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遺伝子組換えウイルスによるがん治療
大分大学医学部脳神経外科
札場 博貴
膠芽腫とは?
現行の治療だけでは治癒不可能
がんウイルス療法とは?
がんの中でのウイルスの役割
・ウイルス拡散・がん抗原の提示・T細胞の浸潤
がん組織
・抗がん免疫の惹起・転移病変の抗がん作用
特異的抗がん免疫の惹起
Todo T, et al. Hum Gene Ther. 1999
virus
特異的抗がん免疫の惹起
腫瘍形成しない
腫瘍形成する
Aがん治癒マウス
Aがん
Bがん
第3世代複製型遺伝子組換えHSV-1 G47Δ
・人為的三重変異を有する
・腫瘍細胞において優れたウイルス複製能をもつ
・全身的抗腫瘍免疫を強力に惹起する
・正常組織において高い安全性を有する
・膠芽腫に対する第Ⅱ相医師主導治験は終了。
・その他、嗅神経芽細胞腫、前立腺癌、悪性胸膜中皮腫に対して
臨床研究が進んでいる。
G47Δの基本骨格第1世代 第3世代(G47Δ)
第2世代(G207)RR: リボヌクレオチドレダクターゼ
なぜヒトヘルペスウイルス?・ ウイルスの生活環とゲノム配列が解明されている。
・ウイルスゲノムが大きい (~152kb)ため、多種の外来遺伝子の組み込みが可能。
・ ウイルスゲノムは安定しており、ヒトゲノムには組み込まれず、発がん性や
遺伝性がない。
・ ヒトのあらゆる種類の細胞に感染でき、多くのがんに応用できる。
・少量のウイルス量で多くの腫瘍細胞の死滅が可能である。
・抗ヘルペスウイルス薬が存在する。
・ウイルス感受性を示す実験動物が存在する。
・ 血中の抗HSV抗体がウイルスの細胞間伝搬に影響しないため、反復投与が可能。
第3世代複製型遺伝子組換えHSV-1 G47Δ
・人為的三重変異を有する
・腫瘍細胞において優れたウイルス複製能をもつ
・全身的抗腫瘍免疫を強力に惹起する
・正常組織において高い安全性を有する
・膠芽腫に対する第Ⅱ相医師主導治験は終了。
・その他、嗅神経芽細胞腫、前立腺癌、悪性胸膜中皮腫に対して
臨床研究が進んでいる。
日本発のウイルス製剤製剤化まであと少し!
ウイルス塾の演題の中には?ジカウイルス
ノロウイルス
ポリオウイルス
エンテロウイルス(コクサッキーウイルス)
インフルエンザウイルス
ウイルス塾の演題の中には?〇ジカウイルス Zika virus has oncolytic activity against glioblastoma stem cells. J Exp Med. 2017
×ノロウイルス
〇ポリオウイルス ⇒phase 1
〇エンテロウイルス(コクサッキーウイルス) ⇒phase 2
〇インフルエンザウイルス
Oncolytic influenza virus infection restores immunocompetence of
lung tumor-associated alveolar macrophages. Oncoimmunology. 2018
なぜがん治療にウイルス?
Lancet 1971,2;105-106
1912年: 狂犬病ウイルスの頭頚部癌治療
1950-70年代: 増殖型ウイルスの臨床試験
1991年: 遺伝子組換えHSV-1の膠芽腫に対する基礎実験
1998年: 遺伝子組換えHSV-1 (G207)の臨床試験
2009年: 遺伝子組換えHSV-1 (G47Δ)の臨床試験開始
in Japan
遺伝子改変型ウイルス?それとも自然変異型ウイルス?
遺伝子改変型 自然変異型
ウイルス種 ヒトヘルペスウイルスアデノウイルスワクシニアウイルスポリオウイルスなど
レオウイルスコクサッキーウイルスニューカッスル病ウイルス
特徴 ・病原性のコントロール・多重改変を加えることで安全性を担保・機能付加型ウイルスを作成できる
・元来ヒトに対する病原性がない・生態系を壊す可能性がない
投与経路は?
日本と世界におけるウイルス療法の動向
ウイルス 対象 臨床試験(phase)
G47Δ ヘルペスウイルス(第3世代) 膠芽腫 II (finished in Japan)
T-VEC ヘルペスウイルス(第2世代) 悪性黒色腫 Approved in USA and Europe
C-REV(HF10) ヘルペスウイルス(自然変異型) 乳癌など I (finished in Japan)
Telomelysin アデノウイルス 食道癌 I/II (finished in Japan)
Surv.m-CRA アデノウイルス 進行癌 I (ongoing in Japan)
CG0070 アデノウイルス 膀胱癌 II/III
JX-594 ワクシニアウイルス 肝細胞癌 III
Reolysin レオウイルス(自然変異型) 頭頚部癌 III (finished)
MV-NIS 麻疹ウイルス 子宮癌など I
CAVATAK コクサッキーウイルス 悪性黒色腫 II
PVSRIPO ポリオ/ライノウイルス 神経膠腫 I
併用療法は?
相乗的な治療効果
非臨床研究
髄膜腫におけるウイルス療法髄膜腫とは・・・
・大部分が良性腫瘍
・年単位で緩徐に増大し、局所神経症状や頭蓋内圧亢進症状を呈する。
・硬膜を含めた全摘出により長期予後が望めるが、頭蓋底発生の
髄膜腫は硬膜を含めた摘出が困難であり、再発をきたしやすい。
・また、頻度は少ないものの、悪性転化が起こりうるため、残存腫瘍に
対する早期治療介入が望まれる。
髄膜腫(grade 1)
髄膜腫(悪性転化)
X年2月病理診断:grade 1
髄膜腫(悪性転化)
X+4年6月病理診断:grade 2
髄膜腫(悪性転化)
X+5年3月病理診断:grade 3X+6年1月: 永眠
髄膜腫の免疫組織学的検討
全てTERT発現がみられ、またgrade1の髄膜腫にRRの発現がないものがあった。
髄膜腫におけるウイルス療法のコンセプト
髄膜腫細胞株の樹立
悪性髄膜腫細胞株への細胞障害性試験(MOI 0.01)
ウイルス複製能の比較
感染ウイルスTiter
1.E+2
1.E+3
1.E+4
1.E+5
1.E+6
1.E+7
Vero (24h) Vero (48h) HKBMM (24h) HKBMM (48h)
Tite
r (p
fu)
Cell line (infection time)
G47Δ 改良型G47Δ
がんになったら・・・??
Acknowledgment大分大学医学部脳神経外科学講座の皆さま
東京大学医科学研究所先端がん治療分野の皆さま
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