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法学部1年明神青葉
『太陽』
美しい笑いは
家の中の太陽である
William Makepeace Thackeray
美しい笑いは家の中の太陽である
社会を照らす太陽である
社会として、その笑顔を奪うようなことはあってはならない
笑顔を奪った時点で、家庭は社会は光を失ってしまうから…
2
目次
1. 社会認識
2. 理想社会像・問題意識
3. 現状分析
3-0 子どもの貧困の定義
3-1 経済的困窮の実態
3-2 低収入家庭の子どもの文化資本
3-3 低収入家庭の子どもの社会的資本
3-4 現行の政策
3-5 民間の活動
3-6 現状分析まとめ
4. 原因分析
4-1 就労と給与
4-2 生活保護
4-2-1 生活保護の受給要件を満たさない
4-2-2 生活保護の受給要件を満たしているにもかかわらず受給していない
4-3 文化資本欠乏の原因
4-4 社会関係資本欠乏の原因
5. 政策
5-0 政策の方針
5-1 地域子育て支援センターの拡充
5-1-1 ユニバーサル・クレジット
5-1-2 子育てと両立できる職業訓練
5-2 教育バウチャー
5-3-1 放課後児童預かり事業の拡大
5-3-2 子ども食堂の拡充
6. 参考文献
1.社会認識
現代日本は成熟した社会である。ここにおける成熟とは経済面での成熟を指す。戦後の
3
荒廃から朝鮮特需を機に復活し始め、1956 年の経済白書には「もはや戦後ではない」と
記された。1973 年のオイルショックで落ち込むまで平均 9.1%の経済成長率で成長し続
けた。73 年以降も電化製品や車の輸出を続け、74 年から 85 年まで平均経済成長率は
3.4%であった。1985 年のプラザ合意への対応たる政府・日銀の低金利政策の結果バブル
経済で好景気を迎え、90 年まで平均 5.0%で成長した。しかしバブル崩壊により 93年に
は戦後初めてのマイナス成長を記録し、一時回復したもののリーマンショックなどに見
舞われ、2011 年から 15 年の平均値は 0.6%と、現在の日本経済は低迷期といえる。この
長期にわたる不景気は労働者の生活を直撃している。戦後日本の労働形態は本来終身雇
用が標準であったが、企業の経営状態悪化に伴って、非正規雇用による労働が増加し、収
入格差が拡大したのだ。非正規雇用の増大は、派遣労働法の相次ぐ改正にある。制定当初、
派遣してもよい業種は 13であったが、派遣できる業種を定める「ポジティブリスト方式」
から1999年派遣してはいけない業種に関して定める「ネガティブリスト方式」に移行し、
非正規雇用者が急激に増大したのだ。
これらの変化により、相対的貧困率は 1985 年の 13%で、数にして 1500 万人から 2013
年には 16%の 2000 万人にまで上昇した。収入の減少もしくは途絶による生活苦に陥る
も、苦しみ続ける、という状況を産み出しやすくしている。
大人の貧困はその子どもの貧困に直結する。経済不況に連動して社会的弱者に注目が
集まる中、1994 年日本は子どもの権利条約を批准した。これは基本的人権が子どもにも
保障されるべきことを国際的に定めたもので、この批准は日本国内の子どもの人権への
意識を高めた。そんな中子どもが貧困状態にあることへの問題意識が高まり、2012 年
OECD の調査発表で日本の子どもの貧困率が他の先進国 35 か国中ワースト 9 位の高さ
であること判明し、問題意識は著しく上昇した。2013 年子どもの貧困対策法が成立し、
子どもの貧困解決に向けて国家として対策を講じている。
2.理想社会像・問題意識
私の理想社会像は「希望が持てる社会」である。ここでいう希望とは目標達成の可能性
を感じられることである。ここでの目標は、将来的に実現したいと思う自らの在り方であ
り、最低限の生活が保障された上でもつものである。希望を持つためには、生命を維持す
るために必要な最低限の生活、すなわち衣食住の担保と目標達成のための努力を可能に
する、努力環境(定義・具体例)の整備の 2 つの要件が満たされていなければならない。
生命が維持できなくなることへの不安がなく、 その上で努力環境が整うことで目標達成
に向けて努力を積むことが可能になる。努力を積むことが可能な環境が整備されること
で、希望を持つことができるのである。
これに著しく反するのが「子どもの貧困」である。ここでいう貧困とは相対的貧困のこ
とを指す。等価可処分所得の中央値の半分を貧困線と呼ぶ。相対的貧困とは貧困線を下回
ることである。貧困状態にあると最低限の生活が送れなくなる可能性が高いため、人は毎
4
日の生活に不安を抱き、目標を持つ余裕がなく、努力可能な環境へアクセスができずに努
力ができない。さらに問題は子どもにおいて特に深刻である。なぜなら貧困家庭に育つ子
どもは経済的理由から生まれながらにして努力環境へのアクセスを阻まれているからで
ある。また、貧困家庭で育った子どもは大人になってからも貧困家庭を営む可能性が、貧
困経験がない人と比べて高く、この貧困の世代間連鎖のために貧困が再生産されている。
よって、子どもの貧困が解決されないことには貧困は解決されない。以上のことから貧困
に苦しむ子どもたちは、選択することのできない生育環境によって目標達成の可能性を
感じることができず、希望を持つことができないでいる。
3.現状分析
子どもの貧困について、その根本的原因であり現象である経済資本について、また文化
