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卒業論文 ジフルオロアルケンのタンデム環化による フッ素置換高次チエノアセン類の合成 理工学群化学類 指導教員 市川 淳士 名 津田 修成 学籍番号 201310928

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卒業論文

ジフルオロアルケンのタンデム環化による

フッ素置換高次チエノアセン類の合成

理工学群化学類

指導教員 市川 淳士

氏 名 津田 修成

学籍番号 201310928

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目次

第一章 序 1

第二章 ピンポイントフッ素置換チエノアセンの合成

第一節 ジフルオロアルケンの合成 6

第二節 チオフェン上での Friedel–Crafts 型環化反応 11

第三節 タンデム型環化によるフッ素置換高次チエノアセンの合成 14

第三章 総括 15

第四章 実験項 15

引用文献 19

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第一章 序

チエノアセンは、直線的に伸びた拡張 π 共役系の内部または末端にチオフェン環を有す

る化合物である。チエノアセンには通常の多環式芳香族炭化水素(PAH)と異なる様々な特

徴が見られる。例えば、PAH に硫黄原子を導入したことで、硫黄の高い電気陰性度により

HOMO エネルギー準位が低下し、耐酸化性が向上している。また、硫黄原子はキャリア移

動度の向上に寄与している。硫黄は大きな原子半径を有しているため、結晶中で隣接分子と

の S⋯S 相互作用が見られる。多くの場合、チエノアセンの HOMO は硫黄上に大きな軌道

係数を持ち、S⋯S 相互作用を介した軌道の重なりが大きくなることで、キャリア移動度が

向上するとされている。さらに、C–H 結合が一部欠落することにより、C–H⋯π相互作用が

阻害されてヘリンボーン構造よりも π–π スタッキング構造が発現しやすい。以上のような

特性からチエノアセンは近年、大気下での安定性を備えた次世代の有機半導体材料として、

実用化に向けた研究が広くなされている。中でも、ベンゾビスベンゾチオフェン(BBBT,

Figure 1a)や[5]チエノアセン([5]Tac, 1b)、ジナフトチエノチオフェン(DNTT, 1c)1)はこれ

まで、駆動電圧や各種基板上での電荷移動度、熱に対する安定性といった物性の測定が行わ

れてきた。

一方当研究室では、少数のフッ素置換基を位置選択的に導入した PAH(ピンポイントフ

ッ素置換 PAH)を新しい有機半導体材料として提案してきた。ピンポイントフッ素置換 PAH

の特徴の一つとして、極性溶媒への溶解性の向上が挙げられる(Figure 2)2)。フッ素を含ま

ないピセンが THF中に 0.20 wt%しか溶解しないのに対して、6-フルオロピセンは 5.3 wt%、

13-フルオロピセンは 3.1 wt%の溶解性を示す。溶解性が向上することで湿式のデバイス作成

が可能となり、プリンタブルなデバイス開発につながる。

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ピンポイントフッ素置換 PAH に溶解性の向上が見られる要因としては、次の 2 点が考え

