12
- 1 - 1 審査対象 平成30年度 札幌市病院事業会計決算 平成30年度 札幌市中央卸売市場事業会計決算 平成30年度 札幌市軌道事業会計決算 平成30年度 札幌市高速電車事業会計決算 平成30年度 札幌市水道事業会計決算 平成30年度 札幌市下水道事業会計決算 2 審査期間 令和元年7月1日から同年8月26日まで 3 審査概要 ⑴ 審査に当たっては、各会計の決算及び決算附属書類(以下「決算諸表」という。)につい て、関係法令に準拠して作成されているか、計数は正確であるか、経営成績及び財政状態に 関する会計事実が明瞭かつ適正に表示されているか、並びに予算の執行状況は適正か、に主 眼をおいて実施するとともに、事業の運営が公営企業として、経営の基本原則に基づいて行 われているかについて、主として年度比較により事業の推移を把握し、その経営内容を分析 した。 ⑵ 審査の方法としては、審査に当たり提出を求めた各決算関係資料を参考として、決算諸表 の計数と会計帳票等との照合、会計帳票・証ひょう類の検査、関係局に対する決算概況の聴 取等、一般に公正妥当と認められる審査手続により実施した。 また、証ひょう類の検証、現金・預金の残高及び有価証券の確認については、地方自治法 第199条及び第235条の2の規定に基づき、別に定期監査及び例月現金出納検査において実施 したので、その結果を踏まえて審査した。 なお、病院事業会計及び水道事業会計については、当該企業が実施した期末実地たな卸し に一部立会いしたほか、たな卸表により、たな卸資産(貯蔵品)の正確性を検証した。

審査対象- 1 - 1 審査対象 平成30年度 札幌市病院事業会計決算 平成30年度 札幌市中央卸売市場事業会計決算 平成30年度 札幌市軌道事業会計決算

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Page 1: 審査対象- 1 - 1 審査対象 平成30年度 札幌市病院事業会計決算 平成30年度 札幌市中央卸売市場事業会計決算 平成30年度 札幌市軌道事業会計決算

