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教育再生実行会議 高校改革ワーキング・グループ 7 回議事録 教育再生実行会議担当室

教育再生実行会議 高校改革ワーキング・グループ 第 7 回議事録...きますが、今のICT1人1台というのは学用品と同じような考え方でして、なくてはなら

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教育再生実行会議 高校改革ワーキング・グループ

第 7 回議事録

教育再生実行会議担当室

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第7回教育再生実行会議高校改革ワーキング・グループ

議事次第

日 時:平成 31 年4月 18 日(木)13:58~15:42

場 所:中央合同庁舎第7号館 15F 特別会議室

出席者:浮島文部科学副大臣、中村文部科学大臣政務官、有識者13名、

馳衆議院議員、富田衆議院議員他

1.開 会

2.第十一次提言(案)に関する討議

3.閉 会

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○鎌田主査 ただいまから第7回「教育再生実行会議高校改革ワーキング・グループ」を

開催いたします。

皆様方には、大変御多忙の中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。

政府・与党からの出席者を御紹介申し上げます。

浮島文部科学副大臣でいらっしゃいます。

中村文部科学大臣政務官は、公務のため、後ほど御出席の予定でございます。

自民党・教育再生実行本部の馳浩本部長でいらっしゃいます。

公明党・教育改革推進本部の富田茂之本部長でいらっしゃいます。

それでは、議事に入ります。

本日は、第十一次提言案の審議を行います。

それでは、第十一次提言案につきまして、委員の皆様、更に政務関係の方、オブザーバ

ーを交えて、自由に討議を行いたいと思います。事務方からも必要に応じて発言をお願い

いたします。

本日は、第十一次提言の取りまとめに向けた最後のワーキング・グループとなりますの

で、是非積極的に御発言をお願いしたいと思います。

加戸委員、お願いします。

○加戸委員 まず、ワーキング・グループの作業に参加されました方々に感謝申し上げ、

また、事務局の御苦労をねぎらいたいと思います。

私の最大関心事は、何といっても授業時数の在り方で、再三、再四申し上げてまいりま

したが、「多様な実態に応じた教育課程編成を可能とする観点から、標準的な授業時間の

在り方を含む教育課程の在り方の見直しを検討する」とすることにお礼申し上げたいと思

います。

御承知のように、教育の世界では1単位授業時間の 50 分、1単位取得のための単位時間

数 35 週というのが神話のような形でずっと不変のように今日まで来ているのですけれど

も、今まであるものはやりながら、その上に新しいことをどんどん頑張りなさいと言われ

ても、私の聞く限り、今の高等学校の教員はみんな悲鳴を上げていまして、新しいことを

やれやれと言われても、精いっぱい、あっぷあっぷしています。

なぜかといったら、既存のものに追い回されているから。それで余裕がないというのが

実態だと思いますので、正直、50 分というのは 45 分とか、35 時間は 32 時間とか、ばっと

切ることによって浮いたものでいろいろなものを今の時代に適合したことをやるのであっ

て、教科ごとの先生方は皆守護神のごとく数学を削ってはいかん、国語は削ってはいかん、

英語は削ってはいかんと言っては、結局このままになって何も進まなくなるのではないか

というのが、私の最大の懸念です。

そのような意味で、気になりますのは「見直しを検討する」という表現ですね。思い切

って「見直しをする」という形にしていただくとよろしいと。「検討」では、愛媛県は悪

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戦苦闘したことがありまして、昨年まで問題になっていた獣医学部の問題は、構造改革特

区で 15 回出したうち、4回目に民主党になってやっと「検討する」になってきたのです。

やれ、よかったと思ったら、それから 10 回「検討する」「検討する」で、8年かかりまし

た。どうも役所の表現の「検討する」はやらないという意味のような感じで私は外から見

ておりましたので、この「検討する」があと8年もかかる検討だと困るので、真剣な検討

かどうかということで、あえて苦言を呈させていただきました。

○鎌田主査 ありがとうございました。

その点は十分配慮させていただきたいと思います。

ほかの御意見、いかがでしょうか。

平川委員、お願いいたします。

○平川委員 いろいろこの中にたくさんのものを盛り込んでいただき、本当にありがとう

ございました。

学科の在り方の中に「中山間地域等において、多様な進路希望を有する生徒を受け入れ

ている学校等に係る実態等を踏まえた適切な配慮」ということは、広島県含め中山間地域

の多い都道府県にとって大変有り難いと思っております。

さて、高等学校の改革を考えますときに、私も中学校の校長をやっておりましたので、

一番気にするところは、中学校と高等学校の違いとは一体何かというところでございます。

中学校の内容を難しくたくさん盛り込んだら高校になるのかなとも思ってしまいます。

一番気になっていますのは、最近噂になっているN高等学校でございます。今年度生徒

が1万人になったと聞いております。将来 20 万人にもしていきたいと。大変、通信制のよ

さを存分に生かされて、今の高等学校というか、全日制にないものを入れて、すごくきら

きらしているなと思っています。

とはいえ、自分のアバターがインターネットの中で遠足に行くとか、そういうところは

どうなのかなと思う反面、今の高等学校の全日制の在り方が余りに現実の高校生と離れて

いるので、どうにかして中間のようなものをつくっていくしかないかと思っております。

これには、今、加戸委員がおっしゃったように、必履修のことを緩めていくことが必要だ

と思います。

例えば文理という観点でいけば、インターナショナルバカロレアなどは、6つのグルー

プを文理いろいろまぜ合わせた中でつくって、その中から選ぶというふうにしています。

中学校が必履修が厳しいのであれば、高校は少し将来も見据えた形で選べるようにしてい

くことが肝要かと思います。

5つほど申し上げたいと思います。まず、学科の在り方についてでございますけれども、

この中にスクールポリシーというのをもし入れていただくのであれば、アドミッションポ

リシーも入れていただきたいと思っております。本県も県教委が入試を決めて、一律に内

申と当日の試験の割合等を決めておりますけれども、これも学校によってどんな人材をと

っていくのかによって、学校ごとに決めてもこれからはいいかなと思っておりまして、ス

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クールポリシーとアドミッションポリシーを各学校で決めていくということを、各県に提

