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宮城県結核予防計画 平成26年3月改定

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宮城県結核予防計画

平成26年3月改定

宮 城 県

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目 次

第1章 総論

1 計画改定にあたって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

3 計画の策定年度及び計画期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

4 計画の進捗状況の把握及び評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

第2章 本県における結核の現状

1 結核患者発生の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

(1)結核り患率

(2)結核有病率、死亡率の状況

(3)集団感染事例

(4)潜在性結核感染症患者の状況

2 結核患者発見の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

(1)患者背景

(2)発見方法

(3)患者発見の遅れ

(4)再治療の状況

3 結核医療の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

(1)結核病床の状況

(2)入院期間、治療期間

(3)治療状況

(4)保健所における菌検査、患者情報の把握状況

(5)保健所における DOTS の実施状況

4 定期健康診断、BCG接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

(1)市町村健康診断受診状況

(2)BCG 接種率

(3)その他の健診等

第3章 本県における結核対策の基本的方向性

1 取り組むべき課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

2 結核対策の目標及び基本的方向性 ・・・・・・・・・・・・・・・ 21

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第4章 具体的施策

1 結核患者の早期発見とまん延の防止 ・・・・・・・・・・・・・・ 23

(1)効果的な定期健康診断の実施

(2)接触者健康診断の徹底

(3)医療機関等における対応

(4)BCG接種率の向上

2 適切な結核医療の提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

(1)結核病床の確保及び結核医療を提供している医療機関の地域連携

(2)結核医療の基準の普及

(3)DOTS の推進

(4)その他結核に係る医療の提供のための体制

3 結核予防に関する研究の推進及び人材の養成 ・・・・・・・・・・ 28

(1)保健所、地方衛生研究所が連携した疫学的調査及び研究

(2)人材の養成

4 結核予防のための知識等の普及啓発及び人権への配慮 ・・・・・・ 29

(1)結核予防に関する正しい知識の普及

(2)人権への配慮

第5章 推進体制と評価

1 関係機関とその役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

(1)県及び保健所設置市等の役割

(2)市町村の役割

(3)医師及び医療機関(高齢者入所施設含む)等の役割

(4)県民の役割

2 指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

用語の解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

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1 計画改定にあたって

我が国の結核及び結核対策を取り巻く状況は、結核予防法制定(昭和 26 年)時の

高まん延状態から、その後の医療提供体制の整備、予防・医療に関する知見の蓄積に

より、中まん延状態になった。しかし、現在でも全国で毎年 2 万人以上の結核患者が

新たに発生しており、結核は依然として我が国最大の感染症となっている。また、患

者の年齢層は若年者層中心から高齢者及びハイリスク者中心に変わってきており、結

核の病態が多様化・複雑化してきている。

本県の結核予防計画は、結核予防法に基づき、平成 16 年に国が定めた「結核の予

防の総合的な推進を図るための基本的な指針」に即して、平成 17 年 7月に策定し、

結核対策の充実を図ってきたところである。

その後、平成 19 年に結核予防法が廃止され、結核は「感染症の予防及び感染症の

患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の二類感染症として位置づけられると

ともに、国から「結核に関する特定感染症予防指針(平成 19 年 4月 1日)(以下予

防指針)」が新たに示された。

本県における結核の発生状況は、全国のり患率 16.7(平成 24 年)に対して 9.9

と低く、全国でも 3 位の低率県となっている。しかし、新登録結核患者のうち 70 歳

以上の割合が 6 割を超えており、また本県における老年人口が増加していることなど

から、今後り患率の低下は鈍化するものと予想される。結核患者の高齢化に伴い、合

併症の増加や多様化する病態への対応が求められている現状から、各圏域の第二種感

染症指定医療機関や中核的な病院を含めた地域連携体制の強化及び患者の治療完遂を

目指した取り組みなど総合的な施策の推進が求められている。

今回、平成 23 年 5 月に国の予防指針が一部改正されたこと、また平成 17 年に策

定された本県の結核予防計画の目標年度が終了したことから、今後の結核対策の一層

の充実・強化を図るため、「宮城県結核予防計画」の一部改定を行うものである。

2 計画の位置付け

本計画は平成 17 年 7 月に策定された宮城県結核予防計画を変更するものであり、

既存の関連計画等と調和を保ち、かつ連携しながら結核対策を進めるものとする。

第1章 総論

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3 計画の策定年度及び計画期間

策定年度:平成 25年度

計画期間:平成 26年度から平成 30 年度

4 計画の進捗状況の把握及び評価

計画の進捗状況等を的確に把握するため指標(目標値)を設定し評価を行うととも

に、必要に応じて計画の見直しを行う。

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1 結核患者発生の状況

(1)結核り患率

結核り患率1)は、平成 20 年から 22 年まで横ばいの状態が続いていたが、平成 23

年には新登録結核患者数2)228 人、り患率 9.8と減少し、結核低まん延国の定義で

ある人口 10万人当たり 10 以下の数値に初めて達した。

喀痰塗抹陽性3)肺結核り患率は、全国値より低いが横ばい状態である。また、新登

録肺結核患者のうち喀痰塗抹陽性患者の割合は、半数近くを占める。

表1 新登録患者数及び結核り患率(人口 10万対)年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県

新登録患者数(人) 286 268 265 228 231

り患率 12.2 11.5 11.3 9.8 9.9

全国順位(低い順) (6 位) (6 位) (4 位) (2 位) (3 位)

全 国 新登録患者数(人) 24,760 24,170 23,261 22,681 21,283

り患率 19.4 19.0 18.2 17.7 16.7

図1 新登録結核り患率(人口 10万対)

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

表2 新登録肺結核患者数及び喀痰塗抹陽性肺結核患者数の年次推移

区 分 平成 20 年 平成 21 年 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年

新登録肺結核患者数(人) 229 229 222 188 180

再掲)喀痰塗抹陽性肺結核患者(人) 100 105 101 75 96

※新登録肺結核患者

に占める割合(%)

宮城県 43.7 45.9 45.5 39.9 53.3

全 国 50.6 51.2 49.2 49.4 50.1

※喀痰塗抹陽性肺結

核り患率

(人口 10 万対)

宮城県 4.3 4.5 4.3 3.2 4.1

全国順位(低い順) (1 位) (5 位) (6 位) (1 位) (5 位)

全 国 7.7 7.6 7.0 6.8 6.5

第2章 本県における結核の現状

19.4 19.0 18.2 17.7 16.7

12.2 11.5 11.3 9.8 9.9

0

5

10

15

20

25

H20 H21 H22 H23 H24

(人口10万対)

全国

宮城県

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図2 喀痰塗抹陽性肺結核り患率(人口 10万対)

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

保健所別の結核り患率を見ると、年による変動はあるが、県全体のり患率と比較して

登米、気仙沼保健所管内では高く、特に、震災後の平成 23 年以降は気仙沼保健所管内

のり患率が高くなっている。また、仙台市のり患率は県全体のり患率を上回っている状

況にある。

表3 保健所管内別り患率の状況

結核り患率(人口10万対)

平成20年 平成21年 平成22年 平成23年

平成24年

り患率

(新登録患者数)

うち、喀痰塗

抹陽性肺結

核 り 患 率

( 患 者 数 )

宮城県計 12.2 11.5 11.3 9.8 9.9(231) 4.1(96)

仙台市

宮城県(仙台市を除く)

13.3

11.4

13.8

9.6

12.0

10.8

11.2

8.6

10.5(120)

9.5(111)

4.5(48)

3.8(48)

保健所別

仙台市

青葉保健所

宮城野保健所

若林保健所

太白保健所

泉保健所

15.2

12.3

12.3

15.0

10.5

19.3

11.1

15.3

12.3

9.5

13.4

11.5

13.6

11.3

10.0

10.2

12.2

10.7

12.1

11.3

10.0(30)

11.6(22)

14.4(19)

11.7(26)

6.5(14)

4.7(14)

4.2( 8)

3.0( 4)

7.2(16)

2.8( 6)

宮城県(

仙台市を除く)

仙南保健所

塩釜保健所

大崎保健所

栗原保健所

登米保健所

石巻保健所

気仙沼保健所

9.1

9.3

15.0

10.4

23.3

10.2

9.7

8.1

9.5

6.1

11.9

17.7

10.3

9.8

12.0

5.9

10.9

25.4

15.5

15.0

5.5

6.6

8.0

5.2

9.5

13.1

9.0

19.0

9.4(17)

9.3(41)

8.6(18)

4.0( 3)

10.8( 9)

4.1(16)

19.1(16)

2.2( 4)

2.5(11)

4.3( 9)

1.3( 1)

4.8( 4)

5.1(10)

10.8( 9) (出典:公益財団法人結核予防会「結核管理図」・NESID)

7.7 7.6 7.0

6.8 6.5

4.3 4.5 4.3 3.2

4.1

0

2

4

6

8

H20 H21 H22 H23 H24

(人口10万対)

全国

宮城県

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各年代別り患率は、20歳代に 1 つの山があるが、全国と同様に年齢と共に高くなり、

