35
© OECD/IEA 2010 世界エネルギー展望 世界エネルギー展望 2010 2010 201011国際エネルギー機関 事務局長 田中伸男 IEEJ:2010年11月掲載

世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

世界エネルギー展望世界エネルギー展望 20102010

2010年11月国際エネルギー機関

事務局長 田中伸男

IEEJ:2010年11月掲載

Page 2: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

背景背景: : 未曾有の不確実性未曾有の不確実性

世界経済は最悪の危機から脱しつつあるように見える

–しかし、この回復は持続可能なものか?

石油需給の価格感応度は弱まっている

–将来の価格変動にどのような影響をもたらすのか?

天然ガス市場は大変革のただ中にある

–ガス黄金時代の到来?

コペンハーゲン合意とG20の補助金改革は重要な進歩である

–しかし、取り組みはこれで十分か、完全に実施されるか?

中国をはじめ新興国が世界のエネルギーの将来像を方向づける

–これらの国の政策による世界への影響は?

IEEJ:2010年11月掲載

Page 3: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

WEO 2010WEO 2010のシナリオのシナリオ

新政策シナリオは、WEO 2010における中心的なシナリオ

> 各国においてまだ公式に採用されていないものも含め、最近発表された公約や計画が慎重に実施されることを想定

> 最近のエネルギー・気候変動政策の進展の功績や限界を評価するベンチマークとなる

現行政策シナリオは、2010年央時点で公式に採用されている既存の政策のみを考慮

> 従来のレファレンスシナリオに相当

450シナリオは、平均気温上昇を2Cにとどめるためのエネルギー

分野の道筋を示している

IEEJ:2010年11月掲載

Page 4: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

国際石油価格の見通し国際石油価格の見通し

廉価な石油の時代は終わった。しかし適切な施策により、国際エネルギー価格を抑えることができる。

シナリオCO2価格2035年

($/ tCO2)

国際石油価格2035年($/bbl)

実効石油価格2035年($/bbl)

現行政策 42 (EU) 135 152 (EU)新政策 50 (OECD) 113 134 (OECD)

450 120 (OECD ) 90 139 (OECD)

0

20

40

60

80

100

120

140

1980 1990 2000 2010 2020 20302035

$/bb

l (20

09年

価格

)現行政策シナリオ

新政策シナリオ

450シナリオ

IEEJ:2010年11月掲載

Page 5: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

現在の政策が着実に実行されれば、現在の政策が着実に実行されれば、変化を起こすことができる変化を起こすことができる

世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非OECD諸国による。中国のエネルギー消費は75%増加する。

新政策シナリオにおける地域別一次エネルギー需要

0

2 000

4 000

6 000

8 000

10 000

12 000

14 000

16 000

18 000

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

Mto

e その他

中国

OCED

WEO-2009:レファレンスシナリオ

IEEJ:2010年11月掲載

Page 6: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

0

2 000

4 000

6 000

8 000

10 000

12 000

14 000

16 000

18 000

Mto

e

1980 1990 2000 2010 2020 2030 2035

新政策シナリオにおける新政策シナリオにおける世界の一次エネルギー需要世界の一次エネルギー需要

新政策シナリオにおいては化石燃料が一次エネルギー構成の中心的な役割を維持する。しかし、そのシェアは2008年の81%から2035年には74%に減少する。

その他再生可能

バイオマス

水力

原子力

ガス

石油

石炭

WEO2009:レファレンスシナリオ

IEEJ:2010年11月掲載

Page 7: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

新政策シナリオにおける新政策シナリオにおける日本の一次エネルギー需要日本の一次エネルギー需要

日本の一次エネルギー需要は2008~2035年に年率0.2%で減少する。

エネルギー構成は大きく変化する。

0

100

200

300

400

500

600

1980 1990 2000 2010 2020 2030 2035

Mto

e その他再生可能

バイオマス

水力

原子力

ガス

石油

石炭

WEO2009:レファレンスシナリオ

IEEJ:2010年11月掲載

Page 8: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

- 600 - 300 0 300 600 900 1 200 1 500

他再生可能

水力

原子力

ガス

石油

石炭

Mtoe

OECD

中国

その他

新興国が全てのエネルギーの新興国が全てのエネルギーの需要増加を牽引する需要増加を牽引する

非OECDでは、全てのエネルギー源の需要が増加。一方、OECDでは石炭と石油の需要が減少する。

新政策シナリオにおける一次エネルギー需要の増分, 2008‐2035年

IEEJ:2010年11月掲載

Page 9: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

化石燃料に対する補助金は化石燃料に対する補助金は価格シグナルをゆがめている価格シグナルをゆがめている

2009年の化石燃料消費に対する補助金額は3,120億ドル(2008年は5,580億ドル)。補助金減少額の大部分は国際エネルギー価格の下落によるもの。

化石燃料消費に対する国別補助金額, 2009年

トルクメニスタン

電力(化石燃料による発電)

