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画像処理・バーチャルリアリティ技術の生体工学応用 大阪大学基礎工学研究科 未来ラボ「デザインバイオニクス研究拠点形成」 画像処理・コンピュータグラフィクス・バーチャルリアリティ(VR)技術の基礎研究と,生体工学領域への応 を進 特性を考慮 大阪大学 大学院基礎工学研究科 機能創成専攻 生体工学領域 井村 誠孝 用展開を進めていま.画処理およ計測手法の特性を考慮してることにより,既 存の計測モダリティに新たな価値が生み出されます.また,インタラクティブなシミュレーションと一体化した バーチャルリアリティ技術は,バイオニクスデザインのプラットフォームとしての活用が期待されます. 複数MRI画像を用いた腱・靭帯のイメージング 本研究では,腱や靭帯の軽微な損傷を,複数のMR(Magnetic Resonance)画像を用 いることにより非侵襲的に定量化し画像化する手法を開発する.MR画像において, 腱や靭帯を構成するゲン線維配向静磁場対しなす角55 度付近(deg) +40 ると高信号を発生するマジックアングルエフェクト現象(MAE)に着目する.臨床現場で MAEは診断の障害となるアーチファクトとして扱われているが,本研究では撮像環 境をコントロールしてMAEを意図的に発生させ,その角度依存性を計測する.複数の MR画像に対する画像処理と理論モデルのあてはめによりMAEの発生度合いを定量 化することで,コラーゲン線維の配向の乱れを画像として可視化する. 線維の配向度 (輝度が高い程配向している) 配向角度 牛アキレス腱 -40 歯列の画像診断を行う際には三次元ボリュームデータの利用が理想的であるが,一 般の歯科医院における歯科用XCT撮像装置の普及率は低く また頭部の被曝を 歯列パノラマ断層画像と表面形状情報の統合による擬似的三次元歯列形状の構成 パノラマ断層画像 表面形状(口腔模型を3次元スキャン) 統合結果 般の歯科医院における歯科用XCT撮像装置の普及率は低くまた頭部の被曝を 避けるために使用は限定的である.本研究では,パノラマ断層画像が持つ歯肉内部 の歯列形状情報と,口腔模型から得られる表面形状データを統合し,同一空間内に 描画することで,顎骨内部の歯根情報を含む三次元歯列形状データを擬似的に構築 する.提案手法は,表面形状データから仮想的なパノラマ画像を作成し,取得された パノラマ画像との一致度を歯の幅に基づく評価関数によって評価することで,パノラマ 画像の最適な投影面を決定する. バーチャル大腸内視鏡のためのCT値勾配に着目した自動腸壁抽出 処理前 処理後 本研の目的は,大腸んの早期発見を目的とし,者に過大なをかけることなく高精度な検診を可能とするバーチャル大腸内視鏡シス テムを構築することである.大腸の内容物を造影剤により強調したXCT像に対して,画像処理を適用して内容物領域を除去する電子クレン ジングによって,腸内容物をバーチャルに除去し,コンピュータグラフィ クスにより大腸壁を再構成する.本研究では,CT値の分布と勾配に基 づいて,パーシャルボリューム効果の影響を受けずに自動的に内容物 領域を同定し除去する手法を提案する. 複合現実(Mi dR lit )空間におけるバ チャル流体とのインタラクシ ン 本研究では,複合現実空間にバーチャルな流体を整合性高く合成し,ユーザとの インタラクションを可能にする手法を提案する.流体の挙動は物理法則に基づくシ ミュレーションにより計算する.物理モデルとして,流体の大きな変形を表現可能 な粒子ベースのモデルに,バーチャルな剛体および実物体との相互作用を統合 する.また,光学的整合性を実現するためには,流体表面での光の屈折および実 環境の映り込みが重要である.ユーザの視野映像を取得する視界カメラの映像を 屈折像に,魚眼カメラから得られる環境の映像を反射像に利用し,GPUを用いる ことにより反射・屈折・隠蔽関係を適切に表現するレンダリング手法を提案する. 複合現実(Mixed Reality)空間におけるバチャル流体とのインタラクシ複合現実空間 現実環境 視界カメラ 環境カメラ(魚眼) (論文) 井村他: 歯列パノラマ断層画像と表面形状情報の統合による擬似的三 次元歯列形状情報の構成手法, 生体医工学, Vol. 48, No.1, pp. 75-82, 2010 安部他: 水滴表現のための粒子ベ ス液体シミュレ ション 映像情報メ 主要な研究業績 VR技術を用いた幻肢リ ハビリテーション 胸部X線画像の自動トリ ミング 気泡運動を反映した液 体のCGと効果音のリア ルタイム生成 血管内皮細胞の配向性 の自動計測 複合現実空間 粒子法による流体シミュレーション その他の研究テーマ・ダイジェスト 安部他: 水滴表現のための粒子ベス液体シミュレション, 映像情報メ ディア学会誌, Vol. 63, No. 7, pp. 951-956, 2009 (丹羽高柳賞論文賞) (著書) OpenCV プログラミングブック第2, pp. 101-109/268-301, 2009 嗅覚ディスプレイ- におい・香りのマルチメディアツール, pp. 71-81, 2008 (特許) ボリュームデータレンダリングシステムおよびボリュームデータレンダ リング処理方法, 特許出願2005-079661, 特許公開2006-260408 腕装着型香り提示デバ イスの開発と視覚-嗅覚 相互作用の検証 眼筋モデルを用いた視 線方向に基づく眼瞼ア ニメーションの生成 汎用的な構造色のリア ルタイムレンダリング 著書(分担): OpenCVログラミングブック (2 )

