19
1

eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

1

Page 2: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

2

Page 3: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

よくある例として、中央検査機関での検査を用いた治験の場合を図式化しています。

• 治験責任医師は症例報告書(治験分担医師作成分も含む)について記載ミス・矛盾点等がないように内容を点検し、記名押印または署名した上で治験依頼者へ提出します。(eCRFの場合は電子署名した上でEDCベンダーのサーバーを介して治験依頼者へ提出します。)

• 中央検査機関により測定された検査結果は治験担当医師へ随時報告されます。治験担当医師は報告毎に検査結果を随時確認し、被験者の安全性について確認することが必要です。また、治験担当医師は全検査結果をいつ確認し、どのように判断したかについて、後日検証できるよう記録しておく必要があります。なお、中央検査機関で測定された検査データは検査機関から治験依頼者へ提供され、治験依頼者のデータベースに直接取り込まれます。

【引用等】

• GCP第47条

• 臨床試験データの電子的取得に関するガイダンス 2007 年11 月1 日 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会

3

Page 4: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデータチェックにより齟齬がないか確認すること」の2点が協力し合ってはじめて品質が維持されたデータが出来上がります。

出来上がったデータは治験依頼者のデータベースに集積された後、データに齟齬がないか確認の上、統計解析結果として総括報告書に結果が記載されます。また、総括報告書は当局への申請データの一部となり、最終的には薬剤の添付文書やラベルの記載として医療関係者、患者さんの手元へ運ばれます。

【症例報告書のデータに齟齬が生じると何かが起こるか】

症例報告書のデータに齟齬が生じた場合には添付文書やラベルに誤った情報が記載され、薬剤の不適切な使用につながる恐れがあります。

(例)

100例の治験結果において、ひとつの有害事象の記載を見過ごしてしまった場合を想定すると、1/100=1%の発現確率として添付文書に掲載されるべき事象が抜けてしまうことになります。この状況で市販後に10000人が使用したとすると、100人に影響を及ぼす可能性のある有害事象データが抜けたことになります。

4

Page 5: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

症例報告書には紙ベースのものと電子ベースのものの2種類があります。

過去は紙のCRFが主流でしたが、2006 年~ 2007年頃から盛んに実施されるようになった国

際共同治験での必要性、治験業務の効率化・生産性向上の側面から外資系の製薬会社によりeCRFが広がり、現在ではeCRFが主流になっております。

【紙のCRFとeCRFの特徴】

• eCRFのKey wordは「タイムリーな対応」です。実施医療機関から治験依頼者へのデータの転送はeCRFでは瞬時に電子的に行われますが、紙のCRFでは治験依頼者が実施医療機関を訪問し、回収していました。紙のCRFでは実施医療機関訪問のアポイントがいつ取れるかにも依存して「手待ちのムダ」もありましたが、eCRFでは走り始めると時間的な猶予はないに等しく、実施医療機関にはデータの入力期限が設定され、いち早く正しい情報をeCRFに入力することが求められます。

• 紙のCRF時代に生じた非効率さが作業時間の猶予、治験進行中に発生する入力方法の確認等に対して議論する時間を作っていた側面もあります。eCRFでは、治験依頼者も、入力

を行う実施医療機関の治験スタッフも、事前に入力マニュアルやインストラクションを正確に理解し、徹底できなければ、本来意図しないデータが入力されたり、入力方法が統一されないデータが収集されたり、データの質に影響を及ぼすこととなりますので、マニュアルやインストラクションの事前学習は必須です。

• eCRFでは小さなミスであれば入力時にポップアップがでて誤入力を防ぐことができたり、治験依頼者が実施医療機関を訪問前にCRFの入力状況や不整合に関する問い合わせを済ませた上でSDVができるため、SDVにかかる時間も短くなり治験スタッフが長時間モニター

