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傾聴と目利きで 事業を分析するゲートキーパー 令和元年度 医の芽ネット 交流サロン 第2回 (2019年9月2日・倉敷中央病院予防医療プラザ1階研修室) 西 謙一 (臨床工学技士・電気工事士) 一般社団法人日本の技術をいのちのために委員会 一般社団法人医療健康機器開発協会 一般社団法人日本医療福祉設備協会 理事 理事 理事 - マーケットイン志向のビジネス構築 - NES株式会社 (代表取締役) (稲垣謙一) 本日の資料

傾聴と目利きで 事業を分析するゲートキーパー · プロダクトアウトの逡巡 産業支援 ≠ 医工連携支援 医療を知らずして医療ニーズの調査や評価できない

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Page 1: 傾聴と目利きで 事業を分析するゲートキーパー · プロダクトアウトの逡巡 産業支援 ≠ 医工連携支援 医療を知らずして医療ニーズの調査や評価できない

傾聴と目利きで 事業を分析するゲートキーパー

令和元年度 医の芽ネット 交流サロン 第2回 (2019年9月2日・倉敷中央病院予防医療プラザ1階研修室)

西 謙一 (臨床工学技士・電気工事士)

一般社団法人日本の技術をいのちのために委員会 一 般 社 団 法 人 医 療 健 康 機 器 開 発 協 会 一 般 社 団 法 人 日 本 医 療 福 祉 設 備 協 会

理事 理事 理事

- マーケットイン志向のビジネス構築 -

NES株式会社 (代表取締役)

(稲垣謙一)

本日の資料

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異業種 2

▽医工連携における異業種とは 医を医療・ヘルスケア産業と定義した場合はそれ以外の全業種が『異業種』 異業種の主体は産業界 医工連携を支える行政や支援機関、金融機関の存在も重要

▽異業種は前向きな検索ワード 異業種をウェブ検索すると前向きな関連ワードがヒット ⇒ 異業種交流・異業種連携がトップ100のほとんどを占める

異業種交流会・異業種交流促進協議会など異業種交流を振興するイベントや支援措置が多い ⇒ 異業種交流は有効手段? 成功事例が少ないから多発? 藁をもすがる人が多い?

医療

異業種 異業種 検索

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異業種 3

▽Word 異業種は英語でdifferent fields、different category [type] of business 異業種取引はinter-industry trade 特徴的な単語にinterprofessional(異業種間の, 異職業間の)というwordがある ⇒ interは間や相互の意の接頭語 ⇒ professionalは医師や弁護士などの専門的職業、本職、専門家、特定領域の熟達者

▽医療とのinterprofessional(異業種間) 医師に代表される医療従事者は正に専門家であり、業界自体も専門性が高い 技術的に長けたエキスパート集団であり、かつ基礎となる知識レベルも高い 異業種から見た医療とは相当に異種・異質・異彩であり異端・異常の域に達する ⇒ 異業種間の『間』にある溝の深さ、境界は未知数

医工連携は interprofessional に生まれる『境界』に課題がありそう

医工連携は interprofessional の『連携』や『協働』が成果を生み出す

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医療機器開発基本計画 4

2016年

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医療機器開発マネジメントステージゲート 5

出典 AMED: 医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート, https://www.amed.go.jp/koubo/medical_device_check.html

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医療機器開発マネジメントステージゲート 6

▽医療機器開発マネジメントにおけるチェックポイント 1.開発する医療機器の製品コンセプト決定時点 2.最終仕様確定時点 3.臨床試験開始前時点

①開発する医療機器の製品コンセプト決定時点(目利き) 医療機器は少量多品種、現場での使用を通じ絶えず改良改善が行われライフサイクルが短い 医療現場のニーズ抽出、製品化への適切な目利き(絞り込み)、早期段階から事業化に焦点 競合先分析と差別化、市場における位置づけ、技術的障壁の把握などが必要 この時点でマーケティング、知財戦略、マネジメント体制構築が検討されている必要がある

出典 AMED: 医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート, https://www.amed.go.jp/koubo/medical_device_check.html

③臨床試験開始前時点 次ステージで探索的・検証的臨床試験が行われる場合が多いため3rdステージで準備完了 臨床試験実施のための検証仮説が科学的エビデンスに基づき立案されている必要 臨床試験実施に必要な組織体制構築、IRB、治験計画届、臨床研究法対応などの目途がある 薬事に関し非臨床評価の充足性、検証的試験のデザイン、申請・届出に必要な事項の準備 PMDAの助言・相談、適切なリスクアセスメント、知財戦略の展開

