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DGRC NEWS 京都工芸繊維大学 ショウジョウバエ遺伝資源センター ニュースレター 1.センター事業活動 1FlyMail:有用な系統を積極的に収集していきます 2NBRPならびにDGRCの事業継続に対する要望書 2.セミナー等 三大学連携フォーラム 3.教育研究活動 1)国際遺伝資源キュレーター育成プログラム 2)スーパーサイエンスハイスクール 3)研究紹介 DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011 PAGE 1

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DGRC NEWS京都工芸繊維大学 ショウジョウバエ遺伝資源センター

ニュースレター

目 次

1.センター事業活動(1)FlyMail:有用な系統を積極的に収集していきます(2)NBRPならびにDGRCの事業継続に対する要望書

2.セミナー等 三大学連携フォーラム

3.教育研究活動(1)国際遺伝資源キュレーター育成プログラム(2)スーパーサイエンスハイスクール(3)研究紹介

DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS   VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011

PAGE 1

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(1)FlyMail:有用な系統を積極的に収集していきます

これまでショウジョウバエ遺伝資源センターでは、基本系統、およびGS系統やNP系統のようなシリーズ化した挿入系統のほかに、各研究者からの申し出により譲渡(寄託)していただいた系統の受け入れ、保存、提供を行ってきました。今後、更なる系統の拡充を行うべく、学術雑誌等に発表された論文の中から、重要で汎用性が高いと判断した系統を、当センターから依頼を行い積極的に収集していく予定です。譲渡を依頼するメール “FlyMail” が届きましたら、系統のバックアップ保存、研究者コミュニティーへの提供と研究への利用に向けて、センターへの系統の譲渡、維持ならびに提供の委託を是非ご検討ください。また、各研究者からの申し出による譲渡も引き続き行っておりますので、ご希望の方は [email protected] までご一報ください。譲渡の際には、受け入れ系統としての条件を設けていますので、http ://www.dgrc .k i t .ac . jp/ jp/

stockinfo/straindeposit/index.html をご一読くださるようお願いします。

(2)NBRPならびにDGRCの事業継続に対する要望書-国内外のショウジョウバエコミュニティの組織およびメンバーから-

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ショウジョウバエ」(以下NBRP「ショウジョウバエ」)は、代表機関・京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センター(DGRC)、とその協力機関である国立遺伝学研究所、愛媛大学および杏林大学の4機関で、ショウジョウバエ遺伝資源である突然変異等の系統の収集・維持・提供を主たる事業としています。2002年度に文部科学省の委託事業として開始され、2006年にはアメリカ合衆国のショウジョウバエ系統センターの系統維持数を超え、現在も世界最大のショウジョウバエ遺伝資源センターとして機能しています。しかしながら、第2期のNBRP「ショウジョウバエ」も2011

年度で終了します。文部科学省ライフサイエンス課は、NBRPは生命科学研究にとって不可欠なリソースへの自由なアクセスに重要な事業であるとの認識から、今後の継続を計画しているところですが、2012年度以降も本事業が継続出来るかどうかは未定です。そのような折、ショウジョウバエコミュニティからNBRPおよびDGRCの存続を希望する声があがってお

ります。世界最大規模のショウジョウバエ系統を収集・維持・提供するDGRCの存続は基礎科学研究には必要不可欠であり、その恒久的継続を強く求めるとの希望と事業の推進をコミュニティは今後もサポートするというメッセージが取りまとめられました。

2010年10月に、日本ショウジョウバエ研究会代表世話役の嘉糠洋陸氏から国内のショウジョウバエ研究者に要望書への署名が、またアジア太平洋ショウジョウバエ研究会代表の広海健氏から特にアジアのショ

