39
1 大学院案内 2007 [ 教員・研 究 紹 介 編 ] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 187 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ マネジメント専 攻 英米語学専攻 中国語学専攻 情報通信工学専攻 生物工学専攻 経済学研究科 マネジメント研究科 外国語学研究科

大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

1

大学院案内 2007 [教員・研究紹介編]

目 次

2

3

4

40

67

99

107

115

126

143

160

174

187

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

経 済 学 専 攻

マネジメント専攻

法 律 学 専 攻

英 米 語 学 専 攻

中 国 語 学 専 攻

言 語 学 専 攻

数 学 専 攻

物 理 学 専 攻

情報通信工学専攻

生 物 工 学 専 攻

法 務 専 攻

ま え が き

組 織 構 成

経 済 学 研 究 科

マネジメント研究科

法 学 研 究 科

外国語学研究科

理 学 研 究 科

工 学 研 究 科

法 務 研 究 科

Page 2: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

2

 近年、科学技術や学術研究の高度化あるいは社会及び産業構造の著しい変化が見

られ、社会のあらゆる分野で高い専門知識や能力、技術を持った人材が求められて

います。このような流れの中にあって、全国での大学院生数は20万人を超え、さら

に増加しています。本学においてもマネジメント研究科博士後期課程や外国語学研

究科英米語学専攻を設置し、さらに本年度は経済学研究科(通信教育課程)を立ち

あげる予定にしています。また、近年のこのような社会的ニーズに応えるべく、従

来の大学院の教育・研究方針である研究者養成という指針も踏まえつつ、高度専門

職業人の養成についても柔軟に対応しています。すなわち、研究成果のみならず、

その過程でのより高度な知識と技術の習得、それに何よりも未知の課題に対する解

決能力を養うことが肝要であると考えています。このような教育・研究を通じて、

現代社会の最前線で活躍できる知力、活力、創造力に富む人材を養成することを目

標にし、大学院の充実を計っています。

 このような状況下で、学部学生にとって学部入学後出来るだけ早い時期から大学

院進学も選択肢の一つとして念頭に入れておく必要があります。また、マネジメン

ト研究科および法務研究科に見られるように、他学部からの大学院進学者を積極的

に受け入れる研究科が多くなっています。これは、学際領域の研究あるいは人材養

成という観点からも重要となっています。これらの前提として、本学大学院教員の

教育研究活動をできるだけ把握しておくことも必要となります。本冊子は、学部入

学当初の学生あるいは他学部の学生にも教育研究の概要がわかるように出来るだけ

平易に説明しています。さらに、各教員の論文や著書名を記載し、より詳しい内容

を知りたい大学院進学希望者にも対応できるようにしています。また、教員との接

点をより多くするため、教員の社会的活動や大学院生の進路などの参考資料を付記

しています。本冊子が本学学生のみならず多くの社会人や他大学の大学院希望者に

も情報源として利用していただけることを期待しています。

大学院長 中 田  博

高度専門職業人・研究者をめざして

Page 3: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

3

Page 4: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

経済学研究科

■経済学研究科 経済学専攻 ※印は指導教授を示します。 (五十音順)

職階 教員名 領域科目名 研究テーマ ページ

  ※ 教授 ※ 助教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 助教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 講師 ※ 助教授 ※ 講師 ※ 教授 ※助教授 ※ 講師 ※ 教授 非常勤講師 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 助教授 ※ 助教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 助教授 ※ 教授 ※ 講師 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授 ※ 教授

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

36

37

38

39

浅井  勇 財政学 資源配分・所得分配・財政政策についての理論的・実証的研究 飯田 善郎 公共経済学 公共財の自発的供給問題についての理論および実験研究 市田 浩三 情報処理論 経済経営における情報処理及びシステムの最適化に関する研究 岡本 光治 日本経済論 日本の経済発展(中・長期的な課題の分析) 小川 喜弘 都市経済論 都市問題の経済分析 小田 秀典 ミクロ経済学 多部門成長理論、計算機経済学、論理学、実験経済学 柿野 欽吾 中小企業論 現代日本地場産業の実証的な研究 片岡 佑作 統計学 労働問題への計量経済学の適用 加茂 知幸 ミクロ経済学 一般均衡理論、数理経済学 菊川 貞巳 産業政策 規制緩和、ドイツの競争政策の研究 久力 文夫 農業政策、社会政策 近代的農業者育成に関する社会学的研究 後藤富士男 経済体制論 北朝鮮経済の研究 齊藤健太郎 西洋経済史 イギリス社会経済史・労使関係史、熟練形成の史的 分析、労働市場の比較史的分析 岑  智偉 中国経済論 公的部門・独占企業の経済成長に対する影響についての理論・実証分析 菅原 宏太 地方財政論 地方分権下における地域間競争、地域間財政力格差 田中  寧 労働経済学 人的資本論、OJT理論、大学進学率の決定要因、 経済的不平等、少子高齢化の経済分析 玉木 俊明 経済史 16-18世紀の北ヨーロッパ貿易史 寺井  晃 マクロ経済学 マクロ経済学と日本経済 寺町 信雄 国際経済論 国際貿易の理論と実証 土居 潤子 経済成長論 経済成長モデルの構築とその移行過程分析 塘  茂樹 経済学史、 オーストリア学派とその周辺の経済学説 経済経営外国文献研究 中園 史彦 貿易政策 産業内貿易の発展についての実証分析 並松 信久 農業政策 イギリスおよび日本の農学史 西村 佳子 金融論 投資教育が家計の資産選択に与える影響について 朴  勝俊 環境経済学 環境税制改革 その理論と世界的実情 蓮井  敏 経済数学 数学教育とその経済学への応用 葉原 壽人 国際金融論 国際金融論・国際経済学 林   隆 経済人類学 カール・ポランニの主張についての研究 福井 唯嗣 社会保障論、 個人属性の異質性とその変化を前提とした ミクロ経済学基礎 公共政策のあり方 福田 充男 ファイナンス論 日本の資本市場と企業金融に関する実証研究 藤野 敦子 労働経済学 出産、育児、女性の就業などに関する実証研究 八木三木男 国際投資論、 国際証券投資、海外企業進出 経済経営日本文献研究 安原 宣和 経済政策 日本経済の現状と政策課題 山田 勝裕 マクロ経済学 動学的調整の研究 湯川 攝子 開発経済学 ラテンアメリカの経済発展

4

Page 5: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

財政の資源配分機能、所得再分配機能、経済安定化機能(財政政策)の3機能について、

不確実性がある場合に、それが上記の3機能にいかなる影響を与えるかを、理論的・実証

的に研究している。特に公共投資の割引率が不確実性が存在するとき資源配分に与る影響

や所得分配については所得税との関連での研究を行ってきた。財政政策については、日本

財政の現状、中立命題の理論的・実証的検討の試みや不確実性を考慮し財政政策の有効性

と保険市場の関連についても研究してきた。また共著であるが財政や金融に関するテキス

トも書いている。また、財政に計量経済学的手法を用いたものや、計量経済学関連では、

分布についての理論的研究をおこなったものや計量的手法の応用例としてのものもある。

今後は財政改革、少子高齢化にが進行するわが国の年金問題や医療問題について研究する

予定である。

【主な論文、著書など】

1)論文:最適所得課税について、共著、京都産業大学論集、2004年3月 

2)著書:日本経済と金融、共著、晃洋書房、1997年3月

3)著書:現代財政の基礎、共著、八千代出版、1993年4月

4)論文:公共投資の割引率について、単著、京都産業大学経済経営論叢、1985年12月

5)論文:公共投資の割引率と所得税の役割、単著、同志社大学経済学論叢、1982年3月

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)部分的制約を受ける誘導形推定値のモーメント、共同報告、日本統計学会、1982年7

月24日

2)フリードマン的貨幣需要関数の統計的検証、理論・計量経済学会西部部会、1972年6

月18日

【特記事項】

社会活動:京都府営水道事業経営懇談会委員 1983年4月~1994年3月

NTTお客様懇談会委員 1993年4月~1995年

院生の就職先:ほとんどが税理士の会計事務所

出身高校:京都市立日吉ヶ丘高等学校

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 浅井 勇■ 担当する領域科目名:財政学■ 研究テーマ

資源配分・所得分配・財政政策についての理論的・実証的研究■ 取得学位:同志社大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:財政改革、年金・医療問題、

世代間の公平、所得格差■ 研究室電話番号:■ e-mail:

5

経済学研究科

Page 6: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

経済学研究科

【研究の概要】

環境や生産のノウハウに関する技術は公的機関が供給するものではありませんが、理論

的に言えば一種の公共財です。京都議定書の発効の難航を見ればわかるように、それらが

自発的に最適な水準まで供給されることは一般に困難です。私の研究はこの問題、つまり

公共財が合理的主体の自発的供給に依存してどこまで実現可能かを理論と実験を用いて分

析することにあります。

近年は特に実験経済学の研究手法を用いて、公共財実験における人間行動の理論と実際

の乖離とその原因について研究しています。公共財の自発的供給は理論的には困難ですが、

現実の社会では自発的供給が生じている例も少なからずあります。どのような要因が自発

的供給の実現を可能にするのか、また何がそれを困難にする、あるいは実現した自発的供

給を悪化させてゆくのか、考えられうる要因を切り分けて検証しています。

【主な論文、著書など】

1)飯田善郎 "R&Dスピルオーバーを伴う複占市場における情報ゲーム", 京都産業大

学論集社会科学系列, 第18号, 2001

2)飯田善郎, "寡占下の共有資源問題" 大阪大学博士学位論文, 1999

3)飯田善郎, "不完備情報下での共同研究開発", 京都産業大学経済経営論叢, 第34巻第3

号, 1999

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)"Should Superman Know That He Is Super? An Experimental Study of Intrinsic

Motivation to Contribute to Public Good by Heterogeneous Agents" Gerlinde Fellner,

Sabine Kroger, Yoshio Iida and Erika Seki, presented in Economic Science

Association Conference in Tucson, 2003

2)"The Effect of Group Competition in the Prisoners' Dilemma Game"

Yoshio Iida, presented in

The Seventh International Meeting of the Society for Social Choice and Welfare,

2004

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 飯田 善郎■ 担当する領域科目名:公共経済学■ 研究テーマ

公共財の自発的供給問題についての理論および実験研究■ 取得学位:大阪大学 博士(国際公共政策)■ 研究分野を表すキーワード:公共財、所得再分配、経済学実験■ 研究室電話番号:■ e-mail:

6

Page 7: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

7

経済学研究科

【研究の概要】

経済学、経営学、理学、工学のさまざまな分野において、意思決定などに関する最適化

問題が現れる。これまで、この問題に対して主に2つのアプローチを行ってきた。1つは、

モンテカルロ法や遺伝的アルゴリズムなどの乱数を用いた計算方法である。これによると、

物理的あるいは生物的な現象のシミュレーションによってシステムの最適状態に到達する

ことができる。もう1つは、普通の数を区間と呼ばれる数に拡張した、区間計算を利用す

る方法である。この計算法は、通常の数の計算より計算時間がかかるが、必ず大域的な最

適解を得ることができる。最近は、最適化の種々のアルゴリズムを利用して、最適課税の

あり方についての研究を行っている。

上記以外に、企業分析と評価、会計監査、日本の財政、金融工学などにも興味をもって

いる。

【主な論文、著書など】

1)「最適所得課税について(2)」(2005年12月)京都マネジメント・レビュー、第8号。

2)「学校法人のキャッシュ・フロー計算書」(2004年12月)京都マネジメント・レビュー、

第6号。

3)「最適所得課税について」(2004年3月)京都産業大学論集、社会科学系列第21号。

4)「中東欧諸国の会計と国際会計基準」(2003年3月)同文館出版、

第3章および第5章を分担執筆。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「最適所得課税理論と日本の申告所得税」(2006年3月)情報処理学会全国大会。

2)「区間演算による分枝限定法」(2002年9月)電気関係学会北陸支部連合大会。

3)「Interval Computations for Nonlinear Goal Programming」(2001年7月)

The European Operational Research Conference,Rotterdam.