②最終仕様確定時点(プロセス管理) 2ndステージにて決定したコンセプトに基づき設計・開発した試作品のフィージビリティ確認 3rdステージ以降の非臨床評価・臨床試験を効率的・効果的に進めるための準備やリスク分析 実臨床に耐える製品仕様が適切に確定している 十分な非臨床評価計画が立案されている

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医療機器の製品コンセプト決定時点(目利き) 7

▽チェック項目②研究環境等に関すること(事業化観点) 1)市場の見極め

対象疾患/症例の想定、対象患者数、当該機器の業界特性や市場規模、競合先分析(ベンチマーク分析)、既存治療に対する当該機器の位置づけ・優位性等が明確化され、整理されているか

海外展開を想定している場合には、海外市場環境に関する情報収集を行っているか 具体的な実用化のイメージ(当該医療機器の開発、保険収載等)ができているか 基本戦略(マーケティング戦略、経営戦略上の当該機器の位置づけ等)は明確になっているか

2)物理的・科学的現象の探索

当該機器の原理等、作用メカニズムについて、エビデンスを伴い説明可能か

3)要素技術開発

コア技術の開発戦略は明確になっているか 当該製品の効果、性能、リスクについて既存製品と比べた違いが明確になっているか。また、リスク・ベネフィットバラ

ンスが考慮されているか 上市までに必要な開発費、開発期間、当該機器の有効性・安全性を検証するにあたり必要な評価項目を想定しているか

4)コンセプト決定

対象疾患は使用目的、製品要求仕様が明確になっているか

▽チェック項目①開発品目そのものの評価に関すること(技術開発の観点) 1)ニーズ

医療現場の抱える課題、臨床ニーズを適切に捉えているか ニーズは特定の意見ではなく、客観的な情報で確認できているか(普遍性と重要性)

2)知財マネジメント、その他

知財に関し、知財担当者と導出に向けた適切な知財戦略や他社知財への抵触回避の確認等、具体的な対応方策について検討を開始しているか

次のステージにかかる研究開発実施体制(外部機関の活用を含む)の目途はあるか

出典 AMED: 医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目, https://www.amed.go.jp/content/000041779.pdf

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8

出典

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9

あったら良いなと思いますが稟議書を書いて懇願して調達する程ではないですね。

それはどなたのご意見でしょうか? 神の手と呼ばれる先生方が使うのなら私みたいな医者には無用ですね。

ウチでは必要ないと思いますし、どこで使うか想像もできません。 看護師の意見は聞きましたか?

プロダクトアウトのリスク、マーケットインの利点がわかったので自社で人材を育成して進める事にします。 臨床応用のための検証や計画策定の頃までには協業先や優秀人材を見つけて体制を整えることにします。

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市場を知らずして 10

▽ あ

▽ あ

▽ あ

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医療 11

▽医療 医療とは医術で病気をなおすこと。療治。治療。 医療のための行為 本来は危険行為とされる行為であっても専門資格職にだけ例外的に除外された行為。

▽医療の特性 科学性(安全性や有効性の科学的な説明) 個別性(大量生産の工業製品とは異なり、サービス業に近い存在) 緊急性(急性疾患や急性増悪は予測困難) 地域性(一般に周辺地域の住民を対象に行われる) 不確実性(生体反応の個体差、加齢と終局、神の手は無い) 侵襲性 (物理的、化学的、心理的に侵襲がある不安全行為)

出典 飯田修平: 病院早わかり読本第4版, 医学書院, p15-18: 2011

▽免許 医療の中心に医師 あらゆる医療に携わる看護師 養成課程が医師と同じく6年制の薬剤師 技術系では診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などの免許 リハビリ系は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士など比較的新しい免許 病院外ではあるが救急救命士も国の免許制度 いずれも免許された範囲内であれば生業として医療行為ができる さらに専門性が高い分野は、専門認定(免許ではない)を受けて診療にあたることが多い

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境界領域を埋める人材 12

▽人材探しも容易でない 誇大広告、針小棒大、羊頭狗肉、依頼する企業が人材を評価しづらい ⇒ 経験のない知識と、知識に基づいた経験を持つ人の差は歴然

医療界、特に臨床家である医療従事者は臨床から離れる人は少ない ⇒ 元々、人を救いたいという思いから医療従事者になっているため開発や産業には関心薄

対価を払って人材を確保する文化が根付かないために優秀人材が業界に定着しづらい ⇒ 働き方改革で副業をする医療従事者が増えれば人材の多様化にも期待

▽プロダクトアウトの発生 コンサルティングできる人材や機関を探すのが面倒、対価を払いたくないと思ってしまう ⇒ 社内のリソースや偏った意見を持つ発案者だけで開発してしまう

