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農業における放射性物質対策~放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因を中心に~
平成25年4月20日
農林水産省 生産局
平成25年4月20日
農
安岡 澄人
構 成
1. 農林水産省の対応
2. 各品目の対応
・ 各品目の放射性物質調査結果及び生産現場における取組
(1) 野菜、果実、茶等の農産物
における取組
(2) 米
(3)大豆 そば(3)大豆、そば
2
農林水産省の対応
国民に安全な食品を安定的に供給する 国民に安全な食品を安定的に供給することが基本
関係都県や厚生労働省等と連携 関係都県や厚生労働省等と連携
3
農産物の放射性物質対策
作付制限
放射性物質の移行低減対策
• 吸収抑制対策• 吸収抑制対策• 果樹・茶等の低減対策• 資材・飼料などの管理
要因解析資材 飼料などの管理
• 農地の除染 など要因解析対策検討
放射性物質の検査
超過が確認された場合
4出荷制限
農産物の汚染経路
降下した放射性物質 農地に降下した放射性による直接汚染 物質の根からの吸収
葉物野菜 果樹・茶
樹木 付着 た放射性物事故直後 樹木に付着した放射性物質が果実や新芽に転流
事故後の作付け等
5
各品目 対応各品目の対応
(1) 野菜、果実、茶等の農産物(1) 野菜、果実、茶等の農産物
6
放射性物質の低減対策
果樹の粗皮削り等ナシの主枝の処理と放射線量
4.24 0
5.0 はく皮前 はく皮後
主幹部
樹体に付着した放射性セシウムを 樹体表面の
3.0
4.0
率(kc
pm)主幹部
セシウムを、樹体表面の粗皮削り、高圧水による樹体洗浄等により低減
1.3
0 10.6
0 21.0
2.0
放射
線計
数率
樹体洗浄等により低減。 0.10.2 00.0
上部 側部 下部
放
茶の剪定
葉や樹体に付着し、茶葉に移行する放射性セシウムを、移行する放射性 シウ を、剪定・整枝により低減。
7
農地の除染
表土の削り取り土壌中の放射性セシウム濃度
(H23年度、飯舘村)
農地土壌を薄く削り取り、土壌表層に
土壌中の放射性セシウム濃度除染前: 10,370 Bq/kg除染後: 2,599 Bq/kg (75%低減 )
土壌表層に蓄積している放射性物質を
空間線量率(地表面)の推移除染前:7.1μSv/hr除染直後:3.4μSv/hr (52%低減)放射性物質を
除去
μ稲収穫後:1.9μSv/hr<参考>隣接未除染圃場
5 7μSv/hr
表層土壌と下層土の反転
5.7μSv/hr
表層土と下層土を反転することで、作物が吸収する層の放射性物質濃作物が吸収する層の放射性物質濃度を低減 8
農地土壌・資材に関する取組
肥料等の対策
• 農地土壌の汚染を招かないようにするため、肥料、土壌農 壌 汚染を招 う す 、 料、 壌改良資材、培土等の資材の暫定許容値(400 Bq/kg)を設定(※)。
• 各自治体が調査を行い、許容値を超過するものについては利用の自粛等を実施。
※堆肥等を長期間施用しても 原発事故前の農地土壌の放射性※堆肥等を長期間施用しても、原発事故前の農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲に収まるよう設定。したがって、食品の新たな基準値の設定にともなう見直しは不要
9
な基準値の設定にともなう見直しは不要
収穫後の放射性物質検査
• 検査等のガイドラインを踏まえ各都道府県で検査を実施
• 過去の検査結果等を踏まえ 放射性セシウム濃度の検出レベル• 過去の検査結果等を踏まえ、放射性セシウム濃度の検出レベルの高い品目・地域について重点的に検査
検査のガイドライン(検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方)定 解除の考え方)
検査結果や知見の集積を踏まえて、より適確な検査が行われるよう見直し(平成23年4月4日の制定以来4回見直し)見直し(平成 3年 月 日の制定以来 回見直し)
これまでの検査点数:約42万点(この他米の全袋検査1,031万点など)
過去の検査結果等を分析し、基準値を超える可能性が考えられる品目、地域について、特に綿密な検査を実施
10
野菜の検査結果
• 23年度は、事故直後に、放射性物質が生育中の野菜に降下・付着したことから、春先に100 Bq/kg超がみられた。降下 付着したことから、春先に100 Bq/kg超がみられた。
• 24年度は、100 Bq/kg超はごくわずか。
23年3月~6月 24年4月~25年3月99 8%23年7月~24年3月99%
検査
8090
10023年3月 6月
(総検査点数
3,568点)81%
(2,905)8090
10024年4月 25年3月
(総検査点数
18,544)
99.8%(18,507)
8090
10023年7月~24年3月
(総検査点数
9,103点)
(9,028)
査点数の40
506070
4050607080
40506070
割合(%10
203040
4.5%(161)
2.6%(91)
1.3%(48)
10%(363) 10
203040
0.12%(22)
0.02%(4)
0.03%(6)
0.03%(5)10
203040
0.4%(36)
0.1%(12)
0.05%(5)
0.2%(22)
)0( ) ( )
0( ) ( ) ( ) ( )
0( ) ( ) ( ) ( )
11
放射性セシウム (Bq/kg)(注)・平成25年3月31日までに厚生労働省が公表した速報データに基づく。( )内は検査点数。
・検出下限値以下は25Bq/kg以下として集計。