60 歳代から上昇し、70 歳以上で急上昇している。60 歳代で県が高く、それ以外の年

代では仙台市が高くなっている。

図3 宮城県・仙台市の年代別新登録患者数・り患率

※り患率は H25.3.31現在住民基本台帳を基に算出 (出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2013」)

(2)結核有病率、死亡率の状況

有病率4)、死亡率5)ともにほぼ横ばい状態で推移していたが、平成 24 年の有病率

は 6.6 と前年を 1.7 ポイント下回った。死亡率は 1.3 と前年を上回ったが、どちらも

全国値より低い値で推移している。

表4 結核有病率年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県 10.7 9.5 9.7 8.3 6.6

全国順位(高い順) (35位) (41位) (40位) (38位) (45位)

全国値 15.7 14.8 14.0 13.5 11.7

図4 結核有病率年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

15.7 14.8 14.0 13.5

11.7

10.7 9.5 9.7 8.3 6.6

0

5

10

15

20

H20 H21 H22 H23 H24

(人口10万対)

全国

宮城県

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

0

20

40

60

80

100

0~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上

(人口10万対) (人)

宮城県 新登録患者数 仙台市 新登録患者数 宮城県 り患率 仙台市 り患率 全国 り患率

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表5 全結核死亡率年次推移

平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県 1.3 1.2 1.3 0.9 1.3

全国順位(高い順) (33位) (38位) (31位) (46位) (36位)

全国値 1.8 1.7 1.7 1.7 1.7

図5 全結核死亡率年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

(3)集団感染事例

全国での集団感染6)事例は毎年約 50 件程度報告されている。本県では平成 17 年

以降、6件(うち仙台市内 4 件)発生している。

表6 本県における集団感染事例

発 生 年 月 場 所 感染者数 内 訳

平成17年 7月 学校、職場、

医療機関 18名

1名(要治療)、16名(予防内服)

1名(経過観察)

平成19年 5月 家族、職場 8名 3名(確定例)、4名(LTBI)

1名(経過観察)

平成19年10月 家族、職場 20名 2名(確定例)、13名(LTBI)

5名(経過観察)

平成20年11月 職場 26名 4名(確定例)、19名(LTBI)

3名(経過観察)

平成23年 4月 職場 15名 1名(確定例)、14名(LTBI)

平成26年 3月※ 家族、学校 22名 22名(LTBI)

(平成25年8月厚生労働省通知「結核集団感染事例一覧について」)

LTBI:潜在性結核感染症の略。

確 定 例:要治療に同じ。

※平成 26年 3 月については,平成 26 年 3月 20 日現在の状況

1.8 1.7 1.7 1.7 1.7

1.3 1.2 1.3 0.9

1.3

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

H20 H21 H22 H23 H24

(人口10万対)

全国

宮城県

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(4)潜在性結核感染症患者の状況

潜在性結核感染症患者7)数は、年々増加の傾向にある。平成 24 年の潜在性結核

感染症患者の年齢構成を見ると、20~49 歳が 46.9%、50 歳以上が 37.4%の割

合となっている。接触者健診8)では平成 23 年度から QFT9)検査対象者の年齢上限

を撤廃し、ハイリスクグループ 10)においては高齢者層も対象に含め実施している。

また医療機関における職員の健康診断で、従来のツ反検査(二段階法)からIGRA

(インターフェロンγ遊離試験)11)へ切り替えて実施されるようになってきている。

表7 新登録潜在性結核感染症患者数の年次推移

平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県全体 96 48 65 128 147

県(仙台市除く) 42 26 24 66 88

仙台市 54 22 41 62 59

全国 4,832 4,119 4,930 10,046 8,771

図6 平成24年潜在性結核感染症患者の年齢構成

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」・「結核管理図」)

2 結核患者の発見の状況

(1)患者背景

新登録結核患者数は減少しているが、年々高齢者の占める割合が増加しており、平

成 24 年においては 70歳以上の割合が 61.0%となっている。また、29 歳以下の患

者の占める割合は横ばい状態であったが、平成 24 年に増加している。

平成 24 年の宮城県と仙台市における新登録結核患者の年齢構成割合をみると、県

では 60~69 歳、70 歳以上が、仙台市では 60~69 歳を除く年代で全国平均を上回

っている。

15.6

13.4

19.0

18.6

16.3

20.2

11.6

19.2

17.7

15.1

12.9

9.2

6.8

4.5

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

宮城県

全国

0~19歳

20~29歳

30~39歳

40~49歳

50~59歳

60~69歳

70歳以上

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図7 年齢階級別新登録結核患者構成比の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

表 8平成24年の宮城県と仙台市における新登録結核患者の年齢構成比(%)

年齢区分(歳) 宮城県(仙台市を除く) 仙台市 全 国

0~19

20~29

30~39

40~49

50~59

60~69

70以上

0.0

7.5

3.3

2.5

3.3

18.3

65.0

0.9

11.7

5.4

7.2

6.3

11.7

56.8

0.4

9.5

4.3

4.8

4.8

15.2

55.6 (出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2013」)

本県の結核患者の 6 割以上が 70 歳以上の高齢者であることから、合併症を有してい

る患者が多く、平成 24年に入院した肺結核患者のうち 73.3%が、喀痰塗抹陽性肺結核

患者では 75.2%が何らかの合併症を有している。また、入院した肺結核患者の合併症の

内訳は、呼吸器疾患(19.3%)が最も多く、糖尿病(14.9%)、高血圧(12.3%)、

悪性腫瘍(11.4%)、認知症(8.8%)の順となっている。

1.1

0.4

0.4

0.4

0.4

11.9

5.6

6.8

5.7

9.5

8.0

9.0

7.6

5.3

4.3

4.5

6.3

6.0

7.0

4.8

10.1

11.9

10.2

10.1

4.8

15.4

13.4

9.8

17.1

15.2

49.0

53.4

59.2

54.4

61.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

H20

H21

H22

H23

H24

0~19歳

20~29歳

30~39歳

40~49歳

50~59歳

60~69歳

70歳以上

あり

73.3%

なし

26.7%

図8 入院肺結核患者の

合併症の有無(n=116)

あり

75.2%

なし

24.8%

図9 喀痰塗抹陽性肺結核患者の

合併症の有無(n=101)

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(県 H24 結核患者事例調査結果より)

患者の職業別の状況では 70 歳以上の高齢者が多いため「無職」が最も多く、次に「そ

の他の職業」と続いている。多数の人と接する機会の多い「接客業」、「医療従事者」

及び「教員・保育士」からも毎年 10人前後発生届がある。

表 9 職業別新登録肺結核患者数(人) ※( )は喀痰塗抹陽性肺結核患者数を再掲

職 業 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

接 客 業 13( 2) 8( 3) 5( 2) 5( 3) 4( 1)

看護師・保健師 1( 0) 5( 1) 5( 2) 5( 0) 3( 0)

医 師 1( 0) 2( 1) 0( 0) 1( 0) 1( 0)

その他医療職 1( 0) 0( 0) 0( 0) 0( 0) 0( 0)

教員 ・保育 士 3( 2) 0( 0) 1( 1) 1( 0) 1( 0)

小 計 19( 4) 15( 5) 11( 5) 12( 3) 9( 1)

小 中 学 生 0( 0) 0( 0) 0( 0) 0( 0) 1( 0)

高 大 学 生 7( 1) 7( 2) 8( 3) 2( 1) 6( 0)

他常用勤労者 55(20) 32(14) 27( 3) 26( 7) 23( 7)

他臨時雇・日雇 3( 3) 9( 6) 11( 5) 6( 2) 2( 1)

他自営・自由業 7( 5) 10( 2) 12( 5) 7( 3) 6( 4)

家 事 従 事 者 4( 0) 9( 2) 2( 2) 6( 1) 4( 2)

乳 幼 児 0( 0) 0( 0) 0( 0) 0( 0) 0( 0)

無職 ・その他 127(66) 144(73) 151(78) 120(55) 126(79)

不 明 4( 1) 3( 1) 0( 0) 9( 3) 3( 2)

合 計 229(100) 229(105) 222(101) 188(75) 180(96) (出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

(2)発見方法

新登録結核患者の 8 割は医療機関の受診により発見されている。一方、定期健康診

断 12)で発見される割合は、全国値よりやや高い傾向にある。

22(19.3%)

14(12.3%)

17(14.9%)

13(11.4%)

10(8.8%)

6

5

6

4

4

13

31

呼吸器

高血圧

糖尿病

がん

認知症

神経

心疾患

脳血管

その他

なし

図10 入院肺結核患者の合併症内訳

(n=116、複数回答)

18(17.6%)

14(13.7%)

15(14.7%)

12(11.8%)

9(8.8%)

6

5

5

3

2

13

25

呼吸器

高血圧

糖尿病

がん

認知症

神経

心疾患

脳血管

その他

なし

図11 喀痰塗抹陽性肺結核患者の

合併症内訳(n=101、複数回答)

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- 10 -

表 10 新登録結核患者の発見方法別人数 ※単位:人,( )は割合(%)

発見方法 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県 全国 宮城県 全国 宮城県 全国

医療機関受診 211

(79.6) 18,998 (81.6)

181 (79.4)

18,608 (82.0)

189 (81.9)