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1.センター事業活動

From: "DGRC (flymail)" <[email protected]> Date: 2010年12月17日 16:30:05:JST To: "Masa-Toshi Yamamoto" <[email protected]> Subject: Please sent us your stocks (FlyMail, DGRC, Kyoto) Reply-To: <[email protected]> Drosophila Genetic Resource Center, Kyoto Institute of Technology Dear Dr Yamamoto, We, Drosophila Genetic Resource Center, Kyoto, are very interested in your article and consider the stocks listed below are extensively useful for Drosophila researchers. We would like to add these stocks to our collection. We will be very happy that you would kindly donate the stocks. Your article and the related information will be quoted as a reference of the stocks on our database which will be used to search stocks. = REFERENCE Hirai, K et al., Genetics. (2004) 166, 1795 - 1806 Isolation and cytogenetic characterization of male meiotic mutants of Drosophila melanogaster. = GENETIC RESOURCES 1) STOCK NAME: "mei(2)yoh7134" Genotype: "mei(2)yoh7134[1]" 2) STOCK NAME: "mei(2)yh137" Genotype: "tef[yh137]" 3) STOCK NAME: "mei(2)ys91" Genotype: "ord[ys91]" 4) STOCK NAME: "mei(3)M20" Genotype: "mei(3)M20[1]" 5) STOCK NAME: "mei(2)yh92" Genotype: "mei(2)yh92[1]" Please understand that the stocks will be preserved at DGRC and provided to researchers who make requests without any restrictions. If you need a MTA (Material Transfer Agreement) on the stock donation, please let us know. We will proceed legal procedures. Thank you for your cooperation and understanding. We look forward to hearing from you. Sincerely yours, Takashi Ohsako PhD, Drosophila Genetic Resouece Center, Kyoto Institute of Technology, Saga Ippongi-cho, Ukyo-ku, Kyoto 616-8354, Japan Phone:075-873-2660 Facsimile:075-861-0881

FlyMailの例

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Page 3: DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS ...DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011 PAGE 1 (1)FlyMail:有用な系統を積極的に収集していきます

ウジョウバエ研究会の代表者に要望書の提出が呼びかけられました。翌11月までに、1995年ノーベル生理学・医学賞受賞者のEric Wieschaus博士をはじめとして、海外のショウジョウバエ研究会の代表者、また国内45研究機関、計625名の方々から要望書への署名を頂戴しました。皆様からの要望書は11月17日NBRP推進委員会主査 小原雄治氏に、12月1日京都工芸繊維大学 江島義道学長にそれぞれ手渡され、今後のNBRP「ショウジョウバエ」の継続と、DGRC運営の継続の要望が伝えられました。

2012年度からのNBRPのあり方と将来計画について事業実施機関とリソースコミュニティがお互いに議論をしていた時でもありましたが、小原所長と江島学長からはショウジョウバエリソースの生命科学研究における重要性と今後の研究の発展のためにも、是非とも事業の継続を押し進めたいという心強い回答が返ってきました。この場を借りまして、NBRPおよびDGRC存続

を希望するとの声をいただきましたショウジョウバエコミュニティの皆様に心より御礼申し上げますとともに、皆様の声が反映され事業継続となることを切に祈りつつ、今後更なる発展と向上を目指し努めて参りますので、変わらぬご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ショウジョウバエ遺伝資源センターセンター長 山本雅敏

DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS   VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011

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送信先:FAX:0155-49-5643 E メール:[email protected] 帯広畜産大学 嘉糠