られる。まず、フッ素置換基の電子求引性誘起効果(–I効果、Figure 3a)と電子供与性共鳴

効果(+R 効果、3b)が同時に作用する結果、ピンポイントフッ素置換 PAHの π共役系には

大きな分極が生じる。加えて、C–F結合が導入されることで C–H結合が欠落し、PAHの難

溶性の要因の一つとされる C–H⋯π相互作用が阻害される。これらのため、極性有機溶媒へ

の溶解性が向上する。

以上を踏まえて筆者は、チエノアセンにフッ素置換基をピンポイントで導入することを

考えた。フッ素置換基が炭化水素の π共役系に与える効果は、チエノアセンに対しても同様

と考えられる。すなわち、ピンポイントフッ素置換チエノアセンには、フッ素を含まないチ

エノアセンに比べて耐酸化性の向上や溶解度の向上が見られるものと期待した。

さて、チエノアセンには現在までに様々な合成法が報告されている。これらは、(i)チオ

フェン環を構築する手法と、(ii)ベンゼン環を構築する手法に大別できる。例えば Wangら

は、トリフルオロメタンスルホン酸を用いてスルホキシド 1を環化させた後、生じた中間体

2をピリジンの水溶液で加熱還流することにより脱メチル化し、チエノアセン 3を収率 75%

で得ている(式 1)3)。一方 Neckersらは、固体酸触媒による Friedel–Crafts型環化–脱水によ

り二つのチオフェン環の間にベンゼン環を構築し、チエノアセン 5、7を収率 24%、46%で

得ている(式 2、3)4)。チエノアルデヒドの Friedel–Crafts型環化は、チオフェンの 2位と 3

位のいずれでも進行し、それぞれ異性体の関係にあるチエノアセンを与える。

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ピンポイントフッ素置換チエノアセンの合成もわずかだが報告されている。Anthonyらは、

チオフェンのリチオ化–求電子的フッ素化によりフルオロチオフェン 8 を得た。8 とシクロ

ヘキサンジオンとのアルドール縮合を経て、フッ素置換チエノアセン 9を合成している(式

4)5)。また Gonzalezらは、ペルフルオロベンゼンに対し、2.5倍モル量の水素化ナトリウム

と o-ブロモベンゼンチオールを作用させ、芳香族求核置換によりジスルファニルテトラフ

ルオロベンゼン 10を収率 70%で得た。続いて、ブチルリチウムで臭化アリール部位をリチ

オ化することで再び芳香族求核置換を分子内で行い、ジフルオロチエノアセン 11 を収率

95%で合成している(式 5)6)。このように、これまでに報告されているフッ素置換チエノア

センは、芳香環上へのフッ素置換基導入により合成されたものに限られる。

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ここで、当研究室で開発した 1,1-ジフルオロアルケンの求電子活性化によるピンポイン

トフッ素置換 PAHの合成法について述べる(Scheme 1)2)。三フッ化ホウ素–ジエチルエー

テル錯体存在下、ジフルオロアルケン 12 にカチオン性パラジウム(II)触媒を作用させると、

ピンポイントフッ素置換 PAHが合成できる。まず、ジフルオロアルケン 12がカチオン性パ

ラジウム(II)に配位することで、π錯体 14が生じる。電子密度が低下して求電子的に活性化

されたジフルオロアルケン部位に対し分子内芳香環からの求核攻撃(Friedel–Crafts型環化)

が進行し、環化中間体 15となる。ここから三フッ化ホウ素–ジエチルエーテル錯体がフッ化

物イオンを引き抜くことで、ピンポイントフッ素置換 PAH 13を与えるとともにカチオン性

パラジウム(II)が再生する。

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上述したジフルオロアルケンの求電子活性化法をチオフェン誘導体の基質に適用すると、

炭素骨格の構築とフッ素置換基の導入を同時に行うことが可能となり、新しいピンポイン

トフッ素置換チエノアセンの合成法を実現できる(式 6)。

ところで、π共役化合物における共役系の長さは、半導体特性の発現に深く関わっている。

筆者は、特に高次のピンポイントフッ素置換チエノアセンを効率良く合成するために、タン

デム型の手法を採用することとした。すなわち、二つのジフルオロアルケン部位を有する環

化前駆体 16b を調製して一挙に環化させることで、より共役系の長いピンポイントフッ素

置換チエノアセンを効率よく合成できると考えた(式 7)。

当研究室ではこれまで、ベンゼン環のみからなる基質でのタンデム環化を試みてきた。し

かし、これらの場合ではタンデム環化生成物は得られなかった。その原因として、ベンゼン

環のみからなる系では①環化前駆体や環化生成物の溶解性が低すぎること、②1回目の環化

が進行した生成物の求核性がフッ素の電子求引性により低下すること、の 2 点が考えられ

る。筆者は、チオフェン環を含む基質ならこれらの点で有利であり、タンデム環化を実現で

きると考えた。実際、タンデム環化によるチエノアセンの合成例は実績のある方法論となっ

ている(式 2、3)。以上のように筆者は、チオフェン骨格を有するビスジ(フルオロアルケン)