果実の検査結果• 23年度、事故直後に樹体に降下・付着した放射性セシウム
の影響から 100 Bq/kg超が1割弱みられた
94%
の影響から、100 Bq/kg超が1割弱みられた。
• 24年度は、100 Bq/kg超の割合はごくわずか。
8090
10094%
(4,208)
8090
100 ~24年3月
(総検体数 2,732点)検査
73%(2,004)
24年4月~25年3月(総検体数 4,466点)
50607080
50607080査
点数の
( , )
20304050
4.1% 1 1% 0 27% 0 30%203040
11%(312) 5.4% 2 2%
7.7%(210)
割合(%
010
~25 25~50 50~75 75~100 100~
(185)1.1%(48)
0.27%(12)
0.30%(13)
010
~25 25~50 50~75 75~100 100~
(312)(147)
2.2%(59)
(210))
12
放射性セシウム (Bq/kg)(注)・平成25年3月31日までに厚生労働省が公表した速報データに基づく。( )内は検査点数。
・検出下限値以下は25Bq/kg以下として集計。
茶の検査結果
• 23年度は、事故直後に葉や枝に降下・付着した放射性物質
の影響から、暫定規制値超過が1割弱みられた。
24年4月~25年3月(飲用茶)
の影響から、暫定規制値超過が1割弱みられた。
• 24年度は、基準値超過の割合はわずか。~24年3月(生茶葉・荒茶・製茶) 93%
(803)
8090
10024年4月 25年3月(飲用茶)
(総検体数867点)
080 90
100 検査
~24年3月(生茶葉・荒茶・製茶)(総検体数 2,233点)
69% 23%
40506070
30%
(671)26%
(589)21%40
50 60 70 査
点数の割
5.9%
(51)1.5%
(13)0
10203040( ) (589)
(462) 11%
(242)
3.4%
(77)
8.6%(192)
0 10 20 30 割
合(% 0
~5 5~10 10~
デ づ
)
放射性セシウム (Bq/kg)
13
・茶の基準値は平成24年度は飲用に供する状態で10 Bq/kg、平成23年度は茶葉・荒茶・製茶の状態で500 Bq/kg(飲用に供する状態での放射性セシウム濃度は、荒茶の概ね50分の1)。
・検出下限値以下は、24年3月までのものは100Bq/kgi以下、24年4月以降のものは5Bq/kg以下として集計。
(注)・平成25年3月31日までに厚生労働省が公表した速報データに基づく。 ( )内は検査点数。
麦の検査結果
• 事故直後は、生育中の麦に放射性物質が降下・付着した
ことから100 Bq/kg超が約5%みられた
年 月 24年4月 25年3月100%
ことから100 Bq/kg超が約5%みられた。
• 24年度は検査された全ての麦が100 Bq/kg以下。
90100
~24年3月
(総検体数 557点)
90100
24年4月~25年3月
(総検体数 1,817点)
100%(1,817)
検査
50607080 59%
(329)
50607080査
点数の
20304050
18%(102)
15%(82) 3 1% 4.8% 20
1004050
0% 0% 0% 0%
の割合(%
01020
~25 25~50 50~75 75~100 100~
(82) 3.1%(17) (27)
010
~25 25~50 50~75 75~100 100~
0%(0)
0%(0)
0%(0)
0%(0)
%)
放射性セシウム (B /k )
14
放射性セシウム (Bq/kg)(注)・平成25年3月31日までに厚生労働省が公表した速報データに基づく。( )内は検査点数。
・検出下限値以下は25 Bq/kg以下として集計。
各品目 対応各品目の対応
(2) 米(2) 米
15
23年産米での対応暫定規制値を超過した放射性セシウムが検出されたことを受けた取組たことを受けた取組
農林水産省は、福島県と連携して実態把握と要因
解析を実施。
本調査で玄米において放射性セシウムが検出さ・ 本調査で玄米において放射性セシウムが検出された地域、特定避難勧奨地点が存在する地域などの米を緊急調査
暫定規制値を超 生産 等・ 暫定規制値を超えた米の生産ほ場等における土壌中の放射性セシウム濃度、土壌の性質、用水、
16
壌 壌周辺の森林状況等を詳細に調査
平成23年産米の緊急調査結果概要• 29市151旧市町村(23,247戸、32,755点)での調査の結果、
97 5%(22 664戸)が100Bq/kg以下97.5%(22,664戸)が100Bq/kg以下• 暫定規制値を超える放射性セシウムを含む米は特定避難
勧奨地点の付近等に限定的勧奨地点の付近等に限定的
経営体数 作付面積1経営体当たり作付面 生産量経営体数 作付面積
(ha)たり作付面
積(ha)生産量(トン)
全全国 1,347,000 1,576,000 1.2 8,400,000福島県 66,000 64,000 1.0 350,000,暫定規制値超の米を生産した農家 38 14 0.37 54 (対象:23,247戸中)
5
17
暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因の解析(中間報告(1))生産された要因の解析(中間報告(1))
• 玄米中の放射性セシウム濃度が高い値がみられた水田では、
土壌中のカリウム濃度が低い傾向が見られた。
• 土壌中のカリウムは、セシウムと化学的に似た性質を有して
12001300
g)
土壌中のカリウムは、セシウムと化学的に似た性質を有して
おり、作物のセシウム吸収を抑える働きがある。