要 望 書

ナショナルバイオリソースプロジェクト

推進委員会主査

情報・システム研究機構国立遺伝学研究所

所長 小原 雄治 殿

生命科学の諸研究分野において、ショウジョウバエを用いた研究が先端的な位置を占め

ている最大の理由は、膨大な遺伝変異系統を縦横に利用できることにあります。そのよう

な多くの系統を研究者が個々に全て維持することは不可能であり、系統を確実に維持保存

し、リクエストに応じて迅速に供給する系統保存事業の存在は研究の命脈を握っていると

いえます。それ故、従来から系統保存事業はショウジョウバエ研究に不可欠なものであり、

欧米、ことにアメリカ合衆国のショウジョウバエ系統保存センターは世界の系統供給の中

心的な役割を果たしてきました。

平成 14 年にナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)が発足した当初から、京

都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センターを代表機関とし、情報・システム研究

機構、愛媛大学、杏林大学を分担機関とする NBRP「ショウジョウバエ」(代表:山本雅

敏)が採択されました。これにより日本のショウジョウバエコミュニティはアメリカ合衆

国のショウジョウバエ系統保存センターに比肩しうる世界最大規模の系統保存センターを

持つにいたりました。日本のコミュニティは本事業を誇りに思うと同時にその貢献に大変

感謝しています。NBRP「ショウジョウバエ」は日本のみならず世界に系統を供給しており、

世界の科学研究に対する日本の大きな貢献の一つであるともいえます。以前喧しかった、

「日本の基礎科学ただ乗り論」に対して、ことショウジョウバエの系統保存に関しては、

日本は世界に大きく胸をはれることになりました。加えて、生物資源争奪が盛んになった

最近の世界情勢を鑑みるに、日本独自の系統保存センターを持つことは戦略的に大きな意

味があります。このような困難な時代に基礎科学を支える NBRP 事業を推進するという高

い見識に敬意を表するものであります。

系統保存センターの運営は一過性のものでなく恒久的に継続させることが肝要であるこ

とは論を俟ちません。今後も日本の基礎科学研究を支える NBRP 事業の恒久的な継続に期

待するとともに、コミュニティとして最大の協力を続けていく所存です。

日本の基礎科学研究を取り巻く環境は依然として困難な状況にありますが、NBRP「ショ

ウジョウバエ」事業に変らぬ御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。

所属機関名 平成 年 月 日

役職・氏名(自 署)

送信先:FAX:0155-49-5643 E メール:[email protected] 帯広畜産大学 嘉糠

要 望 書

国立大学法人京都工芸繊維大学

学長 江島 義道 殿

生命科学の諸研究分野において、ショウジョウバエを用いた研究が先端的な位置を占め

ている最大の理由は、膨大な遺伝変異系統を縦横に利用できることにあります。そのよう

な多くの系統を研究者が個々に全て維持することは不可能であり、系統を確実に維持保存

し、リクエストに応じて迅速に供給する系統保存センターの存在は研究の命脈を握ってい

るといえます。それ故従来から系統保存センターの存在はショウジョウバエ研究に不可欠

なものであり、欧米、ことにアメリカ合衆国のショウジョウバエ系統保存センターは世界

の系統供給の中心的な役割を果たしてきました。

平成 11 年に京都工芸繊維大学がショウジョウバエ遺伝資源センター(DGRC)を設立し、

幸いにも日本のショウジョウバエコミュニティはアメリカ合衆国のショウジョウバエ系統

保存センターに比肩しうる世界最大規模の系統保存センターを持つにいたりました。日本

のコミュニティは本事業を誇りに思うと同時にその貢献に大変感謝しています。DGRC は

日本のみならず世界に系統を供給しており、世界の科学研究に対する日本の大きな貢献の

一つであるともいえます。以前喧しかった、「日本の基礎科学ただ乗り論」に対して、こ

とショウジョウバエの系統保存に関しては、日本は世界に大きく胸をはれることになりま

した。加えて、生物資源争奪が盛んになった最近の世界情勢を鑑みるに、日本独自の系統

保存センターを持つことは戦略的に大きな意味があります。このような困難な時代に基礎

科学を支える専任施設を設置運営する京都工芸繊維大学の高い見識に敬意を表するもので

あります。

系統保存センターの運営は一過性のものでなく恒久的に継続させることが肝要であるこ

とは論を俟ちません。DGRC は文部科学省令施設の恒久的専任機関として設置され、国内

随一の充実した専用施設を持っています。このような経緯や特性を生かし、さらに発展さ

せるために、今後も京都工芸繊維大学が継続して運営を行って頂く事を強く希望いたしま

す。今後も日本の基礎科学研究を支える DGRC の活動に期待するとともに、コミュニティ

として最大の協力を続けていく所存です。

日本の基礎科学研究を取り巻く環境は依然として困難な状況にありますが、DGRC の運

営に変らぬ御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。

所属機関名 平成 年 月 日

役職・氏名(自 署)