【特記事項】

公認会計士(京滋会)、税理士(左京支部)、米国公認会計士(デラウェア州)

ファイナンシャル・プランナー(CFP、京都支部)

ITコーディネータ(京都支部)

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 市田 浩三■ 担当する領域科目名:情報処理論■ 研究テーマ

経済経営における情報処理及びシステムの最適化に関する研究■ 取得学位:京都大学 工学博士■ 研究分野を表すキーワード:情報処理、最適化、税制■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 8: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

日本経済の戦前・戦後の経済発展のプロセスを理論・実証両面から考察する。特に人的

資源を含めた「資本形成」と「対外経済面の諸条件」のあり方に注目している。中長期的

に見て、日本経済に一貫した特質を探り、冷徹に現在のおかれた諸条件や将来的な課題を

明らかにしていくことが目標である。

(なお、一昨年まで日本経済研究とのかかわりの中で、平成13年度からの5カ年計画で

大学院経済学研究科のグループ研究事業であるオープン・リサーチ・センター(ORC)

の中の「中国経済プロジェクト」に参加し、中国経済についても調査研究中してきた。)

【主な論文、著書など】

1)『混沌と錯綜:中国東北の世界』(とき選書) 1999年5月 新潟日報事業社

2)「中国への直接投資:経過といくつかの問題点について ―99年度環日本海社会研究部

会調査報告(北京・上海・大連での日系企業の訪問調査から)― 」 2002年12月

新潟産業大学『経済学部紀要』№22

3)「日本の高失業率は持続するか?」 2000年12月 京都産業大学『経済経営論叢』

第35巻 第3,4号

【特記事項】

私は福井県立敦賀高校の出身で、大学院生の頃から暇を見つけて登山に熱中、このかか

わりで、素朴な野外料理を少々特技としております。なお、新潟の私立大学に十数年勤務

してきた関係上、日本酒の味にたいへんうるさくなりました。東京の財界事務局にも10年

間勤務してきた経験があります。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 岡本 光治■ 担当する領域科目名:日本経済論■ 研究テーマ

日本の経済発展(中・長期的な課題の分析)■ 取得学位:京都産業大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:人的資源、資本形成、輸出入の条件■ 研究室電話番号:

経済学研究科

8

Page 9: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

9

経済学研究科

【研究の概要】

都市の問題は広く、住宅・産業立地、交通・環境・美観問題など多岐に亘っています。

こうしたテーマについて、市場メカニズムを通じた経済面から、理論および実証分析をお

こなっています。特に、大規模都市における経済のサービス化・情報化の進展を背景とし

た経済活力と、地方都市の衰退に見られる都市間の経済格差について、人口の社会的移動

を基準として、都市間の均衡ある発展の方策を模索しています。効率性の追求の結果とし

て東京一極集中の持続する中、大規模な都市がますます発展するという、いわゆる『規

模・集積の経済』が都市に働くことは良く知られていますが、この経済メカニズムを制御

するためにも、市場の外から公平性の観点に基づき供給される『地方公共財』が重要な役

割を持つことになります。地方公共財の最適供給とそのときの都市の産業・人口分布を中

心とした最適都市構造を、都市間の人口移動と土地の利用価値である地代の変化でとらえ

ることにより評価しようとしています。

【主な論文、著書など】

1)(2006)『地域経済:地域間の均衡ある発展に向けて』

「入門・日本経済」浅子和美・篠原総一編(有斐閣)2006年5月

2)(2000)『地域開発と経済活性化―地方公共財からの接近―』

京都産業大学論集社会科学系列第17号 2000年3月 pp.24-37

3)(1992)『最適都市の構造 ―都市間の均衡と社会的共通資本―』

「最適都市を考える」 宇沢弘文編(東京大学出版会)1992年3月 pp.45-71

4)(1989)『最適都市の構造 ―都市と社会的共通資本―』

「日本経済;蓄積と成長の軌跡」 宇沢弘文編(東京大学出版会)1989年11月

pp.281-303

5)(1989)『地方公共財理論におけるAtkinson-Stiglitzのパラドックスについて』

東京大学 「経済学論集」 1989年1月(共著)pp.2-6

論文の概要は、全てタイトルに示されているとおりです。

【特記事項】

二十数年間、財政投融資の立場から地域(都市・地方)開発にたずさわってきました。

理論・実証両面から、地域経済の発展にこだわり続けたいと思います。趣味はバイオリン

ですが、最近はもっぱら聞く方ばかりです。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 小川 喜弘■ 担当する領域科目名:都市経済論■ 研究テーマ

都市問題の経済分析■ 取得学位:東京大学 修士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:新都市経済学、地方公共財理論、

都市構造、地域間均衡■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 10: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】1. 多部門成長理論:技術が不比例的に進歩し消費需要が不比例的に拡大する経済の研究

を続け、時間節約的技術進歩(たとえば2人が3日で作る技術から3人が2日で作る技術への変更)の効果や資本財貿易(習得した技術を使うために必要な資本財を輸入しなければいけない途上国の国際収支と所得の動学)についての理論研究の論文を発表している。…[4]

2. 計算機経済学:計算機実験による経済分析を理科系の若者たちと進めている。…[3]3. 論理学:自分の思考体系のなかで考えるだけでなく自分の思考体系について考える人

間の推論の定式化と分析を、八杉満利子教授(理学研究科)と進めている。…[2]4. 実験経済学:経済実験を学内外の理科系文科系の若手研究者や院生と一緒に進めてい

る。実験経済学は、研究したい経済をゲームとして再現して人間にプレイさせることで人間の行動や経済システムの挙動を調べる研究方法であるが、とくに人間の行動を計算機実験で再現することと、マーケット・マイクロストラクチャー理論に基づく実験(売手と買手ではなく売買を成立させる仲介業者の行動を調べる実験)を人間と計算機エージェントの複合システムで行うことに興味をもっている。…[1]

【主な論文、著書など】[1] K. Ogawa, Y. Koyama and S. H. Oda: “A Middleman in an Ambiguous Situation -

Experimental Evidence-”, to appear in the Journal of Socio-economics. [2] M. Yasugi and S. H. Oda (2002): “A note on the wise girls puzzle”, in Economic

Theory, vol.19, pp.145-156.”[3] S. H. Oda, K. Miura, K. Ueda and Y. Baba (2000): “The application of cellular

automata and agent model to network externalities in consumers’ theory” inCommerce, Complexity and Evolution edited by W. Barnett, C. Chairella, S. Keen, R.Marks and H. Schnabl, Cambridge University Press, New York, pp. 351-370.

[4] S. H. Oda (1999): “Trade in Capital Goods Generated by International Learning”,in Structural Change and Economic Dynamics, vol.10, pp.195-208.

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】2003年には、ESA(実験経済学)やCIRP(工学)などで合計5件の国際会議報告。その

ほか複数の国内会議でパネル参加や講演など。

【特記事項】2000年度から、合計4名の日本学術振興会特別研究員を受け入れているほか、私立大学

学術研究高度化推進事業「オープン・リサーチ・センター」『実験経済学:経済学教育の新しい方法と、それによる経済学教育の社会的効果の研究』(2001-5年度)のプロジェクト・リーダーを務めている。

URL:http://www.kyoto-su.ac.jp/̃oda

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 小田 秀典(宗兵衛)■ 担当する領域科目名:ミクロ経済学■ 研究テーマ

多部門成長理論、計算機経済学、論理学、実験経済学■ 取得学位:サセックス大学 Ph.D■ 研究分野を表すキーワード:実験経済学、計算機経済学、

ゲーム理論、論理学■ 研究室電話番号:■ e-mail:

経済学研究科

10

Page 11: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

11

経済学研究科

【研究の概要】

現代日本経済は、組立工業に典型的にみられるように大企業が牽引している。しかし、

中小企業は、この大企業に必要な部品を供給する下請企業としてだけでなく、軽工業や商

業・サービス業でも活躍しており、わが国経済を根底から支える存在である。

研究分野は、こうした中小企業のうち同じ製品を生産する中小企業が地域的に集中立地

する、いわゆる地場産業を対象にその現状・課題・将来展望を明らかにすることである。

わが国にはこうした地場産業が500余り全国に散在しているが、とくに京都には都市型・

伝統的地場産業が多数存在しており、その実証的な研究を続けている。なかでも京都の伝

統的な地場産業の典型である西陣機業を対象に精力的に研究している。

西陣機業は、水平的・垂直的な企業間分業の下に多種多様な先染の絹織物を生産してき

たが、近年和装離れに加えてデフレ経済や中国の工業化の影響もあって、その生産・出荷

が不振であるだけでなく、従業者の高齢化、技術・技能の脆弱化や流通の多段階性など、

多くの課題を抱えている。その対応策も検討中している。

【主な論文、著書など】

1)「京都の産業構造変化と経済再生の可能性」今口・日夏編著『京都企業の光と陰』

思文閣出版、2000年1月所収。

(京都市の産業構造の特色とからめて経済再生のための京都の経営資源について言及した。)

2)「西陣織工業の変容」同志社商学第51巻第1号、1999年6月所収。

(西陣織工業が不振の中その垂直的な企業間分業の脆弱化を実証した。)

3)「わが国産業集積の実証分析」京都産業大学論集 社会科学系列第16号、1999年3月所収。

(西陣織産業としていかなる企業間分業が展開されているかを明らかにした。)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

日本中小企業学会などに所属しているが、直近は非所属の学会で以下の研究発表をおこ

なった。

1)国際服飾学会、2001年6月、「西陣織工業における分業構造の変容」。

2)繊維学会「感性研究フォーラム」、1998年5月、「西陣織工業の構造と現況」。

【特記事項】

・京都府・京都産業活性化プラン政策検討会議メンバー。

・京都市・伝統産業技術功労者選考委員会委員。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 柿野 欽吾■ 担当する領域科目名:中小企業論■ 研究テーマ