言してもいいかなと思います。

教科書の在り方でございますけれども、情報とか工業の技術革新の進捗が早い分野の教

科・科目に係る教科書についてということでございますが、是非ここに商業も入れていた

だきたいと思います。商業も大変トラディショナルなというか、簿記とか、古くさい科目

になっておりまして、今のインターナショナルビジネスに沿っていないように思っており

ます。

特に情報に関しては、現実をお話し申し上げますと、マイクロソフトの資格を取らせる

とか、そのような手法の方にどうやら走っている嫌いがございまして、これはあくまでも

教科書の在り方というのが、教科書をつくった時点で古くなっているということがありま

すので、ここの見直しが必要なのではないかと思います。

インターナショナルバカロレアの件でございますが、広島県も叡智学園という学校をこ

の4月に立ち上げました。どうかバカロレアと日本の学習指導要領の読みかえの部分をも

う少しシンプルにお示しいただけると有り難いと思っております。

4つ目に、これは当たり前かもしれないのですけれども、人材の流動性は非常に大切だ

と思っておりまして、例えば県の事務職から教員、教員から事務職というのは、教員から

事務職になるのは結構簡単なのですけれども、事務職から教員になるのはかなりハードル

が高いのです。法的にはオーケーと言われているのですけれども、免許さえ持っていれば、

人材不足ですので、1回事務所の方が学校の先生で教壇に立って、2~3年たってまた戻

ってくればいい政策というのが打ち出せるのではないかと思っておりまして、このあたり

の人材の流動性、別に法的には問題ないのだよということを政府の方でお示しいただける

と、各県も自信を持ってそこに組み入れられるかなと思っております。

最後に ICT でございます。やはり1人1台、急務でございます。広島県に関しましても、

今、BYOD、BYAD を含めて検討しております。プレゼンテーションは模造紙とペンでで

きますが、今の ICT1人1台というのは学用品と同じような考え方でして、なくてはなら

ないものだと思っています。ここの部分につきましても、是非御配慮のほどお願いできれ

ばと思います。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

三幣委員、お願いします。

○三幣委員 校長の在籍年数とか、権限、裁量を大きくするということを取り入れること

は大変有り難いと思っています。基本的には流通の企業でもチェーンストアからも出して

個別のお店がいろいろなことを全て判断して経営していく状況になっていますので、私と

しては、学校長が全て自分の責任で経営していく。だけれども、現状としては、人も物も

金も校長には与えられていない状況でありますので、今回の提言でそれらが改善されれば

大変有り難いと思っています。いかに具体的に進められていくかということで、今度は都

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道府県の教育委員会がどれだけこういう提言を理解して、許容度を広げていくかにかかっ

ているのではないかと思っています。

現実の問題としまして、カリキュラムとかいろいろなものを変えていくということはあ

るわけですけれども、文理バランスよくということですが、私の問題意識とすると、中学

校3年間、高校3年間が、それぞれ3年間ではない。現実に中学校は2年半で大体もう終

わってしまう。高校は3年の1学期でほとんど決まってしまう。6年間ありますけれども、

実質、教育が機能するのは5年間あればいい方ぐらいの感じがします。

6-3-3ですね。この制度の見直しということになってくると問題が大きいわけです

けれども、既に財政的に裏づけのある市は市立の中高一貫校、具体的にそういうものがス

タートしているわけです。私どもの市では、到底そういうものは無理ですけれども、何ら

かの形で中高一緒にした6年間で実質5年以上の教育が展開できるようなシステムに変え

ていく必要があるのではないかとは考えております。

もう一点、教員の社会人活用、そういったものが必要だと思っています。地方公共団体

が先ほど申し上げたようなハードルを高くするような、現実の学校の要望等に柔軟あるい

はスピーディーに対応できないようなシステムをつくってしまうと、ここの内容は具体的

には実現できないのではないかと思っております。

現実は、不易と流行の部分の不易は現職の教員が対応するべきだと。流行の部分、新し

い部分は外部講師でやっていくのが現実的だと思っております。学校の職員が集まらない

状況になっているわけでして、いつかの会議でも、教員の処遇を変えないと、民間に全て

流れてしまうと。これは私の近くの高校でも、工業科の教員が理科の試験で通って工業の

臨時免許で対応しているということで、工業の教員の免許の資格を持っている人間は、今

の状況だと民間に流れてしまう。

あるいは、高校とは関係ないですけれども、ある県では、教員の応募倍率が1倍だと。

そうなってきますと、教員の処遇について考えざるを得ない状況にあるのではないかと思

っております。

もう一つ、個々の生徒への教育支援というのは、具体的には人をつける問題だと思って

おります。加配措置だとか、そういった問題だけではなくて、定数の見直しをして教員を

配置しない限りはなかなか実現しがたいのかなと。そういうものが高校から始まって、小

中にまた加配措置あるいは定数の見直しが進んでいけば大変有り難いと思っております。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

賀澤委員、お願いします。

○賀澤委員 私からは、立場上、定時制・通信制高校に関して申し上げたいと思います。

特に通信制は、これまで学校とは呼べないような学校がたくさんある中で、文部科学省

が実態調査を行うことにより相当改善されていると率直に思います。私自身、昨年1年間

6校の学校で研修講師を務めてまいりました。経営者の立場とはまた別に、先生方が本当

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に一生懸命に学校改善の中で生徒を何とかしたいという気持ちで学んでいるのがよくわか

ったのですが、通信制高校の質の確保向上に向けた施策がガイドライン等で実効を上げて

いると率直に思います。

ただ、その次に何が来るかという話ですね。適正化するので完成かというとそんなこと

はなくて、適正化は全日制等々で当たり前に行われていることを実現しているだけですか

ら、通信制であっても、子供たちにキャリアデザインを描かせるような教育、これは必ず

必要になるのだということです。つまり、通信制は高校教育の中の余計なものでも何でも

ないわけですね。高校教育を施す場だと思います。

そこで、通信制高校でも多様な生徒に対して多様な進路を実現できるような学校を目指

さなければいけないと率直に思います。そのためには正常化すればそれで通信制高校がよ

かったということではないと思います。一つの経過でしかなくて、次に当たり前に全日制

で行っているような、あるいは定時制の一部で行われているような教育内容を実現できる

ことが一番のポイントだと率直に思います。

2つ目、特別な配慮を要する生徒に関して、様々な観点、視点から記述をすることは、

こういった立場にある多くの生徒が救われることになると率直に思います。様々な、学ぶ

ことに困難を有する子たちに対して、実効のある形で進めていただければ有り難いと思い

ます。

以上でございます。

○鎌田主査 ありがとうございました。

漆委員、お願いします。

○漆委員 まず、事務局に感謝申し上げたいと思います。何度かの提言に立ち会っており

ますけれども、これだけ勉強会の回数を多く開催して、なおかつ委員の一つ一つの意見を

細かく拾っていただきまして、私ども現場の目から見ても、本当にこれは実効性のあるも

のになるのではないかということを実感しております。

二日前の技術革新WGの会合でも申し上げたので多少重なりますが3点申し上げたいと

思います。

1点目、「EBPM の推進」ですが、これは大変重要だと思っています。データに基づか

ない現場での無駄な議論は結構ございますので、これは非常に必要性を感じております。

一方で、懸念いたしますのは、データをとって記録を残すということで忙しくならない

ようにと。書類をつくるというプロセスに目がいって、教員にまた煩雑な仕事が増えるこ

とにならないような配慮をしていただきたいということがございます。

これは技術革新の会合でも申し上げたのですが、ICT 教育など、技術が進んでいくこと

で省力化される部分と、仕事が増える部分がどうしても出てきてしまうのですね。もちろ

ん使えるようになるまでが大変ということもあるのですが、例えば、SNS を使って生徒が

一つのノートを共有して別々の場所からも一緒に勉強できるシステムが今あるのです。こ

れは大変アクティブラーニングとしてはいいのですが、熱心さの余り、家に帰ってからも

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子供たちがグループ学習をするのですが、そこにまた熱心な教員がずっと立ち会って、夜