のタンデム環化で高次ピンポイントフッ素置換チエノアセンを合成することができると考

え、検討を行うこととした。

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第二章 ピンポイントフッ素置換チエノアセンの合成

第一節 ジフルオロアルケンの合成

ピンポイントフッ素置換チエノアセンの環化前駆体であるジフルオロアルケン 16a は、

Scheme 2に従って合成した。すなわち、市販品のメチルチオフェン 19に対し、既報 7)の C–

H 結合活性化による位置選択的なボリル化を施し、硫黄原子の α 位をボリル化したチオフ

ェンボロン酸エステル 20を収率 67%で調製した。次に、市販の o-ブロモベンズアルデヒド

21aに対してトリフェニルホスホニオジフルオロアセテート(PDFA)を N-メチルピロリド

ン中 100 ºC で作用させ、ジフルオロメチレン化により o-ブロモジフルオロスチレン 22a を

収率 61%で調製した 8)。得られたチオフェンボロン酸エステル 20と o-ブロモジフルオロス

チレン 22aの鈴木–宮浦カップリングにより、環化前駆体となるジフルオロアルケン 16aを

収率 69%で合成した。

次に、チオフェン環上での反応点が異なる環化前駆体 16b を調製した(式 8)。ホウ酸ト

リイソプロピル存在下、3-ブロモチオフェン 23に対し THF中–78 ºC において 1.3倍モル量

のブチルリチウムをゆっくりと滴下した。その後 2 mol/Lの塩酸で処理することで加水分解

し、チオフェンボロン酸 24 を収率 42%で調製した。さらに、ボロン酸 24 と o-ブロモジフ

ルオロスチレン 22a の鈴木–宮浦カップリングにより、環化前駆体 16b を収率 76%で得た。

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タンデム型環化前駆体となるビス(ジフルオロアルケン)16c も、同様に調製した(式 9)。

すなわち、チオフェン 25 に対してイリジウム触媒を用いた C–H ボリル化を 2 位と 5 位で

行い、チオフェンジボロン酸ジエステル 26 を収率 50%で得た 7)。26 と 22a の鈴木–宮浦カ

ップリングによりタンデム型環化前駆体であるビス(ジフルオロアルケン)16c を得たが、

43%と低収率であった。

16cの収率を改善するため、22aのヨード体である o-ヨードジフルオロスチレン 22bを用

いることとした。o-ヨードジフルオロスチレン 22bは、式 10に従って調製した。すなわち、

o-ヨード安息香酸 27 を 1.2 倍モル量のボラン-ジメチルスルフィド錯体で還元し、いったん

ベンジルアルコール 28とした(収率 80%)。その後、28を二酸化マンガン(IV)によってベン

ズアルデヒド 21b へと酸化した。21b に対して Scheme 2 と同様のジフルオロメチレン化を

施し、o-ヨードジフルオロスチレン 22bを収率 68%で得た。ヨード体 22bを先の 26とのカ

ップリングに用いたところ、16cの収率を 57%まで改善することができた(式 9)。

タンデム型環化前駆体 16c が「内巻き型」の基質であるのに対し、「外巻き型」のタンデ

ム型環化前駆体 16dの調製も検討した。内巻き型の 16cと外巻き型の 16dでは、1回目の環

化で生じる中間体において、芳香環上のフッ素置換基と 2 回目の環化で求核攻撃する反応

点(硫黄の β位)の位置関係に違いがある。すなわち、16cでは 2回目の反応で求核攻撃す

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る側の π共役系にフッ素置換基が位置することになる(式 11)。これに対して 16dでは、芳