市場調査や製品評価などを受けていないアイテムの完成・上市 ⇒ 誰も買ってくれない事に気づく

プロダクトアウトの逡巡

▽産業支援 ≠ 医工連携支援 医療を知らずして医療ニーズの調査や評価できない ⇒ 病院とクリニックの違いも、清潔と不潔も説明できない人が現場に土足で踏み込む状況

従来型の企業OB型コーディネーターでは現役時代に医工連携実務を経験した人は殆ど居ない ⇒ 医療界と産業界の狭間で困っているという事を鑑みた人材探しが必要 ⇒ 医工連携は2000年代に入り取組事例が稀に見られ、世に広まったのは2010年以降 (いま現役の方々でも経験値はさほど高くなく医と工の両経験者は希少)

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出典 AMED: 医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート, https://www.amed.go.jp/koubo/medical_device_check.html

中間まとめ 13

ヘルスケアビジネスにおけるニーズ発掘や コンセプト決定などの1stステージが重要 であり、そのプロセスには"目利き"が必要

医療界と産業界は異業種であり、境界領域を埋めるコミュニケーションが必要であるにも関わらずないがしろにされている。

玉石混淆、自社に役立つ人材を目利きすることも難しく、結局はプロダクトアウト型に傾いてしまいがちで過去の失敗を踏襲。

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西門義一 14

▽シイタケの四極性

※.私財を投じたため『椎茸御殿』や『椎茸基金』などの財産はございません。

▽稲いもち病の研究 1914年、近藤萬太郎氏が大原孫三郎様の同意を得て財団法人大原奨農会に農業研究所を創設 種芸・園芸・化学の三部でスタート、翌年に病理害虫部が発足

西門義一氏は植物病理研究室長として『稲いもち病』を研究、農林省から補助金を得て研究

▽ベルリン留学 1929年~31年の2年間、大原農研より留学を命ぜられる 隣同士に住んでいた倉敷中央病院の松原医博(のちの病院長)と共に日本郵船の箱崎丸で渡航 キウロコタケの菌糸細胞の輪生シュナーレン形成(鈎状連結)と核分裂を研究

- 1947年岡山行幸・御前講演より -

シイタケが身近な食品となった

シイタケは人類の骨格形成に必要なビタミンDの母体であるエルゴステールを多く含有 ⇒ 戦後の国民体位向上の立場、山村農家経済更生の立場から栽培奨励

シイタケは春秋二季に発生されるものとされていた ⇒ マツタケと並ぶ重要キノコ

大原農業研究所でシイタケ菌糸の単胞子純粋培養の分離・交配・増殖・発生を研究 ⇒ 加茂山国有林・津川山国有林などで実験

雌雄異体、四極性を明らかにし、その単相菌糸の交配による優良品種育成 ⇒ シイタケに"性"があることを明らかにし四個の胞子を純粋培養

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ゲートキーパー 15

▽ あ

▽ あ

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1.組織や企業の境界を越えて、その内部と外部を情報面からつなぎ合わせる人のことを指す。組織内の誰とでも何らかの形で接触しており、組織外部との接触も極めて多い人間である。

2.ある課題を解決するのに必要な知識を持つ企業内外の人たちが頭の中にプールされていて、顧客の話を聞きながら、誰と誰を組み合わせるとその顧客の要望を満たすことができるかを設計できる人のことを指す。優秀なゲートキーパーは、社内の研究開発者に精通しており、また極めて多くの先駆的な顧客との間にパイプを持っていて、それらの顧客に対して頻繁に課題とその解決策の提案を繰り返している。

組織には特有の文化や考え方、用語などが存在し、それがコミュニケーションを妨げる要因になっているが、ゲートキーパーは組織の内外と接触する機会がきわめて多く、かつ高度な専門知識を持っているため、関連する情報をわかりやすく伝え、コミュニケーションを円滑にすることができる。 たとえば、顧客の要望を把握しながら市場の動きを探り、研究開発部門や販売部門との交渉を進めることが可能である。 製品の開発には多くのプロセスが必要であり、コミュニケーションの面からさまざまな部門を結びつけるゲートキーパーの存在が、新規事業を成功させる要因のひとつとなっている場合もある。 近年はグローバル化にともなって、関連部署や部門が遠隔地で機能しているケースも珍しくない。製品や技術の開発の際に、多数の情報源に接触し、膨大な情報量を効率的に処理するゲートキーパーの役割が、ますます重要になっている。

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▽ゲートキーパーとは?