- 1 -

1 審査対象

平成30年度 札幌市病院事業会計決算

平成30年度 札幌市中央卸売市場事業会計決算

平成30年度 札幌市軌道事業会計決算

平成30年度 札幌市高速電車事業会計決算

平成30年度 札幌市水道事業会計決算

平成30年度 札幌市下水道事業会計決算

2 審査期間

令和元年7月1日から同年8月26日まで

3 審査概要

⑴ 審査に当たっては、各会計の決算及び決算附属書類(以下「決算諸表」という。)につい

て、関係法令に準拠して作成されているか、計数は正確であるか、経営成績及び財政状態に

関する会計事実が明瞭かつ適正に表示されているか、並びに予算の執行状況は適正か、に主

眼をおいて実施するとともに、事業の運営が公営企業として、経営の基本原則に基づいて行

われているかについて、主として年度比較により事業の推移を把握し、その経営内容を分析

した。

⑵ 審査の方法としては、審査に当たり提出を求めた各決算関係資料を参考として、決算諸表

の計数と会計帳票等との照合、会計帳票・証ひょう類の検査、関係局に対する決算概況の聴

取等、一般に公正妥当と認められる審査手続により実施した。

また、証ひょう類の検証、現金・預金の残高及び有価証券の確認については、地方自治法

第199条及び第235条の2の規定に基づき、別に定期監査及び例月現金出納検査において実施

したので、その結果を踏まえて審査した。

なお、病院事業会計及び水道事業会計については、当該企業が実施した期末実地たな卸し

に一部立会いしたほか、たな卸表により、たな卸資産(貯蔵品)の正確性を検証した。

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- 2 -

4 経営成績

⑴ 損益

各会計の経営成績は、第1表のとおりであり、黒字(純利益)となっているのは、高速電

車事業会計、水道事業会計、下水道事業会計、病院事業会計、軌道事業会計の5会計である。

高速電車事業会計は94億9,700万円の黒字(前年度から6億8,400万円の改善)で13年連続、

水道事業会計は91億8,100万円の黒字(同14億4,600万円の悪化)で19年連続、下水道事業会

計は27億7,500万円の黒字(同3億7,600万円の悪化)、病院事業会計は4億9,900万円の黒字

(同10億1,300万円の好転)、軌道事業会計は500万円の黒字(同1,100万円の悪化)となって

いる。一方、中央卸売市場事業会計は赤字(純損失)であり、2億900万円の損失(同7,400

万円の悪化)が生じている。

⑵ 利益剰余金・欠損金

未処分利益剰余金が生じているのは、水道事業会計で213億900万円、下水道事業会計で59

億2,600万円となっている。

他方、未処理欠損金が生じている4会計についてみると、高速電車事業会計は2,188億1,600

万円と最も多額の欠損金を抱えており、未処理欠損金比率も524.2%と依然として際立って高

いが、平成23年度以降は大きな減少が続いている。以下、病院事業会計92億9,700万円、中央

卸売市場事業会計43億4,900万円、軌道事業会計4億900万円となっている。

⑶ 経常収益・経常費用

経常収益は、病院事業会計、下水道事業会計の2会計で増加したが、他の4会計では減少

している。料金収入については、病院事業会計、高速電車事業会計が前年度よりも増加して

いる。

経常費用は、高速電車事業会計を除く5会計で増加している。

経常収益の経常費用に対する割合を示す経常収益率は、病院事業会計、高速電車事業会計

で前年よりも上昇している。また、病院事業会計、中央卸売市場事業会計では100%を下回っ

ている。

主な経常費用の構成比率は第1表(付表)のとおりであり、人件費の構成比率が最も高い

のは病院事業会計で経常費用の48.6%(対営業収益率54.5%)を占め、軌道事業会計の38.7%

(同50.9%)がこれに続いている。資本費(減価償却費及び支払利息の合計)の構成比率を

みると、前年度と同様に下水道事業会計、中央卸売市場事業会計、高速電車事業会計の順で

高くなっており、いずれも経常費用の5割以上を占めている。

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- 3 -

第1表 平成30年度 経 営 成 績 総 括 表

 

合 計

A 23,860 2,129 1,877 47,861 42,276 50,593 168,598

B 23,270 2,129 1,877 47,861 42,215 50,588 167,942

( 105.3 ) ( 98.2 ) ( 99.6 ) ( 99.4 ) ( 99.5 ) ( 101.1 ) ( 100.7 )

うち 営業収益 C 20,809 1,447 1,423 41,739 39,565 38,924 143,910

料金収入 20,154 1,187 1,364 38,898 37,505 19,383 118,493

( 105.7 ) ( 97.1 ) ( 99.1 ) ( 100.2 ) ( 99.6 ) ( 99.6 ) ( 100.8 )

D 23,361 2,338 1,872 38,364 33,094 47,817 146,849

E 23,361 2,338 1,872 38,331 32,990 47,757 146,652

( 100.7 ) ( 101.5 ) ( 100.2 ) ( 97.5 ) ( 103.9 ) ( 101.9 ) ( 100.9 )

うち 人件費 11,351 221 724 4,503 4,443 3,099 24,343

1,408 1,190 545 16,179 12,427 25,000 56,750

支払利息 491 197 9 4,526 1,579 3,844 10,647

A-D 499 △ 209 5 9,497 9,181 2,775 21,748

( △ 514 ) ( △ 135 ) ( 16 ) ( 8,813 ) ( 10,627 ) ( 3,151 ) ( 21,958 )

B-E △ 90 △ 209 5 9,529 9,224 2,830 21,289

( △ 1,084 ) ( △ 135 ) ( 16 ) ( 8,813 ) ( 10,663 ) ( 3,180 ) ( 21,453 )

99.6 91.0 100.3 124.9 128.0 105.9 114.5

( 95.3 ) ( 94.1 ) ( 100.9 ) ( 122.4 ) ( 133.6 ) ( 106.8 ) ( 114.8 )

処分後残高

・△繰越欠損金 I=G+H

 剰余金変動額 J

K=I+J+F

前年度末未処分利益剰余金

総収益率

(前年度)

B/E×100

損   益

(前年度)

△ 414

△ 228,313

経常損益

(前年度)

