65
2.7.6 個々の試験のまとめ 347 項目 内容 統計及び 解析計画 1)薬物動態 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積排泄率の記述統計量を求めた。 血漿中放射能濃度推移より算出した薬物動態パラメータの記述統計量を求め た。 統計手法 被験者数 の設定根 本試験において正規のサンプルサイズの設定は行わなかった。4名の被験者が 試験に組み込まれた。 医学専門家 治験責任医師名 治験実施医療機関 公表文献 なし 治験期間 19 19 開発のフェーズ 第Ⅱ相 2.7.6-31 評価項目の観察・検査スケジュール 経過時間 0 0.5 1 1.5 2 3 4 6 8 10 12 24 48 72 96 120 144 168 診察 ●● バイタルサイン(血圧, 脈拍数) ●● 12 誘導心電図検査 ●● 臨床検査(血液学的検 査・生化学的検査) ●● 臨床検査(尿検査) ●● 血漿中薬物濃度用採血 尿中薬物濃度用蓄尿 糞中薬物濃度用蓄糞 (1) 被験者の内訳 本試験に 4 例の被験者が組み入れられ,すべての例が治験薬の投与を受け,中止例並びに脱落 例はなかった。

項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

347

項目 内容

統計及び

解析計画

1)薬物動態 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積排泄率の記述統計量を求めた。

血漿中放射能濃度推移より算出した薬物動態パラメータの記述統計量を求め

た。

統計手法

被験者数

の設定根

本試験において正規のサンプルサイズの設定は行わなかった。4名の被験者が

試験に組み込まれた。

医学専門家

治験責任医師名

治験実施医療機関

公表文献 なし

治験期間 19 年 月 日

19 年 月 日

開発のフェーズ 第Ⅱ相

表 2.7.6-31 評価項目の観察・検査スケジュール

経過時間

前 0 0.5 1 1.5 2 3 4 6 8 10 12 24 48 72 96 120 144 168

診察 ● ● ●

バイタルサイン(血圧,

脈拍数) ● ● ● ● ●

12誘導心電図検査 ● ● ● 臨床検査(血液学的検

査・生化学的検査) ● ● ● ●

臨床検査(尿検査) ● ● ●

血漿中薬物濃度用採血 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●尿中薬物濃度用蓄尿 糞中薬物濃度用蓄糞

(1) 被験者の内訳

本試験に 4 例の被験者が組み入れられ,すべての例が治験薬の投与を受け,中止例並びに脱落

例はなかった。

Page 2: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

348

(2) 人口統計学的特性及び他の基準値の特性

解析対象の 4 例の人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.7.6-32 に示した。年齢は 33~44

歳,身長は 165~178 cm,体重は 65.0~89.4 kgであった。

表 2.7.6-32 人口統計学的及び他の基準値の特性

被験者番号 年齢(歳) 身長(cm) 体重(kg)

1 33 174 76.8

2 34 165 65.0

3 44 178 89.4

4 37 176 76.2

<資料番号 5.3.3.1-04:Appendix 4より抜粋>

(3) 結果の要約

(a) 薬物動態の結果

14C-塩酸モザバプタン 60 mg 水溶液の絶食下単回経口投与後の血漿中放射能濃度推移を(表

2.7.6-33)に示した。

単回経口投与後,血漿中放射能濃度は速やかに上昇し,投与後 0.5時間の放射能濃度は,0.665 µg

equiv/mL(0.389~0.924 µg equiv/mL)(平均値及び最小値~最大値,以下同様)であった。各被

験者の放射能濃度のピークは,投与後 1~1.5 時間であった。平均放射能濃度の最大は,投与後 1

時間の 0.947 µg equiv/mL(0.768~1.071 µg equiv/mL)であり,その後,投与後 24時間及び 48時

間にそれぞれ,0.118 µg equiv/mL(0.104~0.136 µg equiv/mL),0.048 µg equiv/mL(0.039~0.056 µg

equiv/mL)と推移し,96時間には 0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

った。

血漿中放射能濃度推移より求めた薬物動態パラメータを表 2.7.6-34に示した。

血漿中放射能濃度推移より求めた AUC48hは 8.95±1.25(平均値±標準偏差,以下同様) µg equiv

h/mLであり,t1/2は 17.23±0.90 hであった。

全血中放射能濃度は,血漿中放射能濃度推移よりやや低値で同様に推移した。投与後 0.5 時間

の全血中放射能濃度は,0.409 µg equiv/g (0.215~0.560 µg equiv/g)であり,48時間後には定量下

限未満となった(表 2.7.6-35)。

14C-塩酸モザバプタン 60 mg 水溶液の絶食下単回経口投与後の尿中及び糞中累積放射能排泄率

を表 2.7.6-36に示した。

総排泄率は,95.22%(94.75~95.73%)であり,そのほとんど 91.28%(88.20~92.76%)が 96

時間後までに排泄された。尿中には,投与後 168 時間までに 45.57%(41.43~49.85%)が排泄さ

れ,24時間後まででは 34.16%(31.87~37.60%)であった。糞中への排泄は尿に比べ遅く,投与

後 72時間までに 41.23%(34.36~47.41%),168時間までに 49.65%(45.45~54.30%)が糞中に

排泄された。

Page 3: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

349

表 2.7.6-33 14C-塩酸モザバプタン 60 mg水溶液の絶食下単回経口投与後の血漿中放射能濃度推移

被験者番号 経過時間

1 2 3 4 平均 標準偏差

投与前 ND ND ND ND – –

0.5h 0.597 0.924 0.389 0.751 0.665 0.228

1h 0.950 1.071 0.768 1.000 0.947 0.129

1.5h 0.868 0.938 0.787 0.919 0.878 0.067

2h 0.787 0.810 0.712 0.836 0.786 0.053

3h 0.621 0.676 0.540 0.694 0.633 0.069

4h 0.481 0.553 0.440 0.573 0.512 0.062

6h 0.333 0.393 0.302 0.392 0.355 0.045

8h 0.272 0.302 0.233 0.321 0.282 0.038

10h 0.203 0.238 0.202 0.257 0.225 0.027

12h 0.169 0.201 0.159 0.221 0.187 0.029

24h 0.104 0.136 0.104 0.128 0.118 0.017

48h 0.045 0.053 0.039 0.056 0.048 0.008

72h 0.037 0.038 0.024 0.037 0.034 0.007

96h 0.021 0.028 0.016 0.023 0.022 0.005

120h 0.015 0.023 ND 0.018 – –

144h 0.018 0.026 ND 0.018 – –

168h 0.016 0.018 ND 0.015 – –

単位:µg equiv/mL,定量下限:0.013µg equiv/mL ND:not detected <資料番号 5.3.3.1-04:Table 1>

表 2.7.6-34 14C-塩酸モザバプタン 60 mg水溶液の絶食下単回経口投与後の薬物動態パラメータ

被験者番号 Cmax

(µg equiv/mL) tmax

(h) AUC48h

(µg equiv h/mL) t1/2

(h) 1 0.95 1.0 8.21 16.73

2 1.07 1.0 9.96 17.33

3 0.79 1.5 7.57 16.41

4 1.00 1.0 10.05 18.46

平均値±標準偏差 0.95 ±0.12 1.13 ±0.25 8.95 ±1.25 17.23 ±0.90

<資料番号 5.3.3.1-04:Table 2>

Page 4: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

350

表 2.7.6-35 14C-塩酸モザバプタン 60 mg水溶液の絶食下単回経口投与後の全血中放射能濃度推移

被験者番号 経過時間

1 2 3 4 平均 標準偏差

投与前 ND ND ND ND – –

0.5h 0.359 0.560 0.215 0.502 0.409 0.155

1h 0.580 0.673 0.420 0.628 0.575 0.110

1.5h 0.490 0.596 0.432 0.614 0.533 0.086

2h 0.497 0.518 0.436 0.557 0.502 0.051

3h 0.385 0.459 0.331 0.463 0.409 0.063

4h 0.324 0.366 0.293 0.383 0.341 0.040

6h 0.206 0.249 0.182 0.239 0.219 0.031

8h 0.151 0.192 0.140 0.209 0.173 0.033

10h 0.123 0.164 0.112 0.144 0.136 0.023

12h 0.105 0.109 0.100 0.148 0.115 0.022

24h 0.060 0.083 0.057 0.068 0.067 0.011

48h ND ND ND ND – –

72h ND ND ND ND – –

96h ND ND ND ND – –

120h ND ND ND ND – –

144h ND ND ND ND – –

168h ND ND ND ND – –

単位:µg equiv/g,定量下限:0.013 µg equiv/g ND:not detected <資料番号 5.3.3.1-04:Table 3>

Page 5: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

351

表 2.7.6-36 14C-塩酸モザバプタン 60 mg水溶液の絶食下単回経口投与後の尿中及び糞中累積放射能排泄率(%)

被験者番号 経過時間

1 2 3 4 平均 標準偏差

尿中

2h 7.48 3.90 3.44 7.31 5.53 2.16

4h 13.93 10.16 13.51 14.56 13.04 1.97

6h 18.63 17.17 19.03 N.S. 18.28 0.98

8h 23.45 21.85 23.05 20.49 22.21 1.33

12h 26.57 25.91 29.48 28.26 27.55 1.62

24h 33.17 31.87 37.60 34.00 34.16 2.45

48h 40.21 38.37 44.93 41.62 41.28 2.77

72h 42.43 39.84 47.52 44.57 43.59 3.26

96h 43.36 40.73 48.69 45.62 44.60 3.38

120h 43.80 41.04 49.24 46.29 45.09 3.50

144h 44.07 41.26 49.61 46.58 45.38 3.56

168h 44.22 41.43 49.85 46.79 45.57 3.59

糞中

24h 0.09 0.13 3.21 0.03 0.87 1.56

48h 18.29 42.21 35.17 0.59 24.06 18.59

72h 40.87 47.41 42.26 34.36 41.23 5.37

96h 48.29 52.03 43.81 42.58 46.68 4.33

120h 48.61 52.78 44.08 46.97 48.11 3.63

144h 50.47 54.08 45.00 47.46 49.25 3.92

168h 50.89 54.30 45.45 47.95 49.65 3.81

総排泄率

2h 7.48 3.90 3.44 7.31 5.53 2.16

4h 13.93 10.16 13.51 14.56 13.04 1.97

6h 18.63 17.17 19.03 N.S. 18.28 0.98

8h 23.45 21.85 23.05 20.49 22.21 1.33

12h 26.57 25.91 29.48 28.26 27.55 1.62

24h 33.26 31.99 40.81 34.03 35.03 3.95

48h 58.51 80.57 80.09 42.21 65.35 18.54

72h 83.29 87.25 89.78 78.93 84.81 4.74

96h 91.65 92.76 92.49 88.20 91.28 2.10

120h 92.41 93.82 93.31 93.26 93.20 0.58

144h 94.54 95.34 94.61 94.04 94.63 0.53

168h 95.11 95.73 95.30 94.75 95.22 0.41

S.N.:no sample<資料番号 5.3.3.1-04:Table 4>

Page 6: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

352

(b) 安全性の結果

本試験において,4 例中 3 例に 5 件の有害事象が認められた。重篤な有害事象の発現はなかっ

た。発現した事象は,頭痛が 2件(同一症例に 2回発現),胃痛,咽頭痛,丘疹が各 1件であっ

た。いずれの事象も関連性は否定された。

血圧・脈拍数及び 12誘導心電図において,臨床的に意味のある変動は認められなかった。

血液学的検査において,被験者番号 4 で白血球数増加(11.38×109/L)が 168 時間後に認めら

れ,本被験者では,単球が 24 時間後及び 168 時間後にそれぞれ,0.72×109/L,1.02×109/L と正

常範囲(0.2~0.8×109/L)を越えていた。この白血球数増加は,有害事象(丘疹)に関連するも

のと考えられたが,臨床的に意味のある変動ではないと判断された。生化学的検査において,168

時間後に ALT上昇(52 IU/L,75 IU/L)が 2例(被験者番号 3,4)で認められたが,投与後 6日

の発現であり,治験薬との関連性は否定された。尿検査に異常は認められなかった。

(4) 結論

4例の健康成人男子に対する 14C-塩酸モザバプタン 60 mg水溶液の絶食下単回経口投与におい

て,放射能の吸収は速やかで,血漿中放射能濃度のピークは投与後 1~1.5時間であった。t1/2は約

17時間であった。全血中放射能濃度は血漿中放射能濃度よりやや低値で同様に推移した。全血中

放射能濃度に対する血漿中放射能濃度は,約 1.5~1.6倍であり,14C-塩酸モザバプタン由来の放射

能は血球中にほとんど移行していないと考えられた。投与後 168時間までに 95%以上が尿中ある

いは糞中に排泄され,尿と糞への排泄率はほぼ同程度であった。

重篤な有害事象の発現はなかった。忍容性があり,塩酸モザバプタンと関連のあるバイタルサ

イン,心電図及び臨床検査値異常変動は認められなかった。

Page 7: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

353

2.7.6.7 塩酸モザバプタンの薬物動態及び薬力学的作用に及ぼす CYP3A4阻害薬の影響の検討(日本人:129- H*-005試験)

健康成人男子を対象として,塩酸モザバプタンの薬物動態及び薬力学的作用(水利尿作用)に

対するチトクローム P450 3A4(CYP3A4)阻害薬(イトラコナゾール)併用による影響を検討し

た。方法を表 2.7.6-37に示し,実施スケジュールを表 2.7.6-38に示した。

表 2.7.6-37 試験の方法

項目 内容 治験課題名 塩酸モザバプタンの CYP3A4阻害薬併用による影響の検討

目的 健康成人男子を対象として,塩酸モザバプタンの薬物動態及び薬力学的作用(水利尿作用)に対するチトクローム P450 3A4(CYP3A4)阻害薬(イトラコナゾール)併用による影響を検討することを目的とした。

治験方法 本試験は,阻害薬併用群として健康成人男子 24 例を対象とし,Ⅰ期には単独で塩酸モザバプタン 30 mg錠 1錠の単回経口投与を行い,Ⅱ期にはイトラコナゾール投与下 9日目(Ⅰ期投与 15日後)に塩酸モザバプタン 30 mg錠 1錠の単回経口投与を行う上乗せ試験法により非盲検下で実施した。なお,イトラコナゾールはⅡ期の塩酸モザバプタン単回経口投与後も 2日間継続投与した。また,対照群として阻害薬非併用群(6 例)をおき,Ⅰ期,Ⅱ期とも単独で塩酸モザバプタン 30 mg錠 1錠の単回経口投与を行った。Ⅰ期,Ⅱ期ともに塩酸モザバプタン投与日の前日に観察日を設けた。

被験者数 計画時:30例(阻害薬併用群 24例,阻害薬非併用群 6例),投与例数:30例(阻害薬併用群 24例,阻害薬非併用群 6例),薬物動態解析対象:30例(阻害薬併用群 24例,阻害薬非併用群 6例),安全性解析対象:30例(阻害薬併用群 24例,阻害薬非併用群 6例)

主要な選択基準 1) 性別:男 2) 年齢: 20歳以上,40歳以下(同意取得時点) 3) 非喫煙者(2ヶ月以上喫煙していない者) 4) 日本人 5) スクリーニング検査の結果,治験責任医師又は治験分担医師が治験実施医療機関の臨床検査の基準値等をもとに医学的に健康と判断した者