資本・社会関係資本についてそれぞれのから現状を分析し、現行の政策評価を行う。
3-0.子どもの貧困の定義
ここにおける貧困とは、相対的貧困のことを指す。等価可処分所得の中央値の半分を貧
困線と呼ぶ。相対的貧困とは貧困線を下回ることであり、飢餓など生存の危機が脅かされ
る絶対的貧困とは別のものであり、所属する国家共同体、日本の一般的な生活水準を著し
く下回る生活を余儀なくされる状態を指す。
その上で「子どもの貧困」とは、子どもが経済的困難と社会生活に必要なものの欠乏状
態におかれ、発達の初段階におけるさまざまな機会が奪われた結果、人生全体に影響を与
えるほどの多くの不利を負ってしまうことである。貧困家庭で育つ子どもたちは 経済
資本の欠乏のために最低限の生活を送ることに不安を抱き、夢や目標に向けた努力環境
にアクセスできず、目標を達成している可能性を感じられずに希望が持てないのだ。人間
形成の重要な時期である子ども時代を貧困のうちに過ごすことは、成長・発達に大きな影
響を及ぼし、進学や就職における選択肢を狭め、自ら望む人生を選び取ることができなく
なる恐れがある。子どもの「いま」と同時に将来をも脅かすもの、それが「子どもの貧困」
である。(参考:子どもの貧困白書)
*貧困線:等価可処分所得、すなわち世帯の可処分所得(収入から税金・社会保険料等
を除いたいわゆる手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整した所得、の中央値
の半分の額が貧困線となる。相対的貧困の概念ではこの貧困線を下回った世帯を貧
困世帯としており、その世帯に所属する人を貧困の人と認定する。
OECD(経済協力開発機構)の作成基準に基づき算出される。
3-1 家族構成別の貧困率
貧困状況にある子どもたちはどのような家庭の子が多いのであろうか。下図をみると、約
5割が「両親と子のみの世帯(二親核家族)」であり、母子家庭は 20%未満、父子家庭は 0.9%
であった。では、どのような家族構成の子どもが貧困になりやすいのか。家族構成別の子ど
5
もの貧困率をみると、二親核家族では 11%母子家庭では 66%、父子家庭では 19%の子ども
が貧困状態にあることがわかった。これは、貧困の子どもの2人に1人は二人親家庭である
ことと、貧困母子家庭は、数は全体の中で見ると少ないが、他のどの家族形態よりも貧困状
態に陥りやすいことを示している。(下図)
49.9
22.1
19.6
0.9
0.5
7.1
0 10 20 30 40 50 60
両親と子のみ世帯
三世代世帯
母子世帯
父子世帯
高齢者世帯
その他の世帯
単位:% 「子どもの貧困白書」より著者作成
貧困の子どもの家族構成
11
11
66
19
29
0 10 20 30 40 50 60 70
両親と子のみ世帯
三世代世帯
母子世帯
父子世帯
その他の世帯
単位:% 「子どもの貧困白書」より著者作成
家族構成別貧困の子どもの割合
6
3-2 経済的困窮の実態
貧困状態の中心にある経済的困窮についてみる。平成 24 年の貧困線は1人あたり 122
万(注)となっており(厚生労働省 国民生活基礎調査 平成 25 年)、「相対的貧困率」(貧
困線に満たない世帯員の割合)は 16.1%、人数にすると、330 万人の子どもとなっている。
相対的貧困状態にある家庭について、彼らの就労による収入がなぜ不十分であるのかに
ついて、また家庭の子育てのための支出がどれだけ大きいのかそれぞれ考察する。
注:この場合、家族構成員が 2 人なら 174 万、3人なら 215万、4 人なら 244万である。
経済的困窮の直接的原因である、貧困家庭の扶養者の就業状況をみる。(図参照)父親が
扶養者である子どもの貧困率は無職が 38.5%と最も多かったが、ついで自営業(雇人なし)
が 34.9%、非正規雇用が 33.4%であり、家族経営の自営業(雇用者なし)家庭の貧困率が
非正規雇用家庭をわずかながら上回ることがわかった。(ただし母体数不明につき(国民生
活基礎調査には記載されず)、絶対数として多いものは非正規雇用ではないかと思われる)
7
<ひとり親家庭>
経済協力開発機構(OECD)のデータ(2010 年)を基に各国を比較すると、就労してい
ないひとり親世帯の相対的貧困率は米国が90.7%、ドイツが54%などと高く、日本は50.4%
で OECD 平均の 58%を下回っている。しかし、就労しているひとり親世帯の貧困率は、米
国が 31.1%、ドイツ 23.8%、OECD 平均も 20.9%と、それぞれ大幅に下がっている。就労
すれば所得も増えるため、貧困から抜け出すのが自然な流れである。ところが日本は 50.9%
と逆に上昇している。日本のひとり親世帯は、働いても貧困という厳しい状況である。
母子世帯の母の就業率は 80.6%で、米国約 74%、英国 56%などに比べ、世界的に見ても
高い。しかし、2013 年の母子世帯の年間の平均所得金額は 243 万 4000 円で、全世帯平均
537 万 2000 円の 45%にすぎない。
3-2 低収入家庭の子どもの文化資本
文化資本とは、金銭によるもの以外の、学歴や文化的素養といった個人的資産を指す。貧
困の世代間連鎖について、文化資本の欠如が大きく起因しているものとされる。表にある通
り、生活保護家庭で育っ
た子どもはそうでない子
どもと比較して著しく生
活保護受給世帯を営む割
合が高い。(参照)
8