減価償却費

下水道

102.1 91.0 100.3 124.8 127.7

高速電車

純損益 F=

軌 道

経常費用

  区   分

総 収 益     

総 費 用

中央卸売市場病 院

K/C×100

・△未処理欠損金

未処理欠損金比率

経常収益    

(対前年度比率)

収 益 率

経常収益率

(対前年度比率)

(対前年度比率)

A/D×100

300.6 28.8 524.244.7

△ 409 △ 218,816

- - 142.9

水 道

105.8 114.8

21,309 5,926 △ 205,636

-その他未処分利益

当年度未処分利益剰余金

△ 4,140

△ 9,297 △ 4,349

△ 9,796 △ 4,140

- 12,127 3,151 15,278

0 0 △ 242,664△ 414

- - -

△ 228,313

・△未処理欠損金

(単位 金額:百万円 比率:%)

△ 213,2587,01222,394

H前年度処分額 △ 22,394 △ 7,012 △ 29,406

△ 9,796

付 表 主な経常費用の構成比率及び対営業収益率

対営業 対営業 対営業 対営業 対営業 対営業 対営業

収益率 収益率 収益率 収益率 収益率 収益率 収益率

人 件 費 48.6 54.5 9.5 15.3 38.7 50.9 11.7 10.8 13.5 11.2 6.5 8.0 16.6 16.9

減価償却費 6.0 6.8 50.9 82.3 29.1 38.3 42.2 38.8 37.7 31.4 52.3 64.2 38.7 39.4

支 払 利 息 2.1 2.4 8.4 13.6 0.5 0.6 11.8 10.8 4.8 4.0 8.1 9.9 7.3 7.4

 (注) 構成比は、経常費用に占める比率である。

区 分

病 院 中央卸売市場 軌 道

構成比 構成比 構成比

(単位 %) 

構成比 構成比 構成比 構成比

高速電車 水 道 下水道 合 計

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5 財政状態

⑴ 資産、負債及び資本

各会計の財政状態は、第2表のとおりである。全企業会計(以下「全会計」という。)の

資産総額は1兆3,539億円であり、その大部分を固定資産が占めている。資産総額が最も多い

のは下水道事業会計の6,098億円で、水道事業会計の3,438億円、高速電車事業会計の3,390

億円が続き、この3会計で95.5%を占めている。固定資産は、建設改良事業の執行により形

成され、最近5年間の建設改良費の推移は第1図(7ページ)のとおりであり、全会計の総

額は減少しているが、下水道事業会計、軌道事業会計、中央卸売市場事業会計では平成30年

度に増加している。また、水道事業会計では、平成26年度から平成29年度まで増加傾向であ

ったが、当年度は減少している。

負債資本において、固定負債が負債資本合計額に占める割合が全会計合計で42.3%となっ

ているのは、公営企業の性格上、資産取得における財源の多くを企業債に依存しているため

である。繰延収益において、最も多いのは下水道事業会計の2,330億円、次いで高速電車事業

会計の1,122億円となっているが、この2会計だけで全会計の85.5%を占めており、補助金に

よって建設改良事業を行う会計で高い傾向を示している。繰延収益を構成する長期前受金は

今後の収益化によって減額されることを前提としたものであり、同じ負債でも返済義務を負

うものである企業債とは性質が異なるものである。

⑵ 財政状態に関する経営指標

各会計の財政状態に関する経営指標は、第2表(付表)のとおりである。

調達資金の長期的な安全性を総合的にみる指標で、自己資本(自己資本金及び剰余金)と

繰延収益の合計が負債資本総額に占める割合を示す自己資本構成比率について、50%を超え

ているのは水道事業会計、軌道事業会計、下水道事業会計、中央卸売市場事業会計の4会計

である。一方、最も低いのは病院事業会計の9.9%、次いで、高速電車事業会計の18.6%とな

っており、多額の欠損金が影響している。

固定資産が自己資本、固定負債及び繰延収益の範囲内に収まっているかを表す固定長期適

合率が100%以内に収まっているのは、軌道事業会計と水道事業会計のみである。一方、財政

の圧迫要因となる借入金の総資本に対する割合を示す借入金比率は、高速電車事業会計が最

も高く、77.0%となっている。

⑶ 企業債

企業債未償還残高の最近5年間の推移は第2図(8ページ)のとおりで、当年度末の未償

還残高は総額6,045億円(前年度対比で300億円減)となり、減少傾向を示している。残高が

最も多いのは高速電車事業会計の2,612億円で全体の4割以上を占め、下水道事業会計の

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2,444億円、水道事業会計の709億円が続き、これら3会計で全会計の95.4%を占めている。

