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2 DELL SOLUTIONS 02_DECEMBER 2011 EXECUTIVE VISION 4 企業・組織の幅広いシステム管理ニーズに自動化で応える Dell KACE 米国デル Dell KACE 部門最高技術責任者 マーティ・ケーシン EFFICIENT WORKFORCE 8 ITのマネジメント・ライフサイクルに自動化で応える デルのシステム管理アプライアンス Dell KACE Kシリーズ EFFICIENT WORKFORCE 10 既存のIT環境との親和性を保ちながら、画期的なワークスタイルを実現する ビジネス向け Windows ® 7 搭載スレートPC Latitude STCONTENTS DELL SOLUTIONS VOL.02 2011 DECEMBER DELL SOLUTIONS 第2号発刊にあたって DELL SOLUTIONS」は皆様にご支援いただき第2号を発刊することができました。誠にありがとうございます。 2011 年は東日本大震災の影響もあり引き続き厳しい経済状況のもと、企業のIT環境も効率化や事業継続への対応、グ ローバル化やコンシューマライゼーションなど新たな展開を求められており、また経営資源としてのIT活用もますます重 要になってきています。 このような環境のもと、デルが日本のお客様に今提供できる価値は主に3つあると考えています。「End to Endの製 品・ソリューション」、「グローバル共通のソリューション・サービス」、「仮想化環境に関するソリューション」、これらは単に 製品として開発したものではなく、まずデル自身の変革に活用しそこで培ったノウハウをもってお客様にお届けする、だか らこそお客様に大きな価値を提供できると確信しています。  今こそ ITをよりお客様の事業活動に近いものとして活用し、事業そのものの価値を高めていくご支援をしたい、このような思いで「DELL SOLUTIONS」での製品・ソリューション、お客様事例のご紹介など記事内容を設計しております。ぜひご参照いただき、デルをご愛顧いただ ければと思います。 2012 年も元気なデルにご期待ください。 DELL SOLUTIONS 発行人 デル株式会社 公共・法人マーケティング本部 本部長  松原大助

DELL SOLUTIONS...4 DELL SOLUTIONS 02_DECEMBER 2011 企業のシステム管理に対する多様なニーズに応えるため、 デルは2010年2月、システム管理ソフトウェア・ベンダーである米KACEを買収し、

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2 DELL SOLUTIONS 02_DECEMBER 2011

■ EXECUTIVE VISION

4 企業・組織の幅広いシステム管理ニーズに自動化で応える

Dell KACE 米国デル Dell KACE 部門最高技術責任者 マーティ・ケーシン

■ EFFICIENT WORKFORCE

8 ITのマネジメント・ライフサイクルに自動化で応える

デルのシステム管理アプライアンス Dell KACE Kシリーズ

■ EFFICIENT WORKFORCE

10 既存のIT環境との親和性を保ちながら、画期的なワークスタイルを実現する

ビジネス向け Windows® 7 搭載スレートPC 「Latitude ST」

CONTENTS

DELLSOLUTIONSVOL.02 2011 DECEMBER

DELL SOLUTIONS 第2号発刊にあたって 「DELL SOLUTIONS」は皆様にご支援いただき第2号を発刊することができました。誠にありがとうございます。2011年は東日本大震災の影響もあり引き続き厳しい経済状況のもと、企業の IT環境も効率化や事業継続への対応、グローバル化やコンシューマライゼーションなど新たな展開を求められており、また経営資源としての IT活用もますます重要になってきています。 このような環境のもと、デルが日本のお客様に今提供できる価値は主に3つあると考えています。「End to Endの製品・ソリューション」、「グローバル共通のソリューション・サービス」、「仮想化環境に関するソリューション」、これらは単に製品として開発したものではなく、まずデル自身の変革に活用しそこで培ったノウハウをもってお客様にお届けする、だか

らこそお客様に大きな価値を提供できると確信しています。  今こそ ITをよりお客様の事業活動に近いものとして活用し、事業そのものの価値を高めていくご支援をしたい、このような思いで「DELL SOLUTIONS」での製品・ソリューション、お客様事例のご紹介など記事内容を設計しております。ぜひご参照いただき、デルをご愛顧いただければと思います。2012年も元気なデルにご期待ください。

DELL SOLUTIONS 発行人

デル株式会社 公共・法人マーケティング本部 本部長 松原大助

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■NEW DELL

12 高い安全性と運用管理性を両立した無線LAN環境を実現する

「Dell PowerConnect Wシリーズ」

■CASE STUDY

16 マツダ株式会社 ホワイトカラー層の生産性向上を改革のテーマとして、 Windows 7 Enterpriseをベースにデスクトップ環境を全面刷新

■ EFFICIENT DATACENTER

20 仮想アプライアンスにより、vCenterからデル ハードウェアの統合管理を実現

デルが実現する VMware vSphere運用管理の効率化

■DELL VIS UPDATE

22 仮想サーバ/デスクトップや物理サーバのデリバリを自動化し、 煩雑な運用業務からIT管理者を解放するソフトウェア・ソリューション

「Dell VIS Creator」

■DELL COMMUNITY

23 ITプロフェッショナル向けのコミュニティ・サイト

「Dell テックセンター」のご紹介

©2011 Dell Inc.*本文掲載の記事、写真、図表の無断転写を禁じます。*本誌掲載の記事において、日本では発表されていないDell製品の機能、サービスについて言及、説明してる記述がある場合がありますが、ご了承ください。

●Compellent、KACE、EqualLogic、Latitude、OptiPlex、PowerConnect、PowerEdge、PowerVault、Precision、DELLロゴは、米国Dell Inc.の商標または登録商標です。●Intel、インテル、Intelロゴ、IntelInside、Intel Insideロゴ、Intel vPro、 Intel vProロゴ、Intel Core、Core Inside、Itanium、Itanium Inside、vPro Inside、Xeon、Xeon Insideは、アメリカ合衆国およびその他の国におけるIntel Corporationの商標です。 ●Microsoft、Windows、Windows 7、Office ロゴ、Outlook、Excel、PowerPointは米国Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。●その他の社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。●本カタログに記載されている仕様は、2011年11月現在のものであり、予告なく変更される場合があります。最新の仕様については、弊社営業またはホームページにてご確認下さい。デル株式会社 〒212-8589 川崎市幸区堀川町580番地 ソリッドスクエア東館 20F Tel. 044-542-4047 www.dell.com/jp

[発行]デル株式会社神奈川県川崎市幸区堀川町580番地ソリッドスクエア東館20F

[発行責任者]公共・法人マーケティング本部 本部長 松原大助[編集スタッフ]公共・法人マーケティング本部 布谷恒和(編集長)、川船奈穂美、小山智子

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企業のシステム管理に対する多様なニーズに応えるため、デルは2010年2月、システム管理ソフトウェア・ベンダーである米KACEを買収し、システム管理製品のラインナップを大幅に強化した。ハードウェアとソフトウェアの資産管理やソフトウェア更新、構成管理、セキュリティ・パッチの適用といったタスクを自動化するアプライアンス・ベースのシステム管理ソリューションである。「KACEアプライアンス」がラインナップに追加されたことによって、企業はどのようなITの効率化が図られるようになるのか。 Dell KACE部門の最高技術責任者であるマーティ・ケーシンに聞いた。

企業・組織の幅広いシステム管理ニーズに自動化で応えるDell KACE

米国デルDell KACE部門最高技術責任者

マーティ・ケーシン

EXECUTIVE VISION

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ITの裾野の広がりに伴い中小・中堅規模企業で浮上したシステム管理自動化へのニーズ

──はじめにKACEを創業した経緯からお聞かせください。

マーティ 私がKACEを創業したのは、2002年の夏にさかのぼります。創業時のコンセプトは「自動化されたシステム管理ソリューションを中小・中堅規模市場に対して提供していく」というものでした。私たちがそう考えた理由は、そうした規模の企業が、システム管理を自動化することによる運用の改善、ひいては業務効率の改善によるビジネスの成長を望んでいたからです。 中小・中堅規模の企業の多くは、システム管理に多くの人員やコストを充てることが困難です。そうした市場に対して、システム管理にかかるコストや時間を削減し、少ない人員で効率的な運用を可能とするソリューションを提供しようと考えたわけです。事実、2000年から2011年にかけて、非常に多くの中小・中堅規模企業が、自動化されたシステム管理ソリューションを頼りにするようになっています。 しかし、そうした中で、私たちはあることに気づきました。それは、中小・中堅規模企業をターゲットにするということは、小規模企業から大企業まで、さまざまな規模や業界の企業に対応できるホリゾンタル(横断的)なテクノロジーを提供しなければならないということでした。そうしたことから、現在、私たちは、顧客企業がどのような規模の会社であるかに関わらず幅広く利用可能な、ホリゾンタルなテクノロジーによるソリューションを展開しています。

多彩な広がりを見せる企業のIT管理ニーズ

──昨今における企業のシステム管理に対するニーズは、どのように変化しているのでしょうか。対して、KACEはそうしたニーズの変化にどのように対処してきたのでしょうか。

マーティ 現在、企業のシステム管理に対するニーズは大きく変化しています。その1つが、多彩なエンドポイント・コンピュータへの対応です。従来のデスクトップPCやノートPCだけではなく、スマートフォンやタブレットPCといった新しいモバイル・デバイスの企業活用が広がっており、それらに対する自動化されたシステム管理ニーズが急浮上しているのです。 こうしたモバイル・デバイスの進化によって、オフィスのみならず、外出先や出張先、自宅で仕事を行う人は増えています。そう