現代日本地場産業の実証的な研究■ 取得学位:同志社大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:地場産業、西陣機業、中小企業、

企業間分業■ 研究室電話番号:

Page 12: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

企業の経営不良回避、あるいは経営強化をはかるためには多様な手段があるが、従業員

に対する労働条件の変更もその 1 つであり、具体的には労働協約および、就業規則による

不利益変更等があげられる。不利益変更の具体例としては、1. 賃金支給率の低下をもたら

す計算方法の変更、2. 退職金の減額、3. 定年制の新設、あるいは定年年齢の引下げ、4. 勤

務時間延長その他、がある。

就業規則不利益変更については、合理的な内容のものである場合においてのみ、効力が

生じるとされ、その判断要素は、就業規則変更によって労働者が被る不利益の程度、使用

者側の変更の必要性、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置、労働組合との交

渉経緯、他の労働組合、従業員の対応、我が国社会における一般的状況、の 7 項目からな

る。こうして現時点の研究は、多数の判例デ-タから次の点を調べている。

1. 不利益変更の特定タイプと、司法判断による合理性肯定(会社側勝訴)、否定(会社側

敗訴)に関連はあるか。

2. 不利益変更に代償措置が加わると、合理性はどの程度肯定されやすくなるか。

【主な論文、著書など】

1)片岡佑作、固定効果のあるロジットモデルにおける重み付LS推定値の漸近特性、京都

産業大学論集、社会科学系列、第 23 号、2006 年、pp.19-40。

2)     固定効果のあるパネルデータモデルのロジット推定、京都産業大学論集、

社会科学系列、第 22 号、2005 年、pp.1-28。

3)     就業規則不利益変更事案の分類-標本からの結果-、京都産業大学論集、

社会科学系列、第 21 号、2004 年、pp.31-55。

4)     歩合給計算方法の不利益変更、京都産業大学論集、社会科学系列、第 20 号、

2003 年、pp.17-33。

5)    (共著)The First Moment of an Ordinary Least Squares Estimate for

Bivariate Koyck Distributed Lag Models, The Economic Studies Quarterly, 1990,

Vol.41, pp.205-220.

6)    (共著)The Exact Moments of Ordinary Least Squares Estimators for

Koyck Distributed Lag Models, International Economic Review, 1986, Vol.27, pp.245-260.

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

不利益変更に関する研究結果を 2004 年 9 月の日本経済学会(岡山大学)において宮下洋

氏と共同報告。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 片岡 佑作■ 担当する領域科目名:統計学■ 研究テーマ

労働問題への計量経済学の適用■ 取得学位:名古屋大学 博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:計量経済学、統計学■ 研究室電話番号:■ e-mail:

経済学研究科

12

Page 13: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

13

経済学研究科

【研究の概要】

1)破産・倒産制度を経済学的に分析しています。日常の経済活動において、様々な経済

事情により、債務不履行や破産・倒産が起こることがしばしばです。信用取引(お金

の貸し借り等)は頻繁に行われていますので、一個人・一企業の破産や倒産の影響は、

連鎖倒産などを含めて広範におよぶこともあります。そのため、破産・倒産が起きた

場合、どのように処理を行うのかをきちんと定めておく必要があります。これが破産

制度ということになります。この制度の持つ影響力は、破産の事後処理だけにとどま

りません。なぜなら、この制度のあり方によって、事前の信用取引自体が変化するか

らです。この事前と事後の影響を考慮に入れた上での、最適な破産制度の設計につい

て研究しています。

2)市場経済体制は、ある条件の下では、効率的な資源配分を達成することが知られてい

ます(厚生経済学の基本定理)。しかし、現実の経済では、外部性(公害)や公共財

(道路建設)の問題などにより、その条件が満たされない状況が数多く存在します。

このような状況を補正するものを経済政策といいます。経済政策の数ある手段の中で

も、最も代表的なものは課税でしょう。最適な課税のあり方を研究する分野は最適課

税論として知られています。現在は、この最適課税論について、新しい枠組みを構築

する研究しています。

【主な論文、著書など】

1)世代重複モデルとケインズ経済学―均衡財政乗数に関するノート

同志社大学経済学論叢 第52巻第4号 (2001)

2)一般均衡分析におけるゲーム理論的方法

同志社大学経済学論叢 第52巻第2号 (2000)

3)The Effects of Capital Taxation in Incomplete Markets

同志社大学経済学論叢 第50巻第4号 (1999)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

<学会発表>

2004年16月 GETA2004 Workshop(討論者)

2003年10月 日本経済学会秋季大会(討論者)

2002年10月 日本経済学会秋季大会(座長・討論者)

2000年15月 日本経済学会春季大会(論文報告)

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 加茂 知幸■ 担当する領域科目名:ミクロ経済学■ 研究テーマ

一般均衡理論、数理経済学■ 取得学位:同志社大学 修士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:数理経済学、一般均衡理論、ゲーム理論■ e-mail:

Page 14: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

経済学研究科

【研究の概要】ドイツ・フライブルク学派のヴァルター・オイケンの経済・競争政策について研究して

いる。オイケンは、1933年から45年にいたるヒトラー時代の経済政策に強く反対し、ヒトラーが首相に就任するや学生たちにヒトラーへの不服従を訴えたほどであった。その彼が、ヒトラー後のドイツの経済をいかに運営すべきかをヒトラー時代に考え、戦後のドイツの経済運営に対する指針を示した。彼は、経済を経済秩序と経済過程に峻別し、ヒトラー時代への反省から、国家の役割をゲームのルールに当たる経済秩序の形成と維持に限定し、何をどれだけ、どのように、誰のために生産するか、に当たる経済過程には国家が介入してはならないとした。この経済過程の決定は、個々の経済主体の自由な決定に委ねるべきとしたのである。これを彼は競争秩序という言葉で表現しているが、いわゆる市場経済の本質に当たるものである。この彼の考え方が戦後のドイツ経済運営に「社会的市場経済」という概念で導入された。この彼の考え方から、今日の我が国経済を見ると、国家が経済過程に依然として強く介入しているのに唖然とする。今、規制緩和と叫ばれているのは、オイケンがすでに半世紀以上も前に主張したことを、何とか実行しようというものである。いろいろな分野でビッグ・バンが必要な我が国経済であるが、オイケンの政策思想をその観点から研究している。

【主な論文、著書など】1)「株主の権利と経営主権」『合理化』4月号(453号)2005年4月1日発行2)「市場経済と競争政策」『公正取引』2月号、No.652号 2005年2月15日発行3)「日本経済・金融の現状と市場経済原理による対策」平成11(1999)年3月 経済経営

論叢 第33巻第4号4)「カリフォルニアのコメ事情の周辺-コメ増産の制約:人口増加と水不足-」平成4

(1992)年3月 経済経営論叢第26巻第4号5)「ドイツの構造政策-旧西ドイツを中心として」平成3(1991)年6月 津田他偏『現代

経済体制と経済政策』晃洋書房6)「独禁法の精神と消費税転嫁カルテル」昭和63(1988)年12月 経済経営論叢第23巻第3号7)「コメの自由化問題について」昭和62(1987)年3月 経済経営論叢第21巻第4号8)「アメリカにおける産業政策の動向」昭和59(1984)年3月 経済経営論叢第18巻第4号9)「西ドイツにおける新自由主義-オイケンの競争政策を中心として-(1)」昭和57

(1982)年12月 経済経営論叢第17巻第3号10)「西ドイツにおける新自由主義-オイケンの競争政策を中心として-(2)」昭和58

(1983)年3月 経済経営論叢第17巻第4号11)「西ドイツにおけるカンツェンバッハの最適競争強度論-いわゆる『広い寡占論』-」

昭和53(1978)年9月 経済経営論叢第13巻第2号12)「オイケンの完全競争」昭和52(1977)年3月 富大経済論集22-3

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 菊川 貞巳■ 担当する領域科目名:産業政策■ 研究テーマ

規制緩和、ドイツの競争政策の研究■ 取得学位:神戸大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:競争、ドイツの競争政策、規制緩和■ 研究室電話番号:■ e-mail:

14

Page 15: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

15

経済学研究科

【研究の概要】

農産物の安全性、食糧自給率の低下、農村の高齢化などわが国の農業・農村を取り巻く

危機的状況が指摘されている。さらにフード・マイレッジという概念によって、わが国の

食糧調達のエネルギー資源消費が米国の3倍にも達することが明らかにされている。これ

らの事柄は農村地域の自然的、社会的環境問題の深刻さを現している。

このような現状に対して何らかの打開策を考えることは出来ないだろうか。地域資源を

活用し、環境を保護する方法を地域農業・農村の生活全般を再構築することにより、問題

解決の方策を見出せないかと研究している。

加えて最近では、国際化する中国経済の中にあって、都市・農村、東部・中部・西部地

域の間に経済格差が広がっているが、中国農業の近代化の現状と課題について、農業・農

村・農民、農林業資源の面から研究を進めている。

【主な論文、著書など】

1)久力文夫「中国農業近代化への試練」2003.3京都産業大学大学院経済研究科オープン

リサーチセンター DPシリーズNo.CHINA-08

:近代化を進める中国農業の克服すべき諸課題についての概観

2)久力文夫「山崎延吉の農村計画論―地域自治の確立と村格の向上―」2003.3『京都産

業大学論集』社会科学系列 第20号

:安城農学校長山崎延吉の農民の自助努力による農村計画について、その現代的意義

3)久力文夫「明治後期の蚕業教育の確立―長野県小県蚕業学校の場合―」『京都産業大

学国土利用開発研究所紀要』第22号

:長野県の養蚕業を支えた農民を育成した小県蚕業学校教育の展開過程について

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 久力 文夫■ 担当する領域科目名:農業政策、社会政策■ 研究テーマ

近代的農業者育成に関する社会学的研究■ 取得学位:京都大学 農学修士■ 研究分野を表すキーワード:地域資源、農業教育、自給農業■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 16: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

北朝鮮は、最近では経済統計データをほとんど公表しませんので、その貿易相手国が公

表したデータを用いて対外貿易面を分析しています。その一方、これから北朝鮮がとり得

る経済政策路線を予測しています。今後北朝鮮がはたして本格的な改革・開放に踏み込む

のか否か、そしてそれを実施した場合の影響などに注目しています。

このような研究に取り組むベースとして、これまで北朝鮮経済に関して次のような研究

をしてきました。

鉱工業生産指数の推計(1944~1970年代)、1950年代のGDP推計、1960年代の農業政

策、第二次大戦終結直後から1990年代までの経済政策史、1990年代の食糧危機と農業政策、

1990年代以降の食糧輸入、対中貿易の交易条件指数の推計などです。

【主な論文、著書など】

1)「1990年代前半の北朝鮮の対中国貿易」伊豆見元・張達重編(2004年)『金正日体制

の北朝鮮-政治・外交・経済・思想-』慶応義塾大学出版会、pp.263-289。

2)「体制維持と改革のジレンマに直面する北朝鮮経済-対ソ連/ロシアおよび中国と

の経済関係の分析-」『ロシア・東欧学会年報』第32号、2004年、pp.91-104。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

