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風力発電施設の建設による鳥衝突リスク 低減を目指した高精度鳥感度Mapの作成 研究代表者 新潟大学 関島恒夫 研究実施期間 H28.4.1〜H30.3.31 累積予算額 85,138千円 環境研究総合推進費 課題番号4-1603 2018/3/14 1

風力発電施設の建設による鳥衝突リスク 低減を目指した高精 …...風力発電施設の建設による鳥衝突リスク 低減を目指した高精度鳥感度Mapの作成

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  • 風力発電施設の建設による鳥衝突リスク

    低減を目指した高精度鳥感度Mapの作成

    研究代表者 新潟大学 関島恒夫

    研究実施期間 H28.4.1〜H30.3.31

    累積予算額 85,138千円

    環境研究総合推進費 課題番号4-1603

    2018/3/14 1

  • 本研究にいたる背景

    • 地球温暖化対策や震災に伴う原子力発電所の停止により、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー推進の動きが高まる

    • 風力発電については、風車ブレードに対する希少鳥類の衝突が大きな問題となっており、アセスの手戻りや審査の遅滞が頻発

    • 発電所アセスの配慮書手続きで、衝突リスクの高い地域を事前に回避できれば、鳥衝突に配慮した風力発電事業を推進できる

    2

  • • 3つの鳥種に対し、既往の生息地利用情報と環境情報に基づいて道北地方における生息適地マップを作成する。

    • 地形、風況、飛翔高度、コロニーなどを考慮して、予測精度の高いセンシティビティマップを作成する。

    • 最終的に広域的なセンシティビティマップの作成に向けた解析プロトコールを提案する。

    本申請課題の目的

    3

  • なぜ、3種を調査対象としたか?

    理由1

    いずれも渡りを行う

    理由2

    異なる

    形態・飛翔特性を持つ

    理由3

    海洋から山地に至る

    多様な環境を利用する

    4

  • サブテーマ1新潟大学 関島恒夫・望月翔太

    大型水禽類の国内渡りルートの解明とセンシティビティマップの作成

    渡り鳥生息適地マップ

    ●ラインセンサスデータ

    ●モニタリング1000データ

    GPS3次元データ 高解像度風況データ

    ●採餌域データ●繁殖地データ

    サブテーマ2 北海道大学 綿貫豊

    道北海岸地域における海鳥のセンシティビティマップの作成手法の開発

    海鳥生息適地マップ

    ●鳥衝突の高リスク地域

    ●一斉調査データ●営巣地データ

    希少猛禽類生息適地マップ

    サブテーマ3徳島大学 河口洋一

    希少猛禽類の渡りルートの解明とセンシティビティマップ作成手法の開発

    STEP1 生息適地マップの作成

    STEP2 地形、風況、飛翔高度などの鳥衝突リスク要因による補正

    成果 センシティビティマップの作成

    研究体制

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  • 大型水禽類の国内渡りルートの解明と高精度鳥感度Mapの作成

    サブテーマリーダー 新潟大学 関島 恒夫新潟大学 望月 翔太

    研究協力者 山階鳥類研究所 尾崎 清明九州大学 内田 孝紀

    サブテーマⅠ

    ① GPS発信器を用いた大型水禽類オオヒシクイの国内渡りルートの解明

    ② 中継地および越冬地における潜在的生息適地マップの作成

    ③ 高精度感度マップの作成

    2018/3/14 6

  • 研究の方法と手順

    生息適地解析 渡りルートの追跡 飛行高度情報の取得

    越冬地・中継地周辺の潜在的生息適地マップを統計モデルの作成と外挿手続きにより作成.

    ソーラーパネルを電源とした衛星送信機をオオヒシクイの首に装着し、国内の移動経路データを取得.

    送信機やレーザー距離計を用いて飛翔しているオオヒシクイの高度を測定.

    ①ハビタットマップ ②移動経路マップ ③行動別利用高度ルートセンサス統計モデルの比較ガン類の潜在的適地マップの作成

    送信機の装着渡りルートの解明

    高度測定機器の精度検証越冬地での飛行高度の取得渡りルートでの飛行高度の取得

    2次元衝突リスクマップ

    センシティビティマップ

    3次元空間利用解析

    7

  • 0

    50

    100

    150

    200

    250

    0 10 20 30

    オオヒシクイのセンシティビティマップ

    モデルの比較

    AUC = 0.71 AUC = 0.74

    MaxEntモデル CARモデル草地面積 ねぐらまでの距離

    環境への応答

    飛行高度

    0~0.010.01~0.20.2~0.40.4~0.60.6~0.80.8~1.0範囲外

    生息確率

    渡り経路

    主要生息地 潜在的生息地モデル モデル

    BGp_med_g1

    値高 : 0.701743

    低 : 1.02113e-018

    g0213_p50

    0.0007269 - 0.01

    0.010000001 - 0.2

    0.2 - 0.4

    0.4 - 0.6

    0.6 - 0.8

    0.8 - 1

    japan_ver81

    飛行

    高度

    (m

    ねぐらからの距離(km)

    L,Mゾーン飛翔率 98.7%

  • 道北海岸地域における海鳥の高精度感度Map作成手法の開発

    サブテーマリーダー 北海道大学 綿貫 豊

    サブテーマⅡ

    ① GPSデータロガー等を用いた繁殖中のカモメ類の移動と利用海域の解明

    ② 繁殖地周辺における利用海域図の作成

    ③ 洋上風力発電鳥感度Mapの作成手法の開発

    2018/3/14 9

  • 研究の方法と手順

    高頻度採食場所 & Mゾーン飛行場所 を

    説明する環境変数の選択(営巣地からの距離、水深、海底斜度、

    海水温、海水温勾配、漁港の有無など)