山本雅敏センター長(左)より江島義道学長(右)に要望書が手渡された

研究機関名 署名数国際基督教大学 7

お茶の水女子大学 11

杏林大学 4

国立遺伝学研究所 16

岡山大学 29

京都産業大学 3

京都大学 43

京都工芸繊維大学 19

九州大学 15

熊本大学 18

秋田大学 11

(財) 進化生物学研究所 1

研究機関名 署名数摂南大学 6

千葉大学 5

電気通信大学 10

島根大学 5

東京理科大学 25

東京大学 97

北海道教育大学 1

北海道大学大学院 3

麻布大学 5

理化学研究所 39

名古屋大学 17

帯広畜産大学 4

研究機関名 署名数筑波大学 13

株式会社生命誌研究館 3

金沢大学 19

東邦大学 3

神戸大学 14

首都大学東京 32

東北大学 23

慶応義塾大学 53

花王 (株) 5

基礎生物学研究所 11

東京都神経科学綜合研究所 7

琉球大学 7

研究機関名 署名数

近畿大学 1

信州大学 5

学習院大学 6

大分大学 2

独立行政法人 農業生物資源研究所 5

早稲田大学 1

静岡県立大学 9

山口大学 6

東京農工大学 6

計 625 名

● 要望書署名内訳

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三大学連携フォーラム

2010年12月7日に京都府職員研修・研究支援センターにおいて「ヘルスサイエンスの総合化-地域間における大学研究のさらなる発展をめざして」をテーマに第6回三大学連携フォーラムが京都工芸繊維大学三大学連携推進協議会により開催されました。竹葉京都府立大学学長の挨拶に続いて江崎グリコ株式会社研究本部技術参与の米谷氏による基調講演「産学連携のあり方 ~企業の立場から~」、さらに関西TLO株式会社取締役 坂井氏を

コーディネーターとして三大学産学連携関係者との間でパネルディスカッションが行われました。続いて行われた三大学連携研修支援費による研究会活動報告の中で山本センター長が、2009年10月23日に開催された「”KYOTO BRAND” 高品質遺伝資源の開発」の意義とその成果についての報告を行いました。これは系統保有数に加えて品質の面でも世界のトップ水準を維持発展させるために、新規有用遺伝資源の開発にむけた先端研究の紹介と遺伝資源の将来と今後の研究動向を考える

DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS   VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011

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2.セミナー等

山本センター長による研究会活動報告

ポスターセッション

● Eric F. Wieschaus博士、海外のショウジョウバエ研究会の代表者等からのサポートレター

国立 近 仏学研究所 総合研究大学院大学 (SoKENDAI)

近伝 学専攻 十 411-8540 稗 岡県三島市 谷田 1 , 1111

TEL: 055-981-6767 FAX: 055-981-6868

2010 勾 三 11 月 8 日

国立大学法人京都工芸繊維大学 学長江 島義道殿

National lnStltt;tuLeofGenetlcs Depa 卜 mentotofGenetlcs,5oKENDAl

l,lll Yata , Mi5hima Shizuoka , 41 「 -8540 , UApAN e ・ mail;yhiromid lab ・ nig ・ aC リ p

ナショナルバイオリソースプロジェク ト

推進委員会主査 情報・システム研究機構国立遺伝学研究所 所長小 原雄治殿

芸繊 、たし 事業と京都工 ぐェ 要望書をお送り 、 ョウノ へての ウシ こつ b 、ンヨ 川 RC NBRP (DG ム らタ カ、、ノ laBoaId(APDB) 遺伝資源 バェ セ M ウ 叩ヨ m バン D ウ C]nC ンヨ ぬ維ま

APDB はアジア太平洋地域のショウジョウ バェ 研究者コミュニテイーを統括する組 織です・アジア太平洋諸国の研究者の代表がボードメンバーになっています

どうかご検討のほど,なに とぞ よろしくお願い申し上げます

敬具

ねか 良 十 411-85 川 静岡県三島市谷山 1111 国立遺伝学研究所・発生遺伝研究部門・教授 総合研究大学院大学 (SO 旺 , "AIL 遺伝学専攻 広海健 電話 : 055-981-6767 FAX : 055-981-6868 e-mail : [email protected] http://www.nig.ac.jp/section/hiromi/hiromi-j.html

November 1, 2010 Professor Yoshimichi Ejima President Kyoto Institute of Technology Professor Yuji Kohara Chair Project Promoting Committee, National BioResource Project Letter of support We are writing in support of the sustained operation of the Drosophila Genetic Resource Center (DGRC) at the Kyoto Institute of Technology. We fully endorse the petition. Sincerely,

Xun Huang

Institute of Genetics and Developmental Biology Chinese Academy of Sciences, Datun Road, Chaoyang District, Beijing, 100101, China