治験薬,用量及び投与方法,ロット番号

1) 被験薬 ・塩酸モザバブタン 30 mgを含有する錠剤(ロット番号:02I99A030A) 2) CYP3A4阻害薬 ・イトラコナゾールを 50 mg含有するカプセル剤(ロット番号:214ACF) 3) 用量及び投与方法 阻害薬併用群:Ⅰ期には塩酸モザバプタン 30 mg錠を 1錠,朝絶食下に単回経口投与した。CYP3A4阻害薬イトラコナゾールは,100 mgを 7日間毎朝食直後に,200 mgを 2日間朝絶食下に反復経口投与した。イトラコナゾール 200 mg投与の 2日目に,Ⅱ期被験薬投与として塩酸モザバプタン 30 mg錠を 1錠,朝絶食下に単回経口投与した。その後,イトラコナゾール 100 mgを 2日間毎朝食直後に反復経口投与した。 阻害薬非併用群:CYP3A4阻害薬イトラコナゾールの投与を行わず,Ⅰ期,Ⅱ期ともに塩酸モザバプタン 30 mg錠を 1錠,朝絶食下に単回経口投与した。

投与期間 被験薬はⅠ期,Ⅱ期ともに単回投与,CYP3A4 阻害薬イトラコナゾールは 11日間反復投与

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 8: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

354

項目 内容 薬物動態評価項目

1)薬物動態の相互作用評価項目 ・モザバプタンの Cmax,tmax,AUCt,AUC∞,AUC72h,t1/2,z,CL/F,CL/F/BW,Vz/F,Vz/F/BW,CLr,CLr/BW,fe,72h ・各代謝物の Cmax,tmax,AUCt,AUC∞,AUC72h,t1/2,z,CLr,CLr/BW,fe,72h・モザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル換算合計の Cmax,tmax,AUCt,AUC∞,AUC72h,t1/2,z,CL/F,CL/F/BW,CLr,CLr/BW,fe,72h ・モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)のモル換算合計の Cmax,tmax,AUCt,AUC∞,AUC72h,t1/2,z,CL/F,CL/F/BW 2) CYP3A4代謝活性指標 ・尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比 ・コルチゾール→6β-ヒドロキシコルチゾールクリアランス 3) 薬力学的作用の相互作用評価項目 自由水クリアランス,尿浸透圧,累積尿量(それぞれ投与後 4時間,6時間,24時間)

評価項目

安全性評価項目

有害事象,臨床検査,バイタルサイン(血圧,脈拍数,体温),体重,心電図検査

統計及び解析計画

1)薬物動態 モザバプタン,各代謝物,モザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)

のモル換算合計及びモザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)のモル換算合計の血漿中薬物濃度と薬物動態パラメータの記述統計量を求めた。 薬物動態の相互作用評価項目の各項目について,Ⅱ期(阻害薬併用時)のⅠ

期(単独投与時)に対する比(tmaxについては差)及びその 90%信頼区間を求めた。

CYP3A4 代謝活性指標について,被験者ごとに,Ⅰ期観察日(1 日目)に対するⅠ期被験薬投与日(2 日目)の比,1 日目に対するⅡ期観察日の前日(15日目)の比,1日目に対するⅡ期観察日(16日目)の比,1日目に対するⅡ期被験薬投与日(17日目)の比,16日目に対する 17日目の比を求め,これらの幾何平均を算出した。 2)薬力学的作用 各評価項目について,投与群ごとに各期の観察日及び被験薬投与日の記述統

計量,観察日からの変化量の記述統計量を求めた。 薬力学的作用の相互作用評価項目について,被験薬投与日の観察日からの変

化量について,Ⅱ期(阻害薬併用時)のⅠ期(単独投与時)に対する差及びその 90%信頼区間を求めた。

統計手法

被験者数の設定根拠

モザバプタン,モザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル換算合計,モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)のモル換算合計の AUC48h及び Cmaxについて,単独投与時に対する阻害薬併用時の比の 90%信頼区間がある範囲に含まれる確率をシミュレーションにより求め,その結果を参考に設定した。なお,個体内分散は,塩酸モザバプタンの最終製剤(30 mg錠)における食事の影響の検討(治験計画番号 129-G*-001)のものを用いた。また,本試験では AUC72hの値を評価するが,その個体内分散は AUC48hと同様であると仮定した。 また,薬力学的作用の治験条件下での時期変動を評価するための対照群を 6例設定した。

医学専門家

治験責任医師名

治験実施医療機関

公表文献 なし

治験期間 20 年 月 日(最初の被験者の同意取得日) 20 年 月 日(最後の被験者の最終検査日)

開発のフェーズ 第Ⅱ相

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 9: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

355

表 2.7.6-38 評価項目の観察・検査スケジュール

観察日(1日目又は 16日目) 項 目 スクリー

ニング -1日

(入院日) 投与前 0 2 4 6 8 10 12 既往症・現症,身長 ● 阻害薬投薬 ☆1) 飲水2) ○ ● ● ● ● ● ● ● 身体的徴候及び症状 ● ● 血圧,脈拍数 ● ●3) 体温,体重 ● ●3) 12誘導心電図検査 ● ●3) 臨床検査 ● ● 血清浸透圧 ● ● ● 血漿中コルチゾール濃度用採血 ● ● ● 蓄尿 食事 4) L,D F L D

9日目 10日目 11~14日目 15日目 16日目

項 目 投与前 0 投与前 0 投与前 0 投与前 0 6 12 0

阻害薬投薬 ☆ ☆ ☆ ☆ 身体的徴候及び症状 ● ● ● ● 血圧,脈拍数 ● 体温,体重 ● 臨床検査 ● ●5) 血漿中コルチゾール濃度用採血 ● ● ●

上図参照

蓄尿 食事 4) B,L,D B,L,D B,L,D B,L,D

●日目は,Ⅰ期観察日を 1日目とする。 1)阻害薬投与は,Ⅱ期(16日目)のみで,200 mgを投与する 2)投与 1時間前:100 mL(○),治験薬投与時,投与 2,4,6,8,10,12時間後:150 mL(●) 3)投与前の血圧,脈拍数,体温,体重及び 12誘導心電図は 1日目のみ 4)F=絶食,B=朝食,L=昼食,D=夕食 5)阻害薬併用群でのみ,10日目の阻害薬投与前に臨床検査を実施する

Page 10: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

356

被験薬投与日(2日目又は 17日目) 3日目又は

18日目 4日目又は

19日目

5日目又は

20日目 項 目

投与

前 0 0.5 0.75 1 1.25 1.5 2 3 4 6 8 10 12 24 36 48 60 72

24 日 目

被験薬投薬 ◎ 阻害薬投薬 ☆1) ☆1) ☆1) 飲水2) ○ ● ● ● ● ● ● ● 身体的徴候及び症状 ● ● ● ● ● ● ● 血圧,脈拍数 ● ● ● ● ● 体温,体重 ● ● ● ● 12誘導心電図検査 ● ● ● 臨床検査 ● ● ● 血清浸透圧 ● ● ● ● 血漿中コルチゾール濃度用採血 ● ● ● ● 血漿中薬物濃度用採血 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 蓄尿 食事 3) F L D B,L,D B,L,D

●日目は,Ⅰ期観察日を 1日目とする。 1)阻害薬投与は,試験群のⅡ期(17~19日目)のみであり,17日目は 200mg,18及び 19日目は 100mgを投与する。 2)投与前 1時間:100 mL(○),治験薬投与時,投与 2,4,6,8,10,12時間後:150 mL(●) 3)F=絶食,B=朝食,L=昼食,D=夕食

Page 11: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

357

(1) 被験者の内訳

被験者の内訳を図 2.7.6-11に示した。

本試験において,阻害薬併用群に 24例が,阻害薬非併用群に 6例が割り付けられ,計 30例の

被験者が組み入れられた。すべて被験者が規定の治験薬(塩酸モザバプタン及び CYP3A4阻害薬)

の投与を受け,中止例はなかった。

割り付けられた被験者

30例

Ⅰ期 阻害薬併用群

24例

阻害薬非併用群

6例

阻害薬前投与期 阻害薬併用群

24例

Ⅱ期 阻害薬併用群

24例

阻害薬非併用群

6例

図 2.7.6-11 被験者の内訳

<資料番号 5.3.3.4-01:図 6.1-1>

(2) 人口統計学的特性及び他の基準値の特性

解析対象の 30例の人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.7.6-39に示した。

阻害薬併用群の平均年齢は 25.9歳(22~33歳),平均身長は 172.50 cm(161.1~187.4 cm),

平均体重は 62.90 kg(50.9~81.2 kg)であった。

阻害薬非併用群の平均年齢は 28.2歳(25~35歳),平均身長は 171.62 cm(164.3~174.1 cm),

平均体重は 62.58 kg(53.7~72.9 kg)であった。

Page 12: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

358

表 2.7.6-39 薬物動態解析対象における人口統計学的及び他の基準値の特性

項目(単位) 投与群 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値

年齢(歳)* 阻害薬併用群 24 25.9 3.4 22 25.0 33

阻害薬非併用群 6 28.2 4.3 25 26.0 35

身長(cm) 阻害薬併用群 24 172.50 6.42 161.1 172.95 187.4

阻害薬非併用群 6 171.62 3.83 164.3 173.40 174.1

体重(kg) 阻害薬併用群 24 62.90 7.70 50.9 62.75 81.2

阻害薬非併用群 6 62.58 7.01 53.7 61.75 72.9

* 年齢=同意取得日-生年月日 <資料番号 5.3.3.4-01:表 7.2-1>

(3) 結果の要約

(a) 薬物動態の結果

阻害薬併用群におけるⅠ期及びⅡ期のモザバプタン,各代謝物,モザバプタンと活性代謝物(M1

~M5,M8,M15)のモル換算合計及びモザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル

換算合計の血漿中濃度推移を図 2.7.6-12及び図 2.7.6-13に示した。

モザバプタン,M1,M4,M5,M8,M15及びモザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)

のモル換算合計では,Ⅰ期よりもⅡ期の方が高い平均血漿中薬物濃度推移を示し,より緩やかに

消失した。

M2及びM3は,平均値としてはⅠ期よりもⅡ期の方が高い血漿中薬物濃度推移を示し,より緩

やかに消失した。被験者ごとに見ると,Ⅱ期で高い血漿中濃度推移を示す被験者と,Ⅱ期の方が

低いピークを示し,その後緩やかに消失する被験者とがそれぞれ存在し,被験者によってばらつ

きがあった。

M6,M7 及びモザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル換算合計では,Ⅰ期より

もⅡ期の方が低い平均血漿中薬物濃度推移を示した。

M9及びM13の平均血漿中濃度は,Ⅱ期の方が低いピークを示し,その後緩やかに消失した。

M10 は,平均値としてはⅠ期よりもⅡ期の方が低い血漿中薬物推移を示した。被験者ごとにみ

ると,全投与後時間を通してⅠ期及びⅡ期で定量下限未満の被験者や,Ⅱ期のみ定量下限未満の

被験者も存在した。

Page 13: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

359

図 2.7.6-12 モザバプタン及び代謝物(M1~M7)の血漿中濃度推移

(平均値,n=24) <資料番号 5.3.3.4-01:図 7.4-1>

モザバプタン

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M1

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M2

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M3

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M4

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M5

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M6

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M7

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

モザバプタン

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M1

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M2

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M3

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

モザバプタン

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M1

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

モザバプタン

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M1

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M2

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M3

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M4

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M5

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M6

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M7

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

Page 14: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

360

図 2.7.6-13 代謝物(M8~M10,M13,M15),モザバプタンと活性代謝物のモル換算合計及びモザバプタンと代謝物のモル換算合計の血漿中濃度推移

活性体合計:モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)のモル換算合計, 全合計:モザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル換算合計 (平均値,n=24) <資料番号 5.3.3.4-01:図 7.4-1>

M8

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M9

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M10

0.01

0.1

1

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M13

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M15

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

活性合計

0.1

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

nmol

/L)

Ⅰ期Ⅱ期

全合計

0.1

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

nmol

/L)

Ⅰ期Ⅱ期

活性体合計

M8

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M9

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M10

0.01

0.1

1

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M13

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M15

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

活性合計

0.1

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

nmol

/L)

Ⅰ期Ⅱ期

全合計

0.1

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

nmol

/L)

Ⅰ期Ⅱ期

M8

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M9

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M10

0.01

0.1

1

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M13

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M15

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M8

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M9

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M8

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M9

0.01

0.1

1

10

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M10

0.01

0.1

1

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M13

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

M15

0.01

0.1

1

10

100

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

ng/m

L)

Ⅰ期Ⅱ期

活性合計

0.1

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

nmol

/L)

Ⅰ期Ⅱ期

全合計

0.1

1

10

100

1000

0 12 24 36 48 60 72投与後時間 (時間)

血漿中濃度 (

nmol

/L)

Ⅰ期Ⅱ期

活性体合計

Page 15: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

361

モザバプタン,モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)のモル換算合計及びモザバ

プタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル換算合計の主な薬物動態パラメータに対する

CYP3A4阻害薬併用の影響を表 2.7.6-40に示した。

モザバプタンは,単独投与時と比べ CYP3A4 阻害薬併用下で Cmaxが 1.47 倍(90%信頼区間:

1.29-1.68),AUC72hが 1.80倍(90%信頼区間:1.51-2.15)とそれぞれ上昇した。また,単独投

与時と比べ CYP3A4阻害薬併用下で t1/2,zの延長,CL/F,Vz/Fの低下がみられた。CLrは明らかな

影響はみられなかった。

モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)のモル換算合計では,単独投与時と比べ

CYP3A4 阻害薬併用下で Cmaxが 1.65 倍(90%信頼区間:1.55-1.74),AUC72hが 2.96 倍(90%

信頼区間:2.79-3.15)とそれぞれ上昇した。また,単独投与時と比べ CYP3A4阻害薬併用下で tmax

の遅延,t1/2,zの延長,CL/Fの低下がそれぞれみられた。

モザバプタンと代謝物(M1~M10,M13,M15)のモル換算合計では,単独投与時と比べ CYP3A4

阻害薬併用下で Cmax及び AUCがいずれも低下した。また,単独投与時と比べ CYP3A4阻害薬併

用下で CL/F,CLrの上昇がそれぞれみられた。

表 2.7.6-40 塩酸モザバプタンの主な薬物動態パラメータに及ぼす CYP3A4阻害薬の影響

化合物

Cmax (ng/mL) 又は

(nmol/L)

tmax (h)

AUC72h

(ng・h/mL)又は

(nmol・h/L)

t1/2,z (h)

CL/F (L/h)

Vz/F (L)

CLr

(L/h)

単独 4.046± 3.718

0.688± 0.212

6.75± 6.03

1.65±a) 0.38

6049.3± a) 3396.0

13805.7± a) 8230.5

0.1133± b)

0.1315 イトラコナゾール 併用

5.513± 2.846

0.771± 0.390

11.20± 5.53

2.00± a) 0.62

3397.7± a) 2554.5

8795.3± a) 5352.9

0.1624± b)

