199

11.

616.61-002.53-073.75

腎臟 結 核ニ 於 ケ ル「ピエ ロ グ ラ ム」ノ研 究

(第1報)

岡山醫科大學皮膚科泌尿器科教室(主 任根岸教授)

副手 醫學士 江 原 敏 夫

同 福 井 朋 安

[昭 和12年10月11日 受 稿]

Aus der Dermato-Urologischen Klinik der Medizinischen Fakultat Okayama.

(Vorstand: Prof. Dr. H. Negisi)

Uber das Pyelogramm der Nierentuberkulose.

(I. Mitteilung)

Von

Dr. Tomoaki Fukui u. Dr. Tosio Ehara.

Eingegangen am 11. Oktober 1937.

Der Verfasser hat den Flachenraum der Nierensubstanz an 10 Fallen von normalen

Nieren und an 26 Fallen von Nierentuberkulose auf einem Pyelogramm mittelst eines

Planimeters gemessen. Das Resultat war folgendes:

1) Der durchschnittliche Flachenraum der normalen Nierensubstanz betragt 48,48

cmcm2 auf der rechten Seite und 48, 58 cmcm2 auf der linken. Die Differenz zwischen deu

beiden Flachenraumen ist 0,10cmcm2.

2) Bei Nierentuberkulose:

a) Im Fruhstadium betragt der Flachenraum der gesunden Seite 47,61cmcm2 und

der der erkrankten 46,34cmcm2, d.h. der erstere ist um 1,27cm2 grosser als der letztere

und der erstere ist um 0,92cmcm2 kleiner als der der normalen Niere. Der Verf. kon-

statierte, dass die Flachenraume der gesunden und der erkrankten Seite keine grossere

Abweichung aufweisen.

b) Im Stadium der vollen Entwicklung ist der Flachenraum der gesunden Seite

52,92cmcm2 und der der erkrankten 45,67cmcm2, der erstere ist also um 7,24cmcm2 grosser als

199

200 江 原 敏 夫,福 井 朋 安

der letztere, auch ist der erstere um 4,73cmcm2 grosser als der der normalen Nierensub-

stanz. Aus dieser Tatsache geht hervor,dass der Flachenraum der Niere in diesem

Stadium eine deutliche Verkleinerung auf der erkrankten Seite und eine kompensa-

torische Hypertrophie auf der gesunden aufweisen.

c) Im Endstadium ist der Fiacheuraum der Niere sowohl auf der gesunden

und als auch auf der erkrankten Seite sehr variabel, was auf die Hochgradigkeit und

Mannigfaltigkeit der pathologischen Veranderungen der Niere zuruckzufuhren ist.

(Autoreferat)

目 次

第1章 緒 言

第2章 使用材料

第3章 面 積測定法

第4章 健康腎實質 ノ面積

第5章 結核腎實質 ノ面積

第1節 結核腎 ノ病變分類

第2節 初期結核腎實質 ノ面積

第3節 完成期結核腎實質 ノ面積

第4節 末期結核腎實質 ノ面積

第5章 總括竝ニ 考按

第7章 結 論

第1章 緒 言

1906年Voelcker und Lichtenbergガ 始

メテ「ピエロ グ ラフィー」ヲ施 行 シ,次 デ1911

年Lichtenberg und Dietlenガ 之 ヲ腎臟 結

核 診 斷ニ 實際應 用 シテ ヨリ,其 ノ後幾 多諸 家

ノ檢討ヲ 受 ク之 等 ノ結 果 ニ ヨ リ 「ピエ ログ ラ

フイー」 ガ腎臟 結核ニ 對 シ何 等 危險ヲ 伴 フ事

無 ク且 腎臟 結核 診斷 上缺 ク可 カ ラザ ル者 トサ

レテ ヨ リ今日 盛 ンニ之 ガ利 用 セ ラル ルニ至 リ

タ リ.「 ピエ ログ ラム」ニ投 影サ レタ ル腎臟 ノ

測定 學 的觀察ニ 就 テハ先ニ 並 木氏 等 ニ ヨリ腎

盂面 積 ガ「ブ ラニ メ ー タ」ヲ用 ヒテ測 定 サレ タ

リ.余 ハ健 康 腎竝ニ 結 核 腎 ノ「ピエ ログ ラム」

ニ就 キ造影 劑 ノ注 入 セザル 部分 即チ 腎實 質 ノ

面 積 テ測 定 シ健 康 腎 竝ニ 結 核 腎 ノ相 互 關係 及

ビ結 核 腎 ノ病變 程 度 ニ ヨリ生 ズル 腎實 質 ノ變

化ヲ 觀 察 セ ン ト試ミ タ リ.

