日本での起業について

ＪＥＴＲＯ対日ビジネス課アドバイザー

岡 建夫

June 24, 2009

日本での起業

＜留意点＞

１．日本市場の特徴

（１）価格と品質のバランスが大切。

・ユニクロ ヒートテック（１９００円）・ハイブリッド車 ホンダ インサイト（１８９万円）

トヨタ 新型プリウス（２０５万円）

（２）流通は問屋（専門商社）を通すケースが多い。

・必要な時に、必要な物を、必要な量だけ供給する。

（３）代金の回収は安全。

・信用第一。

２．検討事項

(1) Product・ 強みは何か

Something new, Something different

(2) Market Segmentation・顧客は誰か性別、年齢層、職業、等

(3) How to do business・流通はどうする直販、問屋（専門商社）経由、等

(4) Types of operation・拠点形態はどうする個人事業、法人等

日本で起業するには、２つの方法がある。

１．自分で出資して事業を興す。

・個人事業を開始する。・法人（合同会社、株式会社）を設立する。

２．外国会社に出資してもらい、日本拠点を設立する。

・支店、又は法人（合同会社、株式会社）

＜起業の形態＞

１．自分で出資する場合

１）個人事業 又は法人設立

(例） ・飲食店 ： 保健所で営業許可取得。・人材派遣・人材紹介業 ： 東京労働局で許可取得。・貿易業（輸出入） ： 輸入品目により許可取得。

(例）食料品（含むアルコール）医薬品、化粧品、中古品

・(外国会社の）代理店 ： 許可不要・オンライン・ショップ ： 許可不要。但し、関連法規多数。・語学学校 ： 許可不要

２）資金調達

①民間金融機関

三菱ＵＦＪ、三井住友、みずほ銀行、○○信用金庫、等

②政府系金融機関

●日本政策金融公庫：中小企業のニーズや国の政策に沿って様々な特別貸付が用意されており、事業計画内容に応じて、長期・低利で利用が可能。

③地方自治体

●東京都の制度融資（窓口：東京都産業労働局 金融部金融課）

経営者の人物、資金使途、返済能力等に応じて、都内の中小企業者が金融機関から融資を受けやすくするための制度。

●市区町村：拠点所在地の市区町村でも業種・事業規模等に応じて様々な支援制度がある。

（２） 外国会社が出資する場合

(例） Backus & Johnston (Food)Aguaytias (Energy & Water)Compania de Minas (Metal & mining)Buenaventure SA (Metal & mining)Alicorp S.A.A. (Food, Cosmetics, etc.)

・日本に支店、又は法人を設立目的： 日本で営業活動を展開する。

・就労ビザ永住者、配偶者、定住者等は不要。上記以外は、支店代表者：「企業内転勤」又は「投資経営」

法人代表者：「投資経営」

個人事業 法人

１）創業登記 不要 必要

２）登記費用 なし合同会社 １０万円株式会社 ２４万円

３）信用度 比較的低い（個人口座） 比較的高い（法人口座）

４）所得 事業所得と個人所得が同じ 事業所得と個人所得は分離

５）社会保険 （代表者）適用なし （代表者）適用あり

個人事業 ＶＳ 法人の比較

支店 合同会社 株式会社

登記 ○ ○ ○

資本金 － １円以上 １円以上

取締役 不要（支店代表者必要） １名以上（居住者） １名以上（居住者）

法人税の課税範囲 国内源泉所得 全世界所得 全世界所得

会計処理 本国との合算処理 日本法人の会計処理で完結 日本法人の会計処理で完結

本国への送金に際する課税

法人税徴収後の送金に関しては課税なし

配当金・利子・ロイヤルティに対する源泉徴収課税

配当金・利子・ロイヤルティに対する源泉徴収課税

訴訟 原則 本国法人に及ぶ 原則 本国法人に及ばない 原則 本国法人に及ばない

決算内容の公開 本社の決算内容を公開 公開不要 公開必要

登記費用 最低９万円 最低１０万円 最低２４万円

支店・合同会社・株式会社の比較

＜個人事業主が納める税金＞

国税・・・個人事業開廃業届出書、青色申告承認申請書を提出

所得税消費税（売上１０００万円以下は免除）

地方税・・・個人事業開始申告書を提出

個人事業税 （都道府県。事業所得２９０万円以下は免除）

住民税 （都道府県。市町村役場経由で一括して払う）

住民税 （市町村。都道府県の住民税と合計したものを市町村に支払う）

(例） 年間収入５００万円、必要経費１２０万円、各種控除６８万円（基礎控除３８万円、その他控除３０万円）、青色申告特別控除６５万円の場合。

所得税： １４９，５００円 （Ａ）個人事業税： １１，０００円 (事業主控除 一律２９０万円）（Ｂ）住民税： （１）均等割 市民税２，０００円＋県民税１，０００円＝３，０００円（Ｃ）

（２）所得割 市民税＝２２８，０００円＋県民税８２、０００円＝３１０，０００円（Ｄ）

税額合計（Ａ）＋（Ｂ）＋（Ｃ）＋（Ｄ）＝４７３，５００円

＜法人が納める税金＞

①上記の対象は資本金１億円以下の企業、適用期間は２０１１年３月３１日までに終了する事業年度。②法人住民税（均等割り）は、課税所得の有無に関わらず、最低７万円（年間）かかる。

＜法人代表者が納める税金＞

課税所得区分 ４００万円以下 ４００～８００万円 ８００万円以上

実効税率（国税＋地方税）

２４．８７％ ２６．４８％ ４０．８７％

課税所得（給与所得、一般所得控除後）

所得税 都道府県税 市町村税

１９５万円以下 ５％

４％ ６％

１９５万以上～３３０万円以下

１０％

３３０万以上～６９５万円以下

２０％

６９５万以上～９００万円以下

２３％

９００万以上～１８００万円以下

３３％

１８００万円以上 ４０％以上

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