2
適正な流速を確保 できない管きょ 貯留 転倒 復帰 合流式下水 道及び分流 式下水道に 適応可能 下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が 堆積しやすく,悪臭の発生や詰まり等の維持管理上の問題が生じています。本研究は,下水道 管きょの自動洗浄が可能なフラッシュゲートについて,その効果を検証し,技術的事項につい て整理しました。 フラッシュゲートは,無電源で自動開閉する転倒式ゲートであり,下水による定期的なフ ラッシングにより,管きょ内に汚濁物を堆積させることなく,下流側に流下させることが可能 になります。 フラッシュゲートは内部に内蔵されたばねにより,貯留,転倒,復帰の動作を繰り返します。 図1 フラッシュゲートの自動洗浄の原理 図2 フラッシュゲートの外観 公益財団法人 日本下水道新技術機構 1 研究の概要 2 フラッシュゲートによる自動洗浄の原理 下水道管路施設へのフラッシュゲート の適用に関する共同研究

下水道管路施設へのフラッシュゲート の適用に関す …...2016/12/09  · 1研究の概要 2フラッシュゲートによる自動洗浄の原理 下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が堆積

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 下水道管路施設へのフラッシュゲート の適用に関す …...2016/12/09  · 1研究の概要 2フラッシュゲートによる自動洗浄の原理 下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が堆積

研究の概要1

フラッシュゲートによる自動洗浄の原理2

下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が堆積しやすく,悪臭の発生や詰まり等の維持管理上の問題が生じています。本研究は,下水道管きょの自動洗浄が可能なフラッシュゲートについて,その効果を検証し,技術的事項について整理しました。

図1 フラッシュゲートの自動洗浄の原理

図2 フラッシュゲートの外観

適正な流速を確保できない管きょ

① 貯留

② 転倒③ 復帰

合流式下水道及び分流式下水道に適応可能

フラッシュゲートは,無電源で自動開閉する転倒式ゲートであり,下水による定期的なフラッシングにより,管きょ内に汚濁物を堆積させることなく,下流側に流下させることが可能となる。フラッシュゲートは内部に内蔵されたばねにより,貯留,転倒,復帰の動作を繰り返します。

研究の概要1

フラッシュゲートによる自動洗浄の原理2

下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が堆積しやすく,悪臭の発生や詰まり等の維持管理上の問題が生じています。本研究は,下水道管きょの自動洗浄が可能なフラッシュゲートについて,その効果を検証し,技術的事項について整理しました。

図1 フラッシュゲートの自動洗浄の原理

図2 フラッシュゲートの外観

適正な流速を確保できない管きょ

① 貯留

② 転倒③ 復帰

合流式下水道及び分流式下水道に適応可能

フラッシュゲートは,無電源で自動開閉する転倒式ゲートであり,下水による定期的なフラッシングにより,管きょ内に汚濁物を堆積させることなく,下流側に流下させることが可能となる。フラッシュゲートは内部に内蔵されたばねにより,貯留,転倒,復帰の動作を繰り返します。

 下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が堆積しやすく,悪臭の発生や詰まり等の維持管理上の問題が生じています。本研究は,下水道管きょの自動洗浄が可能なフラッシュゲートについて,その効果を検証し,技術的事項について整理しました。

 フラッシュゲートは,無電源で自動開閉する転倒式ゲートであり,下水による定期的なフラッシングにより,管きょ内に汚濁物を堆積させることなく,下流側に流下させることが可能になります。 フラッシュゲートは内部に内蔵されたばねにより,貯留,転倒,復帰の動作を繰り返します。

図1 フラッシュゲートの自動洗浄の原理

図2 フラッシュゲートの外観

公益財団法人 日本下水道新技術機構

1 研究の概要

2 フラッシュゲートによる自動洗浄の原理

下水道管路施設へのフラッシュゲートの適用に関する共同研究

Page 2: 下水道管路施設へのフラッシュゲート の適用に関す …...2016/12/09  · 1研究の概要 2フラッシュゲートによる自動洗浄の原理 下水道管きょにおいて,適正な流速が確保できない区間では,管きょ内に汚濁物や土砂等が堆積