会計ごとの5年間の推移をみると、軌道事業会計以外の5会計は減少を続けているが、軌道

事業会計は平成28年度以降増加傾向にある。

第2表(付表)にある企業債償還額対償還財源比率は、当年度の減価償却費に経常利益・

損失等を含めて算定した償還財源の範囲内に償還額が収まっているかを示すものである。水

道事業会計では100%を下回っているが、水道事業会計以外の5会計では100%を上回ってお

り、病院事業会計では償還財源が企業債償還額に比べ極小であるため2,000%以上の値となっ

ている。また、収支が硬直化していないかをみる指標の一つである企業債元利償還額対営業

収益率では、中央卸売市場事業会計のみが100%を上回っている。

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- 6 -

第2表 平成30年度 財 政 状 態 総 括 表

中央卸売

市  場

28,416 23,492 9,331 339,026 343,852 609,834 1,353,954

24,616 22,229 7,875 327,894 319,631 589,996 1,292,244

3,799 1,263 1,455 11,132 24,220 19,838 61,710

26,479 16,179 8,777 388,367 134,449 493,413 1,067,666

19,831 9,649 2,656 239,646 69,598 230,974 572,356

うち企業債 12,206 9,481 2,251 235,048 63,760 227,482 550,231

5,769 1,646 1,245 36,473 16,723 29,415 91,274

うち企業債 2,500 1,425 152 26,148 7,126 16,958 54,312

877 4,883 4,874 112,247 48,128 233,023 404,035

1,937 7,313 554 △ 49,341 209,402 116,421 286,288

4,977 11,658 964 168,265 173,096 102,601 461,562

6,257 3 - 1,210 897 7,893 16,262

△ 9,297 △ 4,349 △ 409 △ 218,816 35,409 5,926 △ 191,536

28,416 23,492 9,331 339,026 343,852 609,834 1,353,954

固 定 資 産 86.6 94.6 84.4 96.7 93.0 96.7 95.4

流 動 資 産 13.4 5.4 15.6 3.3 7.0 3.3 4.6

固 定 負 債 69.8 41.1 28.5 70.7 20.2 37.9 42.3

流 動 負 債 20.3 7.0 13.3 10.8 4.9 4.8 6.7

繰 延 収 益 3.1 20.8 52.2 33.1 14.0 38.2 29.8

資 本 金 17.5 49.6 10.3 49.6 50.3 16.8 34.1

資本剰余金 22.0 0.0 - 0.4 0.3 1.3 1.2

利益剰余金 △ 32.7 △ 18.5 △ 4.4 △ 64.5 10.3 1.0 △ 14.1

(注) 負債及び資本の構成比率は、負債資本合計額に対する数値である。

負 債 資 本 合 計

構 成 比 率

軌  道

固 定 資 産

資 本

資 本 剰 余 金

資産

負 債

水  道

利 益 剰 余 金

病  院

流 動 資 産

高速電車

繰 延 収 益

(単位 金額:百万円 比率:%)

資 本 金

固 定 負 債

科    目

資 本

下水道 合  計

資 産

流 動 負 債

負 債

付 表 財政状態に関する経営指標

(単位 %)

中央卸売市  場

9.9 51.9 58.2 18.6 74.9 57.3 51.0

108.7 101.8 97.4 108.4 97.7 101.6 102.3

63.4 46.4 25.8 77.0 20.6 40.1 44.9

水  道 下水道 合  計

自 己 資 本 構 成 比 率

項     目 病  院 軌  道 高速電車

固 定 長 期 適 合 率

借 入 金 比 率

企 業 債 償 還 額 対2,089.8

24.2 55.7

213.1 102.0 100.5 41.6

43.5営 業 収 益 率

108.8 88.8償 還 財 源 比 率

企 業 債 元 利 償 還 額 対14.4 109.6 12.7 63.5

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- 7 -

第1図 建設改良費の推移

    3 ( )内の数値は、構成比率(%)である。

    4 < >内の数値は、平成26年度を100として算出した指数である。

 (注)1 建設改良費の金額には消費税を含む。

    2 上記金額の単位は億円であり、千万円の位を四捨五入している。

0

100

200

300

400

500

600

26年度 27年度 28年度 29年度 30年度

(億円)