第2章 使 用 方法

測定ニ 供セシ「ピエログラム」ハ,最 近我教室 ニ

テ得 タル「ピエ ロ グ ラム」中腎臟 ノ境 界 竝ニ 造影 劑

浸入 部 ノ映 像 ノ明瞭 ナル モ ノ36例 ヲ選ビ タ リ.此

36例 中 健康 腎 ト思ハ レル モ ノハ10例ニ シテ 他 ノ

26例 ハ結 核 腎ニ屬 ス.之 等 結核 腎 ヲ後 述 ノ如 キ分

類法ニ ヨ リ分類 スル ニ,初 期ニ屬 スル モ ノ6例,

完 成期ニ 相 當 スル モ ノ8例,末 期ニ 屬 スル モ ノ12

例 ナ リ.

第3章 面 積 測 定 法

面 積 ノ測 定法 トシテ 次ノ3方 法 ア リ.

a: Quadratmillimeterpapierヲ 用 フル 方 法 ニ

シテ其 ノ方 法極 メテ繁雜 幼稚 ナ ル爲 誤差 モ亦 甚 ダ

大 デアル.

b: Graphicintegrationノ 方 法 ニ シテ,之 ハ

測 定 セ ン トスル對 象ニ 依 リテハ良 法 ナル モ,「 ピ

エ ロ グ ラム」 ノ如 キ複雜 多 岐 ナル モ ノニ對 シテ ハ

充 分精 密 ナル結 果 ヲ得 ル 事難 シ.

c: 之 ハPlanimeterヲ 用フ ル方法ニ シテ,之

200

腎臟 結核 ニ於 ケル「ピ エロ グ ラム」ノ研究(第1報)201

ニ依ル 時ハ如 何 ニ複雜 多様 ナ ル モ ノニ ア リテモ 充

分 ナル 熟練 ト數囘 反 覆 測定 シ タル 結 果 ノ平均 値 ヲ

トレバ,殆 ド數 學的 正確 サ ヲ得 ル.Planimeterハ

1ツ ノ長脚兩脚 器 ニ シテ,2ツ ノ長 脚 ハ 一端 ニテ

結 合サ レ,一 方 ノ長脚 ノ他端 ハ机 上 ニ固定 サ レ他

ノ長脚 ノ他端 ニハ指 針 ヲ有 シ,測 定 セ ン トスル 圖

形 ノ輪廓 ヲ辿 ツテ之 ヲ1周 スレ パ其 ノ(+)(-)

兩方 向 ヘ ノ移 動 ハ齒 車 上 ニ直接 明 示サ レル如 クナ

ル.通 常 最モ 多 ク用 ヒラルル ハAmslerノPlani-

meterニ シテ余 ハ コ ノNo.4ヲ 使 用 シ タ リ.此 際 面

積 ノ測定 ハ5囘 之 ヲ行 ヒ,其 ノ平均 値 ヲ ト リタ リ.

又 面積 ハ0.01cmcm2迄讀 ミ得 ル ナ リ(爲 眞 参 照).

