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1.センターの概要 「農研機構」は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。 農研機構 農村⼯学研究所 農村減災技術研究センター 災害に強い農村づくりには、農村イ ンフラにおける防災・減災機能の強化 が必要です。そのため、農研機構では、 既存施設を改修し、レベル2クラスの 津波に対する農地等の津波減勢効果を 分析する機能及びため池、ダム等の模 型による⽔利施設の地震・豪⾬時の挙 動を解析する機能を強化した農村減災 技術研究センターを整備しました。 農村減災技術研究センターは沿岸域 減災研究棟と施設減災研究棟の2つの 研究棟から構成されています。 お問い合わせ 国⽴研究開発法⼈ 農業・⾷品産業技術総合研究機構 農村⼯学研究所 〒305-8609茨城県つくば市観⾳台2丁⽬1-6 TEL:029-838-7504(業務推進室) FAX:029-838-7609 URL:http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/ 災害に強い農村づくりを⽬指して 農研機構が描く地域減災システム(津波対策) 個別の施設に対する減災技術の開発 (地震、津波、豪⾬) 2.成果の活⽤ 農村減災技術研究センターを活⽤ した研究成果は、対策が急がれる沿 岸域の減災計画策定への活⽤、その 際の防災計画担当者や地域住⺠等の 防災意識向上と合意形成への貢献、 ため池、ダム、パイプライン、⽔路 トンネル、海岸堤防などの耐震・豪 ⾬対策などの技術開発に繋がります。 この研究センターで、現在の構造物対策の適⽤限界を超過するレベル2の津波や地震 を想定した防災計画・減災計画を作成するために急務となっている、本レベルの津波の 後背地での複雑な挙動の解析や地震動を想定した安全なため池等の設計⼿法の確⽴や、 ため池や農地斜⾯などの豪⾬を想定した減災技術の開発を⽬指します。 - - ⾮常に強い地震や豪⾬、津波などに対応する技術の開発を⽬指します。 - 沿 - 津波などによる浸⽔被害の再現や農地などを活⽤した減災効果を検証する研究施設です。 - - ため池、ダム等の⽔利施設の地震時の挙動を再現することができる研究施設です。

農研機構農村⼯学研究所 農村減災技術研究センター...3.得られる研究成果 津波襲来後の背後地の流動現象と被災 機構の解明 沿岸部農業地域へ浸

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  • 1.センターの概要

    「農研機構」は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。

    農 研 機 構 農 村 ⼯ 学 研 究 所

    農村減災技術研究センター

    災害に強い農村づくりには、農村インフラにおける防災・減災機能の強化が必要です。そのため、農研機構では、既存施設を改修し、レベル2クラスの津波に対する農地等の津波減勢効果を分析する機能及びため池、ダム等の模型による⽔利施設の地震・豪⾬時の挙動を解析する機能を強化した農村減災技術研究センターを整備しました。

    農村減災技術研究センターは沿岸域減災研究棟と施設減災研究棟の2つの研究棟から構成されています。

    お問い合わせ国⽴研究開発法⼈農業・⾷品産業技術総合研究機構農村⼯学研究所

    〒305-8609茨城県つくば市観⾳台2丁⽬1-6TEL:029-838-7504(業務推進室) FAX:029-838-7609URL:http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/

    ◆ ◆ ◆ 災害に強い農村づくりを⽬指して ◆ ◆ ◆

    農研機構が描く地域減災システム(津波対策)

    個別の施設に対する減災技術の開発(地震、津波、豪⾬)

    2.成果の活⽤農村減災技術研究センターを活⽤

    した研究成果は、対策が急がれる沿岸域の減災計画策定への活⽤、その際の防災計画担当者や地域住⺠等の防災意識向上と合意形成への貢献、ため池、ダム、パイプライン、⽔路トンネル、海岸堤防などの耐震・豪⾬対策などの技術開発に繋がります。

    この研究センターで、現在の構造物対策の適⽤限界を超過するレベル2の津波や地震を想定した防災計画・減災計画を作成するために急務となっている、本レベルの津波の後背地での複雑な挙動の解析や地震動を想定した安全なため池等の設計⼿法の確⽴や、ため池や農地斜⾯などの豪⾬を想定した減災技術の開発を⽬指します。

    - 農 村 減 災 技 術 研 究 セ ン タ ー -⾮常に強い地震や豪⾬、津波などに対応する技術の開発を⽬指します。

    - 沿 岸 域 減 災 研 究 棟 -津波などによる浸⽔被害の再現や農地などを活⽤した減災効果を検証する研究施設です。

    - 施 設 減 災 研 究 棟 -ため池、ダム等の⽔利施設の地震時の挙動を再現することができる研究施設です。

  • 1.⽬的

    「農研機構」は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。

    農 研 機 構 農 村 ⼯ 学 研 究 所

    農村減災技術研究センター

    沿岸域減災研究棟は、津波などによる浸⽔被害の再現や農地などを活⽤した減災効果を検証する研究施設です。

    観測や数値解析で得られた津波などによる⽔⾯変動を精密に再現できる他、波浪や潮汐流を複合させ、沿岸域で⽣じる災害時の状況を評価し、その成果は沿岸域の減災計画の策定に貢献します。

    2.施設の概要農業地域におけるレベル2津波に対

    する防災・減災のために,農地・排⽔系施設を含んだ広域の津波減勢効果を把握するための平⾯津波実験施設です.