Central Tower, Sai Trinity Building,

Garware Circle, Pashan, Pune 411021

8th November 2010 To, Professor Yoshimichi Ejima President, Kyoto Institute of Technology & Professor Yuji Kohara Chair, Project Promoting Committee, National BioResource Project On behalf of all Drosophila geneticists and myself at IISER Pune, I am writing this letter to support the sustained operation of the Drosophila Genetic Resource Center (DGRC) at the Kyoto Institute of Technology. Prof Yasushi Horimoi of NIG has written a letter on behalf of the members (I am one) of Asia-Pacific Drosophila Board, which is enclosed and I fully endorse the content and spirit of that letter. Sincerely

------------------------------------------------------------- Tel: 91-20-25908059 (direct); 25908001 (reception) Fax: 91-20-25899790 E-mail: [email protected] Website: www.iiserpune.ac.in/~ls.shashidhara -------------------------------------------------------------

LS SHASHIDHARA, FNA, FASc, Professor and Coordinator Biology Program

Eric Eric F. Wieschaus, Ph.D.

Squibb Professor of

Molecular Biology

328 Moffett Laboratory

Princeton, NJ 08544

Tel: 609-258-5383

Fax: 609-258-1547

[email protected]

November 6, 2010 Professor Yoshimichi Ejima President, Kyoto Institute of Technology Professor Yuji Kohara Chair, Project Promoting Committee National BioResource Project

Dear Sirs,

I am writing to indicate my strong support of the renewal application to fund the continued operation

of the Drosophila Genetic Resource Center at Kyoto Institute of Technology.

For several years now the research in my laboratory has relied on the availability of chromosomal

rearrangements and mutant lines that are available to the Drosophila community only in the Kyoto

collection. These stocks have allowed us to map and clone genes controlling specific stages of

embryonic development and to analyze the phenotypes associated with specific chromosomal

deletions. More recently we have initiated a molecular characterization of the repetitive

heterochromatic sequences of the X chromosomes and autosomes. These experiments relied totally

on Kyoto’s maintenance of Y-A translocation generated in the classic paper of Lindsley and Sandler.

These stocks are no longer maintained in the US Bloomington Stock collection and our experiments

would have been impossible without material obtained from the Kyoto DGRC.

The Kyoto DGRC collection is a unique resource and if it is lost or eliminated, it can NEVER be

built up again. I support the petition and urge you to continue to support the Center at a level that

allows it to fully maintain the important service it provides the scientific community.

Sincerely,

Eric Wieschaus

Squibb Professor of Molecular Biology

Eric F. Wieschaus 博士米 プリンストン大学教授

(1995年ノーベル生理学・医学賞 受賞 )

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必要があり、その重要な時期が到来していることについて触れたものです。文部省令施設として我国唯一のショウジョウバエ遺伝資源センターが設立され10周年となるのを記念して今後の方針について述べたものです。さらに続いて開催されたポスターセッションで、ショウジョウバエ遺伝資源センターから以下の研究報告を行いました。

◆ 化学的な技術開発・微生物学・動物の病態のグループ・精液タンパク質の生理活性(プロテオーム解析) 山本雅敏、大長洋臣

・ショウジョウバエ精子のエネルギー産生機構 山本雅敏、渡邉昌秀

・貯精のメカニズムの遺伝学的解明 都丸雅敏、山本雅敏、大迫隆史

・ヒトHEL308 DNAヘリカーゼとショウジョウバエ mus301との機能的類似性

草野好司、山本雅敏

◆ 社会科学的なアプローチ・食品・生産・環境のグループ・海外植物資源の探索と解析 北山雅彦、山本雅敏、カルロス・デルカルピオ

(1)国際遺伝資源キュレーター育成プログラム

平成22年度から4年計画で文部科学省からの教育支援プログラムとして「生物遺伝資源国際教育プログラムの開発・推進」がスタートしました。遺伝資源キュレーター教育研究センターが母体となり本課題を推進しています。遺伝資源を豊富に保有する遺伝資源保有国および遺伝資源を用いた先端の研究開発技術を保有する遺伝資源利用国の教育研究機関との提携による国際教育コンソーシアムを組織し国際的な協力の中でこれを実施しています。遺伝資源保有国として、豊富な生物多様性と特徴的な伝統的知識を有する中南米地域を対象とし現地の教育研究機関との提携による教育プログラムの開発と推進を行っています。初年度となる平成22年度は、カリブ地域において特徴的な生態系と先住民文化をもつド

ミニカ共和国を対象国として選びました。また同じくアマゾン上流からアンデスの高地をカバーする多様な生態系をもち、先住民文化が良く保存されているペルー共和国を対象国として選びました。これらはいずれも生物多様性のホットスポットにあたる地域です。前者においては1538年創立の新世界最初の大学であり、また同国唯一の国立大学であるサントドミンゴ自治大学(UASD)と、また後者においては同国第二の都市にあるサンタマリアカトリック大学(UCSM)との提携を行っています。

UASDのアジア担当コーディネーターであるDr.