147(28.9)

156(30.6)

軌道

6(1.1)

<98.4>455

<109.9>

508

<115.7>

535<100>462

192

(37.7)

市場2(0.3)

病院

7(1.3)

病院

8(1.5)

<100.6>

465

182

(34.0)

161

(30.1)

161

(30.2)

軌道

21(4.0)市場

1(0.2)

134

(29.1)

軌道

15(3.2)市場

3(0.6)

病院

7(1.6)

118

(25.5)

162

(35.1)

病院

32(7.0)

市場

2(0.4)

軌道

14(3.1)

軌 道

市 場

病 院

水 道

下水道

高 速

69(14.9)

208(44.6)

167(36.0)

軌道

12(2.5) 市場2(0.5)

病院

7(1.5)

68(15.0)

180(39.5)

182(40.1)

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- 8 -

第2図 企業債未償還残高の推移

 (注)1 上記数値の単位は億円であり、千万円の位を四捨五入している。

    2 ( )内の数値は、構成比率(%)である。

    3 < >内の数値は、平成26年度を100として算出した指数である。

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

26年度 27年度 28年度 29年度 30年度

3,070

(44.0)

2,730

(37.5)

病院201

(2.9)

2,558

(38.4)

(億円)

2,941

(44.1)

838

(12.6)病院

166

(2.6)

市場

120

(1.9)

2,772

(43.7)

2,493

(39.3)

774

(12.2)

3,163

(43.5)

病院

218

(3.0)

市場

156(2.1)

<96.0>6,984

<91.7>

6,668<87.2>

6,345<83.1>

6,045

989

(13.6)

市場

143(2.1)

市場

132

(2.0)

病院183

(2.7)

916

(13.1)

2,637 (37.8)

<100>7,272

市場

109

(1.8)

病院

147

(2.4)

軌道

20(0.3)

軌道

16(0.2)軌道

16(0.2) 軌道

17(0.3)

軌 道

市 場

病 院

水 道

下水道

高 速

軌道

24(0.4)

2,612

(43.2)

2,444

(40.4)

709

(11.7)

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6 運転資金の状態

各会計の運転資金の状態は、第3表のとおりである。

運転資金は、高速電車事業会計と下水道事業会計の2会計で増加したが、他の4会計では減

少している。

全会計の中で当年度末の資金残額が最も多いのは水道事業会計の146億2,400万円であり、次

いで下水道事業会計の73億8,100万円、中央卸売市場事業会計の10億4,200万円、高速電車事業

会計の8億700万円、軌道事業会計の3億6,300万円となっている。病院事業会計は5億2,900

万円となっているが、営業運転資金に充てるため、平成29年度に一般会計から27億円の長期借

入金を借り入れており、これを除いた場合の資金状況は21億7,000万円の資金不足となる。

また、流動比率は、水道事業会計と下水道事業会計の2会計で上昇したが、他の4会計では

低下している。軌道事業会計、水道事業会計では前年度に引き続き100%を上回っている。

第3表 平成30年度 資金総括表

 (単位 百万円)

中央卸売

市  場

A 745 1,089 490 454 14,650 7,174 24,604

B △ 215 △ 47 △ 127 352 △ 25 206 143

A+B 529 1,042 363 807 14,624 7,381 24,748

(参 考)

1,191 14 28 427 649 0 2,311

流 動 比 率 (%) 65.8 76.7 116.9 30.5 144.8 67.4 67.6

( 前 年 度 ) (66.4) (82.3) (131.7) (35.9) (138.3) (64.5) (69.3)

