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献血が支える医療 〜献血の現状とその重要性について〜 with コロナ時代における献血のあり方について 大分大学医学部附属病院 血液内科 / 輸血部 大分県合同輸血療法委員会 緒方正男

献血が支える医療 - 政府広報オンライン...画像は厚生労働省: 「けんけつHOP STEP JUMP 2019年度版」より転載 献血 献血ルーム 献血バス 血液センター

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  • 献血が支える医療〜献血の現状とその重要性について〜

    with コロナ時代における献血のあり方について

    大分大学医学部附属病院 血液内科 / 輸血部大分県合同輸血療法委員会

    緒方正男

  • 大分県赤十字血液センターHPhttps://www.bs.jrc.or.jp/bc9/oita/place/m1_01_01_wattan.html

    画像は厚生労働省: 「けんけつ HOP STEP JUMP2019年度版」より転載

    献血

    献血ルーム

    献血バス

    血液センター

    画像は厚生労働省: 「けんけつ HOP STEP JUMP2019年度版」より転載

    検査

    製剤

    供給

    医療機関

    献血頂いた血液が患者さんに届くまで

  • 赤血球液 濃厚血小板 新鮮凍結血漿

    輸血製剤の種類と主な適応

    貧血 血小板減少 凝固因子低下

  • 赤血球液 濃厚血小板 新鮮凍結血漿

    献血からの有効期間

    21日 4日 凍結状態で1年

  • 輸血製剤の使用状況

    赤血球4,538,280単位

    血漿製剤1625217単位

    血小板6,749,200単位

    血液内科

    血液内科

    血液内科

    心臓血管外科救急科

    • 赤血球製剤は広く様々な診療科で使用されている

    • 血漿製剤は心臓血管外科や救急科で使用割合が多い

    • 血小板は血液内科での使用が約2/3を占める

    令和元年度血液製剤使用実態調査日本輸血・細胞治療学会 輸血業務に関する総合的調査小委員会(施設回答率49.03%)

  • ヘモグロビン(g/dL)

    白血球(/μL)

    血小板(x104 /μL)

    抗がん剤 抗がん剤

    10月 11月 12月

    (寛解導入療法) (地固め療法)

    4 pack

    9 pack

    3 pack

    2 pack

    完全寛解!

    赤血球輸血

    血小板輸血

    20歳代女性、急性骨髄性白血病に対して寛解導入療法を実施

  • ヘモグロビン(g/dL)

    白血球(/μL)

    血小板(x104 /μL)

    血小板輸血 計30回

    計12回

    30歳台男性、難治性急性白血病に対し骨髄移植を実施

    抗がん剤 骨髄移植

    4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 1月11月 12月

    赤血球輸血

    血小板輸血

    赤血球輸血

  • 大分大学附属病院救命救急センターで3ヶ月間に大量輸血を実施した患者さん (17人)

    Variable Value

    年齢, 中央値 (範囲) 67 (19-89)

    性 男性 6 (32%)

    女性 11 (65%)

    疾患 交通外傷 7 (41%)

    転落 4 (24%)

    腹部動脈瘤破裂 3 (18%)

    出産 1 (6%)

    肝細胞癌破裂 1 (6%)

    自傷 1 (6%)

    来院時収縮期血圧

  • 大分大学附属病院救命救急センターで3ヶ月間に大量輸血を実施した患者さん (17人)

    Variable Value

    年齢, 中央値 (範囲) 67 (19-89)

    性 男性 6 (32%)

    女性 11 (65%)

    疾患 交通外傷 7 (41%)

    転落 4 (24%)

    腹部動脈瘤破裂 3 (18%)

    出産 1 (6%)

    肝細胞癌破裂 1 (6%)

    自傷 1 (6%)

    来院時収縮期血圧

  • 大量出血をきたし救急搬送された患者さんにおける輸血製剤使用量

    血小板 クリオプレシピテート使用例: 10例 (59%)使用例における使用量中央値, 20u (10-50)

    使用例: 7例 (41%)使用例における使用量: 全例12u

    単位 単位

    赤血球: 中央値 16u (4-42u)

    新鮮凍結血漿: 中央値, 16u (4-44u)