0.1067 モザバプタン

比又は差 90% CI

1.47 1.29-1.68

0.083 -0.08-0.25

1.80 1.51-2.15

1.19 a) 1.07-1.32

0.54 a) 0.46-0.64

0.65 a) 0.55-0.76

0.91 b) 0.68-1.22

単独 185.505± 48.017

1.094± 0.382

1004.25±202.18

10.15± 3.70

66.674± 13.959 - -

イトラコナゾール 併用

301.813± 64.621

1.427± 0.628

2969.60±554.58

14.04± 3.88

22.036± 4.914 - -

モザバプタンと 活性代謝物の モル換算合計

比又は差 90% CI

1.65 1.55-1.74

0.333 0.09-0.57

2.96 2.79-3.15

1.42 1.29-1.56

0.33 0.31-0.35 - -

単独 525.028± 119.161

1.573± 0.739

8608.54±3111.61

23.10± 9.26

7.678± 2.728 - 0.3760±

0.1328 イトラコナゾール 併用

413.628± 107.523

1.510± 0.674

6327.03±1548.08

19.78± 5.25

10.010± 2.939 - 0.8677±

0.2153

モザバプタンと 代謝物の モル換算合計

比又は差 90% CI

0.78 0.72-0.85

-0.063 -0.37-0.25

0.76 0.71-0.82

0.87 0.72-1.04

1.34 1.25-1.44 - 2.38

2.17-2.62平均値±標準偏差,n=24,但し,a) n=23,b) n=13 -:算出せず 比:単独投与に対する阻害薬併用の比(Cmax,AUC,t1/2,z,CL/F,Vz/F及び CLr)差:阻害薬併用-単独投与(tmax) 活性代謝物: M1~M5,M8,M15 その他の代謝物:M6,M7,M9,M10,M13

<資料番号 5.3.3.4-01:表 7.4-1,表 7.4-14,表 7.4-15,表 11.2-5,表 11.2-18,表 11.2-19より抜粋>

単独投与時と比べ CYP3A4 阻害薬併用下において,Cmax及び AUC の変化からみて代謝物は大

きく 5グループに分かれた。

• M1,M4,M5,M8及びM15:Cmax及び AUCが共に上昇した。

• M3:Cmaxは変化せず AUCが上昇した。

• M2及びM13:Cmaxが低下したが,AUCは上昇した。

Page 16: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

362

• M6,M7及びM9:Cmax及び AUCが低下した。

• M10:Cmaxが低下したが,AUCには明らかな差はみられなかった。

また,t1/2,zは,M6及びM10を除き,延長していた。

CYP3A4 代謝活性指標として,尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比,コルチゾー

ル→6β-ヒドロキシコルチゾールクリアランス(CLC→6β-HC)を用い,これら指標について,Ⅰ期

観察日の 1日目に対する各時期の比を算出し,CYP3A4代謝活性阻害について検討した。

阻害薬併用群の尿中 6β-ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比について,Ⅱ期観察日前日(15

日目),Ⅱ期観察日(16日目),Ⅱ期被験薬投与日(17日目)のⅠ期観察日(1日目)に対する

比は,それぞれ 0.372±0.124(0.14~0.63:最小値~最大値,以下同様),0.507±0.197(0.25~1.15),

0.523±0.190(0.25~0.95)であった。

阻害薬併用群の CLC→6β-HCについては,0~6 時間,0~12 時間,0~24 時間の 3 区間について

検討を行ったが,各区間の間で大きな違いは認められなかった。0~6時間の CLC→6β-HCにおける

Ⅱ期観察日前日(15 日目),Ⅱ期観察日(16 日目),Ⅱ期被験薬投与日(17 日目)のⅠ期観察

日(1 日目)に対する比は,それぞれ 0.396±0.250(0.07~1.16),0.387±0.149(0.16~0.68),

0.276±0.099(0.13~0.46)であった。

以上より,CYP3A4阻害薬併用による CYP3A4代謝活性の阻害が確認された。

(b) 薬力学的作用の結果

0~4時間の自由水クリアランス,累積尿量及び尿浸透圧に対する CYP3A4阻害薬併用の影響を

表 2.7.6-41に示した。

自由水クリアランス 0-4h及び自由水クリアランス 0-6hは,阻害薬併用群においてⅠ期,Ⅱ期とも

に観察日に比べ被験薬投与日に上昇した。上昇の程度はⅠ期よりもⅡ期の方が大きかった。自由

水クリアランス 0-24hはⅠ期,Ⅱ期ともにほとんど変わらなかった。阻害薬非併用群においても同

様に,自由水クリアランス 0-4h及び自由水クリアランス 0-6hは,Ⅰ期,Ⅱ期ともに観察日に比べ被

験薬投与日に上昇した。上昇の程度はⅠ期よりもⅡ期の方が大きかったが,阻害薬併用群よりは

上昇の程度は小さかった。自由水クリアランス 0-24hはⅠ期,Ⅱ期ともにほとんど変わらなかった。

塩酸モザバプタンによる自由水クリアランス上昇に対する阻害薬併用による明らかな影響はみら

れなかった。

0~4 時間及び 0~6 時間累積尿量は,阻害薬併用群においてⅠ期,Ⅱ期ともに観察日に比べ被

験薬投与日に増加した。増加の程度はⅠ期よりもⅡ期の方が大きかった。0~24 時間累積尿量は

Ⅰ期,Ⅱ期ともにほとんど変わらなかった。阻害薬非併用群においても同様に,0~4 時間及び 0

~6 時間累積尿量は,Ⅰ期,Ⅱ期ともに観察日に比べ被験薬投与日に増加した。増加の程度はⅠ

期よりもⅡ期の方がやや大きかったが,阻害薬併用群よりは小さかった。0~24 時間累積尿量は

Ⅰ期,Ⅱ期ともにほとんど変わらなかった。塩酸モザバプタンによる累積尿量増加に対する阻害

薬併用による明らかな影響はみられなかった。

0~4 時間及び 0~6 時間尿の尿浸透圧は,阻害薬併用群においてⅠ期,Ⅱ期ともに観察日に比

Page 17: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

363

べ被験薬投与日に低下し,その程度は 0~4時間尿においてはⅠ期よりもⅡ期の方が大きく,0~6

時間尿においてはⅠ期,Ⅱ期ともにほとんど変わらなかった。0~24 時間尿の尿浸透圧はⅠ期,

Ⅱ期ともに観察日に比べ被験薬投与日にやや低下し,その程度はⅠ期,Ⅱ期ともにほとんど変わ

らなかった。阻害薬非併用群においても同様に,0~4時間及び 0~6時間尿の尿浸透圧は,Ⅰ期,

Ⅱ期ともに観察日に比べ被験薬投与日に低下した。0~24 時間尿の尿浸透圧はⅠ期,Ⅱ期ともに

観察日に比べ被験薬投与日にやや低下した。尿浸透圧の低下の程度は,いずれの区間尿において

もⅠ期よりもⅡ期の方が小さかった。塩酸モザバプタンによる尿浸透圧低下に対しては,阻害薬

併用により作用が増強する可能性が示唆された。

表 2.7.6-41 薬力学的作用評価項目に及ぼす CYP3A4阻害薬の影響(観察日からの変化量)

項目(単位) 投与群 例数 平均値 標準偏差 標準誤差 最小値 中央値 最大値

Ⅰ期 24 0.865 0.849 0.173 -0.46 0.590 2.42

Ⅱ期 24 1.763 0.895 0.183 -0.06 1.631 3.86 阻害薬 併用群

差及び 90%CI 0.897 (0.664~1.131)

Ⅰ期 6 1.221 0.333 0.136 0.87 1.162 1.78

Ⅱ期 6 1.924 0.644 0.263 1.22 1.857 2.76

自由水 クリアランス 0-4h

(mL/min) 阻害薬 非併用群

差及び 90%CI 0.702 (0.084~1.321)

Ⅰ期 24 311.2 245.6 50.1 -100 260.0 915

Ⅱ期 24 423.5 278.9 56.9 -150 405.0 860 阻害薬 併用群

差及び 90%CI 112.3 (25.8~198.9)

Ⅰ期 6 337.0 187.1 76.4 50 371.0 565

Ⅱ期 6 440.8 312.6 127.6 110 440.0 925

0-4時間の 累積尿量

(mL) 阻害薬 非併用群

差及び 90%CI 103.8 (-150.4~358.0)

Ⅰ期 24 -219.3 228.9 46.7 -622 -126.0 64

Ⅱ期 24 -310.3 252.9 51.6 -854 -231.5 6 阻害薬 併用群

差及び 90%CI -91.1 (-175.4~-6.8)

Ⅰ期 6 -585.7 275.7 112.5 -989 -547.5 -261

Ⅱ期 6 -309.8 133.2 54.4 -507 -299.5 -153

0-4時間尿の 尿浸透圧

(mOsm/kg) 阻害薬 非併用群

差及び 90%CI 275.8 (119.4~432.2)

阻害薬併用群:Ⅰ期 塩酸モザバプタンを単独投与,Ⅱ期 CYP3A4阻害薬併用下に塩酸モザバプタンを投与 阻害薬非併用群:Ⅰ期,Ⅱ期とも塩酸モザバプタンを単独投与

<資料番号 5.3.3.4-01:表 11.3-1,表 11.3-2,表 11.3-3より抜粋>

(c) 安全性の結果

発現した有害事象を表 2.7.6-42に示した。

有害事象は,阻害薬併用群 24例のうち 1例に 2件が発現した。阻害薬非併用群 6例では有害事

象は発現しなかった。死亡例はなく,発現した有害事象は重篤又は重要なものではなかった。

阻害薬併用群の 1 例において,阻害薬前投与時に中等度のアスパラギン酸アミノトランスフェ

ラーゼ増加が,塩酸モザバプタン・阻害薬併用時に軽度の血中乳酸脱水素酵素増加が発現したが,

いずれも回復した。塩酸モザバプタンとの因果関係及び阻害薬との因果関係はともに「関連ある

Page 18: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

364

かもしれない」と判定された。

臨床検査,血圧・脈拍数,体温,体重,安静時 12誘導心電図検査において,臨床的に問題とす

べき所見はなかった。

表 2.7.6-42 重症度別有害事象発現頻度(阻害薬併用群)

治験期間全体 被験薬単独投与時 (2日目被験薬投与

~9日目阻害薬投与前)

阻害薬前投与時 (9日目阻害薬投与

~17日目被験薬投与前)

被験薬・阻害薬併用時 (17日目被験薬投与 ~24日目の検査)

塩酸モザバプタン投与量 30mg 30mg

阻害薬投与量 100又は 200mg 100又は 200mg

投与例数 24 24 24 24

程度 合計 軽度 中等度 高度 合計 軽度中等度 高度 合計 軽度中等度 高度 合計 軽度中等度 高度

器官別 大分類

基本語 例数 % 例数 例数 例数 例数 % 例数 例数 例数 例数 %例数 例数 例数 例数 % 例数 例数 例数

有害事象発現例数注) 1 4.2 0 1 0 0 0.0 0 0 0 1 4.2 0 1 0 1 4.2 1 0 0

臨床検査 1 4.2 0 1 0 0 0.0 0 0 0 1 4.2 0 1 0 1 4.2 1 0 0

アスパラギン酸 アミノトランス フェラーゼ増加

1 4.2 0 1 0 0 0.0 0 0 0 1 4.2 0 1 0 0 0.0 0 0 0

血中乳酸脱水素

酵素増加 1 4.2 1 0 0 0 0.0 0 0 0 0 0.0 0 0 0 1 4.2 1 0 0

注)同一被験者で複数の有害事象が発現した場合,重症度別被験者数では,重症度の高い事象の発現

例とした。 <資料番号 5.3.3.4-01:表 9.2-1>

(4) 結論

薬物動態に関しては,モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8,M15)の合計では,単独投

与時と比べ CYP3A4阻害薬併用下で Cmaxが 1.65倍(90%信頼区間:1.55-1.74),AUC72hが 2.96

倍(90%信頼区間:2.79-3.15)とそれぞれ上昇した。また,モザバプタン及び各活性代謝物の

AUC は阻害薬併用により増加したのに対し,ほとんどの非活性代謝物の AUC は阻害薬併用によ

り低下した。

尿浸透圧において阻害薬併用により作用が増強する可能性が示唆されたものの,尿量において

は阻害薬併用による影響は認められず,自由水クリアランスにおいても阻害薬併用による影響は

認められなかった。

以上より,薬物動態においては,阻害薬併用による影響が認められたが,薬力学的作用には,

阻害薬併用による明らかな影響は認められなかった。

阻害薬併用時にも臨床上問題となる有害事象は認められず,安全性に特に問題はみられなかっ

た。

Page 19: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

365

2.7.6.8 CYP3A4 指標薬の代謝に及ぼす塩酸モザバプタン反復経口投与の影響の検討(日本人:129- H*-006試験)

健康成人男子を対象に,CYP3A4 指標薬(デキストロメトルファン)の代謝に及ぼす塩酸モザ

バプタンの 30 mg 1日 1回反復経口投与の影響を検討した。方法を表 2.7.6-43に示し,実施スケ

ジュールを表 2.7.6-44に示した。

表 2.7.6-43 試験の方法

項目 内容 治験課題名 塩酸モザバプタンの CYP3A4阻害作用の検討

目的 健康成人男子を対象に,塩酸モザバプタン 30 mg錠 1錠の 1日 1回反復経口投与時における CYP3A4指標薬(デキストロメトルファン)の代謝に及ぼす影響を検討することを目的とした。

治験方法 健康成人男子を対象に,指標薬単独投与期に臭化水素酸デキストロメトルファン 30 mgを単独で単回経口投与した後,塩酸モザバプタン 30 mgの前投与(9日間反復投与)を行い,指標薬・被験薬併用投与期に臭化水素酸デキストロメトルファン 30 mgと塩酸モザバプタン 30 mgを単回経口投与する非盲検上乗せ試験法により実施した。

被験者数 計画時: 16 例(CYP2D6 extensive metabolizer(EM): 10 例, intermediate metabolizer(IM):6例) 投与例数:16例(EM:10例,IM:6例)薬物動態解析対象:16例(EM:10例,IM:6例) 安全性解析対象:16例(EM:10例,IM:6例)

主要な選択基準 1) 性別:男 2) 年齢: 20歳以上,40歳以下(同意取得時点) 3) 日本人 4) 治験実施医療機関で CYP2D6の遺伝子検索を受けている者 5) スクリーニング検査の結果,治験責任医師又は治験分担医師が治験実施医療機関の臨床検査の基準値等をもとに医学的に健康と判断した者

治験薬,用量及び投与方法,ロット番号

1) 被験薬:塩酸モザバプタン 30mg錠 ・塩酸モザバブタン 30 mgを含有する錠剤(ロット番号:02I99A030A) 2) 用量及び投与方法 被験薬前投与期に塩酸モザバプタン 30 mg錠 1錠を朝食後 1日 1回,9日間反復経口投与した。指標薬・被験薬併用投与期(以下,被験薬併用投与期)には,塩酸モザバプタン 30 mg錠 1錠を指標薬とともに絶食下で単回経口投与した。

指標薬,用量及び投与方法,ロット番号

1) 指標薬: 錠 15 mg 臭化水素酸デキストロメトルファン 15 mgを含有する錠剤(ロット番号:3007)2) 用法及び投与方法 指標薬単独投与期に 錠 15 mg 2錠を絶食下で単回経口投与した。被験薬併用投与期には, 錠 15 mg 2錠を被験薬とともに絶食下で単回経口投与した。

投与期間 1) 指標薬単独投与期:単回投与 2) 被験薬前投与期:9日間 3) 被験薬併用投与期:単回投与

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 20: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

366

項目 内容 薬物動態評価項目

1)薬物動態 ・CYP3A4代謝活性の指標 尿中 3-methoxymorphinan/dextromethorphan (3MM/DTM) 尿中 3-hydroxymorphinan/dextrorphan (3OHM/DR) 尿中(3-methoxymorphinan+3-hydroxymorphinan)

/(dextromethorphan+dextrorphan)( (3MM+3OHM)/ (DTM+DR)) ・CYP2D6代謝活性の指標 尿中 dextrorphan/dextromethorphan (DR/DTM) ・モザバプタン及びモザバプタン代謝物の血漿中薬物濃度