(注)流動比率=流動資産/流動負債

 29年度資金増△減

区       分 病  院 軌  道 高速電車 水  道 下水道 合  計

29年度末資金残高

30年度資金増△減額

30年度末資金残額

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7 一般会計からの繰入状況

地方公営企業法に基づく一般会計からの繰入状況は、第4表のとおりである。

一般会計からの繰入れは全会計にわたって行われており、繰入金総額は299億円(収益的収入

242億円、資本的収入56億円)となっている。会計別にみると、下水道事業会計の199億円を最

高に、高速電車事業会計の42億円、病院事業会計の37億円、中央卸売市場事業会計の10億円、

水道事業会計の9.1億円、軌道事業会計の0.6億円となっている。

経常収益への繰入割合を示す繰入率は、下水道事業会計が最も高く38.3%(193億円)となっ

ている。その大部分は、公費負担を原則としている雨水処理に係る経費を対象とした繰入れで

ある。そのほか、中央卸売市場事業会計で14.9%、病院事業会計で8.5%、高速電車事業会計で

4.7%、軌道事業会計で3.4%、水道事業会計で0.6%となっている。

一方、資本的収入の繰入金については、高速電車事業会計で19億円、次いで病院事業会計の

17億円、中央卸売市場事業会計の6.9億円、水道事業会計の6.4億円、下水道事業会計の5.8億円、

軌道事業会計の400万円となっている。

なお、繰入金総額299億円は、平成30年度一般会計歳出総額(9,810億円)の3.0%を占めてい

る。

第4表 平成30年度 一 般 会 計 繰 入 金 総 括 表

(単位 百万円)

中央卸売

市  場

473 - - - 163 19,266 19,903

473 - - - 163 19,079 19,716

- - - - - 186 186

1,504 316 63 2,269 108 130 4,393

890 - - - - - 890

613 316 63 2,269 108 130 3,502

1,978 316 63 2,269 271 19,396 24,296

(8.5) (14.9) (3.4) (4.7) (0.6) (38.3) (14.5)

- - - - - - -

1,978 316 63 2,269 271 19,396 24,296

1,700 - - - 240 - 1,941

- - 4 667 370 583 1,626

49 694 - 1,274 32 - 2,049

1,750 694 4 1,941 643 583 5,617

3,728 1,011 68 4,211 914 19,979 29,914

 (注) 繰入率=収益的収入への繰入額/経常収益額

負 担 金

補 助 金

営 業 収 益

負 担 金

補 助 金

営 業 外 収 益

負 担 金

補 助 金

経 常 収 益 (計)

( 繰 入 率 ( % ) )

合      計

病  院

出 資 金

資本的収入

収 益 的 収 入

特 別 利 益

下水道 合  計軌  道 高速電車 水  道区       分

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8 審査結果(総合意見)