までやり続けるということが出てくる可能性があります。これが働き方改革の中でどうし

ても逆行する面もあり、ほかの教員への影響もありますので、この辺は注意すべきところ

かと思っております。

また、先ほど平川委員からもありましたけれども、遠隔教育等が進んでいく中で、確か

に通信制とか、そういうものはいろいろな多様な生徒さんの受皿として大変有効なのです

けれども、それが本流になってしまった場合にどんな影響があるのかも少し考えながらや

っていく必要があるのではないかと思います。学校経営のためにというか、経済的な理由

で通信制を併用する学校も無きにしも在らずというところもありますので、あくまでも子

供目線でというところを忘れてはいけないなと感じております。

2点目は、「探究的な学び」でございます。本校はこれを 10 年以上やっておりまして、

探究型の学習は最も生徒の自ら学ぶ意欲をかき立てていると実感しております。

ただ、一方で、これが一番難しいのは、教員の育成なのです。従来型の教職課程をとっ

てきた教員はどちらかというと教えたいので、生徒たちの学びの最後に結論づけをしてし

まったりとか、なかなかうまくいくまでに時間がかかります。

また、生徒たちが探究した結果を社会に資するものにしたいというときに、受験が近づ

いて途中で終わってしまうとか、様々な出口の問題が出てきますので、こういったところ

も地域との連携を図りながら、出口もちゃんとつくっていく必要があるのではないかと感

じております。

3点目、特別免許のことです。免許に関しては本校も昨年度特別免許を初めて申請して

やってみたのです。それで一つわかったことがございまして、特別免許は大分柔軟になっ

てきているのですが、まだまだ利用がしにくい仕組みになっているのです。何かというと、

採用が決まってから申請をしなければいけないのです。場合によっては、申請しても免許

がおりないこともあります。特別免許は免許がなくても専門性のある方の中途採用に対応

するものですので、これでは、今の仕事をやめて教職に転職することができません。先ほ

どお話もあったように、今は、企業と人財の取合いになってきていますので、申請してみ

ないと免許が下りるかどうか分からないという仕組みですと企業と同じ土俵で戦えませ

ん。英語や理系の採用は特に厳しく、最近は年度途中で担任が企業に抜かれるということ

も起きてきていますので、仕組みの見直しを特別免許については考えていただきたいと思

っております。

以上でございます。

○鎌田主査 ありがとうございました。

それでは、岸田委員、香山委員そして牧野委員から順にお三方続けてお願いいたします。

○岸田委員 ありがとうございます。

皆さん、おっしゃっていますけれども、私も全体的に大変バランスが良いものになった

かと思っています。

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感想なのですけれども、国の施策なりが出された時、これまで一番遠いところにいたの

は高等学校だったのですね。学習指導要領一つとっても、小学校、中学校は結構それを受

け入れてというところはあるのですけれども、高等学校は我関せずというように、動いて

きた感がある。何が言いたいかと言いますと、今回の報告書の中には、今までずっと言わ

れていたことを再度盛り込んだという部分も随分あるのですけれども、高等学校改革にね

らいを定めた提言の中に、改めてこれを盛り込んだことの意味があるのかなと思います。

今回の中教審の諮問に中にも高等学校改革が入れられて、これからその議論がされていき

ます。その中で、ここに改めて高等学校にも、こういうことが求められるのですよという

ことを、再度念押しした形で入れていくことの意味は大きいのではないかということを感

じました。

それから、私はずっと教員養成にかかわってきました。その中で、最近は、校長さんの

資質をどう育成するのかということに最も関心を持っています。今回報告書にある学校と

してのポリシーを作りあげ、これを明示しようと思うと、やはり校長さんの力量が必要な

のです。昔から名選手、名監督にあらずと言いますが、今までの校長さんは、まさに名選

手がほぼほぼ校長さんになってきたということがあろうかと思います。これに対して、名

監督を育てるための、校長になるためのマネジメントを研修していくシステムが、日本の

教員研修文化の中にはそれほどなかった。最近になって、いわゆるミドル層がぐっと少な

くなっていて、これを育成しないといけないということで、マネジメント的な要素を随分

入れてきた側面もあるのですが、全体として見たときに、校長の育成という観点での研修

は余り系統立ったものとして行われてこなかった。

そうした環境の中で、今回の法改正において、育成指標の作成が義務づけられました。

この機を捉えて、管理職へのマネジメントの研修をもう少し制度的に盛り込んでいくべき

だろうと私は思っているのです。

実はここにも書かれていますけれども、教職員支援機構でこの育成指標についての調査

研究をしています。私もそのメンバーに入っておりますので、実際に育成指標がどう作ら

れ、どのように研修に落とし込まれているかについて、昨年度、全国を相当ヒアリングし

てまいりました。その結果わかったことは、特に校長の育成指標については、作りはした

けれども、そうした資質を育てるための具体的な研修にという状態にはないということで

す。まだ研修の中に落とし込んでいくことがなされていない。これをどう機能させるかが

大きな問題であって、今後、こうした動きを作っていくべきだと思っていますので、改め

て申し上げておきたいと思います。

また、校長としての在職期間も2年では駄目だと思っていますので、これも長期化とい

うことで盛り込んでいただくのは良いと思います。

校内研修も大事です。その面で、校内研修の担当リーダーを置くということが記載され

たのはよかったと思っています。

それから、先ほど平川委員がおっしゃった、専門高校の商業科ですけれども、これは農

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業、工業等の「等」の中に当然入っているのだと思うのですが、むしろ商業は頭出しして

おいた方がいいのではないかと思います。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございます。

香山委員、お願いします。

○香山委員 三幣委員からも、岸田委員からも、校長の任期について言及がありましたが、

私は今年で7年目を迎えます。確かに7年やったらステップアップができて、まだやりた

いなという状態なのですけれども、その在職期間の長期化ですが、もう一方で「応分の人

事考課」といったような表現が入った方がいいと思います。

私の場合は中山間地の1学年3学級規模の学校ですので、どうしても大規模高校の校長

からすると、幾らか給料面で少ないのです。でも、楽しいからやっているのですけれども、

給料が多い方がいいなと率直に思います。

それから、幾らか細かいことも含めて、気づいたところに言及したいと思います。

普通科につきましては、私自身、本田由紀さんの「柔軟な専門性」といった概念には共

鳴するところがありまして、やはり普通科の改革はしていくべきだと思っております。こ

のたび、類型の枠組みを示す形で一歩踏み出すということで、まだまだ総合学科とどう違

うのかというあたりのイメージが湧きにくいかもしれませんが、大きな一歩ではないかと

とても評価しています。

普通科の記述に「国は、普通科の各学校が、教育理念に基づき選択可能な学習の方向性

に基づいた類型の枠組みを示すこととし、応分の人的・財政的支援、条件整備について検

討する。」といった文言が入ればかなり実効性が高まると思います。これだけの類型をつ

くろうと思えば、人的にも財政的にも支援がなければなかなか思い切ったことはできない

のではないかと思いますので、御検討いただけたらと思います。

先ほど来、商業を入れるべきだといったお話が平川委員、岸田委員から出まして、私も

それは賛同するのですが、教育課程の不断の見直しと教科書の弾力的見直しというのは双

方向性があると思っていまして、バカロレアで言いますと、バカロレアの教科書は随分日

本の教科書とは違ったものになっているのですね。バカロレアの特例を認めるという方向

を打ち出すのであれば、日本の教科書についても情報や工業、商業等だけではなくて、弾

力的見直しということを広く考えた方が、このバカロレアとの整合性がつくのではないか

と私は思いました。

続きまして定時制・通信制についてですが、通信制の記述がほとんどなので、全国の定

時制の教員を元気づけるには、何らかの記述が必要かと思います。

現実は、働きながら学ぶという生徒よりも、不登校経験であるとか、あるいはいわゆる

発達障害を抱えている子たちが大半を占めるといった実態があって、本当にこの定時制が

うまく機能するには、特別支援学校のように1学級8人とか 10 人とか、そこまで少なくな

くても、1学級 20 人といったあたりで教員が1人つくといった環境でないと、なかなか厳

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しいと思います。そういう意味では、加配定数の改善とか、何かが入ってくると希望が持

