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国際大学ICLOVE講演会 2014年2月26日 明治大学農学部准教授 作山 巧 海外への農産物輸出

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国際大学ICLOVE講演会

2014年2月26日

明治大学農学部准教授 作山 巧

海外への農産物輸出

講演の流れ

2

講師の紹介

日本の農業物貿易の特徴

日本の農産物輸出の動向

今なぜ農産物輸出なのか

有望な輸出品目と輸出先は

輸出成功の鍵は何か

1.講師の紹介

3

農林水産省での職務経験

4

1988~93年:農水省

1993~95年:イギリス(大学院留学)

1995~99年:農水省

1999~02年:フランス(在外公館)

2002~04年:農水省(WTO交渉)

2004~07年:イタリア(国連職員)

2007~13年:農水省(TPP交渉等)

海外経験

5

海外駐在

8年

海外出張

85回

訪問国

27カ国

外国語

英語

フランス語

イタリア語

APEC食料安全保障大臣会合

(2010年10月:朱鷺メッセ)

6

TPPに関する説明会

(2012年3月:山形市)

7

安倍首相の辞令:TPP協議チーム(2012年12月)

8

リンゴ輸出に関する実態調査

(2013年8月:山形県朝日町)

9

天狗マークを商標登録し、密入りリンゴのブランドを確立

台湾を中心に、2010年には37トンを輸出

タイ、香港、フィリピンにも輸出を拡大

町長や農協組合長が自ら海外でトップセールスを実施

2.日本の農産物貿易の特徴

10

日本の農産物貿易の特徴

11

日本の特徴

世界最大の農産物の純輸入国(輸入額-輸出額)

ただし、輸入額自体は世界で第4位に過ぎない

輸出額が極端に少ないため、純輸入額で世界第1位

他国との比較

米国、中国、ドイツ等は、輸入も多いが輸出も多い

日本の輸出額は、農地面積が半分以下のオランダやベルギーよりも少ない

特にオランダは世界最大の農産物の純輸出国で、生産額ベースの自給率はほぼ100%

農産物輸入額上位10カ国の純輸入額の比較(2010年)

12

-4.5

-6.8

-4.4

-2.6

-6.4

-3.5 -2.7

-4.0

-7.4

-3.9

0.3

3.0 2.0

0.5

5.5

3.0 3.0

5.1

9.9

6.4

-4.2 -3.8 -2.4 -2.2

-0.9 -0.5 0.4

1.1 2.5 2.5

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

(兆円)

輸入額 輸出額 純輸入額

資料:国際連合・食料農業機関調べ

農地面積の国際比較(2011年)

13

2,909

456

190 136

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

フランス 日本 オランダ ベルギー

(万ヘクタール)

資料:農林水産省調べ

食料自給率の国際比較(2003年)

14

102 101 96

70

40

128 122

58

40

70

0

20

40

60

80

100

120

140

米国 フランス オランダ 日本 英国

(%)

生産額ベース カロリーベース

資料:農林水産省調べ

3.日本の農産物輸出の動向

15

日本の農産物輸出の動向

16

輸出額

加工食品を含む農林水産物の輸出額は、2013年に5,500億円を突破し過去最高

政府は2020年までに1兆円の目標を設定

国別の内訳

アジア向けが7割を占め、特に香港や台湾が多い

品目別の内訳

水産物や加工食品が多く、未加工の農産物は少ない

農林水産物の輸出額の推移と目標

17

3,609 4,008

4,490 5,160 5,078

4,454 4,920

4,511 4,497

5,506

10,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2020

(億円)

資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」

農林水産物の輸出額内訳の推移

18

2,038 2,168 2,359 2,678 2,883 2,637 2,865 2,652 2,680 3,137

88 92 90

104 118

93 106

123 118

152 1,482

1,748 2,040

2,378 2,077 1,724

1,950 1,736 1,698

2,217

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

(億円)

農産物 林産物 水産物

資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」

輸出額の国別内訳( 2013年)

19 資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」

輸出額の品目別内訳( 2013年)

20 資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」

4.今なぜ農産物輸出なのか

21

農産物の輸出が注目される背景

22

積極的な意義

世界的な日本食ブームの広がり

「和食」の世界文化遺産への登録

アジア諸国における富裕層の増加

その他の背景

少子高齢化による国内市場の縮小

TPP交渉参加の正当化

海外の日本食レストランの推移

23

24,000

30,000

55,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

2006 2010 2013

(店舗数)