の対応につきあわなくても良くなっており、治験スタッフおよび治験依頼者ともに効率的に業務を進めることができます。

【引用等】

• GCPガイダンス第47条

• 第6回EDC時代のデータマネジメント 小宮山 靖 Clinical Research Professionals No.242011年6月号 5

Page 6: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

• eCRFの場合、試験開始前にはトレーニングとcertificationの取得が必要です。集合型トレーニングやCD-ROMによる自己トレーニング等方法は様々ですが、実施前に必ずトレーニングを終えていることが重要です。トレーニング終了後、eCRFのア

カウントやパスワードが各個人へ配布されますが、入力の際や電子署名にも使いますので、個人で適切に管理することが必要です。

• eCRFへのアクセスログは電子的に記録され、ログイン履歴や操作の記録は監査証跡として全て残りますので、他人のアカウントやパスワードの使用は厳禁です。データに疑義が生じ、eCRFのアクセスログにも疑義が生じた場合には、施設全体の

治験の質が疑われ、せっかく被験者さんにご協力頂いたデータが使用できなくなる恐れもあります。また、ユーザ認証は適切に管理する必要がありますので、人事異動などで医師・CRCが担当から離れる場合は、アカウントを削除するよう治験依頼者に伝達することも忘れないようにしましょう。

【引用等】

• PMDAの「EDC調査チェックリスト医療機関用」http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/outline/shinrai/checklist.html

<関連する治験119:質問番号2010-58 EDCトレーニング修了証の位置づけ>

6

Page 7: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

紙の症例報告書の場合は、署名・印影一覧表の記載と一致した署名や押印がされていなければなりませんので、異なったものが記載されていないか確認することが必要です。なお、治験によっては署名・印影一覧表の代わりにDelegation logの一部に署名・印影が残せるようなフォームを作成し、Delegation logと署名・印影一覧表が同一書式で運用されることも多いです。

【署名・印影一覧表とDelegation log】

署名・印影一覧表は治験責任医師、治験分担医師、必要に応じ治験協力者の署名及び印影を示した文書となりますが、Delegation logは署名及び印影に加え、治験責任医師が治験の

重要な業務の権限を治験分担医師や治験協力者に委譲する場合、委譲した具体的な業務を記載してそれを治験責任医師が承認したことを示した文書となります。(参考:「治験担当医師の業務に関するトレーニング」の「署名印影一覧表の作成」)

<関連する治験119:質問番号2010-52 電子CRF利用治験における署名印影一覧の必要性>

<関連する治験119:質問番号2012-48 事務担当者による症例報告書へのデータ入力>

<関連する治験119:質問番号2012-52 治験協力者による症例報告書への署名の必要性>

7

Page 8: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

タイムリーなデータ入力がされることで、被験者に問題が起きていないかを常にチェックすることが可能であり、問題が発生した場合には早期に発見し、早期対応することができます。また、問題が発生する前に予防措置を講じることもできます。結果的には「被験者の安全性の確保」や「データの品質の向上」につながり、これらはGCP省令第1条の倫理性及び科学性にもつながりますのでタイムリーにデータ入力することを心がけましょう。

【被験者の安全性の確保のためにタイムリーなデータ入力がなぜ必要か】

• 適格性に関するデータを確認することで治験参加が適切ではない被験者がエントリーされているかどうかを早期に発見することが可能であり、不適切な症例がエントリーされている場合には当該被験者の治験を中止し、被験者の安全性の確保が可能となります。

• 治験中の重篤な有害事象の発現や発生頻度の高い有害事象の発現を早期に発見することが可能であり、治験参加施設への安全性情報の提供や治験依頼者の試験の継続可否の判断が早期に可能となります。

【データの品質の向上のためにタイムリーなデータ入力がなぜ必要か】

• 発生頻度の高い逸脱やデータの誤入力などを早期に発見することが可能であり、同様な事例の再発防止のための対策を行うことでデータの品質向上につなげることが可能となります。