カリ施肥による稲の吸収抑制対策
y = 1673.2e-0.164x
R² = 0 6243800900
100011001200
度(B
q/kg カリ施肥による稲の吸収抑制対策
土壌中のカリ濃度が適正な場合
R 0.6243
400500600700800
性C
s濃度
福島市平均(15.9 mg/100g)
放射性セカリ施肥
0100200300400
米の
放射
性
全国平均(28.5 mg/100g)
放射性セシウムの
吸収は抑制される
カリ施肥
K
K KK
00.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0
土壌の置換性K2O濃度(mg/100g)
米 CsCsK
K
K K
KKCs 18
暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因の解析(中間報告(2))
• 耕うんが浅い場合、土壌表層に放射性セシウムと根張りが
生産された要因の解析(中間報告(2))
集中するため、放射性セシウムを吸収しやすくなると考えられる。
• 作土層の薄い圃場では、深耕等により放射性セシウムを
H23年産において高い値が検出された土壌の
作土層の薄い圃場では、深耕等により放射性セシウムを
土壌中で希釈、作土層を拡大して根張りを改善することが重要。
0-2.5cm
H23年産において高い値が検出された土壌の放射性セシウムの鉛直分布
2.5-5cm
5-7.5cm
7.5-10cm
10-15cm稲株を抜いたところ
(10 cm径)稲株を抜いたところ
(10 cm径)土壌の層別セシウム濃度 (Bq/kg)土壌の層別セシウム濃度 (Bq/kg)0 10,000 20,000 30,000
19
放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について
~要因解析調査と試験栽培等の結果の取りまとめ~
平成25年1月
福 島 県
20福 島 県
農林水産省
全袋検査
23年産米の検査結果に応じて、濃密に検査を実施。福島県 は 事前出荷制限区域 ほか 県全体福島県では、事前出荷制限区域のほか、県全体で全袋検査(3月末時点で約1,030万袋)を実施。
21
24年産米の検査結果(3月31日現在)
24年産の100 Bq/kg超過はごくわずか。
検査点数基準値超過
超過割合(%)超過 割合(%)
全袋検査分全袋検査分(福島県及び宮城県の一部)
1,031万 84 0.0008
抽出検査分(福島県を除く16都県分)
9,213 0 (超過なし)
平成25年3月31日までに厚生労働省及び自治体が公表したデータに基づき集計。
22
福島県における24年産米の全袋検査結果
24年産の福島県の米の全袋検査の結果、約1,030万袋検査
を行った中で 基準値を超過した放射性セシウムを含む玄米を行った中で、基準値を超過した放射性セシウムを含む玄米
は71袋(超過率 0.0007 %)に止まった。
1,000 1,100
10,268,889(99.8%) 総検査点数:10,291,312点
(平成25年3月末現在)
600700 800 900
検査点
(平成25年3月末現在)
300400 500 600 点
数(万
0100 200 300 点
) 71(0.0007%)
1,678(0.016%)
389(0.004%)
20,285(0.20%)
23
0 25未満 25~50 50~75 75~100 100<
23年度と24年産米の検査結果(福島県産米)
23年産と比較すると100 Bq/kg超過割合は減少。
平成23年産と24年産米の検査結果(福島県)(23年産米の緊急調査の対象区域)
10023年産米(総検査点数:21,189点)
24年産米(総検査点数:2,990,724点)
99.95%(2,989,264)
96%(20,295)
検(12月末現在)査
点数の
50 Bq/kg23年産米: 4 2% 100 B /k
5の割合(%
23年産米: 4.2%24年産米:0.05%
100 Bq/kg23年産米: 1.5%24年産米:0.002%
1.7%(364) 1.0%
(219)0.89%(189) 0.32%
(67)0.26%(55)
0.04%(1 100)
0.01%(304)
0.001%(36)
0.0003%(9)
0.0004%(11)
%)
24放射性セシウム (Bq/kg)
( )(1,100) (304) (36) (9) (11)0~50 50~75 75~100 100~150 150~200 200~
玄米中の放射性セシウム濃度に影響する要因(土壌)
土壌中の放射性セシウム濃度と玄米中の放射性セシウム
濃度の間には相関は見られない。濃度の間には相関は見られない。
140W)
土壌中の濃度が1 000
土壌中の放射性セシウム濃度と玄米中の放射性セシウム濃度の関係
120
140
Bq/
kg F
W 土壌中の濃度が1,000Bq/kg未満でも玄米中の濃度が50 Bq/kgを超える値も見られる。 土壌中の濃度が5 000
80
100
ウム
濃度
( 値も見られる。 土壌中の濃度が5,000Bq/kgを超えるところでも、大部分(76%)の玄米中濃度は20 Bq/kg未
40
60
放射
性セ
シ
中濃度は20 Bq/kg未満と低い。
0
20
玄米
中の
放
0 0 2,500 5,000 7,500 10,000 12,500
玄
土壌中の放射性セシウム濃度(Bq/kg DW)25平成24年に福島県内432地点で玄米及び土壌中の放射性セシウム濃度を調査した結果
カリ施肥の効果(500Bq/kg超ほ場での結果)
23年産で500Bq/kgを超える値が見られた地区で、24年産で
