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1 第1回 自治体の環境行政の基礎知識 公共政策教材

自治体の環境行政の基礎知識 - Toyo Universityyamaya/gakubukougi/1_1...7 環境基本計画 • 環境基本法の中で、環境基本計画の策定を環境影 響評価と並ぶ重要な柱として位置づけ、国に作成を

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第1回 自治体の環境行政の基礎知識

公共政策教材

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自治体環境行政の現状

■自治体環境行政の変遷

公害防止から生活環境保全へ

■生活環境保全条例(←公害防止条例)

公害規制(大気、水質、騒音、振動、地盤沈下、

悪臭、土壌→典型7公害)

地球温暖化対策、自動車対策、廃棄物対策、

化学物質管理

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公害防止基準の考え方:環境基準

環境基準とは

環境基本法において、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」として大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音に関して定められた基準値であり、行政が政策上の目標とする数値

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公害防止基準の考え方:規制基準

排出基準・規制基準とは

工場や事業所の事業活動などから発生する有害物質・騒音・振動・悪臭などを規制することによって、「国民の健康を保護するとともに生活環境を保全」するための基準値であり、工場や事業所がまもるべき数値

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環境分野の基本計画

環境基本法 環境基本計画

循環型社会形成推進基本法 基本計画

廃棄物処理法 基本方針

各種リサイクル法 資源有効利用促進法

市総合計画

市環境基本計画

都道府県廃棄物処理計画

市一般廃棄物処理基本計画

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環境基本法

92年の地球環境サミットを受けて、1993年11月制定

基本理念:

1.環境の恵沢の享受と継承

2.環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築

3.国際的協調による地球環境保全の積極的推進

本法を受けた地方自治体の法令化:

各自治体の「環境基本条例」

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環境基本計画

• 環境基本法の中で、環境基本計画の策定を環境影響評価と並ぶ重要な柱として位置づけ、国に作成を義務づけ

本計画に対応した地方自治体の計画作成:

各自治体の「環境基本計画」

「環境と開発に関するリオ宣言」の行動計画である「アジェンダ21」には、「ローカルアジェンダ21」の策定が盛り込まれており、自治体にも地球環境問題への対応で大きな役割が求められるようになった

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自治体環境基本計画の策定状況

• 国の環境基本計画(根拠法:環境基本法)に対置される地方自治体レベルの計画

自治体環境基本計画の策定状況(2006年)

44都道府県

537市町村

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自治体施策体系と環境施策

台東区の事例から(長期総合計画)

Ⅰ にぎわいと活力のまち

Ⅱ いきいきとした個性あるまち

個性あるまちづくり うるおいのある生活環境づくり学びと交流の仕組みづくり

Ⅲ 暮らしやすいまち

Ⅳ 区民の活動と区政の推進

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うるおいのある生活環境づくり

台東区の事例から(長期総合計画)

1.快適で美しい生活環境の創出

生活環境・自然環境の保全 まちの美化推進

2.循環型地域づくりの推進

ごみの発生抑制 リサイクルの推進

3.持続可能な都市環境づくりの推進

ヒートアイランド・地球温暖化対策 環境学習の推進

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埼玉県による環境保全の枠組み設定

埼玉県のエコアップ宣言 2002年4月スタート

埼玉県生活環境条例に基づく大規模事業者に対する枠組み規制

・環境負荷低減計画「エコアップ宣言」の作成・提出・公表の義務づけ

・CO2削減、ごみ排出抑制などの取り組み計画

・事業者による「環境負荷低減主任者」の選任

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埼玉エコアップ宣言の運用の仕組み

事業者

②環境負荷の現状把握

①エコアップ宣言の取組決定

⑤取組状況の確認・点検

(CHECK)

③エコアップ宣言の作成

(PLAN)

④宣言に基づく取組(DO)

⑥取組結果の評価・見直し

(ACTION)

県に提出 公表

県・社会

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埼玉エコアップ宣言提出事業所数

304 308

405362

0

100

200

300

400

500

2002 2003 2004 2005年度

事業所

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東京都の地球温暖化対策計画書制度

2002年4月 東京都環境確保条例施行

地球温暖化対策計画書制度施行

2005年4月 改正東京都環境確保条例施行

現在の地球温暖化対策計画書制度施行

対象:エネルギー使用量が原油換算で年間1500kl以上の大規模事業所(工場、業務用ビル、百貨店、ホテル、学校など1300事業所)

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東京都対策計画書制度の特徴

2段階の計画書提出

対象事業所に対して計画書案と最終計画書の2段階の提出義務づけ

①計画書案(8月末提出)に基づき都が指導助言

②都の指導助言を踏まえて、事業所は再シュア的な計画書を提出(12月末)

③提出された計画書を都が評価し、評価結果を公表

④3年度目、6年度目に実績書を提出、都が評価・公表

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東京都の地球温暖化対策計画書制度

• CO2の削減について、対象事業所の計画と結果を5段階で格付け評価し、これを公表する

• 評価基準

AA A+ A B C

●取り組みについて都が指導・助言する

指導・助言前 A以上48%

指導・助言後 A以上98%に上昇

情報の不完全性の克服

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自治体自身に求められる新たな役割

• 環境マネジメントの導入

ごみ減量・リサイクル推進

省エネ

節水

その他の環境配慮行動

• グリーン購入

• 温暖化防止に関する率先行動計画の策定

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PDCAサイクルによる環境マネジメント

Do

取組

Check

点検

Action

見直し

Plan

計画策定

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自治体環境施策のPDCAサイクル

PLAN

DO

環境基本計画など上位施策における方向付け

・施策に期待する効果の整理・コスト、住民ニーズなどの検討

・庁内関係部局、住民・事業者との合意形成・施策の検討・実施

ACTION

上位施策における見直し市町村合併等に伴う体制再編

・施策による効果の評価・施策による負の影響の有無や変化を確認

・施策の改善、見直しの実施

CHECK

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縮小する行政の役割

0

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40

60

80

100

120

140

160

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

年度

千人

0

1

2

3

4

5

6

7

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10兆円

自治体の環境関連事務の定員

自治体の環境保全経費

国の環境保全経費

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求められる協働の取り組み

• 環境分野の問題領域の拡大と多様化により、国や自治体が基準や方針を決めて実行する従来のシステムでは十分な対応ができない。

• 市民、事業者、NPOなど様々な主体が目的に応じてパートナーとなり、相互に役割分担し、協働しながら取り組んでいくことが必要とされる。

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今後の課題

1.総合的な政策手法の開発

2.地域住民やNPOとの連携

3.住民との情報共有とコミュニケーション