    単位

    赤血球輸血

    血漿製剤輸血

    赤血球 & 血漿

  • 血小板 クリオプレシピテート使用例: 10例 (59%)使用例における使用量中央値, 20u (10-50) 使用例: 7例 (41%)

    使用例における使用量: 全例12u単位 単位

    単位

    赤血球輸血

    血漿製剤輸血

    この患者さんの救命に使用された赤血球

    大量出血をきたし救急搬送された患者さんにおける輸血製剤使用量

    赤血球: 中央値 16u (4-42u)

    新鮮凍結血漿: 中央値, 16u (4-44u)

    赤血球 & 血漿

  • 血小板 クリオプレシピテート使用例: 10例 (59%)使用例における使用量中央値, 20u (10-50) 使用例: 7例 (41%)

    使用例における使用量: 全例12u単位 単位

    単位

    赤血球 & 血漿

    赤血球輸血

    血漿製剤輸血

    この患者さんの救命に使用された赤血球

    大量出血患者では救命のために20〜40単位の赤血球、血漿、血小板輸血を要する患者さんは稀でない(献血10〜20回分)

    病院備蓄の使用とともに、血液センターから緊急配送(血小板は久留米から緊急搬送) を行い、途切れることなく輸血を行なっている

    このような状況の患者さんでは輸血製剤の不足は直ちに命に関わる

    大量出血をきたし救急搬送された患者さんにおける輸血製剤使用量

    赤血球: 中央値 16u (4-42u)

    新鮮凍結血漿: 中央値, 16u (4-44u)

  • 輸血を必要とする様々な疾患 / 状態

    赤血球

    • 赤血球の造血低下(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群など)

    • 化学療法や造血幹細胞治療などによる貧血• 外傷性出血• 消化管出血• 産科的出血(お産などに伴う)• 手術に伴う出血• 新生児溶血性貧血• その他

    血小板濃厚液

    • 造血器腫瘍• 造血不全(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群など)• 化学療法や造血幹細胞治療• 大量出血• その他

    新鮮凍結血漿

    • 播種性血管内凝固症候群 (血液の固まる状態の異常)• 薬剤性凝固障害(Lアスパラギナーゼ)• 肝障害• 大量出血• その他

  • 大分県内の赤血球製剤の在庫量の変化

    400

    500

    600

    700

    800

    900

    1000

    1100

    1200

    1300

    1400

    3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月

    在庫危険域70%

    在庫100%

    大分県赤十字血液センター提供データ

  • 400

    500

    600

    700

    800

    900

    1000

    1100

    1200

    1300

    1400

    3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月

    在庫危険域70%

    在庫100%

    大分県内の赤血球製剤の在庫量の変化

    闘病中の水泳選手による献血の呼びかけ

  • 大分県内の輸血用血液製剤の月別供給量の推移

    4,800

    5,100

    5,400

    5,700

    6,000

    6,300

    4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

    令和2年度

    令和元年度

    平成30年度

    5,000

    6,000

    7,000

    8,000

    9,000

    4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

    令和2年度

    令和元年度

    平成30年

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000

    4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

    令和2年度

    令和元年度

    平成30年

    赤血球製剤

    血小板製剤

    血漿製剤

    4月16日緊急事態宣言

    4月16日緊急事態宣言

    4月16日緊急事態宣言

    大分県赤十字血液センター提供データ

  • • 広く様々な医療分野において、輸血は救命や安全な治療を行うために、なくてはならないものです。

    • コロナ禍において献血者の減少により輸血製剤の不足が心配されました

    • しかし、献血者の献身的なご協力と日赤血液センターの努力により献血量はほぼ確保されました。また医療機関においては待機手術の中止などにより輸血の使用量が減少したため、幸いなことに供給不足には陥りませんでした。

    • しかしこれからのwithコロナの時代においては、待機手術を含め必要な医療が継続して提供されることが必要です。そのためには輸血製剤の安定供給は必要不可欠です。

    • 輸血製剤には使用期限があり、日々の確保が必要となります。献血は「不要、不急」の外出ではありません。輸血で命を繋いでいる患者さんや外傷などで大量の輸血を必要としている患者さんがおられます。安定して輸血を行うために、多くの方に献血のご協力を何卒お願いさせていただきます。

    まとめ