は土壌中の交換性カリ含量 25 mg K O/100gを目標としてカは土壌中の交換性カリ含量 25 mg K2O/100gを目標としてカ
リを施用したところ、玄米中の放射性セシウム濃度が大幅に低
減した土壌中の交換性カリ含量と玄米中の放射性セシウム濃度の関係
1,200
度 カリ肥料を施用せず 土壌中の交換性カリ含量
減した。
800
1,000
セシ
ウム
濃
g)
カリ肥料を施用せず、土壌中の交換性カリ含量が低い状態のままだと、高濃度の放射性セシウムが吸収される。
400
600
中の
放射
性セ
(Bq/
kg
H23 A地区
H24 B地区
(グライ土)
(灰色低地土)
施 放射性
200
400
玄米
中
H24 C地区 (多湿黒ボク土)
カリ施肥により放射性セシウムの吸収を抑えることができる。
26
0 0 20 40 60 80
土壌中の交換性カリ含量(mg K2O/100g)
交換性カリ含量が低くなりやすいほ場稲わらにはカリウムが多く含まれているため、これをほ場に還元すると
土壌中の交換性カリ含量を維持しやすくなる。
25
稲わらの取扱による土壌中の交換性カリ含量への影響
20
25
100g
) ○ 一般に、交換性カリ含量が低くなりやすいほ場として、以下のほ場が挙げられる。
10
15
カリ
含量
(mg/
1
→ 長年稲わらの還元、たい肥の施用等が行われていないほ場
→ 自家用等で長い間カリ肥料の施用が行われて
5
10
土壌
交換
性カ いないほ場
→ 砂質土壌など保肥力の弱いほ場
0
稲わら還元 稲わら持ち出し
土
27
福島県農業総合センターで、約20年間稲わらを土壌に還元した水田と、持ち出した水田各1ほ場について土壌中の交換性カリ含量を調査
米に対する吸収抑制対策の基本(放射性セシウムの稲の吸収時期)稲の吸収時期)
カリ肥料の施用による吸収抑制対策は、下の点が重要。
を基本 追 する場合 分げ 期 期 行う• 元肥を基本とし、追肥する場合は分げつ期の早期に行う
• ケイ酸カリより即効性の塩化カリを利用する稲全体に含まれる放射性セシウム量の推移(時期別の吸収パターン)
稲全体のCs量が急
稲全体のCs量がほぼ横ばいでCs吸収が少ない稲全体のCs量が急
増しており、 Cs吸収が多い
28
吸収抑制対策として用いるカリ肥料の種類
土壌の交換性カリ含量が目標値を大きく下回る場合、土壌中でカリ成分
がゆっくりと溶け出すく溶性のケイ酸カリに比べ、早く溶け出す速効性の
塩化カリの方が、玄米中の放射性セシウム濃度の低減率が高い。)
250塩化カリ
度( B
q/kg)
塩化カリの施肥時期による吸収抑制効果の比較
150
200 ケイ酸カリ
カリ肥料の施用なし
セシ
ウム
濃度
50
100
の放
射性
セ
00 5 10 20 30
カリ施用量(kg K2O/10a)
土壌 交換性カ 含量が3 3 K O/100 グ 土 ポ 試験 カ 料を10 当
玄米
中
29
土壌の交換性カリ含量が3.3 mg K2O/100gのグライ土によるポット試験。カリ肥料を10a当たり、塩化カリとして8.3、16.6、33.3、50.0 kg(K2Oとして5、10、20、30 kg)、ケイ酸カリとして50、100 kg(K2Oとして10、20 kg)施用。
吸収抑制対策としてのカリ施用時期
同量を施肥するのであれば、追肥よりも基肥として、
早い時期から施肥する方が効果が高い。
60 塩化カリの施肥時期による吸収抑制効果の比較
/ kg)
早い時期から施肥する方が効果が高い。
30
40
50
ム濃
度(Bq
/
10
20
性セ
シウ
ム
0
米中
の放
射性
玄米
土壌中の交換性カリ含量が14 7 mg K O/100gのグライ土水田において塩化
30
土壌中の交換性カリ含量が14.7 mg K2O/100gのグライ土水田において塩化カリ(K2Oとして 8 kg/10a)の施用時期を変えて、玄米中放射性セシウム濃度の吸収抑制効果を検討
カリ施肥の効果
カリ肥料を施用しても、保肥力の弱い土壌では、作期終了後に
は土壌中のカリ含量が低下するため 25年産についても土壌診は土壌中のカリ含量が低下するため、25年産についても土壌診
断に基づいた施肥を行う事が重要。
肥料・資材施用後の土壌中の交換性カリ含量の推移
00g)
20.0
25.0 ① 現地慣行施肥(塩化カリ6.7kg/10a)
+塩化カリ56.0kg/10a
② 現地慣行施肥(塩化カリ6.7kg/10a)
+ケイ酸カリ160kgmg
K20/10
10.0
15.0
+ケイ酸カリ160kg
③ 現地慣行施肥(塩化カリ6.7kg/10a)
カリ
含量
(m
5.0
10.0
中の
交換
性カ
31
0.0
資材投入前 5月23日 6月15日 7月6日 7月25日 8月17日 収穫後土壌
中
ゼオライト等の吸収抑制効果• ゼオライト、バーミキュライトの施用により玄米の放射性セシウム濃度の低減効果
は認められるが、放射性セシウムの吸着効果より、むしろゼオライト等に含まれる
カリウムの効果で説明できると考えられたカリウムの効果で説明できると考えられた。
• 吸収抑制対策は、カリ施肥による土壌中のカリ含量の確保を基本とし、ゼオライト
等については、カリ肥料だけでは効果が不十分な土壌であって、砂質土等で保肥
ゼオライト等の施用による土壌中の交換性カリ含量と玄米中の放射性セシウム濃度への影響
ゼオライトによる土壌中の放射性セシウム吸着効果
力が問題となる場合に、保肥力の向上等を目的として投入することが適切である。
と玄米中の放射性セシウム濃度への影響放射性セシウム吸着効果
度 補正
)
100
110 ▲ 火山灰土○ 砂質土
濃度
の合
(%)
40
50
◆ ゼオライト500 kg/10as-
137濃