てるのではないかと感じました。

最後に先ほど来、岸田委員からも校長の育成といったことがありました。私も7年校長

をしながら、自分で本を読んで学習してまいりましたけれども、できれば学校に籍を置き

ながら、大学院に行きたいなと思いました。どこで行けるのだろうと思って探してみたと

ころ、福井大学等が学校拠点方式といった形で、1年間大学院に学校をあけていかなくて

も、カンファレンスを中心とした指導をする仕組みがあるといったところに注目しており

まして、これは校長に限らず、優秀な教員は学校を離れることをよしとしない教員も多い

ですし、校長の立場からいっても出しづらいということがございますので、福井大学のよ

うな学校拠点方式の大学院の在り方といったことも併せて関連づけて支援していただけれ

ば、教員の指導の高度化が図れるのではないかと期待しております。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

牧野委員、お願いします。

○牧野委員 今回の新時代に対応した高等学校の改革案というのは、私は非常に画期的と

捉えております。先ほど、商業科の話が出ていましたが、私どもがやっている地域人教育

は、OIDE 長姫高校の商業科が主体でやっています。これで7年間、今年で8年目の取り

組みになりますが、その経験からも理にかなった高校改革の案になっているのではないか

と思います。

「高等学校は、Society5.0 を生き抜くための力」という位置づけをしているということ

ですが、地域の中に入っていって何が課題なのかを見つける力であったり、あるいはそれ

をどうやって解決していったらいいのかを考える発想力であったり、それをどういった皆

さん方と一緒にやったら解決できるのかという人間関係の構築力であったり、それを説得

するためのプレゼン力であったり、そこから事業を立ち上げていく事業構想力であったり、

そういったものはまさにこの Society5.0 を生き抜くための力であり、地域に活力をもたら

す、あるいは国に活力をもたらす人材育成になっていくというように捉えるところであり

ます。そういったことを高校で始めていくことについては、私は大賛成であります。

そうした Society5.0 をたくましく生きる人材を育成していくためにどうやっていくかと

いうことだと思うのですが、幾つかの感想を申し上げますと、まずこれは高校のみででき

ることではないということであります。当然ながら、関係する機関の皆さん方が一緒にな

ってやる仕組みをつくっていかなければいけないと考えるところであります。

この提言案では、地方公共団体というのは都道府県と市町村がありますが、そこの区別

はかなり意識していただいているなということがうかがえます。 特に、市町村と高校と

の関係はこれまで非常に縁遠い存在であったというのが一般的であり、そこのところを近

づけていく、うまく接続させていく、連携させていくということは、これはかなりチャレ

ンジングなものと思っています。それをやっていくための仕組みづくりを都道府県と市町

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村、そして、高校を含めて実際に考えていく必要があることを強調しておきたいと思いま

す。

それから、「高等学校と地域をつなぐコーディネーター」の重要性はそのとおりだと思

っていますが、そこで高等学校の先生がどういう役割を果たすのかということと、そうし

た役割をこのコーディネーターの役割との関係が重要になってくると思います。

実際に地域人教育を7年間ずっとやってきて、高校の先生方の受けとめをみますと、そ

ういったコーディネーターによって地域の中に高校生が入っていけるようになり、高校生

が探究力を培ってやっていくのをちゃんと見守っている。そういうことが大事だと高校の

先生方に意識してもらえることはとても重要だと思うのですが、今までの高校の在り方の

中で、そういったことが大事だよということがきちんと意識づけされてきているとは必ず

しも言えないところがある。そういうことに対して関心を持って積極的にやっていただけ

る先生とそうでない先生とでかなり差が出てきているというのが実態かと思います。

したがって、どういうことが現場で起こっているかというと、今、地域人教育を担当し

ている担当の先生は今年で7年目、そろそろ代わりそうだという話が出てくるのだけれど

も、そこはダブルトラックではないのですが、必ず複数の先生が地域人教育を担当するよ

うにしています。もし私が代わったら、次、お願いねとバトンタッチがスムーズにできる

ことを考えてやっているとの話は聞いていますので、そういうことは一般的にも意識して

やっていくことが必要かと思います。

本来であれば、もっともっとそういう先生が増えて、そういうことを個別に考えなくて

もやっていけるようになるのが理想だと思うのですが、最初の立ち上がりのところはどう

してもそういった先生方に頼らざるを得ないところがありますので、継続的にできる仕組

みをつくっていくことが必要かと思います。

高大の接続は、恐らく中教審でも議論されるであろう普通科の在り方とも非常に関係す

るところで、私としては大変注目をしております。商業科というか、職業科においては、

地域との関係を従来から割と持っていますので、こうした地域人教育のようなやり方がや

りやすいところがあったのです。けれども、今年、飯田市におきましては、私立の飯田女

子高校の普通科に地域人教育のコースをつくるということで、今年度からスタートが切ら

れたのですが、カリキュラムを考えると、3年間といっても、実質3年生の1学期までし

か地域人教育ができなくて、あとは入試対応をしなければいけないのではないかといった

ことで、普通科の先生方は頭を悩ませている状況がございます。

それは大学の在り方の、まさに入学選抜の在り方を見直していかないと解決がつかない

ところでありまして、高校と大学と、そして地域が連携する中で、こうした Society5.0 を

たくましく生き抜く人材育成をしていくのだという考え方のもとでやっていくことが重要

になってくると思うところであります。

是非、この高等学校の改革案が全国に普及して、実のあるものになることを期待してお

ります。

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以上であります。

○鎌田主査 ありがとうございました。

平川委員、どうぞ。

○平川委員 1点だけ追加させてください。生徒指導の在り方を見直すというところで、

違う観点でございますけれども、「また、人権と多様性という観点で、現在の生徒指導の

在り方を見直すことは、Society5.0 を生き抜くための力をつける基本となります」という

ことを、是非入れていただきたいと思っております。

工藤委員などもよくおっしゃっているのですが、校則あるいは調書、反省文、奉仕活動、

服装検査、義務教育ではないのにこういったものがまだまだ大変厳しく高校の中にありま

す。ある程度の規律は必要だと思いますけれども、大変行き過ぎていると感じることもあ

りまして、なぜこの校則なのかを考えさせるよりも、この靴下は白でないと駄目というと

ころを守らせることに終始一貫してしまって、思考停止の子供をつくっている気がしてお

ります。

地毛の髪が茶色い子供に地毛証明書を出させたり、逆に黒染めさせたりということが社

会問題にもなっておりますけれども、今、テニスプレーヤーの大坂なおみさんなども、従

来の日本人の黒髪というような感じではないわけです。これからの日本人は、入管法も変

わって、黒髪とは限らないと思います。そういう点で、是非人権と多様性という観点で生

徒指導の在り方を見直すことが、この Society5.0 を生き抜くための力をつけるための基礎

となっていくような気がしておりまして、ここをどういう形かはわかりませんが、加筆し

ていただいて、各高等学校に問題提起していただきたいと思っております。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

