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幼保連携認定こども園の保育とはーゆうゆうのもり幼保園ー
ゆうゆうのもり幼保園
園長 渡邉英則
資料3
ゆうゆうのもり幼保園設立の経過・「はまっ子幼保園」計画横浜市中期政策プランに基づき、幼稚園と
保育園を一体化した施設を民設民営方式で整備
0~2歳 60名 社会福祉法人 保育園(0歳10名 1歳20名 2歳30名)3~5歳 180名 学校法人 幼稚園
横浜市の預かり保育制度を利用
・平成17年4月1日に開園・一番近い園が港北幼稚園・平成19年4月に認定こども園になり、平成27年には、法人を学校法人に統一して新たな認定こども園になる。
ゆうゆうのもり幼保園幼保連携型の認定こども園
幼稚園
3歳~5歳
保育園
0~2歳
幼稚園
3~5歳 保育園
0~5歳
60名
パターン1開園当初のゆうゆうのもり
パターン2
横浜市の要望により枠組みを変更した形
一つの施設として、新たな幼保連携認定こども園になる
幼保園
(1号・2号)
0~2歳
(3号)
特定負担金の問題
ゆうゆうのもり幼保園の概要• 開園時間 7:30~19:30
• 平成17年に開園 平成19年4月より認定子ども園になる
• 2号認定、3号認定の子どもと、1号認定でも横浜市独自の預かり保育(雇用対象)の子がいる
園児数 短時間児 長時間児 担任 担当 フリー
0歳 6人 6人 2人 他に一時保育担当の
1歳 10人 10人 3人 3人と常勤フリー3名
2歳 11人 11人 2人
3歳 54人 39人 15人 4人 1人 光:常勤フリー3名
4歳 61人 43人 18人 2人 1人 風:常勤フリー1名
5歳 62人 43人 19人 2人 1人 パート職員6人
合計 204人 125人 79人 8人 10人 おはよう担当2名
「ゆうゆう(悠遊)のもり」園舎の特色
(1)子どもの遊び、動きを捉えた園舎・園庭の設計(設計は仙田満)
子どもを管理しやすい設計ではなく、子どもが生活する園舎、園庭に
(2)子どもにも大人にも開放的なナースステーション
(3)長時間子どもがいても居心地のいい場
0~2歳の園庭、3~5歳の園庭
(4)保護者もほっとできる空間、交流ができるスペースの確保
(5)地域に開かれた園舎
1日の流れ
7:30 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 7:30
0歳
1,
2歳
短時間
長時間
給
食
給
食
給
食
午
睡
午
睡
おやつ
おやつ
おはよう保育
光の時間
随時登園
おやつ
随時降園
かぜの時間
随時降園
ぬくもりの時間
降
園
降
園
午
睡
牛
乳
随時登園
登
園
おひさま保育
そよ風保育
光の時間での保育の質は、風の時間の保育や家庭や地域の教育力が支える!
光の時間(学校教育)
風の時間
地域・家庭での生活
0~2歳の生活
風の時間だけでなく、地域・家庭も含め、多様な経験をする子どもが集まって、光の時間の教育・保育の質が高まっていく
保護者の理解・協力が必要
職員の体制を決めて、そこに生活する子どもの教育及び保育を考える
• 光の時間担当の職員
• 風の時間の職員(おはよう保育も含む)
• 乳児担当の職員
それぞれの職員が、担当する子どもの環境、生活、指導計画等を考える。それが全体の計画になっていく。
ただし、難しいのは各職員間の連携の仕方
何を大事にするかという、教育・保育の理念を共通理解する。そして、本音で話し合える時間や関係をどう作り出していくかが問われる。
ケア(養護)とは何か
ケア :保育とは、単に「子どもを預かる」「世話をする」「面倒をみる」というようなことではない
(上から目線、マニュアル的な保育だけでは子どもは育たない)
ケアとは、お互いの名前を呼び合う関係の中で、お互いを「気づかう」こと、(対等もしくは下から目線)
「お互いが愛おしい関係」が子育ての基盤。
元々、子どもは強く深く他者を気にかける存在
この力を失わせないことが学ぶことにつながる
ケアリングこそが学力であり、教育の中心になるべき
「すべての人・物・事は自分とつながるからこそ、引き受けられる」 奈須正裕
幼保連携認定こども園の課題
• 幼稚園児(1号認定子どもと、2,3号子どもとの割合はどの程度がいいのか。1号認定の保護者は幼稚園の行事や生活を望んでいる。保護者の参加がないと、行事等はできなくなる)
• 保育園児(2号認定子ども)と預かり保育(横浜市型の預かり保育の子どもとその日だけの預かり保育の子どもが混在)で残る子どもの保育の質をどう確保するか。
• おはよう保育(7:30~8:45)をどうするのがいいのか (保育者の確保も含めて)
• ぬくもりの時間(特に6:30~7:30)の保育をどうするか
• 1号認定児の保護者は、預かり保育にお金を支払うが、2号、3号認定児の保護者は、保育標準時間なら11時間預けることでいいのか?
