら最も高く売れるタイミングで出荷するといったことが、当たり前のように行われるようになりました。農業のビジネス環境も大きく変わり続けているのです。 建設・医療・物流・小売など他の多くの業種でも同様に、データを活用したビジネス・イノベーションが次々と起きています。

変化に対応する俊敏さは企業競争力そのもの今や、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる俊敏さこそが、企業競争力そのものになりました。 もはや同じ業務やビジネスモデルを10年、20年にわたって続けられる時代ではありません。 企業内の業務を担う情報システムにも、業務内容の大きな変化に合わせて、迅速かつ柔軟にシステム構成を最適化できる俊敏さが求められるようになりました。

企業内に置き活用するオンプレミスの情報システムは、俊敏さとはかけ離れた存在です。 その構築には多額の投資と開発期間を要し、変化に対応して簡単に更新・増設できるものではありません。ともすれば、ビジネス・イノベーションを阻む足かせにすらなりかねません。

俊敏な業務システムを構築するため、情報システムをオンプレミスからパブリック・クラウドに移行する企業が増えています。

パブリック・クラウドを活用すれば、開発期間を短縮し、初期コストと運用コストも削減できます。さらにオンデマンドや従量課金での利用も可能です。 このため、ビジネス環境の変化に合わせて、必要な処理能力とストレージ容量を柔軟に調整できます。 現在、各企業で扱うデータの量は、指数関数的に増大しており、オンプレミスでのシステム増強では、とても追いつかない状態です。 パブリック・クラウドの利用は、時代の要請であると言えます。

ビジネス環境の 変化に合わせて 大胆に構成を変える、 俊敏な情報システムの 構築が求められています。

ビジネス環境の変化に合わせて大胆に構成を変える、俊敏な情報システムの構築が 厳しいビジネス環境の中で勝ち抜くための条件になってきました。 これは、金融業や製造業といった 動きが激しい業種だけではなく、あらゆる業種の企業に見られる傾向です。

ビジネス概要ハイブリッド・クラウド

現代の企業が抱える課題を解決する ハイブリッド・クラウドビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる 情報システムでビジネス・イノベーションを起こす

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分析や人工知能(AI)関連の処理など特定処理に強みを持つところも出てきました。 マルチクラウドでは、業務処理(ワークロード)の適性を考慮し、処理の最適な振り先を判断して使い分けます。

日本国内でも、ハイブリッド・クラウドを活用して、大きな実績を挙げた企業が数多くあります。 事例を 2 つ紹介しましょう。

セイコーエプソン株式会社は、プリンターをはじめとする革新的な製品提供に加え、同社のデバイスとソフトウェアを組み合わせたサービス開発に取り組んでいます。 ウエアラブル活動量計を使った脈拍計測サービスなどが、その例です。 同社はこのような新サービスを提供するシステムを迅速に構築するため、またさらなるコスト削減のため、クラウドの活用を決断されました。 同社は、 業務システム、 設計情報統合管理、 デスクトップ環境など100種類以上のシステムそれぞれの要件に合わせて、クラウド(仮想/物理)、 ハウジング、 オンプレミスを適材適所で選択し、NEC(日本電気株式会社)と共同でハイブリッド環境を実現しました。1

また、 ある国内の大手鉄鋼業者が、 システムベンダーと共同で、 グローバルビジネスで求められるスピードと拡張性に対応可能な新たな情報システムを構築した例もあります。 このシステムでは、変化に俊敏に対応できる特徴と同時に、24 時間365日止まることなく製鉄所を安定操業できる高い信頼性も求められました。 そこでこの事業者は、堅牢性と柔軟性を両立できるハイブリッド・クラウド環境を立ち上げることで、システムの安定性を維持しながら、これまで 2カ月掛かっていたシステム変更をわずか10日まで短縮し、 AI など最新の IT 技術も迅速に利用可能になりました。

活用のポイントは包括的管理体制の構築と ワークロード特性の見極めハイブリッド・クラウドは、現代の企業が抱える課題を解決する、極めて実践的なクラウド戦略だと言えます。 企業の IT 担当者の 70% が、今後24カ月の間にハイブリッド ・ クラウド戦略について検討するとしています。2 ただし、オンプレミスやパブリック・クラウドに比べれば、システム構成が複雑になることは確かです。 このため、ハイブリッド・クラウドに移行する際には、いくつかポイントがあります。

パブリック・クラウド活用における懸念しかし、企業内のすべての業務をパブリック・クラウドに移行することは困難といえます。 パブリック・クラウドには、不向きな業務があるからです。