17,537 (82.4)

健康診断

個別健康診断 5

(1.9) 507

(2.2) 8

(3.5) 470

(2.1) 4

(1.7) 409

(1.9)

定期健康診断 42

(15.8) 2,534 (10.9)

28 (12.3)

2,342 (10.3)

30 (13.0)

2,206 (10.4)

接触者健康診断 4

(1.5) 663

(2.9) 7

(3.1) 836

(3.7) 4

(1.7) 689

(3.2)

その他の集団検診 0

(0) 81

(0.3) 0

(0) 80

(0.4) 1

(0.4) 100

(0.5)

登録中の健康診断 1

(0.4) 112

(0.5) 3

(1.3) 95

(0.4) 1

(0.4) 109

(0.5)

その他 1

(0.4) 140

(0.6) 0

(0) 155

(0.7) 0

(0) 148

(0.7)

不明 1

(0.4) 226

(1.0) 1

(0.4) 95

(0.4) 2

(0.9) 85

(0.4) (出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2010~2013」)

(3)患者発見の遅れ

患者の受診の遅れを示す「発病~初診が 2 ヵ月以上の割合」は、平成 21・22 年

においては全国平均を上回って高い割合であったが、平成 23・24 年は全国値と同程

度となっている。また、診断の遅れを示す「初診~診断が 1ヵ月以上の割合」は全国

と比較してやや低い傾向で推移している。発見の遅れを示す「発病~診断が 3 ヵ月以

上の割合」は、平成 20 年以降全国とほぼ同率で推移していたが、平成 24 年は全国

値より下回った。

表11 患者の受診の遅れ「発病~初診が 2 ヵ月以上の割合」年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県 13.3 21.7 29.7 17.5 18.9

全国順位(高い順) (33位) (5 位) (1 位) (22位) (18位)

全国値 18.2 17.9 18.3 18.6 18.7

図 12 患者の受診の遅れ年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

18.2

17.9 18.3

18.6

18.7

13.3

21.7

29.7

17.5

18.9

10

15

20

25

30

35

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

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- 11 -

表 12 診断の遅れ「初診~診断が 1 ヵ月以上の割合」年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県 23.1 18.4 19.1 19.8 20.7

全国順位(高い順) (33位) (5 位) (1 位) (22位) (18位)

全国値 19.9 20.4 22.6 22.7 22.0

図 13 診断の遅れ年次推移

表 13 発見の遅れ「発病~登録まで 3 ヵ月以上の割合」年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県 18.2 16.9 19.7 20.3 13.0

全国順位(高い順) (19位) (22位) (15位) (15位) (36位)

全国値 18.1 18.2 19.6 19.4 19.6

図 14 発見の遅れ年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

(4)再治療 13)の状況

新登録肺結核患者で再治療の割合は全国より高く推移してきており、平成 23 年は

全国値より大きく上回り、全国 1 位となったが、平成 24 年は全国値を下回った。

18.1

18.2 19.6 19.4 19.6

18.2

16.9

19.7 20.3

13.0 10

15

20

25

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

19.9

20.4

22.6 22.7

22.0 23.1

18.4 19.1 19.8 20.7

10

15

20

25

30

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

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- 12 -

表 14 新登録肺結核中再治療割合の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 7.9 11.8 10.8 13.3 5.6

全国順位(高い順) (27位) (8 位) (9 位) (1 位) (31位)

全国値(%) 8.0 7.8 8.0 7.7 6.7

図 15 新登録肺結核中再治療割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

3 結核医療の状況

(1)結核病床の状況

結核病床数は、結核医療の不採算性の問題や結核医療を担う医師不足などから、病

床の廃止・休止により減少し、平成 25年4月現在稼働しているのは1医療機関 50

床である。また、合併症を有する患者を治療するために、結核患者収容モデル病床14)

を 7 医療機関において 9 床確保している。

表 15 県内結核病床を有する医療機関の状況(毎年4月末現在。結核患者収容モデル病床を除く。)

項 目 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年※ 平成24年※

医療機関数 5 5 5 4 3 3

許可病床数 140 124 124 94 62 62

※平成 23年~ 2病院 12床は休止中 (医療整備課「第 6次宮城県地域医療計画」)

表 16 県内結核患者収容モデル病床の状況(平成 25年 8月現在)

項 目 平成13年 平成14年 平成17年 平成18年 平成25年

医療機関数 1 4 5 6 7

病床数 1 4 6 7 9

7.9

11.8 10.8

13.3

5.6

8.0 7.8 8.0 7.7

6.7

2

4

6

8

10

12

14

16

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

宮城県

全国値

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- 13 -

(2)入院期間、治療期間

本県における結核治療は、入院期間・治療期間ともに長期にわたる傾向にあったが、

治療期間については平成 21 年から短縮され、全国値とほぼ同じ状況となってきてい

る。

表 17 前年登録全結核治療完遂治療継続者治療期間中央値の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(日) 309 274 280 272 265

全国順位(長い順) (1 位) (21位) (7 位) (28位) (38位)

全国値(日) 273 272 270 272 273

図 16 前年登録全結核治療完遂治療継続者治療期間中央値の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

また、入院期間は平成 24 年に 57 日となり全国値を下回った。年末活動性全結核

患者15)のうち、2 年以上治療している者の割合も年々低下していたが平成 24 年に上

昇しており、全国値より大きく上回った状況が続いている。

表 18 前年登録肺結核退院者入院期間中央値の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(日) 99 86 94 86 57

全国順位(長い順) (1 位) (6 位) (3 位) (4 位) (34位)

全国値(日) 65 67 68 65 66

図 17 前年登録肺結核退院者入院期間中央値の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

273 272

270

272 273

309

274 280 272 265

240

260

280

300

320

H20 H21 H22 H23 H24

(日)

全国値

宮城県

65 67 68 65

66

99 86 94 86

56

20

40

60

80

100

120

H20 H21 H22 H23 H24

(日)

全国値

宮城県

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- 14 -

表 19 年末活動性全結核中2年以上治療割合の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 7.2 7.2 4.4 4.1 7.1

全国順位(高い順) (1 位) (1 位) (3 位) (1 位) (1 位)

全国値(%) 2.4 2.3 2.0 1.7 1.6

図 18 年末活動性全結核中2年以上治療割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

(3)治療状況

喀痰塗抹陽性肺結核初回治療患者の治療成績を全国と比較してみると、治療成功割

合は低い傾向にあるが、全国値との差が縮小してきている。治療失敗・脱落中断率は

その年によってばらつきが見られる。

表 20 治療成績の年次推移(喀痰塗抹陽性肺結核初回治療コホート治療成功割合)

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 34.6 36.8 41.9 41.9 43.9

全国順位(高い順) (41位) (44位) (44位) (42位) (35位)

全国値(%) 45.6 47.7 51.7 52.0 50.6

図 19 喀痰塗抹陽性肺結核初回治療コホート治療成功割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

2.4 2.3 2.0 1.7 1.6

7.2 7.2 4.4 4.1

7.1

0

2

4

6

8

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

45.6 47.7 51.7 52.0 50.6

34.6 36.8

41.9 41.9 43.9

20

30

40

50

60

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

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表 21 治療成績の年次推移

(前年登録喀痰塗抹陽性肺結核初回治療コホート治療失敗・脱落中断割合)

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 0.9 8.1 4.3 4.7 10.7

全国順位(高い順) (47位) (10位) (26位) (15位) (3 位)

全国値(%) 6.0 4.9 4.6 3.6 4.0

図 20 前年登録喀痰塗抹陽性肺結核初回治療コホート治療失敗・脱落中断割合

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

治療成功:6か月から9か月間の治療が終了し菌陰性が確認されている者(治癒)及び6か月から9か月間の治療が終了し、菌

陰性化しているが、最終の菌検査が確認されていない者(治療完了)

治療失敗:6か月から9か月末まで治療を受けたが、4か月以降の最後の菌検査所見が培養陽性の者

脱落中断:6か月から9か月間の治療を全うしなかった者

初回治療患者の標準治療は、菌検査結果によらず抗結核薬 3~4 剤を併用し、6 か

月から9か月の短期化学療法となっているが、80 歳未満の患者で PZAを含む4剤治

療の割合については全国値を下回っている。

表 22 80 歳未満中 PZAを含む4剤治療割合の年次推移治療成績の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 77.9 75.3 79.1 72.2 71.2

全国順位(高い順) (16位) (29位) (21位) (36位) (40位)

全国値(%) 74.3 77.0 79.0 78.7 79.8

6.0

4.9

4.6

3.6 4.0 0.9

8.1

4.3

4.7

10.6

0

2

4

6

8

10

12

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

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図 21 80歳未満 PZAを含む 4剤治療割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

