6
36  

d n M B ¦t S T Z 6 g o r t q E 2 F u V l M n H M f b N · 41 8RkW-1 °ª o®®ª®µª®°°s] 5V6nt °f³J ³¨®®® p s³r° § °r Ct */° [065°³ [² IUUQLBJªSZPLBO¬KQLBHB

  • Upload
    vuphuc

  • View
    214

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

36

加賀水引

明治時代までは平面的だった水引結びや

折形。それを大正初期、立体的でふっく

ら華やかな鶴亀、松竹梅などに結ぶ方法

を考案したのが当時、石川県金沢市在住

だった津田左右吉。次第に全国に広まり、

加賀水引が金沢の伝統工芸として定着し

た。現在は、装身具や装飾品への応用も。

界 

加賀

﹇石川県・山代温泉﹈

星野リゾート

2017/07/14 19:59fg1709H_036041I1.indd 2017-07-14 19:20:52

37

江戸時代、加賀藩前田家の支藩だった大

聖寺藩領九谷村︵現在の石川県加賀市山

中温泉九谷町︶で良質の陶土が見つかり、

窯を興したのが始まりとされている。そ

の後、廃窯を経て復活を遂げ、現在では

世界的にも有名な磁器。繊細な絵柄や、

鮮やかで大胆な色絵などが特徴である。

九谷焼

彩りの宿

日本には、ふと帰りたくなる

場所があります。

そんな土地で旅人を

迎える宿には、世界に誇る

﹁もてなし﹂が息づいています。

豊かな自然やおいしいもの、

やさしい人たちの温かな笑顔││。

その傍らには、人々の間に伝わり、

ずっと作り続けられ、

使い続けられている美しくて

愛おしい手仕事の存在もあります。

加賀百万石の城下町・金沢にも近い

名湯・山代の宿は、工芸の継承と

革新を支えてきた歴史と心意気を、

しっかりと受け継いでいます。

fg1709H_036041I1.indd 37fg1709H_036041I1.indd 2017-07-14 19:20:52

38

伝統工芸の都、

加賀の粋と現代の居住性が

美しく調和した部屋

加賀

伝統工芸の間

友禅、水引、漆器、磁器など加賀の国が

誇る、数々の伝統工芸で構成された客室。

﹁星野リゾート 

界 

加賀﹂と各分野の若手

作家が協力して、全客室をこのような″ご

当地部屋〟に仕上げた。部屋ごとに多少

意匠が異なるのも滞在時の楽しみに。

2017/07/14 23:42fg1709H_036041I1a 2017-07-14 23:42:09

39

一つ一つ手描きで絵付けをしてい

るのは、九谷焼の山本長左さん。

修業時代の練習帳には、植物や鳥

などが繊細に描き込まれていた。

廣瀬由利子さんの工房「自遊花人」

にて。独学で水引の技術を習得し

た廣瀬さんは、海外経験から日本

の伝統工芸の価値を再認識したと

いう。P36も「界

加賀」の一部の

客室で見られる廣瀬さんの作品。

右の写真は、同じく客室用の水引

障子を制作しているところ。

「金沢をはじめ、加賀には日常にご

く自然に伝統工芸が存在します。

京都とも違う武家の文化をぜひ味

わってください」と、廣瀬さん。

弟の篤さんと兄弟で作陶してお

り、宮内庁にも作品を納めている

名工。「あくまでも料理が主役。器

は、控えたほうが光るんです」

加賀友禅作家、毎田仁嗣さん作の

パネル「minamo」。あえて額装

をせずにそのまま飾られ、繊細な

色使いや素材感が伝わりやすい。

金箔と銀箔、そして漆黒に市松が

モダンな山中漆器の壁掛け。食器

に限らず、インテリアやアートと

しても伝統工芸の技が生きている。

加賀友禅や加賀水引、山中漆器など、加賀

を代表する伝統工芸が彩る客室です。﹁界

賀﹂は、なんとすべてこのような地元の手仕

事の逸品でまとめられた、〝ご当地部屋〟。こ

れは、2016年に新装オープンした﹁界

加賀﹂の特長のひとつになっています。一

方で、﹁伝統工芸の間﹂といえどもローベッ

ドとソファを置き、現代の居住性も兼ね備

えた間取りは、ゲストの居心地を最優先に

考えた心遣い。そんな宿とコラボレートす

る作家陣も、各分野で次代を担う若手を中

心にオファーしたといいます。

ベッドルームのパネルとベッドライナーを

手がけたのは、加賀友禅作家の毎ま

だ田仁ひ

し嗣さん。

父であり、師匠の毎田健治さんが主宰する工

房﹁毎田染画工芸﹂は、以前からきものにと

どまらず、空間装飾や洋装など多方面で友禅

を生かした作品づくりをしてきました。その

影響を受けた息子の仁嗣さんは、大学では建

築を専攻。﹁今回は、〝伝統工芸でありつつ、

何か新しさを感じるものを〟という宿からの

依頼でしたので、すぐに〝壁に友禅を飾る〟

