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118 APRIL 2009 第1318回放送用語委員会が平成 21年2月12日に 放送センターで開かれ,12月に続いて「NHKの漢 字使用」について検討した。国の文化審議会が現行 「常用漢字表」(1,945 字)の見直しを進め,新漢字 表の「試案」を1月末にまとめたあとの開催である。 国の文化審議会が行っている「常用漢字表見直 し」に関して NHK が検討してきた内容の総括を行 い,今後の方針を決定したいとして,事務局は「漢 字使用の方針」について,提案理由を 2 つあげた。 ①12月の用語小委員会・用語委員会では,どの 漢字を採用するにしても,統計的な根拠を持つべき だという意見が多く出された。そのうえで,公共放送 としての特性を考慮に入れて,漢字・ことばの使用を 考えるべきであるという指摘もあった。 ②1月末に,文化審議会「試案」で追加された漢 字を中心にしたアンケートを,用語小委員を対象に 行った。回答の中には,追加される191字の漢字 の中で放送では使うのを避けたほうがよい字がある という指摘があったいっぽう,「試案」には含まれ ていないが NHK で独自に認めてもよいのではない かという漢字がいくつか提起された。 報告 1: 第 340 回放送用語小委員会 (東京本部勤務の番組責任者 42 人。平成 21 年 1 月 30 日開催) ①常用漢字表見直しによる放送現場への影響とし て,以下のメリット・デメリットを示した。 【メリット】 ・使える漢字が増え,まぜ書きなどが減る。 ・演出・制作面で送り手側の選択の幅が広がる。 放送用語委員会(東京) NHK の漢字使用 ・文字数が減らせる。 ・まぜ書きなどへの視聴者の違和感を減らせる。 ・発言の引用などでの漢語の多用に対応できる。 【デメリット】 ・漢語が増え,漢語を使わないわかりやすい表現を, 制作者が考えなくなるおそれがある。 ・幅広い視聴者層(新聞の購読者層よりも幅広い) 全体にとって,わかりやすい表記にならないおそ れがある。 ・画数の多い漢字はテレビ画面では見づらい。 ・同音で類似の意味の語の使い分けが難しい。 ② NHK 内で,少人数で集中的に話し合う場が必要 なので,今後「専門委員会」の設置など,さまざま な可能性を視野に入れて検討することを提案した。 報告 2: 用語小委員アンケート結果 1月30日の用語小委員会で説明し実施した。「試 案」で追加された191字のうち,NHK 既採用の44 字を除き,さらに府県名で使う漢字 10 字およびそ れに準じる扱いの地名用漢字「畿・韓」を除いて, 135 字を対象にした。アンケートでは,「制作者とし て,この漢字は必要か,不必要か」と「視聴者の立 場になって考えて,制作者としてこの漢字を使うべ きか,避けるべきか」を問うた。また,「試案」に含 まれないが放送で使いたい字についても回答を求め た。42 人中 30人から回答があった(集計途中)。 総じて,使える漢字が増えることを歓迎する意見 が多い。しかし,「不必要」「使用を避ける」と答え たものも見られる。使用を避けたい字の例としては, 「聘」(「招聘」などで使用)・「填」(補填)は難しい 漢字であるという理由から,また「挨拶」(2 字とも 追加漢字)はすでにひらがな表記で定着していると いう理由から,あげられたと思われる。いっぽう, 「蘇」(心肺蘇生)・「疹」(発疹)など漢字をもっと 使えるようにしてほしいという意見もある。135 字す 漢字使用についての方針: 国がすすめる「新常用漢字表(案)」をふまえて, NHK の判断で「NHK 漢字表(仮称)」を定める ことを,今後の方針とする。

放送用語委員会(東京) NHKの漢字使用 · 118 april 2009 第1318回放送用語委員会が平成21年2月12日に 放送センターで開かれ,12月に続いて「nhkの漢

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Page 1: 放送用語委員会(東京) NHKの漢字使用 · 118 april 2009 第1318回放送用語委員会が平成21年2月12日に 放送センターで開かれ,12月に続いて「nhkの漢

118  APRIL 2009

第1318回放送用語委員会が平成21年2月12日に放送センターで開かれ,12月に続いて「NHKの漢字使用」について検討した。国の文化審議会が現行

「常用漢字表」(1,945字)の見直しを進め,新漢字表の「試案」を1月末にまとめたあとの開催である。

国の文化審議会が行っている「常用漢字表見直し」に関してNHKが検討してきた内容の総括を行い,今後の方針を決定したいとして,事務局は「漢字使用の方針」について,提案理由を2つあげた。

①12月の用語小委員会・用語委員会では,どの漢字を採用するにしても,統計的な根拠を持つべきだという意見が多く出された。そのうえで,公共放送としての特性を考慮に入れて,漢字・ことばの使用を考えるべきであるという指摘もあった。

②1月末に,文化審議会「試案」で追加された漢字を中心にしたアンケートを,用語小委員を対象に行った。回答の中には,追加される191字の漢字の中で放送では使うのを避けたほうがよい字があるという指摘があったいっぽう,「試案」には含まれていないがNHKで独自に認めてもよいのではないかという漢字がいくつか提起された。

報告 1: 第 340 回放送用語小委員会(東京本部勤務の番組責任者 42 人。平成 21年 1月30日開催)

①常用漢字表見直しによる放送現場への影響として,以下のメリット・デメリットを示した。

【メリット】・使える漢字が増え,まぜ書きなどが減る。・演出・制作面で送り手側の選択の幅が広がる。

放送用語委員会(東京)

NHKの漢字使用

・文字数が減らせる。・まぜ書きなどへの視聴者の違和感を減らせる。・発言の引用などでの漢語の多用に対応できる。【デメリット】・漢語が増え,漢語を使わないわかりやすい表現を,

制作者が考えなくなるおそれがある。・幅広い視聴者層(新聞の購読者層よりも幅広い)

全体にとって,わかりやすい表記にならないおそれがある。

・画数の多い漢字はテレビ画面では見づらい。・同音で類似の意味の語の使い分けが難しい。

② NHK 内で,少人数で集中的に話し合う場が必要なので,今後「専門委員会」の設置など,さまざまな可能性を視野に入れて検討することを提案した。

報告 2: 用語小委員アンケート結果1月30日の用語小委員会で説明し実施した。「試

案」で追加された191字のうち,NHK既採用の44字を除き,さらに府県名で使う漢字10字およびそれに準じる扱いの地名用漢字「畿・韓」を除いて,135字を対象にした。アンケートでは,「制作者として,この漢字は必要か,不必要か」と「視聴者の立場になって考えて,制作者としてこの漢字を使うべきか,避けるべきか」を問うた。また,「試案」に含まれないが放送で使いたい字についても回答を求めた。42人中30人から回答があった(集計途中)。

総じて,使える漢字が増えることを歓迎する意見が多い。しかし,「不必要」「使用を避ける」と答えたものも見られる。使用を避けたい字の例としては,

「聘」(「招聘」などで使用)・「填」(補填)は難しい漢字であるという理由から,また「挨拶」(2字とも追加漢字)はすでにひらがな表記で定着しているという理由から,あげられたと思われる。いっぽう,

「蘇」(心肺蘇生)・「疹」(発疹)など漢字をもっと使えるようにしてほしいという意見もある。135字す

漢字使用についての方針:

国がすすめる「新常用漢字表(案)」をふまえて,NHK の判断で「NHK 漢字表(仮称)」を定めることを,今後の方針とする。

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べてを採用してほしいという意見が多い中で,すべてを採用する必要はないが135字以外の字も採用してほしいという,ある程度プラスマイナスの出し入れを考えている意見も,一定数ある。

審議内容【「NHK 漢字表」について】

NHKの判断で「NHK漢字表」を定めたいとの提案に対して,意見が示された。野村雅昭委員:ここまでの審議の経過,内容の整理については理解できるし異論はない。しかし

「NHK 漢字表」を決めるということが理解できない。文化審議会が示した 170 ページ以上ある新漢字表の試案と同じものを作る必要はない。

NHKとしてこれまで,国の「漢字表」を目安に,NHKとして独自に『用字用語辞典』を作り運用してきた。今回もそれでよい。放送現場では,漢字の一覧やその漢字を使った単語の羅列は役に立たず,使い分けや使い方を知りたいはずなので,作るべきは『用字用語辞典』の改訂版なのではないか。

国の「試案」より,加えたり減らしたりを数十字か100字考える程度の例外規定を設けるというのであれば,これまでのように国の漢字表の運用の範囲ですませることができるだろう。事務局:「NHK 漢字表」と称したが,新漢字表の中で使わない字,新漢字表以外に使う字など NHKの例外規定を定め,使う漢字に音訓の読みもつけて一覧表にしたものを,『用字用語辞典』に載せるということを考えている。「NHKで使用する漢字の運用規定・運用基準」という程度である。野村雅昭委員:それならかまわない。

自分個人としては,国の新しい「常用漢字表」の考え方に反対だが,NHKとしてそれに反対する必要はないと考えている。いろいろな漢字表ができてしまうと,「常用漢字表」が意味のないものになってしまうので,まちまちに決めるというのをおそれる。柳辰哉編集主幹(報道局):『用字用語辞典』の性格を確認する必要がある。放送で使うためのNHK部内向けのものか,一般向けの用字用語のモデルか。われわれは放送で使うものとして議論している。事務局:「常用漢字表」のほかにさまざまな漢字表ができるのは適切ではない。『用字用語辞典』は

NHK 部内向けのものである。外部の方も購入するが,あくまでも参考にしてもらうというものである。井上史雄委員:国の政策での漢字の分け方は 3 つだと考える。「教育漢字」「常用漢字」「そのほか」。このほかにJIS による区分もある。実際に国民がどの程度読めることを要求されるのかは,あいまいだと思う。たとえば,「教育漢字」は読めなくては困るが,「常用漢字」全体はそこまでは求められない。

NHKの漢字の分け方の基準は4つ,「教育漢字」「これまでの常用漢字」「追加漢字」「使わない漢字」だろう。このランクで使い方を分けてはどうか。漢字使用の基準,つまり,どこまでを一般の人に要求するのか,その水準を考えたほうがよい。画面の文字数を減らせるという利点を考えるのではなく,視聴者の理解のしやすさで考えたほうがよい。

新しく認められる漢字は,これまでの常用漢字の1割程度であり,かなりの数だと思う。追加された字は,当面は別扱いにすべきである。事務局:4 種分けは『用字用語辞典』に書くときには必要な区分けだと思うが,運用の際にもそのようなランク分けをすべきだろうか。新漢字表の追加漢字は,別扱いで運用したほうがよいということか。井上史雄委員:少なくとも当面は運用基準も別にするほうがよい。漢字が使えるようになったからといって,すぐ無条件で使うと,若い人が読めなくて困るというような場合もあると思う。天野祐吉委員:日ごろ,用語委員会で検討しているのは「日本語を豊かに」「コミュニケーションを豊かに」するためだと思う。そういう点では,「試案」には納得のいかないものが含まれている。「放送では使わない漢字」も選んでおいたほうがよ

い。使えるようになったからといって「恣意的(「恣し

」は追加候補漢字:執筆者注)」に使ったら,耳で音を聞く場合にわからなくなる。漢字が増えたからといっても,漢字を使わないでわかりやすい表現を考えることも必要だ。漢語をなるべく使わないという原則から考えて,放送では使わないようにしようという漢字から選んではどうか。極力使わないようにする歯止めをかけるような提言,提案も含めてほしい。

テレビのことばは,わからないことばがけっこうある。わからないから字幕も増える。画面に文字が出ることが映像や音声を殺しているという認識を持っ

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てほしい。そういう風潮に歯止めをかけるような提案がないと,用語表現や日本文化が貧しくなる。清水義範委員:「常用漢字表」は「目安」にすぎない。使える漢字が増えるのを,番組制作者が歓迎する気持ちはわかる。禁止がなくなるのは便利である。しかし,その漢字を使うか使わないかは,視聴者のわかりやすさを考えて NHK が独自に判断すべきことだ。また,漢字表に入っているからといって「使わなくてはいけない」わけではない。井上由美子委員:常用漢字表は目安であるという考え方ですすめるのであれば,現場の混乱がいちばんよくない。番組によって表記が異なるのは非常に困る。基準を作って対応することはよい。荻野綱男委員:基本的にきょうの議題の提案に賛成である。NHK 独自の基準,NHKとしての漢字の使用範囲を決めるのは必要だ。事務局:新「漢字表」に関して,今回提案した方針を,今日の委員会の総意として,部内委員からもご了承いただいたと判断する。「NHK 漢字表」と提案した名称にかわる語については今後検討していく。

議論【NHK の文字表記について】

①読みがな・ルビ使用について,②配信媒体による文字表記の違いについて,NHK部内の3人の報告をもとに議論した。

現場からの報告① 読みがな・ルビ使用堂どうめん

免隆太 CP(解説委員室):これまでに「真しん

摯し

」「危

き ぐ

惧」「遵じゅんしゅ

守」「瑕か し

疵」などでルビを打たざるをえない場合があった。「危惧」は「絶滅危惧種」などの場合であり,「瑕疵」は裁判の用語である。

こうしたことばはNHKの取材記者が使うことはないだろう。外部の人のコメントや専門語として使われ,そのまま放送せざるをえない場合が多い。そのほか,インタビュー,会見,作品からの引用で迷う。「試案」の漢字が放送で使えるようになるとあり

がたいが,放送現場がただちにそれを使うかというと,そうでもないように思う。視聴者が読めるかどうかを考えて使うことになるだろう。10年前までは

「画面をよごすな」ということで,字幕は少なかった。今は,正確さを考えて字幕が増えている。

漢字を多く使うかわりにルビで対応するかというと,そうとも言えないだろう。放送の場合,音声がルビがわりになるとも考えられるためである。いずれにしても,ルビを使えるようにする折衷案もありうる。井上史雄委員:ルビだけでなく,語の後ろに( )で読みがなをつける可能性はどうか。原田考査主査(考査室・代理出席):( )つきは,ニュースなどの報道では使いやすいが,番組制作では使いにくい場合があるのでルビのほうがよいようだ。また,ルビはインターネットではつけることができない。すべてを同一に考えることはできない。清水義範委員:ルビは使えばよい。わかりにくいと思えるものについて,すべてにふってもよい。理由は,表外字だからではなく,わかりにくいと判断するからである。理解を促すために使う。

現場からの報告② 配信媒体による違い菊地卓司専任記者(報道局メディア展開):放送で使われた記事をインターネット,携帯などに文字情報で配信している。出稿部から送られてくる記事には,放送では使えないとされる漢字も多く含まれており,これを一定の基準に従って書き換えている。この書き換えは極力小幅なものにとどめ,話しことばから書きことばに直すということはしていない。

ふだん問題になるのは,ひらがなが多くなってしまうこと。インターネットや携帯では,文字にルビを打つことができないので,( )で読みがなをつけるが,ひらがなが増える。また,読みがなと本文の字の大きさが同じなので,内容が伝わりにくくなる。

記事を書き換える際の「一定の基準」となるのは『用字用語辞典』だが,これはテレビやラジオの放送のことばを前提にしたものである。「書きことば」を前提としていない『用字用語辞典』をもとに出稿記者の「書きことば」原稿に手を加えることに,矛盾を感じる。NHKから文字で出す情報については,放送とは違った「NHKの書きことば」の基準ができないだろうか。たとえば,インターネットでは「真

しん

摯し

」など放送では現在使えない漢字を使ってもよい,などの対応はできないものか。兄こ う べ

部純一部長(編成局デジタルサービス部):データ放送,インターネット,携帯など,テレビ以外への情報の配信が始まっている。これらを統括する

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第 1318 回放送用語委員会(東京)【開催日】平成 21 年 2 月 12 日(木)【出席者】井上史雄氏,野村雅昭氏 天野祐吉氏,清水義範氏 井上由美子氏,荻野綱男氏 岩澤忠彦放送文化研究所長ほか

立場としては,現場の感覚とは少し異なっている。NHKの情報発信で,表記のスタンダードとして「話しことば」と「書きことば」の 2 つがあることの違和感のほうが強いだろう。放送法では「すでに放送された番組をインターネットに二次利用する」と決められており,放送と違った情報を出すことには慎重になるべきだ。

ダブルスタンダードではなく,パソコンなどでの表現をもう1回考え直して,放送のことばをベースにすることを基本とし,放送したものをどうわかりやすく伝えるべきかを考えるべきだと思う。天野祐吉委員:新聞・雑誌などの活字メディアは,インタビューや座談会のときに,話しことばをわざわざ書きことばに直して記事にする。これでは話した人のニュアンスが伝わらない。放送におけるニュースのことばを文字にするのであり,これを新聞と同じように書きことばに直してしまうのはよくない。菊地卓司専任記者:書きことばに書き換えるということではなく,放送された原稿をそのまま文字にしている。ただ,放送では使えないとされる漢字で書かれている原稿を,『用字用語辞典』に従ってひらがなにすると,違和感につながる。

新聞のインターネットニュースと同じものであると考えてほしい。『用字用語辞典』以外の基準があると,より助かる。野村雅昭委員:きょうの放送用語委員会は大事な意味を持つ。昭和 9(1934)年から始まったこの委員会が,それまで書きことばが優位であった日本語の中で,初めて,話しことばも基準に考える必要があるという考え方を示した。それから70 年あまりたった現在もなお,書きことば優位は変わっていない。そのことが,今回の議論ににじみ出ている。放送であり,音声言語を中心にしたいと考えるが,メディアの発達や,限られた字数などの制限の中で,いかに視覚的に表現するかの苦労が出てきている。

しかし,放送のことばはやはり話しことばを中心に考えたい。これが国の文化審議会などでの話し合いになると,「書きことばのよいところも含めて考えたい」となり,昔の書きことばを復活させたいと考えてしまう。それが今回の文化審議会の新漢字表の考え方である。政治家の発言などで難しい表現が出てきてしまった場合は,くふうのしようがなく

て,字幕で出す場合にはルビを使わざるをえない。NHKは,ダブルスタンダードではなく,話しこと

ばを基本にして考えることを忘れてはいけない。事務局:読みがな・ルビと配信媒体による表記の問題を提起した。今後,検討を重ねていきたい。

今後の予定事務局では,漢字に関する調査項目として,現

在,①用語小委員アンケート,②漢字意識プレ調査(世論調査)を実施中であり,このあとも,③NHK内放送部門対象アンケート,④全国高校3年生6,000人対象の漢字認識度調査,⑤漢字意識調査(世論調査)などを検討している。

また検討項目として,基本方針に加え,字種や音訓の採否,書き分け・使い分けの検討,『用字用語辞典』改訂の具体的内容,などがあげられる。

国の新漢字表は1年半後の平成22(2010)年秋に実施されることが予定され,『用字用語辞典』はこれにあわせた改訂・発行をめざしている。

文化審議会は,「試案」に対して一般から意見を公募する「パブリックコメント」を3月に行う。NHKも加盟している日本新聞協会(新聞・通信・放送)は,これに応募する。

きょう提案・議論した点について,NHK内で検討を重ね,「NHKの漢字使用・文字使用に関する基本方針」として,7月の放送用語委員会に提案することをめざす。

「『アクセント辞典』改訂」についての報告事務局から,「『アクセント辞典』改訂専門委員会」

の進行状況について,昨年秋に行ったNHK全アナウンサー(519人)対象の現行アクセント辞典全項目調査をもとに,分析の途中経過と,アナウンサー音声調査の予定について,報告が行われた。

小板橋靖夫(こいたばし やすお)