まず、水谷委員、守屋委員、そして香山委員の順でお願いします。

○水谷委員 方向感の中で気になっているところは、地域との関係性でございます。先ほ

ど牧野委員がおっしゃったように、地方自治体と学校の関係のねじれの中で、学校運営協

議会制度とは本当に動くのかということが、地域の学校の運営の経営形態としての問題だ

と思います。なので、小中学校の場合には機能しやすいものですが、高校で機能する学校

運営協議会とはどういうものなのか、どんなメンバーと何の権限を持って何を決めていく

ところであればこれが機能するのか。ここをどれだけ明らかにしていけるかが今のテーマ

だと思いますので、これを具体的にあるべき姿を検討するということに突っ込んでいただ

けると有り難いと思ったことが1点でございます。

次に、少子化への対応でございます。地域の学校の中での在り方は、再編が進んでいな

い部分も、単に小さくなって生産性の悪い学校もあるのだと思いますが、一方で、地域の

中でこそ新しい試みや再生が図られているところもたくさん出てきているのも事実であり

ますので、そういう意味では都道府県において高等学校の再編や再興若しくは再生を進め

られている事例をちゃんとフラットに見ていこうという表現にしていただくのが本来の意

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図に近いかと思いました。

最後に、これも話題に出ました校長先生の育成の仕方若しくは教員の育成の仕方、若し

くは、牧野委員からはコーディネーターと教員の在り方ということが出たと思います。こ

こが一番、実際には現場では県教委の中での育成システムはどれぐらいのスピードで変わ

るのか変わらないのか、今の校長要件はどうなっているのかということと同じだと思いま

す。ここは校長先生を筆頭にして、これからの新しい社会に開かれた教育課程を実現する

上での校長先生の役割とは何なのか、教員の役割とは何なのか、コーディネーターの役割

とは何なのか、育成のときに、社会に開かれた教育課程の実現に向けて、これからの役割

は何なのかを探求していく段階に入ると感じています。それは例えばそういう会を立ち上

げて、これから必要になる素養が何なのかということをつくっていくという段階に入りた

いと思いましたので、これを申し上げておきます。

○鎌田主査 ありがとうございました。

守屋委員、お願いいたします。

○守屋委員 ありがとうございます。お疲れさまでございます。

私からは3点、まず、校長の力量が問われていくということに関しまして、私も3年目

になりますが、まだまだこの学校でやりたいことはたくさんあるというところで、年数の

縛りがなくなっていくのは本当に楽しみです。それに、やりたいことをもっとやることが

できると思います。

管理職候補者もいますし、副校長もいますので、管理職候補者、副校長に対してマネジ

メントをきちんと学ばせていくことも必要なのかと思っています。これから校長になられ

る方を育成していかなければいけないと考えているところです。

もう一点が工業ですが、現状で言うと、基礎・基本の技能・技術というものをしっかり

と学ばせなければいけないのですが、施設・設備の老朽化というところが著しく見えると

ころがございます。そういうところはきちんと修正していきたい、直してほしいと思いま

すし、それを踏まえて最先端の最新鋭の設備等が使えるようになるのかと思います。そう

いうものを使いこなすためにも、施設・設備の見直しも図っていただきたいと思います。

本校でいいますと、工業の教員の数が足りなくて、今年は1名少ない状況で始めてい状

況でございます。そういう中で学校経営をやっていかなければならない、というところも

問われています。教員のなり手がいないのが非常に厳しいところでございます、工業の教

員を育成していくというところも考えていただきたいと思います。

もう一点が、特別な配慮が必要な生徒は非常に増えております。本校にもいるという現

状です。そういう中で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用状況

は非常に高い状況でして「適正な配置・活用に向けた方策を検討する」というところでは、

もっと早急にやっていただきたいと思っております。必要なのは見えているところでござ

いますので、是非そういうところの見直しをしていただければと思っております。よろし

くお願いいたします。

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以上でございます。

○鎌田主査 ありがとうございました。

香山委員、お願いします。

○香山委員 全然違う観点で、地域や大学等との連携の在り方について発言しておきたい

と思います。例えば高卒で地方の地元の企業に就職をするといった具体的なイメージを考

えた場合に、大体 35 歳から 40 歳ぐらいで昇給が頭打ちになって、大卒との給与格差がそ

こから以降どんどん開いていく。50 代ぐらいになってくると、年間 200 万以上開くのでは

ないかと思うのですけれども、もちろん大学生、大学院生がそれだけ学んでいますから、

優秀な人間がいる確率は高いと思うのです。そうでない人もいますけれどもね。しかし、

高卒の中にも家庭の事情等で、非常に優秀なのだけれども、やむなく就職を決めるとった

者も少なからずいるわけです。

ところが、給与体系は意外に田舎ほど画一的で渡りがないといったことがあって、せっ

かく高校時代に探究人を育成しても、探究的な仕事ができないような部署しか与えられな

いといった現実の壁にぶち当たって、せっかくこれだけいろいろと改革していく中で、最

終的には利益が得られないといった現状があるのではないかと思うのです。そうしたとき

に、この文章の最後に、例えば「また、国・地方公共団体は、地元定着やUターン等を促

進するように、高卒、大卒等の給与体系の弾力化について、官民を挙げて検討する」とか、

何かあれば有り難いと思います。

○鎌田主査 御指摘の点、前向きに検討させていただきます。

三幣委員、どうぞ。

○三幣委員 先ほどの人権と多様性と生徒指導の関係ですけれども、おっしゃることは反

対のしようのない内容で当然なわけですが、その根拠というか、もとになるものが、もと

もと茶色い髪を黒く染めるとか、そういった特別な例を挙げてこの問題を取り上げるのは

いかがなものかと。本来、制服にする、しないも含めて、校長の考えですとか理念、そう

いうものでやっていくべきではないか。もうちょっと校長、あるいは教職員を信頼するよ

うな体制でやっていくことが必要かと思っています。

私の知っている範囲では、私自身ももともと茶色く見える子を染めろとかと指示したこ

とはなく、入試の際には、校長の考えとして、この子はもともとこういう髪の毛ですとい

うことで高校に申し送ったりしています。高校の立場でもそういうものは柔軟に受け入れ

ていますので、このあたりは基本的には、先ほど申し上げましたように、校長あるいは教

員を信頼した学校経営を基本にすればよろしいのではないか。文言自体を入れることは否

定することは何もできませんので、入れることは結構だと思います。

○鎌田主査 工藤委員、どうぞ。

○工藤委員 感想みたいなものになってしますが、提言案は、急激に進む技術革新、変化

する社会に対応する教育の今後の方向性が示された価値あるものと感じています。

ただ、この機会に私が日頃感じている学校教育の根本的な問題点を敢えてひとつ申し上

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げれば、学校教育に関わる全ての人間が問題を人のせいにしている構図になっていること