した中で、プライベートで利用しているモバイル・デバイス等を仕事でも使いたい、と望む声が高まっており、実際、両者の垣根も取り払われつつあります。 このような「ITのコンシューマライゼイション(消費者先導型IT)」の進展に伴い、さまざまな種類のデバイス、場所から社内リソースへアクセスし業務が行われることになります。対して、企業システム管理の観点からは、デバイスの種類や場所ごとに異なるプライバシー・ポリシーやセキュリティ・レベルの適用が求められるようになっているのです。 もう1つの大きな出来事は「仮想化」の到来です。仮想化という革命が進展するのと同時に、私たちはそこで必要となるアプライアンス、マネジメント・システムを提供してきました。仮想化という新しいテクノロジーが徐々に具現化され、どんどん発展していく中で、KACEも企業として大きく成長していったのです。 こうした IT業界に変革の波が訪れる中で、今回のデルによるKACEの買収は、お互いのソリューションが補完し合えるものであり、かつ顧客に対してもさまざまなメリットを提供できると両者の意見が一致した結果なのです。

デルの買収により広がるソリューションの裾野

──では、デルの買収によってKACEのソリューションはどのような広がりを見せているのでしょうか。まずはマーケティングの側面からお聞かせください。

マーティ 2010年2月、KACEはデルによって買収されたことでその一部となり、KACEのソリューション/製品群もデルのソフトウェア・ポートフォリオに含まれるようになりました。これにより、これまで以上に幅広い業界、多くの企業に対してKACEのソリューションが訴求できるようになりました。これはKACEの創業者である私にとっても大変に喜ばしいことです。実際、デルのマーケティング・チームの協力によって、グローバル・マーケットにソリューションを展開できるようになりました。これは、デルに統合される前までは考えられなかったことです。その一方で、KACEを買収したことで、より深い管理ソリューションをさまざまな業界の企業に対してデルが提供できるようになりました。 買収後の18ヶ月間、私たちはデルによる統一されたコンセプトの下、10バージョンにもわたるソフトウェアについてデル製品との融合を行ってきました。その成果が、アプライアンス・ベースのシステム管理 /導入ソリューションである「KACE K1000」「KACE K2000」です。このようにとても早いスピードで、デルの製品/ソリューション・ラインナップへの適応が行われています。

企業・組織の幅広いシステム管理ニーズに自動化で応えるDell KACE

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DLP対策は、企業にとって重要なデータとそうでないデータを判別し、重要なデータを漏洩させないようにする取り組みです。これを実現するためにも、今後はデルのハードウェアに加え、セキュリティ関連のパートナーと協力しつつ、私たちのシステム管理手法にDLP対策の要素を取り込んでいきたいと考えています。 無論、セキュリティは強化しつつも、システムの運用管理に関する柔軟性も維持していかなければなりません。私たちはユーザが求める柔軟性と生産性向上を損なうことなく、セキュリティの強化を図っていくことを目標として掲げています。

Dell OpenManageTMとの連携も進展メディエーション機能の強化で、よりきめ細かいシステム管理を実現

──デルが提供しているシステム管理ツール「Del l Open

Manage」等、既存のデル製品との機能連携についてお聞かせください。

マーティ 先に述べたアプライアンス製品の「K1000/K2000」では、既にDell OpenManageによるサポートが実現されています。そして今後リリースされる新バージョンにおいても、Dell OpenManageとの連携が行われていく予定です。

──OpenManageとの連携のほか、先に述べられたセキュリティ強化をはじめ、KACEのソリューションはさまざまなシステム管理機能の統合化が図られているように感じられます。実際、日本では統合化された運用管理ツールを求める傾向があり、導入企業も少なくありません。今後、KACEも包括的なアプローチを用いた統合ソリューションを展開するのでしょうか。

マーティ 統合化されたソリューションという観点からは、複数のシステムにまたがる業務を自動化するために、システム間で伝達されるデータを連携させる「メディエーション」の機能を強化していこうと考えています。 メディエーションでは、特定のアクション、タスク、スクリプト、プログラム、パッチ、あるいはサービスデスク、ヘルプデスクの自動化が行われます。私たちのメディエーション機能は幅広いプラットフォームで活用可能な、オープンかつ柔軟な形式で提供されるものです。また、「いつ、どのようにメディエーションを行うのか」を自動的に判断して実行するインテリジェンス性も有しています。 さらにサードパーティによってこのインテリジェンスな管理エンジンが活用されるようになれば、データセンターやネットワー

トータルな管理機能のさらなる強化に向けて機能を大幅に追加

──現在、KACEのソリューションはどのような機能強化が図られているのでしょうか。

マーティ 2012年は新しい領域に向けたソリューションの展開を計画しています。これまで以上にシステム管理の自動化を追求していくとともに、「サービスデスク」や「セキュリティ」、「データ・バックアップ」といった機能の強化を検討しています。KACEのスタッフだけでなく、デル社内の別部門のエンジニアの協力も得ながら、新しいプラットフォームや、新しいアプリケーションの開発も進められています。

──機能強化の1つであるセキュリティについて、どのような拡張が施されるのかお聞かせください。

マーティ 今日ではセキュリティについて重要ないくつかの課題が浮上しています。その1つがWebブラウザの安全性です。今日のWebブラウザは決してセキュリティ強度が高いとは言えません。また、企業におけるシステム管理の側面から考えても、現状のWebブラウザは十分なマネジメントが行われていないと思います。 エンドユーザは私的利用だけでなく業務においてもWebブラウザを活用しています。しかし、現状のWebブラウザはさまざまな企業情報がブラウザ上に残されたままであり、それが何らかの理由で外部に流出する危険性を有しています。つまり、ユーザが無意識のうちに、もしくは悪意を持って企業の情報を外部の脅威にさらしているのです。 そうしたことから、Webブラウザのセキュリティ強化は私たちのミッションの 1つであると考えています。私たちのサイト(http://intl.kace.com/jp/products/freetools)では、セキュリティを強化した無料のWebブラウザ(セキュアブラウザ)が配布されており、これをダウンロードし利用していただくことで、より安全なWebブラウザの業務活用が実現されるようになります。 さらに、このセキュアブラウザでは、システム管理者がセキュリティ・ポリシーを定義することも可能です。このようなWebブラウザ・マネージメントは今後の企業セキュリティを考えるうえで非常に重要なものとなるのでしょう。 加えて、データの紛失と流出の防止もセキュリティ上、重要な課題です。そこでは、デスクトップ・コンピュータをはじめ、スマートフォン、タブレット・コンピュータにおける「DLP(Data Loss

Prevention)対策」の実施が非常に重要になると考えています。

EXECUTIVE VISION

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て選択することはありません。そうした顧客が主な理由として挙げているのが、Dell KACEはアプライアンス・ベースのアーキテクチャを採用しており、それがクライアント側にとって非常に有効であったということです。 例えばNASAでは、包括的なクライアント管理を実現する機能性に加え、設置の容易性や使いやすさを重要視していました。こうしたニーズに対して、導入が容易かつ、拡張性も高いKACE

アプライアンスはまさに合致するものだったのです。 なおNASAに対しては、自動化されたシステム管理ソリューションを包括的なパッケージとして提供しただけでなく、ヘルプデスクの設置、さらには利用者に対するトレーニングまでをサポートしました。こうしたソリューションやサービスを提供できる競合他社はほとんどいなかったのです。これらの点からも Dell

KACEはマーケットリーダーの地位を獲得しており、今後もその位置づけを維持していけるものと自負しています。

──ありがとうございました。それでは最後に日本のユーザとDell Solutionsの読者にメッセージをお願いします。

マーティ 日本のユーザの皆様、Dell Solutionsの読者の皆様に第一にお伝えしたいのは、日本市場で私たちの事業を展開することができ、とても嬉しく思っているということです。 私たちは長年、全世界に自動化されたシステム管理ソリューションを展開してきました。そこでわかったことは、たとえ国が違っても、企業のシステム管理ニーズはほぼ同様であるということです。したがって、私たちのソリューションが日本企業の多様なシステム管理ニーズにも十分にお応えできるものと固く信じています。

ク上のアクティビティ、セキュリティなど、これまでにないほどのきめ細かいレベルでの自動分析やシステム管理が実現されるようになります。 こうしたメディエーション機能を利用することで、企業は業務の生産性を向上させるとともに、オペレーション・コストをさらに削減することが可能となります。

NASAも評価した高い機能性と導入・運用の容易性

──これまでの導入実績をお聞かせください。

マーティ KACEは教育、政府機関といった公共機関で数多くの実績を積み上げてきましたが、他にも医療、製造業、金融機関など、ほとんどの業界に対してソリューションを展開しています。顧客がいない業界はほぼない、と言っても良いでしょう。導入企業の規模ですが、Fortune 100に入るような顧客もいますが、ほとんどは中堅・中小規模の企業ですね。

──大規模導入事例としては、NASAでの実績があります。なぜNASAがシステム管理ソリューションとして、Dell KACEを選択したのでしょうか。

マーティ おっしゃる通り、NASAは私たちにとって最大の顧客の1つであり、9万に及ぶノードの管理が行われています。 NASAがDell KACEを選択した理由の 1つにはコスト・パフォーマンスの良さがあったと思います。しかし、NASAに限らず他の顧客であっても、Dell KACEをコストの面だけで判断し

オーストラリア・シドニーで開催されたKACEユーザ・カンファレンスの模様。新たに追加された自動管理ソリューションに対する参加者の期待も大きく、参加者は熱心に製品担当者の説明に耳を傾けていた。

企業・組織の幅広いシステム管理ニーズに自動化で応えるDell KACE

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ポイント・ソリューションでは、統合化がなされておらず、主要な機能が不足しているケースが少なくない。また複数のポイント・ソリューションを組み合わせて利用した場合、管理コンソールが増え運用が複雑化するだけでなく、管理者の負荷も増大する。 対して、KACEアプライアンスの包括的なシステム管理ソリューションは、従来のソフトウェア・パッケージが抱えていたコストと複雑さという問題を解消。コンピュータの初期導入から運用管理および廃棄に至るまで、あらゆる規模の企業におけるシステム管理ニーズに応えるものだ。 ハードウェアとアプリケーション・ソフトウェア