度5%水
分補
80
90
100
射性
セシ
ウム
に対
する
割合
R² = 0 6891
30
40 ◆ ゼオライト500 kg/10a■ ゼオライト1 t/10a□ 塩化カリ52 kg/10a△ 現地慣行
玄米
Cs
(Bq/
kg.1
60
70
出液
中放
射無
処理
区に R = 0.6891
10
20
500.01 0.1 1 10
抽
ゼオライト-土壌の混合比(%) 土壌中の交換性カリ含量(mg K2O/100g) 32
00 5 10 15 20 25
土壌の特性• 土壌中の放射性セシウムは、時間の経過とともに土壌中の 粘土鉱物による固定が進み 作物が吸収し
土壌中の粘土の割合と雲母由来の粘土鉱物の含有状況
物による固定が進み、作物が吸収しにくくなる• 平成23年産において、玄米から比較的高い放射性セシウム濃度が検出された地域は、① 粘土含量が少ない砂質土等の
土壌が分布している山地及び丘陵地帯や、
② 粘土含量が多くてもセシウム
【農地の粘⼟含有率】0.0~10.0 %
10.0~20.0 % ② 粘土含量が多くてもセシウム固定力の強い雲母由来の粘土鉱物が検出されない地域
が多い
20.0~30.0 %
30.0~40.0 %
40.0~50.0 % が多い。
• こうした地域において、土壌中の交換性カリ含量が低い場合は注意
40.0 50.0 %
50.0~77.0 %
33
交換性カリ含量が低い場合は注意が必要。
【粘⼟鉱物の性質】雲⺟由来の粘⼟鉱物が検出されない地点雲⺟由来の粘⼟鉱物が検出される地点
粘土鉱物によるセシウムの吸着・固定力の違い①
• 粘土鉱物は、表面に負の電荷を持ち、セシウムを「吸着」することができるほか 一部の粘土鉱物は時間の経過とともすることができるほか、 部の粘土鉱物は時間の経過とともにセシウムを内部に取り込んで「固定」する能力を持つ。
「吸着」されたセシウムは 植物が吸収することができる• 「吸着」されたセシウムは、植物が吸収することができるが、一旦、「固定」されると吸収することが難しくなる。
セシウムの吸着・固定力
セシウムをあまり固定しない粘土鉱物 セシウムを固定する能力の高い粘土鉱物の例(モンモリロナイトなど)
吸着固定
吸着
の例(バーミキュライト、イライトなど)
- - -
-
-
---
-
--セシウム セシウム
吸着粘土鉱物の層状構造
層間粘土鉱物の層状構造
- -
--
-
- -
吸着 吸着34
粘土鉱物によるセシウムの吸着・固定力の違い②
• 土壌有機物や粘土鉱物であっても雲母由来でないモンモリロナイト等は セシウムを固定する能力が低いナイト等は、セシウムを固定する能力が低い。
• バーミキュライトやイライトなど雲母鉱物由来の粘土は、セシウムを固定する能力が高い。
土壌構成成分 C 吸着 C 固定土壌構成成分 Cs吸着 Cs固定
土壌有機物 高い 低い
粘土鉱物(非雲母由来)
カオリナイト ハロイサイト 高い 低いカオリナイト、ハロイサイト 高い 低い
アロフェン、イモゴライト 高い 低い~中程度
モンモリロナイト 高い 低い
粘土鉱物(雲母由来)粘土鉱物(雲母由来)
バーミキュライト 高い 高い
イライト 高い 中程度~高い
アルミニウムバーミキュライト 高い 中程度~高い
35
アルミニウムバ ミキュライト 高い 中程度 高い
ゼオライト 高い 高い (注)
(注)産地や品質によって固定力の低いものもある。
(参考)土壌のセシウムの固定力の評価指標
• 交換性カリ含量が十分にある土壌では、RIP注が高い土壌ほど玄米の放射性セシウム移行係数は低くなる。
(参考)土壌のセシウムの固定力の評価指標
• 現在、本指標を用いて固定力の調査などが進められている。
土壌
放射性セ壌
から玄米
セシウム移へ
の
移行係数
RIP(mmol/kg)
36
(注)放射性セシウム捕捉ポテンシャル(R I P:Radiocaesium Interception Potential)は土壌の放射性セシウム固定能(セシウムを固定するサイトの容量(単位:mmol/kg))を評価する指標。
田面水に含まれる放射性セシウムの態様
• 水に含まれる放射性セシウムには、水
中にイオン等で溶けている溶存態のほ中にイオン等で溶けている溶存態のほ
か、浮遊する土壌粒子や有機物などの
懸濁物に吸着 固定されている懸濁態懸濁物に吸着・固定されている懸濁態
がある。
• かんがい水や田面水中の懸濁物質に
含まれている固定態や吸着態のセシウ含まれている固定態や吸着態のセシウ
ム(Cs)(懸濁態セシウム)は直接水稲の
茎や根から吸収されることはないが、田根 吸収される な 、
面水中の溶存態や作土中の水溶性の
セシウムは茎や根を通して移行する。
37
溶存態、懸濁態の放射性セシウムの作物の吸収
溶存態のセシウムは作物が直接吸収できるのに対し、
懸濁態のセシウムは作物が直接吸収し難く、作物への懸濁態のセシウムは作物が直接吸収し難く、作物 の
移行は基本的に小さいと考えられる。ムの
田面水の溶存態、懸濁態の放射性セシウムの稲体への吸収
100
性セシウ
ム率
(%) 80
れる放射
性よる吸収
率
40
60
液等に含まれ
稲体によ
20
40
38
溶液
0 有機物 土壌粒子 溶存態
ため池における放射性セシウムの調査結果
79(92%)
85(97%)90
第1回 第2回 第3回
ため池における放射性セシウムの調査結果
73(96%)
(92%)
70
80第 回 第 回 第 回
50
60
箇所
数
30
40箇
1(1%)
2(2%)
2(2%)
2(2%)
1(1%) 1
(1%)
1(1%)
1(1%)
2(2%)
10
20
(1%) (1%) (1%)( ) ( )0
<2.0 2.0~2.9 3.0~3.9 4.0~4.9 5.0~9.9 10~14.9