• 治験依頼者によるデータレビューにより未入力データや一貫性が欠けるデータなどを早期に検出し、クエリーによる問い合わせが可能であり、実施医療機関においてクエリー(治験依頼者から症例報告書の内容に関する施設への問合わせ全般のこと)に対して早期に対応することによりデータの品質を向上することが可能となります。(例えば、未入力データが、実施漏れによるものであった場合、許容範囲で検査を実施することでデータの欠測を防止することができる。一貫性に欠けるデータなどで被験者に問い合わせが必要である場合、実施後早期であれば被験者の記憶も新しいために正確な回答を得ることが可能であり、その後の対応を適切に行うことができる。)

8

Page 9: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

正しく統一されたデータ入力方法や原資料特定のすり合わせを十分実施した上、初回の入力をより適切に行うことが後々の品質にも影響します。そのため、不明点があれば、事前に実施医療機関における入力者と治験依頼者がすり合わせを行い、入力方法や対応方法にについてお互いが合意しておくことが必要です。

• 症例報告書に入力されたデータは、入力時のポップアップやロジカルチェックによる問い合わせが行われ、適切な入力方法となっているかが確認されます。

• 有効性評価、有害事象、併用薬に入力ミスを疑う点がないか、有害事象や併用薬内容に不明な点がないか、等も確認され、クエリーによる問い合わせが発行されます。

• StudyレベルからDataレベルのシステム上のレビューは逐次問い合わせが発行されますが、ヒトの目によるレビューはデータ全体を俯瞰してみて問い合わせが発行されることもあります。

【引用等】

第6回EDC時代のデータマネジメント 小宮山 靖

9

Page 10: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

EDCを用いたデータレビュー方法としてはエディットチェック、ロジカルチェック、目視チェックが行われます。

【エディットチェック】

DataレベルやVisitレベルで行われるチェックであり、EDCへのデータ入力時にタイムリーに行われ、その主な目的は入力ミスの検出となります。

【ロジカルチェック】

SubjectレベルやStudyレベルでのチェックであり、EDCのデータだけでなく、検査データや登録データなどすべてのデータを格納したCDMSの中で行う整合性チェックなどが該当します。これはエディットチェックよりも複雑なコンピュータアルゴリズムによるチェックを行うことができます。

【目視チェック】

SubjectレベルやStudyレベルでのチェックでありコンピュータアルゴリズムが設定できない場合、

または設定はできるがあまりにも複雑なコンピュータアルゴリズムとなってしまう場合に、チェックリストを用いた目視によるチェックが行われます。チェックの結果に基づいて治験施設へ問い合わせを行うことがあります。

10

Page 11: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【Dataレベルのエディットチェック】

• データの入力が必須な項目としているものにデータが入っていない場合にチェックがされる入力必須項目チェック

• 通常ありえないような数値などをチェックする範囲チェック(収縮期血圧300mmHg超の場合や心拍数が30/分の場合など)

• 日付など色々な形式での入力方法があるが、統一した方法で入力されてコンピューターに認識させることができるデータ形式になっているかをチェックするフォーマットチェック(2014年10月1日を2014/10/01と入力すべきを2014-10-01と入力されている場合や半角で入力すべきを全角で入力されている場合など)

【Visitレベルのエディットチェック】

同じフォーム内にある項目で項目間での整合性があるかどうかをチェックするような関連性チェ

ック(選択肢で「その他」が選ばれているのに詳細欄に入力がない場合や収縮期血圧よりも拡張

期血圧の方が大きい場合など)があります。

【ロジカルチェックや目視チェック】

「併用薬の併用理由が入力されているが、対応する合併症や有害事象がない場合」や、「記載されている併用理由がもともとの併用薬にはそのような適応が存在しない場合」、「臨床検査値の変動と有害事象発現との関係に不整合がある場合」などがあります。

11

Page 12: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

データ入力された内容は、定期的に治験依頼者によりレビューされています。主には、「①安全性情報」、「②対応時間やクエリー数などのパラメーターからの試験進捗確認」が注目されています。