 企業規模にかかわりなく、IT管理者には数少ないリソースを最大限に活かすことが求められている。ハードウェアとソフトウェアの資産管理、パッチの適用、ソフトウェアの配布とOSの導入等は、IT管理者が日々行わなければならない業務のほんの一部であろう。しかし、これらの運用管理業務にかかるコスト、時間、そして担当者の負荷は大きく、業務改革やビジネスの成長を促すためのIT化に従事できない、といった悩みを抱えている IT管理者は少なくない。 このような課題を簡単かつ効果的に解決できる革新的なソリューションが、デルのシステム管理アプライアンス「Dell KACE Kシリーズ」だ。あらゆる規模の企業に低コストで使いやすいアプライアンス製品であり、包括的なエンド・ツー・エンドのシステム管理と導入機能を提供する。 例えば、ソフトウェアベースの管理ソリューション・スイートは通常、最大規模の企業向けに設計されている。したがって、導入時に必要とされるソフトウェア、ハードウェアをはじめ、サービス、保守およびトレーニングはコストが高額、かつ複雑となる場合が多い。 一方、特定の運用管理業務に焦点を絞った

が完全に統合されたアプライアンスとして提供されるため、複雑になりがちな導入作業と運用管理をシンプル化し、ハードウェアの追加、ソフトウェアのインストレーションやインテグレーション、メンテナンスとトレーニングを不要とする。さらに、事前にチューニングも行われているほか、自己修復機能も備えており、すぐれたパフォーマンス、信頼性、拡張性をもたらす。 こうしたKACEアプライアンスの高い機能性、柔軟性により、IT管理者は時間と負荷を、企業・組織はコストを抑制することが可能となる。また、KACEアプライアンスは物理アプライアンスと仮想アプライアンスの両方として使用することもできる。

企業・組織において効率的なシステム管理を実現するためには、初期導入から稼働中の運用管理、そしてシステム交換までのライフサイクルに対して、一貫したマネジメント・ソリューションの導入が不可欠となる。そうしたニーズに応えるものが、「Dell KACE Kシリーズ」だ。IT管理者の時間を節約し、組織のコストを節約するように設計されているKACEアプライアンスは、通常1日で導入でき、総所有コストを大幅に抑制する。

ITのマネジメント・ライフサイクルに自動化で応えるデルのシステム管理アプライアンスDell KACE Kシリーズ

Dell KACE Kシリーズがもたらすメリット

KACEアプライアンスの3つの特長

コンピュータのライフサイクル管理とDell KACE KシリーズKACE K2000

Deployment ApplianceKACE K1000

Management Appliance

検出とインベントリ

資産管理

ソフトウェア配布

リモート制御

サービスデスクOSイメージの作成

ネットワーク経由のOSインストール

電源管理構成管理

セキュリティとパッチ適用

ユーザプロファイルの移行

一元化されたデプロイメント・ライブラリ

リカバリ

特長① 容易な運用・管理性直感的で使いやすいタブ化されたWebベースの管理コンソールから操作するため、初級から上級システム管理者まで高度な管理作業を行うことが可能。

特長② システム管理タスクの 広範囲を包括的にカバー管理対象となるオペレーティング・システムもWindows、Mac、LinuxとマルチOSをサポート。仮想アプライアンスプラットフォームとしてもVMware ESX/ESXi Server 3.5、または4.0に対応する。

特長③ 低コストKACEアプライアンスであればインストール不要。通常、導入は1日で行え、Webによるトレーニングもわずか数時間で完了できる。社内のネットワークに接続するだけですぐに使用開始可能だ。

EFFICIENT WORKFORCE

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・リモートサイトレプリケーション事業所が点在しており、既存のファイル・サーバを使用している企業向けのソリューション

・ブロードキャスト・アラート電子メールサービスの中断など、重要なイベントをユーザに通知

・組織管理ITインフラが分散した環境下での複数のドメイン・サポートを実現

・ソフトウェア配布さまざまなタイプのアプリケーションをリモート配布およびインストール

・セキュアブラウザWebベースの脅威からブラウザを保護する特別なサポートなど、主要アプリケーションの配布と管理をシンプル化

・サービスデスクとユーザ・ポータル

・導入前と導入後の設定RAIDとBIOS設定、アプリケーションのインストールとスクリプトの実行を含むすべての導入作業を自動化

・リモートシステムの修理と復旧破損したWindowsとMacシステムを復旧するツールを提供

・WindowsネットワークOSインストールあらゆるシステムのハードウェアから独立したプロビジョニングを実現

・Windowsユーザプロファイルの移行

・デバイス検出とインベントリネットワーク上のすべてのハードウェアとソフトウェアを検出し、インベントリを作成

・パッチ管理脆弱性分析とパッチ配布を自動化

・資産管理包括的な資産の使用率管理とコンプライアンス・レポートを実現

・設定とポリシーの管理あらかじめパッケージ化されたポリシーまたはカスタムのポリシーから選択可能

・電源管理省エネ電源管理のポリシーの作成と、導入を実現

・レポートとダッシュボードあらかじめパッケージ化されたレポートまたはカスタムのウィザードによるレポートを作成可能

・ディスクイメージングインテリジェントなファイル・ベースのK-image形式によって、WindowsとMac

OSでイメージ管理、キャプチャ、保存にかかるコストを削減

・Windowsドライバ管理コンピュータのモデルに合わせて最新のドライバを自動的にダウンロードし、ドライバ収集ツールとハードウェア資産管理によって他のドライバでも簡単に動作させることが可能

・一元化されたデプロイメント・ライブラリ管理可能で安全な場所に導入に関連する コンポーネントを簡単に保存

さまざまなインシデントの処理及び管理を包括

・セキュリティ監査とセキュリティポリシーの強制脆弱性を評価し、修正ユーティリティを使用してセキュリティ上問題のあるノードを特定、ロックダウンし、隔離

・管理アラートさまざまなコンピュータとネットワークの特性に合わせた警告を出し、IT管理者に注意を促す

・リモートコントロールリモートサイトの訪問を必要としない一元的な問題解決を実現

・AppDeploySM LiveツールAppDeploy.comコミュニティからの専用フィードで導入のポイントやコマンドラインのヒントを提示

ユーザ固有の設定とファイルをセンター側でキャプチャ、保存、および導入し、種類および場所別にファイルを分類してコンプライアンスを徹底し、ワンステップのオフライン移行を提供

・リモートサイト管理専用のハードウェアや現場スタッフなしで、リモートサイトでのディスクイメージ、オペレーティング・システム、ドライバおよびアプリケーションの導入を実現

・コンピュータのインベントリスキャンと評価ターゲットのシステムの詳細なハードウェアの資産情報を収集

システム管理、導入にまつわる負荷、時間、コストを抑制するため、Dell KACEでは「K1000」「K2000」の2つのアプライアンス製品をラインナップに揃えている。ここでは、それぞれの特長について紹介していこう。

Dell KACE K1000/K2000の特長

あらゆる企業のシステム管理ニーズに応える管理アプライアンス「Dell KACE K1000」

あらゆる企業のシステム導入ニーズに応える導入アプライアンス「Dell KACE K2000」

デルのシステム管理アプライアンスDell KACE Kシリーズ

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10 DELL SOLUTIONS 02_DECEMBER 2011

ビジネス向けスレートに必須のセキュリティと管理性

 スマートフォンやスレートPCなどさまざまなデバイスが増加する昨今、企業における新たなデバイスの追加は IT管理者にとって、管理面・セキュリティ面でのハードルは少なくありません。Windows 7搭載のスレートであれば、他のPCと変わりなく既存の IT環境に統合でき、セキュリティソフトウェアなどのインストールはもちろん、内製アプリケーションなどについても新たに改変の必要は無く、容易に導入が可能です。 また、ビジネス向けとして豊富な実績を誇るLatitudeシリーズならではの、安心の長期間ライフサイクル、ダウンタイムを避けスムーズに業務を継続可能にするオンサイトサポートを標準で付帯し、あらゆる業務ニーズに対応した豊富なハードウェアサービスオプションもご用意しております。

●ギガビットLANポートを装備したオプションのドッキングステーションをお使いいただければ、OSのセキュリティパッチ、ウィルスソフトのパターンファイルもリモートから配信でき、管理者の工数削減が可能です。●既存のリモートシステム管理ソリューションやDell KACETM アプライアンスを使って、他のPCと同様のシームレスな管理が可能なため、IT業務に費やす時間とリソースを低減できます。●TPM(Trusted Platform Module)とWindows 7 Ultimateを組み合わせることで、より容易にデータを暗号化し高いセキュリティ性を確保することができます。●セキュリティスロットを標準装備。また、紛失時に遠隔操作によるPC追跡・データ削除が行えるオプションのComputrace®サービスにより物理的なセキュリティを強化することが可能です。

音量ボタン

ビジネスユーザが待ち望んだ、Windows® 7搭載スレートPC、Dell Latitude STが11月より販売開始となりました。ビジネス向けスレートPCに求められる、高い生産性、耐久性、携帯性、容易な操作性、管理性、セキュリティを備え、ユーザとIT管理者双方のニーズに応える、真のビジネススレートPCです。

Ctl-Alt-Deleteボタン

USB2.0

SDメモリカードリーダー

HDMI

セキュリティスロット

ステレオヘッドフォン/マイクコンボジャック

アルミニウム プレート

埃が入り込まないラバーフット(取り外し可能):取り外し、いくつかのネジを回すと内部機構に簡単にアクセス可能です。

底面バッテリチャージインジケーター

左側

電源ボタン

スクリーンロックボタン

EFFICIENT WORKFORCE

既存のIT環境との親和性を保ちながら、画期的なワークスタイルを実現する

ビジネス向けWindows® 7搭載スレートPC  「Latitude ST」

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11DELL SOLUTIONS 02_DECEMBER 2011

デジタルペンを収納

デジタルペンストラップ固定ホール

Corning® Gorilla® Glass

液晶を守るラバーバンパー

TPU素材の外側被覆

ドッキング/電源ポート

※ 1 最小構成重量。採用するパーツの変更により重要が僅かに前後することがございます。予めご了承ください。 2 デルの研究所で実施された先行テストに基づきます。バッテリ持続時間は、構成内容、稼働条件、その他の