放射性セシウム濃度(Bq/L)
39・ 中通り・浜通り(警戒区域等を除く)の空間線量の比較的高い地域(概ね1μSv/h以上)のため池98箇所※を対象に3回(かんがい期前2回、出穂期1回)採水し放射性セシウム濃度を測定。
渓流水における放射性セシウムの経時変化
Bq/L14
渓流水中における放射性セシウムの調査結果
8101214
伊達
2468
03/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1
福島県内6箇所において、森林から流れ出る渓流水を24年3月以降 毎日採水し 放る渓流水を24年3月以降、毎日採水し、放射性セシウム濃度を計測(掲載データは伊達市のもの。灰色の帯は欠測日を示す )
渓流水採取現場(平水時)
す。) 。
40
田面水における調査結果水田内で採取した水における放射性セシウムの調査結果(かんがい水・表面排水の濃度)
単位:134 Cs + 137 Cs [Bq/L]平成24年
8月14~21日 8月23日 9月3~4日 9月4~11日
形態 圃場 玄米
かんがい水(水口付近)
表面排水(水尻付近)
かんがい水(水口付近)
表面排水(水尻付近)
かんがい水(水口付近)
表面排水(水尻付近)
かんがい水(水口付近)
表面排水(水尻付近)
A 1.1 5.5 0.3 <0.2 42.3 0.5 6.8 4.8 7.9
懸濁態+溶存態
5 5 3 < 3 5 6 8 8 9
B 1.6 0.2 1.2 <0.2 2.8 <0.2 6.6 1.6 2.5
C 0.4 <0.2 0.5 <0.2 0.9 0.2 6.0 1.6 <2.0
溶存態D 0.3 <0.2 0.3 0.2 0.8 0.3 5.7 19.1 <2.0
E 0.2 <0.2 <0.2 0.2 1.0 0.5 1.1 0.5 62.1
F 4 6 0 2 0 7 0 2 1 4 0 2 28 1 25 9 24 3F 4.6 0.2 0.7 0.2 1.4 0.2 28.1 25.9 24.3
A <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
B <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
溶存態 同上
C <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
D <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
E <0 2 <0 2 <0 2 <0 2 <0 2 <0 2 <0 2 <0 2
10 Bq/L超 1~10 Bq/L 検出下限値(0.2 Bq/L)未満
E <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
F <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
41
田面水の放射性セシウム濃度が玄米中の放射性セシウム濃度に及ぼす影響①濃度に及ぼす影響①水の濃度に応じて玄米の濃度が高まることは確認されたが、水からの移行は限定的。
田面水の放射性セシウム濃度が玄米の放射性セシウム濃度に及ぼす影響
) 290300A地区(H23玄米 500 Bq/kg以上)の土壌を使用
行は限定的。
度(
Bq/
kg
200
250
A地区(H23玄米 500 Bq/kg以上)の土壌を使用したポット試験・ 交換性カリ含量 5.0 mg K2O/100g乾土・ 雲母由来の粘土鉱物がほとんどみられない土壌
-137濃
度
100
150
200
福島県農業総合センター(H23玄米 100Bq/kg未満)の土壌を使用したポット試験・ 交換性カリ含量 17.6 mg K2O/100g乾土
由来 粘 鉱物 含 壌
玄米
Cs-
27 30
61
2436
2 2 9
5650
100 ・ 雲母由来の粘土鉱物を含む土壌
A地区の A地区の
農総センター用水
2 20
0.1Bq/L
1.0Bq/L
10.0Bq/L
0.3Bq/L
1.4Bq/L
42研究協力(独)産総研
放射性セシウムを含む原水をろ過により溶存態とした水
A地区の平水時の用水
A地区の降雨後の用水
田面水の放射性セシウム濃度が玄米中の放射性セシウム濃度に及ぼす影響②
カリ肥料等の施用による吸収抑制対策により、水からの移行についても低減 きる
濃度に及ぼす影響②
低減できる。
用水に含まれる放射性セシウムの資材施用による吸収抑制効果(放射性セシウム濃度の極めて高い水を調製して用水として使用した試験の結果)/
kg)
(放射性 シウ 濃度の極めて高 水を調製して用水として使用した試験の結果)
400 500
ム濃
度(
Bq/
ポットA ポットB ポットC ポットD
100200 300
射性
セシ
ウム
0 100
水道水
カリ 5 kg/10aCs水
カリ 5 kg/10aCs水+カリ増肥
カリ 30 kg/10aCs水+ゼオライト
カリ 5 kg/10aゼオライト 1 t/10a玄
米中
の放
射
ゼオライト 1 t/10a 玄
土壌中の交換性カリ含量(mgK20/100g)
2.7 2.1 3.1 5.943
玄米中の放射性セシウム濃度が高まる要因(交差汚染)①
• 高い放射性セシウム濃度が検出された原因が汚染された
籾すり機の利用や汚染物の混入の場合も見られた。
• 収穫作業時の機器の清掃等も重要。
地域 発生状況(11月14日現在) 要 因
交差汚染の事例地域 発生状況(11月14日現在) 要 因
洗浄前 220 Bq/kg(参考値)当該生産者は、原発事故当時に警戒区域にあった籾すり