design bionics poster imura.ppt [互換モード]Microsoft PowerPoint - design_bionics_poster_imura.ppt [互換モード] Author imura Created Date 12/5/2010 9:18:55 AM

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画像処理・バーチャルリアリティ技術の生体工学応用

大阪大学基礎工学研究科

未来ラボ「デザインバイオニクス研究拠点形成」

画像処理・コンピュータグラフィクス・バーチャルリアリティ(VR)技術の基礎研究と,生体工学領域への応

を進 す 像 び 視 技 を 特性を考慮 適 す

大阪大学 大学院基礎工学研究科 機能創成専攻 生体工学領域井村 誠孝

用展開を進めています.画像処理および可視化技術を計測手法の特性を考慮して適用することにより,既

存の計測モダリティに新たな価値が生み出されます.また,インタラクティブなシミュレーションと一体化した

バーチャルリアリティ技術は,バイオニクスデザインのプラットフォームとしての活用が期待されます.

複数MRI画像を用いた腱・靭帯のイメージング本研究では,腱や靭帯の軽微な損傷を,複数のMR(Magnetic Resonance)画像を用いることにより非侵襲的に定量化し画像化する手法を開発する.MR画像において,腱や靭帯を構成するコラーゲン線維配向が静磁場に対してなす角が55 度付近にな

(deg)+40

腱や靭帯を構成する ラ ゲン線維配向 静磁場 対し なす角 度付近 なると高信号を発生するマジックアングルエフェクト現象(MAE)に着目する.臨床現場ではMAEは診断の障害となるアーチファクトとして扱われているが,本研究では撮像環境をコントロールしてMAEを意図的に発生させ,その角度依存性を計測する.複数のMR画像に対する画像処理と理論モデルのあてはめによりMAEの発生度合いを定量化することで,コラーゲン線維の配向の乱れを画像として可視化する. 線維の配向度