一般的にパブリック・クラウドのサーバーは、 それを活用する企業から遠く離れた場所にあります。 このため、ネットワークを介した通信に距離に応じた時間が掛かり、データを送ってから処理結果が送り返されるまでに遅延が発生します。 工場での生産管理や医療現場のような、データ活用にリアルタイム性が求められる現場では活用しにくい状況といえます。

また、データが一度社外に出ることになるため、機密情報が外部に漏れてしまう可能性が捨て切れません。 知的財産、個人情報、個人の健康情報などの流出や改ざんがあれば、企業が重大な損害を被る可能性があります。 こうした業務では、 やはりオンプレミスの堅牢な情報システムの活用が欠かせません。

リアルタイム性や堅牢性に優れたオンプレミスと、柔軟性に優れたパブリック・クラウドのいずれかに絞ってしまうと、思い通りの効果が得られない情報システムになってしまいます。 こうした相反する課題を両立させるために注目されているのが、その両方を併用するクラウド戦略、ハイブリッド・クラウドです。

いいとこどりのハイブリッド・クラウドハイブリッド・クラウドには、オンプレミスとパブリック・クラウドのいずれか一方を利用するときには得られなかった、固有の特徴も生まれます。

その代表例が、東日本大震災に際して注目された事業継続計画(BCP)に向けた活用です。 通常時にはオンプレミスで処理している業務を、システムダウン時にはただちにパブリック・クラウドでの処理に切り替えるといった活用法です。 パブリック・クラウドでは不安だという場合には、IT ベンダーのサービス基盤を利用するプライベート・クラウドを活用するという手もあります。

さらに近年では、特徴的な複数のプライベート・クラウド・サービスを使い分けるマルチクラウドというクラウド戦略も登場しています。 各クラウドサービス間の競争は激しく、料金プランが違うだけではなく、データ

図1:ワークロードの特性によって最適なシステムの置き場所が変わる

ビジネス概要 | 現代の企業が抱える課題を解決するハイブリッド・クラウド特性スコア

+

データ量

統合

セキュリティー

パフォーマンス

パブリック・クラウド プライベート・クラウド

科学エンジニアリング

財務教育

ビッグデータ /分析

データマートバッチ

ERPアプリケーション

開発

データマイニングシステム管理

セキュリティーネット

ワーキング

OLTPファイル /印刷の共有

プロキシーデジタルコンテンツ

ウェブ検索電子メール

CRMワークグループ

ウェブサーバー

ワークロードの配置に関するインテルのパブリック対プライベートの親和性モデル

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まず、包括的な管理体制の構築が欠かせません。 これがないと、 「シャドーIT」 と呼ばれるシステム部門が管理できないシステムが生まれる可能性が出てきます。 パブリック・クラウドは導入が容易なため、 事業部門が独自に事業者と契約できてしまうからです。 また、 利用するクラウドごとに異なる運用の仕組みを整理し、 IT リソースの全体最適化を進めるうえでも包括的な管理体制が大切になってきます。

さらに、ハイブリッド・クラウドの潜在能力を生かし切るには、ワークロードの特性を理解し、最適なオンプレミスまたはクラウドを選択して適材適所にワークロードを割り振ることが重要になります。 ワークロードの特性を理解する上で注目すべきポイントは、求められる「パフォーマンス」と「セキュリティー」、さらに他のデータベース、フレームワークなどとの「統合」、送信や保管のコストに直結する「データ量」 の 4 つです。

インテルとインテルのパートナーによるエコシステムは、包括的管理体制の構築とワークロードの特性に合ったクラウド戦略の策定を支援し、求めるハイブリッド・クラウドの構築に貢献します。

参照リンクインテルが推進するハイブリッド・クラウド・コンピューティング・ソリューションについては、下記の資料もご確認ください。

ハイブリッド・クラウドに最適なワークロードの配置https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/cloud-computing/optimal-workload-cloud-infographic.html

ハイブリッド・クラウドへの転換の簡素化https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/cloud-computing/intel-cloud-based-solutions.html

ビジネス概要 | 現代の企業が抱える課題を解決するハイブリッド・クラウド

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336976-001JAJPN/1712/PDF/SE/MKTG/YA

¹ http://jpn.nec.com/press/201609/20160907_01.html(日本電気株式会社、2016 年 9 月 7 日)

² The International Data Corporation (IDC) multiclient study, CloudView 2016

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