我々の日常生活における、貧困には2つのパターンがある。前者は、成長の途中まで貧困
家庭ではなかったが、家計の急変によって貧困状態となるもの、後者は親が元々貧困状態で
あり、生まれもって貧困状態であったものである。この違いは文化資本を考慮する上で重要
となる。なぜなら、前者は経済的理由によって進学などを阻まれるかもしれないが、一般家
庭であった頃までには文化資本の投資を親が実行できうるため、進学が阻まれたとしても
それ以外の、それまでに投じられた資本自体は子どもに備わっているものとみなせるが、後
者の親は経済的理由などから投資が絶対的に阻まれるため、子どもが持ちうる文化資本が
絶対的に少なくなるからだ。前者の子どもが貧困状態から脱するには、例えば奨学金などの
金銭的援助で、減少した等価可処分所得を補うことで進学を助けることで、将来的に収入の
安定した就職先を選べる状態にすればよい。しかし後者の子どもに金銭的援助のみを施し
たとしても、貧困でない「通常の生活」を知らないため、営めないのである。すなわち後者
の貧困の場合、貧困から脱するためには金銭的援助に加えて、彼ら彼女らがそれまで生きて
きた中で得られることのできなかった文化資本の直接の供給が必要なのである。
金銭的貧困と文化資本の欠乏が連関する原因として第一に挙げられるのは学歴格差であ
る。経済状況と高校進学率、大学進学率には連関がみられ(図参照)、中卒・高卒・大卒の
それぞれの平均生涯収入を比較すると、中学卒と高校卒で男性では年収が 75 万円、女性で
は 52 万円と大きく差が出ることが分かった。経済的理由によって進学をあきらめたがゆえ
に独立してからも貧困家庭を営むことになる、という文化資本の欠乏によって経済面での
9
貧困の連鎖が生じている現状が浮かび上がる。(参照)
表:学歴別平均生涯収入
表:学歴別平均月収
また、学歴以外の文化資本の欠乏も経済的貧困を原因に生じていることが判明した。収入
と学力の関係が全国学力・学習状況調査(以下全国学力調査と呼ぶ)においても見られたの
だ。(図参照)全国学力調査とは、2007 年より日本全国の小中学校の最高学年(小学 6 年
生、中学 3 年生)全員を対象として行われているテストのことで、学力・学習状況の調査的
10
性格を有している。この結果と家庭の収入の連関の調査では、収入が低くなればなるほどい
ずれの科目の正答率も下がり、世帯収入 200 万円以下と平均収入家庭では各科目平均して
12.6%の正答率の差が見られた。(図参照)この国語・数学の能力における格差は将来的な
学歴に影響を及ぼすだけでなく、生活自体にも関わってくる。まず、国語能力、つまり読解
能力の不足は、正式な契約文書や規則を理解することを阻み、自分にある正当な権利を理解
しないまま権利自体を奪われることがある。数学能力の欠如は収入と支出を合わせたり、貯
金をしたりすることを阻む。したがって文化資本の欠如は学力調査で測ることのできる範
囲のみにおいても生活における格差を助長し、貧困を加速させるのだ。
3-3 低収入家庭の子どもの社会関係資本
社会関係資本とは、個人間のつながり、すなわち社会的ネットワーク、およびそこから生
じる互酬性と信頼性の規範である。お茶の水大学の調査によると、子どもの社会関係資本は
その学力を始めとする文化資本を規定し、その影響力の強さは、学習費用への投資よりも強
いことが証明された。また、親の経済状況による格差は見られなかったが、貧困状態と学校
における社会関係資本の欠乏は学力に大きな影響を与えることがわかった。社会的に不利
な立場にある子どもの学力形成に社会関係資本は少なからぬ意味を持つ。経済的・文化資本
に恵まれない子どもたちにとって、家族、仲間、地域の人々との豊かな「つながり」は「学
力のセーフティ・ネット」なのである。
お茶の水大学の研究によると、家庭の収入と子どもの、学歴をはじめとする文化資本の間
には相関関係がみられ、子どもは、親の経済的事由によって貧困を経験すると、予算制約だ
けでなく、学校の勉強との親和性が高い家庭内文化資本の制約や養育の質に制約を受ける
ため、現代社会と親和性をもつ自律性や勤勉性を稼得するのが難しくなる。
日本での低所得世帯への子育て支援は、現金給付が中心で、こうした困難な生活状況へ
の支援は、児童虐待などの深刻なケースに限られており、積極的に貧困家庭の「養育の質」
の引き上げに介入する政策は行われていない。
3-4 現行の政策
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子育て世帯への給付金として、児童手当、児童扶養手当などが存在する。しかし健康保
険料・厚生年金保険料・雇用保険・所得税・住民税といった社会保障費の支払額は子育て
世帯を対象とした給付金の額よりも著しく大きい。つまり働いて得た収入は貧困線を越
えていても、行政機構への支払いによって行政機構からの給付を含めても貧困線を下回
る家庭がでてくるのだ。日本は政策による再配分よって貧困が拡大する国といえ、これは
OECD 諸国の中で唯一であった。
しかし我が国には生活保護を筆頭とした社会福祉制度がある。これらのうち代表的な
ものを個別に見、それぞれの問題点を挙げる。
<生活保護>
国民の最低限度の生活を保障するために包括的社会保障制度である生活保護がある。
しかし貧困状態にある子どもの生活保護受給率は 6%に止まっており、残りの 94%は家庭
の収入が貧困線を下回っているにも拘わらず生活保護の保護下に置かれていないのであ