第4章 健康 腎 實質 ノ面積

健 康腎10例 ヲ測 定 シ得 タ ル面積ヲ 左右 ニ

ヨ リ其 ノ大 小ヲ 比 較 スル ニ,右 側腎 實質面 積

ノ他側 ノ ソ レヨ リモ大 ナ ルモ ノ5例,左 側腎

實質 面積 ノ他 側 ノ ソレヨ リモ大 ナ ルモ ノ5例

ヲ示 ス.前 者 ノ5例 ニ於 テ ハ,右 側腎 實質面

積 ノ平均 値 ハ51.27cmcm2ニ シテ,左 側 腎 實質 面

積 ノ平 均値 ハ47.01cmcm2ヲ 示 シ,左 右 面積 差 ノ

平均値 ハ4.26cmcm2ナ リ.又 後者 ノ5例 ニ於 テ

ハ右 側腎 實質面 積 ノ平 均値 ハ45.69cmcm2,左 腎

實質 面積 ノ平均 値 ハ50.16cmcm2ニ シテ,其 ノ

平均面 積 差 ハ4.46cmcm2ナ リ.又 全例 ニ就 キ其

ノ腎 實質 面積 ヲ比 較 スル ニ,右 側腎 ニ於 テハ

48.48cmcm2,左 側腎 ニ於 テ ハ48.58cmcm2,夫 々平

均値 ヲ示シ 其 ノ差 ハ僅 ニ0.10cmcm2ヲ 示 スニ過

ギズ.即 チ健 康腎 ニ於 テハ「ピエ ログ ラム」上

腎 實質 面積 ハ個 人ニ ヨ リ多 少 ノ大 小 アルヲ 認

メ ラルル モ全體 的 ニ見 テ左右 ニ ヨ リ大 差 ナ キ

モ ノノ如 シ(第1及 ビ2表 参 照).

第1表

第2表

201

202 江 原 敏 夫,福 井朋 安

第5章 結 核 腎實 質 ノ面積

第1節 結 核 腎 ノ病變 分 類

腎臟 結核 ノ「ピエ ログ ラム」上ニ 現 レタ病變

ニ 就 キ,余 ハPerlmann,志 賀氏 等 ノ分 類法

ニ做 ヒ次 ノ各 群ニ 分類 セ リ.

1. 初 期病 變 乳 頭尖端,腎盞穹窿 部 ガ破

壞 サ レ正 常腎 盞 ノ影像 ガ不規 則,不 明瞭 トナ

リ,所謂蟲 蝕形 トナ リ,或 ハ破 壞 ガ進 行 シ稍 々

大 トナ レバ,腎 盞 ノ影像 ハ肥大膨 隆 シ小 ナル

塊 ノ如 クナル.斯 ノ如 キ腎盞 ノ變 化 ガ1-2箇

現 レテ來 ル場合ヲ 此 群ニ 屬 セ シム.而 シテ斯

ノ如 キ病變 程 度ニ 於 テ コソ 「ピエ ログ ラフ イ

ー」 ガ腎臟 結 核 ノ早期 診 斷 トシテ重 要 ナ ル意

義 ヲ持 ツモ ノナ リ.

2. 完成 期 次 デ病 變 進行 シ來 リ,數 箇 ノ

乳 頭 或 ハ全 乳頭 ガ崩 壞缺 損 シ,更ニ 進 ンデ腎

實 質ニ 迄 病 變 ガ及ビ,コ コニ相當 大 ナル空 洞

ヲ形成 スル.カ カ ル場 合「ビエ ログ ラム」上 ニ

テ ハ空 洞ニ 相 當 セル影 像ヲ 生 ジ,其 ノ形状 モ

鋸 齒状 ノ塊ヲ 成 シ不規 則 ナ輪 廓ヲ 示 ス.或 ハ

此 空洞 ノ影像 ハ腎盂ニ 接 近 シ,又 之ト 細 長 キ

柄 ヲ以 テ連結 スル.腎盂 モ亦 正常 ナル形 ヲ失

ヒ,多 少擴 張 シ輪廓 ハ波 状ヲ ナ シ不分 明 トナ

ル..或 ハPermannノ 云 フガ如 ク腎盂 ハ垂 直

位ニ 傾 キ輸 尿 管 モ亦 腎盂 ノ最下端 ヨ リ發 生 ス

ルガ如 クナ リ所 謂腎盂 曲線 ノ消 失ヲ 見 ル様 ニ

ナル.

3. 末期 空洞 形成 ガ腎 實質内ニ 進 捗 シテ

腎 實質 ノ大 部 分 ガ多數 ノ空 洞變 性ニ陷 リ大小

種 々ナ ル圓形 或 ハ不 正 圓形 ノ空 洞 ヲ 多數 生

ジ,之 等 ノ中ニ 造 影劑 ガ浸 入 スル 爲葡 萄状 ノ

影 像 ヲ生 ズ.空 洞 壁 ガ乾酪 變 性ニ 陷ル時 ハ不

規則鋸齒状 トナリ,其 ノ輪廓不明瞭 トナル.

