お酒とかんぞう

東邦大学医療センター佐倉病院 市民講座

東邦大学医療センター佐倉病院 内科学（消化器分野） 髙 田 伸 夫

２０１６年７月２４日

地域で考えるケアと治療 お酒とからだ” 診断と治療”

本日の内容

①アルコールと肝臓の関係 ②進行してしまったらどうなるの ③アルコールとの付き合い方

本日の内容

①アルコールと肝臓の関係 ②進行してしまったらどうなるの ③アルコールとの付き合い方

3 3

慢性肝炎の自然経過

F4

F3

F2

F1

F0

肝硬変

慢性肝炎

進展度

罹病期間

合併症：肝癌、腹水、食道静脈瘤

働きの低下：肝不全、肝性脳症

20～40年

アルコールでは 数年で進行することも

4

本邦にアルコール消費量の推移

堀江義則他：日消誌；112、1630-1640、2015、

分解産物 分解産物

分解産物

アルコール 脱水素酵素 （ADH）

脂肪沈着

脂肪沈着

5

アルコール

アセトアルデヒド

酢 酸

アセトアルデヒド 脱水素酵素 （ADH）

CYP2E1

アルコールの体内動態と障害発生機序

100-200mg／ 時間／kg

1合／4-5時間

18時から3合飲酒 翌日6-9時に分解終了

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アルコール性肝障害の進展様式①

アルコール過剰摂取

アルコール60g/日 ×4週間以上 アルコール100ｇ/日×1週間以上

ｱﾙｺｰﾙ60g（日本酒3合）/日×5年以上；常習飲酒者 ｱﾙｺｰﾙ100ｇ（日本酒5合）/日×5年以上；大酒家

肝線維症

脂肪肝（1/3以上）

肝硬変 アルコール性肝炎

肝癌

治癒

死亡

節酒・断酒

断酒

重症化

５合/日×10～20年

女性は2/3の量

リスクファクター

男性・糖尿病・肥満

90-100%

30-40%

10-30%

10-20%

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アルコール性肝障害の進展様式②

正常肝 脂肪肝 肝硬変

本日の内容

①アルコールと肝臓の関係 ②進行してしまったらどうなるの ③アルコールとの付き合い方

本邦における肝硬変の成因 アルコール関連の占める割合の推移

堀江義則他：日消誌；112、1630-1640、2015、

肝硬変に特徴的な身体所見

くも状血管腫

腹壁静脈怒張

女性化乳房

腹水

手掌紅斑

食道静脈瘤

破裂

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肝硬変が顕在化するまでのアルコール総量

男性；1.5ｔ 20-70歳で計算して

82g/日＝約4合

女性；1.0ｔ 20-70歳で計算して

55g/日＝3合弱

ただし、年齢・肥満・糖尿病・慢性疾患による長期内服などがあれば、より少ないアルコール量で肝硬変は発症

堀江義則他：日消誌；112、1630-1640、2015、

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ウイルス以外による肝癌の割合の年次別推移

（日本肝臓学会：肝がん白書、1999年）

C型肝炎

ウイルス陽性 （79％）

B型肝炎 ウイルス陽性 （11％）

B型およびC型肝炎 ウイルス陽性（1％）

B型およびC型肝炎 ウイルス陰性（9％）

Tateishi R et al：J Gastroenterol. 50；350–360,2015

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病因別発癌発生リスク

（日本肝臓学会：肝がん白書、平成27年度より）

本日の内容

①アルコールと肝臓の関係 ②進行してしまったらどうなるの ③アルコールとの付き合い方

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アルコール性肝障害問題点と治療

アルコール過剰摂取

アルコール60g/日 ×4週間以上 アルコール100ｇ/日×1週間以上

ｱﾙｺｰﾙ60g（日本酒3合）/日×5年以上；常習飲酒者 ｱﾙｺｰﾙ100ｇ（日本酒5合）/日×5年以上；大酒家

肝線維症

脂肪肝（1/3以上）

肝硬変 アルコール性肝炎

肝癌

治癒

死亡

節酒・断酒

断酒

重症化

５合/日×10～20年

女性は2/3の量

リスクファクター

男性・糖尿病・肥満

90-100%

30-40%

10-30%

10-20%

禁酒しても 50%以上が死亡

節酒しても 進行は止まらない

2合/日以上の飲酒で Riskアップ

４合/日の飲酒で Riskアップ

早期の飲酒コントロール（禁酒） 以外に治療法なし

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アルコール性肝障害に必要な最低限の検査法

・血液検査 AST・ALT；肝臓細胞内に含まれる酵素 →炎症による細胞破壊の程度の把握 →病気の進行具合の目安（赤信号） γGTP；アルコールによる酵素バランスの乱れの検出 →アルコール肝障害の警告（黄信号） 血小板；肝病変の進行の目安 →10万以下で肝硬変の疑い（即禁酒！） ・超音波検査；脂肪肝・進行した肝硬変・腹水・肝癌 ＊脂肪肝から肝硬変の間の評価は難しい →肝硬度測定法別途あり（当院では不可）

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用量 単位 濃度 エタノール量 日本酒 180ml 1合 15% 21.6g ビール 633ｍｌ 大びん 4.50% 22.7g ビール 500ml 中びん 5% 20g 焼酎 120ml 0.67合 25% 24g 缶チューハイ 350ml １缶 7% 19.6g ウイスキー 60ml ダブル 43% 20.6g ワイン 240ml グラス2杯 12% 23g

用量（ｍｌ）×度数・%÷100×0.8＝エタノール量(g)

アルコール換算方法

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肝臓保護を目的とした

アルコールとの付き合い方

健康な人は 1日あたり3合（60g－健康21では20g以下を推奨）*、休肝日を設けましょう

軽い肝障害のひとは 原則禁酒、どうしても飲みたいときは、1日あたり1-2合程度（ただし、AST・ALTが30以下となってから飲酒開始し、それがKeepできる量）、楽酒日（週1-2回）を設定しましょう。定期的に肝臓検査を受けましょう

重い肝障害のひとは 絶対禁酒、 極めて特殊な場合のみ、1日あたり1合弱（ただし、AST・ALTが30以下でγGTPが正常化してから飲酒再開し、それがKeepできる量）、楽酒日（週1回）を設定しましょう。定期的に肝臓検査を受けましょう

注意！ 決して飲酒を推奨する ものではありません