表2 フラッシュゲートの維持管理項目

4 フラッシュゲートの維持管理

(2)たるみ部の堆積物�制効果の検証管きょのたるみが生じた箇所にフラッシュゲー

トを適応し,滞水部で採水を行い,その外観を比較検討した(表1)。フラッシュゲートを設置した場合,たるみ部の汚濁物は減少する傾向が見られた。

フラッシュゲートの機能を正常に維持するためには,適正な維持管理が必要不可欠となる。維持管理の項目は,その内容と頻度で分類し、動作確認、定期点検、オーバーホール、異常時点検の4つを設定した(表2)。

動作確認 定期点検 オーバーホール 異常時�応

内容

フラッシュゲートが正常に動作していることを確認

フラッシュゲートの正常動作を維持するため、点検と必要に応じて簡易洗浄を行う

フラッシュゲートを一時的に取り外し、メーカーにおいて、分解清掃を行う

フラッシュゲートが正常に動作していない場合、メーカーに連絡する

実施方法

フラッシュゲートを人孔内に設置したままの状態で、地上部より確認

フラッシュゲートを人孔内に設置したままの状態で、異物等の除去、簡易洗浄を行う。また、必要に応じてバネ等の張力調整を行う。

フラッシュゲートを人孔部から一時的に取り外し、メーカーに持ち帰る。構成部品に劣化が認められた場合、部品の交換を実施する

フラッシュゲートが正常の動作していない場合、その状態の確認を写真記録を行う。また、必要に応じて強制転倒ワイヤーを使用する、もしくは一時撤去を行う

実施頻度※

3カ月に1回実施

1年に1回実施 3年に1回実施 必要に応じて実施

備考現場状況に応じて実施頻度を見直しする

正常に動作していない状態として、越流状態とロック不良状態が挙げられる

3 フラッシュゲートの洗浄効果の検証

(1)伏越しにおける洗浄効果検証結果伏越し施設にフラッシュゲートを適応した結

果、フラッシュゲートを設置して以降,伏越しマンホールにスカムの堆積は認められなかった(図3)。

フラッシュゲート設置後162日経過後でも、伏越し室内に固形物の堆積は見られなかった。

フラッシュゲート設置前の伏越し室内の状況

伏越し内清掃およびフラッシュゲート設置直後

表1 滞水部における水質比較結果

表2 フラッシュゲートの維持管理項目

4 フラッシュゲートの維持管理

(2)たるみ部の堆積物�制効果の検証管きょのたるみが生じた箇所にフラッシュゲー

トを適応し,滞水部で採水を行い,その外観を比較検討した(表1)。フラッシュゲートを設置した場合,たるみ部の汚濁物は減少する傾向が見られた。

フラッシュゲートの機能を正常に維持するためには,適正な維持管理が必要不可欠となる。維持管理の項目は,その内容と頻度で分類し、動作確認、定期点検、オーバーホール、異常時点検の4つを設定した(表2)。