之ニ反シ空洞壁ガ結締織性變化ヲ起ス ト影像

輪廓ハ反ツテ明瞭トナル.空 洞内ニハ壞死性

乾酪様物質ガ充タサレテ居ル.而 シテ其ノ部

分ニハ造影劑 ノ浸入ヲ見ナイ爲ニ,「ピエログ

ラム」上ニ於テ其ノ部ニ相當 シ充填缺損ヲ生

ズル.腎盂 ハ擴張シ或ハ腎實質 ノ空洞ト合致

シテ結核性腎濃腫 ノ如キ型 ヲ示ス.又 却ツテ

腎盂ハ萎縮 シ狹小 トナルモノアリ.又 漆灰腎

ノ如キハ腎實質全體ガ空洞變性ニ陷 リ内容ガ

濃稠ナ乾酪様物質 ト成 リ,且 夫 レニ石灰化ヲ

來セルモノニシテ 「ピエログラム」上ニテハ

屡々全腎實質ヲ占ムル不規則ナル形ヲシタ多

數ノ石灰化セル空洞ノ影像ヲ現 ス.

第2節 初期結核腎實質ノ面積

初期ニ相當セル6例ニ 就キ測定セル結果ヲ

見ルニ,1例ヲ 除ク他ノ5例ニ 於テハ患腎實

質面積ハ健腎實質面積ニ比シテ小ナル價ヲ示

ス.而 シテ其ノ平均差異ハ1.27cmcm2ニシテ著

明ナラズ(第3表 参照).又 之等患腎實質ノ平

均面積ヲ第4章 ニテ測定セル正常健康腎實質

ノ平 均面 積48.53cmcm2ニ 比 ス ルニ2.19cmcm2小

ニ シテ其 ノ差 異 又著 シカ ラズ.而 シテ健康 側

腎實 質 面積ト 正常健 腎 實質面 積 トヲ比 較 ス ル

ニ,前 者ニ 於 テ ハ後 者ニ 於 クル ヨ リ0.92cmcm2

小 トナル.

以上 測 定 セル結果 ヨ リシテ,初 期結 核 腎 ニ

於 テハ結核 性病 變未 ダ輕度 且限 局性 ナ ノレニ ヨ

リ面積 縮 小ヲ 來 サザ ル カ,或 ハ未 ダ高度 ナ ラ

ズ.而 シテ健 康側 腎 ハ未 ダ著 明 ナ ル代 償 性肥

大ヲ 起 シ來 ラズ ト思考 サ ル.

202

腎臟 結核ニ 於ケル「ピエログラム」ノ研究(第1報) 203

第3表

第3節 完成期結核腎實質ノ面積

完成期ニ相當セル8例ヲ 測定セル結果ニ就

キ考フルニ,第6例(第4表 参照)ニ 於ケル

患側腎實質ガ健側腎實質 ヨリ僅ニ大ナル面積

即チ0.22cmcm2ヲ 示 ス1例 ヲ除 ク他 ノ7例 ハ,

總 テ著 シク患 側腎 實質 ハ他 側ニ 比 シ小面 積 ヲ

示 シ,最 モ甚 ダ シキ ハ16.02cmcm2ニ シテ,其 ノ

平 均面 積 差ハ724cmcm2ナ リ.又 健 側腎 實質 平

均 面積 及ビ 患 側腎 實質平 均面積 ヲ夫 々正 常健

康腎實質平 均 面積ニ 比 スル ニ,前 者ニ 於 テハ

477cmcm2大 トナ リ後者ニ 於テ ハ2.86cmcm2小 ナ

ル値 ヲ示 ス.而 シテ結 核 腎ニ 於 テ大多數 ノ場

合 其 ノ腫 脹ヲ 認 ムル ニ拘 ハ ラズ斯 ク腎 實質 面

積 ガ小 トナ ル所 以 ノ者 ハ腎實質 ノ結 核 性崩 壞

ノ甚 ダ シキヲ 示 ス者 デ アル.又 健 康側 腎ニ 於

テハ代償 性肥 大ヲ 呈 シ來 レル者ト 思 惟 サ ル.