• 利用調整があることで起こる保護者同士の育児観の違い。
• 長期休暇中の保育をどのように行うか。
• 研修の問題 0~2歳児の職員は年に2~3回、講演会的な研修会にでるのがやっと。
• 時間がない中で、園内研修等をどのように充実させるか?
• 保護者との連絡に時間がとられる。労働時間が長くなる。話し合う時間の確保が難しい。保護者会も二部制(2:30開始と5:50)
• 保護者同士が知り合い、連携を深めるためには、どうしても行事が土曜日の開催になってしまう。
• 4月にがらりと環境が変わるのが乳児クラスから幼児クラスへの進級である。乳児クラスから幼児クラスへの進級は、保育室のフロア、遊ぶ場所、保育者、そしてクラスがまだ始業していないため、どの保育者を頼りにしたらいいのか…という1週間がある。
• 本園では幼児への移行の中で、親子そろってできるだけ不安を軽減するために、2歳児クラスの3学期の連絡帳の軽減、2歳児クラスの途中から幼児フロアへ出る際に上履きを履くシステムの導入、年少児保育室で遊ぶこと、幼児クラスとの交流などを頻繁に意識して行うようにしている。
2歳から3歳への進級について
• 私はこの年少児たちが1歳児クラスの時に、夏季休暇を使って乳児クラスに遊びに行っていた。2歳児の時も夏季休暇・冬季休暇に、普段から時間が空くと乳児の部屋に遊びに行き、交流していた。
• 3歳の保育室に行くと、緊張を隠せない子どもたちの姿が見られた。「S先生!!」と他の保育者がいる中でも、唯一知っている私を必死に頼る子どもたち。遊びもどこか集中できない様子。私はとにかく楽しんでもらいたい一心で、いろいろな遊びを提案した。
• そこで盛り上がったのが、カメラ作りである。お菓子の箱にペットボトルのキャップや丸い画用紙を貼って、ひもを付けてできあがり。
• 初めて作ったカメラを大事に抱え、友達同士喜ぶ姿を見て、「乳児さんに行って写真撮りに行こうか!」と提案。大賛成の子どもたちを連れて先週までいた2歳児クラスへ一歩入ると、積極的に動く子どもたちの姿があった。
• 「良いお顔してくださいね~」と子どもたちや保育者を相手に、撮影会を開くほどだった。その流れを生かして「幼児クラスの先生たちも撮っちゃおう!」と張り切って職員室に行ってはみたものの、「やっぱ恥ずかしい…」と照れる子どもたち。「良いお顔して~」の
カメラマンは登場せず、遠慮がちに「カシャッ!」とシャッターを押すだけですぐに逃げてしまった。
• その姿を見て、幼児クラスへの進級の際にシステム的なことはもちろん、幼児の担当保育者がいかに普段から乳児クラスの子どもたちと触れ合い、顔を知り、関係をつくっていくことが大切なのかを学んだ。
• 扉一枚の一歩の大きさ、場所に慣れることはもちろん、頼れる保育者がどれだけいるかも大切なのだ。
乳児・光の時間・風の時間を超えて夏に行う乳児保育への研修
1歳児の保育に研修として参加した3歳児担任の保育者(8月)
一人一人の子どもにゆったりかかわれるのが楽しい!