    トラッキングデータ

    高頻度採食場所

    Mゾーン飛行場所*

    *ドローンによるGPS記録高度の精度検証

    0

    50

    100

    150

    離陸 着陸

    高度

    (m) ドローン

    GPS

    GPS高度の測定精度 = ±20m

    採食・衝突センシティビティマップ

    環境データ

    採食場所 & Mゾーン飛行場所説明モデル (GAM)

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  • ウミネコのセンシティビティマップ

    95%

    50%25%

    予測カーネル

    風発リスク

    大きい

    重大

    採食センシティビティマップ再現精度 (COR) = 0.643

    5%50%75%

    予測飛行確率

    衝突リスク

    大きい

    重大

    衝突センシティビティマップ再現精度 (COR) = 0.634

    1.30

    1.40

    1.50

    1.60

    1.70

    210

    220

    230

    240

    250

    260

    0.00

    0.20

    0.40

    0.60

    75

    85

    95

    0 5 10 15 20 25

    トリップ時間

    給餌頻度

    採餌トリップ延伸距離 (km)

    採餌

    トリ

    ップ

    時間

    (分)

    ヒナ

    成長

    速度

    (g/5

    日)

    巣立

    ち成

    功率

    1日

    あた

    り給

    餌頻

    度(/

    巣)

    巣立ち成功

    成長速度

    繁殖への影響推定

    ①少数の環境データから重要採食場所 & Mゾーン飛行場所を高精度に予測する手法を確立

    → 高度を加味した3次元のセンシティビティマップ作成

    ②採食トリップ延伸による繁殖低下の推定手法を確立

    選ばれた変数水深海底斜度漁港 など

    選ばれた変数海岸からの距離漁港 など

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  • 希少猛禽類オジロワシの渡りルートの解明と高精度鳥感度Map作成手法の開発

    サブテーマリーダー 徳島大学 河口 洋一再委託先 帯広畜産大学 赤坂 卓美研究協力者 九州大学 内田 孝紀

    オオワシ・オジロワシ 一斉調査グループ中川 元

    サブテーマⅢ

    ① 既存情報によるオジロワシの生息適地解析と地図化

    ② オジロワシの空間利用モデルの作成

    ③ 北海道道北地方におけるオジロワシの渡りルート解明

    ④ 北海道道北地方におけるオジロワシの風力発電施設に対する衝突リスクの評価と高精度鳥感度マップの作成

    2018/3/14 12

  • 研究の方法と手順

    予測マップの統合

    ・越冬期モニタリングデータ・営巣地点 (n=55)・GPS利用地点

    ・気候/地形/土地利用・Maxent/Binomial GLMM

    ・3つの予測マップを統合→広域のセンシティビティ

    マップ作成

    ・GPSデータに基づく飛翔高度・リスクゾーン=ブレード回転域

    ・Riam-compactによる高解像度風況データ

    → 飛翔高度と風況の関係

    ・飛翔リスク予測モデル+ 事業地の風況データ

    →高リスク地域の詳細な予測

    広域リスクマップ

    局所リスクマップ

    幼鳥6個体にGPS発信機装着

    風況に基づくリスク評価飛翔高度の算出 風況との関係性解析

    生息情報の収集 ハビタットモデリング

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  • オジロワシのセンシティビティマップ

    飛翔リスクと垂直方向の風の関係

    上昇風の強さ下降風

    ブレード高の飛翔確率

    複数の生息適地マップを統合したセンシティビティマップ

    ■ High Risk■ Medium■ Low Risk

    ※ いずれかの適地マップで推定値が上位20%以内に含まれるエリア=High risk

    階層的な空間スケールに注目した風車立地場所の選定・

    環境アセスメント内容の決定

    ※ High riskエリアの場合

    事業地の風況データに基づくリスク評価

    越冬期モデル選ばれた変数海岸までの距離森林面積河川までの距離

    営巣地モデル選ばれた変数森林面積水域までの距離地形の起伏指数 14

  • 環境政策への貢献

    環境省

    本研究

    H28 H29 H30

    センシティビティ

    マップ検討委員会

    発足

    センシティビティ

    マップ策定

    環境アセスメント

    データベースにお

    ける公開

    プロジェクト開始

    解析プロトコール

    の確立

    センシティビティ

    マップの作成

    EADASへの実装を目指す

    集団飛来地など

    重要陸鳥10種

    実データ

    ポテンシャルマップ

    環境アセスメント配慮書手続きで高リスク

    地域を回避し、アセスの手戻りを減らす

    集団飛来地

    ガン類ハクチョウ類カモ類シギ・チドリ類

    重要陸鳥10種

    オジロワシイヌワシチュウヒタンチョウシマフクロウ

    猛禽類の渡りの集結地

    アカハラダカサシバノスリハチクマ

    集団繁殖地

    ウミネコカモメ類ツル類

    クマタカコウノトリサンカノゴイオオヨシゴイオオワシ

    環境省センシティビティマップで対象となっている鳥種・生息地

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  • 国民との科学・技術対話の実施

    2017年6月3日 開催

    2018年3月21日 開催

    北海道サロベツ湿原センター 2017. 6. 3

    公開シンポジウム『鳥の衝突を避けるためにできること』

    オジロワシとオオワシで衝突率に違いがでるのはなぜなのか?餌の取り方などが違うのか気になる。

    事業アセスは風車の事業者がやるのですか?もし、風車の業者が行うのであれば、そのデータは公表されるのか?変に隠したり被害を少なくしたりその心配があるので・・・。

    風車の問題に気付いてもらうために、どのような発信方法があるのか?どうすれば知ってもらえるのか? 16