る。また、母子家庭に着目すると、母子家庭世帯約 821000 世帯に対し受給世帯は 109250
世帯であり、受給率は 13.3%と比較的高い。しかし、前述の母子家庭世帯の 66%が貧困
状態であることを考えると貧困母子家庭世帯のうち生活保護を受給できているのは
20.2%であり、残りの約 80%は貧困状態にあるにも拘わらず生活保護を受けていないこ
とになる。
12
※貧困線と生活保護受給基準収入の違い
貧困線とは先ほど述べたように全世帯の可処分所得を基準とするのに対し、生活
保護受給の基準となる収入は最低生活費として定められている。最低生活費とは、
生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助の合計であり、年度ごとに厚
生労働省によって計算され、定められている。貧困線は収入を元に算出するのに対
し、生活保護受給は支出を元に定められるのである。
<児童手当制度>
児童手当は、0 歳から中学校卒業までの児童を養育している者に支給される。扶養親
族数と収入(所得額に給与所得控除額等相当分を加算した額)に基づいて算出される所
受給し
ている
6%
受給し
ていな
い
94%
貧困の子どもの生活保
護受給率受給し
ている,
20.2
受給し
ていな
い ,
79.8
貧困母子家庭の生活
保護受給率
13
得制限による減額はあるものの、全子育て世帯に給付されるものである。この周知度は
71.6%と高い。しかし所得制限による減額はあるものの全子育て世帯に支給するために
支給金額は 15000 円から 10000 円(所得制限以上は 5000 円)と、社会保障のための
支出と比較すると明らかに少ない。
<児童扶養手当制度>
離婚によるひとり親世帯等、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家
庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について手当を支給し、児童の
福祉の増進を図る。(平成 22 年8月より父子家庭も対象)18 歳に達する日以後の最初の
3月 31 日までの間にある児童(障害児の場合は 20 歳未満)を監護する母、監護し、か
つ生計を同じくする父又は養育する者
(祖父母等)を対象とする。
支給額が第 2 子以降大幅に減額され
ることが問題とされていたが、改正児童
扶養手当法が 5 月に成立し、2016 年 8月
分より給付額が大幅に拡充された。
<教育バウチャー>
文化資本の項目で、所得差によって投資額が大きく異なる学習費用の中で、特に
格差が生じているものが学校外活動費用であることは述べた。ここへの対策として、
教育関係のサービスのみに使用できるクーポン券を一定基準を満たした家庭に付与す
る教育バウチャー事業というものがある。
東京都は受験生チャレンジ支援貸し付け事業という一定所得以下の世帯の、進学予
定のある中学3年生、高校3年生を対象にした学習塾などの受講料や、高校・大学の
受験量について無利子での貸付を行っている。高校・大学進学が果たせた折には返済
不要となる。現段階では借り入れに保証人が必要であるが、来年度 2017 年度からは
この要件は撤廃される見通しである。
2013 年 12 月、大阪市では学習塾以外にも文化・スポーツ教室を含めた学校外教育
にかかる経費を中学生全学年を対象に月額1万円を上限に助成する、塾代助成事業を
始めた。(所得制限あり)対象の事業参画事業者の登録要件は当初個人法人問わず、過
去3年の実績がある事業者とし、704 か所が登録していたが、現在は法人個人ともに実
績年数を問わず、NPO、民
間団体も登録可能として
おり、事業所数は 2015年
段階で 1286か所にまで増
度は増加した。利用率は所
14
得制限をクリアした対象家庭のうち 32%であり、このうちの 35%がこのバウチャーに
よって新たに学校外活動が始められたと答えた。また、学習塾に通った利用者のうち
61.7%が学力が向上したと答えた。また、利用者の 26%が利用した 理由について
将来の目標や夢のためにもっと学習や習い事がしたかったと答えている。塾代助成で
ありながら文化・スポーツ教室も対象に組み入れる(図参照)ことで、学習塾以外の幅
広い選択肢を与えることができ、利用者のニーズに応えられている。
<子どもの貧困対策法>
2013 年 06 月 19日子どもの貧困対策法が成立した。その中で、子どもの貧困率を3年
で1割以上のペースで削減していき、平成 33 年までに貧困率を 10%未満にすることな
どを明言した。(下図参照)この対策法成立により子どもの貧困率が公表されたことによ
る衝撃から「子どもの貧困」の言葉が社会に浸透した。この流れを受けて行政機関による
政策だけでなく NPO 法人などの民間団体が新たに設立されたり、既存の団体の活動も活
発になったりし、社会全体に大きな影響を与えた。
経済的指標としては、子どもの貧困率を平成 21 年度 15.7%のうち、3年で 1割以上の
ペースで削減し、平成 33 年までに 10%未満にすることが掲げられた。(この数字はかつ
て一億総中流といわれた 1980 年代における同貧困率 12%を下回るものである。したが
って、労働者派遣法基準緩和に伴う非正規雇用の増加やリーマンショックなどの大規模
な経済的マイナス因子によってもたらされた経済危機が起こる以前から存在した原因に