【安全性情報に関するレビューとして】

① 安全性データを見直し、治験継続の妥当性を治験依頼者として判断する

参加された被験者さんの安全性を確保するためのものですので、タイムリーにeCRFにデータ入力を行い、随時予期しない傾向がないか等について治験継続の妥当性を確認することが大切です。

② 重篤な有害事象報告として報告されている内容とCRF入力情報の齟齬を確認する

治験依頼者では、重篤な有害事象報告の報告遅延を防ぐため、CRFと重篤な有害事象報告内容の確認も定期的になされます。報告遅延につながらないよう、常に様式12に齟齬がないようにしなくてはなりません。特に、CRFにデータ修正が加わった際に、様式12に反映すべき内容なのか確認することが必要です。

【試験進捗の確認として】

データ入力タイミングやクエリー数等のデータは実施医療機関のメトリクス(指標)として分析し、必要に応じた問題点の洗い出し、データの質の改善に利用されます。具体的には「CRCとモニターのコミュニケーションがうまくいかず、モニターが訪問して立ち会わないとCRF入力が進んでいなかった」などのモニタリングでの問題点の洗い出しや、「

自立した対応が期待できない」などの実施医療機関としての評価指標として、今後の施設選定時の参考資料に使用されます。クエリー回答方法に迷い、対応が遅れることもあるかと思いますが、気負わず対話と考えて回答することも必要です。クエリー回答によっては、原資料やそのほかの資料に修正が必要なこともありますので、修正対応も忘れないようにしましょう。

12

Page 13: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

実施医療機関で自発的に適切な入力ができるようになれば、治験活性化計画にて治験業務の効率化のために提言されているリモートモニタリングやRBMが実施可能となります。また、実

施医療機関でのタイムリーで正確な入力が可能であれば、治験依頼者のモニタリング方法もリモートモニタリングおよびRBMを取り入れた形へ移行しやすくなり、結果的に治験依頼者のモニタリングへの対応に費やす実施医療機関の負担軽減にもつながります。

【リモートモニタリング】

モニターが施設外から施設のシステムにアクセスすることによってデータを確認する活動を指します。

【RBM】

治験の目的に照らしたデータの重要性や被験者の安全確保の観点で、当該治験の品質に及ぼす影響を評価し、それらのリスクに基づいてモニタリングを実施する手法を指します。

【引用等】

• 臨床研究・治験活性化5か年計画2012(平成24年3月)

• リスクに基づくモニタリングとは 医薬品評価委員会 データサイエンス部会 小宮山 靖JPMA News Letter No.157(2013/09)

• モニタリングの効率化に関する提言 2013年 4月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会臨床評価部会

13

Page 14: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【SDVによる出口管理】

治験データの作成プロセスに対して十分なプロセス管理がされないため、作成方法や品質管理などデータの作成を行う個人に依存してバラバラであり、無駄も多く、エラーに対する根本的な解決方法もないままにデータが作成されます。また、それらのデータに基づいて作成されたCRFについては最後にまとめてオンサイトモニタリングにて検査(SDV)が行われます。そのため

、問題を即座に発見したり再発防止したりすることはできず、発見された問題に対しては事後的な対応が必要となります。

【プロセス管理】

データ作成プロセスを適宜評価し、そのプロセスに問題があった場合には改善を行うことでプロセスの最適化を行います。これにより、同様の問題が繰り返し発生することなどを防ぐことが可能となります。

【重要ポイント】

プロセス管理のかなめである「プロセスを適宜評価・改善する」には、実施医療機関における品質管理(自己QC)が重要です。

【引用等】

• 治験の効率的実施を目指した医療機関での品質管理-治験依頼者の視点から-(2011年6月)日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会〔タスクフォース1〕