ガス

石油

石炭

2008年からの補助金減少額

イラン

サウジアラビア

ロシア

インド

中国

エジプト

ベネズエラ

インドネシア

UAE

ウズベキスタン

イラク

クウェート

パキスタン

アルゼンチン

ウクライナ

アルジェリア

マレーシア

タイ

バングラディシュ

メキシコ

南アフリカ

カタール

カザフスタン

リビア

0

10億

ドル

20

40

60

80

100

IEEJ:2010年11月掲載

Page 10: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

新興国で急増する交通需要により新興国で急増する交通需要により石油消費が増大する石油消費が増大する

中国や他の新興国での自動車の普及により、世界の自動車保有台数は急増を続ける。一方、OECDでの増加はわずか。

0

200

400

600

800

1 000

1 200

1 400

1 600

1980 1990 2000 2008 2020 2035

100万

台 中国

その他非OECD

アメリカ

その他OECD

新政策シナリオにおける乗用車保有台数

IEEJ:2010年11月掲載

Page 11: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

0

20

40

60

80

100

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

100万

b/d

原油:未開発油田

原油: 現在生産中の油田

原油計

石油生産における石油生産における原油の役割は縮小する原油の役割は縮小する

世界の石油生産は2035年に9,600万b/dに達する。NGLと非在来型石油が増加する一方で、(在来型)原油の生産は頭打ち。

新政策シナリオにおける世界の石油生産

非在来型石油

天然ガス液(NGL)

原油:未発見油田

IEEJ:2010年11月掲載

Page 12: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

石油生産量が増える一方で、石油生産量が増える一方で、生産国はより限られていく生産国はより限られていく

サウジアラビアとイラクの生産量が最も増加し、OPECの市場シェアは現在の41%から2035年には第一次石油危機(1973‐74年)前の水準に並ぶ52%に上昇する。

新政策シナリオにおける主要国の石油生産増分, 2009‐2035年

0 1 2 3 4 5 6

アルジェリア

リビア

ナイジェリア

カタール

イラン

クウェート

UAEベネズエラ

カナダ

カザフスタン

ブラジル

イラク

サウジアラビア

百万b/d

OPEC

非OPEC

IEEJ:2010年11月掲載

Page 13: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

ガス黄金時代の到来ガス黄金時代の到来??

ガスが世界のエネルギー需要で中心的役割を果たしていく

> 中国と中東に牽引され、ガス需要は44%増加

非在来型ガスが2035年までの世界の供給増分の35%を占め、アメ

リカ以外の生産国が台頭

ガスの供給過剰はまもなくピークに。しかし、その解消は極めてゆっくりと

供給過剰は、特にヨーロッパにおいて、原油価格連動からの離脱圧力をガス輸出国にかけ続ける

廉価なガス価格は発電におけるガス需要を増大させる一方で、再生可能エネルギーと石炭の需要を減退させる可能性がある

IEEJ:2010年11月掲載

Page 14: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

世界の発電において石炭が世界の発電において石炭が中心であり続ける中心であり続ける

OECDの石炭火力発電の減少は、中国など非OECDでの膨大な増加で相殺される。中国の石炭火力の新規追加容量は6億kWと、現在の日・米・EUの発電容量を超える。

0

2 000

4 000

6 000

8 000

10 000

12 000

1990 2000 2010 2020 2030 2035

10億

kWh

中国

インド

その他非OECD

OECD

新政策シナリオにおける地域別石炭火力発電量

IEEJ:2010年11月掲載

Page 15: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

再生可能エネルギーが主流の一角を再生可能エネルギーが主流の一角を占めるようになる占めるようになる……

発電部門に牽引され、再生可能エネルギー利用は2008年から2035年の間に3倍増。再生可能エネルギーによる発電量シェアは2008年の19%から2035年には32%に。