⑴ 各会計の決算諸表は、関係法令に準拠して作成されており、諸計数は正確で、平成30年度

の経営成績及び同年度末の財政状態を適正に表示していると認められた。また、予算の執行

状況についても総じて適切であると認められた。なお、別に実施した定期監査等において、

一部不適切なもの、改善を要するものがみられたので留意されたい。

⑵ 各会計の経営状況等の概況をみると、当年度は病院事業会計、高速電車事業会計の2会計

で、本来の事業活動による料金収入が前年度を上回り、経常損益も改善したが、他の4会計

では料金収入が前年度を下回り、経常損益も悪化している。病院事業会計は、前年度に、経

営状況の悪化に伴う資金不足を解消するため、営業運転資金として27億円の長期借入金を一

般会計から借り入れているが、経常損失について当年度は9,000万円となり、前年度の10億

8,400万円に比べ大きく改善している(詳細は各会計のページを参照)。

水道事業会計、下水道事業会計を除く4会計では欠損金が生じており、特に高速電車事業

会計での欠損金は2,188億円と依然として多額となっている。さらに、企業債の未償還残高も

減少傾向にあるものの6会計合計で6,000億円を超えており、これらの元金や利息の償還が将

来の大きな負担として残されている。また、水道事業会計や下水道事業会計においては、施

設の大量更新時代に入ろうとしている。これらの現状を踏まえると、各会計とも引き続き増

収策の検討や経費削減に取り組むなどの改善を進める必要があり、その経営は今後も厳しい

状況が続くことが想定される。

公営企業は、企業としての経済性を発揮するだけではなく、自然災害への対策も含め、本

来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないが、公益上、市民生

活の維持・向上に必要な事業を実施すべき場合であっても、その他の事業を含めた総合的な

収支のバランスについて常に意識し、事業の必要性や優先順位等を適切に判断していくこと

が求められる。特に、事業運営の基本となる施設、設備等に係る建設改良事業については、

その整備、更新等一定の投資を続けていくことは必要であるが、こうした視点に立って投資

計画を立て、それを実行し検証していくことで、今後の建設改良費を適切な水準にしていく

ことが肝要と考えられる。

今後の事業運営に当たっては、これらの点に留意するとともに、費用対効果を十分に検討

した上で、公営企業としての公共性及び経済性を発揮し、より一層の経営健全化に努められ

ることを期待する。

⑶ 各会計の業務の実績、予算の執行状況、経営成績、財政状態、一般会計からの繰入状況及

び審査結果(個別意見)は、以下、会計別に述べるとおりである。

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(参考)平成30年度 項目別決算総括表

(単位 千円)

中央卸売市  場

営 業 収 益 20,830,513 1,560,799 1,521,947 44,867,395 42,692,605 40,497,618 151,970,880

営 業 外 収 益 2,477,517 683,474 454,338 6,122,519 2,658,569 11,782,648 24,179,067

計 23,308,030 2,244,273 1,976,286 50,989,914 45,351,174 52,280,267 176,149,947

営 業 費 用 22,732,932 2,195,345 1,898,826 34,822,073 32,363,809 44,667,611 138,680,600

営 業 外 費 用 663,211 239,737 30,794 6,147,592 2,468,771 3,845,918 13,396,026

計 23,396,144 2,435,083 1,929,621 40,969,666 34,832,581 48,513,529 152,076,626

△ 88,113 △ 190,809 46,665 10,020,248 10,518,593 3,766,737 24,073,320

590,037 - - - 60,947 5,111 656,096

- - - 35,373 106,501 66,743 208,617

590,037 - - △ 35,373 △ 45,553 △ 61,631 447,478

501,923 △ 190,809 46,665 9,984,875 10,473,040 3,705,105 24,520,799

602,200 248,000 611,000 5,956,000 1,500,000 13,024,000 21,941,200

49,442 694,362 - 1,274,000 32,000 - 2,049,804

- - - 53,211 839,288 - 892,499

- - - - - 3,763,959 3,763,959

- - 4,800 667,951 370,956 583,096 1,626,803

1,700,996 - 838,052 374,855 240,367 643,231 3,797,503

- - - - 821,052 - 821,052

- - - - 11,300 - 11,300

- - - 146,987 1,500,000 - 1,646,987

2,352,639 942,362 1,453,852 8,473,005 5,314,963 18,014,287 36,551,109

718,046 255,631 1,458,932 6,819,450 18,242,292 17,966,899 45,461,253

2,498,614 1,388,724 171,311 23,586,496 8,006,929 17,842,946 53,495,023

- - - - - - -

- - - 153,798 - 26,334 180,133

3,216,661 1,644,355 1,630,243 30,559,746 26,249,222 35,836,181 99,136,410

△ 864,021 △ 701,993 △ 176,391 △ 22,086,741 △ 20,934,258 △ 17,821,894 △ 62,585,300

△ 1,808,107 1,935,130 492,808 12,909,343 25,085,491 21,498,194 60,112,861

2,700,000 - - - - - 2,700,000

529,794 1,042,327 363,082 807,477 14,624,272 7,381,406 24,748,361

 (注) 本表の数値は、消費税を含む数値である。

収益的収支差引額 C=A+B

区       分

企 業 債

病  院 下水道 合  計軌  道 高速電車 水  道

収  益  的  収  支

収 入

支 出

国 庫 交 付 金

資    本    的    収    支

国 ・ 道 補 助 金

経  常  収  支

特別収支

特 別 利 益

特 別 損 失

差 引 額 B

差 引 額 A

他 会 計 補 助 金

長期借入金   F

加 入 金

資本的収支差引額 D

内部留保資金等 E

建 設 改 良 費

企 業 債 償 還 金

他会計借入償還金

資金残△不足額 C+D+E+F

負 担 金

固定資産売却代金

そ の 他

収         入

出 資 金

そ の 他

支    出