よって存在した貧困家庭も救済されるような、抜本的解決が求められる。)ひとり親家庭
についても平成 21 年の 50.8%から 3 年ごとに 1 割以上削減し、平成 33 年までに 35%
未満にすることを掲げた。これらの数値は 3 年ごとに調査・公表することで目標達成を
図る。学習機会に関しても指標が掲げられた。全世帯、生活保護世帯の高校・大学進学率、
15
小中高生の不登校率などの調査を毎年行い、公表することを掲げた。
3-5 民間の活動
<公益財団法人 あすのば >
子どもの貧困対策法成立に伴い、2015 年に子どもの貧困対策センター あすのば が
発足した。①調査・研究とそのデータなどに基づいた政策提言、②全国の支援団体の活動
が持続し発展できるような支援団体への中間支援、③子どもたちの自立のために物心両
面での子どもたちへの直接支援を活動内容としており、全国規模で活動している。
<子ども食堂 >
家計支出の大きな部分を占める食費負担の緩和、社会関係資本の供給を目的に、子ども
16
食堂が全国各地に設立されている。子ども食堂とは貧困家庭を対象に無料、もしくは格安で
食事を、また居場所を提供するもの
であり、「子ども食堂ネットワーク」
を結成して連携しながら活動して
いる。5月末時点で 319か所に上り、
全国規模に普及している。 開催頻
度は月1回が139カ所で4割を
占めた。月2、3回が71カ所、週
1回が57カ所。週5日以上も15
カ所あった。時間帯は平日夜が目立
つが、登校前の朝食のほか、給食が
ない土日の昼食や長期休暇中心に
取り組むところもあった。
子どもの食事料金は、「お手伝い」などの条件付きを含めて無料が175カ所で55%
を占めた。有料の場合は50~500円で、100~300円のところが多い。保護者など
大人については子どもより高く設定されているところが多かった。ネットワークは互いに
連携するだけでなく子ども食堂新規開設を考える民間団体に運営のノウハウを伝授する活
動も行っており、全国規模への拡大を促進している。しかしながら食堂の開館は月に2日な
ど限られており、最低限の生活を担保するために食事を提供するという役割は果たせてお
らず、子どもの精神的負担軽減に必要な、心を落ち着かせることのできる「居場所」を提供
する役割が主なものとなっている。
<学習支援>
文化資本の直接的供給を目的に、無料・低価格で勉強を教えたり、勉強する場を提供
したりする学習ボランティア団体も活動している。特定非営利活動法人キッズドアは、大
学生ボランティアの協力を得て、家庭の経済的な理由から学習塾に通うことができない
中学生・高校生を対象に無料の高校・大学受験講座を週末に開催している。また、生活保
護世帯・ひとり親家庭の子どもへは受験に関係なく学習支援をしている。
<地域子育て支援センター>
地域子育て支援センターとは厚生労働省の通達に基づいて設立された施設である。
3歳未満児の約7~8割は家庭で育てられていること、核家族化、地域のつながりの希
薄化、男性の子育てへの関わりが少ないこと、児童数の減少を背景に、子育てが孤立化
し、 子育ての不安感、負担 ・子どもの多様な大人・子ども との関わりの減少が課題
となっていることを踏まえて、子育て支援センターを設立することで子育て中の親子
が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場を提供する試みが行われ
43%
22%
18%
12%
5%
子ども食堂開催頻度月1回 月2.3回 週1回 週2~4 週5以上
17
ている。
厚労省によって設立されたため全国に存在する。認知度は約 65%と高いが、利用率
は約 28%に留まっている。
3-6 現状分析まとめ
既存の社会保障制度では貧困家庭の経済的困窮を軽減するどころか、負担を増やして
いることがわかった。二親家庭、母子家庭ともに保護者の非正規雇用という雇用形態が貧
困に結びついている。文化資本・社会関係資本は経済資本に直接的、また間接的に影響さ
れることがわかり、金銭面だけでなく両資本の供給が貧困解決に重要であることが証明
された。
子どもの貧困対策法成立から読み取れるように、国・社会ともに子どもの貧困の重大性
を認識している。政府や市町村、民間団体が様々な形で対応策を講じ、活動しているが、
地方自治体の活動は特に地域的なものにとどまるケースが多く、成功例については自治
体間同士の共有が求められる。
4 原因分析
4-1 就労と給与
現状分析をかんがみると、家庭収入が貧困線を下回る原因は扶養者が非正規雇用であ
るため、絶対的に収入が低いこと・社会保険料などの支払いが社会保障によって受けられ
る恩恵を考慮してもなお重いことにある。非正規雇用の増大は、派遣労働法の相次ぐ改正
にある。制定当初、派遣してもよい業種は 13 であったが、派遣できる業種を定める「ポ
ジティブリスト方式」から 1999 年派遣してはいけない業種に関して定める「ネガティブ
リスト方式」に移行し、非正規雇用者が急激に増大したのだ。
<ひとり親家庭>
就労していても所得が低い理由は、雇用形
態が大きく影響している。母子世帯調査による
と、正社員などの割合は 1993 年に 53.2%であ
ったが、2011 年には 39.4%にまで減少した。
代わってパートなどが増加し、2011 年では
47.4%と、ほぼ半数はパートで働いていた。
母子世帯の場合、子育てと仕事を両立する必要がある。しかし、子どもを預ける施設がな