新政策シナリオにおける再生可能エネルギーの一次需要

0 100 200 300 400 500

EU

アメリカ

中国

ブラジル

インド

アフリカ

アジア太平洋OECD

Mtoe

2008

2035

IEEJ:2010年11月掲載

Page 16: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

再生可能エネルギーには十分な政府の再生可能エネルギーには十分な政府の支援が必要支援が必要

再生可能エネルギーへの政府支援は2009年の570億ドルから2035年には2,050億ドルに達

し、重要なドライバーであり続ける。化石燃料価格の上昇と投資コストの低減も寄与する。

新政策シナリオにおける再生可能エネルギーへの世界の年間支援額10

億ドル

(200

9年価

格)

バイオ燃料

再生可能エネルギー

による発電

0

30

60

90

120

150

180

210

2007 2008 2009 2015 2020 2025 2030 2035

IEEJ:2010年11月掲載

Page 17: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

世界のエネルギーにおける世界のエネルギーにおける中国のさらなる役割拡大は必至中国のさらなる役割拡大は必至

中国のエネルギー・システムの発展は世界の石油、ガス、石炭、さらには気候変動抑制の見通しに大きな影響を及ぼす。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

再生可能エネルギー需要

ガス需要

GDP

エネルギー需要

発電容量

ガス純輸入

石油需要

CO2排出

石油純輸入

石炭需要2000-2008

2008-2035

新政策シナリオにおける世界の主要指標の純増分に対する中国のシェア

IEEJ:2010年11月掲載

Page 18: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

中国は低炭素技術市場の中国は低炭素技術市場のリーダーとなるリーダーとなる

乗用車販売台数

追加発電容量

2035年までの世界の累積追加量に対する中国のシェア

中国市場の巨大さゆえに、中国の低炭素エネルギー技術の普及促進は、コスト低減において重要な役割を果たし、全ての国々の利益となる。

85百万kW

335百万kW105百万kW

0%

10%

20%

30%

太陽光 風力 原子力 電気&プラグインハイブリッド

8.5百万台

IEEJ:2010年11月掲載

Page 19: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

カスピ海諸国の資源がカスピ海諸国の資源が世界のエネルギー安全保障を強化しうる世界のエネルギー安全保障を強化しうる

カスピ海諸国の石油生産量はカザフスタンにより2035年に520万b/dまで引き上げられる。ガス生産量はトルクメニスタン・アゼルバイジャンにより3,100億m3超まで増加する。

新政策シナリオにおけるカスピ海沿岸諸国の石油・ガス見通し

0

1

2

3

4

5

6

2000 2009 2020 2035

100万

b/d

石油純輸出 石油国内消費

0

50

100

150

200

250

300

350

2000 2009 2020 2035

10億

m3

ガス純輸出 ガス国内消費

IEEJ:2010年11月掲載

Page 20: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450450シナリオシナリオ::3.53.5C C からから 22C C への道筋への道筋

450シナリオは平均気温上昇を2Cにとどめるためのエネルギー

分野の道筋を示している

2020年まではコペンハーゲンで合意した公約をより精力的に実

施し、それ以降はさらに対策を強化すると仮定

コペンハーゲン合意の公約の失敗: > 不透明な公約が多数あり、2020年の削減量に関して39億トン相当

の不確かさがある

> 公約の多くが野心的でないため、 2 C の目標を達成するための2010~2030年の費用はWEO 2009より1兆ドル増加。

IEEJ:2010年11月掲載

Page 21: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450450シナリオシナリオ: : どのように達成しうるかどのように達成しうるか??

450シナリオでは、省エネルギーが2010~2035年で必要な削減量の53%をまかなう。同時に、再生可能エネルギー、CCS、原子力も重要。

450シナリオにおける世界の技術別エネルギー起源CO2排出削減(現行政策シナリオ比)

20

25

30

35

40

45

2008 2015 2020 2025 2030 2035

10億

t

省エネルギー 53%再生可能エネルギー 21%バイオ燃料 3%原子力 9%CCS 15%

累積削減量シェア2010-2035年

426億t

217億t450シナリオ

209億t

現行政策シナリオ

IEEJ:2010年11月掲載

Page 22: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450シナリオ: どのように達成しうるか?