「体制維持と改革のジレンマに直面する北朝鮮経済」ロシア・東欧学会(2003年)

【特記事項】

出身高校:石川県立大聖寺高校

犬の散歩が日課。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 後藤 富士男■ 担当する領域科目名:経済体制論■ 研究テーマ:北朝鮮経済の研究■ 取得学位:京都産業大学 経済学博士■ 研究分野を表すキーワード:改革・開放、中国企業の対北朝鮮直接

投資、資源開発、レアメタル■ 研究室電話番号:

経済学研究科

16

Page 17: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

17

経済学研究科

【研究の概要】

イギリスと日本の労働をめぐる諸問題に関して歴史的な研究を行なっている。イギリスにつ

いては、19世紀から20世紀半ばにいたる熟練工の労働組合のショップ・フロアにおける影響力

の変化、また熟練形成や徒弟制・技術教育の変化に関心を持っている。実証研究の対象は主に

機械産業と繊維産業であり、イギリス国立公文書館や各地の文書館で原資料を収集・読解する

ことが研究の基礎となっている。一方、日本については、明治-昭和戦前期の労働市場統合を

中心に研究を進めている。現在は、府県別統計書から賃金・物価のデータ・ベースを作成し、

それらの地域間における変動の統計分析をおこなっている。熟練工として大工などの建築労働

者や機械工、非熟練工として農業労働者を取り上げ、その労働市場統合について様々な角度か

ら分析している。これらの研究結果を、イギリスをはじめとする欧米諸国と比較し、近代化・

産業化のパターンを議論することが目下の研究の目的である。

【主な論文、著書など】

1)「近代日本における労働市場統合と生活水準に関する一試論-熟練労働者と農業労働者の地

域間賃金変動の分析、1899-1940-」『三田学会雑誌』97巻4号(2005年1月)

2)Employers'Organizations and Wage Question of Skilled Workers:Power structure in

the EEF and skill shortages in the British engineering industry,1933-34,Keio Economic

Studies Vol.39,no1(2002)

3)「技能・徒弟制・熟練供給-戦間期イギリス機械産業におけるトゥールメーカーを事例にし

て」、『社会経済史学』68巻1号、(2002年7月).

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)‘Market Integration and Standards of Living in Modern Japan,1899-1939’,The 5th

World Cliometrics Congress,8-11 July 2004,Venice International UniverSity.

2)‘Labour Markets and the State in Interwar Britain’,2003年9月第4回日英歴史家会

議・分科会Modern History Workshop(於東京大学文学部).

3)社会経済史学会全国大会、自由論題部門 2001年5月19日、於上智大学、「戦間期イギリ

スにおける熟練の「解体」と熟練工の労働市場-機械産業とToolmakersを中心にして-」

【特記事項】

趣味は旅行・テニス・食べ歩き、など。福岡県立修猷館高校出身。

経済学研究科 経済学専攻 

※講師 齊藤 健太郎■ 担当する領域科目名:西洋経済史■ 研究テーマ

イギリス社会経済史・労使関係史、熟練形成の史的分析、労働市場の比較史的分析

■ 取得学位:ケンブリッジ大学、Ph.D■ 研究分野を表すキーワード:欧米経済、労働、歴史■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 18: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】この研究は現実の中国経済を理論的背景として、現実経済の中で存在していると思われ

るRent-Seeking問題(公共経済学)をR&D投資や公共支出による成長モデル(内生的成長論)に取り入れ、政府、国有(公的)企業、独占企業の経済成長に及ぼす影響を理論的・実証的に分析しているものである。この研究で展開される議論は以下の問題意識に基づいている。R&D投資や公共支出といった経済活動の中で、企業が市場の不完全性を利用して、政治的な手段(Rent-Seeking)で自分の目標を達成し利益を獲得しようとするとき、内生的成長論で考えているR&D投資や公共支出の長期成長に対する効果は、必ずしも大きいものとは言えない。また、この場合、政府による租税や補助金政策が有効的に機能せず、更なる生産資源配分の歪みをもたらし、長期成長に悪い影響を与える可能性がある。このような問題は、現実経済の中で多かれ少なかれ、存在しているものと考えると、この研究からのメッセージは現実的な意味をもつものと思われよう。

【主な論文、著書など】1)「Rent-Seeking、公的支出と長期成長-「余裕」活動を伴う公的支出による成長モデ

ル-」,Discussion Paper No.980102,Ritsumeikan University Discussion Paper Series,March 1999

2)「Rent-Seeking、R&Dと長期持続成長-「余裕」活動を伴う1部門R&D成長モデル-」(共著),Working Paper No.J-11,Faculty of Economics, Kyoto University, March 1999.

3)「予測し難い中国経済-中国経済成長の持続可能性を中心に」,吉田和男編『日本経済再生の条件』シュプリンガー・フェアラーク東京,pp196-pp210,2002年.

4)(共訳)吉田和男監訳『クルーグマン国際経済学』(「まえがき」,「第6章」),エコノミスト社,ppV-ppXVi,pp155-pp207,2002年.

5)「Rent-Seekingを伴う長期成長の可能性と経済政策効果」,Open Research Center, KyotoSangyo University, Discussion Paper Series No. CHINA-05, March 2003

6)「Rent-Seekingを伴う中国R&D投資と長期成長」, Open Research Center, KyotoSangyo University, Discussion Paper Series No. CHINA-01, February 2002(掲載:

『京都産業大学論集』(社会科学系)第21号,2004)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】学会発表1)「Rent-Seeking、R&Dと長期持続成長-「余裕」活動を伴う1部門R&D成長モデル-」

(共著)、東アジア経済学会。1999年。2)「Rent-Seeking、公的支出と長期成長」(単著)、中国経済学会全国大会、2003年。

「Rent-Seekingを伴う中国R&D投資と長期成長」(単著)、中国経済学会全国大会、2004年。

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 岑 智偉■ 担当する領域科目名:中国経済論■ 研究テーマ

公的部門・独占企業の経済成長に対する影響についての理論・実証分析

■ 取得学位:京都大学 博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:持続経済成長、レント・シーキング、

異質な経済主体■ 研究室電話番号:■ e-mail:

18

経済学研究科

Page 19: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

19

経済学研究科

【研究の概要】

日本でも進められようとしている地方分権について研究しています。地方分権の下で起

こる地域間での過当競争の問題、地域間の財政力格差の問題、中央政府と地方自治体との

間の政治経済的な繋がりがもたらす問題など、様々な観点から日本で必要とされる地方分

権と補助金のあり方について考察することが主な研究テーマです。

【主な論文、著書など】

1)「地方自治体によるロビイングと地方財政問題 ―集権的補助金システムに関する政治

経済分析―」、『京都産業大学論集』社会科学系列第21号、pp.161-173、2004年3月。

(政治経済分析のフレームワークを用いて、補助金配分に対するロビー活動の影響を

分析した。)

2)「地域間外部性問題と住民移動」、『星陵台論集第35巻第1号』、pp.1-19、2002年6月。

(スピルオーバーや租税競争などに対する住民移動の内部化効果を明らかにした。)

3)「経済成長と地域間税収格差」、『愛知大学経済論集第156号』、pp.129-159、2001年9

月。(地域間税収格差の長期的な収束傾向を分析し、地域間での財政調整のあり方に

ついて検討した。)(愛知大学 國崎稔先生との共著)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「意思決定主体の分割と地方分権問題―地方分権の範囲と補助金配分との相互関連―」、

日本財政学会第60回大会報告、2003年10月。(愛知大学 國崎稔先生、 富山大学 中

村和之先生との共著)

2)「地域間再分配政策の政治経済分析」、日本財政学会第59回大会報告、2002年10月。

3)“Regional Growth and Disparity of Local Tax Revenue: Japanese Case”。

57th Congress of International Institute of Public Finance、2001年8月。(愛知大学

國崎稔先生との共著)

【特記事項】

2004年から京都市の政策評価制度評議会に携わってます。地方自治体の行政にも関わり

ながら勉強していきたいです。

経済学研究科 経済学専攻 

※講師 菅原 宏太■ 担当する領域科目名:地方財政論

■ 研究テーマ地方分権下における地域間競争、地域間財政力格差

■ 取得学位:神戸商科大学 修士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:地方分権、財政競争、地域間格差■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 20: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

1)人的資本論:教育や訓練が生産性と賃金に与える影響を分析します。

2)OJT理論モデル:OJT(職場訓練)とは、仕事をしながらスキルを学び生産性を向上

させるというプロセスを意味します。OJTが、①どのように生産性を向上させ、②そ

れが賃金にどのように影響をあたえるか、また、③その負担は労働者または経営者が

するのか、などの問題に理論的モデルを作って答えます。

3)大学進学率の決定要因:実際の都道府県別または時系列データを使った回帰分析を行

ない、大学進学率の決定要因を探ります。主な要因としてあげられるのは、大卒と高

卒の賃金格差、大学の授業料、大学の隣接度、両親の職業や、学歴などです。

4)経済的不平等:ジニ係数やロレンツ曲線などを使って、戦後日本の所得や資産分布の

不平等度の変化や、世界の所得や資産分布の不平等度を検証します。

5)少子高齢化の経済分析:少子高齢化の現状を把握し、その経済分析を行ないます。

【主な論文、著書など】

1)少子高齢化の地域経済における影響(2004):ORC報告書

2)サーベイ:賃金決定の理論 労働市場のモデルから労働トレーニングのモデルへ

(2000):京都産業大学論集

3)女子の大学進学率決定要因(1998):経済経営論叢、京都産業大学経済経営学会

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 田中 寧■ 担当する領域科目名:労働経済学■ 研究テーマ

人的資本論、OJT理論、大学進学率の決定要因、経済的不平等、少子高齢化の経済分析

■ 取得学位:ロンドン大学(LSE) Ph.D(Econ)■ 研究分野を表すキーワード:人的資本論、大学進学率、OJT ■ 研究室電話番号:■ e-mail:

20

経済学研究科

Page 21: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

21

経済学研究科

【研究の概要】

16-18世紀のバルト海地方と西欧との貿易関係を中心に研究している。バルト海地方は西

欧に対して造船に必要な資材や鉄などの一次産品を供給していた。したがって西欧の対外

的発展は、バルト海地方からの輸入なしでは不可能であった。西欧とバルト海地方の貿易

関係の研究はそのまま、西欧の対外発展の研究につながる。しかしながらこの分野の研究

は、日本のみならず、ヨーロッパにおいてもかなり少ない。それは、従来の一国史の枠組

みを越えた国際関係史の視点が必要になり、また、いくつもの言語の文献・史料を読む必

要があるからである。

私は、この分野を主として貿易統計を用いて研究している。デンマークとスカンディナ

ヴィア半島の間に位置するエーアソン海峡でかけられた通行税のデータ、イギリスでは貿

易データであるCustoms3、スウェーデンの貿易統計、オランダの貿易統計をデータを比較

することで、西欧とバルト海地方の貿易像を解明しようと考えている。

【主な論文、著書など】

1)(共著)『近代ヨーロッパの探究 国際商業』2002年、ミネルヴァ書房。

近代のイギリスとオランダの白海・バルト海貿易について統計分析した。

2)(共著)『ヘゲモニー国家と世界システム』2002年、山川出版社。

オランダのヘゲモニーについてコメントしたもの。

3)「バルト海貿易(1560-1660年)―ポーランド・ケーニヒスベルク・スウェーデン―」

『社会経済史学』1992年、第57巻5号。

1560-1660年のバルト海地方と西欧との取引き関係を論じた。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)2005年12月、大阪大学で開催されたグローバルヒストリーセミナーで報告。タイトルは、

‘Shift of the Core of European World Economy 1500-1815 : The Dutch Produced British

Hegemony’

2)2004年10月、京都府立大学で開催された国際セミナーOverseas Expansion of

Commercial Network of European Countiries で報告。タイトルは“Anglo-Dutch

Trade with Baltic and White Sea : 1671-1780”。

3)2004年3月。ユヴァスクラ大学でセミナー“Maritime Morning”に招聘され、報告。

タイトルは“Anglo-Dutch Trade with Baltic and White Sea: 1671-1780”。

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 玉木 俊明■ 担当する領域科目名:経済史■ 研究テーマ

16-18世紀の北ヨーロッパ貿易史■ 取得学位:同志社大学 文学修士■ 研究分野を表すキーワード:バルト海、貿易、経済史、商業■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 22: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

22

経済学研究科

【研究の概要】

マクロ経済において,経済政策の果たす役割は非常に大きい。経済政策は,例えば政府支出

を増やせば乗数を経て国民所得が増えるという量と量が結びつく関係があるのみならず,今日

の経済政策が将来の経済政策の方針を述べる重要なシグナリングの効果もある。つまり,経済

主体がこのシグナルを重要なメッセージと受け止めれば,経済主体は期待形成を変化させるこ

とによって,経済政策変数が直接量的に変化しなくても,政策効果があるかもしれないのであ

る。これは,例えば外国為替政策において重要な研究テーマである。為替介入という経済政策

において,貨幣量を変化させない不胎化介入の効果はあるのか,あるいは,貨幣量を変化させ

る非不胎化介入でないと効果はないのか。そしてこうしたチャネルは特に為替政策に限定する

必要はなく,一般的な金融政策,財政政策においても重要な役割を果たすと考えられる。これ

を基本的な立脚点とし,私は経済政策と期待物価上昇率に関する研究を行ってきた。現在は上

記のような為替市場に対する介入政策や金融調節などの金融政策が,為替レートへどのような

効果を持つかに関心を持ち,研究を進めている。

【主な論文、著書など】

1)「カールソン・パーキン法によるインフレ期待の計測と諸問題」,内閣府経済社会総合研究

所,ESRI Discussion Paper Series No.91,堀雅博氏(内閣府)との共著

2)「金融政策の波及チャネルとしての為替レート」,『経済分析』172号(内閣府経済社会総

合研究所),p.35-57,浜田宏一氏(イェール大学),飯田泰之氏(駒澤大学,内閣府客員

研究員)との共著

3)「デフレ期待と実質資本コスト-ミクロデータによる90年代の設備投資関数の推計-」,

『経済分析』171号(内閣府経済社会総合研究所)p.85-107,清水谷諭氏(内閣府)との

共著

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「都道府県パネルデータによるシートベルト着用義務化の効果の検証」,村松幹二氏

(法務省法務総合研究所),飯田泰之氏(駒澤大学)との共著,2004年日本経済学会

2)「金融政策は昭和恐慌においても重要だったか」,原田泰氏(大和総研),中澤正彦氏

(財務省)との共著,2004年日本金融学会

3)「金融政策の波及チャネルとしての為替レート」,浜田宏一氏(イェール大学),飯田泰之氏

(駒澤大学)との共著,2003年日本金融学会

4)「実質資本コストの高止まりは設備投資をどの程度停滞させたか-ミクロデータによる設

備投資関数の推計-」,清水谷諭氏(内閣府)との共著,2003年日本金融学会

経済学研究科 経済学専攻 

※講師 寺井 晃■ 担当する領域科目名:マクロ経済学■ 研究テーマ

マクロ経済学と日本経済■ 取得学位:東京大学 修士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:マクロ経済学、日本経済の実証分析■ e-mail:

Page 23: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

23

経済学研究科

【研究の概要】

国際経済学の分野は、大きく「国際貿易論」と「国際金融論」に分かれます。寺町が主

な専門としているのは、前者の国際貿易論に属します。国際取引が行われている中で、モ

ノ・カネ・ヒト・企業が国際間を移動しています。それに伴う、経済現象・経済利害対立・

経済政策に関係した理論分析と実証分析を議論しています。

最近では、国際貿易論の理論分析の適用として、中国の貿易および直接投資に関わる議

論を扱っています。

【主な論文、著書など】

1)寺町信雄「中国の対外貿易政策と貿易構造」京都産業大学ORC DP Series no.

CHINA-10, Dec.2005

2)寺町信雄「中国野菜輸入増加に関わる経済利害を中心にして」『京都産業大学論集』

社会科学系列第21号, 2004年3月, p.p.1-30

3)林原正之・寺町信雄「直接投資とリカード貿易モデル―小島理論について―」『追手

門経済論集』第38巻第1号, 2003年9月, p.p.33-53

4)寺町信雄・林原正之「国際貿易と直接投資:理論の潮流Ⅱ」日本国際経済学会編『I

T時代と国際経済システム』有斐閣, 2002年, p.p.292-308

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

寺町信雄・林原正之「直接投資とリカード貿易モデル―小島理論について―」2002年10

月第61回日本国際経済学会東北大学全国大会にて発表

【特記事項】

国際貿易論といっても貿易実務について議論していません。ミクロ経済学・マクロ経済

学の基礎的な学習を前提に議論をしますので、基礎学習を平行して進める必要があります。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 寺町 信雄■ 担当する領域科目名:国際経済論■ 研究テーマ

国際貿易の理論と実証■ 取得学位:名古屋市立大学 経済学博士■ 研究分野を表すキーワード:貿易パターン、貿易政策、

中国の貿易構造、直接投資■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 24: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

少子高齢化を迎えるわが国において、安定した成長を維持するために必要なことは何で

あろうか、という観点からこれまで経済成長理論についての研究に取り組んできました。

従来の研究では、経済成長は企業の利潤動機から生み出される技術進歩による生産性の上

昇と捉えられてきましたが、今後の先進国にとっては消費者の需要行動と結びついた技術

進歩が重要であると考えられます。このため、消費者の選好を考慮に入れた内生的成長モ

デルを構築(主としてVariety Expandingモデル)し、安定した成長を続けるために必要

な要因や政策について検討を行っています。また、経済が辿る過程を観察し、その過程で

何が起こるかということにも注目しています。さらに、技術知識の産業間でのspilloverの

影響、あるいは、貿易パターンと経済成長についても関心をもっています。

【主な論文、著書など】

1)Junko Doi and Kazuo Mino(2005),“Technological Spillovers and Equilibrium

Dynamics with Sector-Specific R&D”, Journal of Macroeconomics, Vol.27, No.4

pp.557-578

2)Koichi Futagami and Junko Doi(2004),“Commodity Taxation and Economic

Growth”, Japanese Economic Review Vol.55 No.1 pp.46-55.

3)Junko Doi and Koichi Futagami(2004),“Commodity Taxation and the Effects of

Entry: A case of Variety Preference”, Journal of Economics Vol.83 No.3 pp.267-279

4)Junko Doi(2003),“Consumption Structure and the Pattern of Economic Growth”

Seoul Journal of Economics Vol.16 pp.343-362.

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)A Variety Expansion Model of Growth with External Habit Formation

(三野和雄教授との共著、2005、The 9th World Congress of the Econometric Society)

2)Changes in the Industrial Structure in an Endogenous Growth(2004、The Spring

2004 Midwest Economic Theory and International Trade conference)

3)Labor and Capital Augmenting Technological Change in a Two-Sector Endogenous

Growth Model(2002、日本経済学会)

4)経済成長に伴う需要構造の変化と産業の交替(2001、日本経済学会)

5)消費の構造と経済成長(1999、日本経済学会)

経済学研究科 経済学専攻 

非常勤講師 土居 潤子■ 担当する領域科目名:経済成長論■ 研究テーマ

経済成長モデルの構築とその移行過程分析■ 取得学位:神戸大学 博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:経済成長、技術進歩

24

経済学研究科

Page 25: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

25

経済学研究科

【研究の概要】

オーストリア学派経済学者の一人,ボェーム=バヴェルクが経済理論家としてのみなら

ず財政実務家として社会的に認知されるまでの知的発展について,同時代の経済学者との

関係,ハプスブルク帝国の教育制度と財政改革史を踏まえつつ明らかにした(学位論文)。

また彼のインスブルック時代の学生による講義ノートの復刻と翻訳を公表。この復刻は,

これとは別のまったく新しく95年に発見された講義ノートの内容とともに98年に再公表さ

れた(フンボルト財団客員研究員としての成果)。最近は、大戦間期のオーストリア学派

経済思想の展開について研究、特にモルゲンシュテルンやハイエクやミーゼス等の思想形

成に及ぼしたシュパンの影響について研究。オープンリサーチセンターのプロジェクトリ

ーダーとして「市場経済理論関連資料のデジタル化による管理と公開」に従事。2006年度

ケンブリッジ大学において在外研究に従事。

【主な論文、著書など】

1)学位論文:Eugen von Bohm-Bawerk - Ein grosser osterreichischer Nationalokonom

zwischen Theorie und Praxis -, Metropolis Verlag, Marburg, 1994

2)編 集 復 刻 : Eugen von Bohm-Bawerks Innsbrucker Vorlesungen uber

Nationalokonomie - Wiedergabe aufgrund zweier Mitschriften、Metropolis Verlag,

Marburg, 1998 他

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)The hidden Enemy of Mises: Othmar Spann’s Universalism, presented at the 10th

Austrian Scholar’s Conference (Auburn, 2004)