• 症例報告書の記載とEDC日本製薬工業協会医薬品評価委員会 臨床評価部会白井 利明

• リスクに基づくモニタリングとは 医薬品評価委員会 データサイエンス部会 小宮山 靖JPMA News Letter No.157(2013/09)

14

Page 15: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

ローカルデータマネージャー(LDM)は実施医療機関におけるデータ品質管理を担う責任者です。

2010年12月時点のLDMに関する調査結果として、下記の報告がされております。

• LDM を配置している実施医療機関は11%(16/149 施設)でした(治験の効率的実施を目指した実施医療機関での品質管理 付録2:設問30参照)。

• 企業治験を担当するLDM は10 施設、医師主導治験を担当するLDM は4 施設、臨床研究を担当するLDM は8 施設に配置されていました(治験の効率的実施を目指した実施医療機関での品質管理 付録2:設問31 参照)。

【引用等】

• 新たな治験活性化5カ年計画(平成19年3月)

• 治験の効率的実施を目指した医療機関での品質管理-治験依頼者の視点から-(2011 年6 月)日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会〔タスクフォース1〕

15

Page 16: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

ローカルデータマネージャーの取組みにより、以下の効果があがっていると報告されており、ローカルデータマネージャーは実施医療機関における業務効率化や品質向上のための鍵を握る役割と考えられます。

• 原資料記録段階のエラーが削減できた。(記録の不備などについてのLDMからのフィードバックによるCRC /医師の業務のエラー(ミス)の削減)

• CRF 作成時のエラーが削減できた。(専門化することによるCRF 作成要領に従った記載が可能)

• EDC 操作熟練により、入力効率が向上した。

• 被験者来院からCRF 作成完了までの期間が短縮された。

• CRC 業務のスリム化が図られ、CRC 一人あたり担当治験数が増加した。(LDM がCRF 作成関連業務を分担したことによる)

• 治験依頼者とのスムーズな連絡体制が構築できた。(CRC と異なりLDM は執務室内での業務が多いため治験依頼者からの連絡を確実に受けることができる)

【引用等】

• 治験の効率的実施に向けた品質管理プロセスに関する提言 2012 年4 月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会

• 治験の効率的実施を目指した医療機関での品質管理-治験依頼者の視点から- 2011年6月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会

<関連する治験119:質問番号2011-46 原資料の特定 - 症例報告書に直接記入されかつ原データと解すべき資料>

16

Page 17: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

「治験の効率的実施に向けた品質管理プロセスに関する提言」で公開されている「治験データの記録プロセス確認リスト」です。

この他にも、実際に使用可能なツール類もありますので、参考になるかと思います。

【引用等】

• 治験の効率的実施に向けた品質管理プロセスに関する提言 2012 年4 月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会

(http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/allotment/chiken_process.html)

17

Page 18: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

【重要ポイント】

紙のCRFであっても、eCRFであっても、治験終了後契約書に定められた一定期間保管する義務があります。なお、CRFを電子的に保管する場合、「契約書で定められた一定期間保管=いつでも中身が見られる状態」を指すため、パスワードの紛失によりファイルが開かなくなるなどの問題が起きないように注意が必要です。

• eCRFの場合は、すべての変更・修正記録を含んだ最終的な電子データを保管します。そのため、実施医療機関保管分の最終版のeCRFは書き換え不能な電子媒体(CD-ROMなど)に保存され、試験終了後に実施医療機関へ送付されます。また、電

子媒体送付の際にパスワードも一緒に送付されることが多いですが、場合によってはパスワードを入手する別手続きが必要な場合があります。そのため、CD-ROMに保

存されているファイルを開くことができるかを確認した上で治験依頼者への受領確認を行う必要があります。これにより一連の作業が終了となります。

18

Page 19: eCRF - JPMA...【重要ポイント】 「①治験担当医師、CRCが適切な業務分担を行い、タイムリーにもれなくデータを入力 し、治験責任医師が該当施設のデータに責任をもつこと」、「②治験依頼者のSDVやデ

19