評価項目

安全性評価項目

有害事象,臨床検査,バイタルサイン(血圧,脈拍数,体温),体重,心電図検査

統計及び解析計画

1)薬物動態 尿中 3MM/DTM,3OHM/DR,(3MM+3OHM)/ (DTM+DR)について,全体及び

CYP2D6の代謝活性型別に各期ごとの記述統計量を求めるとともに,指標薬単独投与期に対する被験薬併用投与期の比及びその 90%信頼区間を求めた。また,尿中 DR/DTMについては,CYP2D6の代謝活性型別に各期ごとの記述統計量を求めるとともに,指標薬単独投与期に対する被験薬併用投与期の比及びその 90%信頼区間を求めた。 モザバプタン,各代謝物,モザバプタンと代謝物(M1~M6,M8~M10,

M13),モザバプタンと活性代謝物(M1~M5,M8)の血漿中濃度の記述統計量を求めた。

統計手法

被験者数の設定根拠

本試験では,CYP2D6の代謝活性型別に塩酸モザバプタンによるデキストロメトルファン代謝に及ぼす影響を検討するが,日本人において CYP2D6が IMに分類される割合は 2割程度という報告 a)

があることから,治験実施医療機関における被験者選択の可能性及び中止・脱落の可能性も考慮し,IMを 6例,EMを 10例の計 16例と設定した。

医学専門家

治験責任医師名

治験実施医療機関

公表文献 なし

治験期間 20 年 月 日(最初の被験者の同意取得日) 20 年 月 日(最後の被験者の最終検査日)

開発のフェーズ 第Ⅱ相

a Kubota T, Yamaura Y, Ohkawa N, Hara H, Ciba K. Frequencies of CYP2D6 mutant alleles in a normal Japanese

population and metabolic activity of dextromethorphan O-demethylation in different CYP2D6 genotypes. Br J Clin Pharmacol. 2000; 50: 31-4

Page 21: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

367

表 2.7.6-44 評価項目の観察・検査スケジュール

指標薬投与日(1日目又は 12日目) 2日目又は 13日目

3日目又は 14日目 項 目

スクリ

ーニン

-1日 (入院日) 投与

前 0 h 1 h 4 h 6 h 8 h 24 h 48 h

19日

既往症・現症,身

長 ●

指標薬投与 ☆ 被験薬投与 ◎1) ◎2) 身体的徴候及び症

状 ● ● ● ● ● ● ●

血圧,脈拍数 ● ● ● ● ● ●

体温,体重 ● ● ● ● ●

12 誘導心電図検査

● ● ●1) ●1) ●2)

臨床検査 ● ● ● ●1) ●2) ●

血中薬物濃度 測定用採血 1) ● ● ●

尿中薬物濃度 測定用蓄尿 3)

3日目 4日目~11日目

項 目 投与

前 4) 0 h 4 h 6 h 8 h 投与

前 0 h 4 h 6 h

被験薬投与 ◎ ◎ 身体的徴候及び

症状 ● ● ● ●

血圧,脈拍数 ● ● ● ● 体温,体重 ● ● 12 誘導心電図検査

● ● ●

臨床検査 ●

指標薬単独投与期の指標薬投与日を 1日目とする。 1)指標薬投与日の被験薬投与,指標薬投与 6,24時間後の 12誘導心電図検査,指標薬投与 24時間後の臨床検査,血中薬物濃度測定用採血は,被験薬併用投与期のみ

2)指標薬投与 48時間後の被験薬投与,12誘導心電図検査及び臨床検査は 3日目のみ 3)蓄尿終了時に蓄尿量を測定後,尿中薬物濃度測定用サンプル(5 mL×2本)の採取を行う。起床時~指標薬投与までの蓄尿は,被験薬併用投与期のみ

4)3日目投与前の検査(身体的徴候及び症状,血圧・脈拍数,体温・体重,12誘導心電図検査,臨床検査)は,指標薬単独投与期の指標薬投与 48時間後と同一である。

Page 22: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

368

(1) 被験者の内訳

本試験に計 16例(CYP2D6 EM:10例,IM:6例)が組み入れられ,すべての被験者が規定の

指標薬及び被験薬の投与を受け,中止・脱落例はなかった。

(2) 人口統計学的特性及び他の基準値の特性

解析対象 16例(CYP2D6:EM 10例,IM 6例)の人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.7.6-45

に,また,CYP2D6遺伝子型内訳を表 2.7.6-46に示した。解析対象 16例の平均年齢は 27.3歳(22

~36歳),平均身長は 171.53 cm(164.5~180.0 cm),平均体重は 65.28 kg(54.3~78.8 kg)であ

った。CYP2D6代謝活性型の EMと IMの間に,人口統計学的特性において差がみられなかった。

なお,既往症,現症を有している被験者はなかった。

表 2.7.6-45 人口統計学的及び他の基準値の特性

CYP2D6代謝活性型 項目(単位) 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値

年齢(歳) 16 27.3 4.3 22 26.0 36

全体 身長(cm) 16 171.53 4.02 164.5 170.50 180.0

体重(kg) 16 65.28 7.66 54.3 64.25 78.8

年齢(歳) 10 27.1 3.8 22 26.5 33

EM 身長(cm) 10 172.61 4.74 164.5 173.05 180.0

体重(kg) 10 65.75 8.73 54.3 63.30 78.8

年齢(歳) 6 27.5 5.3 23 25.5 36

IM 身長(cm) 6 169.72 1.37 168.1 169.70 171.4

体重(kg) 6 64.48 6.12 57.3 64.45 74.3

注 1) 年齢=同意取得日-生年月日 注 2) CYP2D6遺伝子型の*1/*1, *1/*2, *1/*10, *2/*10を EM(extensive metabolizer),*5/*10, *10/*10,

*10/*14を IM(intermediate metabolizer)と定義 <資料番号 5.3.3.4-02:表 7.2-1>

表 2.7.6-46 CYP2D6遺伝子型内訳

CYP2D6代謝活性型 a) CYP2D6遺伝子型 例数

*1/*1 3

*1/*2 4 EM

*1/*10 3

*2/*10 0

*5/*10 2

IM *10/*10 4

*10/*14 0

a) EM:extensive metabolizer,IM:intermediate metabolizer <資料番号 5.3.3.4-02:表 7.2-2>

Page 23: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

369

(3) 結果の要約

(a) 薬物動態の結果

DTM の代謝物である尿中 3MM 濃度は指標薬単独投与期には 16 例中 2 例で定量下限未満であ

り,被験薬併用投与期では 16例中 9例で定量下限未満であった。定量下限未満であった被験者は,

全例が EMであった。

本試験では,CYP3A4 代謝活性の指標として尿中 3MM/DTM,尿中 3OHM/DR,尿中

(3MM+3OHM)/(DTM+DR)を設定した。それらの指標のうち,尿中 3OHM/DR,尿中

(3MM+3OHM)/(DTM+DR)の指標薬単独投与期の値に対する被験薬併用投与期の値の比(90%信頼

区間)は,それぞれ 1.22(0.89~1.68),1.08(0.66~1.77)であり,被験薬併用投与期に変化は

認められなかった。しかし,尿中 3MM/DTMの指標薬単独投与期の値に対する被験薬併用投与期

の値の比(90%信頼区間)が,0.51(0.43~0.61)となっており,被験薬併用投与によって DTM

の CYP3A4による代謝を阻害することが示唆された。なお,これら指標のうち,尿中 3MM/DTM,

尿中(3MM+3OHM)/(DTM+DR)においては,尿中 3MM濃度が被験薬併用投与期に定量下限未満に

なった被験者が,16例中 9例認められたため,指標薬単独投与期と被験薬併用投与期ともに算出

できた被験者は 7例(EM:1例,IM:6例)であった。EMについては,指標薬単独投与期の値

に対する被験薬併用投与期の値の比(90%信頼区間)は算出できず,一方,IMについては,尿中

3MM/DTM では 0.49(0.41~0.59),尿中(3MM+3OHM)/(DTM+DR)は 1.00(0.56~1.78)であり,

全体の結果は IMの結果を反映したものであった。ただし,両期でこれらの指標が算出された EM

の被験者 1例の値は尿中 3MM/DTMは 0.680,尿中(3MM+3OHM)/(DTM+DR)は 1.720と,IMの結

果と大きく異ならない値を示した。

また,CYP2D6活性の指標である尿中 DR/DTMの指標薬単独投与期の値と被験薬併用投与期の

値の比(90%信頼区間)は,EM及び IMの被験者においてそれぞれ 1.02(0.76~1.38),0.94(0.62

~1.40)であり,被験薬併用投与による DTMの CYP2D6による代謝の阻害作用は認められなかっ

た。

CYP3A4及び CYP2D6代謝活性の指標について,指標薬単独投与期の値に対する被験薬併用投

与期の値の比を表 2.7.6-47に示した。

Page 24: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

370

表 2.7.6-47 CYP3A4及び CYP2D6代謝活性指標に及ぼす塩酸モザバプタンの影響の検討

CYP活性の指標 CYP2D6 併用 / 単独 b) 代謝活性型 a) 例数 算術平均 標準偏差 最小値 中央値 最大値

幾何平均 c) 90%信頼区間 d)

尿中 3MM / DTM 全体 7 0.526 0.124 0.38 0.490 0.68 0.51 0.43 - 0.61(CYP3A4活性の指標) EM 1 0.680 - - - - - - - -

IM 6 0.500 0.113 0.38 0.480 0.64 0.49 0.41 - 0.59尿中 3OHM / DR 全体 15 1.562 1.215 0.54 1.070 3.95 1.22 0.89 - 1.68

(CYP3A4活性の指標) EM 9 1.706 1.206 0.59 1.070 3.88 1.37 0.89 - 2.11 IM 6 1.347 1.308 0.54 0.850 3.95 1.02 0.55 - 1.88

尿中(3MM+3OHM) 全体 7 1.331 1.029 0.54 1.080 3.45 1.08 0.66 - 1.77/ (DTM+DR) EM 1 1.720 - - - - - - - -

(CYP3A4活性の指標) IM 6 1.267 1.112 0.54 0.850 3.45 1.00 0.56 - 1.78尿中 DR / DTM EM 10 1.150 0.591 0.39 0.955 2.36 1.02 0.76 - 1.38

(CYP2D6活性の指標) IM 6 1.017 0.375 0.36 1.075 1.40 0.94 0.62 - 1.40DTM:dextromethorphan, DR:dextrorphan, 3MM:3-methoxymorphinan, 3OHM:3-hydroxymorphinan - : 算出不可,定量下限未満の尿中薬物濃度は,欠測値として計算 a) CYP2D6遺伝子型の*1/*1, *1/*2, *1/*10, *2/*10を EM(extensive metabolizer),*5/*10, *10/*10, *10/*14を IM(intermediate metabolizer)と定義 b) 単独:単独投与期,併用:併用投与期,併用 / 単独:単独投与期の値に対する併用投与期の値の比 c) 幾何平均:併用投与期の対数変換値と単独投与期の対数変換値の平均値の差(逆変換値) d) 90%信頼区間:併用投与期の対数変換値と単独投与期の対数変換値の平均値の差の 90%信頼区間(逆変換値) <資料番号 5.3.3.4-02:表 7.4-3>

(b) 安全性の結果

有害事象発現頻度を表 2.7.6-48 に示した。塩酸モザバプタン(被験薬)前投与期において,有

害事象として 1 例に塩酸モザバプタンとの関連性が否定されなかったアラニン・アミノトランス

フェラーゼ増加が発現したが,重症度は軽度であり,他には有害事象は認められなかった。指標

薬単独投与期及び被験薬併用投与期には有害事象は認められなかった。治験期間を通じて,臨床

検査値においては,有害事象とされた ALT上昇を除き臨床的に問題となる所見はみられず,バイ

タルサイン,体重及び心電図検査において異常所見は認められなかった。

表 2.7.6-48 有害事象発現頻度

指標薬単独投与期 被験薬前投与期 被験薬併用投与期

治験期間全体

指標薬 30 mg 塩酸モザバプタン

30 mg

指標薬 30 mg

+塩酸モザバプタン 30 mg

投与例数 16 16 16 16

器官別大分類 基本語 例数 % 例数 % 例数 % 例数 %

有害事象発現例数 1 6.3 0 0.0 1 6.3 0 0.0

臨床検査 1 6.3 0 0.0 1 6.3 0 0.0

アラニン・アミノ トランスフェラーゼ増加

1 6.3 0 0.0 1 6.3 0 0.0

<資料番号 5.3.3.4-02:表 8.2-1>

(4) 結論

本試験では,CYP3A4 代謝活性の指標として尿中 3MM/DTM,尿中 3OHM/DR,尿中

Page 25: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

371

(3MM+3OHM)/(DTM+DR)を設定した。それらの指標のうち,尿中 3OHM/DR,尿中(3MM+3OHM)/

(DTM+DR)については,被験薬併用投与期に変化は認められなかった。しかし,尿中 3MM/DTM

では,被験薬併用投与期に変化が認められ,指標薬単独投与期の値に対する被験薬併用投与期の

値の比(90%信頼区間)は,0.51(0.43~0.61)であり,その阻害の程度は,エリスロマイシン,

フルボキサミンと同程度であると考えられた。ただし,この結果は,EMの被験者 10例中 9例で,

被験薬併用投与期で尿中 3MM濃度が定量下限未満であったため,IMの結果を反映したものであ

った。EMの被験者については,尿中 3MM濃度が被験薬併用投与期のみで定量下限未満であった

被験者 7例において,被験薬併用投与による CYP3A4阻害作用を否定することはできず,両期で

尿中 3MM/DTMが算出可能であった被験者 1例においては,指標薬単独投与期の値に対する被験

薬併用投与期の値の比は,IMの結果と同程度の値であった。

なお,被験薬併用投与による CYP2D6阻害作用は認められなかった。

塩酸モザバプタンの安全性については特に問題はみられなかった。

Page 26: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

372

2.7.6.9 塩酸モザバプタン散剤単回経口投与時の薬力学的作用の検討(日本人:129- A*-003試験)

健康成人男子を対象に,塩酸モザバプタンの単回経口投与時の安全性,薬物動態,薬力学的作

用(水利尿作用)及び忍容性を検討した。方法を表 2.7.6-49に示し,実施スケジュールを表 2.7.6-50

に示した。

表 2.7.6-49 試験の方法

項目 内容

治験課題名 塩酸モザバプタン第Ⅰ相試験 -単回経口投与-

目的 健康成人男子を対象として,塩酸モザバプタンの単回経口投与時の安全性,薬

物動態,薬力学的作用(水利尿作用)及び忍容性を検討することを目的とした。

治験方法 本試験はプラセボを対照とし,単盲検群間比較法によって実施された。低用量

(3 mg)から高用量(200 mg)まで投与量ごとに 6段階の STEPを設け,各 STEPにおける安全性及び忍容性を確認した上で次の STEPに移行することとした。入院下の健康成人男子を対象とし,8例ずつ 3グループ(A,B,C)に分け,各グループの被験者はそれぞれの STEP間に間隔を空けて 2つの STEPに参加した。各 STEPにおける被験者は,被験薬(塩酸モザバプタン)投与群 6例,対照薬(プラセボ)投与群 2例に割り付けられた。なお,同一グループにおいて続けてプラセボが投与される被験者のないように考慮した。

入院第 2日目(Day2)には,すべての被験者にプラセボを投与し,蓄尿,採血などで各被験者のコントロールデータを採った。入院第 3日目(Day3)には,塩酸モザバプタンを被験者 6例に,プラセボを被験者 2例にそれぞれ投与し,Day2と同様に治験薬投与時のデータを採った。