香環上のフッ素置換基と 2 回目の反応点がビアリール軸を隔てた位置関係となる(式 12)。

そのため、16d では 2回目の環化においてフッ素置換基の電子求引効果による影響を受け難

いと考えられ、より収率良くタンデム型環化が進行すると考えた。

16d の合成に向けて、まず式 13 に従い 1,4-ジブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメタンスルホ

ニルオキシ)ベンゼン 32を調製した。すなわち、1,4-ジメトキシベンゼン 29を鉄粉存在下で

臭素化することにより、1,4-ジブロモ-2,5-ジメトキシベンゼン 30 を収率 78%で得た。得ら

れた 30 に対して三臭化ホウ素による脱メチル化を行い、1,4-ジブロモ-2,5-ジヒドロキシベ

ンゼン 31を定量的に得た。31に対しジクロロメタン中ピリジン存在下、トリフルオロメタ

ンスルホン酸無水物を作用させることで、32を収率 68%で調製した。

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ビス(ブロモトリフラート) 32 とベンゾチオフェンボロン酸 33 の鈴木–宮浦カップリング

を、トルエン/メタノール/水 (10 : 2 : 1) 混合溶媒中で行った。しかし、望みのブロモ選択的

なカップリング反応が進行したビス(トリフラート) 34の収率は6%に留まった(Table 1, Entry

1)。この際ベンゾチオフェンも得られたことから、低収率の原因は、ベンゾチオフェンボロ

ン酸 33のプロトノリシスが速いためだと考えた。

33 のプロトノリシスを抑制するため、溶媒に含まれる水の量を下げる検討を行った。ま

ず、混合溶媒の組成をトルエン/メタノール/水 (20 : 2 : 1)、トルエン/水 (20 : 1) として反応

を行ったところ(Entries 2,3)、後者の場合に収率が 46%まで向上した。水の比率を下げるに

従い 34の収率が向上し(Entries 3,4,5)、トルエン/水 (50 : 1) としたときに、最も良い収率

72%でビス(トリフラート) 34 を得ることができた(Entry 5)。トランスメタル化の促進でも

34 の収率が向上すると考え、t-ブトキシカリウムを塩基として反応を行ったが、収率は低下

した(Entry 7)。

得られた 34 と 2,2-ジフルオロビニル亜鉛-TMEDA 錯体 9)の根岸カップリングにより、タ

ンデム型環化前駆体 16dの調製を試みた(Table 2)。まず、反応系内で調製した塩化パラジ

ウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)(Entry 1)または塩化パラジウム(II)ビス(ジフェニル

ホスフィノプロパン)錯体(Entry 2)存在下、34 に対しジフルオロビニル亜鉛-TMEDA錯体

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の THF/エーテル (4 : 1) 溶液を作用させた。しかし、反応溶液の 19F 核 核磁気共鳴スペク

トル(19F NMR)で、16dのシグナルは確認できなかった。

そこで、触媒の検討を行った。塩化パラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体

(Entry 3)または反応系内で調製した塩化パラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィノプ

ロパン)(Entry 4)を用いて反応を行ったところ、19F NMR スペクトルで 16dと予想される

シグナルを確認した。α,α,α-ベンゾトリフルオリドを標準物質としてその 19F NMR 収率を算

出すると、収率 20%(Entry 3)および 32%(Entry 4)であった。しかし、リン酸緩衝液また

は 2 mol/L水酸化ナトリウム水溶液による反応停止、またはシリカゲルカラムへの導入によ

りそのシグナルが消失してしまった。また、反応時間を長くしても、上述のシグナルは見え

なくなった(Entry 5)。これらのことから、16d が反応条件下および精製操作下で不安定な

可能性があるため、今後は穏やかな反応条件や精製法を検討する予定である。

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第二節 チオフェン上での Friedel–Crafts型環化反応

タンデム型環化に先立ち、ジフルオロアルケン部位を一つだけ有する含硫黄ジフルオロ

アルケン 16aを用いて、基礎的な検討を行った(Table 3)。まず、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ

プロパン-2-オール(HFIP)中で等モル量の三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体存在下、

ジフルオロアルケン 16a(0.1 mol/L)に対し 15 mol%の塩化パラジウム(II)と 30 mol%のトリ

フルオロメタンスルホン酸銀を作用させ、60 ºC で終夜加熱した(Entry 1)。16aは完全に消

失したが、目的としたフルオロナフトチオフェン 17aを得ることはできなかった。粗生成物

の 1H核 核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)を確認したところ、芳香族領域にブロード化し

た複雑なピークが見られた。また、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した後、シリカ

ゲルカラムを通して得た生成物をガスクロマトグラフで分析したが、目立ったピークは見

られなかった。このことから、粗生成物は高沸点化合物であると予想される。ベンゼン環と

比較して、チオフェン環は Friedel–Crafts 型環化の反応性が高い。このため筆者は、分子間

反応により 16aのポリマー化が進行したのではないかと考えた(式 14)。

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ポリマー化は分子間反応であるため、高希釈条件下で抑制することができる。そこで、16a

の濃度を 0.03 mol/L とし、塩化パラジウム(II)の活性化剤としてトリフルオロメタンスルホ

ン酸銀またはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド銀を試した(Entries 2,3)。その結果、

後者においてより高い収率(59%)で目的のフルオロナフトチオフェン 17aを得ることがで

きた。反応系中の薄層クロマトグラフ(TLC)から、トリフルオロメタンスルホン酸銀を用

いた Entry 2と比較して、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド銀を用いた Entry 3 では

ポリマー化の度合いが低いと判断した。これら二つの銀塩の共役酸であるトリフルオロメ

タンスルホン酸とビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドの酸性度について、クロトンア

ルデヒドの β 水素の化学シフト変化から見積もった研究結果によれば(式 15)、ビス(トリ

フルオロメタンスルホン)イミドはトリフルオロメタンスルホン酸よりも酸性度が低い 10)。

このことから、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドのパラジウム塩(カチオン性パラ

ジウム種)は、トリフルオロメタンスルホン酸の塩よりもジフルオロアルケンの活性化が穏

やかであり、このためポリマー化を抑えることができて収率が向上した(Entry 3)と筆者は

考えている。ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド銀を用いてさらに希釈条件で反応を

行ったところ、0.01 mol/Lで反応を行った場合に、最も高い収率 66 %(単離収率 51%)で

17aを得ることができた。

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次に、ジフルオロアルケン 16bの環化反応を行った。一般にチオフェンの 2位は、3位よ

りも Friedel–Crafts 反応を起こし易い。このため、16b はより高い収率でフルオロナフトチ

オフェン 17b を与えるものと期待した。HFIP 中(16b 0.02 mol/L)等モル量の三フッ化ホウ

素-ジエチルエーテル錯体存在下、15 mol%の塩化パラジウム(II)と 30 mol%のビス(トリフル

オロメタンスルホン)イミド銀を作用させ、60 ºC で 1.5 時間撹拌した(式 16)。その結果、

予想したように環化反応が進行し、フルオロナフトチオフェン 17b を 19F NMR 収率 74%、

単離収率 57%で得ることができた。

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第三節 タンデム型環化によるフッ素置換高次チエノアセンの合成