要素によって 異なります。バッテリの最大容量は、時間の経過と使用にともなって低下します。

上面

右側

ドッキングステーション

時間や場所にとらわれない生産性

 ビジネスユーザ向けに設計されたLatitude STは、さまざまな業種、多様な業務環境・ワークスタイルに対応した製品です。Windows 7の搭載により、使い慣れたビジネスアプリケーションを使うことができ、はじめてスレートPCを使うユーザでも安心して業務を行うことが可能です。

●画面には外光の映り込みが少なく、業務アプリケーションの実行に最適な、10.1インチ マルチタッチスクリーンを採用。●入力用のデジタルペンは標準で付属。紛失しないよう、付属の紐の取り付けも可能です。本体にはペンの収納スペースを確保しているのでスマートに持ち運ぶことができます。●プレゼンテーション時には、HDMIポートとプロジェクタや液晶テレビと簡単に接続できます。●USBポートを使い外付デバイスを操作できるほか、SDカードリーダーを使ってデータの読み書きが可能です。●プリインストールされたSkype Video Conferencing、内蔵マイク、前面

720pHD Webカメラと背面5.0MPカメラの搭載で、外出先からの会議にも対応可能。時間や場所にとらわれず業務を行えます。●オプションのドッキングステーションにUSB2.0(3個)やHDMIポートのほかギガビットLANポートを装備しており、ワイヤレスLANでは時間がかかる高画質の画像なども容易にダウンロード可能です。

安心の耐久性・可搬性

 さまざまな場面でご利用いただくことを想定し、耐久性にも配慮した設計を行っております。標準でデジタルペンも付属しますので、野外での保守点検作業や倉庫作業など指での操作が困難な場面、多様な環境での利用も可能です。

●滑りにくいラバー製バンパー、美しくタフなCorning® Gorilla® Glassを採用した耐久設計のため、突発的なアクシデントや落下から守り、オフィス外の作業でも安心です。●フォームファクタの最小重量は816g(※1)で持ち運びも苦になりません。●バッテリは1時間で約80%まで充電可能です。また、持続時間は最大6時間(※2)と一日中作業が行える上、オフィスではオプションのドッキングステーションを利用することにより、従来のデスクトップの作業環境をタブレットで実現できます。

実寸大

電源USBポート×3

HDMI

Audio OutGigabit LAN

既存のIT環境との親和性を保ちながら、画期的なワークスタイルを実現する

ビジネス向けWindows® 7搭載スレートPC  「Latitude ST」デジタルペン

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企業が増えているわけだ。 もっとも、企業内で無線LAN環境を整備するにあたっては、無線でやり取りされる情報を確実に保護できるだけのセキュリティを確保しなければならない。加えて、無線LANの安全かつ安定した運用を確保し、管理に関する負荷を抑制するために、高い運用管理性も兼ね備えていなければならない。 こうした要求に応えるために、デルは2011年3月、ネットワーク製品「PowerConnectシリーズ」のラインナップに新製品を追加した。それが「PowerConnect Wシリーズ」である。

ネットワークを統合管理する国防総省も評価したアプローチ

 PowerConnect Wシリーズは、前述した要求を極めて高いレベルで満たすことで、無線LAN市場でのシェアを急速に伸ばしているアルバネットワークスのOEM製品である。米マイクロソフトや米グーグルなど、グローバルで事業を展開する企業に加え、情報管理に極めて厳しい米国国防総省が導入ユーザとして名を連ねていることからも、その機能とセキュリティ、信頼性の高さを伺うことができよう。一方、国内でも東京大学や一橋大学、日本大学など教育機関をはじめ、企業においても豊富な導入実績を誇る。 では、PowerConnect Wシリーズの他社製品に対する優位性は果たしてどこにあるのか。その具体的な機能群についてみていこう。

アクセスポイントとコントローラの構成で管理性を大幅に向上

 一般に無線LANのセキュリティを考えた場合、ほとんどの製品では、クライアントと直接無線通信をやり取りするデバイスである「アクセスポイント」が暗号化/復号化、クライアント/ユー

モバイル・デバイスの普及を機に現場主導で無線LAN導入が進展

 無線LAN環境の企業における導入機運が、ここにきて大きな盛り上がりを見せている。実際、調査会社のレポートでも、有線アクセススイッチの売上げが減少する一方で、無線LAN機器の売上げが急伸しているとの報告もなされている。 そうした導入拡大の主な理由として挙げられるのが、無線LANに接続できる端末数の増加、そしてデバイスの種類の多様化だ。 まず前者の動向について見ていこう。昨今では、クライアントとしてノートPCを活用する企業が急増しており、事実、2008

年を境にノートPCの売上げがデスクトップPCを逆転するといった調査レポートも発表されている。また、ノートPCの多くは無線LAN機能を標準で備えており、無線LAN環境を社内に用意すれば、PCをオフィス内のさまざまな場所で利用できるようになっている。さらに従業員の座席を固定しない、いわゆるフリーアクセスの普及も、無線LANの導入が進んでいる理由の1つに挙げることができる。 一方、後者ではスマートフォンやスレートPC/タブレット型PCといった新しいモバイル・デバイス普及がその追い風となっている。それらの端末は主にプライベートで活用されてきたが、その機能性の向上と利便性が認識されたことで、業務でも利用したいという声が高まっているのだ。実際、外出することの多い営業スタッフだけでなく、特定のエリア内を頻繁に移動することが多い医療従事者や、物流倉庫での勤務者等で、より多機能化されたモバイル・デバイスであるスマートフォンやスレートPCの活用が進んでいる。 このように、場所に捉われずネットワークにアクセスできるといった利便性の向上のみならず、新端末の活用によって業務効率を高めることを目的として、無線LAN環境の整備に着手する

企業、組織におけるノートPCの活用、スマートフォンやスレートPCといったモバイル・デバイスの普及を背景に、無線LAN環境の整備に乗り出す企業が相次いでいる。無線LANの企業活用にあたっては、堅牢なセキュリティ確保に加え、ネットワークの運用に関する負担増にも対処しなければならない。これらの課題を解決する無線LANソリューションがデルの「Dell PowerConnect Wシリーズ」だ。その特長は、従来の無線LANソリューションとは異なるアーキテクチャを採用することで実現した、高い“安全性”と“運用管理性”にある。

デル株式会社公共・法人マーケティング本部エンタープライズ シニア マーケティング マネジャー

花村実

高い安全性と運用管理性を両立した無線LAN環境を実現する「Dell PowerConnect Wシリーズ」

コンピューティング&ネットワーキング統括本部セールススペシャリストマネジャー

草薙伸

NEW DELL

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ザ認証といった一連の処理を個々に実行する。すなわちセキュリティに関する設定作業を個々のアクセスポイントごとに行う必要があった。 対して、PowerConnect Wシリーズは実際にデータを受信するアクセスポイントに加え、あらゆる処理を一元的に実行する「モビリティ・コントローラ」の主に2種類のコンポーネントによって構成される。アクセスポイントは受信したフレームをGRE

やIPSecといったトンネル技術を用いて、モビリティ・コントローラへ転送。モビリティ・コントローラ側で認証や通信制御、アクセス管理といったすべての処理を一元的に実施する仕組みとなっている(図1)。そのため、アクセスポイントへの個別の設定作業を一切行わずとも、モビリティ・コントローラで一元的な認証とポリシー管理、ネットワーク管理を実施するため、アクセス制御の徹底と無線LANネットワークの統合管理が実現されるのだ。

“+α”の機能群によってセキュリティも大幅強化

 加えて、PowerConnect Wシリーズは、強固なセキュリティやアクセス制御を実現するための独自機能を豊富に実装している。 例えば、端末がアクセスポイントへアクセスする際には、独自技術によって端末のOSも特定。これにより、端末の種類がPC

なのか、スマートフォンなのか、スレートPCなのかを識別する。端末の種別ごとにセキュリティ/アクセスポリシーを設定することも可能だ。 また、アクセス制御の方法も他社と大きな差別化が図られている。一般に無線LANでのアクセス制御はポートやVLAN単位で実施されてきたが、PowerConnect Wシリーズではユー

ザに提供されるアドレス空間を仮想的にモビリティ・コントローラ内に保有、ユーザのセキュリティを IDをベースとしたロール(ファイアウォールのセキュリティポリシー)で提供することが可能だ。これにより、従来では困難だったユーザ単位での管理も可能になっている(図2)。 アクセスポイントの保護のために、セキュリティ証明書をTPM

マイクロコントローラに格納することもできる。TPM仕様は暗号化キーの安全な生成と格納を実現することを目的にした非営利団体「Trusted Computing Group」によって定義されたものであり、高度なセキュリティが要求されるデバイスなどですでに広く実装されている。 このほか、モビリティ・コントローラは認証スイッチと連携でき、全社における認証の一括管理も可能だ。こうした認証情報やポリ

暗号化区間(クライアント̶

コントローラ)

V5 V6 V5 V6 V5 V6

Arubaの”Thin-AP”アーキテクチャでは、APが受信したフレームをトンネル技術(GRE or IPSec)を使ってモビリティ・コントローラへ転送し、暗号/復号を含むすべての処理をモビリティ・コントローラで実施する集中処理を実現。設定やセキュリティポリシーは、センターで一元的に管理することが可能

eth IP GRE 802.11 データ

モビリティ・コントローラ

セキュアトンネル

Thin-AP

・ 集中型認証、暗号(AES対応)、通信制御、管理・ ハードウェアを利用した高速処理・ 最大20Gbpsの高パフォーマンス・ ファイアウォールを統合した高セキュリティ・ 暗号鍵情報を配布しない安全性・ 冗長化構成