資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」

海外の日本食レストランの店舗数

24 資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」

好きな外国料理(複数回答)

25

84

65 60

42 39

29 29

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

(%)

資料:ジェトロ(2013)「日本食品に対する海外消費者調査」

世界の食の市場規模

26

340

680

82

229

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2009年(実績) 2020年(予測)

(兆円)

世界 アジア

資料:農林水産省(2013)「日本食・食文化の海外普及について」

アジア諸国の1人当たり所得の推移

27

414

190 172

90

22 5 2

350

279

353

164

36 35 11

0

100

200

300

400

(万円)

1990 2010

資料:世界銀行調べ

自民党農政の特徴

28

自民党<攻め>

構造改革 輸出拡大 所得倍増

民主党<守り>

戸別所得補償 自給率向上 6次産業化

5.有望な輸出品目と輸出先は

29

輸出目標額の品目別内訳

30 資料:農林水産省(2013)「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」

有望な輸出品目

31

コメや野菜・果物等の農産物より加工食品

新興国でも食の外部化・簡便化が進展

輸出の際に検疫や規制の制約が少ない

輸出額の増加が見込まれる品目

調味料類等(1,600億円)

菓子類等(1,400億円)

レトルト食品、めん類等(2,000億円)

日本酒等のコメ加工品(600億円)

良いものを「より高く」

地場の加工で付加価値を上げ儲けを増やす

輸出相手国の検疫条件

32

リンゴ イチゴ ナガイモ コメ 緑茶

香港 ○ ○ ○ ○ ○

米国 △ △ △ ○ ○

台湾 △ ○ ○ ○ ○

中国 △ × × △ ○

韓国 × ○ ○ ○ ○

タイ ○ ○ ○ ○ ○

ベトナム △ △ △ △ △

EU ○ ○ ○ ○ ○

シンガポール ○ ○ ○ ○ ○

資料:農林水産省(2009)「農林水産物・食品の輸出についてのヒント集」

付加価値の高い輸出品の例

スイスの腕時計 イギリスの自動車

33

輸出目標額の国別内訳

34

資料:農林水産省(2013)「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」

有望な輸出先

35

新興市場

アジア:タイ、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシア、インド

ヨーロッパ:EU、ロシア

その他:中東、ブラジル

安定市場

アジア:香港、台湾、中国、韓国

米国

新潟県における輸出取組事例

農林水産省「農林水産物等の輸出取組事例」(平成25年度版)より抜粋

36

37

38

39

6.輸出成功の鍵は何か

40

農産物輸出の流れ

41

準備

• 輸出相手先の情報収集

• パートナーの検討

• 販売戦略の立案

試験

• 契約の締結

• 販売促進・広報の実施

• テスト販売

継続

• 契約の締結

• 販売促進・広報の実施

• 継続的販売

資料:農林水産省(2009)「日本産米輸出ハンドブック」

輸出成功のヒント

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有望な輸出先に足を運んでみる

新興国のダイナミックな発展を体感

地元の農産物・食品の強みを把握

国内とは嗜好が異なる輸出先を見つける

例:大玉のリンゴ(中国)

例:太物のナガイモ(台湾)

和食用の食材という固定概念を捨てる

現地の嗜好を踏まえ、和・洋・中の幅広い食材に応用するレシピを提案

例:抹茶パウダー

日本産リンゴの輸出先別の単価

43

558 588

563

492

558 614

702

295 299 278 245

286 342 344

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

(円/㎏)

中国 タイ 香港 台湾

資料:財務省(2014)「貿易統計」

農産物輸出の問題点と対策

44

• 当初から海外の市場に合わせた生産や販売

需給調整のために余剰品を輸出

• 主要な産地の連携による海外での通年供給

輸出先が集中し産地同士で足の引っ張り合い

• 共同輸送や混載等による物流費の抑制

品目が小口で物流費が高い

資料:農林水産省(2013)「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」

農産物輸出に関する情報源

45

農林水産省「農林水産物・食品の輸出促進対策」

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/index.html

日本貿易振興機構「農林水産物・食品輸出相談窓口」

http://www.jetro.go.jp/services/advice/agri_foods/

日本貿易振興機構・新潟貿易情報センター

http://www.jetro.go.jp/jetro/japan/niigata/

にいがた産業創造機構

http://www.nico.or.jp/

ご清聴ありがとうございました

Thank you for your attention!

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