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与薬確認行動に関する自分の認識と人の認識の相違と
「確認エラー」要因の検討
中央病室 看護師 松本礼子
はじめに
厚生労働省ホームページで公開されているインシデント発生件数で最も多いものは
内服「与薬エラー」で、その発生要因として「確認不十分」が1位と報告されている。
★平成25年3月から同年8月までに当病棟から報告された与薬エラーに関するインシデントレポートは8件である。
★スタッフ個人の確認作業の意識の現状を知ることは、事故防止対策を講じる上で重要である。
研究目的
与薬確認作業時の自分の評価と他人の評価の実態を明らかにする。
与薬インシデントが起こりやすい状況をスタッフがどのように感じているかを知る。
自分がどのような状況下でエラーを起こしやすいかを知る手掛かりとなること。
システム的不都合改善・・
与薬確認項目を減らす先駆けとなること。
4. 研究方法 研究対象
病棟看護師 (夜勤勤務者)21名
研究デザイン
横断研究(クロスセクショナル研究)
調査期間
2013.3、1~ 2013.8.20 データ分析方法
各回答項目の割合を%で表示。
⑦「インシデントが起こりやすい状況」に関しては斉藤ら
による「看護事故発生要因の12パターン」に分類。
アンケート質問項目
①配薬する前に確認している項目
②注意している確認項目
③相手の確認不足を感じたことの有無
④相手側の確認不足を感じた確認項目
⑤自分のダブルチェックは十分か
⑥指差し呼称を行っているか
⑦インシデントが起こりやすい状況
⑧インシデントが起こる原因
5. 結果①配薬する前に確認している項目
薬帶に書かれた与薬指示量20名(95%)、
薬18名(85%)、処方画面21名(100%)薬の残数11名(52%)、処方薬の継続の有無
12名(57%)、配薬ボックスの中10名(47%)、
指示コメント18名(85%)、確認で出された薬21名(100%)
③相手側NSの確認不足を感じたことの有無
ある17名(80%)ない1名(4%)
どちらでもない5名(23%)
⑤自分のダブルチェックは十分か
はい15名(71%)
いいえ3名(14%)わからない5名 (23%)
⑥指差し呼称(看護師2人以上で指示を声にだし確認しあうこと)行っているか
100%している6名(28%)
ほとんどしている4名(19%)
ときどきしている6名(28%)
していない6名(28%)
意識したことがない1名 (4%)
⑦インシデントが起こりやすい状況
1位 つもりイメージ「流れ作業」「開始時期が患者によって異なる」「思い込み(9名)」「朝昼を連続で与薬してしまう」
注意空白 「意識的な確認の不徹底」 「1回2錠、食前の指示の見落とし」「注意力不足」
注意巻き込まれ 「新入職看護師とのチェック時」
注意切り替わり 「他の作業途中でのダブルチェック」「他の話をした時」「麻薬等、時間指定のあるもの」
注意掛け持ち 「忙しい時」「急いでいて配薬を忘れた時」「多忙な時」「病棟が慌ただしい時」「与薬の作業を途中で中断した時」
途端忘れ・忘却 「深夜等で眠たい時」「深夜で患者管理の薬を渡す時(寝ぼけている)」
記憶立ち消え 「後でと先送りにした業務」「与薬の作業を途中で中断した時」
記憶締め出し 「似ている名前の人がいる時」
疑問引きずり 「与薬の作業を途中で中断した時」
★ 電子カルテ、Drサイドからの指示の出し方などシステム的要因「電カル上、1回量がわかりにくい 」「1日量を分2、分3と解釈しなければならない」「指示コメントが終了しても、当日画面に残るので指示終了時間の確認をするかしないか」「新規に開始する際 パソコン画面の処方覧と指示コメントの二重指示」「シンプルでない指示」
6、考察
当病棟では、与薬におけるエラー発生要因で最も多くのスタッフが記載していたものは
「つもりイメージ」であり12名のスタッフが回答していた。
分類外の要因では、「電子カルテ、Drサイドからの指示の出し方などシステム的要因」に分類されるものも多い。自由意見に関しても改善を望む意見が多い。
病棟での3点のダブルチェック確認の方法・手技にもばらつきがあり、
スタッフ間での統一が必要である。
スタッフの意見は与薬エラーを自分が起こすかもしれないという経験からの真剣な声であり、重く受け止めるべきものである。
7.まとめ
本研究によって、確認作業であるダブルチェックの‘できている、できていない’の自己の認識と他者の認識には相違があることが明らかとなった。
確認作業中の確認項目に関して、スタッフによってばらつきを認めており、他スタッフの確認行動を不十分で怖いと感じているスタッフもいた。
お礼
本研究にご協力頂きましたスタッフの皆さま、御指導頂きました伊部先生、教育委員の皆さま、
ありがとうございました。