2)Menger’s Grundsatze as a realist work : The command concept, presented at the

2005 ESHET Annual Conference(Stirling, 2005)

【特記事項】

オープンリサーチセンター ホームページアドレス:

http://www.kyoto-su.ac.jp/̃tomo/ORCtop.htm

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 塘 茂樹■ 担当する領域科目名:経済学史、経済経営外国文献研究■ 研究テーマ

オーストリア学派とその周辺の経済学説■ 取得学位:インスブルック大学 Ph.D■ 研究分野を表すキーワード:ケンブリッジ学派、論理実証主義■ 研究室電話番号:■ e-mail:

¨¨ ¨

¨

¨

¨

¨

Page 26: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

経済学研究科

【研究の概要】近年、経済のグローバル化が顕著に見られるようになり、それに伴って企業の様態にも大きな変化が見

られるようになった。貿易という側面から見ると、そのような変化の兆しの一つとして企業内貿易の進展すなわち、広義的には産業内貿易の進展を挙げることができる。産業内貿易そのものは技術集約的製品の貿易が大きくなるにつれて進展してきていたが、それが顕著になってきたのは1985年のプラザ合意以降のことである。

1985年秋以降に問題になった円高はいろいろな意味で我が国経済に大きな変化をもたらせたが、貿易面では製品輸入比率の上昇という形で跳ね返ってきている。

製品輸入比率の上昇については、技術の急速な発展によって技術集約的製品の貿易が促進されたことや、それとともに持続的な円高によってコスト・ダウンを強いられた企業の海外進出の急激な増加と無縁ではない。

こうした一連の世界経済の動きの中で、とくに1985年以降の我が国企業の海外進出(海外直接投資)が産業内貿易の進展にどのように影響してきたかを考察したい。

【主な論文、著書など】1)「国際部品調達の拡大とその経済的な影響(3)」『経済経営論叢』第32巻第4号、京都産業大学経済

経営学会1998年3月 (文部省科学研究費助成による研究調査報告)概要:海外部品調達の実態とその経済的な影響をアンケート結果から考察している。

2)「国際部品調達の拡大とその経済的な影響(2)」『経済経営論叢』第32巻第3号、京都産業大学経済経営学会1997年12月 (文部省科学研究費助成による研究調査報告)概要:国際部品調達に対する企業の認識と対応についてアンケートをまとめて整理している。

3)「国際部品調達の拡大とその経済的な影響(1)」『経済経営論叢』第32巻第2号、京都産業大学経済経営学会1997年9月 (文部省科学研究費助成による研究調査報告)概要:産業内貿易の進展と製品輸入比率の上昇の関連性について考察を行なっている。

4)「産業内貿易の進展とその測定方法について」『経済経営論叢』第30巻第2,3号、京都産業大学経済経営学会1995年12月 概要:産業内貿易度の測定方法をめぐる議論についての考察を行なっている。

5)「水平分業度でみる日米貿易構造―1976年~1987年―」『経済経営論叢』第27巻第3号 京都産業大学経済経営学会1992年12月概要:日米貿易にみる水平分業度の推移と貿易構造の変化について考察を行なっている。

6)柳原範夫・原 正治・中園史彦共訳『国際貿易と国際経営:プロダクト・ライフ・サイクルと国際貿易』嵯峨野書院 1976年概要:R.ヴァーノンのプロダクト・ライフ・サイクル論の実証分析に関する翻訳書である。

7) 原 正治・中園史彦共著『外国貿易―理論と政策』嵯峨野書院 1974年概要:貿易論を学ぶ学生を対象とした貿易の理論と政策についての解説書である。

8)小寺武四郎監修・原 正治・中園史彦・奥野博幸訳『ハーン・特別引出権と開発金融』 日新書房概要:IMFの特別引出権を開発金融とリンクさせる提案に関する翻訳書である。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】日本国際経済学会会員、日本EU学会会員、日本金融学会会員、神戸大学金融研究会会員

【特記事項】最終学歴:関西学院大学大学院経済学研究科 博士課程2年中退京都産業大学での担当科目:貿易論A・B  国際経済論Ⅰ・Ⅱ他趣味:写真

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 中園 史彦■ 担当する領域科目名:貿易政策■ 研究テーマ

産業内貿易の発展についての実証分析■ 取得学位:関西学院大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:産業内貿易、産業内分業、海外生産、

製品輸入■ 研究室電話番号:■ e-mail:

26

Page 27: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

27

経済学研究科

【研究の概要】

近代における農学の形成と展開に関する研究を行っている。研究の出発点は日本農学の

展開においているが、その日本農学の形成に影響を与えたイギリス農学の展開も分析対象

としている。主に18世紀以降を対象としているが、史料や文献(農書)を通して、農業研

究を担った人物や制度(農学校や農業試験場の展開)に焦点を当てている。農業の場合、

研究を担っている人は「科学者」であるとは限らないという特徴がある。さらに農学校や

農業試験場は、一般的な高等研究教育機関にはみられない特徴がある。このような点にお

いてイギリスが日本に対して、どのような影響を与えたのかを考察している。

また、イギリスと日本との関係のみでなく、京都という地域性や日本の伝統的な思想との

関連も研究対象としている。近代農学の展開をみた場合、たとえば日本最初の西洋式牧場が

作られたのは京都であることが示すように、京都という地域は興味深い点を多くもっている。

さらに伝統的な思想ということで二宮尊徳思想を取り上げ、農学の形成に果たした役割を研

究している。もちろん京都と二宮尊徳思想との関連も、研究の重要なテーマである。

【主な論文、著書など】

1)「20世紀前期におけるイギリス農業経済学の展開とプロフェッション」、2006年3月、『京

都産業大学論集』、社会科学系列、第23号

:イギリス農業経済学の展開について、専門職の役割や学会動向を通して考察した。

2)「謝花昇の農業思想―沖縄と近代農学の出会い」、2006年3月、『京都産業大学論集』、人

文科学系列、第35号

:謝花昇という人物を通して、沖縄における近代農学の展開を考察した。

3)「イギリスにおける食料政策と環境政策」(柏 久『環境形成と農業―新しい農業政策理

念を求めて』、2005年11月、昭和堂、78~96ページ)。

:イギリスの食料政策と環境政策の展開過程を考察し、今後の方向性を考察した。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「石門心学の展開と勧業政策の理念―第一期京都策の思想的背景」

(京都産業大学日本文化研究所・研究例会、2006年1月11日)。

2)「地域発展と農業政策―沖縄県の花卉生産を通して」

(ORC地域経済公開シンポジューム(キャンパスプラザ京都)、2005年12月17日)。

【特記事項】

出身高校は、大阪府立天王寺高等学校。中学のときから体育会系所属です。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 並松 信久■ 担当する領域科目名:農業政策■ 研究テーマ

イギリスおよび日本の農学史■ 取得学位:京都大学 修士(農学)■ 研究分野を表すキーワード:農業政策、農学史、農業思想史■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 28: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】現在は、金融・資産管理教育が家計の金融資産選択行動に及ぼす影響を明らかにするこ

とを目的に研究を行っている。金融資産管理シミュレーションゲームで得たデータを基に、

平均分散アプローチによって導出した効率的フロンティアからの距離を用いて、家計の選

択するポートフォリオの効率性について検証を行っている。Panel Probit分析の結果から

は、ゲーム参加者のうち、新たに習得した知識をより理解している者、過去の投資資産数

の多い者、今後、株式市場が好転すると予測している者が選択したポートフォリオの効率

性は上昇し、資産選択の直前の株価の上昇は、ポートフォリオの効率性を低下させること

が分かる。

【主な論文、著書など】1)金融知識の習得とポートフォリオの最適化、西村佳子・西田小百合・村上恵子、2005

年3月、岡山大学経済学会雑誌第36巻第4号、139-153ページ.

2)個人のリスク回避度と金融教育の効果―パネルデータによる予備的分析―、村上恵子・

西田小百合・西村佳子、2004年2月、広島県立大学論集第7巻第2号、67-79ページ.

3)日本の資産管理教育の現状と教育効果、村上恵子・西村佳子・西田小百合、2003年8

月、広島県立大学論集第7巻第1号、83-109ページ.

4)資産管理のための意思決定トレーニング・ツール―個人のリスク選好を考慮した金融

教育の教材としてシミュレーション・ゲームを用いる試み―、西村佳子・村上恵子、

2005年10月、日本シミュレーション&ゲーミング学会全国大会論文報告集.

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)個人のリスク選好を考慮した金融教育、西村佳子・村上恵子、日本ゲーミング&シミュレー

ション学会、2005年10月.

2)金融知識の習得とポートフォリオの最適化、西田小百合・西村佳子・村上恵子、生活経済

学会第21回研究大会、2005年5月.

3)金融資産管理教育と家計の資産選択行動、村上恵子・西村佳子・西田小百合、生活経

済学会第19回研究大会、2003年5月.

4)日本の資産管理教育の現状と教育効果、村上恵子・西村佳子・西田小百合、日本金融

学会2002年度秋季大会、2002年11月.

5)金融学習の補助教材としてシミュレーション・ゲームを用いる試み、西村佳子、2005

年11月、生命保険文化センター.

【特記事項】焼物や塗物・織物など技のあるものを見るのが好きだが、絵画を見るセンスはまるでな

し。学内で見かけぬ山野草を見つけたら密かに図鑑で調べます。

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 西村 佳子■ 担当する領域科目名:金融論■ 研究テーマ

投資教育が家計の資産選択に与える影響について■ 取得学位:岡山大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:金融教育、投資家行動、家計の資産選択■ 研究室電話番号:■ e-mail:

経済学研究科

28

Page 29: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

29

経済学研究科

【研究の概要】

私は様々な環境問題を視野に入れて研究をしていますが、もっとも関心を注いでいるの

は環境税制改革というテーマです。地球温暖化問題との関連で、日本でも政府レベルで、

温室効果ガス抑制のための有効な経済的手段として「温暖化対策税」の検討が進められて

います。欧州の国々では深刻な雇用問題への対応策の一つとして、単に炭素税などの環境

税を新たに導入するだけでなく、その収入を既存の税や社会保障負担の軽減と関連づけた

「環境税制改革」が実施されています。そのことによって、環境の改善と雇用の増加とい

う「二重の配当」が、理論的に期待できると考えられたためです。

「二重の配当」の可能性を巡っては、90年代から欧米の環境経済学者や財政学者の間で

賛否両論が交わされており、現在でも議論は決着していません。私は理論分析やシミュレ

ーションモデルを用いて、日本での「二重の配当」の可能性を調べています。また、日本

での環境税制改革の実現可能性については、ドイツを始めとする欧州諸国の実情も参考に、

政治経済学的側面からも検討しています。

最近では他に、廃棄物問題、韓国の環境政策、原子力問題などについても研究していま

す。

【主な論文、著書など】

1)「ドイツ・環境税制改革の行方」『資源環境対策』2003年2月号

1998年以降のドイツ社民党・緑の党政権の環境税制改革の実績と今後のゆくえについて

2)「環境税制改革の応用一般均衡(CGE)分析」『国民経済雑誌』186(2)、2002年8月

3)「EUの環境政策」所収『世界経済叢書:ヨーロッパ経済論』ミネルヴァ書房、2004年

4)「環境税制改革の「二重の配当」の可能性をめぐって」『環境経済・政策学会年報』

第9号、2004年12月

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

“The Double Dividend of an Environmental Tax Reform in Japan: A CGE Analysis

Based on the 1995 Input-Output Table”, The 1st International Conference of the Japan