※イソニコチン酸ヒドラジド(INH)、リファンピシン(RFP)に、エタンブトール(EB)またはストレプトマイシン(SM)、ピラジ

ナミド(PZA)の4剤で2ヵ月治療した後、INH、RFP の2剤で4ヵ月、計6ヵ月の治療を行うこと。肝障害があるなど、

PZA が使用できない場合は、PZAを除いた3剤での治療が標準治療となる。

(4)保健所における菌検査、患者情報の把握状況

平成 22 年以降、新登録肺結核患者の培養検査結果を把握している割合と培養検査

陽性後の薬剤感受性検査結果を把握している割合は全国値よりも低く、全国でも低い

順位にあり、菌検査等の把握が十分とは言えない。また、年末総登録患者のうち病状

不明割合は平成 22 年まで全国値を下回っていたが、平成 23 年から全国値より高く

なっており、平成 24 年は 31.8%と増加した。

表 23 新登録肺結核中培養検査結果把握割合の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 79.5 91.3 79.3 63.8 61.7

全国順位(高い順) (12位) (6 位) (26位) (40位) (42位)

全国値(%) 62.3 74.8 80.0 79.4 85.6

図 22 新登録肺結核中培養検査結果把握割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

62.3 74.8 80.0

79.4 85.6

79.5

91.3

79.3

63.8 61.7

40

60

80

100

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

74.3

77.0

79.0

78.7 79.8 77.9

75.3

79.1

72.2 71.2

65

70

75

80

85

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

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表 24 新登録肺結核中培養陽性薬剤感受性検査結果把握割合の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 35.3 65.1 59.4 43.2 51.7

全国順位(高い順) (20位) (14位) (32位) (40位) (36位)

全国値(%) 45.7 63.5 72.9 73.7 74.1

図 23 新登録肺結核中培養陽性薬剤感受性検査結果把握割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

表 25 年末総登録中病状不明割合の年次推移

区 分 平成 20年 平成 21年 平成 22年 平成 23年 平成 24年

宮城県(%) 7.2 5.2 7.1 16.8 31.8

全国順位(高い順) (39位) (42位) (33位) (12位) (13位)

全国値(%) 19.0 18.3 15.1 13.3 26.0

図 24 年末総登録中病状不明割合の年次推移

(出典:公益財団法人結核予防会「結核の統計 2009~2013」)

(5)保健所におけるDOTS16)の実施状況

平成 19 年度から喀痰塗抹陽性肺結核患者を対象として、保健所においてDOTS

推進の取り組みを強化してきている。

平成 23 年の国の指針改正において潜在性結核感染症患者を含む全登録者がDOT

45.7

63.5 72.9 73.7 74.1

35.3

65.1 59.4

43.2

51.7

20

40

60

80

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

19.0 18.3 15.1

13.3

26.0

7.2 5.2 7.1

16.8

31.8

0

10

20

30

40

H20 H21 H22 H23 H24

(%)

全国値

宮城県

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S対象者となったことから、本県においても原則として潜在性結核感染症患者を含めD

OTSを実施しているが、平成 24 年現在、全患者の実施にまでは至っていない。

現在、県立循環器・呼吸器病センターと仙台市も含めた各保健所で、月 1 回の地域

連携カンファレンスの開催及び連携様式集・服薬手帳の作成などを行い、地域連携によ

る服薬確認を軸とした患者支援に努めている。

表 26 平成 24年 DOTS実施率(%)

区分 県全体 宮城県 仙台市

結 核 86.7 91.3 82.1

潜在性結核感染症患者 70.0 96.6 43.3

(「厚生労働省結核に関する特定感染症予防指針の進捗状況等調査」)

4 定期健康診断、BCG 接種

(1) 市町村健康診断受診状況

市町村における 65 歳以上を対象とした定期健康診断の受診率は少しずつ減少して

きており、結核患者発見率も同様に減少してきている。

表 27 定期健康診断実施状況

項目 平成 20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成 24年

健診対象者数 A(人) 430,100 442,303 422,498 440,287 461,880

健診受診者数 B(人) 183,807 179,022 159,983 165,067 170,767

健診受診率 B/A(%) 42.7 40.5 37.9 37.5 37.0

結核患者発見者数C(人) 13 18 7 6 4

発見率C/B(%) 0.007 0.010 0.004 0.003 0.002

(結核健康診断・予防接種月報)

※感染症法第 53 条の 2 に基づき市町村長が65歳以上の住民を対象に行う健診

(2) BCG 接種率

BCG接種率については、高い接種率を維持していたが、震災の影響もあってか平

成 23 年は一時的にやや低下している。

表 28 BCG接種率(%)

月齢 平成 20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成 24年

生後6カ月 92.8 96.2 96.3 93.1 94.2

1歳 94.0 96.8 96.7 94.7 96.0

(結核健康診断・予防接種月報)

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- 19 -

(3) その他の健診等

仙台市ではハイリスクグループとされる日本語学校就学生やホームレスを対象とし

た健康診断を行っており、平成20~22年度は日本語学校就学生から、平成 24 年

度は日本語学校就学生及びホームレスから患者が発見されている。

表 29 仙台市の健康診断による患者発見の状況

健診の種類 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年

日本語学校就学生健診 3/380 5/702 3/501 0/211 2/284

ホームレス健診 0/124 0/147 0/169 0/ 96 1/155

計 3/504 5/849 3/670 0/307 3/439

※ 「患者数/受診者数(人)」 (仙台市実績)

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1 取り組むべき課題

本県の結核り患率は、9.9(平成24年)と全国でも3番目に低いが、本県の老年人口が今後

も増加していく見込みであることや結核患者の6割が70歳以上の高齢者であること等から、結

核り患率は大きく減少せず、結核患者の高齢者の占める割合が今後も増加することが見込まれ

る。

一方、20歳代のり患率が30歳から50歳の各年代よりも高いこと、また、29歳以下の結

核患者の割合が減少していないことを踏まえ、結核対策を進めていくことが重要である。

■市町村が行う65歳以上の高齢者を対象とした定期健康診断の受診率は他で受診している場合

などもあり減少傾向にあるが、多数の人と接する機会が多いデインジャーグループ17)や20歳

代での結核患者の発生があることから、定期健康診断の受診及び有症状時の早期受診などの適

切な行動が取れるよう、結核に関する正しい知識の普及が求められる。また、仙台市が実施し

ているホームレス等の健康診断からも結核患者が発見されていることから、健康診断の充実を

図ることが必要である。

■保健所において実施している接触者健診は、結核のまん延を防止するため積極的疫学調査18)

の適切な実施に加え、必要に応じて分子疫学的調査19)手法も活用し効果的に行うことが重要で

ある。

■結核患者の多くは高齢者でかつ医療機関を受診して診断されていることから、高齢者などが通

院している医療機関等(高齢者入所施設含む)における有症状時の早期診断、院内(施設内)

感染防止対策の徹底が重要であり、研修会等による周知が必要である。

■高齢者結核患者の増加に伴い、重篤な合併症を有する結核患者が更に増加することが予想され

ることから、入院患者を受け入れている県立循環器・呼吸器病センターと地域の基幹的な病院

による地域医療連携体制の構築や、合併症を有する結核患者に対応できる結核患者収容モデル

病床の確保などを併せて行っていく必要がある。

第3章 本県における結核対策の基本的方向性

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■新登録結核患者のうち再治療の割合が全国の中でも本県が高いこと、及び新登録肺結核患者の

約半数が感染性の高い喀痰塗抹陽性患者であることを踏まえ、結核のまん延防止を図るために

は、結核初回治療患者(潜在性結核感染症患者含む。)の治療完遂が重要であり、そのための

支援が必要である。また、入院期間の短縮による退院後の服薬支援や、保健所を中心に地域の

医療機関及びその他の関係者等とが連携した地域 DOTS の強化が求められる。しかし、地域

DOTSの実施状況には、現在ばらつきがあることから、今後は関係機関との連携を強化する等

積極的に取り組む必要がある。

■地域における結核対策の評価を行う上では「新登録肺結核患者培養検査結果」や「新登録肺結

核中培養陽性薬剤感受性検査結果」等の情報の把握等及び患者発生サーベイランスへの情報入

力が基本となることから、これらの情報の把握等について、今後徹底するとともに、コホート

分析20)をもとに地域の結核対策の評価を行う必要がある。

■総合的な結核対策を推進していくためには、医療者をはじめとした結核対策の従事者の養成が

重要であることから、公益財団法人結核予防会結核研究所(以下「結核研究所」という)主催

の研修等への派遣及び本県の結核の現状や課題を踏まえた研修会の開催などによる人材の養成

を図る必要がある。

■結核を正しく理解し予防から健康診断、有症状時の早期受診ができるよう県民に対する普及啓

発を行い結核のまん延を防止していくことが重要である。

2 結核対策の目標及び基本的方向性

「1 取り組むべき課題」で整理した課題を踏まえ、結核対策を推進していくための目標、基

本的方向性を次のとおりとし、具体的施策毎に指標を定め取り組んでいく。

なお、目標及び指標の設定については国が示す目標値を基準としたが、ここ5年の推移を勘案

したことから現況値(平成24年)を下回った目標値になっている項目もある。

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☆結核対策の目標

☆基本的方向性と具体的施策

2018年(平成30年)までに

○結核り患率を8.6以下(人口10万対)にする

○肺結核患者のうち再治療を受けている者の割合を7%以下で維持していく

1 結核患者の早期発見及び

まん延の防止

(1) 効果的な定期健康診断の実施

(2) 接触者健康診断の徹底

(3) 医療機関等における対応

(4) BCG接種率の向上

(1) 結核病床の確保及び結核医療を提供してい

る医療機関の地域連携の推進

(2) 結核医療の基準の普及

(3) DOTSの推進

(4) その他結核に係る医療の提供のための体制

3 結核の予防に関する研究

の推進及び人材の養成

(1) 保健所、地方衛生研究所が連携した疫学的調

査及び研究

(2) 人材の養成(東北大学等との連携、研修等へ

の派遣)