新政策シナリオから450シナリオへの移行には、CCSなど割高な削減オプションの役割が増す。

450シナリオにおける世界の技術別エネルギー起源CO2排出削減(新政策シナリオ比)

20

25

30

35

40

45

2008 2015 2020 2025 2030 2035

10億

t

省エネルギー 50%再生可能エネルギー 18%バイオ燃料 4%原子力 9%CCS 20%

累積削減量シェア2010-2035年

426億t

354億t

217億t

現行政策シナリオ

450シナリオ

新政策シナリオ

137億t

71億t

IEEJ:2010年11月掲載

Page 23: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450450シナリオシナリオ: : 削減はどこで削減はどこで??

450シナリオでは、中国とアメリカが現行政策シナリオ比で必要とされる2010~2035年の累積削減量の48%を削減。

450シナリオにおける世界の国別エネルギー起源CO2排出削減(現行政策シナリオ比)

20

25

30

35

40

45

2008 2015 2020 2025 2030 2035

10億

t

中国 33%アメリカ 15%EU 9%インド 8%中東 5%ロシア 3%

その他 24%

累積削減量シェア2010-2035年

日本 3%

426億t

217億t

現行政策シナリオ

450シナリオ

209億t

IEEJ:2010年11月掲載

Page 24: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

22 CCの目標達成には世界のエネルギーの目標達成には世界のエネルギーのの急速な脱炭素化が必要急速な脱炭素化が必要

二酸化炭素原単位は1990~2008年と比べ、 2008~2020年には2倍の速さで、2020~2035年には4倍速での改善が必要。

450シナリオにおけるCO2原単位の年平均改善率

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

1990-2008 2008-2020 2020-2035

4倍速の改善が必要

IEEJ:2010年11月掲載

Page 25: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

発電における根本的な変革が必要発電における根本的な変革が必要

450シナリオにおいて、低炭素発電は2035年に4倍に増加し、

世界の発電量の4分の3以上のシェアを占める。

世界の方式別、シナリオ別発電シェア

450シナリオにおける低炭素発電の追加分

新政策シナリオにおける低炭素発電

450シナリオにおける

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2010 2015 2020 2025 2030 2035

化石燃料発電

IEEJ:2010年11月掲載

Page 26: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

…… さらに運輸でもさらに運輸でも

2035年には乗用車・小型トラック新車販売の39%がプラグイン・ハイブリッド車と電気自動車と

なる。電力部門の劇的な脱炭素化に裏打ちされ、排出削減に大きく貢献する。

450シナリオにおけるプラグイン・ハイブリッド車、電気自動車販売台数と

発電におけるCO2原単位(右軸)

電気自動車

プラグイン・ハイブリッド車

発電部門におけるCO2原単位(世界)

0

100

200

300

400

500

600

700

g/kW

h

0

10

20

30

40

50

60

70

2010 2015 2020 2025 2030 2035

100万

IEEJ:2010年11月掲載

Page 27: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

ピークオイルは朗報か悲報かピークオイルは朗報か悲報か??

2020年を前に石油需要は8,800万b/dでピークに達し、2035年に8,100万b/dに減少する。OECDでの需要の急減が、非OECDの持続的な需要増を相殺する。

450シナリオにおける石油需要

450シナリオでの世界需要

地域間(バンカー)

その他非OECD

インド

中国

OECD

右軸(2008年比):

2009 2015 2020 2025 2030 2035

100万

b/d

68

72

76

80

84

88

92

96

100

100万

b/d

-16

-12

-8

-4

0

4

8

12

16 新政策シナリオでの世界需要

需要ピーク

IEEJ:2010年11月掲載

Page 28: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

気候変動とへの取り組みは費用だけで気候変動とへの取り組みは費用だけでなく、経済的利益ももたらすなく、経済的利益ももたらす

450シナリオでの5大石油輸入国の2035年の石油輸入額は、新政策シナリオより約5,600億ドル、3分の1少ない。

主要国における石油輸入額の対GDP比

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

7%

8%

EU アメリカ 日本 中国 インド

1980

2008

2009

2035: 新政策シナリオ

2035: 450シナリオ

IEEJ:2010年11月掲載

Page 29: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450シナリオにおける日本

IEEJ:2010年11月掲載

Page 30: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450450シナリオにおける日本シナリオにおける日本