Theng が6月に本学を訪問し、今後の本プログラムの進め方について協議しました。これをうけて8月から10月までの期間、同大学の Dr. Hernandez が本学においてコアカリキュラム3科目に参加しました。こ

DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS   VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011

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3.教育研究活動

ポスターセッションでの草野特任教授

山本センター長と、センターを訪問したドミニカ共和国高等教育科学技術省のMelo大臣

実習に参加するサントドミンゴ自治大学のDr. Hernandez

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こでの経験をもとに現在UASDにおいて、同国固有の遺伝資源を用いたカリキュラム開発がはじまっています。また10月には同国の高等教育科学技術省のMelo大臣が本学を訪問し、今後のUASDと本学が遺伝資源教育国際コンソーシアムを構築するうえでドミニカ共和国の行政サイドから支援することの意思表示がなされました。現在、UASDにおいて遺伝資源キュレーター育成のための研究施設が確保され修士コースの設立準備がなされています。

UCSMからは同大学の前副学長で現薬学部長のDr.

Bricenoが本学を訪問し、今後の推進方法について協議を行いました。同大学においても遺伝資源キュレーター育成修士コースの設立準備がはじまっており、同大学の2名の教員を本プログラムに配置し平成23年度から指導者育成に着手することが決まりました。

また遺伝資源利用国との提携に関して、遺伝資源を用いて圧倒的な基礎および応用研究を推進するアメリカ合衆国の教育研究機関としてインディアナ大学との提携の準備を進めています。これまでアメリカ合衆国の大学院教育はPh.D.育成を主な役割としていましたが、ここ数年の同国での大きな流れとしてバイオテクノロジー専攻の修士教育に特化したコースの設立というのもがあります。インディアナ大学も例外ではなく同大学の本校であるブルーミントン校および分校であるインディアナポリス校では

Master of Biotechnologyプログラムが相次いで開設され10ヶ月の履修により修士号を授与しています。ここには法学大学院で特許専門の弁護士を志す学生や企業から派遣される学生が学んでいます。またインディアナポリス校では、同プログラムをe-learning

のみで修了できるカリキュラムを開発し現在教育が行われています。こうした大学院プログラムとの提携を現在すすめています。さらに本学が日本において遺伝資源教育国際コン

ソーシアムのハブとなり遺伝資源に関わる教育研究において世界に向けた日本の窓としての機能を果たしてゆく事を目指しています。本プログラムを通じて我が国のナショナルバイオリソースプロジェクトを担う人材の育成の寄与も目的として、本年度はメダカ、酵母への遺伝子導入技術に関わる実習も実施しました。このうち前者についてはバイオリソースプロジェクト メダカの中核機関である基礎生物学研究所の笹土研究員によるマイクロインジェクション実習を実施しました。さらに本プログラムを通じた京都府立大学との連携の第一ステップとして9月に京都府立大学附属農場において本杉先生の指導のもとブドウの系統保存に関わる実習を実施しました。

また特別学生受入制度を活用して学外学生の受入れを行い、ニコンインステックおよびダスキンからそれぞれ1名ずつの社会人、また筑波大学および京都府立大学からそれぞれ1名ずつの大学院生を受入れて実習および演習を実施しました。

DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS   VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011

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センター内について説明をうけるサンタマリアカトリック大学薬学部長 Dr. Briceno

NBRPメダカの中核機関の基礎生物学研究所の笹土研究員による実習の様子

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(2)スーパーサイエンスハイスクール

2010年8月23日、24日に、文部科学省によるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の京都教育大学附属高等学校の生徒に対する実習(体験授業)を行いました。