第4表

第4節 末期 結 核腎 實質 ノ面積

末期ニ 相 當 セル12例 中 ニ ハ第5表,第6表

ニ示 セ ル如 ク患 側腎 實質 面積 ハ健 側腎 實 質 ノ

ソ レニ比 シ著 シキ大小 ア リ.即 チ第5表ニ 示

セル6例ニ 於 テハ 著 シキ患側 腎 實質 ノ縮 小 ヲ

見 其 ノ平均 差異 ハ1098cmcm2ナ リ.之 ハ結 核 性

病變 ガ完成 期 ヨリ更ニ進 行 シ,空 洞形 成 ガ腎

實 質 内ニ 進 捗 シ腎 實質 ノ大部 分 ガ多數 ノ空 洞

變 性ニ 陷 リ,其 ノ結 果 空洞 内ニ 造 影劑 ガ浸 入

シ,「 ピエ ログ ラム」上腎實 質 ノ面 積ヲ 小 ナ ラ

シメル モ ノ ト考 ヘ ラ レ,又 健 康 側 腎 ノ代 償 性

肥 大 モ亦此 差ヲ 著 シキ モノ ニ成 シタ リ ト考 ヘ

ラル.然 ル ニ他 ノ6例ニ 於 テ ハ之ニ 反 シ患 側

腎 實質 ノ著 シキ肥 大ヲ 見,其 ノ平 均面積 差 異

ハ9.77cmcm2ナ リ.即 チ之 等6例 ハ前6例ニ 比

シ更ニ 病變 ノ進 行 ヲ示 スモ ノニ シテ,空 洞 形

成 カ ラ更ニ 進ミ 此 空洞 中ニ 壞死 性乾 酪 様物 質

ヲ充 タシ,且 其 ノ上ニ 石灰 化 ガ加ハ リ,爲 ニ

同 部ニ 造影 劑 ノ浸 入ヲ 妨 ゲ,「 ピエ ログ ラム」

上 大 ナル面積 ヲ示 スモ ノ ト考 ヘ ラル.即 チ以

上 末期 ノ12例 測定 ノ結 果 此期ニ 於 テハ 腎 臟

ノ病的變 化 ハ高 度 且種 々雜 多ナル 爲造 影劑 浸

入 ノ程 度 モ種 々 トナ リ,從 ツテ 「ピエ ログ ラ

ム」上 ノ腎 實質 面 積測 定結 果モ 雜 多 ナル面 積

値 ヲ示 ス モ ノ ト考 ヘ ラル.