被験者数 計画時及び解析時とも 48例(延べ例数)

主要な選択基準 1)年齢:20~40歳 2)心疾患,肝疾患,腎疾患,消化性潰瘍,気管支喘息及び薬剤その他のアレルギーの既往のない者で,健康診断に基づき治験担当医師が治験参加を妥

当と判断した者。

被験薬,用量及び投

与方法,ロット番号

1)被験薬 1包(0.5g)中に塩酸モザバプタンをそれぞれ 3 mg(STEP1),15 mg(STEP2),30 mg(STEP3),60 mg(STEP4),100 mg(STEP5),また,1包(1g)中に 200 mg(STEP6)含有する散剤 ロット番号 2I90-A3,2I90-A15,2I90-A30,2I90-A60,2I90-A100,2I90-A200

2)用量及び投与方法 塩酸モザバプタン 3 mg,15 mg,30 mg,60 mg,100 mg,200 mgをそれぞれ含む治験薬包 1包を各 STEPにおいて絶食下に経口投与した。

投与期間 単回経口投与

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 27: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

373

項目 内容

対照薬,用量及び投

与方法,ロット番号

1)対照薬 各 STEPに使用する被験薬と外観上識別不能なプラセボ ロット番号 2I80-P3,2I80-P15,2I80-P30,2I80-P60,2I80-P100,2I80-P200

2)用量及び投与方法 被験薬と同様に治験薬包 1包を各 STEPにおいて絶食下に単回経口投与した。

薬力学的

作用評価

項目

尿量(累積尿量,1分間当りの尿量),尿浸透圧,尿中電解質(Na, K, Cl, Ca, iP)排泄量,血清電解質(Na, K, Cl, Ca, iP, Mg)濃度,血清浸透圧,自由水クリアランス,クレアチニンクリアランス*,血漿中内分泌ホルモン濃度(血漿中バ

ソプレシン濃度,血漿レニン活性*,血漿中アルドステロン濃度*),尿中尿

素窒素排泄量*,尿中サイクリック AMP排泄量*(*:STEP 4~6のみ)

薬物動態

評価項目 血漿中薬物濃度,尿中薬物排泄量

評価項目

安全性評

価項目 有害事象,臨床検査(血液学的検査,生化学的検査,尿検査),理学的検査(血

圧,脈拍数,体重,体温,呼吸数),心電図(安静時 12 誘導心電図,モニター心電図)

統計及び

解析計画

1)薬力学的作用 各評価項目について,投与群ごとに各試験日の各経過時間又は各時間区分の

記述統計量,投与前からの変化量の記述統計量を求めた。 各評価項目について,投与群ごとの前後の比較には対応のある t検定(両側)を用い,投与群間の比較にはプラセボを対照とした Dunnett 検定(両側)を用いた。これらの検定は,参考として行った。 2)薬物動態 薬物濃度を測定したクロマトグラムを事故により紛失したため,血漿中薬物

動態パラメータの解析は実施しなかった。

統計手法

被験者数

の設定根

統計学的解析に必要な最少被験者数とし,倫理的に問題なく割り付けることが

可能な被験者数として設定した。

治験総括医師名

治験担当医師名

治験実施医療機関

公表文献 Ohnishi A, Orita Y, Takagi N, Fujita T, Toyoki T, Yamamura Y, et al. Aquaretic effect of a potent, orally active, nonpeptide V2 antagonist in men. J Pharmacol Exp Ther. 1995; 272: 546-51

治験期間 治験開始日:19 年 月 日(最初の被験者の入院日)

治験終了日:19 年 月 日(追跡調査の最終日)

開発のフェーズ 第Ⅰ相

Page 28: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

374

表 2.7.6-50 評価項目の観察・検査スケジュール

☆:対照薬(プラセボ),※:自由飲水(飲水量,時間を記録する),*:STEP 4~6で実施する,●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,◆:18:00に摂取する,▼:Mg測定を追加する,

△:波形を記録する。

Page 29: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

375

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),※:自由飲水(飲水量,時間を記録する),*:STEP 4~6で実施する,●:投与 1時間前(8:00), ▲:軽食,▼:Mg測定を追加する, △:波形を記録する,#:食事を朝,昼,夕に摂る,+:Day3の 0hを起点とする経過時間を示す。

Page 30: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

376

(1) 被験者の内訳

本試験には健康成人男子 24例の被験者が組み入れられ,8例ずつ 3グループ(A,B,C)に割

り付けられた。STEP5(グループ C)終了後に,被験者本人の自由意思により,1例(被験者 No.24,

塩酸モザバプタン 100mg 群)が STEP6 への参加の中止を申し出たために,新たに 1 例(被験者

No.25,プラセボ群)の被験者を追加した。このために,本試験での被験者は 25 例であり,総投

与例数は延べ 48 例,その内訳は被験薬である塩酸モザバプタン投与群は延べ 36例,対照薬であ

るプラセボ投与群は延べ 12 例であった。STEP1 から STEP6 の治験薬投与試験での完了例はそれ

ぞれ 8例,延べ 48例であり,脱落例及び中止例はなかった。

STEP1から STEP6に共通した被験者の内訳を図 2.7.6-14に示した。

組み入れられた被験者 8例

塩酸モザバプ

タン群 6例

プラセボ群

2例

完了例 6例

中止例 0例

完了例 2例

中止例 0例

図 2.7.6-14 被験者の内訳(STEP 1~6共通)

<資料番号 5.3.4.1-01:図 7.1-1>

Page 31: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

377

(2) 人口統計学的特性及び他の基準値の特性

解析対象例の人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.7.6-51に示した。

表 2.7.6-51 人口統計学的及び他の基準値の特性

治験薬投与量 項目(単位) 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値

年齢(歳) 12 21.8 1.5 20 21.0 26

身長(cm) 12 172.67 6.73 155.4 173.65 183.6 プラセボ

体重(kg) 12 61.63 6.29 53.0 61.50 75.0

年齢(歳) 6 21.0 1.3 20 20.5 23

身長(cm) 6 170.13 5.07 162.8 171.30 176.4 塩酸モザバプタン 3 mg

体重(kg) 6 64.00 8.09 51.0 64.25 76.5

年齢(歳) 6 20.8 0.4 20 21.0 21

身長(cm) 6 171.00 8.16 155.4 172.60 177.5 塩酸モザバプタン 15 mg

体重(kg) 6 61.92 4.95 57.0 60.75 70.5

年齢(歳) 6 21.5 1.4 20 21.5 23

身長(cm) 6 169.52 5.10 162.8 169.20 176.4 塩酸モザバプタン 30 mg

体重(kg) 6 62.42 8.52 51.0 62.00 76.5

年齢(歳) 6 20.8 0.4 20 21.0 21

身長(cm) 6 173.97 3.07 170.8 173.40 177.7 塩酸モザバプタン 60 mg

体重(kg) 6 61.67 6.06 53.5 60.75 70.5

年齢(歳) 6 22.3 2.4 20 22.0 26

身長(cm) 6 169.97 4.32 164.6 170.30 175.0 塩酸モザバプタン 100 mg

体重(kg) 6 59.42 6.11 52.5 59.25 67.5

年齢(歳) 6 21.2 1.2 20 21.0 23

身長(cm) 6 170.48 4.47 164.6 172.25 174.2 塩酸モザバプタン 200 mg

体重(kg) 6 60.50 5.65 52.5 59.25 67.5

<資料番号 5.3.4.1-01:表 8.2-1>

(3) 結果の要約

(a) 薬力学的作用の結果

プラセボを投与した Day2及び塩酸モザバプタン又はプラセボを投与した Day3の用量別累積尿

量を図 2.7.6-15に,Day3の 1分間当りの尿量の推移を図 2.7.6-16に示した。

投与後 0~4時間及び 0~6時間の累積尿量は塩酸モザバプタンの 3 mg以上の用量で,投与後 0

~24時間の累積尿量は 30 mg以上の用量で,それぞれ Day2に比べ Day3に増加がみられた。累積

尿量の Day2から Day3への変化量は,投与後 0~4時間及び 0~6時間では 15 mg以上の用量で,

投与後 0~24時間では 60 mg以上の用量で,それぞれプラセボ群と比較して増大がみられ,各時

間区分とも用量の増加に伴い増大した。

塩酸モザバプタンの各用量における 1分間当りの尿量の増加は,3 mg,15 mg,30 mgにおいて

は投与後 0.5~1時間,60 mg,100 mg,200 mgにおいては投与後 1~1.5時間にそれぞれ最大とな

った。最大を示した 1分間当りの尿量は,用量の増加に伴い増加し,60 mg,100 mg,200 mgで

Page 32: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

378

はそれぞれ 10.76 mL/min(平均値,以下同様),10.17 mL/min,10.02 mL/minであった。

1分間当りの尿量は,3 mg,15 mg,30 mg,60 mg,100 mgにおいては投与後 4~6時間に,200

mgにおいては投与後 8~12時間に,それぞれほぼ投与前値に復した。

図 2.7.6-15 Day2及び Day3の用量別累積尿量

<資料番号 5.3.4.1-01:図 8.4-1より改変>

0~4時間

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

プラセボ(n=12)

3mg(n=6)

15mg(n=6)

30mg(n=6)

60mg(n=6)

100mg(n=6)

200mg(n=6)

累積尿量(mL/4h)

Day2 Day3

系列2Mean±SE

0~6時間

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

プラセボ

(n=12)

3mg

(n=6)

15mg

(n=6)

30mg

(n=6)

60mg

(n=6)

100mg

(n=6)

200mg

(n=6)

累積尿量(mL/6h)

Day2 Day3

系列2Mean±SE

0~24時間

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

プラセボ(n=12)

3mg(n=6)

15mg(n=6)

30mg(n=6)

60mg(n=6)

100mg(n=6)

200mg(n=6)

累積尿量(mL/24h)

Day2 Day3

系列2

Mean±SE

Page 33: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

379

図 2.7.6-16 Day3の 1分間当りの尿量の推移

注)蓄尿区間の中間でプロットした <資料番号 5.3.4.1-01:図 8.4-3>

Day3の尿浸透圧の推移を図 2.7.6-17に示した。

Day3の尿浸透圧は,15 mg以上の各用量において投与後 0.5~1.5時間に最低値を示した。尿浸

透圧の最低値は,用量の増加に伴い低下し,200 mgでは 62.3 mOsm/kg(平均値)であった。200 mg

では尿浸透圧の低下が長時間持続した。

Day3の血清ナトリウム濃度の推移を図 2.7.6-18に示した。

Day3における血清電解質濃度について,血清ナトリウム濃度は 60 mg以上の用量で,血清クロ

ライド濃度は 60 mg以上の用量で,血清カルシウム濃度は 30 mg,60 mg,200 mgで,血清無機リ

ン濃度は 200 mgで,血清マグネシウム濃度は 200 mgで,それぞれ上昇がみられた。血清ナトリ

ウム濃度は,15mgにおいても上昇の傾向がうかがわれた。血清カリウム濃度には変化はみられな

かった。血清ナトリウム濃度の最大値は,200 mg投与 4,6時間後の 149 mEq/Lであった。

0

2

4

6

8

10

12

-2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

投与後の時間(hr)

1分間当りの尿量(mL/min)

プラセボ(n=12)

3mg(n=6)

15mg(n=6)

30mg(n=6)

60mg(n=6)

100mg(n=6)

200mg(n=6)

Mean±SE

Page 34: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

380

図 2.7.6-17 Day3の尿浸透圧の推移

注)蓄尿区間の中間でプロットした <資料番号 5.3.4.1-01:図 8.4-4>

図 2.7.6-18 Day3の血清ナトリウム濃度の推移

<資料番号 5.3.4.1-01:表 13.1-13より作成>

0

200

400

600

800

1000

1200

-2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

投与後の時間(hr)

尿浸透圧(mOsm/kg)

プラセボ(n=12)

3mg(n=6)

15mg(n=6)

30mg(n=6)

60mg(n=6)

100mg(n=6)

200mg(n=6)

Mean±SE

135

140

145

150

155

-2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

投与後の時間(h)

血清ナトリウム濃度(mEq/L)

プラセボ(n=12)

3mg(n=6)

15mg(n=6)

30mg(n=6)

60mg(n=6)

100mg(n=6)

200mg(n=6)

Mean±SE

Page 35: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

381

投与後 0~24時間の尿中累積電解質排泄量は,特に変化はみられなかった。

Day3における血清浸透圧は,15 mg以上の用量で上昇傾向がうかがわれ,60 mg以上の用量で

は上昇が明らかなものとなり,高用量では長時間持続していた。血清浸透圧の最大値は,200 mg

投与 6時間後の 303 mOsm/kgであった。

自由水クリアランスは,投与後 0~4時間及び 0~6時間では 30 mg以上の用量で,投与後 0~

24時間では 60 mg以上の用量で,それぞれ上昇がみられた。自由水クリアランスは,用量の増加

に伴い上昇し,0~4時間の自由水クリアランスは,プラセボ群で-0.705 mL/minであったが,30 mg

では 1.101 mL/minとなり,200 mgでは 4.446 mL/minであった。

クレアチニンクリアランスは,いずれの用量(60 mg,100 mg,200 mg)でも変化はみられなか

った。

Day3における血漿中内分泌ホルモン濃度について,血漿中バソプレシン濃度は 60 mg以上の用

量で,血漿レニン活性は 100 mg以上の用量で,それぞれ上昇した。血漿中アルドステロン濃度に

は,いずれの用量(60 mg,100 mg,200 mg)でも変化はみられなかった。血漿中バソプレシン濃

度は,200 mg投与 6時間後に最高 6.60 pg/mL(平均値)を示した。

累積尿中尿素窒素排泄量は,プラセボ群及び 100 mg群で減少していたが,200 mgでは変化が

みられなかった。累積尿中サイクリック AMP排泄量の Day2から Day3への変化量をプラセボと

比べると,いずれの時間区分(0~4時間,0~6時間,0~24時間),いずれの用量(60 mg,100

mg,200 mg)においても変化はみられなかった。

(b) 安全性の結果

投与群別に有害事象の発現頻度を表 2.7.6-52に,副作用の発現頻度を表 2.7.6-53に示した。治

験薬を投与された延べ 48例において,3 mg群の 6例中 3例に 3件,15 mg群の 6例中 2例に 4件,

30 mg群の 6例中 1例に 1件,60 mg群の 6例中 4例に 8件,100 mg群の 6例中 4例に 4件,200

mg群の 6例中 5例に 5件,プラセボ群の 12例中 8例に 14件発現した。このうち,副作用は延べ

19例に発現した。副作用発現例の用量別内訳は,以下のようであった。3 mgでは血中クレアチン・

ホスホキナーゼ増加(6例中 3例),15 mgでは嘔気,体位性めまい,アラニン・アミノトランス

フェラーゼ増加(6例中各 1例),30 mgでは尿中蛋白陽性(6例中 1例),60 mgでは口渇,脂

質 NOS増加(6例中各 2例),軟便,血中クレアチン・ホスホキナーゼ増加,尿沈渣陽性,尿中

蛋白陽性(6例中各 1例),100 mgでは口渇(6例中 3例),血中尿酸増加(6例中 1例),200 mg

では口渇(6例中 3例),血中クレアチン・ホスホキナーゼ増加(6例中 2例)であった。これら

のうち血中クレアチン・ホスホキナーゼ増加,アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加,脂質

NOS増加は発現した全例が,尿中蛋白陽性は 1例が,いずれも事後検査時にみられたものであっ

た。副作用の程度は,嘔気,体位性めまいが中等度であった以外,すべて軽度であった。副作用

は,事後検査時にみられた尿中蛋白陽性の 1 例を除きすべて回復が確認された。いずれの用量で

も有害事象による中止例はなかった。

理学的検査において 60 mg以上の用量で投与 4時間後に(200 mgでは Day3の投与 8時間後も)