という発想が浮かんだんです。内装の一部で

すし、建築を学んだことも生かせるよい機会

をいただけたと思いました﹂と、毎田さん。

伝統の手仕事が

シンプルな空間を

鮮やかに染め上げる

撮影=橋隅紀夫

撮影=橋隅紀夫

fg1709H_036041I1a 38-39fg1709H_036041I1a 2017-07-14 23:42:09

40

前田藩の時代から続く

伝統を守りつつ、

革新していくスタイル

ベッドライナーは加賀友禅の毎田

仁嗣さんデザイン。七宝文様を線

と点描、ぼかしの友禅技法で表現。

山本長左さん作の「藍九谷吉祥結

紋大皿」。結び紋で、おもてなし

の心を示した。蟹料理の器に使用。

毎田さんの工房。父子と職人たち

で友禅の全工程を行うという、作

り手のなかでも稀少な存在。友禅

は、約400年の歴史を有する加

賀の伝統工芸のなかでも古い歴史

をもつ。藍・臙脂(えんじ)・黄土・

草・古代紫の「加賀五彩」と呼ばれ

る5色を基調としている。

「加賀獅子舞」。加賀藩初代藩主・

前田利家が金沢城に入城した折の

祝いの獅子舞に由来するという。

毎田仁嗣さん。「加賀の物づくり

の伝統や精神を、宿の食事や工芸

品を通して体感してください」

パネルの絵柄は、部屋別に2種類。幾何学

模様と自然や植物をあしらった模様で、どち

らも友禅を代表するモチーフです。

また、同じく伝統とモダンが共存する空間

の実現に貢献したのが廣瀬由利子さん。廣瀬

さんは、金沢市内で水引の工房﹁自遊花人﹂

を主宰。改装前から宿のロビーには水引のオ

ブジェ﹁光降る﹂︵右の写真︶が飾られていま

す。今回は、客室の障子と一部の客室の寝室

の壁面に廣瀬さんの水引作品が。﹁加賀五彩

を使ってほしいという意向を祦んで、部屋別

に四色の水引で仕上げました。水引がインテ

リアに使われているというのは、きっと驚か

れるのではないでしょうか。それぞれの工芸

作品のよさと同時に、新しい提案も観られて

面白いですよね﹂と、ほかのジャンルの方と

の″共演〟も新鮮だったという廣瀬さん。

撮影=橋隅紀夫

(毎田さん工房・ポートレート)

2017/07/14 19:59fg1709H_036041I1.indd 2017-07-14 19:20:52

41

石川県加賀市山代温泉18-47

☎0570-073-011(界予約センター)

1泊2食付き27,000円~

(2名1室利用時の1名料金)

IN15時 OUT12時 全48室

http://kai-ryokan.jp/kaga/

星野リゾート 界 加賀

加賀藩藩主前田家もḟ留したという

歴史ある建物は、加賀地方特有の様

式。北大路魯山人が滞在時に認めた

書や器を展示するギャラリースペー

スもあり、この宿全体が美術館のよ

うな趣です。開湯約1300年の「美人

の湯」で名高い山代温泉の湯に浸か

り、冬は蟹、春夏秋は近海の幸を。

九谷焼から蟹料理まで「界 加賀」の魅力はここにも……

4「活蟹のしめ縄蒸し」は、山本長左さんの大皿とともに満喫したい冬季限定の名物料

理(提供予定期間は3月10日まで)。5 山中漆器の器に盛られた先付。海と山、それぞ

れの美味を集めて。この器も「界 加賀」のオリジナル。6 九谷焼の鮮やかな器に盛られた

八寸。「器は料理のきもの」と唱えたこの宿にも縁深い魯山人に倣った、美味と器の共演。

1 ライブラリーの壁面には、この

宿に伝わる魯山人の直筆の屛風が

飾られている。2 改装後に誕生し

た中庭には、加賀五彩の九谷焼タ

イルが。加賀友禅の川流しをイメ

ージしたデザインだという。3 名湯を堪能できる、庭付きの大浴場。

とろりとした泉質は、弱アルカリ性。

スタッフの谷澤めぐみさん。「魯

山人など、文化人にも縁が深い歴

史と魅力を感じていただけたら」

″ご当地楽〟の獅子舞を初演時か

ら担当しているスタッフの髙桺宏

介さん。「加賀は民俗芸能が盛ん

な地。体験して、知ってください」

「金沢に限らず、石川県には見ど

ころが多数です。温泉の風情もぜ

ひ」とは、総支配人の柳

俊介さん。

水引障子は、和とモダンが融合し

た「Wadern Style」を提唱してい

る廣瀬さんらしいインテリア作品。

茶室「思惟(しい)庵」では、毎日15時~18

時に抹茶と季節の和菓子で客迎え。

1

3

6

2

5

4

ほかにも九谷焼の名工、山本長左さんの大

皿や西本浩一さん率いる山中漆器の匠たちの

技を結集した椀など、料理を引き立てる逸品

も必見です。そして毎夜、ロビーでスタッフ

が演じるのは、加賀に伝わる勇壮な民俗芸能

﹁加賀獅子舞﹂。ゲストを大いに盛り上げます。

訪れた瞬間から加賀の歴史や文化が感じら

れ、それらが各所で魅力を放つ、彩りの宿です。

fg1709H_036041I1.indd 40-41fg1709H_036041I1.indd 2017-07-14 19:20:52