第5表

203

204 江 原 敏 夫,福 井 朋 安

第6表

第6章 總括 竝ニ 考 按

以上 余 ノ測 定 セル證例 ハ其 ノ數 少 キタ メ確

言 ヲ憚 ル モ測 定結 果 ヨ リ考 察 スルニ健 康腎 實

質 面積ハ 左右 ニ ヨ リテ個 人的ニ ハ多 少 ノ差 異

ヲ認 ムル モ,總 括 的ニ ハ極 メテ尠 ク殆 ド無 キ

モ ノ ト思 考 シテ差 支 ナ カル可 シ.即 チ右 腎 實

質 面積ノ平 均 値ハ48.48cmcm2ー シテ左 腎ノ ソ

レハ48.58cmcm2ナ リ.即 チ其 ノ平 均 差 ハ僅 ニ

0.10cmcm2ニ シ テ,ソ レ丈 左 腎 大 トナ ル.著 者

ハ 寡 聞ニ シ テ未 ダ余 ノ如 キ方 法 ニ テ腎 實 質 面

積ヲ 測 定 セル 丈 獻ヲ 知 ラザ ル 爲,之 ヲ他 文 獻

ト比 較 ス ル ニ 困 難 ナ レ ドモ,多 少 之 ト關 係 ア

ル 文 獻ヲ 求 メ參 考 トシ タ ル ニ,並 木,山 ノ 内

氏 等 ハ「ピエ ロ グ ラ ム」上 ノ 腎 盂 面 積 ヲ測 定 セ

ル 結 果,右 腎 面 積Mean=13.231404±0.1367,

Standard deviation=2.22904±0.49075,

Coefficient of Variation=16.8466±0.075761,

左 腎Mean=13.008264±0.144212, Standard

deviation=2.3578±0.102234, Coefficient of

Variation=18.12±0.811091又 左 右 腎 盂 面 積

ノ差ハ0.2231±0.1987ニ シテ 何 等 有 意 義 ノ モ

ノ ニ 非 ラズ 其 ノ差 ナ シ ト云 ヒ,健 康 人 男 腎 盂

ハ一 方 大 ナ ル 場 合 ハ 他 方 モ亦 一 般ニ 大 ナ リ ト

結 論 セ リ,安 達氏 ニ ヨ レバ屍體 ヨ リ得 タル 腎

臟 ノ長 徑 ハ左 側ニ 於 テ平 均 男 子 ハ99.3mm女

子 ハ98.9mm,右 側ニ 於 テ ハ男 子97.1mm女

子 ハ92.0mmニ シ テ 男 女共ニ 左 ハ右 ヨ リ大

ナ リ.幅 長 ハ男 右56.8mm左55.9mm,女 右

52.3mm左49.3mm右 ハ左 ヨ リ僅 カ大 ナ リ.

其 ノ重量 ハ男 子右132g左146g,女 子 右119g

左131gニ シテ 男女共 左 ノ方重 シ.佐 野 氏 ニ

ヨ レバ 男ニ 於 テ ハ右121g,左139g.女 子 ニ

於 テ ハ右99g,左93gニ シテ男 子ニ 於 テ ハ左

ノ方重 ク,女 子ニ 於 テ ハ右 ノ方幾 分重 クナ レ

リ.歐 洲 人ニ 就 テ ハHelmノ 約100體 ノ材 料

ヨ リ得 タル成 績ニ ヨル時 ハ腎 臟 ノ長徑 ハ平 均

100mm乃 至120mmニ シテ,左 ハ右 ヨ リモ

大 ナ リ.腎 幅 ハBaduelニヨレ バ平 均 男55.0

mm,女50mm乃 至55.0mmナリ.而 シテ

Ooessel, Waldeyerハ 日 本人同様 右 ハ左 ヨ リ

大 ナ リ ト.

結 核腎 實質 面積ヲ 第5章 第1節 ノ分類ニ 從

ヒ各 期ニ 就 キ測 定 セル結 果 ヲ見 ルニ初 期ニ 於

テハ患 腎 ハ健 腎ニ 比 シ平均 差異 ハ1.27cmcm2小

ナ リ.又 第4章ニ テ 測 定 セル 正 常腎ニ 比 シ

2.19cmcm2小 ニ シテ孰 レモ其 ノ差 異著 明 ナ ラズ.