平均値で 1kg 以上の体重減少がみられたが,その後徐々に回復した。その他,臨床検査,理学的

検査,心電図検査において問題とすべき所見はみられなかった。

Page 36: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

382

表 2.7.6-52 有害事象発現頻度

塩酸モザバプタン投与量 プラセボ 塩酸モザ

バプタン

3 mg

塩酸モザ

バプタン

15 mg

塩酸モザ

バプタン 30 mg

塩酸モザ

バプタン 60 mg

塩酸モザ

バプタン

100 mg

塩酸モザ

バプタン

200 mg投与例数 12 6 6 6 6 6 6

器官別大分類 基本語 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 胃腸障害 3 0 1 0 1 0 0 軟便 2 0 0 0 1 0 0 嘔気 0 0 1 0 0 0 0 水様便 1 0 0 0 0 0 0 全身障害及び投与局所様態 0 0 0 0 2 3 3 口渇 0 0 0 0 2 3 3 臨床検査 4 3 1 1 3 1 2 アラニン・アミノトラスフェラーゼ増加 0 0 1 0 0 0 0 血中クレアチン・ホスホキナーゼ増加 2 3 0 0 1 0 2 血中尿酸増加 1 0 0 0 0 1 0 ヘマトクリット減少 1 0 0 0 0 0 0 ヘモグロビン減少 1 0 0 0 0 0 0 尿中アセトン陽性 1 0 0 0 0 0 0 脂質 NOS増加 1 0 0 0 2 0 0 赤血球数減少 1 0 0 0 0 0 0 尿沈渣陽性 0 0 0 0 1 0 0 尿中蛋白陽性 0 0 0 1 1 0 0 神経系障害 0 0 1 0 0 0 0 体位性めまい 0 0 1 0 0 0 0 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 2 0 0 0 0 0 0 鼻出血 1 0 0 0 0 0 0 鼻閉 1 0 0 0 0 0 0 咽喉頭疼痛 1 0 0 0 0 0 0 有害事象:「副作用(随伴症状)」,「自覚症状,他覚所見」,「臨床検査」,「理学的検査」,「心電図検査」

<資料番号 5.3.4.1-01:表 10.2-1>

Page 37: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

383

表 2.7.6-53 副作用発現頻度

塩酸モザバプタン投与量 プラセボ

塩酸モザバ

プタン 3 mg

塩酸モザバ

プタン 15 mg

塩酸モザバ

プタン 30 mg

塩酸モザバ

プタン 60 mg

塩酸モザバ

プタン 100 mg

塩酸モザバ

プタン 200 mg

投与例数 12 6 6 6 6 6 6

器官別大分類 基本語 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数

胃腸障害 0 0 1 0 1 0 0

軟便 0 0 0 0 1 0 0

嘔気 0 0 1 0 0 0 0

全身障害及び投与局所様態 0 0 0 0 2 3 3

口渇 0 0 0 0 2 3 3

臨床検査 0 3 1 1 3 1 2

アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 0 0 1 0 0 0 0

血中クレアチン・ホスホキナーゼ増加 0 3 0 0 1 0 2

血中尿酸増加 0 0 0 0 0 1 0

脂質 NOS増加 0 0 0 0 2 0 0

尿沈渣陽性 0 0 0 0 1 0 0

尿中蛋白陽性 0 0 0 1 1 0 0

神経系障害 0 0 1 0 0 0 0

体位性めまい 0 0 1 0 0 0 0

副作用:関連性を否定できない有害事象

<資料番号 5.3.4.1-01:表 10.2-9>

(4) 結論

塩酸モザバプタンの薬力学的作用として電解質排泄の増加を伴わない水排泄の増加(水利尿作

用)が強く示唆された。本薬は 3 mgから 200 mgの投与量の範囲において安全かつ忍容性がある

と考えられた。

Page 38: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

384

2.7.6.10 塩酸モザバプタン散剤 30 mg/日 7日間反復経口投与時の薬力学的作用の検討(日本人:129-B*-004試験)

健康成人男子を対象に,塩酸モザバプタン(30 mg/日)を 7日間反復経口投与した時の安全性,

薬物動態及び薬力学的作用(水利尿作用)を検討した。方法を表 2.7.6-54 に示し,実施スケジュ

ールを表 2.7.6-55に示した。

表 2.7.6-54 試験の方法

項目 内容

治験課題名 塩酸モザバプタン第Ⅰ相試験 -反復経口投与-

目的 健康成人男子を対象として,塩酸モザバプタン(30 mg/日)を 7日間反復経口投与した時の安全性,薬物動態及び薬力学的作用(水利尿作用)を検討するこ

とを目的とした。

治験方法 本試験はプラセボを対照とし,単盲検並行群間比較法によって実施された。健

康成人男子 18 例を 9 例ずつ 2 つの用法グループに分け,各用法グループにおいて被験薬(塩酸モザバプタン)投与群 6例と対照薬(プラセボ)投与群 3例に割り付けた。用法・用量は,被験薬 30 mg 又は対照薬を朝食後 1 日 1 回 7日間反復経口投与する用法と被験薬 15 mg又は対照薬を朝食後及び昼食後の 1日 2回 7日間反復経口投与する用法の 2通りとした。

入院第 2日目(以下,Day2)には,すべての被験者に対照薬であるそれぞれのプラセボを投与し,各被験者のコントロールデータを採った。入院第 3日目(以下,Day3)から入院第 9日目(以下,Day9)までは,各用法に応じて,被験薬又は対照薬を投与した。入院第 10 日目(以下,Day10)は,治験薬最終投与24 時間後の採血及び採尿と経過観察を行い,入院第 11 日目(以下,Day11)には,治験薬最終投与 48 時間後の採血及び採尿を行った後,被験者を退院させた。

被験者数 計画時及び解析時とも 18例

主要な選択基準 1)年齢:20~40歳 2)心疾患,肝疾患,腎疾患,消化性潰瘍,気管支喘息及び薬剤やその他のアレルギーの既往のない者で,原則として,入院前の 1ヵ月以内に実施した健康診断に基づき,治験担当医師が治験参加を妥当と判断した者。

被験薬,用量及び投

与方法,ロット番号

1)被験薬:1包(0.5 g)中に塩酸モザバプタンとして 30 mg又は 15 mgを含有する散剤(ロット番号:3E81-A30,3E81-A15)

2)用量及び投与方法:1日 1回投与では,朝食後 1日 1回,該当する用法用の被験薬 1包を反復経口投与した。投与間隔は 24時間とした。1日 2回投与では,朝食後及び昼食後の 1日 2回,1回につき該当する用法用の被験薬 1包を反復経口投与した。朝と昼の投与間隔は 4 時間とし,昼と朝の投与間隔は 20時間とした。

投与期間 7日間反復経口投与

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 39: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

385

項目 内容

対照薬,用量及び投

与方法,ロット番号 1)対照薬:上記 2用法用の被験薬と外見上,識別不能なそれぞれのプラセボロット番号:3E81-P30,3E81-P15

2)用量及び投与方法:各用法用のプラセボをそれぞれの被験薬と同様の方法で経口投与した。

薬力学的

作用評価

項目

尿量(累積尿量),尿浸透圧,尿中電解質(Na,K,Cl,Ca,iP)排泄量,血清電解質(Na,K,Cl,Ca,iP,Mg)濃度,血清浸透圧,自由水クリアランス,クレアチニンクリアランス,血漿中内分泌ホルモン濃度(血漿中バソプレシン

濃度,血漿レニン活性,血漿中アルドステロン濃度),尿中尿素窒素排泄量,

尿中クレアチニン排泄量

薬物動態

評価項目 血漿中薬物濃度,尿中薬物排泄量

評価項目

安全性評

価項目 有害事象(副作用),臨床検査(血液学的検査,生化学的検査,尿検査),理

学的検査(血圧,脈拍数,体重,体温,呼吸数),心電図(安静時 12 誘導心電図,モニター心電図)

統計及び

解析計画

1)薬力学的作用 1日 1回投与及び 1日 2回投与のプラセボを併せて取り扱い,プラセボ投与群とした。集計は投与群別(30 mg群,15 mg×2群,プラセボ投与群)について行った。ただし,記述統計量については,1日 1回投与のプラセボ群,1日 2回投与のプラセボ群についても求めた。 各評価項目について,投与群ごとに各試験日の各経過時間又は各区間の記述

統計量,投与前(Day2)からの変化量の記述統計量を求めた。 各評価項目について,投与群ごとの前後の比較には対応のある t検定(両側)を用い,投与群間の比較にはプラセボを対照とした Dunnett 検定(両側)を用いた。これらの検定は,参考として行った。 2)薬物動態 薬物濃度を測定したクロマトグラムを事故により紛失したため,血漿中薬物

動態パラメータの解析は実施しなかった。

統計手法

被験者数

の設定根

統計学的解析に必要な最少被験者数とし,倫理的に問題なく割り付けることが

可能な被験者数として設定した。

治験総括医師名

治験担当医師名

治験実施医療機関

公表文献 なし

治験期間 治験開始日:19 年 月 日(最初に入院した被験者の入院日)

治験終了日:19 年 月 日(追跡調査の最終日)

開発のフェーズ 第Ⅰ相

Page 40: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

386

表 2.7.6-55 評価項目の観察・検査スケジュール

【1日 1回投与】

☆:対照薬(プラセボ),※:自由飲水(飲水量,時間を記録する),●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,◆:18:00に摂取する,▼:Mg測定を追加する ◇:NAG測定を含む,△:波形を記録する

Page 41: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

387

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,▼:Mg測定を追加する, ■:投与直前に採血する,△:波形を記録する

Page 42: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

388

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,□:Day5及び 7に実施する, ◎:Day5に実施する,■:投与直前に採血する

Page 43: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

389

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),+:Day9の 0hを起点とする経過時間を示す,●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,▼:Mg測定を追加する, ◇:NAG測定を含む,■:投与直前に採血する,△:波形を記録する,*:Day9と同じ食事とする

Page 44: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

390

【1日 2回投与】

☆:対照薬(プラセボ),※:自由飲水(飲水量,時間を記録する),●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,◆:18:00に摂取する,▽:12:30に摂取する, ▼:Mg測定を追加する,◇:NAG測定を含む,△:波形を記録する

Page 45: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

391

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),●:投与 1時間前(8:00),◇:12:30に摂取する,▲:軽食,▼:Mg測定を追加する, ■:投与直前に採血する,△:波形を記録する

Page 46: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

392

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),●:投与 1時間前(8:00),▲:軽食,▽:12:30に摂取する, ◎:Day6に実施する,■:投与直前に採血する,□:Day5及び 7に実施する

Page 47: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

393

★:塩酸モザバプタン又は対照薬(プラセボ),+:Day9の 0hを起点とする経過時間を示す,●:投与 1時間前(8:00),▽:12:30に摂取する,▲:軽食, ▼:Mg測定を追加する,■:投与直前に採血する,◇:NAG測定を含む,△:波形を記録する,*:Day9と同じ食事とする

Page 48: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

394

(1) 被験者の内訳

被験者の内訳を図 2.7.6-19に示した。本試験には健康成人男子 18例の被験者が組み入れられた。

被験者 18例は 9例ずつの 2グループに分けられた後,被験薬(塩酸モザバプタン)30 mg又は対

照薬(プラセボ)を 1日 1回投与あるいは被験薬(塩酸モザバプタン)15 mg又は対照薬(プラ

セボ)を 1日 2回投与のいずれかに割り付けられた。

1日 1回投与及び 1日 2回投与のいずれにおいても 9例全例が完了例であり,中止例はなかっ

た。

組み入れられた被験者

18例

1日1回投与群

9例

1日2回投与群

9例

塩酸モザバプタン

群 6例

プラセボ群 3例

塩酸モザバプタ

ン群 6例

プラセボ群 3例

完了例 6例

中止例 0例

完了例 3例

中止例 0例

完了例 6例

中止例 0例

完了例 3例

中止例 0例

図 2.7.6-19 被験者の内訳

<資料番号 5.3.4.1-02:図 7.1-1>

Page 49: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

395

(2) 人口統計学的特性及び他の基準値の特性

用法別の人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.7.6-56に示した。

表 2.7.6-56 用法別の人口統計学的及び他の基準値の特性

用法 治験薬投与量 項目(単位) 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値

年齢(歳) 6 22.3 1.5 21 22.0 25 身長(cm) 6 17.0.55 5.36 166.7 168.00 180.1

塩酸モザバプタン 30 mg

体重(kg) 6 61.42 5.12 56.5 60.00 71.2 年齢(歳) 3 23.3 1.5 22 23.0 25 身長(cm) 3 168.97 5.66 165.6 165.80 175.5

1日 1回(朝)

プラセボ 体重(kg) 3 62.07 5.57 58.7 59.00 68.5 年齢(歳) 6 21.3 1.0 20 21.0 23 身長(cm) 6 173.50 4.84 166.2 173.25 179.8

塩酸モザバプタン 15 mg×2

体重(kg) 6 66.90 9.04 56.0 65.95 82.5 年齢(歳) 3 22.0 1.7 21 21.0 24 身長(cm) 3 172.00 3.14 168.6 172.60 174.8

1日 2回(朝・昼)

プラセボ 体重(kg) 3 65.00 4.27 61.0 64.50 69.5

年齢(歳) 6 22.7 1.6 21 22.5 25 身長(cm) 6 170.48 4.42 165.6 170.60 175.5

プラセボ投与群 体重(kg) 6 63.53 4.72 58.7 62.75 69.5

<資料番号 5.3.4.1-02:表 8.2-1>

Page 50: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

396

(3) 結果の要約

(a) 薬力学的作用の結果

用法別累積尿量の Day2からの変化量を図 2.7.6-20に示した。累積尿量は,30 mg群では投与 1

日目(Day3)の 0~4時間,0~8時間の区間で増加しており,以後同様の傾向を示したが,投与 7

日目(Day9)は増加がみられなかった。0~24時間尿では変化はなかった。15 mg×2群では,い

ずれの区間においても累積尿量の変化はみられなかった。

図 2.7.6-20 用法別累積尿量の変化量(Day2の各区間の尿量からの変化)

<資料番号 5.3.4.1-02:図 8.4-2>

0~4時間

0

200

400

600

800

1000

1200

(n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6)

累積尿量(mL/4hr)の変化量

Mean±SE プラセボ

OPC-31260 30mg

OPC-31260 15mg×2

投与1日目(Day3) 投与7日目(Day9)

0~8時間

0

200

400

600

800

1000

1200

(n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6)

累積尿量(mL/8hr)の変化量

Mean±SE プラセボ

OPC-31260 30mg

OPC-31260 15mg×2

投与1日目(Day3) 投与7日目(Day9)

0~24時間

0

200

400

600

800

1000

1200

(n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6)

累積尿量(mL/24hr)の変化量

Mean±SE プラセボ

OPC-31260 30mg

OPC-31260 15mg×2

投与1日目(Day3) 投与7日目(Day9)

プラセボ

塩酸モザバプタン 30mg

塩酸モザバプタン 15mg×2

プラセボ

塩酸モザバプタン 30mg

塩酸モザバプタン 15mg×2

プラセボ

塩酸モザバプタン 30mg

塩酸モザバプタン 15mg×2

Page 51: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

397

用法別尿浸透圧の Day2からの変化(Day2の各区間の尿浸透圧を 100とした時の百分率)を図

2.7.6-21に示した。尿浸透圧は,30 mg群では投与 1日目には 0~4時間,0~8時間の各区間尿で

低下しており,以後同様の低下を示したが,投与 7 日目は低下がみられなかった。0~24 時間の

区間尿では,変化はみられなかった。15 mg×2群では,いずれの区間においても尿浸透圧の変化

はみられなかった。

図 2.7.6-21 用法別尿浸透圧の変化(Day2の各区間の尿浸透圧を 100とした時の百分率)