です。当事者意識が欠けていて、その解決については他の組織や誰かに期待する。いつも

誰かに何かを期待する社会になってしまっているという構図です。

私は校長になって6年目ですが、5年前、この麹町中に赴任したときのことを振り返る

と、職員は職員同士の批判をする、組織の批判をする、教育委員会の批判をする、文部科

学省の批判をする、家庭教育の批判をする、子供の批判をする。子供は子供で、先生のせ

いにする。親は親で先生のせいにする。そういったことが日常茶飯事に行われていました。

先ほどマネジメント研修というお話もありましたけれども、校長としてマネジメントの

基本として大事にしてきたことをあえて大きく2つ挙げれば、1 点目は、どれだけ全ての

ステークホルダーを当事者に変えることができるかです。

2 点目は、すべてのスタークホルダーの目指す目標を一致させていくことです。一人一

人を当事者に変えるためには、権限と責任を両方与えてあげればそれなりに変化します。

しかし、問題は権限と責任をもらってもそれぞれが自由に動いてしまうと、目指す目標が

ばらばらの状態になってしまいます。そうすると、良い結果は得られません。多くの場合、

人は自分の経験則で、また、成功体験で物事を判断しようとします。手段にこだわるんで

すね。例えば、ある先生が百ます計算がいいと言えば百ます計算をやりましょうとか、「早

寝早起き朝ごはん」ということになれば、それをスローガンにしてみんな掲げる。つまり、

良いと言われた手段に誰もがこだわってしまって、それを広げていこう、続けていこうと

いうことに終始してしまう。そして、いったん始めると、よい結果が出ているのだから、

これはやめられないねということになる。また、一方で、新たな取り組みを行おうとする

ときには、たった一つでも懸念材料があると、その懸念材料がクローズアップされ過ぎて

一向に進まないなどということになる。学校における ICT 化などは、もっとも顕著な例の

一つですね。

私が校長の5年間でやってきたことは、まずは一人一人に課題意識を持ってもらう。権

限を与える。現在では子供たち自身にもある特別なところについては経営を委譲したこと

によって、子供たち自身が学校経営をしているし、保護者にも服装、頭髪のルールは渡し

てしまった。保護者が保護者同士で対話をすることによってルールを決めていく作業をし

ている。今、まさに保護者自身も学校経営にかかわろうとしている。

上位目標を達成するためには、対話を通じて下位目標を削っていく作業が必要ですが、

現在の学校はそれが学べる社会になっていないということなのだと思います。

今回、提言という形で、よりよい方向性が示されたわけですが、これを実行するにあた

って、たとえ、多くの検討材料が出てきても、一つ一つ課題をクリアして必ずやり遂げま

しょうとなってほしいと思います。できない理由を探すのではなくて、できるためにはど

うするかという視点が大切です。こうした考え方が浸透していくようなアナウンスの仕方

も大事になってくるのかなと思います。

話が変わりますが、先ほど学校運営協議会というお話もありました。日本中の学校運営

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協議会が本当に機能しているかを考えれば、なかなか厳しい現実があると思います。なぜ

かと言えば、学校運営協議会自体が当事者になり切れていないからです。簡単に言えば、

地域の方々がバランスよくメンバーに入ることが一般的だからです。学校運営協議会のメ

ンバーは、リスクを負える人間であることが理想だと私は思います。麹町中では保護者や

元保護者をメンバーの多くに入れています。一人一人が学校運営をよくする当事者に変え

ていくことにより、課題を一つひとつクリアし、上位目標を達成していけるようになって

いくのだと私は思います。

5年たった今、麹町中は、教職員自身がどんどん課題を出して、自分たちで課題改善で

きる組織に変わっています。ここまで意識が変わるまでには、それなりの道のりがありま

した。最初は目標を統一させていくという強いリーダーシップが必要なのです。この提言

も、ある種、最初の段階では強いアピールが必要だと思います。校長の中には、現在の教

育システムを責任ばかりあって権限がないと思っている方も多くいらっしゃいますが、実

は現在の学習指導要領の中でも十分権限はあって、いろいろなことができる。こうしたこ

とを無理やりでも全ての校長に自覚させていくような時期が必要なのではないかというこ

とを思います。

以上です。

○鎌田主査 賀澤委員、お願いします。

○賀澤委員 今の学校運営協議会に関して、都立高校は東京都教育委員会の指示で、四半

世紀前に学校運営連絡協議会を開始いたしました。地域の人たちを巻き込んで、学校教育

をオープンにしようという趣旨です。

工藤委員が今おっしゃったとおり、教育の本質に切り込むような形の学校運営協議会が

できたかというと、なかなかできなかった時代もありました。

ただ、学校運営連絡協議会に関しては、人選の話です。本格的に学校を改革するのに役

に立った人たちも随分いまして、そういう流れを都立高校はつくって、今、私は 10 年も離

れていますのでどういう状況かわかりませんけれども、そういう意味では「導入」ではな

くて学校運営協議会制度の「活用」なのかと思います。細かいところで本当に申し訳ない

のですけれども、導入というまた新しく実現するという話ではなくて、県によっては相当

活用されているところもあります。校長がリーダーシップを発揮して、活用されていると

ころもあるのかなというところで、表現の仕方だけでございます。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

大竹委員、お願いします。

○大竹委員 制度的には大変立派なものがまとめられたと思うのですが、問題は、幾ら制

度改革という立派なものをつくり上げても、どれだけ精神が宿っているか。これがすごく

重要ではないかと思うのです。

明治維新から昨年で 150 年、我々は高校生を集めて勉強会をやったのですが、そのとき

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にも各講師からその話をしていただきました。今回の答申も一番大切なのは皆さん方がい

つも問題にされている自己肯定感、今の生徒にこれをしっかり強めていくことが大事であ

ります。そのためには、日本の伝統・歴史・文化といったものも世界に冠たるものがある

わけですね。そういったことも学校の先生方からしっかりと生徒さんに伝えていただく。

生徒さんもそれで自己肯定感を強める、やる気を起こすような理想的な人材が育成される。

この国は何といっても人材が資源なのですね。最大の資源は日本人そのものなのです。

最後にもう一つ申し上げたいのは、競争なくして進歩なしということです。教師が相互

に本当に競争し合って、そして、いい事例をつくって、他の先生にいい影響を及ぼす。こ

ういう文化をつくっていただかないと、答申だけで片づく問題ではないと私は思います。

○鎌田主査 ありがとうございます。

漆委員、どうぞ。

○漆委員 工藤委員の御意見で、学校現場で手段が目的化するというのは私も本当に実感

しております。これを改善するのに光が見えているのが、私は EBPM の推進だと考えてい

ます。例えば「朝ごはん」と成績の関係も、親の学歴と収入を統制すると、相関の結果が

変わるという研究もあります。一度始めたことをやめることもなかなかできませんでした

が、今やっていることが役割を終えたかどうかというのも、ある程度数値化していけば、

議論の余地がないこともたくさんあるはずです。

学校現場というのは KPI のない世界で指標がないので、目標や理念が正しくても、現場

に落ちてくるまでに、いつの間にか手段が目的化したり、電子黒板など既に古くなってい

るものが引き続き導入されていたりということが起きてきます。是非、本当に EBPM を教

育の中でも活用していただいて、一方、数字だけではあらわれないものもについては慎重

に配慮しながら改善していっていただけたらと思っております。

○鎌田主査 馳先生、御意見はいかがでしょうか。

○馳衆議院議員 取りまとめに当たって先生方の御意見を拝聴して、大変幅広の集約がさ

れていくのではないかと思っています。

私ども政党の立場から言えば、18 歳、成人年齢ということで、主権者教育と消費者教育

と、この表現はどうでしょうか。高校はもう既にミニ社会、模擬社会のような形で実践的

な授業を展開していくことが求められているのではないかと。

私も大学でリベラルアーツの授業を持たせていただいていますが、介護保険制度につい

て授業をしても、残念ながら保険料も、いつもらえるかも基本的なことすら理解しており

ません。改めて 18 歳、成人年齢に対応した高校教育となると、教育の成果に対する評価の

在り方、それを現場にいる教職員をしっかり督励してあげられるような、何をやっている

のだという話ばかりが多いのですけれども、そうではなくて、やりがいのある処遇を改善

していくことも、そのための財源を確保していくことも私たちの責任ではないかと思って

います。

また、なかなか表に出てきづらいのですけれども、例えば去年、大阪の府立登美丘高校

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のバブリーダンスが随分はやりましたね。レコード大賞を見て私もびっくりしたのですけ