Economic Policy Association, Nov. 30-Dec.1.2002

「原子力発電所の事故被害試算」、環境経済・政策学会2003年大会、2003.9.27-28

【特記事項】

神戸大学出身、ドイツ語と韓国語が使えます。

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 朴 勝俊■ 担当する領域科目名:環境経済学■ 研究テーマ

環境税制改革 その理論と世界的実情■ 取得学位:神戸大学 博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:環境税、ドイツ、韓国、原子力、廃棄物■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 30: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

社会科学で、経済学ほど数学との関わりの深い分野は多くないと思います。長年たずさ

わってきた数学研究(主に代数学)や数学教育(微積分や線形代数など)の視点から経済

学を眺めています。身近な経済現象は、遠くに離れた天体現象よりもずっと複雑な構造で

す。経済学は、数学の言葉では多変数の高次関数(代数関数とはかぎらないが)を考察し

ているわけです。その変数の数は絶望的なほど沢山であり、関数ははたして数学的に表現

可能かどうかすら分かりません。しかし、我々は現実を前に立ちすくんでいるわけにはい

きません。そこで経済学は、膨大な変数の大部分を定数として変数を減じ、次数の低い

(たとえば1次に)関数に単純化して、その構造を明らかにしようと努めます。それでも短

期的局所的には、現実から大きく離れた机上の空論ではありません。確率や統計を用いる

手法でも、微積分や線形代数が基盤として働いています。経済学研究の基礎の部分で数学

的思考と知識が大きく作用していることを、あらためて認識しようとしています。

【主な論文、著書など】

1)『経済学部学生の数学の学力について』Ⅰ、Ⅱ 

京都産業大学論集 社会科学系列 No.18 (2001), No.21 (2004)

2)訳書『大学授業の心得』 玉川大学出版部 (1998)

3)著書『Handbook線形代数学』 共立出版 (1987)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

講演『変わる大学と数学の授業』 公私立大学数学系懇談会 (1998)

【特記事項】

・京都日仏協会理事

・経済数学だけでなく、共通教育科目の「数学と文化」「日本語表現」(少し前までは、理

学部の代数学なども)など幅広い授業を担当している。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 蓮井 敏■ 担当する領域科目名:経済数学■ 研究テーマ

数学教育とその経済学への応用■ 取得学位:京都大学 理学修士■ 研究分野を表すキーワード:経済数学、線形代数学■ 研究室電話番号:

経済学研究科

30

Page 31: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

31

経済学研究科

【研究の概要】

国際間の資本移動を生み出すマクロ・ミクロ経済学的基礎理論、更に、国際間の資本移

動がもたらす為替相場変動、債券・株等の金融資産の価格変動、マクロ経済変動の相互フ

ィードバックのメカニズム、それらグローバル・マネーのもたらす功罪の理論的・実証的

研究。更に、国際金融の諸理論と国際貿易の諸理論との中間領域の理論の研究。

【主な論文、著書など】

1)京都マネジメント・レビュー : 平成14年 : Why exchange rate is indeterminate in

open macro economic models : ワルラスの法則・オイラー式から為替相場不決定問題

を考察。

2)京都産業大学論集、社会科学系列 : 平成14年 : アジア通貨危機-金融市場技術から

の視点:金融市場技術の不安定化作用からのアジア通貨危機の考察。

3)京都産業大学経済経営学会、経済経営論叢 : 為替相場変動の考え方 : オーバーシュー

ト・モデルの欠落点問題の考察。

4)KSU Economic and Business Review: 1998: Regression Analysis of Yen-Dollar

Exchange Rate, 回帰分析による対ドル為替相場変動の要因分析。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

国際金融研究会 : 国際収支表からみた為替相場動向 : 平成16年。

【特記事項】

大阪銀行協会フォーラム研究員。

国際金融研究会副主幹。

行動ファイナンス研究会副主幹。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 葉原 壽人■ 担当する領域科目名:国際金融論■ 研究テーマ

国際金融論・国際経済学■ 取得学位:東京大学 教養学士■ 研究分野を表すキーワード:為替相場の変動理論■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 32: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

私の研究課題は私たちの認識の仕組みについての論理的な理解なのですが、とりあえず今は

カール・ポランニの主張をよく理解しようと努力しています。玉野井芳郎は彼の功績を「該博

な文化人類学の知識を活用することによって、今日われわれがそこに生活している市場経済体

制が、さらにさかのぼっては、十八世紀以降の近代資本主義が歴史的に特殊なものであると言

う確信を明確にし、壮大な歴史的広がりと展望を持つ比較経済学の分野を切り開いた点にある。」

といわれる。

経済学が自然科学の方法を取り入れてすでに久しい。シュンペーターに「分業、土地私有権

の成立、自然に対する支配力の増大、経済的自由と法的保障―これらはまさにアダム・スミス

の「経済社会学」を構成する最も重要な要因である。これらは明らかに経済過程の社会的構造

に関するものであって、この過程に内在するなんらかの自発的なものに関するものではない。」

という言い方がある。経済過程を、「この過程に内在する何らかの自立的なもの」を微分方程式

に取り出して、調べてみるということ。それは出来ればとても興味深いことである。しかし経

済過程というものはすでに幾重もに重なった人為の前提の下にあるものなのではないか。この

前提を遡及してポランニは様々な経済過程の可能性を見出したと、玉野井芳郎は言っているの

である。私たちは、一方では、ヒックスの『経済史の理論』にみられるような発展史的な見方

も知っているのである。ポランニをより見つめてみたいのである。

【主な論文、著書など】

「クリフォード・ギアツのイデオロギー分析」、『京都産業大学日本文化研究所紀要』第2号

(1997)

「歴史意識の古層」析出―丸山眞男の場合、『京都産業大学日本文化研究所紀要』第3号(1998)

「西谷啓治『宗教とは何か』の第一章について」、『京都産業大学日本文化研究所紀要』第6号

(2001)

【特記事項】

出身高校名:京都府立洛東高等学校

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 林   隆■ 担当する領域科目名:経済人類学■ 研究テーマ

カール・ポランニの主張についての研究■ 取得学位:京都大学 修士(文学)■ 研究分野を表すキーワード:経済人類学、市場経済の起源、貨幣論■ 研究室電話番号:■ e-mail:

経済学研究科

32

Page 33: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

33

経済学研究科

【研究の概要】

人々の経済状態はいつも多様である。また、各個人の経済状態は、自発的選択によって

変化するだけでなく、病気や失業などの外生的なショックによる変動にも見舞われている。

このことを前提とすれば、ある一時点を切りとって見るだけでは経済状態の流動性がもた

らす影響について考察することができないし、経済変数の平均的な推移を見るだけでは個

人間の異質性は捨象されてしまう。したがって、さまざまなライフステージでさまざまな

経済状態にある人々を総体的に捉えて、公共政策のあり方を考える必要がある。

本研究で考察の対象とするのは、生涯において変化する可能性があるような個人属性の

異質性で、具体的には能力や健康状態、世帯環境などである。一般に、個人がリスクに直

面しているとき、分権経済の効率性は低下する。そのとき、結果の公平性に配慮した再分

配政策は、個人のインセンティブを損なう面もあるが、個人に散らばるリスクを集めるこ

とで、積極的なリスク・テイキングももたらす。公共政策の制度設計には、これらの要素

に配慮する必要がある。

【主な論文、著書など】

1)「資産収益における固有リスクのもとでの課税政策の厚生評価」(2003),『京都産業

大学論集 社会科学系列』第20号

:資産収益リスク下での課税政策に関するシミュレーションによる厚生評価

2)「労働所得税による人的資本投資のリスク・シェアリング効果」(2001),『経済論叢』

第168巻第4号

:労働所得税による人的資本投資促進効果についての理論的分析

3)「同居選択における所得の影響」(2001),『日本経済研究』第42号(岩本康志と共著)

:親子の同別居選択と所得との関係についての実証研究

経済学研究科 経済学専攻 

※助教授 福井 唯嗣■ 担当する領域科目名:社会保障論、ミクロ経済学基礎■ 研究テーマ

個人属性の異質性とその変化を前提とした公共政策のあり方■ 取得学位:京都大学 博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:ライフサイクル、固有リスク、

公共経済学■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 34: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】企業の株価はその企業の将来の収益を反映したものと考えることができる。とりわけ、

株式市場が効率的な場合、企業の将来収益に関する投資家の予想変は直ちに株価に反映されるだろう。そうすると、企業の将来収益に影響を与えるような出来事(イベント)を集めて、そのようなイベントが生じた日の株価の動きを見て、イベントの意味を探ることができる(こうした実証方法はイベントスタディとよばれる)。

イベントスタディは、企業合併・買収、配当増加(増配)、新株発行(公募増資)など企業金融に関する様々な仮説検定に多く用いられており、多くの研究成果が得られている。現在研究しているのは、経営不振企業に対する銀行の債務免除が、当該企業とその企業の同業者にどのような影響を与えるか、というものである。もし、債務免除が産業の構造改革を遅らせて、いわゆるゾンビ企業を作り出すだけのものなら、こうしたイベントは同業者の株価にマイナスの効果を与えるであろう。こうした仮説を日本のデータを用いて検証する。

【主な論文、著書など】1)「債務免除は同業他社にとって吉報か凶報か」、2005年、『京都産業大学論集』

銀行が経営不振企業に対して債務免除を行なうというニュースが同業他社の株価にどのような影響を与えるかを実証分析

2)「投資主体別株式保有行動の実証分析」、2003年、『京都産業大学論集』情報劣位にあると考えられる個人株主は公開情報がどのような特徴を持つ株式を選好するかを実証分析

3)「株式分割と企業利益」、2001年、『経済学論叢』(同志社大学)株式分割がその後の企業業績につながっているかどうかを見ることによってシグナリング仮説を検証

4)‘Dividend Changes and Earnings Performance in Japan’, 2000年、Pacific-BasinFinance Journal配当の変化がその後の企業業績の変化に対応しているかどうかを見ることでシグナリング仮説を検証

5)「株主代表訴訟はコーポレート・ガバナンスの手段として有効か」、2000年、小佐野・本多編著『現代の金融と政策』所収株主代表訴訟の株価への影響を見ることによって、コーポレートガバナンスとしての有効性を検証

6)‘Main Bank Relationships and Capital Structure in Japan’、1996年、 Journal ofJapanese and International Economies.負債とメインバンク依存度の相互依存関係をエイジェンシー理論に基づいて実証的に分析

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 福田 充男■ 担当する領域科目名:ファイナンス論■ 研究テーマ

日本の資本市場と企業金融に関する実証研究■ 取得学位:同志社大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:資本市場、企業金融、ファイナンス■ 研究室電話番号:■ e-mail:

34

経済学研究科

Page 35: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

35

経済学研究科

【研究の概要】

家計の出産、教育、育児、妻の就業、夫婦間の家庭内分業などをテーマに、理論構築、デー

タ収集、実証分析を行っています。以前は、インドの家計における、子どもの労働、教育、健

康などの選択に関する理論モデルを構築し、児童労働が存在することが、家計の子ども数を増

やしているとの仮説を検証しました。現在は、わが国の出生率低下の要因に関して、様々な仮

説構築をし、その実証研究を行っています。

このようなテーマの場合、経済学の枠組みだけにとらわれることなく、心理学、社会学、人口

学など、学際的なアプローチを使って分析することが重要となります。データ収集では、二次的

データを利用するだけでなく、自ら社会調査によって得たデータ分析を行いますし、量的なデー

タ分析だけでなく、インタビュー調査などの、質的なデータの収集も積極的に行っています。

【主な論文、著書など】

1)『発展途上国の児童労働-子だくさんは結果なのか原因なのか』、1997年、明石書店

2)「家計の出生行動と妻の就業行動-夫の家事育児参加と妻の価値観の影響」2002年日本人

口学会編集『人口学研究』No.31pp.19-35.