而 シテ健 康 側腎 實質 ト正常 腎實 質 トノ面積 差

モ前者ハ0.92cmcm2小ニシテ著シカラズ.即 チ

初期ニ於テハ結核性病變未ダ輕度且限局性ナ

ル爲面積縮小ヲ來ス事少ジ.從 ツテ他側 ノ代

償性肥大モ亦起 シ來ラザルモノ ト思ハル.完

成期ニ於テハ,8例 中7例 マデ著シク患側腎

實質ハ小面積 ヲ示ス.即 チ其ノ平均面積差異

ハ7.24cmcm2ナ リ.又 健 側腎 實質 ハ著 明 ナル 肥

大ヲ 認 ム.即 チ正常 腎實 質ヨ リ4.74cmcm2平 均

大 トナル.而 シテ結 核 腎 ノ大多數 ノ場 合 其 ノ

204

腎臟結核ニ於 ケル「ピエログラム」ノ研究(第1報) 205

腫脹ヲ認ムルニ拘ハラズ患腎ガ正常腎ニ比シ

(平 均2.86cmcm2)小 ナル値 ノ認 メ ラ レル ノハ,

腎 實質 ノ甚 ダ シキ結 核性崩 壞ヲ 示 ス ト考 ヘ ラ

ル.健 側腎ニ 於 テハ代償 性肥 大ヲ 呈 シ來 レル

モノト 思惟 サ ル.末 期ニ 於 テハ患側 腎 實質 面

積 ハ大小種 々ナル値ヲ 示 ス.其 ノ最 モ小 ナル

モノハ患側27.28cmcm2,健 側53.79cmcm2ニ テ其

ノ差26.51cmcm2ナ リ.又 其 ノ大 ナ ル モノ ハ患

側67.12cmcm2健 側51.92cmcm2ニ テ其 ノ差15.2cmcm2

ナ リ.斯 ノ如 ク大 小多 様 ナル面 積ヲ 示 スノハ,

此期ニ 於 ケル病變 ガ高度 且種 々ナ ル状態 ヲ示

ス爲 メデ アル.此 期ニ 於 テハ空 洞 形成 ガ腎 實

質 内ニ 進捗 シ腎實 質 ノ大部 分 ガ多數 ノ空洞 變

成ニ 陷 リ,其 ノ結 果造 影劑 ガ空 洞 内ニ 浸 入 シ,

腎實質 面積ヲ 小 ナ ラシメ,又 之等 空洞 内ニ 壞

死性乾 酪様 物質ヲ 充 タ シ,且 其 ノ上ニ 石灰 化

ガ加ハ リ,爲ニ 同部ニ 造 影劑 ノ浸 入ヲ 妨 ゲ,

「ピエ ログ ラム」上大 ナ ル 面積 ヲ示 ス モノ ト思

ハ ル.

第7章 結 論

余 ハ我 ガ教 室 ニ テ實施 シタ ル「 ピエ ログ ラ

ム」ノ正常 腎10例,結 核 腎26例ニ 就 キ,腎 實

質 面積 ヲ測 定 シ其 ノ觀 察 ニ ヨ リ次 ノ如 キ結 果

ヲ得 タ リ.

1. 正 常健 康腎ニ 於 テハ右 腎 ノ左腎 ヨ リ大

ナ ルモ ノ,左 腎 ノ右 腎ヨ リ大 ナル モノ各5例

ニシテ,其 ノ平 均 面積 右48.48cmcm2,左48.58cmcm2

ニ シテ其ノ平 均差 異0.10cmcm2ナ リ.即 チ正 常

腎ニ 於 テハ左 右 ニ ヨ リ其 ノ面 積ニ 大差 ナ キ モ

ノノ如 シ.

2. 結核 腎ニ 就 テハ其 ノ病 變程 度 ヲPerl-

mann及ビ 志賀 氏等 ノ分 類 法ニ 從ヒ 初期 完 成

期 末期 ノ3期ニ 分 チ各 期ニ 就 キ觀 察 セ リ.

a. 初 期6例ニ 於 テ 患 腎 ノ平 均面 積 ハ

46.34cmcm2,健 側 腎平 均面 積 ハ47.61cmcm2ニ テ平

均 差僅ニ1.27cmcm2ナ リ.又 健 側腎平 均面積 ヲ

正常平 均 面積48.53cmcm2ニ 比 スルニ0.92cmcm2

小 ナ リ.即 チ初期ニ 於 テ ハ患 腎 竝ニ 健 腎共 ニ

面積 大ナル變 化 ヲ來 サ ズ.

b. 完 成期8例ニ 於 テ患側 腎平 均 面積 ハ

45.67cmcm2,健 側 腎平 均面 積52.91cmcm2ニ シテ

平 均7.24cmcm2患 腎 ノ方 小ナ リ.又 正常 腎面 積

48.53cmcm2ト 健側ヲ 比 スル ニ,後 者ハ 前 者 ヨ リ

4.73cmcm2大ナ リ.即 チ完成期ニ 於 テハ患 側 ノ著

シキ縮 小ヲ 認 メ,健 側 ノ代償 性 肥 大ヲ 來 セ リ.

c. 末期12例ニ 於 テ ハ,其 ノ面 積 ハ第

5,第6表ニ 示 ス如 ク大小不 動 ナ リ.即 チ此 期

ニ於 テ ハ腎 臟 ノ病 的變 化高 度 且多 種多様 ナ ル

ヲ示 スモ ノナ リ.

附記 稿 ヲ終ルニ當リ恩師根岸教授 ノ御懇篤

ナル御指導 ト御校閲 ヲ深謝 ス.

文 獻

1) 安 達,臺灣醫 學 會雜 誌,第239號. 2)Joseph, Die Harnorgane im Rontgenbild. 3)

Lichtenberg, Voelcker, Wildbolz, Handb. d. Uroi, Bd. 2. 4)並 木,山 之 内 及 花 岡,皮 泌 誌,第38卷,

第2號. 5) Perlmann, Z.f.U, XXI, S. 618, 1927. 6) Perlmann, Z.f. U, XXI, S. 728, 1927.

7) 志 賀,グ レ ン ツ ゲビー ト,第2年,第45號. 8)志 賀,高橋,皮 泌 誌,第30卷,第1號. 9)高橋,

皮 泌 誌,第20卷,第7號.

205