1年生11名と引率教員1名が参加し、「ショウジョウバエの突然変異体」の実習を行いました。サブタイトルには「~お酒に強いショウジョウバエと弱いショウジョウバエ~」とある、高校生には少しおませ(?)なメニューの実習です。エタノール耐性が低いショウジョウバエの突然変異体(アルコール脱水素酵素の突然変異体)を用いて、エタノール濃度

依存的にショウジョウバエの死亡率が高まる実験を2日間に亘って行いました。ひとつの遺伝子の突然変異により酵素活性の違い

が生じ、その結果、個体の生存に影響することを実験で確かめました。また、エタノールに限らず、毒性のある物質や薬剤等の濃度依存性や毒性の強さの評価の仕方や考え方の導入になる実験でもあり、遺伝子を理解し考える基本です。更に、野外採集を行って野生のショウジョウバエの種類を見分けたり、様々な突然変異の観察も行いました。

(3)研究紹介

キイロショウジョウバエ精子のエネルギー産生機構渡邉昌秀・山本雅敏

ショウジョウバエの精子は、哺乳類に代表されるような一般的によく知られている精子とは形態的に大きく異なっています。ヒトの精子が約50μm程度なのに対して、キイロショウジョウバエの精子は非常に長く、全長が約2mmもあります。一方、遺伝情報を持つ核が存在する精子頭部は僅か10μmにすぎません。言い換えれば、約2mmのほとんどが尾部で構成されているのです。また、ヒトやマウスの精子のようにミトコンドリアのある中片と呼ばれる部分が存在しません。ショウジョウバエ精子のミトコンドリアはミトコンドリア派生体と呼ばれ、精子尾部全域に存在しており、その役割は良くわかっていません。精子が鞭毛運動を行うためにはエネルギー (ATP)

が必要です。通常ATPを産生する機構として、細胞質における解糖系とミトコンドリアにおける呼吸系の2つの経路が知られています。一般的に精子鞭毛運動に必要なATPの産生はミトコンドリアにおける呼吸系によるものと考えられていますが、近年、マウス精子の研究から解糖系が重要な役割を果たし、精子機能に必要不可欠であることが示されました(Mukai and Okuno 2004)。一方,昆虫精子におけるエネルギー代謝機構はまだ良くわかっておらず、鞭毛運動に必要なATPをどのように供給しているかは種によって異なっていると考えられています。例えば、トコジラミ(Cimex lectularius) の精子運動は完全に酸素依存的であるのに対して(Rao

and Davis 1969)、ワモンゴキブリ(Periplaneta

americana)では無酸素状態と有酸素状態の両方で運動能を有することが報告されています(Davey

1965)。

DROSOPHILA GENETIC RESOURCE CENTER NEWS   VOL. 6(2) JANUARY 30, 2011

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kエタノール耐性実験を行う参加生徒たち

ショウジョウバエの野外採集の様子

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DGRCにおけるこれまでのキイロショウジョウバエ精子のプロテオーム解析から、精子中(主として尾部と考えられる)に解糖系酵素やTCA回路の反応を担う酵素群、および電子伝達系に関与するタンパク質が多数存在していることが明らかとなりました。すなわち、キイロショウジョウバエの精子では、解糖系と呼吸系の両方とも機能し得ると考えられます。そこで、本研究では、昆虫精子における

エネルギー産生機構を明らかにするため、モデル生物であるキイロショウジョウバエの精子鞭毛運動を高速度カメラで撮影し、運動解析ソフトを用いて解析しています。また、基質となる糖類や各種阻害剤を添加し、精子鞭毛運動に及ぼす影響を調査しており、鞭毛運動に必要なエネルギーの供給機構を解析しています。

(表紙写真) 春を告げる白梅と紅梅(北野天満宮)。 まだ少し蕾みが固い。いっぱいの可能性が息づきワクワクする。

(編集後記)ショウジョウバエとたわむれ、楽しみ、悩み、苦しみ、そして生かされる最後の年を迎えた。自然にまで、手を出し意見をし始めたわれわれに、そのままの慈悲を受け続けられるのだろうか。そんなことを考えながら、新年は比叡山延暦寺で迎えた。年末はものすごい雪だったのに、美しい初日の出を拝むことができた。悪事向己 好事与他 忘己利他 慈悲之極 (山家学生式)

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高速度カメラと運動解析ソフトを用いた精子鞭毛運動の解析