(輝度が高い程配向している)配向角度牛アキレス腱

-40

歯列の画像診断を行う際には三次元ボリュームデータの利用が理想的であるが,一般の歯科医院における歯科用X線CT撮像装置の普及率は低く また頭部の被曝を

歯列パノラマ断層画像と表面形状情報の統合による擬似的三次元歯列形状の構成

パノラマ断層画像

表面形状(口腔模型を3次元スキャン) 統合結果

般の歯科医院における歯科用X線CT撮像装置の普及率は低く,また頭部の被曝を

避けるために使用は限定的である.本研究では,パノラマ断層画像が持つ歯肉内部の歯列形状情報と,口腔模型から得られる表面形状データを統合し,同一空間内に描画することで,顎骨内部の歯根情報を含む三次元歯列形状データを擬似的に構築する.提案手法は,表面形状データから仮想的なパノラマ画像を作成し,取得されたパノラマ画像との一致度を歯の幅に基づく評価関数によって評価することで,パノラマ画像の最適な投影面を決定する.

究 が 患 負

バーチャル大腸内視鏡のためのCT値勾配に着目した自動腸壁抽出 処理前 処理後

本研究の目的は,大腸がんの早期発見を目的とし,患者に過大な負担をかけることなく高精度な検診を可能とするバーチャル大腸内視鏡システムを構築することである.大腸の内容物を造影剤により強調したX線CT像に対して,画像処理を適用して内容物領域を除去する電子クレン

ジングによって,腸内容物をバーチャルに除去し,コンピュータグラフィクスにより大腸壁を再構成する.本研究では,CT値の分布と勾配に基

づいて,パーシャルボリューム効果の影響を受けずに自動的に内容物領域を同定し除去する手法を提案する.

複合現実(Mi d R lit )空間におけるバ チャル流体とのインタラクシ ン本研究では,複合現実空間にバーチャルな流体を整合性高く合成し,ユーザとのインタラクションを可能にする手法を提案する.流体の挙動は物理法則に基づくシミュレーションにより計算する.物理モデルとして,流体の大きな変形を表現可能な粒子ベースのモデルに,バーチャルな剛体および実物体との相互作用を統合する.また,光学的整合性を実現するためには,流体表面での光の屈折および実環境の映り込みが重要である.ユーザの視野映像を取得する視界カメラの映像を屈折像に,魚眼カメラから得られる環境の映像を反射像に利用し,GPUを用いることにより反射・屈折・隠蔽関係を適切に表現するレンダリング手法を提案する.

複合現実(Mixed Reality)空間におけるバーチャル流体とのインタラクション

複合現実空間

現実環境

視界カメラ

環境カメラ(魚眼)

(論文)井村他: 歯列パノラマ断層画像と表面形状情報の統合による擬似的三次元歯列形状情報の構成手法, 生体医工学, Vol. 48, No.1, pp. 75-82, 2010安部他: 水滴表現のための粒子ベ ス液体シミュレ ション 映像情報メ

主要な研究業績VR技術を用いた幻肢リハビリテーション

胸部X線画像の自動トリミング

気泡運動を反映した液体のCGと効果音のリアルタイム生成

血管内皮細胞の配向性の自動計測

複合現実空間粒子法による流体シミュレーション

その他の研究テーマ・ダイジェスト

安部他: 水滴表現のための粒子ベース液体シミュレーション, 映像情報メディア学会誌, Vol. 63, No. 7, pp. 951-956, 2009 (丹羽高柳賞論文賞)(著書)OpenCV プログラミングブック第2版, pp. 101-109/268-301, 2009嗅覚ディスプレイ- におい・香りのマルチメディアツール, pp. 71-81, 2008(特許)ボリュームデータレンダリングシステムおよびボリュームデータレンダリング処理方法, 特許出願2005-079661, 特許公開2006-260408

腕装着型香り提示デバイスの開発と視覚-嗅覚相互作用の検証

眼筋モデルを用いた視線方向に基づく眼瞼アニメーションの生成

汎用的な構造色のリアルタイムレンダリング

著書(分担): OpenCVプログラミングブック (第2版)