ビス(ジフルオロアルケン)16c を用いて、タンデム型環化の検討を行った(Table 4)。16c

の場合、1 回目の環化が進行することで、2 回目の環化の反応位置はベンゾチオフェンの 3

位となる。ベンゾチオフェンの Friedel–Crafts 反応は一般に 3 位で進行し易い。このことか

ら、タンデム型環化が円滑に進行することを期待した。

まず、HFIP 中でのビス(ジフルオロアルケン)16cの濃度を 0.05 mol/Lとし、三フッ化ホウ

素-ジエチルエーテル錯体存在下、15 mol%の塩化パラジウム(II)と 30 mol%のビス(トリフル

オロメタンスルホン)イミド銀を作用させた(Entry 1)。その結果、目的とするタンデム型環

化生成物 17c を得ることはできなかったが、1 回目の環化生成物 18 を収率 32%で得た。こ

の際、物質収支は 42%と悪く、反応系中の TLC 分析からポリマー化も進行していることが

推定された。そこで前節同様、希釈条件下での反応を試みた。具体的には、16c の濃度を 0.02

mol/L(Entry 2)、0.01 mol/L(Entry 3)として反応を行ったところ、18がそれぞれ収率 23%、

31%で得られるとともに、望みのタンデム型環化生成物 17cもそれぞれ収率 54%、50%で得

られた。さらに 2回目の環化反応を促進するため、触媒量を 15 mol%から 20 mol%に増やす

ことで、17cの収率を 69%にまで向上させることができた(Entry 4)。

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第三章 総括

筆者は、カチオン性パラジウム(II)触媒を用いる高次ピンポイントフッ素置換チエノアセ

ンの合成法を開発した。具体的には、まずチオフェン環を有する 1,1-ジフルオロアルケンに

カチオン性パラジウム(II)触媒を作用させ、その求電子的活性化によってフッ素置換ナフト

チオフェンを得た。さらに、この手法にタンデム形式を適用することで、拡張 π共役系を有

するピンポイントフッ素置換チエノアセンの合成に成功した。

第四章 実験項

1. 分析機器

核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、Bruker製 AVANCE 500 (1H 核:500 MHz, 13C 核:126

MHz, 19F 核:470 MHz)または、JEOL製 ECS-400 (1H 核:400 MHz, 13C 核:100 MHz, 19F

核:376 MHz)を用いて測定した。1H NMRはテトラメチルシラン(0.00 ppm)を、13C NMR

は溶媒として用いた重クロロホルム(77.0 ppm)を、19F NMR はヘキサフルオロベンゼン

(0.00 ppm)を、それぞれ内部標準とした。赤外吸収(IR)スペクトルは、Horiba 製 FT 300S

を用いて測定した。質量分析スペクトルは日本電子製 GCv JMS-T100GCV を用いて、EI法、

イオン化電圧 2100 V で測定した。

2. 溶媒と試薬

溶媒は、特に断らない限り Glass Contour 社溶媒精製装置を用いて脱水、脱酸素したもの

を使用した。ヘキサフルオロプロパン-2-オールは、水素化カルシウムを加えて蒸留したも

のに MS4Å を加えて乾燥、保存したものを用いた。反応試薬は特に断らない限り、市販品

をそのまま用いた。生成物の精製は、関東化学(株)のシリカゲル 60N(球状、中性、63-

210 μm)を用いて行った。反応操作は特に断らない限り、アルゴン雰囲気下で行った。

3. ビスジフルオロアルケン 16cの合成

空気中で塩化パラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体(230.0 mg, 0.293 mmol)

とチオフェンジボロン酸ジエステル 26(676.8 mg, 2.01 mmol)、炭酸ナトリウム(3.3189 g, 31.3

mmol)を 50 ml フラスコに加えた。そこへ、オルトヨードジフルオロスチレン(1.180 g, 4.48

mmol)を溶媒として用いた 1,4-ジオキサン 13.3 mlで洗いこみながら加えた後、蒸留水 6.6 ml

を加えた。この反応容器を液体窒素につけて凍結させてから、フラスコ内部を真空ポンプで

真空にした。ポンプを止め、反応溶液を室温に戻して内容物を溶解させた。この操作を三回

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行った。反応溶液を 100 ºC で 15時間加熱撹拌した。室温において塩化アンモニウム水溶液

で反応を停止し、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出、飽和食塩水で洗浄し無

水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。シリカゲルクロマト

グラフィー(ヘキサン)で精製し、表題化合物 16cを得た(409.3 mg, 収率 57%)。

4. フッ素置換チエノアセンの合成

加熱乾燥した反応容器にビスジフルオロアルケン 16c(36.0mg, 0.100 mmol)、塩化パラジ

ウム(3.9 mg, 0.0219 mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(14.6 mg, 0.0379 mmol)、