機を持ち出して清掃せずに使用していたA地区 ↓
洗浄後 25 Bq/kg(確定値)
機を持ち出して清掃せずに使用していた。玄米を洗浄して測定した結果、放射性物質濃度が大幅に
低下したことから、籾すり機の交差汚染と考えられる。
B地区洗浄前 118 Bq/kg(参考値)
↓
当該生産者は、昨年使用しなかった籾すり機、乾燥機等を使用していた。玄米を洗浄して測定した結果 放射性物質濃度が大幅に
44
洗浄後 38 Bq/kg(確定値)玄米を洗浄して測定した結果、放射性物質濃度が大幅に
低下したことから、これら機器による交差汚染と考えられる。
24年産で基準を超過した米が生産された要因の解析
24年産で基準を超過した米が生産されたほ場では、いずれも
土壌の交換性カリ含量が10 mg K2O/100gを下回っていた。
100 Bq/kg超の米が検出されたほ場等の調査結果(平成25年1月23日現在)玄米調査 土壌分析 施肥・土改剤
稲わら
土壌の交換性カリ含量が10 mg K2O/100gを下回っていた。
稲わら還元状況
用水No 調査数 100Bq超 最大値 土壌放射性セシウム 土壌交換性カリ カリ施肥量 土改剤
(袋) (袋) (Bq/kg) (Bq/kg) (mg K2O/100g) (K2O-kg/10a) (kg/10a)
1 320 1 110 分析中 分析中 6.0 - 持ち出し ため池
2 187 7 110 2 597 4 4 8 9 80 持ち出し ため池2 187 7 110 2,597 4.4 8.9 80 持ち出し ため池
3 7 1 120 2,783 5.6 3.2 - 持ち出し 河川
4 6 6 281 1,826 6.2 10.0 - 持ち出し 河川
5 3 3 360 分析中 分析中 0.5 - 持ち出し 天水5 3 3 360 分析中 分析中 0.5 持ち出し 天水
6 11 1 109 3,259~3,488 5.2~7.0 14.8 200 持ち出し ため池、沢水
7 15 5 159 1,909~3,427 3.5~7.7 5.3 - 持ち出し 河川
8 22 2 180 3,336 7.5 14.6 200 持ち出し 沢水
9 4 1 144 分析中 分析中 3.6 持ち出し
10 31 4 128 分析中 分析中 7.2 80 持ち出し ため池
11 1 1 228 2,397 6.1 3.5 150 持ち出し 沢水
12 43 12 230 分析中 分析中 13.3 200 持ち出し 河川
13 2 1 114 分析中 分析中 - - 持ち出し 河川
45
24年産で基準を超過した米が生産された要因の解析
各ほ場とも、稲わらをほ場から持ち出しており、これにより
土壌中の交換性カリ含量が低か たものと考えられる土壌中の交換性カリ含量が低かったものと考えられる。
100 Bq/kg超の米が検出されたほ場と近隣の未検出ほ場との比較
ほ場 玄米の区分土壌放射性セシウム
(Bq/kg)土壌交換性カリ(mg K O/100g)
カリ施肥量(K O kg/10a)
稲わら還元状況
用 水場(Bq/kg) (mg K2O/100g) (K2O-kg/10a) 還元状況
A
ア 基準値超え 1,826 6.2 6.0 持ち出し 河川
イ 未検出 1 892 29 3 6 0 全量還元 河川A イ 未検出 1,892 29.3 6.0 全量還元 河川
ウ 未検出 2,234 28.7 6.0 全量還元 河川
B
ア 基準値超え 2,783 5.6 3.2 持ち出し 河川
イ 未検出 2,088 27.6 6.4 全量還元 河川
ウ 未検出 1,541 17.6 6.4 全量還元 河川
46
放射性セシウム濃度が高くなる放射性セシウム濃度が高くなる要因とその対策について
大豆 そば大豆・そば
(中間取りまとめ)(中間取りま め)
~現地調査と試験研究等の結果~~現地調査と試験研究等の結果~
平成25年3月農林水産省
(独)農業・食品産業技術総合研究機構(独)農業環境技術研究所
47
(独)農業環境技術研究所福島県農業総合センター
大豆・そばの検査結果
• 24年度は、100 Bq/kg超過がみられるもののごくわずか。23年産
に比べても割合は低下に比べても割合は低下。
• 一方で、基準値を超過する放射性セシウムを含む大豆、そ
ばは 他の農産物と比べ広い地域で見られたばは、他の農産物と比べ広い地域で見られた。
検91 9% 24年4月~25年3月 24年4月~25年3月90%検査点数
91.9%(3,740)
708090
10024年4月~25年3月
(総検体数 4,069点)
708090
10024年4月 25年3月
(総検査点数 2,919)90%
(2,628)
数の割合(
5.9% 1 3% 0 4%203040506070
3040506070
6 6%(%)
(239)1.3%
(52)0.4%
(15)0.6%
(23)01020
~25 25~50 50~75 75~100 100~0
102030
~25 25~50 50~75 75~100 100~
6.6%(192)
2.2%(64)
0.7%(21)
0.5%(14)
放射性セシウム (Bq/kg)
48(注)・平成25年3月31日までに厚生労働省が公表した速報データに基づく。( )内は検査点数。
・検出下限値以下は25 Bq/kg以下として集計。
25 25 50 50 75 75 100 100
土壌中の交換性カリ含量の影響(大豆)
土壌中の交換性カリ含量(栽培後)と大豆の放射性セシウム濃度の関係
49
吸収抑制対策としてのカリ施用(大豆)
• 交換性カリ含量が低い圃場では、 25 mg K2O/100 gになるように