れども、高校生のああいった部活動、文化活動、スポーツ活動を、プロ化、コマーシャル

化、スポンサー化をもうちょっとできるようにしていったらいいのではないかと。まさし

く当然その収益が好循環で学校教育のバックアップにはね返っていくことも考えてもいい

時代なのではないかと。高校生諸君の姿を見ていて非常に私も感動しましたし、やればで

きる能力というものを、学校教育に付随した活動ですけれども、部活動に対する支援とい

ったものも必要ではないかと。

最後に、実は私はいじめ防止対策推進法の見直しをやっておりまして、座長をしており

ます。痛ましい高校生の自殺事案等もあって、第三者委員会の設置やその調査結果の保護

者に対する開示の問題など、極めて深刻な状況にあることをお伝えしておきます。

立法をしてから、更に自殺の事案が増えております。ここは何があるかと考えたら、私

は法律を整理していて思いましたが、虐待の問題もそうであったように、残念ながら学校

教育の現場だけでは対応できません。そうすると、このいじめ自殺事案等に実効性のある

対応をしていけるような現場であると。そうなると、校長や教職員を畏縮させるのではな

くて、主体性を持って取り組むことのできる制度であったり特例がないといけないのでは

ないかと思っておりまして、いじめ自殺、10 代の自殺の事案が増えておることの異常性を

改めて私たちは受けとめて、また、この制度、予算にも対応していく必要があるのではな

いかということを申し上げさせていただきます。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

中村政務官が御到着になりましたので、お知らせいたします。

今、第十一次提言案について意見交換しているところでございますので、政務官からも

追ってお話しいただければと思っています。

富田先生、いかがでしょうか。

○富田衆議院議員 なかなかこの会合に出られなくて、申し訳ございません。今日、先生

方の御意見を聞いていて大変勉強になりました。

3点発言をしておきたいと思うのですが、香山先生からの定時制の記述が少ないという

お話、これを見ておりまして本当にそう思いました。馳先生、浮島文部科学副大臣と、実

は教育機会確保法をずっとやってきまして、何とかできて、私は千葉県ですが、この4月

から松戸と埼玉の川口で新しい夜間中学が始まりました。

夜間中学に行っているお子さんたちに、定時制に行けるのだということをきちんと周知

するのと、定時制側から夜間中学との連携強化を図っていく必要があるのではないかと。

発達障害のお子さんもいるし、外国人の方も当然いますので、その方たちが中学で終わら

ないで、定時制まで行って、もっと上を目指せるような社会が必要だと思いますので、配

慮していただければと思います。

もう一つ特別な配慮が必要な生徒ですが、こちらの勉強会であったか、LITALICO の長

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谷川社長が来られたことがあるのですが、我が党の勉強会にも来ていただきました。長谷

川社長が言うには、発達障害を持ったお子さんを高校から就労させようとすると、一人一

社制度があるので、最初のマッチングがまずいと、せっかく生かせる能力もなかなか生か

せなくなってしまう。是非ここは撤廃してほしいということを盛んに言われていまして、

これは一般の生徒にも私は当たるのではないかと。

高校の先生から見たら、ちゃんとバックアップしてあげないと就職活動で大変な思いが

あるから、一人一社制度というのがずっと定着してきているのだと思うのですが、統計に

よりますと、3年以内の離職率が 40%を超えている。大学生が 30%前後なのに。そうする

と、最初のミスマッチで一生駄目になってしまうことを考えると、一人一社制をどこかで

見直していかないと、障害を持ったお子さんもそうですし、一般の生徒にも高校改革を言

うのであれば、ここのところを検討していただけないかというのが2点目です。

3点目に、地域に開かれたということで、私は千葉県の習志野市に住んで 35 年になりま

す。この春、習志野高校野球部が準優勝しました。本当に地域に開かれていまして、市立

高校なのです。市立高校が甲子園に行くのは大変なことで、習高は昔、夏に優勝を2回経

験しているのですが、春は初めて決勝まで行きまして、ブラスバンド部が大変テレビで有

名になりました。吹奏楽部はもともと日本一の吹奏楽部ですが「レッツゴー習志野」とい

うのをやるとみんなが盛り上がる。テレビが習志野に取材に来て、習志野市民は誰でも歌

えるのです。それだけ市民に開かれている。

だから、学科とかだけではなくて、先ほど馳先生がおっしゃったように、クラブ活動で

地域の応援を頂いて、本当に地域に一体感がある。強豪の私立高校の中で、実は去年の秋

の千葉県大会は準優勝でした。普通は甲子園に出られないのですね。関東大会でたまたま

準決勝まで行ったので枠に当たりまして甲子園に出られて、1回戦に勝って、2回戦、馳

先生の星陵高校。星陵高校のピッチャーもナンバーワンで絶対に優勝候補だったのを破っ

てしまったということで、どんどん盛り上がっていって、本当に地域の盛り上がりにも役

に立ちました。

吹奏楽部も、実は日本一なのです。ここを目指して小学校、中学校の吹奏楽部が、それ

ぞれの学校が、市立ですけれども、習高の吹奏楽部に入りたいというので目指してくるの

で、そういった地域との連携の在り方もあると思いますので、是非、こういうところを強

力にバックアップしていっていただけるといいのではないかと思いました。

以上です。

○鎌田主査 ありがとうございました。

多様な御意見を頂戴したのですけれども、事務局サイドから何か、この際お答えしてお

かなければいけないことなどがありましたら、どうぞ。

○串田教育再生実行会議担当室長 参考なのですけれども、平川委員から BYOD という話

が最初にあったと思うのですが、一昨日の技術革新WGにおいては BYOD も視野に入れて

おります。

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○鎌田主査 よろしいですか。

水谷委員、お願いします。

○水谷委員 ここの場が適切なのかがわからないので、悩ましい問題ですが、最初に平川

委員がおっしゃっていたように、もう IT ツールは文具だというのはそのとおりだと思うの

ですが、学校の中には、特にそれを使うと何ができるようになるのかに詳しい人がいない

ということがとても大きい問題で、私がかかわっている高校でも相当配っているのですけ

れども、配っても進まない。進むのですけれども、使い方を知っている人がいない。

例えば民間企業は、この 20 年ぐらいで会社の中にインフォメーションオフィサーがいな

い会社などというのはないわけですね。どう使うかを考え、リードをする人が経営の中枢

に入るというのは普通の組織なのだと思うのですが、学校の中で、教員の育成でもないし、

誰がやるのだろうかという問題。県教委なのですか、どこなのですか、それは教員ですか、

事務職ですか、誰ですかという問題が大変悩ましいと思っています。

もしかしたら、もう一方の技術革新の方のテーマに入っているのか入っていないのか、

どこかで検討されているのかいないのか。ここの章立てに入り切らないのですけれども、

学校の中でいつも議論になるのは使い方がわからないという問題だったので、申し上げま

した。

○鎌田主査 いずれにしましても、どちらかに入れていくことにしたいと思いますし、先

ほどの地域連携のコーディネーターもそうですけれども、今までの教員、職員像とは違っ

た人たちが非常に重要な役割をこれから担っていくことになるのだろうと思いますので、

そういった観点を盛り込めるように工夫してみます。

ほかに委員の皆様から、いかがですか。

香山委員、どうぞ。

○香山委員 富田議員の一人一社制、私も改善といいますか、撤廃していく方向が望まし

いのではないかとかねがね思っていまして、そうはいってもすぐにはどうにもなりません

ので、今、私が考えているのは、高校時代に地元の企業に複数インターンシップができる

と。2社、3社と比較しながら、自分がもし高卒でこの企業に入って、どんなふうにステ

ップアップできるのかといった人生のイメージが湧くようなインターンシップを考える。

もう一つは、六郷工科高校が先鞭を切られたのですけれども、デュアルシステムの導入

ですね。このあたりが高卒の生徒を育成する一つの大事なポイントではないかと思います

ので、高卒は 40%いますので、そういう意味では、40%の子たちのために何がしかそうい

った記述があってもいいのかなとは思いました。

○鎌田主査 三幣委員、お願いします。

○三幣委員 富田議員の発言の中で、習高のブラスバンド、私の理解だと、そもそも小学

校のブラスバンドがすばらしい成果を上げて、その卒業生が中学、高校に場を求めていっ

たと。私も小中学校でいろいろな教育を考えていますけれども、先ほどの話に出てきまし

たが、高校は遠くなる。高校とつながらない。それが大きな課題だと思っていますので、

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小中学校が積み上げていって、高校にそれをつなげていくというのは、私も地域の役割だ

と思っておりますので、改めてそういう思いで取り組んでいかなければと思います。

○鎌田主査 ほかにはよろしいでしょうか。

様々な御意見を頂戴しましたが、できる限り提言の中に盛り込んでいくようにしたいと

思います。

主査に一任していただくのが一番簡単ではあるのですけれども、かなり大きい御提案も

ございましたので、必要に応じて、委員の皆さんとメール等でやりとりをしながら、提言

案を事務局とまとめていきたいと考えております。

まだ時間はございますけれども、ほかに特に御発言がないようでしたら、政務官、副大

臣に御感想等をいただければと思っております。

まず、中村政務官からよろしくお願いします。

○中村文部科学大臣政務官 どうもありがとうございます。熱心な御議論を頂いていたこ

とと拝察をいたします。公務の予定がございまして、どうしても遅くなりましたことを御

理解いただきたいと思います。

全体として、高等学校に限らず教職員の働き方改革を進めてまいりますが、そのことに

よって、教員が児童生徒と触れ合う時間をきちんと確保していく方向にあろうと思います。

この機会に、これまでよりも尊敬できる、尊敬される教員という形に何とか持っていきた

いと私自身は思っています。教科書を上手に教えるだけではなくて、それにちょっと加え

ることで、例えば毛利衛宇宙飛行士が小学校5年生のときに先生から宇宙の話を聞いて、

宇宙飛行士になりたいと思った。そういった何かプラスアルファのことを教職員の皆さん

が、子供に伝えられるような時間もとれるようになったり、自分自身の興味関心を教職員

自身が高めて子供に伝えるような、そうしたことになっていけばいいなと思っております。

その意味で、教職員の資質向上という部分で非常に期待しているところです。

今、短時間ではありますが、私が拝聴していた議論の中でも、これを学ぶと社会で何に

役立つかを教えられる先生がいないとか、自分の社会におけるこれからのイメージがわか

るようなインターンシップが必要だとか、先々、子供に遠くを見せる、時間的なスパンで

言う遠くを見せることによって、様々な子供さんたちの自ら学ぶ、自ら育つ力が発揮され

るような学校づくりができればいいなと思っています。

もう一点、特別な配慮が必要な生徒という中に、札幌市内に思春期科という診療科を持

っている病院があります。つまり、小児科の延長として高校生レベルの患者さんを扱った

方が医療として適しているという判断から思春期科を設けて病院がある。

ところが、池江璃花子さんのように治療に時間を要する高校生は結構世の中にいらっし

ゃるのですが、院内教室は義務教育については充実しているのですが、高校生については

全く支援の手が届いていない現状を聞かされました。文部科学省は平成 31 年度から新規で

モデル的にそういった予算をつけているのですけれども、まだまだ全国では全く手が届い

ていない子供さんがたくさんいらっしゃって、病気になったショック、なおかつ勉強に遅

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れる不安、留年した絶望、そうしたものがその子の人生に大きくかかわっている状況を知

らされました。

そうした子供さんたちが ICT なども活用して学ぶ機会を確保できるように事務局にはお

願いをしているところでありまして、何とかそういった部分をカバーしていただけるよう

に、手が届くように、一人も取り残さないように進めていただければと思います。

皆様の御議論を文部科学省として精一杯これからの政策に生かしていくように努力して

いきますので、今後ともまた御助言等を賜れれば有り難く思います。

以上でございます。ありがとうございます。

○鎌田主査 ありがとうございました。

次に、浮島副大臣からお願いいたします。

○浮島文部科学副大臣 本日は大変に御苦労さまでございました。また、今回は第十一次

提言案という最終の取りまとめということで、これまでも様々な御意見、そして、御提言

を頂きましたことに心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうご

ざいました。

今日、拝聴させていただきまして、多様な生徒、多様な学び、そして、特別配慮が必要、

また、地域との連携等、様々な本当に重要な言葉を頂きました。これをまたしっかりと受

けとめさせていただき、しっかりと反映させていただきたいと思っております。

また、ただただまとめただけではなくて、これを実効性のあるものにしていくために、

今後とも皆様方のお力もおかりさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し

上げます。

富田先生からも一人一社制のお話もございました。これも私が部会長のときに、前回の

骨太の方針にも一人一社制という言葉を入れさせていただいたところでございます。これ

は今、急激に社会が変化していく中で、一人一人に光を当てた教育、そして、誰一人置き

去りにしないという観点から必要なことだとも思っております。また、委員の皆様方の御

意見を伺いながら、本当に一人一人に光を当てて、一人一人障害の有無にかかわらず、一

人一人の個性を引き出していく教育体制をしっかりと構築していきたいと思っております

ので、これからも様々御指導くださいますようよろしくお願いいたします。本日は大変に

ありがとうございました。

また、もう一点申し上げさせていただきますと、これから財務省との戦いになっていく

と思いますので、これも全力で戦ってまいりますので、また御指導のほどよろしくお願い

申し上げます。

ありがとうございました。

○鎌田主査 ありがとうございました。

第十一次提言案につきましては、先ほども申し上げましたように、本日頂戴しました御

意見を踏まえて、事務局と相談して必要な修正を加えたいと思います。適宜、委員の皆様

とメールのやりとり等で調整を図らせていただいた上で、5月には第 45 回の教育再生実行

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会議が開催されますので、その場で最終案をお諮りするという形で進めさせていただきた

いと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

ほかにこの場で特に御発言がございませんようでしたら、少し時間が早いですけれども、

本日の会議をここで閉会とさせていただければと思います。

なお、ワーキング・グループとしての審議も本日で一区切りということになります。こ

れまで集中的に非常に密度の濃い議論を重ねていただきましたことに、改めて心からの御

礼を申し上げます。どうも本当にありがとうございました。