    ①平⾯⽔槽(15m×30m×1.3m),②津波発⽣装置、③⼆次元造波装置、④潮汐発⽣装置、⑤計測・制御装置で構成され、平⾯⽔槽内に津波、波浪及び潮汐を同時に発⽣されることができます。平⾯⽔槽に沿岸海域と後背地域の地形模型を設置して実験を⾏い、海域と陸域の連続した⽔理現象を解明します。

    3.得られる研究成果 津波襲来後の背後地の流動現象と被災

    機構の解明 沿岸部農業地域へ浸⽔した津波を効果

    的に減勢するための農地、農道などの配置計画⼿法の開発

    津波浸⽔後の排⽔や除塩に有効な排⽔施設計画⼿法の開発

    ◆ ◆ ◆ 沿 岸 域 減 災 研 究 棟 ◆ ◆ ◆

    沿岸域の減災計画

    模型実験で減災効果の検証と解析パラメータの設定

    計画への反映

    ⻄側潮位設定ゲート

    東側潮位設定ゲート

    津波発⽣装置

    ⼆次元造波装置

    実験エリア

    消波装置

    ヘッダー管

    ヘッダー管

    下層⽔槽(貯⽔槽)実験⽤⽔をくみ上げ

    模型

    潮汐流発⽣⽤ポンプ

    30.0m

    津波発生ポンプ

    15.0m

    貯留槽

    津波発⽣ポンプ

    周期 波高

    津波 30~360秒 30 cm

    波浪規則波

    0.5~120秒20 cm

    不規則波 40 cm

    潮汐 1~2.5時間 ±5 cm

    ※ 波浪は、規則波、⼀⽅向不規則波、⻑周期波重ねあわせ及び孤⽴波を発⽣できる。

  • 1.⽬的

    「農研機構」は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。

    農 研 機 構 農 村 ⼯ 学 研 究 所

    農村減災技術研究センター

    施設減災研究棟では、ため池、農業⽤ダム等の農業⽔利施設の降⾬・地震時の挙動や浸透・耐震性の評価、対策⼯法の対策効果の検証などの研究・技術開発を⽬的としています。この成果は豪⾬や巨⼤地震に対する施設の強靭化や耐久性向上に貢献します。

    2.施設の概要本研究棟の施設は、遠⼼⼒を⼩型の模

    型に作⽤させることによって、実物の構造物の挙動を再現する振動発⽣装置を備えた遠⼼⼒載荷実験装置です。

    本装置では最⼤100Gの遠⼼⼒を作⽤させることができます。例えば、⾼さ30cmの⼩型模型に100Gの遠⼼⼒を作⽤させることにより、⾼さ30mの実際の施設の挙動を再現できます。また、地中深くにある構造物に発⽣する⼒の状態を再現できます。

    さらに、最⼤75Gの遠⼼⼒を作⽤させた状態で、模型に振動を与える振動発⽣装置による動的実験が可能です。振動発⽣装置は、南海トラフ地震で想定されるような強震動の⻑い揺れを再現することが可能です。

    このほかにも、遠⼼⼒載荷中に実物換算値で最⼤100mm/hの降⾬を再現できます。3.得られる研究成果

    ため池、農業⽤ダム等の農業⽔利施設の地震時の挙動解明と対策法の開発

    ため池、農地盛⼟・斜⾯の豪⾬時の崩壊メカニズム解明と対策法の開発

    ⽔路トンネル、パイプラインなどの地中構造物の破壊メカニズムの解明と対策法の開発

    数値解析と模型実験の融合による新たな設計⼿法の開発

    ⼤規模構造物の各種対策⼯法の対策効果の検証

    ◆ ◆ ◆ 施 設 減 災 研 究 棟 ◆ ◆ ◆

    遠⼼⼒載荷実験装置の仕様

    搭載スペース幅 2,400 mm奥⾏ 1,600 mm⾼さ 1,000 mm

    最⼤遠⼼加速度

    静的試験 100 G動的試験 075 G

    最⼤積載重量 3 ton

    加振実験前

    1 m

    0.3m

    100 m

    30 m

    遠⼼⼒

    ため池,農業⽤ダムの耐震⼯法の開発・検証

    加振後の破壊状況

    ここに模型を搭載

    基礎地盤・堤体模型の貯⽔時の遠⼼⼒載荷動的実験

    回転バランスをとるためのおもり

    ⼩型の模型 実構造物の挙動を再現

    貯⽔ 堤体

    基礎地盤

    堤体

    貯⽔

    基礎地盤

    加振

    各種対策⼯

    100G