・ トンネリング・プロトコル(GRE or IPSec)の 利用・ プライベート・ネットワーク、インターネット、L3、 NAT越えをサポート・ 既存ネットワーク環境に変更不要・ ユーザ向けサブネットを自由に設計・ 転送中のユーザ・データは暗号化されている

・ セキュリティ情報を格納しないThin-AP・ 小型、軽量モデル・ SSID単位のマルチ・サービスを提供・ 無線管理機能を提供・ 802.11nで100Mbpsを超えるパフォーマンス・ 場所と用途に合わせた豊富な製品ファミリー

VLAN5192.168.0.1/24

VLAN6192.168.1.1/24

コアネットワーク

エッジネットワーク

GREトンネル

GREトンネル

GREトンネル

図1 PowerConnect Wシリーズの仕組み

PowerConnect W-650 コントローラ

PowerConnect W-AP125 アクセスポイント

高い安全性と運用管理性を両立した無線LAN環境を実現する「Dell PowerConnect Wシリーズ」

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「Airtime Fairness」、アクセスポイントの故障時に他のアクセスポイントの電波出力を上げることで、電波が届かないエリアをカバーする「Self Healing」などの機能も用意されている。 これらの機能を活用することで、有線と変わらぬパフォーマンスを確保できるだけでなく、運用の過程においてもアクセスポイントの設定や管理に手を煩わされずにすむようになる。

見えない無線を可視化しトラブル対応時間を短縮

 無線LAN環境の運用面における最大の課題は、可視化できない電波を扱うだけに、問題発生時の原因究明に手間と時間を要

シーの設定はモビリティ・コントローラ側で一元的に行うため、アクセスポイントの増設時においてもアクセスポイントごとに設定を施す必要がないため、セキュリティ低下につながるような設定漏れなどが発生する可能性は一切ない。

アクセスポイントの無線設定を動的に変更し無線ネットワークを最適化

  運用管理面でも、PowerConnect Wシリーズには業務効率化につながるさまざまな機能が実装されている。とりわけ、無線ネットワークの最適化を目的とした機能群「Adaptive Radio

Management」は他社製品と一線を画している(図3)。その機能概要について個々に見ていこう。 まず、「Adaptive RF」であるが、これは、各アクセスポイントの無線状態を自動認識して最適化することを実現するものだ。また、アクセスポイント周辺の無線状態を踏まえ、利用周波数帯を2.4GHz帯から5GHz帯へ自動的にロードバランスさせる「Band Steering」では、スループットの向上が図れるようになる。 さらに、「Spectrum Load Balancing」では、使用可能なチャンネルに対してクライアントを均等にロードバランスする。これらの機能以外にも、同一チャンネルの端末から同一アクセスポイントへのアクセスを自動的に調整する「C o - C h a n n e l

Interface」や、大量の端末が同時にアクセスした際に、一定時間ごとにクライアントとの接続を切り、複数の端末からのより多くのアクセス要求に対応する

他社製品ではポート/VLAN単位の管理

ユーザ単位/ロールのモビリティ:ARUBA

SSID

認証サーバ コントローラ

ロールA(200ユーザ)

ロールB(300ユーザ)

NAC

ロールA

ロールB

VLAN1

VLAN2

VLAN3

VLAN4

VLAN5

アクセスリストB

アクセスリストB

アクセスリストB

Eirew

アプリケーション

ユーザ

SSID

認証サーバ

ロールA(200ユーザ)

ロールB(300ユーザ)

マルチサービス・モビリティ・コントローラ

ロールA

ロールB

アプリケーション

ユーザ VLANプール PEF

アクセスリストA

アクセスリストA

図2 ユーザ単位/ロールでの管理を実現

画面1 管理ソフトウェア「Air Wave」の画面例

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アセスメントを欠くことができない。対して、デルではグローバル・インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス(GICS)のコンサルティングやエンジニアが導入に必要とされる一連のアセスメント作業を実施する。また運用開始後の保守サポートをProSupportとして提供。製品からコンサルティング、保守までをトータルでサポートする。 無線LAN設備の保守サービスを提供するには、人材に各種の免許取得が求められ、現実的に提供できる企業は限られる。だが、デルはパートナー企業を含めて、そうした人材を早期に派遣する仕組みをすでに構築済みだ。 米マイクロソフトは2005年、世界各国の拠点で運用している社内無線LANのアップグレードを目的に、既存環境をアルバ製品で刷新。マイクロソフトの無線LANは60カ国277の建物で、2万5,000人と推定10万台の端末を同時にサポートする極めて巨大なものである。 マイクロソフトでは従来、無線LANネットワークの運用に数十名のスタッフが従事。だが、アルバ製品へのリプレース移行、その数は数名ほどにまで削減されているという。OEM製品であるPowerConnect Wシリーズを用いることでも、同様のメリットを引き出すことは当然可能だ。複数台のコントローラを連携させることで、ほぼ無限大ともいえるほどネットワークの規模を拡大できる。マイクロソフトのユニファイド・コミュニケーション製品群との親和性も高く、Windowsフォンとの連携も将来的には期待できよう。 高いセキュリティと運用管理性を兼ね備えたWシリーズによって、企業の無線LANは新たなステージへ進化を遂げ、その利便性を最大限に享受できるようになるだろう。

しがちなことである。だが、PowerConnect Wシリーズはログをはじめとする各種データを一元管理可能だ。 そのためのツールの1つとして提供されているのが、無線環境を“見える化”するための管理ソフトウェア「Air Wave」である(画面1)。 ログ解析ツールとネットワーク監視ツールを統合した同管理ソフトウェアを利用すれば、端末の通信履歴を接続や認証、アクセスポイント利用率、ローミングなどの切り口での一覧表示が可能だ。アクセスポイントの無線品質やアクセスポイント数、無線帯域利用率などの履歴情報もグラフで容易に把握できる。さらに、これまで把握が困難だった無線状態も、アクセスポイントで収集された情報を基に、監視ツールが無線強度を表す地図状の画像を作成することで具体的に認識できる。 ログデータをAir Waveで解析することで、ネットワークにトラブルが生じた際にも、正確な発生時間やその原因、問題のアクセスポイントなどを短期間で特定でき、管理業務の大幅な効率化とトラブル対応の短期化が実現される。また、端末のローミング履歴から社員のオフィス内での動きもトレースでき、万一の際のセキュリティ対策にも大いに活用を見込むことができる。 これらの機能群により、無線状態を把握した上で、アクセスポイントの効率的な展開も実現される。

アセスメントからサポートまでデル サービスが一貫して提供

 無線LANネットワークを構築するにあたっては、無線の特性を考慮したアクセスポイントの設置が必須。そのためにも、事前の

1. Adaptive RF──自動的にRadio Frequencyを設定し最適化する2. Band Steering──クライアントを性能の高い5GHzバンドへロードバランス3. Spectrum Load Balancing──クライアントをチャンネル間でロードバランス4. Co-Channel Interference──同一チャンネルを使用するAPへのアクセスを調整5. Airtime Fairness──大量のクライアントが同時にアクセスした際、アクセスをスケジュール6. Self-Healing──電波の届かない領域をカバーするよう電力を調整

2.4GHzCh1

2.4GHzCh11

5GHzCh149

5GHzCh52

5GHzCh161

2.4GHzCh6

2.4GHzCh1

5GHzCh36

図3  Adaptive Radio Management

高い安全性と運用管理性を両立した無線LAN環境を実現する「Dell PowerConnect Wシリーズ」

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今後のワークスタイルを支えるツールとしてITの改革を指向

 マツダ株式会社(以下、マツダ)は、技術開発の長期ビジョンであるサステイナブル“Zoom-Zoom”宣言のもと、「乗って楽しくなる、また乗りたくなるクルマ」の実現に向けたチャレンジを続けている。その進化の鍵を握るのが、世界に類を見ない画期的な新世代技術「SKYACTIV TECHNOLOGY」(スカイアクティブ

テクノロジー)だ。 同テクノロジーは、クルマの基本性能であるエンジンやトランスミッション、シャーシなどのベース技術を徹底的に改良した上で、減速エネルギー回生システム、ハイブリッドシステムなどの電気デバイスを2015年までに段階的に導入していく、マツダのビルディングブロック戦略を包含するもの。クルマの走る歓びとともに、優れた燃費と環境・安全性能を高次元で調和させ、ドライバーに提供していくことを目指している。 さらにマツダでは、同テクノロジーに基づいてパワートレインやプラットフォームを一新するだけでなく、企画・生産方法から販売・マーケティングの分野まで、ブレークスルーを呼び起こすスピリッツで、さまざまな革新を推進している。「当然のことながら、ITもドラスティックな改革の対象となります」と語るのは、マツダ IT

ソリューション本部の本部長を務める三好雅文氏である。 「私たちは2005年頃より、全社的な観点からITの再定義を行ってきました。その中で柱としたのが、“コア(差別化要素)プロセス能力の強化”“経営資産としての情報の体系化・見える化”、そして“チーム力と個人の能力増強”という3つのテーマであり、これらを実現するための手段として ITを位置づけました。また、この取り組みに先立ち、ホワイトカラー層の生産性向上を目指して ITソリューション本部を再編し、オフィスワーク革新部を創設。従来の IT部門の役割を踏み出しながら、ITの活用や運用のあり方に大ナタをふるってきたのです」 この一連の改革の最前線に立つリーダーであるマツダ ITソリューション本部 ITソリューション本部 オフィスワーク革新部 主幹の片村修一氏は、自らに課せられたミッションを次のように語る。

「Zoom-Zoom(走る歓び)」をブランドメッセージに掲げるマツダ株式会社は、高い環境性能と安全性能も備えた高品質のクルマをつくっていくことを、自らの使命としている。そのためにはグローバルな市場での競争力を維持するための絶え間ない改革が必須であり、特にホワイトカラー層の生産性向上が急務となっていた。そこでマツダは、2010年12月に社内のデスクトップ環境の全面刷新に着手。マイクロソフトのWindows 7 Enterpriseを搭載した最新PCへのリプレースを通じて、オフィスワーク改革を促していくIT基盤づくりにチャレンジしている。