▽ゲートキーパーの特徴

つまり、専門知識と情報を持った橋渡しのスペシャリスト

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医療機器の定義 17

▽機能的・器械的分類

▽クラス分類(リスク分類)

診断と治療 単回使用(single use)と繰返使用(reuse) 体内留置(implant)と一時使用(temporary) 電源内蔵と外部電源と電源不要 体内と体表と体外

2005年の薬事法改正により医療機器は国際分類に準拠した4分類を実施

クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ クラスⅣ

一般医療機器 管理医療機器 高度管理医療機器

経腸栄養注入セット、ネブライザ、X線フィルム、血液ガス分析装置、手術用不織布、など

X線撮影装置、心電計、超音波診断装置、注射針、輸液ポンプ用輸液セット、吸引カテーテル、補聴器、家庭用マッサージ器、コンドームなど

粒子線治療装置、人工透析器、硬膜外用カテ、輸液ポンプ、人工骨、人工心肺装置、多人数用透析液供給装置、成分採血装置、人工呼吸器など

ペースメーカ、冠動脈ステント、人工血管、PTCAカテーテル、中心静脈カテーテル、吸収性体内固定用ボルト、プログラムなど

届出 第三者機関認証 認証/承認 大臣承認(PMDA審査)

医療機器基準(PMDA) クラス分類表

出典 PMDA: 医療機器基準ホーム, http://www.std.pmda.go.jp/stdDB/index_sum_absframe.html PMDA: 医療機器の一般的名称, http://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/conf/stdDB_confjmdn.cgi

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医療経済の基本 18

▽医療機器承認と治療承認(支払)は別 保険診療については療養担当規則で規定床使用が可能となる ⇒ 保険医の登録、保険医療機関の指定

審査支払機関を通じて保険者から医療機関に支払われる 医学的に正しい診療であっても療養担当規則に沿わなければ査定・減点の対象

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医療現場 19

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病院報告/医療施設(静態・動態)調査 20

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日本の医療事情 21

病床数 平均在院日数

病院数 病床利用率

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日本の医療事情 22

相関係数 0.908958

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色々なデータを日本地図に変換 23

▽東高西低 高塩分を摂取している人の割合が東日本に多い (西日本は高塩分摂取者が少ない)

食塩15g以上を摂取している人の割合 食塩19g以上を摂取している人の割合

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市場規模にも配慮 24

出典 厚生労働省医政局: 平成28年薬事工業生産動態統計年報

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Five Forces Analysis 25

▽5つの基本的な特性 新規参入者の脅威 ----------- 買い手の交渉力 ------------- 既存の競争相手間の競争 ----- 代替品の脅威 --------------- 供給元(納入業者)の交渉力 ---

(threat of new entrants) (bargaining power of buyers) (rivalry between existing competitors) (threat of substitute products) (bargaining power of suppliers)

出典 NES: Five Forces Analysis, http://www.24med365.net/health_biz_creation/service_healthbiz_product_research_5_forces_analysis.html

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部材供給

繰返し再生

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部材供給の道筋で言えば『非磁性体』が競争力になるかもしれません。 医療のトレンドが移り変わる中で新たな課題が次々と生まれ、誰かが解消しています。

YouTube: Powerfull Magnet Part 2 YouTube: Oxygen Cylinder in MR Scan Room

YouTube: How dangerous are magnetic items near an MRI magnet YouTube: mri oxygen bottle

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設備トラブル(実話) 27

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認定ホスピタルエンジニア 28

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医療周辺サービス

①法人内の知的資産を国民に普及(均霑化) ②産学連携、病院-研究所連携促進の成功例 ③独立行政法人としての外部資金獲得

25万部突破! 売上4億円以上

大阪ガスクッキングスクール シップヘルスケアフード グローカルフード

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看護ノウハウ商品化 30

made in 1996

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▽新展開 非メディカルでの販路開拓 メディカル用品と非メディカル用品との違い

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足裏免荷材の発展

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出典 厚生労働省:平成18年身体障害児・者実態調査結果, https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/108-1b.html 内閣府: 平成30年版 障害者白書, https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/zenbun/index-w.html

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百聞は一見に如かず

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医療・医学の話題に触れる機会を増やしましょう まずは難しく考えず医療ドラマでも見ましょう

ER 緊急救命室 〈シーズン1-15〉 コンプリートDVD BOX(99枚組)¥56,365.

CHICAGO MED/シカゴメッド ¥2,351.~ グレイズ・アナトミー 各シーズン¥3,809.