乳児の保育者も、シフトの合間を見つけて、秋頃に幼児の保育に参加する
光の時間・風の時間を超えて長期休みに行う風の時間の合同保育
• 港北、ゆうゆうのもりの保育者が8つのチームを組んで、1週間づつ午前、午後の保育を行う。
• 長期休暇中の風の時間の保育では、普段なかなかできない保育をしよう。
• 多様な保育者が一緒に保育し、子どもや遊びや話し合うことで、園内研修にもなっている。
長期休暇中の風の時間の一場面
お祭りごっこ 音楽がかかると子ども達の竹を叩く音が自然に揃っていく
認定こども園における子育て支援とは何か。
• 子育ての大変さを引き受けるだけでなく、子どもという存在がどれだけ魅力的かを伝える役割を果たす。
(これが本当の少子化対策であるはず)
• きちんと保護者に保育のことを伝えていくこそが本来の子育て支援。遊びを通して育つことを理解し、支えてくれる保護者になっていくような仕掛けが必要。
• その意味では園からどのような情報発信をするかも、子育て支援のひとつの重要な役割。
• サークル活動等で、異年齢の保護者同士がかかわる機会をつくることが、そのまま子育ての経験談を話す場となり、子育ての支援になることが多い。
• 保護者が自分の子ども以外の子どもとかかわる経験をする中で、子どもとのかかわりを通して、地域、社会にかかわる楽しさを知る。(親が親になっていく場が必要ではないか)
• 地域の子育て支援の担い手を送り出していくのも、認定こども園の役割といえないだろうか。
• 子どもを通して、保護者同士の関係を広げ、新たな地域を築いていく。
(子育て支援の支援をしていくことは、認定こども園の大きな役割)
• 配慮の必要な子どもや外国籍の子どもなどとかかわりあう中で保護者も含め、多様さを認め合う社会を認定こども園や幼稚園、保育園から構築していく。
• 子どもの成長を語るときに、幼児期のエピソードがない、または語れない保護者を作らない。
年長のお母さんからの手紙
三年前、長女が入園する当時の私は、横浜に越して1年足らず、転勤族の妻にありがちな孤独感に苛まれ、育児のストレスも手伝い、時に暴力的な衝動に駆られ、長女にきつく当たっていました。
今、私自身がキラキラしているとは思いませんが、生き生きしていると感じます。それは長女のゆうゆうのもり幼保園での生活を通し、私が充実した日々を過ごしているからです。
精神的な支えになる知り合いができたこと、係の仕事を通して大勢の方からいろいろなことを学ばせて頂いていること、時に助けを頼める方ができたこと、こうして「私」が、娘の入園をきっかけに、三年前の辛くて、もがき、娘をうとんじていた生活から抜け出し、充実した生活を送らせてもらっています。
機会あるごとに、「本当にこれで良いのかな」と園からの問いかけに、子育てにおいて少し自問できるようになりました。今までの固定観念や、その時の気分で、子どもたちに頭ごなしに「ダメ」と言っていたことが多々ありましたが、最近はその直後に本当は彼女たちの行動はダメなことだったのかな、と反省し、時には子どもと話し合えるようになりました。
私も長女同様、ゆうゆうのもり幼保園で様々な学び、成長を頂いているように思います。
子どもが育つと保護者も育つ保育とは
認定こども園での学びとは
• 多様な価値観、生活リズムで育つ子どもがいる認定こども園では、そこでかかわる子ども同士や、保護者同士、さらには保育者も交えて、そこで起こる混乱や葛藤を乗り越えていくことこそが学びであり、共に生きていくことといえないだろうか。
• みんなに合わせるのではなく、共に生きていることを味わう。
子どもが学び、大人にも学びが起こるような保育をどう実現させるかが問われている。
乳幼児期の「学び」とは何か?
「知る」ということの内容の意味が抜け落ちると、単に楽しいだけで遊園地にいるのと同じで、そこから何もでて来ない。知には文脈がある。ただ遊ばせればいいということではない。
「知る」ということの根源には常に活動があり、文脈があり、実践がある。
「知る」ということは、いろいろな文脈やいろいろな活動と結びついたもの
であることを味わいながら学ぶことであり、それが実践である。
(佐伯胖)
知を創り出すコミュニティー 自分も仲間として属しているという実感
本当は何が大事かを探ろうとそれぞれが考え合うこと。
そのような力をどう幼児期に育てるか、幼保連携認定こども園の教育・保
育が問われている。
新しい幼保連携型認定こども園教育・保育要領について
• 幼稚園教育要領と保育所保育指針を合体させるという形からの脱却
(平成30年から平成40年までを踏まえて)
「一体的に展開される幼保連携型認定こども園における生活」をどのように実現させるか?
• ケア(養護)が子どもの成長を支えるという
保育・教育の基本を踏まえながら、乳幼児期の学びの重要性を
示す。
• 幼保連携型認定こども園では、状況に応じて、子どもだけでなく、保育者も保護者もアクティブ・ラーニング的な学びが必要。