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あいち小児保健医療総合センター
谷 大輔
Journal club
RCTはあなたの疑問に答えていますか?
今日のテーマ
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RCTの批判的吟味のポイント
実際の論文を評価
・各ランダム化の利点と欠点・盲検化の意義
Clinical Question
抜管方法の違いは喉頭痙攣発症に関係するか?
いまどの段階まで調べられているか
https://image.slidesharecdn.com/ebmportsaidneonatology-131030202446-phpapp02/95/evidence-based-medicine-by-prof-badr-mesbah-15-638.jpg?cb=1383164792
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上級医の経験則
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・「風邪引いてる子は危ない」
・なる子はなる
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・プロポフォールと
・サクシニルコリンで解除
・リスクとして4週間前のURI、周囲の喫煙があった
・術前の咳・上気道感染など
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コホート
リスク
https://image.slidesharecdn.com/ebmportsaidneonatology-131030202446-phpapp02/95/evidence-based-medicine-by-prof-badr-mesbah-15-638.jpg?cb=1383164792
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観察研究
介入
麻酔方法を工夫すると減らせるか?
Research Question
深麻酔下抜管症例は覚醒抜管に比べて
喉頭痙攣の発症頻度が少ないか?
RCT
深麻酔下抜管 VS 覚醒抜管
Impact Factorはまずまず高い?
P
I
C
O
0から16歳の予定アデノイド切除術患児で呼吸器合併症のリスクがある小児
深麻酔下抜管
覚醒抜管
呼吸器合併症の発症頻度
深麻酔下抜管 VS 覚醒抜管
結果
差はない
・覚醒下抜管の方が咳込みが多く、SPO2の低下傾向あり
ただし
・深麻酔下抜管の方が気道閉塞が多く、下顎挙上が必要
差はない
・覚醒下抜管の方が咳込みが多く、SPO2の低下傾向あり
ただし
・深麻酔下抜管の方が気道閉塞が多く、下顎挙上が必要
?
?
RCTというだけで無条件にこの結果を信じていいのか?
結果
RCTが正しく行われたかの確認が必要
信じるためには・・・
その方法をみていきましょう
RCTとは
新しい処置のヒトに対する効果を評価するために実施される実験
外的要因
観察者因子
自然経過
RCTの結果に影響を与える因子
盲検化
ランダム化
ランダム化
・交絡因子の影響を最小化できる
未知のもの既知のもの
ランダム化は何のため?
交絡因子とは?
https://best-biostatistics.com/design/kouraku2.html
適応による交絡因子とは?
・患者背景が似通った2群を比較することが目標⇒ 2群の患者背景を揃えることに
成功しているか確認が必要
RCTは
ここまでのまとめ
・RCTは交絡因子(既知、未知)を小さくできる試験
・2群の患者背景が同等か確認を!
ランダム化の種類
Simple Randomization単純ランダム化
Block Randomizationブロックランダム化
Stratified Randomization層別ランダム化
Dynamic Randomization動的ランダム化(最小法)
単純ランダム化
コインを投げて、1人目はA群、2人目はB群・・・
偏るA B
ランダム化の方法1
短所
ブロックランダム化意味のある分け方を先に決めてから、パターンにはめ込む
ランダム化の方法2
ブロックごとにA:B=1:1
となるようにと先に決めておく
A B A B
B
ランダム化の方法2
サンプル数が少ないときに有利
層別ランダム化
男は男でA群とB群に割り付け、女は女で割り付け
・結果に差を与える既知の因子をランダム化・分けすぎると検出力が下がる(3層程度までにする)
ランダム化
ランダム化
ランダム化の方法3
男
女
あらかじめ用意したプロトコールに従って、途中から振り分けを工夫
・綺麗にそろう
・事前のルールが重要
動的ランダム化
ランダム化の方法4
単純ランダム化
ブロックランダム化
層別ランダム化
ランダム化の種類(まとめ)
偏る
均等に分かれる
有意差が出にくくなる
動的ランダム化 事前のルール
観察者効果を小さくする方法は?
➡ 盲検化
シングルブラインド
ダブルブラインド
トリプルブラインド
患者 評価者
✖
✖
✖
✖ ✖ ✖
統計処理者
患者 評価者 統計処理者
患者 評価者 統計処理者
✖ 知らない
知っている
盲検化
と直接書いているわけではない…
できれば統計学者も
誰がブラインド?自分で読み取る
評価者はブラインドが望ましい
盲検化
論文に戻ります
深麻酔下抜管 VS 覚醒抜管
予定でアデノイド切除を受ける患者 0~16歳 100人1つまたは2つ以上のリスク因子
術前2週間以内の感冒症状、インフルエンザ
12か月以内に3回以上の喘鳴
運動による喘鳴
夜間の乾性咳
現在または過去の湿疹
血縁者に2人以上の喘息もち
血縁者に2人以上の湿疹もち
血縁者に2人以上の花粉症もち
母単独または母と父の喫煙
心疾患症例、気道や胸郭の形成異常、前投薬を必要とした症例や、深麻酔下抜管の禁忌
除外知りたいことが含まれているか?
過去に示されている因子
コンピュータによるブロックランダム化
実施されたランダム化
■確認すべきポイント・誰がおこなった(独立した研究者か) ➡ 筆者?・1ブロックのサイズは ➡ 記載なし・結果は誰が知っていたか? ➡ 記載なし
試験開始時点で各群は同等であったか?
Table 1
開始時点で同等か①
実際の数字をみる!
‘tendency’が生じたとの記載(筆者)
開始時点で同等か②
ランダム化による交絡調整は不十分?
OSASについては層別化してもよかったのでは?
ランダム化は成功だった?
ランダム化を脅かすもの
・筆者がプロトコールに従わない
➡読み手はCONSORTに従って確認
結局実際のところは分からない・・・
・サンプルサイズが小さい
盲検法
知ってた 知らなかった
※解析者については言及なし
評価者が知らないことが一番重要
PACUで看護師と両親は割り付けを知らないまま患児をケア
呼吸器合併症の有無については、この麻酔科医、記録者、PACU看護師が記載する
評価
評価
よりよい盲検化の方法はなかったか
盲検化
観察者効果(盲検化)
割り当ては研究者にバレないように
・アルミホイルを入れて、外から見えないように
・割り付けが終了するまで隠蔽されていたか
■推奨
■確認
この論文ではどちらも記載なし
Research Question
答え 抜管方法による差はないとの結果だが、研究デザインとサンプル数に疑念が残る
参考として考える程度
深麻酔下抜管症例は、覚醒抜管に比べて喉頭痙攣の発症頻度が
少ないか??