マツダ株式会社

●Windows XPをベースとした既存クライアントPCの老朽化が進み、部門間の格差も拡大していた。

●ホワイトカラー層の生産性を向上するため、オフィスワーク環境の改革が急がれていた。

●国内に展開している約 14,000台のクライアント PCのうち、マイクロソフトのWindows 7 Enterpriseを搭載したデルの最新PCマシン「OptiPlex 990」を8,000台導入。その他、グラフィックス用など特殊な用途にハイスペック機、堅牢型ノートブックPC、モバイルノートなど、2,000台を導入。

●Windows Optimized Desktop Serviceによるアセスメントを実施し、既存のPC環境の現状分析を行うとともに、Windows 7 Enterpriseをベースとしたデスクトップ環境の理想的な運用形態を提示。

●Windows 7 Enterpriseならびに第2世代インテル Core i5プロセッサーを搭載した最新PCにより、パフォーマンスと使い勝手を向上。

●省電力性能を追究したデルのPCにより、環境負荷や電力コストの大幅な削減を見込む。

●マイクロソフトの SCCM(Microsoft Sys tem Center Conf igura t ion manager)を活用し、IT資産管理やセキュリティ管理を実現

企 業 名 マツダ株式会社

事業内容 乗用車・トラックの製造、販売など

地  域 広島県安芸郡

設  立 1920年1月30日

Webサイト http://www.mazda.co.jp/

課題

ソリューション

カスタマー・プロファイル

導入効果

導入システムハードウェア

Dell OptiPlex×8,000台

ソフトウェア

Windows 7 Enterprise(Windows 7 Professional Editionをベースにソフトウェアアシュアランスでアップグレード)

ホワイトカラー層の生産性向上を改革のテーマとして、Windows® 7 Enterpriseをベースにデスクトップ環境を全面刷新

CASE STUDY

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 「マツダの工場部門における生産性や作業品質の高さは、現在も世界のトップクラスにあります。一方でホワイトカラー層の生産性については改善の余地があり、改革を遂行していかないことには、マツダは今後のグローバル市場で生き残っていけません。オフィスで働く社員の行動分析をすると、勤務時間の半分以上をPCの操作に費やしています。PCは私たちの作業を快適にしてくれますが、それがかえって業務やコミュニケーションの効率を低下させたり、無駄なアウトプットを生み出したりする要因になっていないかどうか、ITの功罪を両面から検証しつつ、一人ひとりのユーザの意識を変えていく必要がありました。一方でナレッジメネジメントの拡充など、知的生産性を高めていくための取り組みも欠かすことはできません。今後のワークスタイルを支えるツールの1つとして ITをとらえ、全社最適の観点からデスクトップ環境を整備していくことが急務だったのです」

全社的なガバナンスのもとでデスクトップ環境の刷新に乗り出す

 2010年12月、マツダはオフィスワーク改革を目指し、日本国内の各事業所で活動する社員約2万2,000人の社員を対象として、クライアントPC環境の全面的な刷新プロジェクトを開始した。 「マツダでは基本的に4~5年のライフサイクルでクライアントPCを更新していますが、リーマンショック後の世界的な経済危機などにより、ここ数年は台数をかなり絞り込まざるをえない状況が続いていました。また、従来はクライアントPC購入の権限を各部門に委ねていたことから、組織間での“格差”の広がりも問題となっていました。この状況をいつまでも放置しておくわけにはいきません。そこで ITソリューション本部がすべての権限と予算を持ち、ガバナンスを徹底した上で、オフィスのクライアントPC環境を全面刷新することにしたのです」(片村氏) この背景には、マイクロソフトの最新クライアントOSであるWindows 7 Professionalが登場し、機が熟したことも大きな理由になっているという。マツダ ITソリューション本部 オフィスワーク革新部のアシスタントマネージャーである山根恵慈氏は、Windows 7 Professionalに対する期待をこう語る。 「オフィスワーク革新部では、今回のプロジェクトがスタートする以前のβ版の頃からWindows 7 Professionalを試験導入し、評価を重ねてきました。そこで驚いたのは、予想よりもはるかに“軽い”OSであったことです。また、エンドユーザが行うさまざまな操作からOSのカーネルや重要設定を保護するという開発コンセプトにも共感しました。これならば、既存のWindows

XPに勝るとも劣らない安定性を確保することができ、PCの運用体制を改革していく基盤になると考えました。いったんOSを

変更したらならば、今後2サイクル、すなわち最低でも8年間は使っていきたいという思いがあります。W i n d o w s 7

Professionalは、こうした私たちのニーズに応えてくれるOS

であると確信しました」 そしてマツダは、2011年の年明けとともに、Windows 7

Professionalならびにインテルの第2世代(Sandy Bridge)Core i5プロセッサーを主要件とした新PCの要求仕様をとりまとめ、複数のベンダーにRFP(提案依頼書)を投げかけた。 そうした中から最終的に選ばれたのが、デルの提案である。マツダは2011年4月から2013年3月までの2年間で、OA用のデスクトップ P Cとして、マイクロソフトのW i n d o w s 7

Enterpriseを搭載したデルの最新PCマシン「OptiPlex 990」を8,000台導入、その他、グラフィックス用など特殊な用途にハイスペック機、堅牢型ノートブックPC、モバイルノートなど、2,000台を順次導入していく計画である。 なお、OSも実際の導入時にはWindows 7 Professional

から、企業向けに、より生産性・管理性の向上が図られたWindows 7 Enterpriseにアップグレードされた。 「今回のクライアントPCのリプレースは国内事業所のみを対象としていますが、将来的には海外拠点も含めてデスクトップ環境を統一していく可能性があり、グローバルなサポート力を有するベンダーの製品であることが前提となります。また、頻繁にモデルチェンジを繰り返すのではなく、一つのモデルを長いライフサイクルを通じてサポートし、メンテナンスにもしっかり対応してくれることを私たちは望みました。もちろん、トータルで1万台

「SKYACTIV TECHNOLOGYの本質は、過去に培ってきた技術を徹底的に掘り下げるとともに、新しいチャレンジを融合していくことにあります。デルのクライアントPCの省電力構成も同じ思想のもとで設計・開発されていると聞き、強いシンパシーを感じます」

マツダ株式会社ITソリューション本部

本部長三好雅文 氏

ホワイトカラー層の生産性向上を改革のテーマとして、Windows® 7 Enterpriseをベースにデスクトップ環境を全面刷新

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Serviceは、その名のとおりWindows 7 Enterpriseをベースとし、ビジネスに最適なデスクトップ環境の実現を支援するサービスだ。中立的な観点からのアセスメントを通じて現状のデスクトップ環境を分析し、システム全体を見据えた移行設計や環境構築の理想形を提言する。 「Windows 7 Enterpriseそのものの優位性は直感的に理解できましたが、それを全社レベルで展開、運用していくためには別の次元での技術的な知見が求められるため、少なからず戸惑いもありました。デルのWindows Optimized Desktop

Serviceは、そんな私たちに進むべき方向を示してくれました」と片村氏は振り返る。 さらに、山根氏がこのように言葉を続ける。 「特に胸に響いたのが、『運用管理にメスを入れることで、コストを大幅に削減できる』というデルのコンサルタントからのアドバイスでした。実際、デルが提示する施策は、ネットワークを経由したOSイメージの展開やファームウェアのアップデートをはじめ、自動化を強く指向したものとなっており、これまで私たちが実践してきた運用管理のアプローチとは大きく違っていました。こうしたデルの提言を、今すぐ100%取り入れられるわけではありませんが、今後のエンドユーザに対するサービスがどうあるべきかを検討していく上で、非常に貴重な参考となっています」

“守り”の施策から“攻め”の施策への転換を模索

 2011年10月現在、マツダでは ITソリューション本部の一角に

以上の大量導入になるため、初期コストの低減や安定した供給力も重要な要件となります。こうした多角的な観点から各ベンダーの提案を絞り込んでいった結果、最後に残ったのがデルのPCだったのです。個々のマシンのきめ細かなカスタマイズ要件に対応する、デルのCFI(Customer factory Integration)も心強いサービスでした」(片村氏) また、環境保全に積極的な企業であるマツダにとって、クライアントPCの省電力性も重要な選択要素として挙げられた。対してデルのOptiPlex 990はEnergy Star 5.0に準拠するほか、オプションで、電力効率90%のPSUとデルエナジースマートによる電力管理設定を利用できる。こうした省電力性もデル採用の理由の1つとなった。

アセスメントを通じてWindows 7 Enterprise運用基盤の理想形を提示

 もっとも、マツダにとってデル製クライアントPCの導入は、今回が初めてというわけではない。2004年から段階的に導入し、運用してきた既存のPCもほとんどがデル製品である。その経緯から培ってきたリレーションシップに基づき、マツダは今回のプロジェクトに先立ち、デルに対してWindows Opt imized

Desktop Serviceの実施を依頼した。 マツダが求めるワークスタイル革新やホワイトカラーの生産性向上といった課題は、クライアントPCの運用体制に深く関連しているケースが多い。Windows Optimized Desktop

「エンドユーザの手元にあるPCをある種の“センサー”として活用し、オフィスワーク改革のための“気付き”を与えてくれるデータを収集できればと考えています。デルには、そんな私たちの相談相手となって、今後も充実したサポートを提供していただきたく期待しています」

「デルのクライアントPCは、例えばメモリ増設のスロットをはじめ、細部にわたってプラットフォームの標準化が徹底されています。これは4~5年という長いライフサイクルで大規模なPC環境を運用していかねばならない私たちにとって、非常に大きな安心感となっています」