<資料番号 5.3.4.1-02:図 8.4-4>

0~4時間

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

(n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6)

尿浸透圧(m0sm/kg/4hr)の変化(%) Mean±SE プラセボ

OPC-31260 30mg

OPC-31260 15mg×2

投与1日目(Day3) 投与7日目(Day9)

0~8時間

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

(n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6)

尿浸透圧(m0sm/kg/8hr)の変化(%) Mean±SE プラセボ

OPC-31260 30mg

OPC-31260 15mg×2

投与1日目(Day3) 投与7日目(Day9)

0~24時間

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

(n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6) (n=6)

尿浸透圧(m0sm/kg/24hr)の変化(%)

Mean±SE プラセボ

OPC-31260 30mg

OPC-31260 15mg×2

投与1日目(Day3) 投与7日目(Day9)

プラセボ

塩酸モザバプタン 30mg

塩酸モザバプタン 15mg×2

プラセボ

塩酸モザバプタン 30mg

塩酸モザバプタン 15mg×2

プラセボ

塩酸モザバプタン 30mg

塩酸モザバプタン 15mg×2

Page 52: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

398

尿中 Na累積排泄量及び尿中 Cl累積排泄量は,30 mg群で投与 1日目の 0~4時間の区間尿では

増加する傾向がみられたが,明らかなものではなかった。15 mg×2群では変化はみられなかった。

その他の尿中電解質排泄量及び尿中 Na/K比は,明らかな変化はみられなかった。

自由水クリアランスは,30 mg群において,0~4時間,0~8時間の各区分で投与 1日目に増加

がみられたが,投与 7日目の変化は明らかではなかった。

24時間クレアチニンクリアランスは,変化がみられなかった。

尿中尿素窒素排泄量は,30 mg群では投与 1日目の 0~4時間,0~8時間の区間尿では増加して

おり,以後同様の傾向がみられたが,投与 7日目では変化はみられなかった。15 mg×2群では明

らかな変化はみられなかった。

尿中クレアチニン累積排泄量は,明らかな変化はみられなかった。

血清電解質濃度及び血清浸透圧は,30 mg群,15 mg×2群とも明らかな変化はみられなかった。

また,塩酸モザバプタン投与後に特に大きい変動を示した値はなかった。

血漿中内分泌ホルモン濃度は,変化がみられなかった。塩酸モザバプタン投与後に特に大きい

変動を示した値はなかった。

(b) 安全性の結果

重症度別有害事象発現頻度を表 2.7.6-57に,重症度別副作用発現頻度を表 2.7.6-58に示した。

本試験に組み入れられた 18例において,30 mg群の 6例中 1例に 2件,15 mg×2群の 6例中 5例

に 11件,プラセボ投与群 6例中 4例に 5件の有害事象が発現した。有害事象による中止例はなか

った。

副作用は,30 mg群で 6例中 1例に 1件,15 mg×2群で 6例中 5例に 9件,計 6例に発現した。

副作用はすべて胃腸障害に分類され,30 mg群では水様便 1例,15 mg×2群では便異常 NOS 4例,

軟便 3例,水様便 1例であった。これらの副作用はいずれも軽度であり無処置にて回復した。

臨床検査,血圧(収縮期,拡張期),脈拍数,体重,体温,呼吸数,安静時 12誘導心電図及び

モニター心電図に特別な所見は見られなかった。

Page 53: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

399

表 2.7.6-57 重症度別有害事象発現頻度

用法 1日 1回(朝) 1日 2回

(朝・昼)

治験薬投与量 塩酸モザバプタン

30 mg プラセボ

塩酸モザバプタン 15 mg×2

プラセボ

投与例数 6 3 6 3

不明 軽度 中等

度 重度 計 不明 軽度

中等

度重度 計 不明 軽度

中等

度 重度 計 不明 軽度

中等

度重度 計器官別

大分類 基本語

例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数

胃腸障害 0 1 0 0 1 2 0 0 0 2 0 5 0 0 5 1 0 0 0 1

便異常 NOS 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 4 0 0 0 0 0

軟便 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 0 3 0 0 3 1 0 0 0 1

水様便 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0

臨床検査 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1

血中クレアチン・

ホスホキナーゼ 増加

1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

好酸球数増加 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

ヘマトクリット

減少 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0

ヘモグロビン 減少

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0

赤血球数減少 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0

呼吸器,胸郭及び縦隔障害 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

鼻漏 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

有害事象:「副作用(随伴症状)」,「自覚症状,他覚所見」,「臨床検査」,「理学的検査」, 「心電図検査」 <資料番号 5.3.4.1-02:表 10.2-2>

表 2.7.6-58 重症度別副作用発現頻度

用法 1日 1回(朝) 1日 2回(朝・昼)

治験薬投与量 塩酸モザバプタン

30 mg プラセボ

塩酸モザバプタン 15 mg×2

プラセボ

投与例数 6 3 6 3

不明 軽度 中等

度 重度 計 不明 軽度

中等

度重度 計 不明 軽度

中等

度重度 計 不明 軽度

中等

度重度 計器官別

大分類 基本語

例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数 例数

胃腸障害 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 5 0 0 5 0 0 0 0 0

便異常 NOS 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 4 0 0 0 0 0

軟便 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 3 0 0 0 0 0

水様便 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0

副作用:関連性を否定できない有害事象 <資料番号 5.3.4.1-02:表 10.2-4>

Page 54: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

400

(4) 結論

塩酸モザバプタン 30 mgを 1日 1回朝食後,又は塩酸モザバプタン 15 mgを 1日 2回朝・昼食

後,7日間反復経口投与した時,いずれの用法でも安全性に問題はなかった。また,1日 1回朝食

後 30 mg反復投与時の低浸透圧尿の排泄量増加(水利尿作用)が認められた。

Page 55: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

401

2.7.6.11 異所性 ADH症候群を対象とした塩酸モザバプタン 30 mg/日 7日間反復経口投与試験(日本人:129- C*-001P試験)

異所性 ADH症候群を対象として,塩酸モザバプタンの反復経口投与時の有効性,安全性及び薬

物動態を検討した。方法を表 2.7.6-59に示し,実施スケジュールを表 2.7.6-60に示した。

表 2.7.6-59 試験の方法

項目 内容

治験課題名 塩酸モザバプタン前期第Ⅱ相試験

異所性 ADH症候群を対象として塩酸モザバプタン錠 30 mg 1日 1回 7日間反復経口投与による有効性・安全性・薬物動態の検討(多施設共同非盲検試験)

目的 異所性 ADH 症候群を対象として,塩酸モザバプタンの反復経口投与時の有効性,安全性及び薬物動態を検討することを目的とした。

治験方法 非盲検の多施設共同試験として実施された。治療期開始前は観察日としてプラ

セボを 2日間,経口投与することとし,治療期は塩酸モザバプタンの 30 mgを1 日 1 回,朝に 7 日間反復経口投与することとし,3 日間投与も可とした。塩酸モザバプタンが有効で,他の治療法にすぐには代替できず,安全性が確保さ

れると判断された場合,再投与可能とした。この場合,治療期を含め総投与日

数 28 日間とし,この間に他の治療法に変更することとした。しかし,治験実施途中で再投与については実施を見合わせた。なお,治験実施途中で 30 mg投与症例の中間成績を治験総括医師が評価し,無効若しくは効果が不十分と判断

された場合には,効果・安全性評価委員会にその結果を諮問し,了承を得たう

えで 1日 1回,朝に 60 mgの 3日間反復投与に限定し,少数例で更に検討することとした。

試験日 治験薬 1日用量

観察日 -2~-1日目 プラセボ 1錠

治療期 1~7日目 塩酸モザバプタン 30 mg(1錠) 患者数 計画時:症例数は 20例以上。ただし,治験実施途中で 30 mg投与症例の中間

成績を治験総括医師が評価し,無効若しくは効果が不十分と判断された場合に

は,効果・安全性評価委員会にその結果を諮問し,了承を得たうえで 1日 1回,朝に 60 mgの 3日間反復投与に限定し,少数例で更に検討することとした。

組み入れ例数:17例,投与例数:16例,有効性解析対象:16例,

安全性解析対象:16例

診断及び選択基準 1)対象疾患 異所性 ADH 症候群が疑われる低ナトリウム血症患者(悪性腫瘍あるいは低ナトリウム血症に対する治療歴は問わない)

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 56: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

402

項目 内容

診断及び選択基準 2)選択基準 a)基礎疾患

異所性 ADH症候群の原因になりうる悪性腫瘍患者 b)以下の異所性 ADH症候群の診断基準を満たすもの ・血清ナトリウム濃度:124 mEq/L以下 ・尿中 Na排泄:低ナトリウム血症にもかかわらず,不適切な尿中 Na 排泄が持続している。 ・腎機能:低ナトリウム血症の原因と成りうる腎疾患が,尿素窒素(BUN) 血清クレアチニン及び検尿所見で否定される。 ・副腎機能正常:血中 ACTH及びコルチゾール検査で異常を認めない。 ・甲状腺機能正常:血中 TSH,T3及び T4検査で異常を認めない。 ・浮腫を認めない。 ・理学所見より脱水が認められない。

c)性別:不問 d)年齢:20歳以上 75歳未満 e)入院・外来:入院

治験薬,用量及び投

与方法,ロット番号

1)被験薬 1錠中塩酸モザバプタンとして 30 mgを含有する錠剤 ロット番号:4C98A030,6E99A030 2)プラセボ 被験薬と外観上,識別不能なプラセボ錠 ロット番号:4C99P030,6E99P 3)用量及び投与方法 被験薬及びプラセボともに 1日 1回,朝に 1錠を経口投与した。

治療期間 7日間反復経口投与

ただし,7 日間投与が困難な場合には 3 日間投与を可とした。また,7 日間投与が有効で,すぐには代替治療がない場合,再投与を可能とし,治療期も含め

最大 28 日間投与可能とした。しかし,治験実施途中で再投与については実施を見合わせた。なお,60 mg投与の検討が必要と判断された場合は 3日間投与とすることとした。

有効性評

価項目

主要評価項目:血清ナトリウム濃度,臨床症状 副次的評価項目:尿量,尿浸透圧,尿中電解質(Na,K,Cl)排泄量,血清電解質(K,Cl)濃度,血清浸透圧,血漿中バソプレシン濃度

薬物濃度

評価項目 血漿中薬物濃度,尿中薬物排泄量

安全性評

価項目 有害事象,臨床検査(血液学的検査,生化学的検査,尿検査),理学的検査(血

圧・脈拍数,体重),安静時 12誘導心電図

評価項目

総合評価

項目 全般改善度,概括安全度,有用度

Page 57: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

403

項目 内容

統計及び

解析計画

有効性の解析 1)主要評価項目 a)血清ナトリウム濃度 各試験日の記述統計量,治療期 1日目 0時間からの変化量の記述統計量を求

めた。(3日間投与例の後観察 1日目 0時間は,4日目 0時間に含めた。) 治療期 1日目 0時間と治療期 4日目 0時間,後観察 1日目 0時間とで対応の

ある t検定(両側)を行った。この検定は,参考として行った。 b)臨床症状 症状ごとに,投与前日と各試験日のクロス表を作成した。

2)副次的評価項目 a)尿量,尿浸透圧,尿中電解質(Na,K,Cl)排泄量 各試験日の記述統計量,観察期-1日目からの変化量の記述統計量を求めた。

b)血清電解質(K,Cl)濃度,血清浸透圧,血漿中バソプレシン濃度 各試験日の記述統計量,投与直前からの変化量の記述統計量を求めた。

薬物動態 1)血漿中薬物濃度 モザバプタン,各代謝物,モザバプタンと代謝物(M1,M2,M4,M5,M8,

UK-31,UK-33)のモル換算合計,モザバプタンと活性代謝物(M1,M2,M4,M5,M8)のモル換算合計の血漿中薬物濃度について,各経過時間の記述統計量を求めた。

統計手法

症例数の

設定根拠 塩酸モザバプタンの有効性,安全性及び薬物動態などを確認し,統計学的手法

を用いて解析することも可能な症例数を設定した。

治験総括医師名

治験担当医師名 他

治験実施医療機関 ほか,全 14医療機関

公表文献 なし

治験期間 治験開始日:19 年 月 日 (最初の症例の観察期開始日)

治験終了日:19 年 月 日(最終の追跡検査日)

開発のフェーズ 第Ⅱ相

Page 58: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

404

表 2.7.6-60 評価項目の観察・検査スケジュール

治療期** 観察・検査・ \時期 観察期 治療期 後観察日

評価項目 試験日 -2 -1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 時間(h) 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0

治験薬投与 ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 患者背景因子 ● 水分摂取量,食事量 尿量 尿浸透圧,尿中電解質

尿中薬物排泄量* 血清電解質,血清浸透圧 ● ● ● ● ● ● ● 血漿中バソプレシン濃度 ● ● ● ● 血漿中薬物濃度 ● ● ● ● ● ● ●

血液学的検査 生化学的検査 尿検査

● ● ●

臨床検査値異常変動 ● 血圧・脈拍数,体重 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 安静時12誘導心電図 ● ● 臨床症状 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

偶発症・併発症・合併症 総合評価 ● ● ☆:プラセボ,★:塩酸モザバプタン, *:尿量を測定した一部を分取した。 **:被験薬 3日間投与の場合は,治療期 3日目の後,後観察 8,9日目の観察・検査・評価を実施した。

再投与期** 観察・検査・ \時期 再投与期(被験薬再投与期間) 後観察日 評価項目 試験日 1 2~7 8 9 10~14 15 16 17~20 21 22 23

時間(h) 0 1 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 治験薬投与 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ - - 患者背景因子 水分摂取量,食事量 尿量 尿浸透圧,尿中電解質

尿中薬物排泄量* 血清電解質,血清浸透圧 ● ● ● ● 血漿中バソプレシン濃度 ● ● ● ● 血漿中薬物濃度 ● ● ● ● ● ● ● ● ● 血液学的検査 生化学的検査 尿検査

● ● ● ●

臨床検査値異常変動 ● 血圧・脈拍数,体重 ● ● ● ● 安静時12誘導心電図 ● 臨床症状 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 偶発症・併発症・合併症 総合評価 ●

★:塩酸モザバプタン, *:尿量を測定した一部を分取した。 **:治療期が 7日間投与の場合は最大 21日間,3日間投与の場合は最大 25日間

Page 59: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

405

(1) 患者の内訳

患者の内訳を図 2.7.6-22に,中止例一覧表を表 2.7.6-61に示した。

本試験には 17例の異所性 ADH症候群の患者が組み入れられた。1例(症例番号 0017*)が観察

期に高度の低ナトリウム血症であることが判明したため不適格例としてプラセボ投与の 1 日目の

みで中止された。また,1例(症例番号 0005*)が塩酸モザバプタンを 3日間投与された後,副作

用のため中止された。残りの 15例のうち,1例は 3日間投与,14例は 7日間投与を完了した。被

験薬を再投与した患者はなかった。塩酸モザバプタンを投与された全例を有効性の解析対象とし

た。なお,塩酸モザバプタンは,2例が朝食前に,残りの 14例は朝食後に投与された。塩酸モザ

バプタンを再投与した患者はなかった。また,60 mg/日投与の検討は行われなかった。

総組み入れ例数 17例

塩酸モザバプタン

投与例 16例

観察期中止例 1例

投与完了例 3日間:1例 7日間:14例

副作用による中止例

1例

図 2.7.6-22 患者の内訳

<資料番号 5.3.5.2-01:図 7.1-1>

表 2.7.6-61 中止例一覧表

治験薬 症例番号

実施医療機関名 (科名)