いなどで、なかなかフルタイムで働く職が見つからないことが原因となっている。また、若
年離婚の増加で二十代の母子家庭が増えている。就業経験が少ないため、パートなど非正規
で低賃金で働く割合が高まっているのだ。
<小1の壁>
育児と仕事の両立に「小1の壁」なるものが存在する。これは、小学校入学までは保育園
18
などの託児所に朝から晩まで預け、働くことができていたが、入学と共に授業終了後、つま
り午後2時3時以降から子どもを預ける施設がなく、正社員労働を困難にし、パートでさえ
も労働時間を縮小せざるを得なくなることである。夏休みなどの長期休暇の登場も労働を
阻んでいる。
右図をみると、出産後徐々に回復する母親の就業率は既婚・シングル
共に末子の年齢が上がるにつれ回復するが、6 歳を機に再び下降することがわかる。その後
小学校高学年以降再び上昇するが、再就職の繰り返しは本人の給与にも大きな影響を与え
ることを考えると、小 1 の壁の問題性がよくわかる。
4-2 生活保護
生活保護を受給すれば基本的に貧困線を下回ることはない。ではなぜ貧困線を下回って
いる家庭がおおく存在するのであろうか。
4-2-1 生活保護の受給要件を満たしていない場合
生活保護の受給要件は大きく 4 つある。①資産の活用②能力の活用③あらゆるものの活
用④扶養義務者の扶養のいずれも利用した上で、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準
で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合保護が適用される。
すなわち、子育て世代は、重度の病気であるなどの特別な事情がなければ②能力の活用の余
地がある、つまり労働ができるとみなされるため生活保護を受給することができない。障害
者や乳幼児の世話をしなければならない、などの特別な事情がない限り、労働したうえで生
活保護水準を下回る低収入であるにも関わらず、労働が可能であるという点で生活保護の
受給が阻まれるのである。こうして、総収入は生活保護基準を下回っているにもかかわらず、
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親が労働しているがゆえに生活保護によって保護されていない子どもが約 30 万人いる。
4-2-2 生活保護の受給要件を満たしているにも関わらず受給していない場合。
特に母子家庭は、上記の条件のうち①収入
が基準を満たしていないことのみで受給が
できる。しかし先述の通り母子家庭であり、
貧困状態にあっても生活保護を受給してい
ない世帯は 8 割に上っている。原因として考
えられるものはスティグマである。スティグ
マとは他者や社会集団によって個人に押し付けられた負の表象・烙印であり、ネガティブな
意味のレッテルである。生活保護申請の際に行われる調査(左図)の中に④扶養義務者の扶
養が活用できないことを証明する
ための調査がある。これは申請者の
第三親等までの親族に対し、扶養義
務者として扶養できるかどうかの
調査を行うものである。親族に自身
の経済的困窮を知られることを恐
れて申請に踏み切れないケースが
あるのだ。また、生活保護を受給すると様々な場面で、非受給者との違いが現れる。たとえ
ば病院で診察を受ける際に提出する国民健康保険証は受給者になると返却することとなり、
代わりに交付される医療チケットを提示することになる。これにより診療費・薬代ともに無
償になるのだが、受給者は診察を受けるたびに自分が受給者であることを公表しなければ
ならず、これも申請に踏み切ることのできない一因となっている。
4-3 文化資本の欠乏の原因
貧困家庭・非貧困家庭の間に生じる格差として挙げられるものが学習費用である。学習費
用とは「学校教育費」,「学校給食費」及び「学校外活動費」の総計である。
小学校・中学校の義務教育期間の授業料・教科書代は無料であり、2014 年度から実施さ
れた高等学校等就学支援金制度により一定収入以下の家庭の子どもを対象に高校の授業料
も大幅に軽減されることとなったが、その他の制服などの学校指定用品、上履きや PTA 会
費など、学校から求められる物品の購入・支払いにかかる学校関係費用は各家庭の負担とな
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っている。教育費用が家計に占める割合は年収が低ければ低いほど大きくなっている。(図
参照)しかしながら学習費用の中でも習い事などの学校外活動への支出は年収に比例する
形となっており、貧困家庭は学習費用に家計を圧迫されているにも拘わらず非貧困家庭と
比べて投資できる金額が少ない。これは、子どものために学習関係費用を出したくても出せ
ない状況を表している。このため、貧困家庭の子どもは習い事などの校外活動に参加する機
会を得ることができず、文化資本の獲得を阻まれているのだ。
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貧困世帯は金銭的理由によって学習費用への投資に限界があること、学歴や、生活を送る
上で生じる格差の存在を述べた。
すなわち金銭的貧困によって文化資本の欠乏が引き起こされ、子どもの将来の収入や生
活にまで悪影響を及ぼすことで貧困が連鎖していることがわかった。
4-4 社会関係資本
社会関係資本はどのように規定されているのか。これは家庭の経済状況の豊かさに比例