マツダ株式会社ITソリューション本部オフィスワーク革新部主幹片村修一氏

マツダ株式会社ITソリューション本部オフィスワーク革新部

アシスタントマネージャー山根恵慈氏

CASE STUDY

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たちの考えなのです。例えば、各自のPCのCPU使用率などの情報も収集し、それぞれの担当業務との相関関係を見ながら分析することができれば、生産性を読み取る一つの指標となるかもしれません。ひいては、一人ひとりの ITリテラシー向上のために的確な助言を行う上での基礎情報にもなります」(山根氏) 当然のことながら、こうした複合的な要素を持った環境づくりは、デスクトップのレイヤーのみで実現するわけではない。 「いかなる施策を展開するにしても、その受け皿となるインフラから体制を見直すことが必須となるでしょう。SOA(サービス指向アーキテクチャ)やVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)など、技術的チャレンジのテーマもたくさん残っています。いずれにせよ、今のマツダに必要なのは、エンドユーザはもちろん私たちITソリューション本部も含め、あらゆる人材に対して“新たな気付き”を与えるITなのです」(三好氏) 社内に意識改革を促していくための基盤づくりを目指し、マツダの取り組みは新たなステップに向かい始めている。そうした取組みを、今後もデルは支えていく構えだ。

キッティングセンター(PC統合管理センター)を設け、月産600~700台のペースで新PC

の社内展開を行っている。 「この調子でいけば、予定どおり2013年3

月までには全社への配布が終わります。各部門に対する事前説明会や講習会、イントラネットを介したビデオ教材の提供、eラーニングなどをきめ細かく実施してきた甲斐もあり、すでに新PCを手にしたエンドユーザからの評価は、パフォーマンスと使い勝手ともに非常に良好です。また、管理側として大きく期待しているのは、デルの新PCならではの省電力効果です。約 1万台以上のクライアントPCのリプレースが完了したあかつきには、市価ベースの単純試算では、年間2,000万円以上の省電力を達成できると見込まれています」と片村氏は、得られた手応えを語る。 一方で片村氏は、このチャレンジがまだまだ道半ばであることも言い忘れない。 「現在、私たちが注力しているサポート体制は、新たなクライアントPC環境を展開するにあたり、エンドユーザの負担をできる限り少なくすることを目的としています。いわば“守り”の施策です。そこから私たちが本来のミッションとするオフィスワーク革新へと導いていくためには、“攻め”の施策が欠かせないのです」 そうした中で今、オフィスワーク革新部として着目しているのが、IT資産管理やセキュリティ管理の基盤として導入したマイクロソフトの S C C M(M i c r o s o f t S y s t e m C e n t e r

Configuration manager)の活用である。 「SCCMを用いて多様なインベントリ情報を収集していますが、これを単なる管理作業のためだけでなく、個々のエンドユーザの実態把握のためにも役立てられないだろうか、というのが私

マツダ社内に設置されたキッティングセンター

マツダのクライアントPCリプレースをサポートしたデルのスタッフ

デル株式会社グローバル第二営業本部自動車営業部担当部長森仁士

ソリューション・サービス・デリバリー統括本部インフラストラクチャ・コンサルティング・サービスコンサルティング第2部シニア・ソリューション・アーキテクト岳野努

サービス・アカウント・マネージメント部アカウントサービスマネージメントシニアアドバイザー田中正一

グローバル第二営業本部自動車営業部セールス・レプリゼンタティブ下野敬介

 今回のマツダ様におけるクライアントPC環境の刷新プロジェクトでは、デルは単なるハードウェアのサプライヤーとしてではなく、サービスやサポート面に注力してきました。その契機となったのが、Windows Optimized Desktop Serviceによるアセスメントであり、Windows 7 Enterpriseをベースとした新たなデスクトップ環境の構築を、コンセプトづくりや仕様策定の段階からお手伝いさせていただきました。また、デルの提案を採用いただいてからは、GICSのコンサルタントがプロジェクトに参加し、構築現場で技術サポートを行ってきました。デルは、これまで30社以上のお客様とともにWindows 7 Enterpriseのテストを実施する中で、300以上の不具合を確認。40件以上のデザイン改善を実現してきました。こうしたWindows 7 Enterpriseに関するノウハウもダイレクトに提供することで、マツダ様にもデルの多彩な価値を知っていただけたのではないかと考えています。

ホワイトカラー層の生産性向上を改革のテーマとして、Windows® 7 Enterpriseをベースにデスクトップ環境を全面刷新

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仮想環境の運用管理をシンプル化

 デルはPowerEdgeサーバおよびDell EqualLogic iSCSIストレージにより構成されるVMware vSphereを使用した仮想環境の運用管理を効率化するために、以下の2つのツールを提供しています。・ Dell Management Plug-in for VMware vCenter・ Dell EqualLogic Host Integration Tools/VMware

Edition これらのツールはいずれもVMware vCenterサーバとシームレスに連携するように作られており、これまで個別の管理画面やツールなどを使用する必要があった機能を vSphere Clientを通じた管理に一元化することができます。また、ツール自体の提供は仮想アプライアンスとなっているため、管理者はこれらのツールのために別途ハードウェアやDBなどを用意したりすることなく、導入や構成に時間をかけることもなくご利用いただけるようになっています。 これらのツールをご活用いただくことにより、vStartなどのDell│VMwareインフラ環境における運用管理オペレーションをよりシンプル化することが可能となります。以下に、それぞれのツールを使うことによってどんなことが可能になるのか、ご紹介します。

仮想サーバ、ストレージの企業活用が急速に広がっていく中で、課題として浮上しているのが仮想環境における効率的な運用管理の実現である。デルでは、そうしたニーズに応えるため、「VMware vSphere」を利用した仮想環境の運用管理を効率化するツールを提供している。

デル株式会社ソリューション・サービス・デリバリー統括本部テクニカル・コンサルタント

畝高孝雄

仮想アプライアンスにより、vCenterからデル ハードウェアの統合管理を実現

デルが実現するVMware vSphere運用管理の効率化

 Dell Management Plug-in for

VMware vCenter(以下、Dell Plug-in)は、デル製品をVMware vSphere環境のためにご利用いただく際に vCenterサーバを通じた一元的な管理を可能とするツールです。主な機能は以下の通りです。①デル製品のハードウェアイベントログ・ア

ラートをvCenterサーバに統合する②デル製品ステータスのモニタリング・レポーティングをvCenterサーバに統合する

③ファームウェアの管理・アップデートを行う④ESXiホストのデプロイとプロビジョニングを行う

⑤デル製品の保守情報を確認する(*1)

Dell Management Plug-in for VMware vCenter

 ①では、デルのハードウェア側のアラートとvCenter側の対応を連携させることが可能となります。たとえば、あるESXホストに何らかのメンテナンスが必要となるハードウェア障害が発生した場合に、仮想マシンを

Dell Management Plug-in for VMware vCenterの管理画面

ツールと管理画面

デル・サーバ

Dell ManagementVirtual Appliance

VMware vCenter Server

vSphere Client with DellManagementPlug-in

デル・ストレージ デル・ネットワーキング

仮想アプライアンス

管理コンソールをvSphere Clientに一元化

図 構成概要図

*1 US購入機器のみ、日本購入機器については購入日時情報のみ確認可能

EFFICIENT DATACENTER

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 Dell EqualLogic Host Integration

Tools/VMware Edition(以下、EqualLogic

HIT/VE)は、Dell EqualLogicをVMware

vSphere環境のためにご利用いただく際に必要となる連携機能を提供するツールです。主な機能は以下の通りです。①一元的なデータストアの管理②EqualLogic SmartCopy機能の

VMware連携③仮想デスクトップの展開連携④VMware Storage APIs - Storage

Awareness(VASA)連携 ①では、これまでストレージの管理ツールとvCenter側のそれぞれで構成する必要があったデータストアの構成を一元化します。EqualLogic側でのVolumeの作成データストアとして使用することができるようになるまでの一連の構成を一元的に、かつシンプルなウィザードを通じた操作で行うことができます。また、データストアの拡張や削除などのオペレーションについても連携して実施することができます。 ②では、これまで連携して使用することが難しかった、ストレージ側の機能とVMware

vSphere側の機能の連携を実現します。たとえば、VMware側の機能である仮想マシンの

vMotionにより退避し、ホストをメンテナンスモードに移行させるなどの自動連携を構成することが可能となります。 ②では、PowerEdgeのハードウェア管理ソフトウェアであるOpenManage Server

Administrator(OMSA)や リモート管理モジュールである iDRACなどとの連携により、ハードウェアの詳細情報を確認したり、ステータスの確認を行ったりすることが可能です。 ③では、VMwareのUpdate Managerなどの機能では対応することができないファームウェアの管理についても D e l l

plug-inとの連携により可能となります。 ④では、PowerEdgeの Li feCycle

ControllerとDell plug-inが連携すること

スナップショットと、EqualLogicが持つストレージとしての機能であるSmartCopy機能(スナップショット、クローン、レプリケーションなど)の連携により、仮想マシンとしての整合性を確保した上でのストレージ機能を使った高速なスナップショットやレプリケーションを実行することが可能となります。スナップショット取得時点から特定の仮想マシンだけをリストアしたり、レプリケーションしたVolumeをDRサイト側のESXホストにマウントさせたりなどのオペレーションを行うことが可能となるため、仮想マシンのイメージバックアップを補完するためにスナップショット連携を利用したり、EqualLogicがiSCSIストレージであることを活用したEthernetベースでのレプリケーションによるDR環境の構成などを行うことができます。 ③では、EqualLogicのシンクローン機能とVMware Viewを連携させることにより、デスクトップ用仮想マシンの展開をVolume単位で実施することを可能とします。VMware

Viewはリンククローン機能により仮想マシンを差分展開することが可能ですが、EqualLogicのシンクローン機能と連携することにより、より簡易かつ高速に大量の仮想デスクトップの展開が可能となります。