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簡単に医療を見に行く 35

▽日本赤十字社献血ルーム 全国の都市に点在 看護師が採血や血圧測定などの医療行為をしている 健常者が集まる場所なので雰囲気は明るく軽快で若者も多い 勉強させてもらいながら、感謝され、ドリンクとお菓子を出してくれる

山形県山形市 愛知県名古屋市 熊本県熊本市

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医工連携・くまもと地域産業活性化モデル 36

Copyright (C) 2012 Kenichi Nishi. All Rights Reserved. ... 図画等の無断使用をお断りします

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どの職種と相性が良いでしょうか? 37

▽医療全般の実務を知りたい(入門レベル) 診療科横断的、外来も病棟も手術も関わる職種は看護師 1人で多様な業務を経験しているとすればベテラン級になるが、役職に就いていれば多忙 内容によってはOB・OGや臨床を退いて教壇に立つ医師・看護師も良い

▽薬機法に基づく医療機器以外・医療関連器具・医療周辺サービスに参入希望 処置等の補助具は医師しか使わない物も多く、当然試用・評価者も医師になる 日常使用するアイテム数は看護師が一番多く、医師の間近で補助業務も行う リハビリ現場では麻痺の程度や回復進捗に合わせ器具類も多種多様

▽医療機器全般について知りたい(初級レベル) メーカーの現役社員は他社製品についてはあまり話せず、OBであれば多少は口が緩む(?) 臨床工学技士は機器そのものだけでなく、臨床での使用感なども知っている

▽目的やコンセプトが明確 使用、操作、保守、調達、廃棄など関係者は複数職種にまたがることを認識して相手探し 準備や洗浄、予防保全などに時間・手間・費用がかかる場合は使用/操作者以外の意見が影響 職種(免許)以外にも診療科別、急性/慢性期、病床規模などにより詳細に知る必要

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医療側のパートナーをチェックしてみよう(私案) 38

▽医療機器に詳しいですか? 課題解消や技術革新を狙うには装置の原理にも理解を求める 個別の装置の操作ができるのは詳しいわけではなく、商品知識や応用力もカギ

▽利潤の追求を理解できますか? 論文や知財化にこだわらず、商品として流通することに重きをおけるか 利益が出ない商品は永続性がなく廃止されてしまうことを危機と思ってもらえるか 100%の完成品でないと商品化させてもらえない事態、不必要な機能搭載の要求などリスク

▽ネットワークはお持ちですか? 他職種との連携があり、必要に応じて紹介してもらえるか 専門領域におけるGeneralistか、個別のニッチ部分に詳しいマニアか? 環境が違う他院の仲間と深い関係を持っていると事業化に向けた調整に有利

▽パートナーシップを理解できますか? 出入りの業者と混同しないでもらえるか(調達者vs販売者の関係に慣れている人も居る) シナジーやWin-Winとは何かを共通認識・価値観を共有できるか ときに自己犠牲を払っても『損して得とれ』の懐の深さが必要な場面もある

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ゲートキーパーをチェックしてみよう 39

▽橋渡し役として、他人の幸福に役立つことができる 橋渡し役はときに通訳者のように正しく伝達するだけの場合もあり、自我を抑える必要 自分以外の医療従事者が喜ぶアイテムの開発に関わることが多い 企業の考える幸福は医学への貢献のみならず利潤追求や事業永続にもあることを理解する

▽自らの知識や経験の範囲を認識し、身の丈に合った言動や行動ができる 案件ごとに臨機応変に接し、ゲートキーパーが案件崩壊の原因にならないように配慮 産業界を相手にした場合、ゲートキーパーが医学的知識で優るのは当然である事を再認識し、他の医療従事者やゲートキーパーと自らを比較して過信せず謙虚に対応

▽企業を『業者』として見下さず、敬意を払うことができる 産業界からは中小零細企業も多数参画するが、企業規模と技術レベルは不一致 連携先は納品業者ではなく、互いにリスペクトし合う関係構築が必要

▽商品化を意識し、医学的価値のみならず市場性・事業性を評価・助言できる 高機能化と価格のバランス、病院規模によるマンパワーや環境の差異などを加味 機器の臨床上のリスクなどを、企業の規模や体制に照合して適切に助言 競合の出現可能性は企業にとって回避すべきリスク

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医療界と産業界が ただ出会うだけでは

花はつけるが実にならない

製品化成功の事例は無数にあるが商品化事例は稀

★想像通りのモノが出来ても、世の中が求めるモノではない

★マッチングに問題があるのではなく、マッチング後に課題

★ニーズを履き違えていることもしばしば

★パートナー選びを間違えた場合もボタンの掛け違いが起こる