3)「子供のいる既婚女性の就業選択-夫の働き方、性別役割意識が及ぼす影響」2002年

家計経済研究所編集『季刊家計経済研究』No.56 pp.48-55

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「夫の家庭役割と夫婦の出生力との関連」日本人口学会(東京大学)

2)「企業の女性活用と男女均等待遇策と両立支援策との関連-兵庫県西宮市の企業データを用

いて-」日本経済学会秋季大会(明治大学)

3)「家計における出生行動と妻の就業行動-夫の家事育児参加と妻の価値観の影響」

日本経済学会春季大会(小樽商科大学)

4)“Fertility Behavior and Labor Supply of Married Women in Japan:The impact of a

Husband's Participation in Household Work and a Wife's Family Values”日仏セミナー 

(リール第一大学)

【特記事項】

大阪大学大学院の博士課程在学中に、結婚し、その後、主婦をしていましたが、子どもの同級

生の親(関学の教員)に勧められ、関西学院で博士号を取得、研究の世界に戻ってきました。

2003年10月、相生市男女共同参画セミナー講師、2004年10月、兵庫県・家族フォーラム「1.29

ショック-少子化社会について考える」調査報告担当

経済学研究科 経済学専攻

※講師 藤野 敦子■ 担当する領域科目名:労働経済学■ 研究テーマ

出産、育児、女性の就業などに関する実証研究■ 取得学位:大阪大学修士(経済学)、関西学院大学博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:労働経済学、家計の経済学・人口論、

少子高齢化の経済論■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 36: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

【研究の概要】

国際金融資本市場における資金移動に関する理論および実証研究。海外企業進出に関す

る理論および実証研究。

とくに、国際資本移動と為替相場、証券投資のグローバル化、新興国における金融資本

市場と経済発展、多国籍企業の歴史的展開と理論、発展途上国の経済発展と外国企業進出。

【主な論文、著書など】

1)論文:「中国のWTO加盟と外資直接投資」世界問題研究所紀要第18巻(平成12年3

月発行、66―87頁)、2000年3月。

2)論文:「中国のFDI政策」世界問題研究所紀要第17巻(特集号)(平成11年3月発

行、86―112頁)、1999年3月。

3)論文:「『東アジア経済の奇跡』の維持可能性」世界問題研究所紀要第15巻(平成10

年3月発行、1―26頁)、1998年3月。

4)共編著:『多極化する世界経済と日本』平成2年2月、晃洋書房

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

ORC中国経済プロジェクトメンバー

【特記事項】

国際関係一般に関心。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 八木 三木男■ 担当する領域科目名:国際投資論、経済経営日本文献研究■ 研究テーマ:国際証券投資、海外企業進出■ 取得学位:大阪大学 修士/ロチェスター大学 MA■ 研究分野を表すキーワード:国際証券投資、海外企業進出、

国際資本移動■ 研究室電話番号:■ e-mail:

経済学研究科

36

Page 37: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

37

経済学研究科

【研究の概要】

日本経済の現状及び政策課題を研究するため、以下のような研究を実施

1)経済企画庁「EPA世界経済モデル」の作成・政策シミュレーション・構造分析

9カ国、6地域及び貿易連関モデルより構成される「EPA世界経済モデル」の作成・政策

シミュレーション及び構造分析

2)経済白書、国民生活白書の作成に関連した調査・分析

①経済白書の作成関連

マクロ経済モデルと産業連関表をリンクした計量経済モデルによる経済分析、及び

主要先進国の産業連関表を用いた経済分析等

②国民生活白書の作成関連

家計の所得・消費・資産選択、女子労働力率の高まりの要因と影響等の各種分析

3)国際経済分析

国際資本移動、輸出入の推移と貿易構造の変化及びその背景・要因等の調査・分析

【主な論文、著書など】

1)「我が国の貿易の推移と特徴」 1995年 日本輸出入銀行海外投資研究所

財別、品目別、地域別の分析により、我が国の貿易の特徴とその構造変化を分析

2)「近年の国際資本移動の特徴とその背景」 1995年 日本輸出入銀行海外投資研究所

国際資本移動の特徴を探るとともに、その背景を貯蓄投資バランスの視点から考察

3)「EPA世界経済モデルの構造と財政政策の効果」 1989年 経済企画庁経済研究所

「EPA世界経済モデル」の国別モデルが内包するIS、LM、総需要、総供給、BPの各曲

線を導出し、これらの曲線の傾きやシフトの比較により各国の財政政策の効果の違い

を分析

4)「EXCHANGE RATE SIMULATIONS WITH THE EPA WORLD ECONOMIC

MODEL」 1986年 European Economic Review 30 North-Holland

「EPA世界経済モデル」を構成する国別モデルの国際収支ブロックの動学特性、各種乗

数(財政・金融政策、石油価格上昇等)及び三大国の政策協調の効果を分析

【特記事項】

出身高校:兵庫県立兵庫高校

特技はありませんが、趣味は地図を頼りの散歩とクラシック音楽鑑賞(特にベートーヴェン、

ブラームス)です。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 安原 宣和■ 担当する領域科目名:経済政策■ 研究テーマ

日本経済の現状と政策課題■ 取得学位:東京大学 経済学士■ 研究分野を表すキーワード:経済政策、日本経済の現状分析、

実証分析と政策課題

Page 38: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

経済学研究科

【研究の概要】

経済学では未だに均衡分析が主流であるが,調整メカニズムを精査すれば容易にわかる

ように,均衡に行き着くのは理論上でのみ可能であるにすぎない。したがって,均衡値で

分析することはバイアスを含み軽々に量的な政策的インプリケーションを引き出すべきで

はない。動学的な調整過程を研究することは,よりリアルな要素をモデルに組み込み,厳

密性を増すことに他ならない。

研究しているモデルは,主として離散的価格調整モデルであるが,最近は人口変動・移

動のモデルにも興味を持っており,京都市の受託研究で開発し,そこから発展したモデル

を用いて,人口変動(波動)から導いた地域の需要変動の予測を経済学研究科オープンリ

ーサーチセンター(ORC)地域経済部門の共同研究者として研究した。現在、F.P.Ramsey

の文献に興味がありケインズの主観確率の考え方の精緻化に貢献出来ないかという問題を

考えている。

さらに,研究した成果は分析用具としてプログラム化し<YSCP>という名前の経済分

析ソフトとして公開している。

【主な論文、著書など】

1)『現代経済理論の研究』,同文舘,1995年

2)『ppt版・経済原論』,晃洋書房,2004年

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

「人口変動と京都市行政計画策定のマネジメント」2003年日本人口学会報告(長良

川国際会議場)

2004年度,2名の修士を送り出す。

【特記事項】

私立大学情報教育協会経済学教育IT活用研究委員。

自称<IT化した教員>として,情報機器を駆使して教育・研究活動をしています。もちろ

ん,HPも公開しており,小生の詳細な情報については

http://www.kyoto-su.ac.jp/̃yamadaka/index-j.html

をご覧下さい。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 山田 勝裕■ 担当する領域科目名:マクロ経済学■ 研究テーマ

動学的調整の研究■ 取得学位:関西学院大学 経済学修士■ 研究分野を表すキーワード:経済学、数理経済学、不均衡分析■ 研究室電話番号:■ e-mail:

38

Page 39: 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] · 大学院案内 2007 [教員・研究紹介編] 目 次 2 3 4 40 67 99 107 115 126 143 160 174 ... 市田 浩三 情報処理論

39

経済学研究科

【研究の概要】

ラテンアメリカ地域、特にメキシコの経済発展に関わる諸問題のうち、貧困や雇用問題

に焦点を当てて研究を進めている。

【主な論文、著書など】

1)「メキシコにおける政策改革と女性労働」、『国際開発研究』第13巻第1号. 2004.

(メキシコの政策改革が労働市場に与えた影響を女性労働に焦点を当てて分析する)

2)「メキシコにおける新自由主義的政策改革と農村貧困層」、『ラテン・アメリカ論集』

No.36、2002.

(メキシコにおける政策改革が農村貧困層に与えた影響を分析する)

3)『ラテンアメリカ経済論-経済発展と政策改革―』、1999、中央経済社。

(20世紀後半のラテンアメリカの経済発展と近年の政策改革を分析する)

4)『新訂 開発計画論』、1999、大明堂。

(途上国における開発計画の実効性向上の要因を検討する)

5)『メキシコ経済論』、1982、大明堂。

(メキシコの経済発展を様々な角度から分析し、その課題を明らかにする)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「新自由主義的政策改革と農村貧困層―メキシコを中心として―」、ラテン・アメリカ

政経学会全国大会、2001。

2)「構造調整と農業開発-ラテンアメリカの経験―」、システム農学会全国大会、1998.

【特記事項】

国際協力機構(JICA)における研修プログラム講師(2000-2001)。

京都ラテンアメリカ研究所、ラテンアメリカ講座講師(2001)。

出身高校:大阪府立三国丘高等学校。

経済学研究科 経済学専攻 

※教授 湯川 攝子■ 担当する領域科目名:開発経済学■ 研究テーマ

ラテンアメリカの経済発展■ 取得学位:大阪大学 博士(経済学)■ 研究分野を表すキーワード:経済発展、ラテンアメリカ、貧困問題■ 研究室電話番号: