37
遺伝子組換え農作物の利用と研究 開発の状況について 農林水産省 農林水産技術会議事務局 平成2612

遺伝子組換え農作物の利用と研究 開発の状況について - …米 国 2 2.1 その他 0 0 合 計 107 100.0 生産国 輸入量 シェア 米 国 6,446 44.8 ブラジル

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 遺伝子組換え農作物の利用と研究開発の状況について

    農林水産省 農林水産技術会議事務局

    平成26年12月

  • お知らせする内容

    1 利用の状況

    2 研究開発の状況

    3 安全性確保の仕組み

  • 1 利用の状況

  • 遺伝子組換え作物の栽培国 2013年

    遺伝子組換え作物の栽培国は27か国

    遺伝子組換え 作物栽培国

    資料:国際アグリバイオ事業団(ISAAA) 「Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2013」

    4

  • 資料:国際アグリバイオ事業団(ISAAA) 「Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2013」

    世界の遺伝子組換え作物栽培面積の推移

    組換え作物栽培面積は1億7,520万ha →全作物栽培面積15億ha の12%2012年から2013年にかけて490万ha増加

    5

  • ダイズ 8,450

    トウモロコシ 5,740

    ワタ 2,390

    ナタネ 820

    その他 120

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    8,000

    10,000

    12,000

    14,000

    16,000

    18,000

    1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

    (万ha) 世界の栽培面積:1億7,520万ha

    日本は1996年 に輸入許可

    ※(参考)日本の農地面積 454万ha

    資料:国際アグリバイオ事業団(ISAAA) 「Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2013」

    世界の遺伝子組換え農作物の栽培状況

    6

  • 資料:財務省貿易統計、ISAAA

    生産国 輸入量 シェア

    オーストラリア 101 94.6

    ギリシャ 4 3.3

    米 国 2 2.1

    その他 0 0

    合 計 107 100.0

    生産国 輸入量 シェア

    米 国 6,446 44.8

    ブラジル 4,375 30.4

    アルゼンチン 1,909 13.3

    その他 1,671 11.6

    合 計 14,401 100.0

    生産国 輸入量 シェア

    米 国 1,660 60.1

    ブラジル 649 23.5

    カナダ 378 13.7

    その他 75 1.8

    合 計 2,762 100.0

    生産国 輸入量 シェア

    カナダ 2,309 93.8

    オーストラリア 152 6.2

    その他 0 0

    合 計 2,461 100.0

    ナタネ(採油用)

    (単位:千トン、%)

    GM栽培比率

    96%

    トウモロコシ

    GM栽培比率

    90%

    ダイズ

    ワタ(綿実(採油用))

    GM栽培比率

    99%

    (単位:千トン、%)

    (単位:千トン、%) (単位:千トン、%)

    81%

    97%

    GM栽培比率

    93%

    92%

    90%

    主要穀物の輸入状況と遺伝子組換え農作物の栽培状況(2013年)

    7

  • 2 研究開発の状況

  • ~研究開発の説明の前に~

    「遺伝子組換え」は

    育種技術(品種改良)のひとつ!

    9

  • 育種(交雑育種)とは

    ○ 「育種」とは、形質が異なる品種等を掛け合わせ(交雑)、その後代の中から有用な個体を見つけ出す(選抜)過程を通じて、農作物を遺伝的に改良すること。

    ○ これを分子レベルでみれば、染色体の組換え等によって、特定の遺伝子の塩基(アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)及びグアニン(G))の配列が変化すること。

    •味が良い •病気に強い

    •味がそこそこ良い •病気に強い

    •単収が高い

    •味が良い •病気に強い •単収が高い

    耐病性に関わる遺伝子(塩基配列)

    染色体 A

    A A A T

    T T

    T A C

    C C

    C G

    G A

    T A A A

    T T T C C C

    G G G

    染色体

    細 胞

    10

  • 遺伝子 (DNAの一部)

    A T G T G G T T A A G C・・・・・

    T A C A C C A A T T C G・・・・・

    構造配列 調節配列 調節配列

    タンパク質

    DNA 生 物 塩基対数 遺伝子数

    イネ(ジャポニカ) 4億対 3.1万

    トウモロコシ 21億対 4.0万

    ヒ ト 31億対 4.0万

    キイロショウジョウバエ 1億対 1.6万

    大腸菌(K12株) 5百万対 0.4万

    ゲノム解読された主要生物の塩基数・遺伝子数

    染色体

    T A G・・・・・

    A T C・・・・・

    C C C・・・・・

    G G G・・・・・

    Trp Met Leu Ser ・・・・・

    様々な形質を発現

    アミノ酸

    遺伝子とは

    11

  • ゲノム情報の解読と育種技術の進歩

    ○ 近年、イネ等の農作物のゲノム情報の解読が進み、有用な農業形質に関与する遺伝子が次々と同定。これら遺伝子情報を活用することによって、画期的な農作物を短期間に選抜することが可能に(DNAマーカー選抜育種法等)。

    ○ また、最近では突然変異の誘導や育種の選抜の一部過程に遺伝子組換え技術を利用することによって、画期的な農作物をさらに短期間に育成できる「新たな育種技術( New plant Breeding Techniques)」の開発が進展。

    育種利用のためのゲノム設計図 -設計図に基づく計画育種へ-

    イネで同定された遺伝子の例

    Hd1, 出穂期 Plant Cell (2000)Hd6, 出穂期 PNAS (2001)Hd3a, 出穂期 PCP (2002)Ehd1, 出穂期 Genes Dev (2004)Ehd2, 出穂期 Plant Physiol (2008)

    Xa1, 白葉枯病抵抗性 PNAS (1998) Pib, いもち病抵抗性 Plant J (1999)OsRac1, 病害抵抗性 PNAS (2006)WRKY45,いもち病・白葉枯病抵抗性Plant Cell (2007)RACK1A,病害抵抗性 Plant Cell (2008)pi21, いもち病抵抗性 Science (2009)

    d1, 草丈 PNAS (1999)d11, 草丈 Plant Cell (2005)

    Lsi1, Lsi2, ケイ酸吸収Nature (2006) (2007)

    LOG, 茎数 Nature (2007)

    gid1, ジベレリン反応 Nature (2005) gid2, ジベレリン反応 Science (2003)

    Spl7, 高温ストレス耐性 PNAS (2002)

    qUVR10, 紫外線耐性 Genetics (2005)

    OsDREB1A-D, OsDREB2A,乾燥、塩害、低温耐性 Plant J (2003)

    qSH1, 脱粒性 Science (2006)

    Gn1, 種子数 Science (2005)

    qSW5, 粒幅 Nat genet (2008)

    PAIR1, 減数分裂 Plant Cell (2004) MEL1, 生殖細胞形成 Plant Cell (2007)MSP1, 生殖細胞分化 Plant Cell (2003)

    OsGA2ox1, 草型Nature Biotech (2003)

    OsBR6ox, ブラシノステロイド生合成Plant Physiol (2002)P450, ジベレリン生合成Plant Physiol (2004)

    qLTG3-1, 低温発芽性 PNAS (2008)

    POLLUX, CYCLOPS,菌根菌共生 Plant Cell (2008)

    RMS, 細胞質雄性不稔 PNAS (2009)

    SSI, SSIII, デンプン合成Plant Physiol (2006, 2007)

    SNORKEL1, SNOKEL2, エチレン反応 Nature (2009)

    Lsi6, ケイ酸吸収Plant Cell (2008) H25.7.19 石毛資料を一部改編

    Bph10(t)

    Bph16(t)

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    縞葉枯病抵抗性

    いもち病圃場抵抗性

    いもち病真性抵抗性トビイロウンカ抵抗性

    耐冷性

    食味

    出穂性(晩生化)

    出穂性(早生化)

    低温発芽性

    収量性

    外観品質

    縞葉枯病抵抗性耐冷性

    Stva

    pi21

    bph11(t)

    Stva

    Stvbpi21Pit

    bph11(t)

    強 弱いもち病抵抗性

    強 → 弱

    トビイロウンカ抵抗性

    Piz, Pi9

    多籾性

    Gn1

    高温登熟性

    強 弱

    Hd1

    カドミ含量

    カドミウム含量

    上げる下げる

    注) 染色体上の遺伝子は、同定された一部のもの

    12

  • ○ DNAマーカー選抜育種法とは、有用な農業形質に係る特定の遺伝子近傍の塩基配列の情報を目印(DNAマーカー)にして、当該配列情報を持つ個体のみを選抜する育種法。

    ○ 例えば、いもち病に強い品種を育成するためには、これまでは多数の交配個体を実際にほ場に栽培し、耐病性の検定等を手間ひまをかけて行ってきたが、最近はDNAマーカーを利用すれば幼苗の葉からDNAを抽出するだけで、短期間に耐病性の検定・選抜が可能に。

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    ○ いもち病抵抗性イネ「ともほなみ」の育成系譜

    ○ 「ともほなみ」のゲノム(染色体)の遺伝子構造

    戦捷型 ミネアサヒ型 コシヒカリ型

    いもち病圃場抵抗性遺伝子pi21の位置

    いもち病の激発地でのイネの栽培状況

    陸稲には、強力ないもち病抵抗性遺伝子(pi21)が存在するこ

    とが知られていたが、交配して通常のイネ(水稲)に導入すると近傍の食味に関係する遺伝子も影響を受けて食味が大幅に低下。

    このため、(独)農業生物資源研究所は、愛知県農業総合試験場と共同して、陸稲の「戦捷(せんしょう)」に水稲品種のミネアサヒを交配した個体に、ミネアサヒを繰り返し交配し、DNA

    マーカーを利用して、交配後代の中からいもち病抵抗性遺伝子(pi21)のみが導入された個体(稲系IL946)を選抜。

    (参考)DNAマーカー選抜育種法による新品種の作出事例

    13

  • 新たな形質の導入方法

    個体選抜の効率化方法

    技 術 の 進 歩

    交雑育種法 突然変異育種法

    DNAマーカー選抜育種法 等

    遺伝子組換え技術

    遺伝子組換え農作物

    【ゴールド二十世紀(ナシ品種)】 「二十世紀」ナシは、鳥取県を中心に 栽培されている代表的な青ナシ品種で あるが、ナシ黒斑病に弱く、その防除に 労力・コストが嵩むことが問題。

    (独)農業生物資源研究所(放射線育種場)では、「二十世紀」の苗木にガンマ線を照射し、1990年にその突然変異体(枝変り)として「ゴールド二十世紀」を選抜。

    現在、二十世紀ナシの主産地である鳥取県では、栽培面積の4割が「ゴールド二十世紀」に転換。

    【アプローズ(バラ品種)】 バラには非常に多くの種類があるが、これ まで青いバラだけは作ることができなかった。

    これは、バラに「デルフィニジン」という青色 色素を作る能力がないためであるが、サント リー(株)では、遺伝子組換え技術を用いて

    パンジーから当該色素の合成酵素をバラに導入し、世界で初めて青い色のバラを開発。2009年から販売を開始。

    進化する育種技術

    14

  • 遺伝子組換え技術の育種利用

    害虫抵抗性(Bt)トウモロコシの殺虫メカニズム

    特定の害虫に特異的に働くBtタンパク質が発現

    土壌細菌から見つけたBt遺伝子をトウモロコシのDNAに導入

    農作物の細胞

    DNA

    遺伝子組換え農作物

    微生物等

    ベクター (運び屋DNA)

    DNA

    外来の遺伝子が存在

    導入

    遺伝子を取出してベクターにつなぐ

    有用遺伝子

    ○ これまで遺伝子組換え技術を農作物の育種に利用する場合には、例えば微生物が有する殺虫形質を農作物に導入するなど、一般的には自然界での交配や慣行の育種法では獲得することができない形質を農作物に付与するために用いられてきたところ。

    遺伝子組換え農作物の作出方法

    15

  • 開発・商業化の流れ

    安全性確保の枠組み

    閉鎖系実験室

    閉鎖系温室

    隔離ほ場試験

    商業栽培 輸 入

    流通・加工

    海外で開発・商品化

    生物多様性影響評価(カルタヘナ法) ・国内栽培・輸入の承認

    食品の安全性評価(食品衛生法) 飼料の安全性評価(飼料安全法) ・食品・飼料としての輸入・流通の承認

    表示規制(食品衛生法及びJAS法) ・表示基準の策定 ・流通段階における表示の確認

    選択機会

    の確保

    このため、遺伝子組換え農作物は、一般的に種外からの外来遺伝子を含み、人が食経験や栽培経験のない生物となるため、①食品の安全性、②飼料の安全性、③野生動植物など生物多様性への影響を事前に科学的に評価し、悪影響を及ぼすおそれがないもののみが栽培、輸入ができるよう規制。また、消費者の選択に資するよう表示を義務づけ。

    遺伝子組換え農作物の安全性の枠組み

    16

  • 農林水産省関係機関が開発中の遺伝子組換え農作物等

    17

    ○ スギ花粉症治療イネ

    ○ 複合病害抵抗性飼料用イネ

    ○ 緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

    ○ カルビンサイクル強化イネ

    17

  • スギ花粉症の主要なアレルゲンのエピトープ(アレルゲン性に関わる部分)だけを集めた短いタンパク質(7crp)を設計

    1日あたり一合ずつ

    数週間食べると

    スギのアレルゲンを外敵として認識

    免疫系を刺激し、過剰に反応する。 肥満細胞

    スギ花粉アレルゲンを 外敵ではなく、

    食物と認識するため、 反応しなくなる。

    エピトープを摂取することにより

    免疫寛容が引き起こされる。 アレルギー反応が起きない。

    アレルゲン

    ヒスタミンの放出

    アレルギー

    エピトープを作りコメに蓄積させる

    遺伝子を作り、イネに導入

    エピトープを高蓄積したコメ

    エピトープ

    ヒト用スギ花粉症治療イネの開発

    18

  • 基礎研究

    毒性試験 薬効薬理・薬物動態

    非臨床試験(ほぼ終了)

    エピトープを作りコメに蓄積させる 遺伝子を作り、イネに導入

    エピトープを高蓄積したコメ

    エピトープ

    スギ花粉症の主要なアレルゲンのエピトープ(アレルゲン性に関わる部分)だけを集めた短いタンパク質(7crp)を設計

    薬事法に基づく治験

    原料・原薬・治験薬製造

    今後の課題

    スギ花粉症治療米の開発の進捗状況

    19

  • 植物本来の防御応答機構

    白葉枯病:細菌病 いもち病:糸状菌(カビ)病

    飼料イネの栽培には、複合抵抗性付与による低コスト栽培が期待される

    イネは、いもち病や白葉枯病などの病害により収量が低下する

    A, B, C・・・・・・・・・

    O SCH3

    S

    N

    ベンゾチアジアゾール (BTH)

    植物活性化剤 (plant activator)

    植物本来の防御機構の活性化により、複数の病害を防除する

    病原菌の感染を認識

    病害抵抗性

    サリチル酸

    WRKY45

    防御遺伝子群 (>273個)

    WRKY45を高発現するイネは強い複合抵抗性を示す

    WRKY45

    過剰発現イネ

    日本晴 (対照)

    いもち病抵抗性

    WRKY45

    過剰発現イネ

    白葉枯病抵抗性

    日本晴 (対照)

    飼料用イネへの応用期待

    複合病害抵抗性飼料用イネの開発

    防御遺伝子を統括的に制御する転写因子WRKY45を同定

    20

  • ・ 化粧品の素材(ヒト型コラーゲン)

    ・ 抗体医薬、タンパク質医薬

    リソソーム病治療薬など

    ・シルク素材の医療器具

    人工血管、軟骨再生用素材

    臨床検査薬の製造などに利用される遺伝子組換えカイコは、閉鎖された施設内で飼育。

    実用化を目指し開発を進めている例

    既に、化粧品の素材として実用化が始まっているほか、医薬品や人工血管などの医療用

    器具に利用するための研究開発も進行中。

    カイコは、比較的小さなロットでも飼育できるため、様々な用途に少量多品目なタンパク質

    を供給可能。

    既に実用化が進んでいる例

    遺伝子組換えカイコによる医薬品等の開発

    21

  • オワンクラゲ由来 GFP遺伝子

    遺伝子組換えカイコの繭、絹糸

    カイコの卵に 注入

    交配、選抜、 大量飼育

    一方、シルクの分野では、新たな機能性を持った絹素材の開発も進行。

    (独)農業生物資源研究所では、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を

    組み込んだ遺伝子組換えカイコを開発。

    さらに、赤や橙等の蛍光色や、極細で光沢に優れたシルク等も開発中。

    (株)ユミカツラインターナショナルと

    (独 )農 業 生 物 資 源 研 究 所 が

    共同制作したウェディングドレス

    現在開発を進めている

    蛍光絹糸の例

    青色LED 照明下では…

    遺伝子組換えカイコの開発方法

    *黄色フィルター使用

    遺伝子組換えカイコによる機能性シルクの開発

    22

  • 3 安全性確保の仕組み

  • 我が国においては、一つ一つの遺伝子組換え

    農作物ごとに、その用途に応じて生物多様性へ

    の影響や、食品や飼料としての安全性について、

    最新の科学的知見により評価を行い、安全性が

    確認されたもののみの使用を認める仕組みを導

    入しています。

    24 24

  • 遺伝子組換え農作物の安全性確保のための制度

    25

    生物多様性の確保 (野生動植物の種又は個体群の維持)

    品種ごとに科学的な審査を実施し、安全性を確認

    カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制に よる生物の多様性の確保に関する法律) リスク管理:環境省、財務省、文部科学省、厚生労働省、 農林水産省、経済産業省 リスク評価:生物多様性影響評価検討会 (学識経験者からの意見聴取)

    飼料としての安全性 食品としての安全性

    食 品 衛 生 法 リスク管理:厚生労働省 リスク評価:食品安全委員会

    飼 料 安 全 法 リスク管理:農林水産省 リスク評価:食品安全委員会 農業資材審議会

    25

  • 氏 名 所 属 ・ 役 職

    宇理須 厚雄 藤田保健衛生大学医学部客員教授

    岡田 由美子 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第三室長

    小関 良宏 東京農工大学大学院工学研究院生命機能科学部門教授

    橘田 和美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所 食品分析研究領域GMO検知解析ユニット長

    児玉 浩明 千葉大学大学院融合科学研究科教授

    近藤 一成 国立医薬品食品衛生研究所代謝生化学部第二室長

    澤田 純一 独立行政法人医薬品医療機器総合機構テクニカルエキスパート

    手島 玲子 国立医薬品食品衛生研究所食品部部長

    中島 春紫 明治大学農学部農芸化学科教授

    飯 哲夫 独立行政法人農業生物資源研究所植物科学研究領域長

    和久井 信 麻布大学獣医学部動物応用科学科准教授

    食品安全委員会 遺伝子組換え食品等専門調査会専門委員

    26

  • 氏 名 所 属 ・ 役 職 専門分野

    伊藤 元己 国立大学法人東京大学大学院総合文化研究科教授 保全生態学

    宇垣 正志 国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 植物病理学

    佐藤 忍 国立大学法人筑波大学生命環境系教授 植物生理学

    柴田 道夫 国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科教授 園芸学

    嶋田 正和 国立大学法人東京大学大学院情報学環/総合文化研究科教授 保全生態学

    徳永 幸彦 国立大学法人筑波大学生命環境系准教授 理論生物学

    中嶋 信美 独立行政法人国立環境研究所生物・生態系環境研究センター 生態遺伝情報解析研究室長

    植物生理学

    樋口 恭子 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科教授 植物栄養学

    日野 明寛 日本製粉株式会社中央研究所副所長 遺伝生化学

    平塚 和之 国立大学法人横浜国立大学大学院環境情報研究院教授 応用分子細胞生物学

    與語 靖洋 独立行政法人農業環境技術研究所研究コーディネータ 雑草学

    若狭 暁 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科客員教授 分子生物学

    渡邉 和男 国立大学法人筑波大学生命環境系・遺伝子実験センター教授 遺伝学

    生物多様性影響評価検討会 農作物分科会委員

    27

  • 生物多様性への影響とは?

    遺伝子組換え植物が 野生植物を駆逐しない

    競合における優位性

    有害物質の産生性

    野生の動植物や微生物 などが減少しない

    交雑性

    国内の近縁野生種が 交雑して置き換わる ことがない

    遺伝子 組換え植物

    野生の動植物や微生物

    遺伝子 組換え植物

    近縁の 野生の植物

    資料:バイテク情報普及協会 28

  • ※ なお、現在のところ、国内で商業栽培されているのは「バラ」のみである。

    作物名 承認数

    トウモロコシ 68

    ダ イ ズ 15

    セイヨウナタネ 12

    ワ タ 25

    パ パ イ ヤ 1

    アルファルファ 3

    テ ン サ イ 1

    バ ラ 2

    カーネーション 8

    合 計(9作物) 135

    (平成26年8月現在)

    国内で使用等が承認された遺伝子組換え農作物

    29

  • 遺伝子組換え作物の食品・飼料としての安全性評価 (行政の枠組み)

    30

    厚生労働省 農林水産省

    食品安全委員会

    遺伝子組換え食品等 専門調査会

    内閣府

    厚生労働大臣 農林水産大臣

    申請者 官報 消費者

    議事録等の公開 パブリックコメント

    ②評価依頼

    ③通知

    ①申請

    ④公示

    公表

    30

    リスク評価

  • 遺伝組換え食品の安全性評価の原則

    評価の必要条件(出発点)

    組換える前の既存の作物(食品)と比較できて、

    相違が明らかであること

    比較対象と同等の安全性 → 食品としての使用を認める

    31

    (食品の安全性を、全ての成分ごとに行うのは困難)

    既存の食品を比較対象にして、相違点に着目

    組換えDNA技術によって付加されることが予想される全ての性質の変化について、その可能性も含めて、安全性評価を行う。

  • ・組換え作物の成分情報 (栄養成分、有害成分、栄養阻害 物質等の含量変化)

    ・組換え作物の導入情報など (遺伝子の導入法、挿入位置と周 辺配列、安定性、発現部位、発 現量)

    宿主の安全な食経験 ・もとの植物(宿主)の情報 (食経験、可食部位、有害成分) ・導入遺伝子の情報 (供与体生物、塩基配列等) ・遺伝子産物(タンパク質)の情報 (機能、有害性、抗生物質耐性、 アレルギー誘発性、代謝影響)

    遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価のポイント

    32

    導入する遺伝子の安全性

    挿入された遺伝子の安全性

    宿主等との比較

    もとの植物の性質が明らか

    作られるタンパク質から予想される影響が明らか

    導入した遺伝子による予想外の影響がない

    有機成分が増えていない 組換え作物全体への影響がない

    32

  • 新たに導入されたタンパク質のアレルギー誘発性の評価

    33

    供与体(由来生物)に対するアレルギーの報告があるか?

    供与体(由来生物)に対するアレルギーの報告があるか?

    導入タンパク質がアレルゲンであるという報告があるか?

    人口胃腸液及び加熱に対して 安定であるか?

    発現量も含めて、総合評価

    アレルゲンとなり得る可能性が否定できない

    アレルゲンとなり得る兆候はない

    適切なアレルギー患者血清を用いて、IgE結合能を検討

    皮膚テスト、経口負荷試験等の臨床試験

    33

  • 作物名 承認件数 実際に使用されている主な用途

    トウモロコシ 198 液糖、水飴

    ダイズ 16 食用油

    セイヨウナタネ 19 食用油

    ワタ 43 食用油(綿実油)

    パパイヤ 1 生食

    アルファルファ 3 -

    テンサイ 3 -

    ジャガイモ 8 -

    平成26年7月24日現在

    ※ 近年、アルファルファ、テンサイ、ジャガイモの輸入実績はありません。

    34

    遺伝子組換え食品の承認実績

    34

  • 遺伝子組換え農産物、またはそれを原材料とする加工食品

    遺伝子組換えが分別されていない農産物、またはそれを原材料とする加工食品

    ダイズ油、醤油などDNAやたんぱく質が残っていない食品

    「遺伝子組換え」などと表示します。

    「遺伝子組換え不分別」などと表示します。

    表示義務はありません。

    分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え農産物、またはそれを原材料とした加工食品

    表示義務はありません。 ただし「遺伝子組換えでない」などと任意表示ができます。

    従来のものと組成、栄養素、用途などが著しく異なる農産物、またはそれを原材料とする加工食品

    「ダイズ(高オレイン遺伝子組換え)」などと表示します。

    遺伝子組換え農産物とその加工品の表示制度

    35

  • ・非遺伝子組換え農産物を分別しようと最大限に努力した場合でも、その完全な分別は現実的に困難です。

    ・我が国では、分別生産流通管理が適切に行われている場合には、5%以下の意図せざる混入を認めています。

    (消費者庁:食品表示に関する共通Q&Aより)

    36

    遺伝子組換え農作物の意図せざる混入の許容混入率

    36

  • • 農林水産省 遺伝子組換え技術の情報サイト http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/index.htm

    • 農林水産省 生物多様性と遺伝子組換え http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/biodiversity/index.html

    • 内閣府食品安全委員会(食品健康影響評価(リスク評価)) http://www.fsc.go.jp/hyouka/index.html • 厚生労働省 遺伝子組換え食品Q&A

    http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.html

    • 消費者庁 食品表示に関する共通Q&A (第3集:遺伝子組換え食品に関する表示について)

    http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin737.pdf

    • 環境省 バイオセイフティークリアリングハウス http://www.bch.biodic.go.jp/

    遺伝子組換え農作物に関する情報

    37 37

    http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/index.htmhttp://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/index.htmhttp://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/biodiversity/index.htmlhttp://www.fsc.go.jp/hyouka/index.htmlhttp://www.fsc.go.jp/hyouka/index.htmlhttp://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.htmlhttp://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.htmlhttp://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.htmlhttp://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin737.pdfhttp://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin737.pdfhttp://www.bch.biodic.go.jp/http://www.bch.biodic.go.jp/