土壌改良し、地域の施肥基準に応じた施肥を行うことを基本とする。土壌改良し、地域の施肥基準に応じた施肥を行うことを基本とする。
• 放射性セシウムの高い大豆が生産される可能性のある地域で
は 50 mg K O/100 gを目標とした土壌改良を行う
0.400 400
W)
は、 50 mg K2O/100 gを目標とした土壌改良を行う。
土壌中の交換性カリ含量(栽培後)と大豆の放射性セシウム濃度・移行係数の関係
0.300
0.350
300
350
度(B
q/kg
FW
25 mg K2O/100 g 25 mg K2O/100 g
0 150
0.200
0.250
移行
係数
150
200
250
性セ
シウ
ム濃
度
25 mg K2O/100 g以上では、96.8%が基準値以下
0.050
0.100
0.150 移
50
100
150
大豆
の放
射性
500.000
0.050
0 20 40 60 80土壌中の交換性カリ含量(mg K2O/100 g)
0
50
0 20 40 60 80土壌中の交換性カリ含量(mg K2O/100 g)
大
吸収抑制対策としてのカリ施用時期(大豆)
カリ肥料の施用による吸収抑制対策は、下の点が重要。
• 元肥を基本とし 生育初期から交換性カリ含量を高める
大豆の植物体に含まれる放射性セシウム量の推移
• 元肥を基本とし、生育初期から交換性カリ含量を高める
• ケイ酸カリより即効性の硫酸カリ、塩化カリを利用する
12
q/㎡)
葉、葉柄は成熟
に伴う脱落のた
子実肥
子実肥
盛期
大豆の植物体に含まれる放射性セシウム量の推移(生育時期別の吸収パターン) 硫酸カリとケイ酸カリの吸収抑制効果の比較
0.04
0 034
8
10
セシ
ウム
集積
量(B
q
葉
葉柄
に伴う脱落のた
め未回収.肥大始期
大
成
0.03
移平
0.034 a
0.024 b
0.029 c
4
6
植物
体へ
の放
射性
茎
莢実
莢殻
開花期
成熟期 0.02
移行係数
均移行係数
2
4
位面
積当
たり
の大
豆植
子実
0 00
0.01数
01 15 29 43 57 71 85 99 113
単位
発芽後日数
0 14 28 42 56 70 84 98 112
51
0.00慣行 硫酸カリ3倍 ケイ酸カリ3倍
※ 図中のa、b、cは、Tukey法による多重比較において、5 %水準で有意差があることを示す
土壌のpHによる影響(大豆)
pHが6.0以下の土壌については、pHを6.0~6.5に矯正しておけば、
大豆の生育のみならず 放射性セシウムの吸収抑制にもある程度の
土壌のpHと大豆の放射性セシウム濃度との関係
大豆の生育のみならず、放射性セシウムの吸収抑制にもある程度の
効果があると考えられる。
400
450
500
pH6.0未満
FW
)
土壌のpHと大豆の放射性セシウム濃度との関係
0.300
0.350
pH6.0未満
300
350
400 pH6.0以上
濃度
(B
q/kg
0 200
0.250 pH6.0以上
200
250
射性
セシ
ウム
濃
0.150
0.200
移行
係数
50
100
150
大豆
の放
射
0.050
0.100
520
0 20 40 60 80
土壌中の交換性カリ含量(mg K2O/100 g)
0.000 0 20 40 60 80
土壌中の交換性カリ含量(mg K2O/100 g)
土壌中の交換性カリ含量の影響(そば)
ポット試験における土壌中の交換性カリ含量(栽培後)とそば子実の放射性セシウム濃度の関係
400 y = 86250x‐2.43R² = 0.8092g
DW
)
300
度(B
q/kg
200
Bq/kg)
シウ
ム濃
度
100
(放
射性
セシ
0そば
の放
00 10 20 30 40 50 60
53土壌の交換性カリ濃度(mg K2O/100 g )
吸収抑制対策としてのカリ施用(そば)
• 交換性カリウム含量が30 mg K2O/100 gになるように土壌改良
し、地域の施肥基準に応じた施肥を行うことを基本とする。し、地域の施肥基準に応じた施肥を行うことを基本とする。
• 放射性セシウムの高いそばが生産される可能性のある地域では、
50 mg K O/100 gを上限とした土壌改良を行う30 mg K2O/100 g250
濃度
0.8
50 mg K2O/100 gを上限とした土壌改良を行う。
150
200
セシ
ウム
濃
0.6
数ウム
濃度
)
◆は土壌の全セシウムに対する交換性セシウムの割合が高い(17.9%)
100
150
の放
射性
セ(Bq/kg)
0.4
移行
係数
射性
セシ
ウ
Bq/
kgD
W)
(●は2.9~8.3%)
50
そば
子実
の 0.2
そば
の放
射
(B
00 10 20 30 40 50 60 70
そ
土壌の交換性カリ濃度 (mg K2O/100g)
00 10 20 30 40 50 60 70
土壌の交換性カリ濃度 (mg K2O/100g)土壌の交換性カリ濃度(mg K2O/100 g ) 土壌の交換性カリ濃度(mg K2O/100 g ) 54
吸収抑制対策としてのカリ施用時期(そば)
カリ肥料の施用による吸収抑制対策は、下の点が重要。
• 元肥を基本とし 生育初期から交換性カリ含量を高める
そば植物体中のカリウムと土壌中のカリ含量の推移
• 元肥を基本とし、生育初期から交換性カリ含量を高める
• ケイ酸カリより即効性の硫酸カリ、塩化カリを利用する
成熟期
土壌中のk2o子実
そば植物体中のカリウムと土壌中のカリ含量の推移
(B
q/kg
DW
)開花期↓
↓
0 g
)
セシ
ウム
濃度
(
葉
k 2o(m
g/100
大豆
の放
射性
播種↓
発芽期↓
根
茎
55
大
(幌加内町農業技術センター)