Dell EqualLogic Host Integration Tools/VMware Editionの画面例

Dell EqualLogic Host Integration Tools /VMware Edition

Dell Management Plug-in for VMware vCenterによるファームウェアの管理・アップデート

 ④では、vSphere 5の新機能として提供が開始されたvCenterサーバとストレージをより密に連携させる A P Iである V A S AにEqualLogicを対応させることができます。EqualLogic側の状態をvCenterサーバ側に通知することにより、ストレージクラスタによる仮想マシンの配置ルールなどにおいて、ポリシーに基づいた管理の自動化を実現します。

* * *

 これらのツールをご活用いただくことにより、vStartを構成するPowerEdgeおよびEqualLogicの管理運用工数を大幅に削減することが可能です。また、EqualLogicが持つ魅力的なストレージ機能を活用した仮想化環境によりバックアップや災害対策などが可能となるため、「仮想環境を活用した柔軟に管理できる ITインフラ」を実現することができます。デルではこれらのツールの提供とともに、設計や構築を支援させていただく仮想化コンサルティングサービスなどのソリューションサービスもご提供しております。

動化することができます。 Dell plug-inは現時点では管理できる対象機器がPowerEdgeサーバのみとなっていますが、将来的にはデルのご提供するストレージやネットワーク製品などについても一元的な管理ができるようになる予定です。

により、ハードウェアおよびESXハイパーバイザのプロファイル情報を収集し、vCenterサーバのHost Profile機能を組み合わせることにより、初期状態のハードウェアの構成からESXiの導入・構成、vCenterへの登録、クラスタへの参加などの一連のプロセスを自

デルが実現するVMware vSphere運用管理の効率化

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DELL VIS UPDATE

ング資源を用意・展開するのは一般的にIT

部門の管理担当者の仕事です。実際には、担当者が専用の管理システムを通じて手作業で仮想マシンを作ることになりますが、仮想化の活用が進めば進むほど人手を介したこの作業に時間がかかり、現場からの要求に迅速に対応できなくなります。 Dell VIS Creatorを導入すれば、「現場からのリクエストの受け付け」 → 「利用部門管理者による承認(ワークフロー)」 → 「仮想マシンの用意・展開」 →

「利用部門への連絡」、といった一連の作業が自動化され、I T部門の負荷軽減、ワークフローの簡素化、利用部門の待ち時間短縮がもたらされます。

②仮想マシンの拡散抑制 仮想マシンが手軽に使えるようになってくると、「仮想環境の乱立」という新たな課題が発生します。具体的には、使用済みであるにもかかわらず廃棄されずに残っている仮想マシンが次々と生まれ、IT資源の無駄遣いとなってしまうのです。 Dell VIS Creatorには、使用期限をあらかじめ指定しておくことで作成から一定期間が過ぎた仮想マシンを自動的にアーカイブ・廃棄する機能があります。前項でご紹介したワークフロー機能と合わせて、統制のとれた無駄のない IT環境を手軽に構築することができるのです。

③仮想デスクトップ管理 管理の効率化やセキュリティ、その他

の理由から、仮想デスクトップ環境(VDI)への注目が高まっています。VDIが本格的に導入されれば、非常に多くの数の仮想デスクトップ環境の作成、削除、メンテナンスといったライフサイクル管理が IT

部門への負担となってきます。 Dell VIS Creatorが提供するセルフサービスポータルと自動化機能はVDI環境とも相性がよく、IT部門の負担軽減とサービスの迅速化に大きく貢献します。

④開発検証環境の運用 開発・テスト環境を利用することは、管理担当者にとっては仮想環境を作っては壊し、作っては壊し、を繰り返す作業に他なりません。しかも、その作業にはスピードが求められます。 これまで述べてきたことからおわかりのように、Dell VIS Creatorによって自動化された仮想化環境は開発検証環境を迅速に配備することができ、現場のスピード感を損なわない機敏な ITインフラの構築・運用が可能となります。

* * *

 なおデルでは、Dell VIS Creatorの価値を最大限活用いただくためのコンサルティングサービスもご用意しています。効果的な仮想マシンのライフサイクル運用管理を実現するための設計・構築については、スペシャリストであるデルのコンサルティングサービスもぜひご検討ください。

IT資源の効率的な活用やセキュリティ向上、コスト削減などなど、仮想化環境の導入は幅広いメリットをもたらしてくれる一方で、運用の設計いかんによってはIT管理業務を複雑化しかねないという状況も見え始めています。効率的なデータセンタ/プライベートクラウドを構築・運用するソリューションとしてデルがお届けする「Dell VIS」ポートフォリオのひとつである「Dell VIS Creator」は、仮想化環境導入にともなって必要となるさまざまなIT管理業務を自動化するソフトウェアです。

仮想サーバ/デスクトップや物理サーバのデリバリを自動化し、煩雑な運用業務からIT管理者を解放するソフトウェア・ソリューション

デル株式会社公共・法人マーケティング本部 データセンターソリューション担当シニアマネージャー

斎藤広一

“仮想化時代” に求められる管理の自動化とは

 仮想化のテクノロジはインフラの効率性を高めますが、放っておけば無秩序に増えていく仮想マシンへの対応に取り組みながらも既存の物理環境を並行して管理することがIT部門に求められています。このような状況で適切な対応をとらなければ、「仮想化環境を導入したけれど、管理の複雑さのタイプが変わっただけ」ということにもなりかねません。 本号でご紹介するDell VIS Creator

は、現場からの要求に応じて迅速にワークロードを展開するためのセルフサービス・ポータル・ソリューションです。 Dell VIS Creatorが提供するポータルを通じて IT資源のデリバリ(展開)を自動化すれば、運用管理者の負荷を劇的に下げることができます。また、標準で備えるワークフロー機能によって仮想環境の乱立を防ぎ、統制のとれた無駄のない IT

インフラの構築と運用が可能となります。 それでは、Dell VIS Creatorがお客様のどのような課題やニーズにお応えすのか、いくつか具体例をあげてご紹介していきます。

Dell VIS Creatorの適用事例

①セルフサービス型のIT資源デリバリ 仮想化環境を導入した企業において、利用部門からの要求に応じて仮想サーバや仮想デスクトップなどのコンピューティ

Dell VIS Creator

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DELL COMMUNITY

ITプロフェッショナル向けのコミュニティ・サイト「Dell テックセンター」のご紹介システム構築、最適化などのベスト・プラクティスを共有Dell テックセンターはデル製品をお使いのお客様、特に企業でエンタープライズ・システムを構築、運用されているシステム・アドミニストレータの皆様にとって有用な情報を提供いたしております。またコミュニティの基盤としてユーザ様どうしでベスト・プラクティスなどの情報を共有することが可能なプラットフォームを提供しております。

 2010年12月にスタートした「Dell テックセンター」。おかげさまで無事1周年を迎えることができました。「Dell テックセンター」では、ITプロフェッショナルの皆様にすぐに役立つ以下の情報をご提供しています。●サーバ、PC、ストレージ、ネットワーク製品などのセットアップ、最適化手法●最新ファームウェア、ドライバのアップデート情報●節電対策、計画停電対策などの危機対策●ソフトウェア、ソリューションの最新技術動向●提供する内容も、テキスト・データだけではなく、操作の説明をするビデオなどステップ・バイ・ステップで提示

●デル製品をお使いのお客様が、システムをよりよい状態で活用するための情報共有が行えるコミュニティ・プラットフォーム

 これらオンラインでの活動以外に月に一回程度オフラインの会議「勉強会」を開催しています。オンラインではなかなか聞けないような質問、あるいはデルのエキスパートに直接話を聞きたい場合など、「リアル」な場でのコミュニティ活動もサポートしております。詳しくは「Dell テックセンター」のサイトを随時ご覧ください。 「Dell テックセンター」のメンバーに登録していただくと、ブログへのコメントの書き込みやフォーラムへの投稿が可能となります。ぜひメンバーになって、このコミュニティサイトを活用し、盛り上げて行ってください。なお、メンバーに加入されなくても、記事の閲覧は可能です。

「Dell テックセンター」コミュニティへの参加方法はこちらからhttp://www.jp.dell.com/japantechcenter

デル株式会社公共・法人マーケティング本部 コミュニティ テクノロジスト

小薗井 康志@osonoi

大植 吉浩@Dell_Oue

小泉 雅彦@MaxKoizumi

「Dell テックセンター」では、下記のさまざまなソーシャルメディアとも連携しています。

 Facebookページは、「Dell テックセンター」の枠にとどまらない情報を発信しています。ウォールでは、メディアに取り上げられたデルに関連する最新ニュース、新製品情報、新しいサービスやソリューションの情報、そして、製品写真も入手できます。もちろん、「Dell テックセンター」の最新ブログ記事もここで読むことができます。ぜひ「Dell テックセンター」のFacebookページで、「いいね!」ボタンをクリックしてください。

 SlideShareの「Dell テックセンター」チャンネルでは、プレゼンテーション資料をご覧いただけます。過去にイベントやトレードショーで使われたアーカイブです。

 Twitterでは、「Dell テックセンター」の新着ブログや、デルに関連するニュースなど、タイムリーな情報を配信しています。また、新製品、新しいサービスやソリューションの記者発表会では、現地からライブツイートを発信します。ぜひ「Dell テックセンター」のTwitterアカウントをフォローしてください。

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お問い合わせ[email protected]

Dell テックセンターhttp://ja.community.dell.com/techcenter/default.aspx

 YouTubeの「Dell テックセンター」チャンネルでは、サーバ、PC、ストレージ、ネットワーク製品などのセットアップ、最適化手法や、ファームウェア、ドライバなどのアップデート手順について、操作をステップ・バイ・ステップで説明するビデオを紹介しています。また、インタビュービデオもここでご覧いただけます。

YouTubehttp://www.youtube.com/user/DellTechcenterJapan

 Ustreamの「Dell テックセンター」チャンネルでは、記者発表会やプレスミーティングなどの様子を、アーカイブビデオでご覧いただけます。過去には、この「Dell Solutions」でも紹介されている、Dell KACEアプライアンスの記者発表会とブロガー・ミーティングをライブ配信しました。

Ustreamhttp://www.ustream.tv/userj/DellTechCenterJapan