450シナリオでは、省エネルギーが2010~2035年の必要削減量の44%をまかなう。

450シナリオにおける日本のエネルギー起源CO2排出削減(現行政策シナリオ比)

2008 2015 2020 2025 2030 2035

10億

t

省エネルギー 44%再生可能エネルギー 21%バイオ燃料 1%原子力 20%CCS 14%

累積削減量シェア2010-2035年

9.6億t

4.4億t450シナリオ

5.1億t

現行政策シナリオ

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

1.2

IEEJ:2010年11月掲載

Page 31: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450450シナリオにおける日本シナリオにおける日本

450シナリオにおける日本のエネルギー起源CO2排出削減(新政策シナリオ比)

2008 2015 2020 2025 2030 2035

10億

t

省エネルギー 41%再生可能エネルギー 23%バイオ燃料 1%原子力 14%CCS 20%

累積削減量シェア2010-2035年

4.4億t450シナリオ

3.2億t

現行政策シナリオ

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

1.2

新政策シナリオ

7.6億t

9.6億t

1.9億t

新政策シナリオから450シナリオへの移行においては、廉価なオプションによる削減余地が限られているため、CCSなどに一層依存することになる。

IEEJ:2010年11月掲載

Page 32: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

450シナリオにおける日本の発電部門

450シナリオにおいて、低炭素発電のシェアは、現在の42%から

2035年には88%を占めるようになる。

日本の方式別、シナリオ別発電シェア

450シナリオにおける低炭素発電の追加分

新政策シナリオにおける低炭素発電

450シナリオにおける化石燃料発電

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2010 2015 2020 2025 2030 2035

IEEJ:2010年11月掲載

Page 33: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

2035年には乗用車・小型トラック新車販売の52%がプラグイン・ハイブリッド車と電気自動車と

なる。電力部門の劇的な脱炭素化に裏打ちされ、排出削減に大きく貢献する。

450シナリオにおけるプラグイン・ハイブリッド車、電気自動車販売台数と

発電におけるCO2原単位(右軸)

電気自動車

プラグイン・ハイブリッド車

発電部門におけるCO2原単位(日本)

0

0.4

0.8

1.2

1.6

2.0

2.4

2.8

3.2

2010 2015 2020 2025 2030 2035

100万

0

50

100

150

200

250

300

350

400

g/kW

h

450450シナリオにおける日本の運輸部門シナリオにおける日本の運輸部門

IEEJ:2010年11月掲載

Page 34: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

まとめまとめ

最近の発表された政策は変化を起こすことができるが、持続可能なエネルギーの将来に必要なものには程遠い。

コペンハーゲンでの各国の公約が野心的でないため、 2Cの目標

達成のコストは増加し、達成できる可能性は低下。

> 2020年までに公約が完全に実施されない限り、目標の達成はとても無理である。

廉価な石油の時代は終わった。しかし適切な施策により、国際エネルギー価格を抑えることができる。

再生可能エネルギーは主流の一角を占めるようになるが、その競争力を高めるには長期的な支援が必要である。

化石燃料補助金を廃止して価格を適正化することは、エネルギー需要を節減する最も効果的な手法である。

IEEJ:2010年11月掲載

Page 35: 世界エネルギー展望2010 - IEEJ · ©oecd/iea 2010 現在の政策が着実に実行されれば、 変化を起こすことができる 世界のエネルギー消費は36%増加するが、そのほぼ全ては中国をはじめとする非

© OECD/IEA 2010 

日本へのメッセージ日本へのメッセージ

新興国をはじめとする世界のCO2排出量が増大する中、日本国内

の排出削減ポテンシャルは限定的で割高。しかし、低炭素技術の開発・普及を通じた世界の排出削減に貢献することができる。

とりわけ石油の購入価格が上昇する中で、徹底した低炭素経済を構築することにより日本は強みを最大化できる。

エネルギー・システムの一層の効率化、非在来型石油・ガスの活用や供給元の多様化、ガス調達価格の値下げの取組みなども、安定的で持続可能な社会の実現へ向け有効である。

再生可能エネルギーの大規模導入に必要な地域間の系統連携の強化、原子力の稼働率向上 など、低炭素エネルギーの導入を促進する政策が必要。

IEEJ:2010年11月掲載

お問合せ:[email protected]