せず、親の学歴・貧困経験と関連があることがわかった。親の学歴が高くなればなるほど子
どもの学校への親和性を高め、問題行動を減らし、良好な非認知能力、社会関係資本の構築
に正の影響を及ぼす。しかし親の貧困経験は小学校の勉強のとの親和性低めるなど、子ども
の社会関係資本形成に負の影響をもたらす。これは、親が抱く子どもの理想像に関係してい
る。学歴・貧困経験がこの像を変更させるため、親の子どもに対する接し方に違いが生まれ、
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子どもの社会関係資本に影響が生じているのだ。すなわち、家庭内に存在する原因から、子
どもの社会関係資本上昇のために、親の価値観にアプローチすることが考えられる。また、
学校・地域などの社会に現実的に存在している子どもに直接的なアプローチをすることも
考えられる。
4-5 政策の不備の原因
<子ども食堂の開店頻度>
子ども食堂の開店頻度は、現状分析で見た通り週に1回以下が 65%である。この原因と
して挙げられる大きなものが、食材の確保が困難であることだ。
<子育て支援センターの利用率が低い原因>
なぜ全国にある子育て支援窓口たるセンターの利用率が低いのであろうか。利用者のア
ンケートによると利用者のうち7割が「就労しているなどの事情があるためを営業時間中
に利用できない。」という課題があることが分かった。
7. 政策
5-0 政策の方針
元来の収入だけでなく、社会保障制度そのものが貧困の原因となっていること、子育ての
孤立化が原因となっていることがわかった。
5-1 子育て支援センターの拡充
子育て支援センターが全国的に普及していること、しかし営業時間と就労時間がかぶり
やすいために、利用率の低さに問題があることがわかった。まず利用率を向上させるため、
営業時間を 15 時から 22 時までとする。これにより就労・就園の理由によりセンターが利
用できなくなる問題が解消される。また、開業時間をずらすことで人件費・光熱費などのラ
ンニングコストの増大を抑えることができる。
この上で、現行3才児までの子どもを持つ親が利用できる子育て支援センターの年齢規
定を、中学3年まで引き上げる。子育ての不安解消だけでなく、受けることのできる援助制
度等の紹介・就労支援なども、このセンターの役割に加える子育てに関する諸問題のワンス
トップ機関として機能させるのだ。このモデルは、イギリス、ブレア政権下子どもの貧困撲
滅法の下設立されたチルドレンズセンターである。子育てに関する様々な問題を受け付け
ることができ、漏れることなくサービスへのアクセスを提供できる。また、この子育て支援
センターを主体に以下の政策を打ち出す。
5-1-1 ユニバーサル・クレジット
生活保護基準を下回っているにもかかわらず、受給要件を満たすことができない、また受
給に踏み切ることのできない家庭に必要な金銭的援助を行うため、ユニバーサルクレジッ
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トを導入する。ユニバーサル・クレジットとはイギリスの貧困対策政策の一環で、所得額に
応じた単一の基準の下で各種の支給額を決定、一定の所得を保証するものである。労働が可
能である者に対しては、行政が定めた活動に参加したにもかかわらず 12 カ月を超えて仕事
に就くことが出来ていない受給者に、地域の非営利団体などで週 30 時間まで、4 週間にわ
たるフルタイム就労を義務付ける。この他受給者に義務付けられた活動を怠ったなどの場
合は、違反の重大さや回数に応じて最大で 3 年間の支給停止とする。なお、介護者、1歳未
満の子どもを持つ一人親の所得補助または雇用・生活補助手当の受給者については、条件は
設定されない。
日本の生活保護と似たようなものであるが、生活保護のような制約の代わりに、受給者に
面談や求職の努力などの義務を課し、怠った場合は罰則を科す。この制度の導入により実際
問題生活保護基準を下回っているが厳しい生活保護の条件やスティグマなどの問題により
最低限の生活を満たすだけの収入を得られていなかった貧困家庭に最低限の生活を送れる
だけの収入を担保でき、かつ受給者と行政が密な繋がりを持つことで不正受給を防ぐこと
ができる。
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5-1-2 母親を対象にした職業訓練
低賃金長時間労働を強いられて、経済的だけでなく心身の余裕を失っている親に対して、
職業訓練を行って資格を取らせることで、高賃金短時間労働を促進する。非正規雇用の親達
が訓練にあまり時間をとることができないことを考えて、資格は短期間集中でとることが
できるものの中で、仕事場をすぐに見つけられること・より高い収入を得ること・子育てと
の両立のために労働時間に融通が利くことを重視する。この目的に合致する資格として医
療事務の資格が挙げられる。医療事務とは診療報酬請求業務をメインとした医療事務全般
に関する資格の総称であり、試験勉強期間は平均2か月であり、パート・派遣・正社員と様々
な就業形態を選ぶことができる。就業経験が長くなればなるほど給料が上がるためキャリ
アアップが望める。
このように行政が貧困家庭の親の資格取得を進めることで親の就労条件を向上させ、行
政の保護下になくとも自立した生活を営むきっかけを与えることができるのである。
5-2 教育バウチャーの実施