動作確認 定期点検 オーバーホール 異常時�応

内容

フラッシュゲートが正常に動作していることを確認

フラッシュゲートの正常動作を維持するため、点検と必要に応じて簡易洗浄を行う

フラッシュゲートを一時的に取り外し、メーカーにおいて、分解清掃を行う

フラッシュゲートが正常に動作していない場合、メーカーに連絡する

実施方法

フラッシュゲートを人孔内に設置したままの状態で、地上部より確認

フラッシュゲートを人孔内に設置したままの状態で、異物等の除去、簡易洗浄を行う。また、必要に応じてバネ等の張力調整を行う。

フラッシュゲートを人孔部から一時的に取り外し、メーカーに持ち帰る。構成部品に劣化が認められた場合、部品の交換を実施する

フラッシュゲートが正常の動作していない場合、その状態の確認を写真記録を行う。また、必要に応じて強制転倒ワイヤーを使用する、もしくは一時撤去を行う

実施頻度※

3カ月に1回実施

1年に1回実施 3年に1回実施 必要に応じて実施

備考現場状況に応じて実施頻度を見直しする

正常に動作していない状態として、越流状態とロック不良状態が挙げられる

3 フラッシュゲートの洗浄効果の検証

(1)伏越しにおける洗浄効果検証結果伏越し施設にフラッシュゲートを適応した結

果、フラッシュゲートを設置して以降,伏越しマンホールにスカムの堆積は認められなかった(図3)。

フラッシュゲート設置後162日経過後でも、伏越し室内に固形物の堆積は見られなかった。

フラッシュゲート設置前の伏越し室内の状況

伏越し内清掃およびフラッシュゲート設置直後

表1 滞水部における水質比較結果

表2 フラッシュゲートの維持管理項目

4 フラッシュゲートの維持管理

(2)たるみ部の堆積物�制効果の検証管きょのたるみが生じた箇所にフラッシュゲー

トを適応し,滞水部で採水を行い,その外観を比較検討した(表1)。フラッシュゲートを設置した場合,たるみ部の汚濁物は減少する傾向が見られた。

フラッシュゲートの機能を正常に維持するためには,適正な維持管理が必要不可欠となる。維持管理の項目は,その内容と頻度で分類し、動作確認、定期点検、オーバーホール、異常時点検の4つを設定した(表2)。

動作確認 定期点検 オーバーホール 異常時�応

内容

フラッシュゲートが正常に動作していることを確認

フラッシュゲートの正常動作を維持するため、点検と必要に応じて簡易洗浄を行う

フラッシュゲートを一時的に取り外し、メーカーにおいて、分解清掃を行う

フラッシュゲートが正常に動作していない場合、メーカーに連絡する

実施方法

フラッシュゲートを人孔内に設置したままの状態で、地上部より確認

フラッシュゲートを人孔内に設置したままの状態で、異物等の除去、簡易洗浄を行う。また、必要に応じてバネ等の張力調整を行う。

フラッシュゲートを人孔部から一時的に取り外し、メーカーに持ち帰る。構成部品に劣化が認められた場合、部品の交換を実施する

フラッシュゲートが正常の動作していない場合、その状態の確認を写真記録を行う。また、必要に応じて強制転倒ワイヤーを使用する、もしくは一時撤去を行う

実施頻度※

3カ月に1回実施

1年に1回実施 3年に1回実施 必要に応じて実施

備考現場状況に応じて実施頻度を見直しする

正常に動作していない状態として、越流状態とロック不良状態が挙げられる

3 フラッシュゲートの洗浄効果の検証

(1)伏越しにおける洗浄効果検証結果伏越し施設にフラッシュゲートを適応した結

果、フラッシュゲートを設置して以降,伏越しマンホールにスカムの堆積は認められなかった(図3)。

フラッシュゲート設置後162日経過後でも、伏越し室内に固形物の堆積は見られなかった。

フラッシュゲート設置前の伏越し室内の状況

伏越し内清掃およびフラッシュゲート設置直後

表1 滞水部における水質比較結果

(1)伏越しにおける洗浄効果検証結果 伏越し施設にフラッシュゲートを適応した結果、フラッシュゲートを設置して以降,伏越しマンホールにスカムの堆積は認められなかった(図3)。

(2)たるみ部の堆積物抑制効果の検証 管きょのたるみが生じた箇所にフラッシュゲートを適応し,滞水部で採水を行い,その外観を比較検討しました(表1)。フラッシュゲートを設置した場合,たるみ部の汚濁物は減少する傾向が見られました。

 フラッシュゲートの機能を正常に維持するためには,適正な維持管理が必要不可欠となります。維持管理の項目は,その内容と頻度で分類し、動作確認、定期点検、オーバーホール、異常時点検の4つを設定しました(表2)。

表2 フラッシュゲートの維持管理項目

表1 滞水部における水質比較結果

公益財団法人 日本下水道新技術機構 Japan Institute of Wastewater Engineering & Technology

〒162-0811東京都新宿区水道町 3 番 1 号 水道町ビル 7 階 TEL 03-5228-6511 FAX 03-5228-6512URL http://www.jiwet.or.jp/ E-mail [email protected]

3 フラッシュゲートの洗浄効果の検証

4 フラッシュゲートの維持管理