中止日 中止理由

投与開始日からの日数*1

治験薬名

投与期間(日数*2) 投与量

0005*

4日目 プラセボ 19 / / ~19 / / (2日間)

19 / / ・副作用が発現した ・患者が本試験の中止を申し出た 塩酸モザバ

プタン 19 / / ~19 / / (3日間)

30mg/日

0017*

19 / / ・その他 ・血清ナトリウムが12時に判明し,108mEq/Lと高度の低ナトリウム血症であったため,治験を中止し,まずは従来の治療法で対処することとした。

1日目 プラセボ 19 / / ~19 / / (1日間)

*1 投与開始日からの日数:中止日-投与開始日+1,投与開始日:プラセボ投与のみの場合は,プラセボ投与開始日 プラセボ,塩酸モザバプタン投与の場合は,塩酸モザバプタン投与開始日 *2 投与日数:投与終了日-投与開始日+1

<資料番号 5.3.5.2-01:付録Ⅱ-6より抜粋>

*:新薬承認情報提供時に置き換えた

Page 60: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

406

(2) 人口統計学的特性及び他の基準値の特性

有効性の解析対象における人口統計学的及び他の基準値の特性を表 2.7.6-62及び表 2.7.6-63に

示した。

性別は男 10例,女 6例であり,年齢は 65歳以上が 8例であった。異所性 ADH症候群の罹病期

間は 6ヵ月未満が 14例であった。基礎疾患としては肺癌(小細胞癌)が 14例とほとんどを占め,

他に胸腺小細胞癌,子宮頚癌が各 1例であった。飲水制限が行われている患者は 5例,行われて

いない患者は 11例であった。いずれの患者においても,腎機能,副腎機能,甲状腺機能は正常で

あり,浮腫,脱水,尿排泄障害の所見はみられなかった。

16例の平均年齢は 63.9歳(48~78歳),平均身長は 159.53 cm(147.0~176.0 cm),平均体重

は 54.95 kg(33.0~82.4 kg)であった。

血清ナトリウム濃度の平均値は 117.3 mEq/L(110~124 mEq/L),血清浸透圧の平均値は 250.2

mOsm/kg(229~290 mOsm/kg),尿中 Na排泄量の平均値は 184.48 mEq/日(60.0~392.0 mEq/日),

尿浸透圧の平均値は 526.8 mOsm/kg(266~755 mOsm/kg)であった。

Page 61: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

407

表 2.7.6-62 人口統計学的及び他の基準値の特性(1)

項目 症例数 性別 男 10 女 6

年齢(歳) 40~49 1 50~59 2 60~69 10 70~79 3

<65 8 65≦ 8

基礎疾患 肺癌(小細胞癌) 14 胸腺小細胞癌 1 子宮頚癌 1

異所性 ADH症候群 ~1ヵ月未満 5 の罹病期間 1ヵ月~6ヵ月未満 9 6ヵ月~3年 4ヵ月 1 不明 1

既往歴 あり 6 なし 10 合併症 あり 8 なし 8 喫煙 あり 2 なし 14

飲水制限 あり 5 なし 11 食事指導 あり 2 なし 14

腎機能異常 あり 0 なし 16 副腎機能異常 あり 0 なし 16

甲状腺機能異常 あり 0 なし 16 浮腫 あり 0 なし 16

脱水 あり 0

なし 16

尿排泄障害 あり 0 なし 16

薬物アレルギー あり 0 なし 16

<資料番号 5.3.5.2-01:表 8.2-1>

Page 62: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

408

表 2.7.6-63 人口統計学的及び他の基準値の特性(2)

項目(単位) 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値

年齢(歳) 16 63.9 8.1 48 64.5 78

身長(cm) 16 159.53 7.94 147.0 159.70 176.0

体重(kg) 16 54.95 11.80 33.0 54.15 82.4

血清ナトリウム濃度(mEq/L) 16 117.3 4.3 110 116.5 124

血清浸透圧(mOsm/kg) 15 250.2 17.7 229 247.0 290

尿中 Na排泄量(mEq/日) 16 184.48 101.05 60.0 161.00 392.0

尿浸透圧(mOsm/kg) 15 526.8 134.4 266 542.0 755

<資料番号 5.3.5.2-01:表 8.2-2>

(3) 結果の要約

(a) 有効性の結果

各採血時期における血清ナトリウム濃度の推移を図 2.7.6-23及び表 2.7.6-64に示した。

血清ナトリウム濃度の平均値は,治療期 2 日目 0 時間から上昇がみられ始め,後観察 1 日目 0

時間まで投与直前に比べ高い値が持続した。塩酸モザバプタン投与により血清ナトリウム濃度の

上昇がみられた。

注) 3日間投与例の後観察 1日目 0時間は,治療期 4日目 0時間として集計し,後観察 1日目 0時間には加えていない。

図 2.7.6-23 血清ナトリウム濃度の推移

<資料番号 5.3.5.2-01:図 8.4-1>

(14)(15)(14)(15)(11)(6) (16)

110

115

120

125

130

135

140

145

150Mean±SE

( ) : 例数

血清ナトリウム濃度(mEq/L)

塩酸モザバプタン投与(30mg/日)

観察期 治療期

3日目

0時間

4日目

0時間

5日目

0時間

6日目

0時間

7日目

0時間

1日目

0時間

後観察

-2日目

0時間

2日目

0時間-1日目

0時間

1日目

0時間

Page 63: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

409

表 2.7.6-64 血清ナトリウム濃度の推移

治療期 1日目 0時間からの変化量 時期*1 例数 平均値

標準

偏差 標準

誤差 最小値 中央値 最大値

例数 平均値標準

偏差

標準

誤差最小値 中央値 最大値

p値*2

観察期-2日目 0時間 6 122.5 5.0 2.0 115 122.0 128

観察期-1日目 0時間 11 122.0 5.5 1.7 113 123.0 129

治療期 1日目 0時間 16 122.8 6.7 1.7 107 123.0 132

治療期 2日目 0時間 15 129.1 5.7 1.5 117 130.0 138 15 6.3 3.8 1.0 -3 7.0 11

治療期 3日目 0時間 14 129.9 5.4 1.4 119 132.0 137 14 7.1 5.2 1.4 -5 8.5 14

治療期 4日目 0時間 15 131.8 5.9 1.5 121 131.0 142 15 9.0 6.2 1.6 -5 9.0 18 0.0001

後観察 1日目 0時間 14 133.3 8.3 2.2 119 133.0 148 14 10.9 8.2 2.2 -5 10.0 23 0.0002 単位:mEq/L *1 3日間投与例の後観察 1日目 0時間は,治療期 4日目 0時間として集計し,後観察 1日目 0時間には加えていない。 *2 治療期 1日目 0時間を対照とし,治療期 4日目 0時間及び後観察 1日目 0時間について対応のある t検定を行った。

<資料番号 5.3.5.2-01:表 8.4-1>

低ナトリウム血症に伴う臨床症状(食欲低下,嘔気・嘔吐,頭痛,傾眠・昏迷・昏睡などの中

枢神経性症状)及び口渇の推移を表すシフトテーブルを表 2.7.6-65に示した。観察期-1日目に食

欲低下,嘔気・嘔吐,頭痛,傾眠のうち何らかの臨床症状を有する患者 8例中 3例ですべての症

状が消失し,4 例では治療期間中にいずれかの臨床症状の消失又は改善が認められた。臨床症状

の改善が全く認められなかった患者は,食欲低下が持続した 1 例であった。臨床症状の改善が認

められた 7例の症例においては,塩酸モザバプタン投与 1日目ないし 2日目より症状は改善した。

症状別にみると,食欲低下を有する 8例中 5例において治療期 2日目までに症状の消失又は改善

がみられた。嘔気・嘔吐を有する 5例全例で治療期 2日目までに症状の消失がみられた。頭痛を

有する 5例全例で治療期 2日目までに症状の消失がみられた。中枢神経性症状(傾眠)を有する

4例全例で治療期 2日目までに症状の消失がみられた。

Page 64: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

410

表 2.7.6-65 臨床症状のシフトテーブル 食欲低下 嘔気・嘔吐 頭痛 中枢神経性症状 口渇

治療期 1日目 治療期 1日目 治療期 1日目 治療期 1日目 治療期 1日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 1 0 0 10 0 0 0 10 0 0 11 0 0 0 0 9 2 1 2 3 0 0 2 2 0 0 3 2 0 1 2 0 0 0 0 4 2 0 2 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

治療期 2日目 治療期 2日目 治療期 2日目 治療期 2日目 治療期 2日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 1 0 0 10 0 0 0 10 0 0 11 0 0 0 0 9 2 1 3 2 0 0 4 0 0 0 5 0 0 3 0 0 0 0 1 3 2 0 2 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

治療期 3日目 治療期 3日目 治療期 3日目 治療期 3日目 治療期 3日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 1 0 0 10 0 0 0 10 0 0 11 0 0 0 0 8 3 1 4 1 0 0 4 0 0 0 5 0 0 3 0 0 0 0 2 2 2 0 2 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

治療期 4日目 治療期 4日目 治療期 4日目 治療期 4日目 治療期 4日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 0 0 0 9 0 0 0 9 0 0 10 0 0 0 0 8 1 1 4 1 0 0 4 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 2 2 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

治療期 5日目 治療期 5日目 治療期 5日目 治療期 5日目 治療期 5日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 0 0 0 9 0 0 0 8 1 0 9 1 0 0 0 8 1 1 3 2 0 0 3 1 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 2 2 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

治療期 6日目 治療期 6日目 治療期 6日目 治療期 6日目 治療期 6日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 0 0 0 9 0 0 0 9 0 0 10 0 0 0 0 8 1 1 3 2 0 0 4 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 2 2 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

治療期 7日目 治療期 7日目 治療期 7日目 治療期 7日目 治療期 7日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 0 0 0 9 0 0 0 8 1 0 10 0 0 0 0 8 1 1 3 2 0 0 4 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 2 2 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

後観察 1日目 後観察 1日目 後観察 1日目 後観察 1日目 後観察 1日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 0 0 0 9 0 0 0 9 0 0 10 0 0 0 0 8 1 1 3 2 0 0 4 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 2 2 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

後観察 2日目 後観察 2日目 後観察 2日目 後観察 2日目 後観察 2日目 観察期 -1日目 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4

0 6 0 0 0 9 0 0 0 9 0 0 10 0 0 0 0 8 1 1 2 3 0 0 4 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 2 2 2 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0

臨床症状の程度 食欲低下 (0:無,1:1/2以上摂食,2:1/2未満,3:摂食しない) 嘔気・嘔吐 (0:無,1:悪心,2:時に嘔吐,3:嘔吐(要治療)) 頭痛 (0:無,1:耐えられる程度,2:鎮痛剤を必要とする) 中枢神経性症状(0:異常なし,1:軽度傾眠,2:傾眠,3:昏迷,4:昏睡) 口渇(0:無,1:有) 注)3日間投与例の後観察 1日目,後観察 2日目は,集計に加えていない。 <資料番号 5.3.5.2-01:表 8.4-2>

Page 65: 項目 内容 1 全血中及び血漿中放射能濃度,尿中,糞中累積 ......equiv/mL)と推移し,96 時間には0.022 µg equiv/mLと定量下限値(0.013 µg equiv/mL)近くとな

2.7.6 個々の試験のまとめ

411

副次的評価項目としたその他の評価項目の結果を表 2.7.6-66~表 2.7.6-68に示した。

尿浸透圧の低下が治療期 1~2日目に認められたが,24時間尿量の変化は明らかではなかった。

尿中 Na及び Cl排泄量の減少が,治療期初期にみられたが,尿中 K排泄量に変化はみられなか

った。

血清クロライド濃度は,血清ナトリウム濃度と同様に被験薬投与中,上昇がみられたが,血清

カリウム濃度の変化はみられなかった。

血清浸透圧は,治療期 2日目 0時間から上昇がみられ,後観察 1日目 0時間まで徐々に上昇し

た。

血漿中バソプレシン濃度は,治療期 1日目 0時間に 4.90±5.79 pg/mL(中央値:2.25 pg/mL,最

小値~最大値:0.4~18.9 pg/mL)であり,塩酸モザバプタン投与後の変化はみられなかった。

表 2.7.6-66 24時間尿量及び尿浸透圧の推移

観察期-1日目からの変化量 時期* 例数 平均値 標準

偏差 標準 誤差 最小値 中央値 最大値

例数 平均値標準

偏差

標準 誤差 最小値 中央値 最大値

尿量(mL)

観察期-2日目 13 1315.4 676.5 187.6 600 1100.0 2950

観察期-1日目 15 1518.0 621.9 160.6 60 1590.0 2470

治療期 1日目 15 1904.7 902.7 233.1 650 1800.0 4170 15 386.7 886.7 228.9 -800 200.0 2100

治療期 2日目 15 1501.3 683.4 176.5 350 1500.0 2870 15 -16.7 597.3 154.2 -1300 0.0 1100

治療期 3日目 15 1378.0 709.5 183.2 550 1400.0 3000 15 -140.0 571.6 147.6 -1050 -200.0 1000

治療期 4日目 13 1488.5 762.4 211.5 450 1350.0 3200 13 75.4 681.3 189.0 -900 200.0 1440

治療期 5日目 14 1462.5 644.0 172.1 600 1350.0 2800 14 -6.8 471.2 125.9 -700 -95.0 1050

治療期 6日目 14 1332.1 501.4 134.0 600 1350.0 2300 14 -137.1 548.3 146.5 -800 -170.0 1190

治療期 7日目 12 1390.0 472.6 136.4 500 1400.0 2150 12 15.0 511.3 147.6 -800 0.0 1190

後観察 1日目 13 1029.2 316.8 87.9 600 900.0 1500 13 -383.8 623.4 172.9 -1200 -500.0 1140

尿浸透圧 (mOsm/kg)

観察期-2日目 10 569.9 127.0 40.2 348 578.0 800

観察期-1日目 15 560.6 152.2 39.3 349 492.0 755

治療期 1日目 15 328.0 180.0 46.5 155 288.0 777 15 -232.6 149.1 38.5 -512 -236.0 24

治療期 2日目 15 439.5 162.5 41.9 220 389.0 794 15 -121.1 137.9 35.6 -401 -91.0 41

治療期 3日目 14 531.9 171.3 45.8 278 524.0 856 14 -43.9 99.2 26.5 -183 -31.5 117

治療期 4日目 14 440.9 115.2 30.8 277 450.5 673 14 -106.0 107.3 28.7 -299 -80.5 43

治療期 5日目 14 529.4 116.9 31.2 380 487.0 793 14 -17.5 121.0 32.3 -265 -2.5 198

治療期 6日目 14 551.9 194.1 51.9 269 488.5 1077 14 5.0 175.5 46.9 -293 4.0 323

治療期 7日目 13 540.1 166.5 46.2 353 440.0 844 13 -14.2 171.7 47.6 -331 -10.0 287

後観察 1日目 13 717.7 117.2 32.5 540 725.0 958 13 184.9 132.5 36.7 -70 176.0 367 * 3日間投与例の後観察1日目は,集計には加えていない。 <資料番号 5.3.5.2-01:表 13.1-4より抜粋>