1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール(10.0 ml)を加え、氷浴で冷やした。ここに、

三フッ化ホウ素–ジエチルエーテル錯体(25.0 μl, 0.203 mmol)を加えた後、60 ºC で二時間

加熱撹拌した。室温において炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止した。ジクロロメタン

で三回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減

圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、

表題化合物 17cを得た(14.5 mg, 収率 45%)。

2-Methyl-5-[1-(2,2-difluorovinyl)phenyl]thiophene(16a)

1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 2.52 (d, J = 1.0 Hz, 3H), 5.52 (dd, J = 26.0, 4.0 Hz, 1H), 6.74 (dd, J

= 2.0, 1.5 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 3.5Hz, 1H), 7.26 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.31 (ddd, J = 7.5,

7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.41 (dd, J =7.5 1.5 Hz, 1H), 7.53-7.56 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ =

15.2, 80.8 (dd, 2JCF = 31, 13Hz), 125.5, 127.1, 127.3, 127.7, 128.3 (dd, JCF = 7.0, 6.0 Hz), 128.6 (d,

JCF = 9 Hz), 130.5, 133.9, (d, 3JCF = 5 Hz), 139.5, 140.6, 156.5 (dd, 1JCF = 297, 288 Hz).

19F NMR (471 MHz, CDCl3): δ = 76.2 (ddd, J = 30 Hz, 26, 1 Hz), 78.6 (dd, JFF = 30 Hz, JHF = 4 Hz).

IR (neat): ν~ : 1722, 1234, 1171, 931, 800, 756 cm–1.

2-[1-(2,2-difluorovinyl)phenyl]thiophene(16b)

1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.34 (dd, J = 26.0, 4.0 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 5.0, 1.0 Hz), 7.24 (dd,

J = 3.0, 1.0 Hz, 1H ), 7.28 (ddd, 7.5, 7.5, 1.0 Hz, 2H), 7.34 (dd, J = 20.0, 20.0 Hz, 1H), 7.38 (dd, J =

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5.0, 3.0 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 7.5 Hz). 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 80.8 (dd, 2JCF = 30, 13Hz ),

123.6, 125.6, 127.3, 127.4, 128.3 (dd, JCF = 6, 6 Hz),128.5 (d, JCF = 9 Hz), 129.2, 130.1, 136.0 (d, J =

9 Hz), 141.2, 156.5 (dd, 1JCF = 299, 287 Hz). 19F NMR (471 MHz, CDCl3): δ = 77.8 (dd, JFF = 32 Hz,

JCF = 26 Hz, 1F), 79.7 (dd, JFF = 32 Hz, JHF = 4 Hz, 1F).

IR (neat): ν~ : 1722, 1234, 1169, 935, 750 cm–1

2,5-{2-[2-(1,1-Difluoroethenyl)]phenyl}thiophene (16c)

1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.58 (dd, J = 25.0, 4.0 Hz, 2H), 7.07 (s, 2H), 7.31 (ddd, J = 7.5, 7.5,

1.5 Hz, 2H), 7.36 (ddd, J = 7.5, 7.5, 1.5 Hz, 2H), 7.49(d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.56-7.60 (m, 2H). 13C NMR

(126 MHz, CDCl3): δ = 80.8 (dd, 2JCF = 31, 13Hz), 127.4, 127.6, 128.2, 128.4 (dd, JCF = 7, 5 Hz),

128.9 (d, J = 8 Hz), 130.6, 133.2 (d, J = 5 Hz), 142.5, 156.7 (dd, 1JCF = 298, 288 Hz). 19F NMR (471

MHz, CDCl3): δ = 76.6 (dd, JFF = 30 Hz, JCF = 25 Hz, 2F), 79.0 (dd, JFF = 30 Hz, JCF = 4 Hz, 2F). IR

(neat): ν~ : 1724, 1236, 1172, 935, 755 cm–1. HRMS(70 eV, EI):m/z Calcd. For C20H12F4S1 [M]+:

360.0596; Found: 360.0597.