4 結核予防のための知識等

の普及及び人権への配慮

(1) 結核に関する正しい知識の普及啓発

(2) 人権への配慮

2 適切な結核医療の提供

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第3章において設定した結核対策の基本的方向性に対応し、以下のとおり具体的施

策を推進する。

1 結核患者の早期発見とまん延の防止

(1) 効果的な定期健康診断の実施

○ 現状及び取組みの方向性

結核患者の多くが高齢者である一方、若年層のり患率が高いことや、仙台市で実施

しているホームレス及び留学生を対象とした健診から結核患者が発見されている現

状からも、早期発見のためには健診受診率向上のための働きかけやハイリスクグル

ープなどへの健診の実施とあわせ、正しい知識の普及・有症状時の早期受診の必要

性について啓発する必要がある。

また、デインジャーグループに対しても同様の対応が必要である。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

市町村における効果

的な健診の計画及び

健診受診率の向上

① 市町村は、高齢者やハイリスクグループ等への健診を計画し、保

健所は積極的に支援する。

② 市町村は、健診対象者に広報誌、インターネット等により、積極

的に健診を勧奨するほか、健康推進員等の地区組織の活用を図る

などして受診率向上に努める。

③ 市町村は、健診団体等の協力を得て、健診の評価を実施する。

事業所における健康

管理の実施

① 事業者は、従事者の健康管理を実施するとともに、有症状時の早

期受診を勧奨する。

② 事業者は、従事者に対する知識の普及を図る。

施設等における健康

管理の実施

① 施設管理者は、入所者及び職員の健康管理を実施する。また、精

神科病院、老人保健施設等の医学的管理下にある者についても必

要に応じ、健診を実施する。

② 県及び仙台市は、社会福祉施設等への健診費用の補助を通じて、健診

の促進を図る。

③ 県及び市町村は、施設等の管理者に対して、結核についての知識

の普及啓発を図る。

学校における健康管

理の実施

① 高等学校・高等専門学校・大学は、入学時に胸部エックス線撮影

を行い、精密検査対象者に対して必要な検査を実施する。

② 各学校は、精密検査の結果、要管理の生徒・学生に対しては、保

健所などと連携を図りながら管理指導を行う。

③ 高等学校・大学等は、生徒・学生に対して、結核の知識の普及、

有症状時の早期受診を勧奨する。

健診技術の確保 委託を受けた健診団体等は、健診技術の確保を図る(精度管理、要

精密検査実施者の管理)。

第4章 具体的施策

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(2)接触者健康診断の徹底 ○ 現状及び取組みの方向性

保健所は、結核患者が発生した場合、積極的疫学調査を実施し、家族やその他の

接触者を対象にした接触者健康診断を行うこととなっている。患者が発生した場合

の感染拡大の防止の観点から、積極的疫学調査を適切に実施し、効果的な接触者健

康診断を行うことが必要である。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

家族や接触者に対す

る健康診断の徹底

① 保健所は、接触者健康診断を実施するにあたっては、ガイドライ

ン「感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き」に基づき

十分な説明により協力を求め、人権に配慮した対応を行う。

② 保健所は、積極的疫学調査を適切に行い、健診の対象者の範囲を

決定するとともに、健診を受けやすい体制づくりに努め、家族や

接触者に対する健診を徹底する。

③ 保健所等は、感染の場が複数の都道府県にわたる場合は、所管す

る都道府県又は保健所に速やかに情報を提供し、連携を図りなが

ら積極的に疫学調査を実施する。

感染源究明のための

調査の実施

① 保健所は感染源を明らかにするために、積極的に疫学調査を実施

する。

② 保健所は必要に応じ、県保健環境センター又は仙台市衛生研究所

に結核菌の遺伝子解析(分子疫学的調査)を依頼し、疫学調査結

果と合わせた分析を行う。

(3)医療機関等における対応

○ 現状及び取組みの方向性

結核患者の 6 割が 70 歳以上の高齢者であり、何らかの基礎疾患、合併症を有す

る者が多いことから、結核以外の疾患で受診している高齢者やハイリスクグループ

(糖尿病やじん肺患者、人工透析、免疫抑制剤使用者など)と言われている患者か

らの発病に留意することが必要である。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

ハイリスクグループ

等に対する対応

① 医療機関は、早期発見の観点から、結核以外の疾患で受診してい

る高齢者やハイリスクグループの患者の結核感染の可能性が高

いこと等、研修等の機会を積極的に活用するなどして職員に周

知を行う。

② 高齢者施設は、利用者からの発病に留意するとともに研修等の

機会を積極的に活用するなどして職員の知識の向上を図る。

(4)BCG 接種率の向上

○ 現状及び取組みの方向性

乳児期のBCG接種は、結核の発病防止に重要な手段である。本県におけるBC

G接種率は概ね95%となっている。早期接種勧奨や接種機会を増やす等の対応に

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より、現状の接種を維持・向上する必要がある。

(平成25年4月1日予防接種法施行令一部改正により、対象年齢は1歳まで、

標準接種期間は生後5月から8月までに変更。)

○ 具体的施策

項 目 推進内容

BCG接種率の維持

・向上

① 市町村は、個別通知による勧奨の他、広報誌、インターネット等

により早期接種について啓発を図る。

② 市町村は、定期のBCG接種を行うに当たっては、地域の医師会

や近隣の市町村等と十分な連携の下、乳児健康診断との同時実施

、個別接種の推進、近隣の市町村の住民への接種場所の提供その

他対象者が接種を円滑に受けられるような環境の確保を行う。ま

た、集団接種については、法令で定める期間内に予防接種が受け

られるよう、体制を整備する。

コッホ現象21)への対

① 市町村は、保護者に対して、コッホ現象について周知を図るとと

もに、出現した場合には、その旨を市町村に報告の上、早期に医

療機関を受診するよう周知を図る。

② コッホ現象を診断した医師は、保護者の同意を得て市町村に報告

し、市町村は、保健所に必要な情報を提供する。

指標 現況値(H24) 目標値(H30)

定期健康診断の健診受診率(市町村における65歳以上の者) 37.0% 50%以上

初診から診断までの期間が1か月以上を要する者の割合 20.7% 17%以下

発病から診断までの期間が3か月以上を要する者の割合 13.0% 17%以下

BCG接種率(1歳まで) 96.0% 95%以上

※「発病から診断までの期間が 3 か月以上を要する者の割合」の目標値は、過去 5 年の推移を勘案して目標

値を設定したため,現況値(H24)よりも下回った値となっている。

2 適切な結核医療の提供

(1)結核病床の確保及び結核医療を提供している医療機関の地域連携

○ 現状及び取組みの方向性

結核病床を持つ医療機関が減少し、現在稼働している結核病床は県立循環器・呼

吸器病センターのみとなっているが総合病院ではないことから、重篤な合併症を有

する患者の受け入れや対応が困難な状況となっている。

結核患者は高齢者に多いことから、合併症等を有する患者も多く、菌が陰性化し

た後は、合併症治療を行うために患者の居住圏域の基幹病院等(第二種感染症指定

医療機関及び地域の中核的な結核指定医療機関)に転院することなどから、医療機

関相互の連携体制の強化が求められている。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

結核病床の確保

① 県は、市町村の協力を得て、結核病床を有する医療機関に対し、

患者受入れの継続を要請する。

指標(目標値)

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② 県立循環器・呼吸器病センターは、当県の中核的医療機関として

患者受入れ体制の充実を図る。

合併症を有する患者

のための病床の確保

① 県及び仙台市は、地域の基幹病院(第二種感染症指定医療機関及

び地域の中核的な結核指定医療機関)等に対して、結核患者収容

モデル事業を活用し合併症を有する結核患者を受け入れる病床

の確保を推進する。

② 県は、大学病院等の協力を得て重篤な合併症を有する患者の受入

れ病床等の確保を図る。

③ 県立精神医療センターは、重篤な精神疾患に感染性のある結核を

合併した場合、受け入れるモデル病床を確保する。

基幹病院等の連携強

県は、大学、行政、医療機関が参加している結核医療ネットワーク

会議を活用し、各圏域の基幹病院等と連携を図り、多様な病態像の患

者に適切な結核医療が提供できる体制を構築する。

(2)結核医療の基準の普及

○ 現状及び取組みの方向性

結核患者に適切な医療を提供することは、WHO(世界保健機関)が直接服薬確

認を基本とした包括的な治療戦略を提唱していることを踏まえ、結核のまん延を防

止するための最も重要な施策の一つであることから、国が定める「結核医療の基準

(平成 21 年 1 月 23日改正厚生労働省告示第 16 号)」のより一層の普及を図る

ことが必要である。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

結核医療の基準の普

① 県及び仙台市は、結核指定医療機関の医師等を対象に研修会を開

催し、「結核医療の基準」についての周知を図る。

② 保健所は、必要に応じて結核指定医療機関の指導を実施するとと

もに、「結核医療の基準」についての情報を提供する。

③ 保健所は、結核診査協議会の円滑な実施に努める。

(3)DOTS の推進 ○ 現状及び取組みの方向性

DOTSについては、喀痰塗抹陽性肺結核患者を対象に実施してきたが、平成 23

年 5 月に出された「結核に関する特定感染症予防指針」の改正に伴い、同年 10 月

の通知により、DOTSの対象を医療が必要な全ての結核患者とされ、患者中心の支

援方法により行うこととなった。また、コホート検討会 22)において治療成績の分析

をすることで服薬支援のみならず、地域の結核医療や結核対策全般の課題についても

検討するとされたことから、今後は全県的にこれらの取組の充実が必要となってく

る。

○ 具体的施策 項 目 推進内容

服薬支援を基本とし

た患者の療養支援体

制の強化

① 院内DOTSの推進 結核患者を入院させている病院は、地域の医療機関及び保健所等と連携して治療終了まで、患者に対する服薬支援の他、結核

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の知識や服薬の重要性等について十分に説明し理解を得る。 ② DOTSカンファレンス23)

・保健所は、入院中の患者については主治医、病棟看護師、外 来看護師及びソーシャルワーカー等とDOTSカンファレンス を開催し、主治医の方針に基づいた個別患者支援計画を作成 し、退院後の服薬支援に関する協議を行う。

・保健所は、患者の退院後、外来治療中の受療状況を確認しな がら地域において関わる関係者等と協議し、個別服薬支援計 画を作成し、服薬終了まで支援を行う。

③ 地域DOTSの推進 ・保健所は、患者の背景や地域の状況に応じて作成した個別服 薬支援計画に基づき、関係機関等と連携を図りながら治療終 了まで服薬支援を行う。

・保健所は、入院が不要な患者についても、届出後速やかに訪 問・面接を行い、患者や家族の不安軽減を図りながら、服薬 の動機付けを行い服薬支援を実施する。

コホート分析・検討に

よる患者支援の評価

① 保健所は、DOTS対象者全員の治療成績のコホート分析を行い、患者の治療に関する医療機関関係者及び地域支援者等の参加を得てコホート検討会を開催する。 コホート検討会では、患者個人の治療成績の評価の他、地域DOTS実施方法並びに患者支援の評価・見直しも行う。

② 保健所は、コホート分析ができるよう以下の情報について把握し、患者発生サーベイランスへの確実な入力を行う。 ・毎月の菌所見及び使用薬剤や治療状況、副作用の有無等の把握 ・菌(培養)陰性化及び薬剤感受性の確認

・DOTS実施状況(個別患者支援計画に沿った支援の評価) ・治療失敗、中断例については症例検討の実施 ・接触者健診の状況 ③ 保健所は、コホート分析による結果については、関連する医療機

関や結核診査協議会委員へ還元する。

(4)その他結核に係る医療の提供のための体制

○ 現状及び取組みの方向性

結核患者が、最初に診察を受ける医療機関は多くの場合一般の医療機関であるこ

とから、結核の早期診断につながるよう結核に関する情報を把握する。また、院内

における感染対策を講じ、結核のまん延防止対策を推進していく必要がある。

○ 具体的施策 項 目 推進内容

医療機関に対する結核

医療についての情報提

① 医療機関は、公表された結核に関する情報を積極的に把握すると

ともに、院内感染防止対策により結核のまん延防止を図る。

② 県及び仙台市は、結核の早期診断に資するため医療機関に必要な

情報提供を行うとともに、保健所においては、医療機関への啓発

を行う。

指標 現況値(H24) 目標値(H30)

新登録全結核80歳未満中PZAを含む4剤治療割合 71.2% 78%以上

指標(目標値)

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肺結核患者のうち再治療を受けている者の割合 5.6% 7%以下

潜在性結核感染症の治療を開始した者のうち治療を完了

した者の割合 80.4% 85%以上

全結核患者に対する DOTS 実施率 結核 86.7%

95%以上 LTBI 70.0%

喀痰塗抹陽性肺結核初回治療患者の治療成功率 43.9% 50%以上

喀痰塗抹陽性肺結核初回治療患者の治療失敗・脱落中断率 10.6% 5%以下

新肺結核中培養等検査結果把握割合 61.7% 85%以上

新肺結核中培養陽性薬剤感受性結果把握割合 51.7% 75%以上

年末総登録中病状不明割合 31.8% 10%以下

※「肺結核患者のうち再治療を受けている者の割合」の目標値は、過去 5 年の推移を勘案して目標値を設定

したため,現況値(H24)よりも下回った値となっている。

3 結核予防に関する研究の推進及び人材の養成

(1)保健所、地方衛生研究所が連携した疫学的調査及び研究

○ 現状及び取組みの方向性

結核患者発生サーベイランスによる患者情報の把握、地方衛生研究所と連携した結

核菌遺伝子検査により患者発生状況等の調査分析等を行うなど、科学的知見に基づ

いた結核対策の推進が一層求められている。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

結核対策に必要な調

査の実施、分析及び

評価

① 保健所は、地域における結核対策の中核的機関との位置付けか

ら、地方衛生研究所と連携し、結核対策に必要な疫学的な調査

及び研究をすすめ、地域の結核対策の質の向上に努めるととも

に、地域における総合的な結核の情報発信を行う。

(2)人材の養成(東北大学等との連携、研修等への派遣)

○ 現状及び取組みの方向性

結核業務を担っている保健所等の職員については、積極的に結核に関する結核研

究所主催の研修会、結核予防技術者地区別講習会等への派遣及び保健所職員による

業務検討などをとおして資質向上を図ることが必要である。また、結核医療従事者

については、結核医療ネットワーク会議との連携により研修等を開催し、資質向上

に努めていく。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

結核医療を担う医療

従事者の養成・確保

① 県は、東北大学をはじめとする関係機関との協力体制の確立を図

りながら、人材の養成・確保に努める。

② 県及び仙台市等は、結核医療地域ネットワーク会議と連携し、医

療従事者に対して、結核に関する研修等により最新の結核医療の

情報を提供する。

結核対策業務に従事

する職員の資質向上

① 県及び仙台市は、結核研究所における研修等へ職員を派遣すると

ともに、保健所担当職員による業務検討等により資質向上を図っ

ていく。

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4 結核予防のための知識等の普及及び人権への配慮

(1)結核に関する正しい知識の普及啓発

○ 現状及び取組みの方向性

結核患者数の減少に伴い、県民や医療関係者も含め、結核に対する認識が不足して

きており、このことは、対応の遅れにつながり感染の拡大を招く危険性がある。

県民が自ら感染予防に努めるとともに、有症状時には早期受診をするなど、県民に

対して一層、結核についての知識の普及啓発を図る必要がある。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

県民に対する情報の

公表

① 県、市町村及び関係団体は、広報誌やインターネットを活用し、

結核に関する必要な情報の公表を行う。

県民に対する知識の

普及啓発

① 県は、結核予防週間に合わせて、市町村及び関係団体と連携して

広報活動を行う。

② 保健所は、結核対策の中核的機関として、結核についての普及啓

発、相談等を行う他、出前講座などを活用し、結核に関する正し

い知識の普及に努める。

指標 現況値(H24) 目標値(H30)

発病から初診までの期間が2か月以上を要する者の割合 18.9% 15%以下

(2) 人権への配慮

○ 現状及び取組みの方向性

対策の推進に当たっては、県民の間に結核に対する偏見や無用の恐怖が生じることのな

いよう、結核に関する知識の普及啓発を行っているが、一層の努力が必要である。

また、就業制限や勧告入院等に係る行政手続をとる場合など、一層、人権に配慮し

た対応が求められている。

○ 具体的施策

項 目 推進内容

結核患者の人権への

配慮

① 県及び市町村は、法務局等、人権擁護担当関係機関と連携を図りながら、医療従事者も含めた県民に対し、平常時から結核に関する正しい知識の普及を行い、偏見や差別の排除に努める。

② 保健所は、結核のまん延防止のための措置を講ずるに当たっては人権に十分配慮し対応する。

③ 医師などの医療関係者は、患者等への十分な説明と同意に基づいた医療を提供する。

④ 県民は、結核についての正しい知識を持ち、偏見や差別をもって患者の人権を損なうことがないように配慮するものとする。

指標(目標値)

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1 関係機関とその役割

結核のまん延を防止するためには、県及び市町村、医療機関等が相互に連携を図る

とともに、県民をも含めた一人一人が以下の役割を認識し、結核の予防のための対策

に取り組むことが重要である。

(1) 県及び保健所等の役割

県は、市町村、医師会及び医療機関と相互に連携を図り、地域の実情に即した結核の

予防に関する施策を講ずるとともに、結核に関する正しい知識の普及、情報の収集及び

提供並びに人材の養成に努め、結核対策に必要な体制を確保する。

なお、大都市ならではの結核事情を有する仙台市は、保健所設置市として、独自

にホームレスと日本語学校に就学する外国人を対象とした健診や、医療機関への結

核患者収容モデル病床の整備に関する情報提供等結核予防対策を引き続き実施して

いく。

保健所は、結核対策の拠点として、市町村の求めに応じた技術支援、接触者健診

の実施、結核診査協議会の運営等による適切な医療の普及及び訪問等による患者の

治療等への支援を行う。また、医師会、市町村、学校及び関係団体等の関係機関と

連携を図り、結核に関する情報の提供に努めるとともに、情報の収集・分析を行い、

結核予防のための対策に取り組む。

県保健環境センター及び仙台市衛生研究所は、患者の少数化に伴い、感染源の追

及や多剤耐性菌患者の接触者調査等、分子疫学的手法からなる病原体サーベイラン

スの構築に努める必要があることから、保健所へ検査データを適切に還元する役割

を担う。

(2) 市町村の役割

市町村は、定期健康診断やBCGの予防接種を適切に実施するとともに、住民に

対し、広報誌や健康教育等により結核に関する情報の提供と正しい知識の普及及び

健診受診率の向上を図る。

また、県及び保健所とともに、結核患者が適切な医療を受けられるような体制の

整備に協力するものとする。

(3) 医師及び医療機関(高齢者入所施設含む)等の役割

医師など医療関係者は、感染症法に基づき医療提供者の立場で国及び県の施策に

協力するとともに、結核患者等が置かれている状況を認識し、良質かつ適切な医療

を提供するよう努めるものとする。

医療機関(高齢者入所施設含む)等は、結核の早期診断に努めるとともに、入院

第5章 推進体制と評価

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患者(入所者)に対し、結核に関する院内(施設内)感染防止対策を講ずるよう努

めるものとする。特に、高齢者や結核の合併率が高い疾患を有する患者等(後天性

免疫不全症候群、じん肺、糖尿病、人工透析、悪性腫瘍、免疫抑制剤使用下の患者

等)の管理に際しては、必要に応じて結核発症の有無を調べ、積極的な発病予防治

療の実施に努める。

また、結核病床を有する県立循環器・呼吸器病センターは、引き続き適正な結核

医療の提供に努め、中核的医療機関としての役割を担う。

(4) 県民の役割

県民は、結核に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うとともに、

特に有症状時には、早期に医療機関を受診し、結核と診断された場合には治療を完

遂するよう努めるものとする。また、結核の患者への偏見や差別により患者の人権

を損なわないようにしなければならない。

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2 指標

指 標

(目標値)

平成 22年

(目標値)

平成 24年(現況値) 平成 30年

(目標値)

※国目標値

(H27 年) 宮城県 全国

結核に関する保

健水準の指標

◎り患率

(人口10万対) 12 以下 9.9 16.7 8.6 以下 15 以下

結核患者に対す

る適正な医療の

提供のための施

新登録全結核80

歳未満中PZAを

含む4剤治療割合

75%以上 71.2% 79.8% 78%以上 -

◎肺結核患者のうち

再治療を受けている

者の割合

- 5.6% 6.7% 7%以下 7%以下

◎潜在性結核感染症

の治療を開始した者

のうち治療を完了し

た者の割合

- 80.4% - 85%以上 85%以上

DOTS 推進を図

るための施策

◎全結核患者に対

する DOTS 実施率 -

結核:86.7 - 95%以上 95%以上

LTBI:70.0

喀痰塗抹陽性肺結核

初回治療患者の治療

成功率(※)

95%以上 43.9% 50.6% 50%以上 -

◎喀痰塗抹陽性肺結

核初回治療患者の治

療失敗・脱落中断率

5%以下 10.6% 4.0% 5%以下 5%以下

★新肺結核中培養等

検査結果把握割合 - 61.7% 85.6% 85%以上 -

★新肺結核中培養陽

性薬剤感受性結果把

握割合

- 51.7% 74.1% 75%以上 -

★年末総登録中病状

不明割合 - 31.8% 26.0% 10%以下 -

結核患者を早期

に発見するため

の施策

定期健康診断の健診

受診率(市町村にお

ける65歳以上の

者)

50%以上 37.0% - 50%以上 -

初診から診断までの

期間が1か月以上を

要する者の割合

17%以下 20.7% 22.0% 17%以下 -

★発病から診断まで

の期間が3か月以上

を要する者の割合

- 13.0% 19.6% 17%以下 -

結核の予防のた

めの施策

発病から初診までの

期間が2か月以上を

要する者の割合

10%以下 18.9% 18.7% 15%以下 -

BCG接種率(1歳) 95%以上 96.0% - 95%以上 95%以上

◎新予防指針で国が示した指標 ★県で新たに追加した指標

※「喀痰塗抹陽性肺結核初回治療患者の治療成功率」は平成 19 年から対象者が前年の新登録喀痰塗抹陽性

肺結核初回治療者全数に変更されている。

※「肺結核患者のうち再治療を受けている者の割合」及び「発病から診断までの期間が 1 か月以上を要する

者の割合」の目標値は、過去 5 年の推移を勘案して目標値を設定したため、現況値(H24)よりも下回った

値となっている。

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○宮城県新登録患者数及びり患率の推移(平成元年~24年)

H 元 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12

新登録患者数(人) 733 695 625 627 645 652 606 557 599 538 562 551

り患率(%) 32.8 30.9 27.6 27.5 28.2 28.3 26.0 23.8 25.5 22.8 23.8 23.3

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

新登録患者数(人) 427 387 385 366 284 281 270 286 268 265 228 231

り患率(%) 18.0 16.3 16.2 15.4 12.0 11.9 11.5 12.2 11.5 11.3 9.8 9.9

(出典:公益財団法人結核予防会)

参考資料

733

231

32.8

9.9

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

(人口10万対) (人)

宮城県新登録患者数及びり患率の推移

新登録患者数 結核罹り患率

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○宮城県結核管理図 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

蔓延状況 全結核罹患率 11.93 11.5 12.22 11.47 11.29 9.80 9.93

喀痰塗抹陽性肺結核罹患率 4.76 5.24 4.27 4.50 4.30 3.22 4.13

結核死亡率 1.15 1.50 1.29 1.16 1.33 0.86 1.30

潜在性結核感染症 潜在性結核感染症治療対象者届出率 - 1.45 4.10 2.06 2.77 5.50 6.32

患者背景 新登録中外国出生者割合 - - 4.55 4.48 3.77 2.19 4.76

新登録中 65歳以上割合 - - 56.64 60.82 65.66 63.6 69.26

患者発見 発見の遅れ 発病~初診 2 ヵ月以上割合 12.38 13.51 13.33 21.74 29.73 17.46 18.87

初診~診断 1 ヵ月以上割合 16.81 21.43 23.13 18.35 19.12 19.83 20.69

発病~診断 3 ヵ月以上割合 12.38 13.51 18.18 16.90 19.74 20.31 12.96

接触者健診 新肺結核中接触者健診発見割合 - 4.24 5.24 3.06 1.35 3.72 2.22

新登録患者 1 名あたり接触者健診実施数(人) 4.4 3.33 4.04 17.08 11.38 4.33 13.00

診断 新登録中肺外結核割合 - - 19.93 14.55 16.23 17.54 22.08

新肺結核中再治療割合 8.81 10.17 7.86 11.79 10.81 13.3 5.56

新肺結核中菌陽性割合 78.41 81.78 82.53 81.22 85.14 77.66 85.00

治療 化療 新全結核 80歳未満中 PZA含む 4剤処方割合 57.00 55.86 77.94 75.29 79.14 72.22 71.22

入院期間 前年登録肺結核退院者入院期間中央値(日) - - 99.0 86.0 94.0 85.5 57.0

治療期間 前年全結核治療完遂継続者治療期間中央値(日) - - 308.5 274.0 280.0 272.0 264.5

年末活動性全結核中2年以上治療割合 12.46 10.04 7.20 7.24 4.41 4.12 7.14

治療成績 肺喀塗陽性初回コホート治療成功割合 78.57 30.39 34.55 36.78 41.94 41.86 43.94

肺喀塗陽性初回コホート死亡割合 14.29 19.61 27.27 22.99 17.2 18.6 21.21

肺喀塗陽性初回コホート失敗脱落割合 5.95 1.96 0.91 8.05 4.30 4.65 10.61

肺喀塗陽性初回コホート転出割合 - - 6.36 1.15 5.38 1.16 3.03

肺喀塗陽性初回コホート 12か月超治療割合 - - 17.27 19.54 18.28 17.44 9.09

肺喀塗陽性初回コホート判定不能割合 - - 13.64 11.49 12.9 16.28 12.12

情報管理 新肺有症状中発見遅れ期間把握割合 - - 47.24 41.52 50.33 48.85 41.22

新肺結核中培養等検査結果把握割合 - - 79.48 91.27 79.28 63.83 61.67

新肺培養陽性中薬剤感受性結果把握割合 - - 35.29 65.13 59.42 43.16 51.65

年末総登録中病状不明割合 10.6 8.51 7.20 5.24 7.14 16.82 31.78

その他 年末活動性全結核中生活保護割合 6.92 6.56 5.20 7.69 4.85 4.12 5.84

※「喀痰塗抹陽性肺結核初回治療患者の治療成功率」は,平成 19 年から対象者が前年の新登録喀痰塗抹陽性肺結核初回治療

者全数に変更されている。

※平成 20 年から算出方法が変更された項目については,平成 18,19年分は記載していない。

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○平成 24年市町村別結核定期健康診断実施状況

市町村名 対象者数 (A)

健診実施者数 (B)

健診受診率 B/A(%)

結核患者 発見数(人)

患者発見率 (%)

仙台市 202,005 45,335 22.4 2 0.004

石巻市 34,423 16,935 49.2 0 0

塩竈市 6,664 4,129 62.0 0 0

気仙沼市 13,819 5,886 42.6 0 0

白石市 10,245 3,510 34.3 1 0.028

名取市 11,383 4,664 41.0 0 0

角田市 8,517 3,411 40.0 0 0

多賀城市 9,904 3,801 38.4 0 0

岩沼市 9,449 3,412 36.1 0 0

登米市 15,617 13,888 88.9 0 0

栗原市 15,228 11,653 76.5 0 0

東松島市 9,814 3,287 33.5 0 0

大崎市 22,140 13,130 59.3 0 0

蔵王町 3,925 1.378 35.1 0 0

七ヶ宿町 677 514 75.9 0 0

大河原町 2,808 1,899 67.6 0 0

村田町 3,280 1,633 49.8 0 0

柴田町 8,945 3,616 40.4 0 0

川崎町 1,876 1,212 64.6 0 0

丸森町 5,186 1,941 37.4 0 0

亘理町 7,053 1,720 24.4 0 0

山元町 4,417 1,117 25.3 1 0.089

松島町 5,322 1,523 28.6 0 0

七ヶ浜町 4,754 1,535 32.3 0 0

利府町 6,195 2,206 35.6 0 0

大和町 5,153 1,940 37.6 0 0

大郷町 1,958 919 46.9 0 0

富谷町 6,608 3,368 51.0 0 0

大衡村 949 483 50.9 0 0

色麻町 1,983 1,010 50.9 0 0

加美町 3,840 2,903 75.6 0 0

涌谷町 3,457 1,910 55.3 0 0

美里町 7,204 3,012 41.8 0 0

女川町 2,674 1,272 47.6 0 0

南三陸町 4,408 615 14.0 0 0

計 461,880 170,767 37.0 4 0.002

(平成 24 年度結核健康診断・予防接種月報)

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○平成 24年市町村別定期BCG予防接種実施状況

市町村名 対象者数 接種総数(1 歳まで) 生後 6 か月未満接種者数

人数 割合(%) 人数 割合(%)

仙台市 8,705 8,487 97.5 8,302 95.4

石巻市 1,004 972 96.8 969 96.5

塩竈市 328 330 100.6 317 96.6

気仙沼市 349 311 89.1 311 89.1

白石市 232 209 90.1 209 90.1

名取市 669 627 93.7 615 91.9

角田市 197 197 100.0 197 100.0

多賀城市 638 607 95.1 604 94.7

岩沼市 441 395 89.6 393 89.1

登米市 601 565 94.0 546 90.8

栗原市 513 450 87.7 448 87.3

東松島市 335 291 86.9 291 86.9

大崎市 1,126 1,083 96.2 1,081 96.0

蔵王町 74 74 100.0 74 100.0

七ヶ宿町 3 2 66.7 2 66.7

大河原町 199 198 99.5 198 99.5

村田町 88 84 95.5 84 95.5

柴田町 288 279 96.9 279 96.9

川崎町 46 44 95.7 44 957

丸森町 78 74 94.9 72 92.3

亘理町 226 211 93.4 211 93.4

山元町 50 50 100.0 50 100.0

松島町 71 65 91.5 64 90.1

七ヶ浜町 95 94 98.9 93 97.9

利府町 336 295 87.8 226 67.3

大和町 267 273 102.2 273 102.2

大郷町 64 64 100.0 64 100.0

富谷町 451 451 100.0 448 99.3

大衡村 45 42 93.3 42 93.3

色麻町 58 52 89.7 52 89.7

加美町 138 138 100.0 138 100.0

涌谷町 102 98 96.1 98 96.1

美里町 148 140 94.6 140 94.6

女川町 35 33 94.3 32 91.4

南三陸町 65 57 87.7 57 87.7

計 18,065 17,342 96.0 17,024 94.2

(平成 24 年度結核健康診断・予防接種月報)

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1)結核り患率

1年間の新登録患者(再発を含む)数÷総人口(10万対)

2)新登録結核患者

1月1日~12月31日までの1年間に、新たに結核と診断され、保健所に登録された患者。

潜在性結核感染症患者は含めない。

3)喀痰塗抹陽性

喀痰塗抹検査(痰をガラス板に塗り付け染色し、痰の中の結核菌を検出する方法)で陽性の場合、

他者に感染させるおそれがあるため、入院治療が必要になる状態。

4)結核有病率

年末時における活動性結核患者(結核の治療を受けている人)数÷総人口(10万対)

5)結核死亡率

1年間に結核が死亡原因で死亡した人の数÷総人口(10万対)

6)集団感染(定義)

同一の感染源が2家族以上にまたがり、20人以上に感染させた場合をいう。ただし、発病者1

人は6人が感染を受けた者として感染者数を計算する。

7)潜在性結核感染症(LTBI)

結核菌に感染しているが臨床的に活動性の病気を起こしていない状態。「既感染」と同じ状態

ではあるが、この状態にある者のうち特に発病のリスクが大きい者は、将来発病させないため

の治療が必要となる。

8)接触者健康診断

結核患者が発生した場合、結核予防上特に必要があると認めるとき、保健所が患者の家族や接触

者に対して結核感染又は発病の有無を調べるために行う健康診断。

9)QFT検査

結核菌特異抗原により全血あるいは精製リンパ球を刺激後、産生されるインターフェロンγ

(IFN-γ)を測定し、結核の感染を診断する方法。

10)ハイリスクグループ(集団)

結核に感染した場合に発病のおそれが高い者。

11)IGRA(インターフェロンγ遊離試験)

結核菌特異抗原により全血あるいは精製リンパ球を刺激後、産生されるインターフェロン-γ

(IFN-γ)を測定し、結核感染を診断する方法。現在,QFT とT-SPOT の2種類ある。感

染時期の特定は困難。

12)定期健康診断

感染症法第53条の2に基づき市町村長が65歳以上の一般住民を対象に行う健康診断。

13)再治療

過去に1か月以上にわたる結核の化学療法歴があり、かつその治療終了後2か月以上経過して

治療を再度行う場合。(この中には「再発」のほか、「治療脱落後の悪化」なども含まれる)

用語の解説

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14)結核患者収容モデル病床

高度な合併症を有する結核患者又は入院を要する精神障害者である結核患者に対して、一般病

床又は精神病床において収容治療するためのモデル事業。

15)年末活動性全結核患者

年末総登録患者(年末現在時点で保健所に結核のために登録されている患者)のうち、活動性

結核患者。

16)DOTS(直接服薬確認療法)

Directory Observed Treatment,Short-courseの略称。

患者の服薬を支援者が直接確認し、治療の完遂,結核の二次感染の防止を図る。医療機関で行

う院内DOTS,外来DOTS,退院後に保健所が行う地域DOTS等がある。

17)デインジャーグループ

結核発病の危険は特に高くないが、もし発病した場合には周囲の多くの人々に感染させるおそ

れが高いグループをいい、学校の教職員、医療関係者等がこれに属する。

18)積極的疫学調査

初発患者の感染源の究明、接触者の把握等を目的とした調査。

感染症の発生を予防するため、または感染症の発生状況や動向及びその原因を明らかにするた

めに保健所職員等が患者やその家族、主治医等に必要な調査を行い、積極的に情報を収集する

こと。

19)分子疫学的調査

感染の広がりや菌が同一のものかを調べるために結核菌の遺伝子を分析する検査(RFLP 法、

VNTR法など)による調査。

20)コホート分析

一定期間(通常は1年間)に登録された患者の集団(コホート)を一定期間追跡して、治療成

績を分析する方法。

21)コッホ現象

結核に感染しているものにBCG接種を行った場合に、接種後 10 日以内に接種場所に発赤・

腫脹、化膿等を来たす一過性の局所反応をいう。

22)コホート検討会

保健所、医療機関、結核診査協議会委員が参加し、治療終了者の治療成績のほか、保健師の患者

支援の評価、DOTS事業全体の評価を行う。特に治療中断や失敗事例については、詳細に症例検

討を行い服薬支援体制の見直しを行うこと。

23)DOTSカンファレンス

個別患者支援計画の作成・評価・見直しの場。入院中はもちろん退院後も視野に入れ、患者一

人一人の個性、生活状況なども踏まえた上で、服薬支援方法について、結核病院等及び保健所が

連携して検討する。

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宮 城 県 結 核 予 防 計 画

平成17年7月発行

平成26年3月改定

編集・発行 宮城県保健福祉部疾病・感染症対策室

宮城県仙台市青葉区本町3-8-1

電話 022(211)2632