大阪市で行われている塾代助成事業を全国規模で実施する。大阪市の利用者・事業者双方
へのアンケート調査に基づいた政策評価から、支給金額は上限 1 万円分、支給対象は就学
援助支給の対象とする。これにより金銭的理由からこれまで進学をはじめとする夢や目標
に向けて努力する環境にアクセスできなかった貧困家庭の子どもにアクセス機会を担保で
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きる。
5-3-1 放課後児童預かり事業の拡大
「小1の壁」を壊すため、放課後児童預かり事業を拡大する。この事業は大阪などでは
一般的に行われているもので、主に学校の空き教室を使って、地域ボランティアの大人が授
業が終わった子どもの面倒を見るというものだ。学校の中で行うため、学校とボランティア
の連携がとりやすく、また、保護者の目線から見ても預けやすい、学校の友達と一緒のため
通いやすいなどの利点がある。
放課後児童預かり事業は 18 時ごろに終了するが、その後の子ども食堂が引き継ぐ。こう
すれば子ども食堂の開設場所に困らず、保護者も子どもをより長時間預けて働くことがで
き、正規雇用を諦めなくてもよくなる。
5-3-2 子ども食堂の拡大、開店頻度の増加
フードバンク事業団体セカンドハーベスト・ジャパンが行っている全国各地でフードバ
ンクに関する説明会であるフードバンクキャラバンの奨励と新規フードバンク設立援助金
を給付し、全国にフードバンクを設立する。子どもの食堂の開店頻度を増やすため、フード
バンクと連携する。フードバンクとは、スーパーなどで賞味期限が近づき廃棄することにな
った食材を回収し、集める活動機関である。例えばフランスでは「食品廃棄禁止法」が制定
されており、廃棄予定の食品を無くし、すべて貧困の人々の食事に使われている。このフー
ドバンクと子ども食堂を連携させることで材料費をほとんど無料にし、施設利用費のみで
賄うことができるのだ。また、上の放課後児童預かり事業との連携によって、施設利用費す
ら支払う必要なく運営できる。
6.参考文献
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子どもの貧困白書編集委員会 (2009)子どもの貧困白書 (明石書店)
阿部彩 (2008)『子どもの貧困―日本の不公平を考える』 (岩波新書)
駒村(丸山), 桂 (2014 年) 「子ども時代の貧困経験が人的資本形成に及ぼす影
響 : 貧困の世代間連鎖の実証分析」 (2016/8/6 閲覧)
http://hdl.handle.net/10083/55569
大阪市塾代助成事業の実施状況(2015 年)(8/15 閲覧)
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000212/212697/H2701_jishijouky
ou.pdf
ユニバーサル・クレジット について(2016/8/16 閲覧)
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2010_12/england_01.html
地域子育て支援センター(2016/8/16 閲覧)
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http://www3.kumagaku.ac.jp/srs/pdf3/18-1/18-1-2.pdf
子どもの貧困対策法案ポイント(2016/6/25 閲覧)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/183hou19siryo
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子どもの貧困調査(2016/6/25 閲覧)
http://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/h27_jirei/pdf/j2_1.pdf
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家計負担の現状と教育投資の水準(2016/6/25 閲覧)
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児童扶養手当 (2016/6/25 閲覧)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-
Koyoukintoujidoukateikyoku/0000083305.pdf
https://www.komei.or.jp/news/detail/20160603_20254
母子家庭生保受給率(2016/6/25 閲覧)
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ひとり親家庭の就労状況について(2016/6/25 閲覧)
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労働政策研究報告書 No.159(2016/8/13 閲覧)
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セカンドハーベスト・ジャパン(2016/8/5 閲覧)
http://2hj.org/problem/foodbank/