2-Methyl(2-fluoronaphto[3,4-d])thiophene (17a)

1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 2.67 (d, J = 1.1 Hz, 3H), 7.22 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 11.0

Hz, 1H), 7.44-7.51 (m, 2H), 7.79-7.83 (m, 1H), 7.96-8.00 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ =

16.0, 106.8(d, 2JCF = 19 Hz), 118.0, 123.2, 125.4 (d, J = 2 Hz), 125.7, 126.0, 128.1 (d, JCF = 5 Hz),

129.0 (d, 2JCF = 23 Hz), 130.9 (d, 3JCF = 9 Hz), 139.1 (d, 3JCF = 8 Hz), 140.6, 155.5 (d, 1JCF = 251 Hz).

19F NMR (471 MHz, CDCl3): δ = 41.1 (d, J = 12 Hz, 1F). IR (neat): ν~ : 2919, 1508, 1444, 1101, 744

cm–1.

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2-Fluoronaphto[3,4-b]thiophene (17b)

1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 7.39 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 7.52-7.59 (m, 2H), 7.66 (d, J = 5.3 Hz,

1H), 7.87-7.91 (m, 1H), 8.00 (dd, J = 5.3, 4.0 Hz, 1H), 8.28-8.32 (m, 1H). 13C NMR (126 MHz,

CDCl3): δ =106.8 (d, 2JCF = 18 Hz), 122.4 (d, JCF = 2 Hz), 123.7, 125.5(d, JCF = 2 Hz), 126.1, 126.5,

126.9, 127.9, 128.0, 132.3 (d, JCF = 8 Hz), 139.4 (d, JCF = 6 Hz), 155.8 (d, 1JCF = 248 Hz). 19F NMR

(471 MHz, CDCl3): δ = 44.3 (dd, J =11, 4 Hz, 1F). IR (neat): ν~ : 3103, 1514, 1232, 1058, 837, 721

cm–1.

(3,3´-Difluoro)dinaphto[1,2-b:2´,1´-d]thiophene (17c)

1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 7.55 (dd, J = 6.0, 6.0 Hz, 2H), 7.59 (dd, 6.0, 3.0 Hz, 4H), 7.90 (dd,

J = 5.5, 3.0 Hz, 2H), 8.20 (dd, J = 5.5, 3.5 Hz, 2H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 109.3 (dd, JCF

= 13, 11 Hz), 122.2 (dd, JCF = 9, 9 Hz), 124.0, 125.6, 125.9, 127.3, 127.8 (d, JCF = 3 Hz), 132.2 (dd,

JCF = 5, 5 Hz), 139.4 (d, JCF = 4 Hz), 154.6-156.7(m). 19F NMR (471 MHz, CDCl3): δ = 52.4 (dd, J =

6.1 Hz, 2F). IR (neat): ν~ : 2921, 1518, 1304, 1169, 839, 737 cm–1.

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謝辞

本研究を進めるに当たり、有益かつ熱心なご指導ご鞭撻を賜りました、本学教授 市川 淳士

先生に心から御礼申し上げます。

本研究を行うにあたり、直接ご指導を賜り、適切な助言によって研究を支えてくださいまし

た、本学准教授 渕辺 耕平 博士に厚く御礼申し上げます。

実験を進める上で数々の有益なご助言をいただきました、本学助教授 藤田 建志 博士に深

く感謝します。

実験を進めるにあたり、直接ご指導くださいました今岡寿仁氏に心から感謝します。

また、研究生活の楽しさや厳しさをともに分かち合い、支え合った市川研究室の皆様に厚く

御礼申し上げます。

最後に研究生活を終始援助し、支えてくださいました両親、姉をはじめ、親戚の方々にこの

上なく感謝いたします。

2017年 3月